JP2009136284A - 核酸増幅方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくとも1種のデオキシヌクレオチド3リン酸、少なくとも1種のDNAポリメラーゼ、少なくとも2種のオリゴヌクレオチドプライマー、及び鋳型となる核酸断片を含む反応溶液をインキュベートすることによって前記プライマーの3’末端を起点とするポリメラーゼ反応を行い該核酸断片を増幅することを含む核酸の増幅方法であって、第一のオリゴヌクレオチドプライマーの5’末端側にタグ配列が付加されており、該タグ配列が、鋳型となる核酸断片の塩基配列上において、第一のオリゴヌクレオチドプライマーの3’末端側部分(第一のオリゴヌクレオチドが鋳型核酸とアニールする部分)と実質的に相同な配列の3’末端側に存在する塩基配列であることを特徴とする、核酸の増幅方法。
【選択図】なし
Description
好ましくは、該タグ配列は、鋳型となる核酸断片の塩基配列上において、第二のオリゴヌクレオチドプライマーの塩基配列に対して実質的に相補的な塩基配列よりも3’末端側に存在する塩基配列である。図3に、第一のオリゴヌクレオチドプライマー、第二のオリゴヌクレオチドプライマー、タグ配列の位置関係の模式図を示す。
好ましくは、第一のオリゴヌクレオチドプライマーの5’末端側に付加するタグ配列は、鋳型となる核酸断片の塩基配列上において、第一のオリゴヌクレオチドプライマーの3’末端側部分(第一のオリゴヌクレオチドが鋳型核酸とアニールする部分)と実質的に相同な配列の3’末端側200塩基以内に存在する塩基配列である。
好ましくは、界面活性剤は非イオン性界面活性剤である。
好ましくは、非イオン性界面活性剤は、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル系、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル系、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系から選ばれる。
好ましくは、反応溶液は、2価の陽イオンをさらに含む。
好ましくは、反応溶液は、融解温度調整剤をさらに含む。
好ましくは、融解温度調整剤は、ジメチルスルホキシド、ベタイン、ホルムアミドもしくはグリセロール、またはこれらの2種以上の混合物である。
好ましくは、少なくとも1種の鎖置換能を有するDNAポリメラーゼは、バチルス ステアロサーモフィラス由来の5’→3’エキソヌクレアーゼ欠損Bst.DNAポリメラーゼ、及びバチルスカルドテナックス由来の5’→3’エキソヌクレアーゼ欠損Bca DNAポリメラーゼ 、サーモコッカス リトラリス由来の5’→3’エキソヌクレアーゼ欠損Vent.DNAポリメラーゼ、アリサイクロバチルス アシドカルダリウス由来のDNAポリメラーゼからなる群より選択されるポリメラーゼである。
好ましくは、核酸を増幅する工程は50℃以上100℃以下で行われる。
好ましくは、核酸を増幅する工程は実質的に60分以内で行われる。
本発明による核酸の増幅方法は、少なくとも1種のデオキシヌクレオチド3リン酸、少なくとも1種のDNAポリメラーゼ、2価の陽イオン、少なくとも2種のオリゴヌクレオチドプライマー、及び鋳型となる核酸断片を含む反応溶液をインキュベートすることによって前記プライマーの3’末端を起点とするポリメラーゼ反応を行い該核酸断片を増幅することを含む核酸の増幅方法であって、第一のオリゴヌクレオチドプライマーの5’末端側にタグ配列が付加されており、該タグ配列が、鋳型となる核酸断片の塩基配列上において第一のオリゴヌクレオチドプライマーの3’末端側部分(第一のオリゴヌクレオチドが鋳型核酸とアニールする部分)と実質的に相同な塩基配列よりも3’末端側に存在する塩基配列であることを特徴とする方法である。
(1)デオキシヌクレオチド3リン酸
伸長反応の基質として、デオキシヌクレオチド3リン酸を用いる。具体的には、dATP、dCTP、dGTP、dTTPの混合物を使用することが好ましい。デオキシヌクレオチド3リン酸としては、dNTPのアナログ(例えば、7−デアザ−dGTP等)が含まれていてもよい。
