JP2009138799A - 電磁クラッチ及び駆動力伝達装置 - Google Patents

電磁クラッチ及び駆動力伝達装置 Download PDF

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淳二 安藤
Kunihiko Suzuki
邦彦 鈴木
Masahiro Horaguchi
雅博 洞口
Hiroyuki Ando
寛之 安藤
Kenji Korenaga
憲司 是永
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Abstract

【課題】簡単な構成の駆動力伝達部材で長期間に亘って良好なトルク伝達特性を維持できる電磁クラッチ及び該電磁クラッチを備えた駆動力伝達装置を提供すること。
【解決手段】電磁クラッチ11は、インナシャフト13に一体回転可能、且つ軸方向移動可能にスプライン嵌合するアーマチャ25と、アーマチャ25を吸引する磁力を発生する電磁コイル31と、アーマチャ25と電磁コイル31との間に介在された底部15とを備える。そして、底部15と対向するアーマチャ25の対向面41に、摩擦材26を貼着し、該摩擦材26に軟磁性材料を含有させた。
【選択図】図1

Description

本発明は、電磁クラッチ及び該電磁クラッチを備えた駆動力伝達装置に関するものである。
従来、円筒部を有する第1回転部材と、該第1回転部材内にその回転軸と同軸上で相対回転可能な第2回転部材と、第1回転部材と第2回転部材との間でトルクを伝達する駆動力伝達部材と、これら駆動力伝達部材を通過する磁路に磁束を発生させることにより両駆動力伝達部材を摩擦係合させる磁力を発生する電磁コイルとを備えた電磁クラッチがある。例えば、特許文献1に記載の駆動力伝達装置に用いられる電磁クラッチでは、電磁コイルに吸引されるアーマチャ及び該アーマチャと電磁コイルとの間に介在された磁路形成部材を備え、駆動力伝達部材としてのアウタクラッチプレート及びインナクラッチプレートがアーマチャと磁路形成部材との間に設けられている。そして、電磁コイルへの通電によりアーマチャが吸引されることで、アウタクラッチプレートとインナクラッチプレートとが摩擦係合し、第1回転部材と第2回転部材との間でトルクが伝達されるようになっている。
ところで、上記特許文献1の電磁クラッチは、第1回転部材内に潤滑油が収容された所謂湿式の電磁クラッチとして構成されるとともに、例えばインナクラッチプレートの摺接面に微細溝を形成することで、摺接面間に形成される油膜の膜厚を適切に維持している。これにより、摺接面間の滑り速度Vと摩擦係数μとの関係を示すμ−V特性を、滑り速度Vが大となるほど摩擦係数μが大となる高摩擦正勾配として、インナクラッチプレートとアウタクラッチプレートとのスティックスリップが原因となって生じる振動(ジャダー)を防止し、良好なトルク伝達特性を確保している。さらに、上記特許文献1では、インナクラッチプレートに焼き入れ等の表面処理を施すとともに、アウタクラッチプレートの摺接面にDLC膜(ダイヤモンド状炭素被膜)を形成することで各クラッチプレート間での摩耗を抑制し、長期間に亘って良好なトルク伝達特性が維持されるようにしている。
特開2003−28218号公報
ところで、上記特許文献1では、μ−V特性を正勾配にしてジャダーを防止するためにクラッチプレートの摺接面に微細溝を形成する必要がある。また、各クラッチプレート間での摩耗を抑制するため、DLC膜の形成や、焼き入れ等の表面処理を各クラッチプレートに施す必要がある。従って、これらの表面処理のため、各クラッチプレート(駆動力伝達部材)の製造コストが上昇するという問題がある。また、各クラッチプレートの摺接面に、微細溝や非磁性材料であるDLC膜が形成されることで、各クラッチプレート間での磁束量の低下を招くといった問題が生じる。
