JP2009136717A - 成形加工用樹脂被覆アルミニウム板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高速連続プレス加工において加工性、耐かじり性、塗膜密着性に優れたアルミニウム板を提供する。
【解決手段】アルミニウム板表面に、GDS深さ方向分析においてMgの最大発光強度が2V以下となる表面処理を施し、乾燥後の樹脂塗膜厚さが150%以下の粒径となる、粒状ポリエチレンワックスを含む塗料を塗布し、ワックスの融点以下で塗膜を加熱乾燥させ、その後、ワックスの融点から5℃〜10℃低い表面温度にて、ワックスを塗布する。
【選択図】なし
【解決手段】アルミニウム板表面に、GDS深さ方向分析においてMgの最大発光強度が2V以下となる表面処理を施し、乾燥後の樹脂塗膜厚さが150%以下の粒径となる、粒状ポリエチレンワックスを含む塗料を塗布し、ワックスの融点以下で塗膜を加熱乾燥させ、その後、ワックスの融点から5℃〜10℃低い表面温度にて、ワックスを塗布する。
【選択図】なし
Description
本発明は、優れた成形加工性を有する樹脂被覆金属板に関するもので、特に高速連続プレス加工において、加工性、耐かじり性、塗膜密着性に優れており、缶エンド材、缶ボディ材、電気電子機器部材、自動車用ボディ材や建材などで使用される樹脂被覆アルミニウム板に関するものである。
アルミニウム板及び、アルミニウム合金板(以下、総称してアルミニウム板という)は、耐食性が良好で軽量であることから、飲料缶材料、建材、家電材、自動車材等の用途に広く利用されている。
アルミニウム板を前記用途に利用する場合は、通常、アルミニウム板を所定の形状にプレス成形して利用する。プレス成形に使用されるアルミニウム板は、耐食性の向上、外観の向上、キズ付きの防止等のため、表面に塗料が塗布され使用されることが多い。
アルミニウム板を前記用途に利用する場合は、通常、アルミニウム板を所定の形状にプレス成形して利用する。プレス成形に使用されるアルミニウム板は、耐食性の向上、外観の向上、キズ付きの防止等のため、表面に塗料が塗布され使用されることが多い。
しかし、上述の従来技術により製造されたアルミニウム板を適用すると潤滑性が不足するため、強い加工を受ける部分、金型に対する塗膜の焼付きや塗膜剥離などの、いわゆるカジリ現象を生じることがある。これは、プレス成形品の商品価値を著しく低減するため、その抑止が求められる。
樹脂塗膜の表面にワックス層を設ける方法が提案されている。特許文献1ではアルミニウム板表面にパラフィンワックスを塗布する方法が、また特許文献2ではアルミニウム板表面にパラフィンやラノリン等を塗布する方法が述べられている。しかしこれらの方法では樹脂塗膜表面にワックス層を設けるためにさらに1工程を必要とし生産性が低い。
また表面の潤滑性は得られるものの、カジリのように塗膜が削られアルミ面が露出するような場合には潤滑性を失い十分な加工性が得られないという欠点を有する。
特開平06−254490号公報
特開平06−055137号公報
また表面の潤滑性は得られるものの、カジリのように塗膜が削られアルミ面が露出するような場合には潤滑性を失い十分な加工性が得られないという欠点を有する。
特許文献3、特許文献4、特許文献5には樹脂塗膜中にワックス成分を添加した潤滑樹脂塗膜が開示されている。また特許文献6や特許文献7にはワックス粒径の規定が述べられており、基剤樹脂塗膜厚の1〜10倍のワックスが好適とされている。
しかし、これらの方法でもまだカジリに対する抵抗力が小さく加工面に傷が入る場合がある。また基材樹脂塗膜厚みに対するワックス粒径が大きかったり、粒状ワックスの先端が塗膜表面から飛び出しているような場合は粒状ワックスが脱落しやすく十分な成形性を確保できない。