本発明においては、鎖置換能を有するポリメラーゼを用いる。本明細書において「鎖置換能」とは、鋳型となる核酸配列に従ってDNA複製を行う際、DNA鎖を置き換えながら進行し、鋳型鎖にアニーリングしている相補鎖を遊離させる、即ち鎖置換(strand displacement)することができる活性のことをいう。鎖置換能を有するポリメラーゼの具体例としては、バチルス ステアロサーモフィラス由来の5’→3’エキソヌクレアーゼ欠損Bst.DNAポリメラーゼ、及びバチルスカルドテナックス由来の5’→3’エキソヌクレアーゼ欠損Bca DNAポリメラーゼ 、サーモコッカス リトラリス由来の5’→3’エキソヌクレアーゼ欠損Vent.DNAポリメラーゼ、アリサイクロバチルス アシドカルダリウス由来のDNAポリメラーゼなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。鎖置換能を有するポリメラーゼは、天然由来のものでもよいし、遺伝子工学的に製造した組み換え蛋白質でもよい。
本発明では、使用する酵素の金属要求性等に2価の陽イオンを用いる。2価の陽イオンとしては、マグネシウム塩、カルシウム塩やその他の金属塩を使用することができ、例えば、塩化マグネシウム、酢酸マグネシウム、硫酸マグネシウムなどを使用できる。2価の陽イオンの濃度は最終濃度で、好ましくは1mM〜20mMであり、さらに好ましくは2mM〜10mMの範囲である。
本発明では、反応溶液中に界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤を使用することにより、非特異的な核酸の増幅を防止するという有利な効果を達成することができる。本発明で使用できる界面活性剤の種類は、特には限定されないが、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、スルホコハク酸オクチルエステル塩、ステアリン酸石けんなどの陰イオン(アニオン)性界面活性剤、ショ糖脂肪酸エステル、POEソルビタン脂肪酸エステル(Tween20、Tween40、Tween60、Tween80等)、脂肪酸アルカノールアミド、POEアルキルエーテル(Brij35、Brij58、等)、POEアルキルフェニルエーテル(TritonX-100、TritonX-114、Nonidet P40、等)、ノニルフェノール、ラウリルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックポリマー、POEアルキルアミン、POE脂肪酸ビスフェニルエーテルなどの非イオン(ノニオン)性界面活性剤、そしてセチルピリジニウムクロライド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライドのような陽イオン(カチオン)性界面活性剤などを使用できる。界面活性剤の使用量は本発明の効果が達成できる限り特に限定されないが、好ましくは0.01%以上、より好ましくは0.05%以上、より好ましくは0.1%以上である。界面活性剤の使用量の上限は特に限定されないが、通常は10%以下、好ましくは5%以下、より好ましくは1%以下である。
本発明で使用するオリゴヌクレオチドプライマーは、鋳型DNAに実質的に相補的な塩基配列を有し、その3'末端よりDNA鎖の伸長が可能なものである。オリゴヌクレオチドプライマーは、鋳型DNAに実質的に相補的な塩基配列を有することにより、鋳型となるDNAにアニーリングすることができる。本発明で使用されるオリゴヌクレオチドプライマーとしては、デオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチドで構成されたものを使用することができ、さらに、修飾リボヌクレオチドあるいは修飾デオキシリボヌクレオチドを含有するものでもよい。
好ましくは、第一のオリゴヌクレオチドプライマーの5’末端側に付加するタグ配列は、2塩基以上16塩基以下である。
好ましくは、第一のオリゴヌクレオチドプライマーの5’末端側に付加するタグ配列は、4塩基以上14塩基以下である。