そこで、ペーパー系の摩擦材をクラッチプレートの摺接面に貼着することが考えられる。というのは、ペーパー系の摩擦材では、その繊維基材間に潤滑油が浸透することで摺接面間に形成される油膜の膜厚を適切に維持できるとともに、クラッチプレートに比べて軟らかい材料であることからクラッチプレートの摩耗を抑制することができ、長期間に亘って耐ジャダー性に優れる良好なトルク伝達特性が確保されるためである。しかしながら、摩擦材は、非磁性材料により形成されているため磁束が通過し難く、また、その厚さを薄くすることに限界があるためクラッチプレート間のギャップが大きくなる。そのため、クラッチプレート間での磁束量の低下が大きくなってアーマチャを十分に吸引することができず、トルク容量が確保できないという問題が生じる。なお、このような問題は、駆動力伝達部材として、クラッチプレートを用いた場合に限らず、その他の第1回転部材と一体回転する部材及び第2回転部材と一体回転する部材を駆動力伝達部材として用いた場合においても同様に生じる。
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、簡単な構成の駆動力伝達部材で長期間に亘って良好なトルク伝達特性を維持できる電磁クラッチ及び該電磁クラッチを備えた駆動力伝達装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、円筒部を有する第1回転部材と、前記第1回転部材内に回転自在に同軸配置された軸状の第2回転部材と、前記第1回転部材及び前記第2回転部材のうちの何れか一方と一体回転可能に設けられた第1駆動力伝達部材と、前記第1回転部材及び前記第2回転部材のうちの何れか他方と一体回転可能に設けられた第2駆動力伝達部材と、前記第1及び第2駆動力伝達部材を通過する磁路に磁束を発生させることにより両駆動力伝達部材を摩擦係合させる電磁コイルと、を備えた電磁クラッチであって、前記第2駆動力伝達部材と対向する前記第1駆動力伝達部材の対向面には、摩擦材が貼着され、前記摩擦材には、軟磁性材料が含有されたことを要旨とする。
上記構成によれば、摩擦材に軟磁性材料が含有されることで摩擦材の透磁率が高くなっているため、駆動力伝達部材間での磁束量の低下が抑制され、アーマチャを十分に吸引することが可能になる。なお、軟磁性材料とは、保磁力が小さく透磁率が大きいことを特徴とする磁性材料をいう。従って、トルク容量を確保しつつ、摩擦材と駆動力伝達部材とを摩擦係合させることが可能となり、表面処理を必要としない簡単な構成の駆動力伝達部材で長期間に亘って良好なトルク伝達特性が維持される。また、DLC膜や微細溝の形成等の表面処理を各駆動力伝達部材に施さず済むため、駆動力伝達部材の製造コストの低減が図られるとともに、上記表面処理に伴う磁束量の低下が防止される。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電磁クラッチにおいて、前記第1駆動力伝達部材は、前記第1回転部材及び前記第2回転部材のうちの何れか一方と一体回転可能、且つ軸方向移動可能に配置されるアーマチャであり、前記第2駆動力伝達部材は、前記第1回転部材及び前記第2回転部材のうちの何れか他方と一体回転可能、且つ前記アーマチャと前記電磁コイルとの間に介在された磁路形成部材であることを要旨とする。
上記構成によれば、アーマチャと磁路形成部材とが直接摩擦係合するため、駆動力伝達部材としてのクラッチプレートを用いずに済み、部品点数が削減される。また、アーマチャと磁路形成部材との間にクラッチプレートを設ける場合に比べ磁路が短くなるとともに、アーマチャを通過せずクラッチプレート内を通過して電磁コイル側に戻る磁束がなくなることで磁気効率の向上が図られる。