特開平08−164585号公報
特開2005−343043号公報
特開2005−74790号公報
特開平06-210792号公報
特開平06-99226号公報
しかし、これらの方法でもまだカジリに対する抵抗力が小さく加工面に傷が入る場合がある。また基材樹脂塗膜厚みに対するワックス粒径が大きかったり、粒状ワックスの先端が塗膜表面から飛び出しているような場合は粒状ワックスが脱落しやすく十分な成形性を確保できない。
本発明は、従来の問題点に鑑みてなされたもので、表面のMg量、乾燥樹脂塗膜中に粒状ワックスを含み、乾燥樹脂塗膜表面にワックスが層状に広がり、乾燥樹脂塗膜中のワックス粒径、樹脂塗膜の量、層状ワックスの量、及び層状のワックスの占める表面面積率を規定する材料により加工時の絞り工程の破断や、かじりによる塗膜剥離の不具合を解消することができるアルミニウム塗膜材を提供しようとするものである。
すなわち、アルミニウム板表面に、GDS深さ方向分析においてMgの最大発光強度が2V以下となるよう表面処理を行ない、さらに、乾燥後の樹脂塗膜厚に対して150%以下の粒径となる、粒状ポリエチレンワックスを含む樹脂塗料を塗布し、該粒状ポリエチレンワックスの融点以下で樹脂塗料を加熱乾燥させ、その後、表面の温度を、該粒状ポリエチレンワックスの融点より5〜10℃低く調整した後、液状ワックスを塗布する工程により、アルミニウム板表面に、0.1〜3.0g/m2となる乾燥樹脂塗膜が形成され、さらに該乾燥樹脂塗膜中に、該乾燥樹脂塗膜厚さの150%以下の粒径であり、該乾燥樹脂塗膜重量比1〜50%となる重量の粒径ポリエチレンワックスを含有し、該乾燥樹脂塗膜表面に0.01〜0.5g/m2量となるワックス層を有する、成形加工用樹脂被覆アルミニウム板の製造方法。
さらに、上記のアルミニウム製造方法において、乾燥樹脂塗膜がエポキシ樹脂、ウレタン樹脂及びアクリル樹脂の1種または2種以上からなり、乾燥塗膜表面のワックス層がポリエチレンまたはカルナウバからなることを特徴とする、成型加工用樹脂被覆アルミニウム板。
GDSで測定した時、Mgの最大発光強度が2V以下のアルミニウム材の表面に樹脂塗膜中に粒子状ワックスを含有させ、樹脂塗膜表面にワックス層を設け、かつ、樹脂塗膜量、樹脂中の粒径ワックス量、樹脂塗膜中の粒径ワックス粒径及び、樹脂塗膜表面のワックス層を規定することにより、かじりが発生せず、成形性、耐ブロッキング性の良好なアルミ材を得ることができた。
本発明において使用されるアルミニウム板は、表面のMg濃度を規定数値以下になるよう、アルミニウム板に表面処理を行ない使用する。
アルミニウム板は、アルミニウム合金鋳塊を均質化処理、焼鈍処理、熱処理等の工程を経て板状に加工していくが、大気中にあると、合金中のMgが表面に拡散して、最表面層にマグネシウム酸化物層を形成する。
その結果、アルミニウム板の表面にはMgOとAl2O3の混在する酸化塗膜が形成される。この酸化塗膜によって、密着性の低下を生じ、過酷な成形においては充分な塗膜密着性が得られず潤滑塗膜層の脱落、それに伴うカジリ発生等の不具合が誘発されやすく、Mg含有量を規定数値以下になる表面処理が必要となる。
アルミニウム板は、アルミニウム合金鋳塊を均質化処理、焼鈍処理、熱処理等の工程を経て板状に加工していくが、大気中にあると、合金中のMgが表面に拡散して、最表面層にマグネシウム酸化物層を形成する。
その結果、アルミニウム板の表面にはMgOとAl2O3の混在する酸化塗膜が形成される。この酸化塗膜によって、密着性の低下を生じ、過酷な成形においては充分な塗膜密着性が得られず潤滑塗膜層の脱落、それに伴うカジリ発生等の不具合が誘発されやすく、Mg含有量を規定数値以下になる表面処理が必要となる。