好ましくは、第一のオリゴヌクレオチドプライマーの5’末端側に付加するタグ配列は、鋳型となる核酸断片の塩基配列上において、第一のオリゴヌクレオチドプライマーの3’末端側部分(第一のオリゴヌクレオチドが鋳型核酸とアニールする部分)と実質的に相同な塩基配列の3’末端側100塩基以内の位置に存在する。
好ましくは、第一のオリゴヌクレオチドプライマーの5’末端側に付加するタグ配列は、鋳型となる核酸断片の塩基配列上において、第一のオリゴヌクレオチドプライマーの3’末端側部分(第一のオリゴヌクレオチドが鋳型核酸とアニールする部分)と実質的に相同な塩基配列の3’末端側60塩基以内の位置に存在する。
好ましくは、第一のオリゴヌクレオチドプライマーの5’末端側に付加するタグ配列は、鋳型となる核酸断片の塩基配列上において、第一のオリゴヌクレオチドプライマーの3’末端側部分(第一のオリゴヌクレオチドが鋳型核酸とアニールする部分)と実質的に相同な塩基配列の3’末端側50塩基以内の位置に存在する。
本発明において鋳型となる核酸(DNAまたはRNA)は、ゲノムDNA、cDNA、合成DNA、mRNA、全RNAのいずれでもよい。鋳型となる核酸を含む可能性のある試料から調製した核酸を使用してもよいし、鋳型となる核酸を含む可能性のある試料をそのまま直接使用してもよい。鋳型となる核酸を含む試料の種類は特に限定されず、例えば、体液(例えば、全血、血清、尿、脳脊髄液、精液、唾液など)、組織(例えば、癌組織など)、スワブ、細胞培養物のような生体由来試料、ウイルス、細菌、カビ、酵母、植物及び動物のような核酸含有試料、微生物が混入している可能性のある試料(例えば、食品など)、あるいは土壌、排水のような環境中の試料が挙げられる。上記したような試料から核酸を調製する場合、その調製方法は特に限定されず、例えば、界面活性剤による処理、超音波処理、ガラスビーズを用いた精製など当業者に公知の方法を用いることができる。核酸の試料からの精製は、フェノール抽出、クロマトグラフィー、ゲル電気泳動または密度勾配遠心分離などにより行うことができる。
本発明において鋳型となる核酸は、前処理工程を経た後に増幅鋳型として用いても良い。
前処理用の試薬は、例えば、界面活性剤、血液凝固防止剤、タンパク分解酵素、脂質分解酵素を含んでいてもよい。液性としては、酸性あるいはアルカリ性であってもよい。
前処理工程としては、高温(例えば98℃)に加熱することや変性処理剤で処理する工程を含んでよい。また、高温に加熱後、4℃以下に急冷する工程を含んでもよい。
本発明における反応溶液には、融解温度調整剤を添加することができる。融解温度調整剤の具体例としては、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ベタイン、ホルムアミドもしくはグリセロール、テトラアルキルアンモニウム塩、またはこれらの2種以上の混合物を挙げることができる。融解温度調整の使用量は特に限定されないが、DMSOやホルムアミド、グリセロールの場合、通常は反応溶液中に10%以下の量で含めることができる。
ベタインやテトラアルキルアンモニウム塩は、0.2〜3.0M、好ましくは0.5〜1.5M程度添加することができる。
本発明における反応溶液には、緩衝成分を含めることができる。緩衝成分としては、特に限定はないが、例えば、ビシン、トリシン、ヘペス、トリス、リン酸塩(リン酸ナトリウム、リン酸カリウム等)などを使用することができる。緩衝成分の最終濃度は5mM〜100mMの範囲、特に好ましくは10mM〜50mMの範囲であり、またpHは、増幅反応に用いられる酵素の至適pHにもよるが、一般的には6.0〜9.0、特に好ましくはpH7.0〜9.0のものを使用できる。
本発明における反応溶液には、蛍光色素を含めることができる。蛍光色素としては、特に限定はないが、例えばSYBR GreenIなどを使用することができる。