請求項3に記載の発明は、円筒部を有する第1回転部材と、前記第1回転部材内に回転自在に同軸配置された第2回転部材と、前記第1回転部材と前記第2回転部材との間でトルクを伝達するメインクラッチと、前記メインクラッチの軸方向に並置された電磁クラッチと、前記メインクラッチと前記電磁クラッチとの間に設けられ該電磁クラッチを介して伝達される前記第1回転部材と前記第2回転部材との回転差に基づくトルクを軸方向の押圧力に変換してカム部材を軸方向移動させることにより前記メインクラッチを押圧するカム機構と、を備え、前記電磁クラッチは、前記第1回転部材及び前記第2回転部材のうちの何れか一方と一体回転可能に設けられた第1駆動力伝達部材と、前記第1回転部材及び前記第2回転部材のうちの何れか他方と一体回転可能に設けられた第2駆動力伝達部材と、前記第1及び第2駆動力伝達部材を通過する磁路に磁束を発生させることにより両駆動力伝達部材を摩擦係合させる電磁コイルとから構成された駆動力伝達装置であって、前記第2駆動力伝達部材と対向する前記第1駆動力伝達部材の対向面には、摩擦材が貼着され、前記摩擦材には、軟磁性材料が含有されたことを要旨とする。
上記構成によれば、トルク容量を確保しつつ、摩擦材と駆動力伝達部材とを摩擦係合させることが可能となり、表面処理を必要としない簡単な構成の駆動力伝達部材で長期間に亘って良好なトルク伝達特性が維持される。
本発明によれば、簡単な構成の駆動力伝達部材で長期間に亘って良好なトルク伝達特性を維持可能な電磁クラッチ及び該電磁クラッチを備えた駆動力伝達装置を提供することができる。
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した第1実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、電磁クラッチ11は、有底筒状のアウタハウジング12と、同アウタハウジング12の筒内に回転自在に同軸配置された軸状のインナシャフト13とを備えている。アウタハウジング12は、円筒状に形成された第1回転部材としての円筒部14と、同円筒部14のインナシャフト13側(同図中、左側)に一体形成されるとともに円環状に形成された第2駆動力伝達部材及び磁路形成部材としての底部15とから構成されている。そして、底部15の径方向中間部には、非磁性材料であるステンレス製の環状部材16が埋設されている。また、アウタハウジング12には、円筒部14の開口端17を閉塞するエンドハウジング18が固定されるようになっている。エンドハウジング18の円板状に形成されたフランジ部19は、開口端17の内周に螺着されるとともに、該フランジ部19の径方向中央にはアウタハウジング12の反対側(図1において、右側)に突出した軸状のシャフト部20が形成されている。また、第2回転部材としてのインナシャフト13は、底部15の内周に設けられたボール軸受21及びフランジ部19の中央に設けられた円錐ころ軸受22により回転自在に支承されている。そして、アウタハウジング12の筒内は、底部15の内周とインナシャフト13との間、及び開口端17とエンドハウジング18との嵌合部に設けられたシール部材23,24により封止され、その筒内には潤滑油が収容されている。なお、本実施形態では、インナシャフト13が駆動源に接続された入力軸(図示略)に接続されるとともに、シャフト部20が出力軸に接続されるようになっている。
円筒部14の内側には、円環状に形成された第1駆動力伝達部材としてのアーマチャ25が、軸方向に移動可能且つインナシャフト13と一体回転可能にスプライン嵌合されている。本実施形態では、アーマチャ25には、摩擦材26が設けられている。なお、図1において説明の便宜のため摩擦材26の厚みを誇張して記載している。そして、摩擦材26は底部15と摩擦係合するようになっている。
また、インナシャフト13の基端側(図1中、左側)には、ボール軸受27,28を介して支持部材29及び該支持部材29に螺着されたヨーク30がインナシャフト13に相対回転可能に支持されている。そして、支持部材29により、ヨーク30に包囲された電磁コイル31がアーマチャ25の軸方向に底部15を介在させて並置されている。なお、支持部材29には、外部と接続されて電磁コイル31に電力を供給する電源線32が設けられている。
次に、アーマチャ25(駆動力伝達部材)の構造について説明する。