上記の表面処理としては、酸、アルカリエッチング処理、酸溶液中でのスマット(不溶解性残渣)除去などを適宜選択して行なうことが望ましい。これらのアルカリエッチング処理、酸洗処理としては、通常アルミニウム材の処理法として行われている方法で良く、市販の処理液を使用することも可能である。例えば、アルカリエッチング処理としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウムなどを、酸洗処理としては、硫酸、硝酸、フッ酸、硝酸+フッ酸混合液などを用いることができる。好ましくはアルカリエッチング処理後水洗し、更にその後、酸洗し水洗後乾燥することによって、表面Mgを除去する方法が良い。なお、前記の乾燥条件として、表面のMgを抑えるために300℃以下で行うのが好ましい。
上記表面処理は、Mg濃度がGDSにMG濃度を深さ方向の発光強度を測定したとき、最大発光強度が2V以下となるよう表面処理を行なう。好ましい測定条件としては、アルゴンガスで置換後の圧力600Pa、出力30W、モジュール650、フェーズ350、アノード径4mmφでのMg検出波長384nm、Mg感度750Vの条件である。
表面処理後、樹脂塗料にワックスを加え、攪拌し、ワックスを分散させ、表面に塗布し乾燥樹脂塗膜を形成する。塗布方法には、ロールコーター法、ロールスクイズ法、ケミコーター法、エアナイフ法、浸漬法、スプレー法、静電塗装法等の方法が用いられ、乾燥は一般的な加熱法、誘電加熱法などにより行うことができる。
これらの方法のうち樹脂塗膜の均一性に優れ、生産性が良好なロールコーター法が好ましい。ロールコーター法としては、塗布量管理が容易なグラビアロール方式や、厚塗りに適したナチュラルコート方式や、塗布面に美的外観を付与するのに適したリバースコート方式等を採用することができる。
これらの方法のうち樹脂塗膜の均一性に優れ、生産性が良好なロールコーター法が好ましい。ロールコーター法としては、塗布量管理が容易なグラビアロール方式や、厚塗りに適したナチュラルコート方式や、塗布面に美的外観を付与するのに適したリバースコート方式等を採用することができる。
上記の塗料に使用される樹脂は、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエステル樹脂の1種または2種以上の混合物を用いることが好ましい。なお、樹脂中に、反応促進剤、安定剤、分散剤等の一般的な添加剤を、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜添加することは差し支えなく、むしろ好ましい。その中でもエポキシ、ウレタン、アクリル、ポリエステルのいずれかを含む樹脂を用いることにより、加工性、塗膜密着性ともに優れており、本材料として好ましい。
乾燥樹脂塗膜中にワックスを含む乾燥樹脂塗膜量は0.1〜3.0g/m2が適当である。乾燥樹脂塗膜量が0.1g/m2未満であると、乾燥樹脂塗膜が薄すぎて、成形時に金型とアルミニウム材が接触し、絞り性、かじり性とも十分に満足できない。一方、乾燥樹脂塗膜量が3.0g/m2を超えると、その効果が飽和し、不経済である。
乾燥樹脂塗膜中にワックスを含む乾燥樹脂塗膜量は0.1〜3.0g/m2が適当である。乾燥樹脂塗膜量が0.1g/m2未満であると、乾燥樹脂塗膜が薄すぎて、成形時に金型とアルミニウム材が接触し、絞り性、かじり性とも十分に満足できない。一方、乾燥樹脂塗膜量が3.0g/m2を超えると、その効果が飽和し、不経済である。
上記のワックスには、粒状ポリエチレンワックスが使用される。粒状ワックスの粒径は乾燥樹脂塗膜厚さの150%以下にする必要がある。樹脂層の厚みの150%を超えると、成形時において脱落しやすくなり、かじり性を劣化させる。