次に、本発明による核酸の増幅方法について説明する。本発明では、少なくとも1種のデオキシヌクレオチド3リン酸、少なくとも1種のDNAポリメラーゼ、2価の陽イオン、少なくとも2種類のオリゴヌクレオチドプライマー、及び鋳型となる核酸断片を含む反応溶液をインキュベートする。これにより、前記プライマーの3’末端を起点とするポリメラーゼ反応を行い、該核酸断片を増幅することができる。本発明では、好ましくは、核酸を増幅する工程を実質的に等温で行うことができる。反応溶液をインキュベートする際の温度は好ましくは50℃以上であり、より好ましくは55℃以上であり、例えば、60℃程度でインキュベートすることができる。好ましい温度範囲は、例えば、約50℃から約70℃であり、さらに好ましくは約55℃から約65℃である。この場合、プライマーの非特異的なアニーリングが抑制され、DNA増幅の特異性が向上し、また鋳型DNAの二次構造が解消されることによりDNAポリメラーゼの伸長性も向上する。本発明による核酸の増幅方法は、実質的に等温において実施すことができる。本発明において等温とは、各工程の反応温度を大きく変化することなく、各工程が実質的に一定の温度で行われることを意味する。
本発明による核酸の増幅方法は、核酸の検出、標識、塩基配列の決定、塩基の変異の検出(一塩基多型の検出などを含む)などに使用することができる。本発明の核酸の増幅方法には温度調節が可能な反応装置を使用する必要がないため、多量の反応液を使用して増幅反応を実施することができる。
(1)ターゲット核酸断片を含む核酸試料液の調整
HumanGenomicDNA(Clontech社製)3.0ngを98℃で3min.加熱を行い、1本鎖にしたのち、β2AR遺伝子中の配列の増幅を以下の条件で行った。
プライマーは、β2AR遺伝子を標的に設計を行った。各プライマーの配列を以下に示す。
プライマー(1)(Forward1):
5'−CCACGACGCTTGCTGGCACCCAATA−3'(配列番号1)
プライマー(2)(Forward2):
5'−GGCAGGAACTTGCTGGCACCCAATA−3'(配列番号2)
プライマー(3)(Forward3):
5'−TGGGTGGTCTTGCTGGCACCCAATA−3'(配列番号3)
プライマー(4)(Reverse):
5'−CCGGCGCATGGCTT−3' (配列番号4)
ここで、プライマー(1)、(2)、(3)の5'末端8塩基(Tag)は、鋳型となる核酸断片の塩基配列上においてプライマー(1)、(2)、(3)の3’末端側部分(プライマーが鋳型核酸とアニールする部分)と実質的に相同な塩基配列よりも3’末端側に存在するそれぞれの配列と実質的に相同である。
以下に示す反応液の組成で、60℃、60分反応させることで増幅反応を実施した。酵素は、NEB社のBst.DNA polymeraseを使用した。
<反応液の組成>
10×Bst Buffer(DF) 1.0μL
100mM MgSO4 0.6μL
10%(v/v) Tween20 0.1μL
100% DMSO 0.5μL
25mM dNTP each 0.56μL
SYBR GreenI(2000倍希釈) 0.2μL
50μM primer(1)又は(2)又は(3) 0.64μL
50μM primer(4) 0.64μL
Bst. Polymerase 0.4μL
1)で得た核酸断片試料 3.0ng
精製水 4.96μL
10.0μL
前記(2)における増幅反応を、リアルタイム蛍光検出装置(Mx3000p,Stratagene社製)を用いて蛍光検出を行った。結果を図5から7に示す。
3wt%のアガロースゲル、0.5xTBEバッファー(50mM Tris, 45mM Boric acid、0.5mM EDTA, pH8.4)を用い、100Vで60分の電気泳動を行った。結果を図8から10に示す。
増幅産物をNucleoSpin(登録商標) Extract II(MACHEREY-NAGEL製)精製し、TOPO TA Cloning Kit(Invitrogen製)を用いてベクターに組み込み、該ベクターにより大腸菌を形質転換した。形質転換した大腸菌を、アンピシリンを加えたLB培地中で培養した。
QIAprep Miniprep(Qiagen製)を使用して培養した大腸菌からプラスミドDNAを回収した。