図2に示すように、底部15と対向するアーマチャ25の対向面41には、摩擦材26が貼着されている。摩擦材26は、対向面41における底部15と摺接する範囲の全面に貼着されている。なお、図2において、説明の便宜のため摩擦材26にハッチングを付して示す。本実施形態では、摩擦材26はペーパー系湿式摩擦材からなり、軟磁性材料(保磁力が小さく透磁率が大きいことを特徴とする磁性材料)が含有されている。また、アウタハウジング12及びアーマチャ25は、例えば低炭素鋼(S10C等)により形成されており、底部15及びアーマチャ25には、例えばDLC膜や微細溝の形成等の表面処理が施されていない。
摩擦材26は、例えば木材パルプ或いはアラミド繊維等の繊維基材と、カシューダスト等の摩擦調整剤や炭酸カルシウム或いは珪藻土等の体質充填剤等の充填剤と、軟磁性材料とを抄造して抄紙体を形成し、その抄紙体に熱硬化性樹脂からなる樹脂結合剤を含浸し、次いで熱成形により加熱硬化して形成される。また、軟磁性材料には、例えばパーマロイ(鉄−ニッケル合金)や純鉄等が用いられるとともに、例えば粉状体や針状体に形成されて摩擦材26に含有されている。さらに、摩擦材26は、該摩擦材26と底部15との間の摩擦係数が、DLC膜等が形成された低炭素鋼間での摩擦係数よりも大きな値になるように形成されている。
なお、摩擦材26は、その繊維基材間に潤滑油が浸透することで摺接面間に形成される油膜の膜厚を適切に維持できるため、アーマチャ25と底部15との間の滑り速度Vと摩擦係数μとの関係を示すμ−V特性が高摩擦正勾配となる。これにより、アーマチャ25と底部15とのスティックスリップ(静摩擦状態から動摩擦状態の変移、及びその逆の変移を繰り返す挙動)が原因となって生じる駆動系の振動(ジャダー)が抑制されるようになっている。また、摩擦材26は、アウタハウジング12(低炭素鋼)に比べて軟らかい材料であることから底部15の摩耗が抑制される。従って、アーマチャ25と底部15との間に摩擦材26を介在させて摩擦係合させることで、長期間に亘って耐ジャダー性に優れる良好なトルク伝達特性が確保される。
そして、電磁コイル31に電流が供給されると、環状部材16により底部15内で磁束が短絡することが防止され、図1に示すように、電磁クラッチ11には一点鎖線で示すように循環する磁路M1が発生する。即ち、ヨーク30、底部15、アーマチャ25、底部15及びヨーク30を循環する磁路M1が形成される。すると、アーマチャ25が電磁コイル31の磁力により吸引され、底部15とアーマチャ25とが摩擦材26を介して摩擦係合し、アウタハウジング12とインナシャフト13とがトルク伝達可能に連結されるようになっている。
このとき、底部15からアーマチャ25に流入する磁束は、摩擦材26を介してアーマチャ25に流入する。そして、摩擦材26に軟磁性材料が含有されることで摩擦材26の透磁率が高くなっているため、磁束量の低下が抑えられる。なお、アーマチャ25から底部15に流入する磁束についても同様にその磁束量の低下が抑えられる。そのため、電磁コイル31の発生する磁力によって十分にアーマチャ25が吸引され、トルク容量を確保しつつ、摩擦材26を介してアーマチャ25と底部15とが摩擦係合する。また、アーマチャ25と底部15との間にクラッチプレートを設ける場合に比べ磁路が短くなるとともに、アーマチャ25を通過せずクラッチプレート内を通過して電磁コイル31側に戻る磁束がなくなることで磁気効率の向上が図られる。
以上記述したように、本実施の形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)電磁クラッチ11は、インナシャフト13に一体回転可能、且つ軸方向移動可能にスプライン嵌合するアーマチャ25と、アーマチャ25を吸引する磁力を発生する電磁コイル31と、アーマチャ25と電磁コイル31との間に介在された底部15とを備える。そして、底部15と対向するアーマチャ25の対向面41に、摩擦材26を貼着し、該摩擦材26に軟磁性材料を含有させた。そのため、アーマチャ25と底部15との間での磁束量の低下が抑制され、アーマチャを十分に吸引することができる。従って、トルク容量を確保しつつ、摩擦材26と底部15とを摩擦係合させることができ、表面処理を必要としない簡単な構成で長期間に亘って良好なトルク伝達特性を維持できる。また、DLC膜や微細溝の形成等の表面処理を各クラッチプレートに施さず済むため、アウタハウジング12やアーマチャ25の製造コストの低減を図ることができるとともに、上記表面処理に伴う磁束量の低下を防止できる。