また、乾燥樹脂塗膜重量の1%以上、50%未満の重量となるよう含有させる。1%未満では、加工時におけるかじり性を満足することはできなく、50%を超えると、塗膜中の粒状ワックスの保持も低下し、かじり性も低下してしまう。
また、乾燥樹脂塗膜重量の1%以上、50%未満の重量となるよう含有させる。1%未満では、加工時におけるかじり性を満足することはできなく、50%を超えると、塗膜中の粒状ワックスの保持も低下し、かじり性も低下してしまう。
本発明における乾燥樹脂塗膜を形成するには、塗装における焼付は粒状ワックスの融点以下の温度で行なう。焼付け温度が融点以上であると樹脂が固まる前にワックスが溶融してしまうので、塗膜中に粒状のワックスが形成されない。温度はワックスの融点に合わせ設定を行うが、生産性を考慮すると40〜100℃程度が好ましい。また、乾燥時間は樹脂の特性、樹脂塗膜厚に合わせて設定を行うが、生産性を考えると、5〜120秒程度が好ましい。
乾燥塗膜形成後、液状ワックスの塗布を行なう。液状ワックスとしてはワックスを溶融させ液状化して使用するか、溶媒に溶かして液状化したもの使用する。ワックスはポリエチレンワックスまたはカルナウバワックスが好ましい。溶媒に溶かして使用する場合は、ポリエチレンワックスに対して70℃以上のキシレン、カルナウバに対しては室温以上のクロロホルム、キシレンを用いるのが良い。このような液体のワックスをロールコーターまたはスプレー等で塗布する。
また、液状ワックス塗布時には乾燥樹脂塗膜を、粒状ワックスの融点より5〜10℃低い温度にして行う。融点に対して10度低い温度に達しない状態であると、液状ワックスが乾燥塗装表面に接触した後に、極めて短時間にワックスが固化してしまい、正常なワックスが層状にならず、ボタ落ち状に固まったり、スジ状の斑になる。
融点に対して5℃低い温度を越えると、塗膜中のワックスも融解してしまい、乾燥樹脂塗膜中の粒状ポリエチレンワックスが溶け、期待される機能を発揮しない。
乾燥樹脂塗膜表面温度は、塗膜乾燥後に冷却せずに所望の温度となるようにして塗布しても良いし、別個に加温装置を設けて板温を上昇させても良い。加温装置としては電気ヒーター、燃焼ガス等により間接的に加熱した空気、温水等により加熱した空気等を用いる熱風炉で良い。
融点に対して5℃低い温度を越えると、塗膜中のワックスも融解してしまい、乾燥樹脂塗膜中の粒状ポリエチレンワックスが溶け、期待される機能を発揮しない。
乾燥樹脂塗膜表面温度は、塗膜乾燥後に冷却せずに所望の温度となるようにして塗布しても良いし、別個に加温装置を設けて板温を上昇させても良い。加温装置としては電気ヒーター、燃焼ガス等により間接的に加熱した空気、温水等により加熱した空気等を用いる熱風炉で良い。
また液状ワックスは0.01〜0.5g/m2となるように塗布する。0.01g/m2未満では十分な潤滑効果が得られず、0.5g/m2を超えると潤滑性がそれ以上向上せずに無駄であるばかりか、巻取り後にブロッキング等の不具合を生じやすいために好ましくない。
(実施例1)
最終熱処理を行ったJISA5182−O(0.8mm厚さ)を用いて塗装前処理はアルカリ脱脂(EC-371:60℃×15sec浸漬日本ペイント製)→水洗(RT×15sec スプレー圧1.5Kg/cm2)→酸洗(10wt%H2SO4:50℃×15sec浸漬)→水洗(RT×15sec スプレー圧1.5Kg/cm2)→純水先→熱風乾燥の工程で処理した材料を供試材とした。この工程を経た供試材の表面Mg量をGDSにて最大発光強度を測定した。