回収したプラスミドDNAに対してシークエンスを行い、塩基配列を調べた。なお、シークエンスはABI PRISM 310 Genetic Analyzer(ABI社製)により行なった。プライマーにはM13 Reverse Primerを使用した。
M13 Reverse Primer
5'−CAGGAAACAGCTATGAC−3'(配列番号5)
シークエンスの結果、プライマー(1)とプライマー(4)の組み合わせよる増幅産物中には、以下の配列を有する核酸が存在することがわかった。
5'- CCACGACGTT CTTGCTGGCA CCCAATAGAA GCCATGCGCC GG -3'
3'- GGTGCTGCAA GAACGACCGT GGGTTATCTT CGGTACGCGG CC -5'
(42塩基対)(配列番号6)
5'- CCACGACGTT CTTGCTGGCA CCCAATAGAA GCCATGCGCC GGACCACGAC -3'
3'- GGTGCTGCAA GAACGACCGT GGGTTATCTT CGGTACGCGG CCTGGTGCTG -5'
5'- GTTCTTGCTG GCACCCAATA GAAGCCATGC GCCGG -3'
3'- CAAGAACGAC CGTGGGTTAT CTTCGGTACG CGGCC -5'
(85塩基対)(配列番号7)
5'- CCACGACGTT CTTGCTGGCA CCCAATAGAA GCCATGCGCC GGACCACGAC -3'
3'- GGTGCTGCAA GAACGACCGT GGGTTATCTT CGGTACGCGG CCTGGTGCTG -5'
5'- GTTCTTGCTG GCACCCAATA GAAGCCATGC GCCGGACCAC GACGTTCTTG -3'
3'- CAAGAACGAC CGTGGGTTAT CTTCGGTACG CGGCCTGGTG CTGCAAGAAC -5'
5'- CTGGCACCCA ATAGAAGCCA TGCGCCGG -3'
3'- GACCGTGGGT TATCTTCGGT ACGCGGCC -5'
(128塩基対)(配列番号8)
(1)の増幅産物は、2つのプライマーに挟まれる領域である。
(2)の増幅産物は、増幅産物同士がForward Primerの5'末端配列(Tag)とReverse Primerの5'末端側に存在する配列とのハイブリッド形成を介して生成された産物であり、“プライマーに挟まれる領域”+“Reverse PrimerとTag配列の間の配列”+“プライマーに挟まれた領域”という構造になっている。(以下、2倍体と表現する。)
(3)の増幅産物は、(2)の増幅産物と同様に、増幅産物同士がForward Primerの5'末端配列とReverse Primerの5'末端側の配列とのハイブリッド形成を介して生成された産物であり、“プライマーに挟まれる領域”+“Reverse PrimerとTag配列の間の配列”+“プライマーに挟まれた領域” +“Reverse PrimerとTag配列の間の配列”+“プライマーに挟まれた領域”という構造になっている。(以下、3倍体と表現する。)
5'- GGGACGAGTT CTTGCTGGCA CCCAATAGAA GCCATGCGCC GG -3'
3'- GGGACGAGAA GAACGACCGT GGGTTATCTT CGGTACGCGG CC -5'
(42塩基対)(配列番号9)
5'- GGGACGAGTT CTTGCTGGCA CCCAATAGAA GCCATGCGCC GGACCACGAC -3'
3'- CCCTGCTCAA GAACGACCGT GGGTTATCTT CGGTACGCGG CCTGGTGCTG -5'
5'- GTCACGCAGG AAAGGGACGA GTTCTTGCTG GCACCCAATA GAAGCCATGC -3'
3'- CAGTGCGTCC TTTCCCTGCT CAAGAACGAC CGTGGGTTAT CTTCGGTACG -5'
5'- GCCGG -3'
3'- CGGCC -5'