(2)第1駆動力伝達部材としてアーマチャ25を用い、第2駆動力伝達部材として底部15を用いたため、駆動力伝達部材としてのクラッチプレートを用いずに済み、部品点数を削減できる。また、アーマチャ25と底部15との間にクラッチプレートを設ける場合に比べ磁路が短くなるとともに、アーマチャ25を通過せずクラッチプレート内を通過して電磁コイル31側に戻る磁束がなくなることで磁気効率の向上を図ることができる。
(3)摩擦材26を、対向面41における底部15と摺接する範囲の全面に貼着したため、摩擦材26に作用する面圧を低下させることができ、摩擦材26の耐久性を向上させることができる。
(第2実施形態)
以下、本発明を具体化した第2実施形態を図面に従って説明する。
図3に示すように、駆動力伝達装置51は、カップリングケース52内に回転自在に収容された有底筒状のアウタハウジング53と、同アウタハウジング53の筒内に回転自在に同軸配置された軸状のインナシャフト54とを備えている。
第1回転部材としてのアウタハウジング53は、その底部53a(同図中、左側)がカップリングケース52外部に露出された状態で、ボール軸受55により回転自在に支承されるとともに、その開口端53bには、環状のリヤハウジング56が嵌着されている。また、第2回転部材としてのインナシャフト54は、リヤハウジング56の内周に設けられたニードル軸受57及びアウタハウジング53の筒内に設けられたボール軸受58により回転自在に支承されている。そして、アウタハウジング53の筒内は、同アウタハウジング53とリヤハウジング56との嵌合部、及びリヤハウジング56の内周とインナシャフト54の外周との間に設けられたシール部材59,60により封止され、その筒内には潤滑油が収容されている。
なお、アウタハウジング53の底部53aは、プロペラシャフト(図示略)に設けられたフランジ部(図示略)と、ボルト61によって連結される。これにより、アウタハウジング53は、駆動源であるエンジン(図示略)の発生する駆動力の入力により回転する。また、インナシャフト54の上記ニードル軸受57に支承された側の軸端(同図中、右側)の内周には、図示しないリヤディファレンシャルとの連結部(スプライン嵌合部)62が形成されている。即ち、駆動力伝達装置51は、車両搭載時において、アウタハウジング53は主駆動輪である前輪側と、インナシャフト54は補助駆動輪である後輪側と連結されるようなっている。
また、アウタハウジング53の筒内には、アウタハウジング53とインナシャフト54とをトルク伝達可能に連結可能なメインクラッチ63が設けられるとともに、メインクラッチ63の軸方向、リヤハウジング56側には電磁クラッチ64が並置されている。そして、これらメインクラッチ63と電磁クラッチ64との間にカム機構65が設けられている。
メインクラッチ63には、軸方向に移動可能に設けられた複数のアウタクラッチプレート66及びインナクラッチプレート67を交互に配置してなる多板式の摩擦クラッチが採用されている。具体的には、各アウタクラッチプレート66はアウタハウジング53の内周に、各インナクラッチプレート67はインナシャフト54の外周にスプライン嵌合されることにより、それぞれ軸方向に移動可能、且つ対応するアウタハウジング53又はインナシャフト54と一体回転可能に設けられている。そして、メインクラッチ63は、これら各アウタクラッチプレート66及びインナクラッチプレート67が軸方向に押圧され、互いに摩擦係合することにより、アウタハウジング53とインナシャフト54とをトルク伝達可能に連結するようになっている。