最終熱処理を行ったJISA5182−O(0.8mm厚さ)を用いて塗装前処理はアルカリ脱脂(EC-371:60℃×15sec浸漬日本ペイント製)→水洗(RT×15sec スプレー圧1.5Kg/cm2)→酸洗(10wt%H2SO4:50℃×15sec浸漬)→水洗(RT×15sec スプレー圧1.5Kg/cm2)→純水先→熱風乾燥の工程で処理した材料を供試材とした。この工程を経た供試材の表面Mg量をGDSにて最大発光強度を測定した。
この供試材を用いて、水溶性ウレタン樹脂に、粒径の異なる融点105℃のポリエチレンワックスを固形分比で15%含有させた塗料をロールコーターにて塗布し、PMT 80℃〜140℃、在炉時間 30secで樹脂塗膜の乾燥を行い、更にポリエチレン及びカルナウバを加熱溶融した液状ワックスをロールコーターで塗布し、試験片とした。
性能評価試験方法としては下記の方法で評価した。結果を表1に示す。
1)GDS測定
GDS装置は、堀場製作所製JY5000RFを用いた。Mgの測定条件は、アルゴンガスで置換後の圧力600Pa、出力30W、モジュール650、フェーズ350、アノード径4mmφでのMg検出波長384nm、Mg感度750Vとした。上記試料から幅50mm×長さ60mmの測定試料を切断した。測定試料の酸化塗膜表面層からスパッタ時間1秒以内でスパッタされるMgの最大ピーク高さをそれぞれ発光強度(V)として測定した。
2)成形性(絞り性)
ポンチ径50mmφ、肩R5mmRの金型にて、BHF600N、成形速度5mm/sで深絞り成形 を行い、限界絞り比(L.D.R.)を求めた。
○ :LDR ≧2.1 合格
△ :LDR 1.9〜2.1 不合格
× :LDR 1.9≧ 不合格
3)成形性(カジリ性)
試験荷重=500gf、摺動速度=0.6mm/s、鋼球直径=3/16インチ でのバウデン式磨耗試験器にて、50往復目の動摩擦係数(μ)を測定した。
○ :μ ≦ 0.1 合格
△ :μ > 0.1 不合格
× :50往復未満で、かじり発生 不合格
4)塗膜密着性
180度曲げ試験後、テープ剥離試験にて、塗膜剥離状況を目視にて観察した。
○ :剥離無し 合格
× :剥離有り 不合格
5)耐ブロッキング性
加圧プレスにて50Kg/cm2の圧力を加え、40℃で24時間保持した後、剥した時のブロッキングの発生有無を目視で評価した。
○ :ブロッキング発生ナシ 合格
× :ブロッキング発生 不合格
1)GDS測定
GDS装置は、堀場製作所製JY5000RFを用いた。Mgの測定条件は、アルゴンガスで置換後の圧力600Pa、出力30W、モジュール650、フェーズ350、アノード径4mmφでのMg検出波長384nm、Mg感度750Vとした。上記試料から幅50mm×長さ60mmの測定試料を切断した。測定試料の酸化塗膜表面層からスパッタ時間1秒以内でスパッタされるMgの最大ピーク高さをそれぞれ発光強度(V)として測定した。
2)成形性(絞り性)
ポンチ径50mmφ、肩R5mmRの金型にて、BHF600N、成形速度5mm/sで深絞り成形 を行い、限界絞り比(L.D.R.)を求めた。
○ :LDR ≧2.1 合格
△ :LDR 1.9〜2.1 不合格
× :LDR 1.9≧ 不合格
3)成形性(カジリ性)
試験荷重=500gf、摺動速度=0.6mm/s、鋼球直径=3/16インチ でのバウデン式磨耗試験器にて、50往復目の動摩擦係数(μ)を測定した。
○ :μ ≦ 0.1 合格
△ :μ > 0.1 不合格
× :50往復未満で、かじり発生 不合格
4)塗膜密着性
180度曲げ試験後、テープ剥離試験にて、塗膜剥離状況を目視にて観察した。
○ :剥離無し 合格
× :剥離有り 不合格
5)耐ブロッキング性