カム機構65は、インナシャフト54に回転自在に支承された第1カム68と、インナシャフト54の外周にスプライン嵌合されることにより同インナシャフト54と一体回転可能且つ軸方向に移動可能に設けられた第2カム69と、第1カム68と第2カム69との間に介在されたカムフォロア70とを備えてなる。第1カム68及びカム部材としての第2カム69は、ともに円環状に形成され、第1カム68はリヤハウジング56側に、第2カム69はメインクラッチ63側に配置されている。第1カム68は、リヤハウジング56との間に設けられたニードル軸受71に当接しており、リヤハウジング56と一定の間隔を保持して相対回転可能に支持されている。また、第2カム69は、インナクラッチプレート67が嵌合しているインナシャフト54のスプライン溝の電磁クラッチ64側にスプライン嵌合している。
これら第1カム68及び第2カム69の対向面には、周方向に対して傾斜する複数のV字溝が互いに対向するように形成されており、カムフォロア70は、これら対向する各V字溝内に配置された状態で第1カム68及び第2カム69により挟持されている。そして、カム機構65は、第1カム68と第2カム69とが相対回転することにより、これら第1カム68と第2カム69との間が離間、即ち第1カム68がメインクラッチ63側に軸方向移動して、メインクラッチ63を押圧するように構成されている。
電磁クラッチ64は、第2駆動力伝達部材及び磁路形成部材としてのリヤハウジング56と、電磁コイル72の発生する磁力により吸引される第1駆動力伝達部材としてのアーマチャ73とを備えてなる。具体的には、リヤハウジング56には、アウタハウジング53の筒外(反アウタハウジング53側、図3中右側)に開口する環状溝74が形成されており、電磁コイル72は、この環状溝74内にヨーク75に包囲されて収容され、アーマチャ73の軸方向にリヤハウジング56を介在させて並置されている。なお、リヤハウジング56には、その内周部から軸方向、反アウタハウジング53側に延びる円筒部56aが設けられており、ヨーク75は、この円筒部56aに設けられたボール軸受76によりリヤハウジング56(及びアウタハウジング53)と相対回転可能に支承されている。また、リヤハウジング56の径方向中間部には、非磁性材料であるステンレス製の環状部材77(図4参照)が埋設されている。
円環状に形成されたアーマチャ73は、第1カム68の外周にスプライン嵌合されることにより、軸方向に摺動可能且つ第1カム68と一体回転可能に設けられている。図4に示すように、本実施形態では、アーマチャ73には、摩擦材78が設けられている。なお、図3及び図4において説明の便宜のため摩擦材78の厚みを誇張して記載している。そして、電磁クラッチ64は、アーマチャ73が電磁コイル72に吸引されて摩擦材78とリヤハウジング56とが摩擦係合することで、アウタハウジング53と第1カム68とをトルク伝達可能に連結するようになっている。
即ち、第2カム69との間にカムフォロア70を挟持した第1カム68は、電磁クラッチ64の非作動時、同第2カム69、即ちインナシャフト54とともに一体回転する状態となっており、アウタハウジング53と第1カム68との間には、同アウタハウジング53とインナシャフト54との回転差に相当する回転差が生じている。そして、電磁クラッチ64は、その作動により、アウタハウジング53と第1カム68とをトルク伝達可能に連結することで、アウタハウジング53とインナシャフト54(第1カム68)との回転差に基づくトルクをカム機構65に伝達するようになっている。
つまり、駆動力伝達装置51では、電磁クラッチ64の作動により、アウタハウジング53とインナシャフト54との回転差に基づくトルクがカム機構65に伝達され、カム機構65は、そのトルクにより生ずる第2カム69と第1カム68との回転差に基づいて同第2カム69を軸方向メインクラッチ63側に移動させる。即ち、カム機構65は、電磁クラッチ64を介して伝達されたアウタハウジング53とインナシャフト54との回転差に基づくトルクを軸方向の推力に変換し、かつ増幅する。そして、その第2カム69がメインクラッチ63を押圧することにより、同メインクラッチ63が作動、即ちアウタハウジング53とインナシャフト54とがトルク伝達可能に連結されるようになっている。このように、駆動力伝達装置51は、電磁コイル72に対する電力供給を通じて電磁クラッチ64の作動を制御することが可能である。そして、この電磁クラッチ64の作動を通じてメインクラッチ63の作動、即ち、アウタハウジング53とインナシャフト54との間で伝達可能なトルクを自在に制御可能な構成となっている。
本実施形態では、アーマチャ73及び摩擦材78は、上記第1実施形態と同様に形成されている。そして、電磁コイル72に電流が供給されると、環状部材77によりリヤハウジング56内で磁束が短絡することが防止され、駆動力伝達装置51には一点鎖線で示すように循環する磁路M2が発生する。即ち、ヨーク75、リヤハウジング56、アーマチャ73、リヤハウジング56及びヨーク75を循環する磁路M2が形成される。このとき、上記第1実施形態と同様に、摩擦材78を用いた場合であっても磁束量の低下が抑えられ、十分なトルク容量が確保される。
以上、本実施形態によれば、第1実施形態で記載した効果と同様の効果を奏する。
なお、上記各実施形態は、以下の態様で実施してもよい。
・上記各実施形態では、アーマチャ25,73を第1駆動力伝達部材として該アーマチャ25,73に摩擦材26,78を貼着したが、これに限らず、底部15又はリヤハウジング56を第1駆動力伝達部材として、該底部15又はリヤハウジング56に摩擦材26,78を貼着してもよい。
・上記各実施形態では、摩擦材26,78を対向面41における底部15又はリヤハウジング56と摺接する範囲の全面に貼着したが、これに限らず、隣り合う摩擦材の間を潤滑油が流動可能となるように形成してもよい。このようにすることで、潤滑油の動圧によって底部15とアーマチャ25又はリヤハウジング56とアーマチャ73とが離間されて、これらの間に介在された潤滑油の粘性に基づく係合力に起因する所謂引きずりトルクを、低減することができる。
・上記各実施形態において、アーマチャ25と対向する底部15の対向面及びアーマチャ73と対向するリヤハウジング56の対向面に、潤滑油を底部15及びリヤハウジング56の径方向内側端部から径方向外側端部に導く油溝を形成してもよい。このようにすることで、アーマチャ25,73と底部15又はリヤハウジング56との間に導入される潤滑油の増加を図り、引きずりトルクの低減を図ることができる。
・上記第1実施形態では、電磁コイル31をアーマチャ25の軸方向に底部15を介在させて並置させ、上記第2実施形態では、電磁コイル72をアーマチャ73の軸方向にリヤハウジング56を介在させて並置させた。しかしながら、これに限らず、電磁コイル31の発生する磁束により、アーマチャ25と底部15とが摩擦係合すれば、電磁コイル31をアーマチャ25の軸方向に並置しなくともよく、同様に、電磁コイル72をアーマチャ73の軸方向に並置しなくともよい。
・上記第1実施形態では、底部15が円筒部14と一体回転するとともに、アーマチャ25をインナシャフト13と一体回転するようにしたが、これに限らず、底部15がインナシャフト13と一体回転するとともに、アーマチャ25が円筒部14と一体回転するようにしてもよい。また、上記第2実施形態では、リヤハウジング56がアウタハウジング53と一体回転するとともに、アーマチャ73をインナシャフト54と一体回転するようにしたが、これに限らず、リヤハウジング56がインナシャフト54と一体回転するとともに、アーマチャ73がアウタハウジング53と一体回転するようにしてもよい。
・上記第1実施形態では、第1駆動力伝達部材としてアーマチャ25を用い、第2駆動力伝達部材として底部15を用いた。また上記第2実施形態では、第1駆動力伝達部材としてアーマチャ73を用い、第2駆動力伝達部材としてリヤハウジング56を用いた。しかし、これに限らず、第1及び第2駆動力伝達部材として、アーマチャと磁路形成部材との間に配置される複数のアウタクラッチプレート及びインナクラッチプレートを用い、これらアウタクラッチプレート及びインナクラッチプレートの何れか一方に摩擦材を貼着してもよい。