加圧プレスにて50Kg/cm2の圧力を加え、40℃で24時間保持した後、剥した時のブロッキングの発生有無を目視で評価した。
○ :ブロッキング発生ナシ 合格
× :ブロッキング発生 不合格
本発明1〜8は最大Mg発光強度及び乾燥樹脂塗膜量、粒径比、粒状ワックス量またワックス層の量、被覆率が、本発明範囲内であるため成形性能及び塗膜性能が良好である。比較例9は乾燥樹脂塗膜量が請求範囲以外のため成形性能が劣っている。比較例10は樹脂塗膜の粒径比が請求範囲外のため成形性能が劣る。比較例11は乾燥樹脂塗膜の粒状ワックス量が請求範囲外のため成形性能が劣る。比較例12はワックス層のワックス量が請求範囲外のためブロッキング性が劣る。比較例13は酸洗処理後アルミ表面に潤滑塗膜、ワックス層がない為成形性能が劣る。比較例14は塗装前処理の酸洗がない為に塗膜密着性が劣る。比較例15は酸洗後、乾燥樹脂塗膜を形成していない為、ワックス層のみで成形性能が劣る。
(比較例2)
またアルミニウム板表面に比較例1と同様の表面処理を行ない、水溶性ウレタン樹脂に粒径の異なる融点105℃の粒状ポリエチレンワックスを固形分比で15%含有した樹脂塗料をロールコーターにて塗布して、90℃×30secで樹脂塗膜の乾燥を行い、ポリエチレン及びカルナウバを溶剤に溶かした液状ワックスをロールコーターで塗布し、その後溶剤を除去する為に80℃〜140℃×30secの乾燥して試験片とした。表2に結果を示す。
またアルミニウム板表面に比較例1と同様の表面処理を行ない、水溶性ウレタン樹脂に粒径の異なる融点105℃の粒状ポリエチレンワックスを固形分比で15%含有した樹脂塗料をロールコーターにて塗布して、90℃×30secで樹脂塗膜の乾燥を行い、ポリエチレン及びカルナウバを溶剤に溶かした液状ワックスをロールコーターで塗布し、その後溶剤を除去する為に80℃〜140℃×30secの乾燥して試験片とした。表2に結果を示す。
本発明1〜9は最大Mg発光強度及び乾燥樹脂塗膜量、粒径比、粒状ワックス量またワックス層のワックス量、被覆率が、本発明範囲内であるため成形性能及び塗膜性能が良好である。比較例10は樹脂塗膜の粒径比が請求範囲外のため成形性能が劣る比較例11、12は乾燥樹脂塗膜の粒状ワックス量が請求範囲外のため成形性能が劣る。比較例13はワックス層のワックス量が請求範囲外のため成形性能が劣る。比較例14はワックス層の被覆率が請求範囲外のためブロッキング性が劣る。比較例15はワックス層の被覆率が請求範囲外のため成形性能が劣る。
Claims (2)
- アルミニウム板表面に、GDS深さ方向分析においてMgの最大発光強度が2V以下となるよう表面処理を行ない、さらに、乾燥後の樹脂塗膜厚に対して150%以下の粒径となる、粒状ポリエチレンワックスを含む樹脂塗料を塗布し、該粒状ポリエチレンワックスの融点以下で樹脂塗料を加熱乾燥させ、その後、表面の温度を、該粒状ポリエチレンワックスの融点より5〜10℃低く調整した後、液状ワックスを塗布する工程により、アルミニウム板表面に、0.1〜3.0g/m2となる乾燥樹脂塗膜が形成され、さらに該乾燥樹脂塗膜中に、該乾燥樹脂塗膜厚さの150%以下の粒径であり、該乾燥樹脂塗膜重量比1〜50%となる重量の粒径ポリエチレンワックスを含有し、該乾燥樹脂塗膜表面に0.01〜0.5g/m2量となるワックス層を有する、成形加工用樹脂被覆アルミニウム板の製造方法。
- 乾燥樹脂塗膜がエポキシ樹脂、ウレタン樹脂及びアクリル樹脂の1種または2種以上からなり、乾燥塗膜表面のワックス層がポリエチレンまたはカルナウバからなることを特徴とする、請求項1の製造方法で製造される、成型加工用樹脂被覆アルミニウム板。
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