・上記第2実施形態では、駆動力伝達装置51を、4輪駆動車両における補助駆動輪側への駆動力伝達経路に設け、補助駆動輪に伝達するトルクを制御したが、これに限らず、左右駆動力配分装置としての機能を有するディファレンシャル装置などに用いてもよい。
・上記第2実施形態では、電磁クラッチを4輪駆動車両における前輪と後輪との間の駆動力配分を変更する駆動力伝達装置に用いたが、これに限らず、その他差動制限装置等の電磁クラッチを用いる装置に適用してもよい。
電磁クラッチの概略構成を示す断面図。 アーマチャの平面図。 駆動力伝達装置の概略構成を示す断面図。 駆動力伝達装置の概略構成を示す一部拡大断面図。
符号の説明
11,64…電磁クラッチ、13,54…インナシャフト、14…円筒部、15…底部、25,73…アーマチャ、26,78…摩擦材、31,72…電磁コイル、41…対向面、51…駆動力伝達装置、53…アウタハウジング、56…リヤハウジング、63…メインクラッチ、65…カム機構、69…第2カム、M1,M2…磁路。

Claims (3)

  1. 円筒部を有する第1回転部材と、前記第1回転部材内に回転自在に同軸配置された軸状の第2回転部材と、前記第1回転部材及び前記第2回転部材のうちの何れか一方と一体回転可能に設けられた第1駆動力伝達部材と、前記第1回転部材及び前記第2回転部材のうちの何れか他方と一体回転可能に設けられた第2駆動力伝達部材と、前記第1及び第2駆動力伝達部材を通過する磁路に磁束を発生させることにより両駆動力伝達部材を摩擦係合させる電磁コイルと、を備えた電磁クラッチであって、
    前記第2駆動力伝達部材と対向する前記第1駆動力伝達部材の対向面には、摩擦材が貼着され、
    前記摩擦材には、軟磁性材料が含有されたことを特徴とする電磁クラッチ。
  2. 前記第1駆動力伝達部材は、前記第1回転部材及び前記第2回転部材のうちの何れか一方と一体回転可能、且つ軸方向移動可能に配置されるアーマチャであり、
    前記第2駆動力伝達部材は、前記第1回転部材及び前記第2回転部材のうちの何れか他方と一体回転可能、且つ前記アーマチャと前記電磁コイルとの間に介在された磁路形成部材であることを特徴とする請求項1に記載の電磁クラッチ。
  3. 円筒部を有する第1回転部材と、前記第1回転部材内に回転自在に同軸配置された第2回転部材と、前記第1回転部材と前記第2回転部材との間でトルクを伝達するメインクラッチと、前記メインクラッチの軸方向に並置された電磁クラッチと、前記メインクラッチと前記電磁クラッチとの間に設けられ該電磁クラッチを介して伝達される前記第1回転部材と前記第2回転部材との回転差に基づくトルクを軸方向の押圧力に変換してカム部材を軸方向移動させることにより前記メインクラッチを押圧するカム機構と、を備え、前記電磁クラッチは、前記第1回転部材及び前記第2回転部材のうちの何れか一方と一体回転可能に設けられた第1駆動力伝達部材と、前記第1回転部材及び前記第2回転部材のうちの何れか他方と一体回転可能に設けられた第2駆動力伝達部材と、前記第1及び第2駆動力伝達部材を通過する磁路に磁束を発生させることにより両駆動力伝達部材を摩擦係合させる電磁コイルとから構成された駆動力伝達装置であって、
    前記第2駆動力伝達部材と対向する前記第1駆動力伝達部材の対向面には、摩擦材が貼着され、
    前記摩擦材には、軟磁性材料が含有されたことを特徴とする駆動力伝達装置。
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Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPH11141652A (ja) * 1997-11-05 1999-05-25 Mazda Motor Corp 動力伝達装置
JP2003113253A (ja) * 2001-07-30 2003-04-18 Nisshinbo Ind Inc 非石綿系摩擦材

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