(105塩基対)(配列番号10)
5'- GGGACGAGTT CTTGCTGGCA CCCAATAGAA GCCATGCGCC GGACCACGAC -3'
3'- CCCTGCTCAA GAACGACCGT GGGTTATCTT CGGTACGCGG CCTGGTGCTG -5'
5'- GTCACGCAGG AAAGGGACGA GTTCTTGCTG GCACCCAATA GAAGCCATGC -3'
3'- CAGTGCGTCC TTTCCCTGCT CAAGAACGAC CGTGGGTTAT CTTCGGTACG -5'
5'- GCCGGACCAC GACGTCACGC AGGAAAGGGA CGAGTTCTTG CTGGCACCCA -3'
3'- CGGCCTGGTG CTGCAGTGCG TCCTTTCCCT GCTCAAGAAC GACCGTGGGT -5'
5'- ATAGAAGCCA TGCGCCGG -3'
3'- TATCTTCGGT ACGCGGCC -5'
(168塩基対)(配列番号11)
(1)の増幅産物は、2つのプライマーに挟まれる領域である。
(2)の増幅産物は、増幅産物同士がForward Primerの5'末端配列(Tag)とReverse Primerの5'末端側に存在する配列とのハイブリッド形成を介して生成された産物であり、2倍体である。
(3)の増幅産物は、(2)の増幅産物と同様に、増幅産物同士がForward Primerの5'末端配列とReverse Primerの5'末端側の配列とのハイブリッド形成を介して生成された産物であり、3倍体である。
5'- TGGGTGGTTT CTTGCTGGCA CCCAATAGAA GCCATGCGCC GG -3'
3'- ACCCACCAAA GAACGACCGT GGGTTATCTT CGGTACGCGG CC -5'
(42塩基対)(配列番号12)
5'- TGGGTGGTTT CTTGCTGGCA CCCAATAGAA GCCATGCGCC GGACCACGAC -3'
3'- ACCCACCAAA GAACGACCGT GGGTTATCTT CGGTACGCGG CCTGGTGCTG -5'
5'- GTCACGCAGG AAAGGGACGA GGTGTGGGTG GTTTCTTGCT GGCACCCAAT
3'- CAGTGCGTCC TTTCCCTGCT CCACACCCACCAAAGAACGAC CGTGGGTTA
5'- AGAAGCCATG CGCCGG -3'
3'- TCTTCGGTAC GCGGCC -5'
(116塩基対)(配列番号13)
5'- TGGGTGGTTT CTTGCTGGCA CCCAATAGAA GCCATGCGCC GGACCACGAC -3'
3'- ACCCACCAAA GAACGACCGT GGGTTATCTT CGGTACGCGG CCTGGTGCTG -5'
5'- GTCACGCAGG AAAGGGACGA GGTGTGGGTG GTTTCTTGCT GGCACCCAAT -3'
3'- CAGTGCGTCC TTTCCCTGCT CCACACCCAC CAAAGAACGA CCGTGGGTTA -5'
5'- AGAAGCCATG CGCCGGACCA CGACGTCACG CAGGAAAGGG ACGAGGTGTG -3'
3'- TCTTCGGTAC GCGGCCTGGT GCTGCAGTGC GTCCTTTCCC TGCTCCACAC -5'
5'- GGTGGTTTCT TGCTGGCACC CAATAGAAGC CATGCGCCGG -3'
3'- CCACCAAAGA ACGACCGTGG GTTATCTTCG GTACGCGGCC -5'
(190塩基対)(配列番号14)
(1)の増幅産物は、2つのプライマーに挟まれる領域である。
(2)の増幅産物は、増幅産物同士がForward Primerの5'末端配列(Tag)とReverse Primerの5'末端側に存在する配列とのハイブリッド形成を介して生成された産物であり、2倍体である。
(3)の増幅産物は、(2)の増幅産物と同様に、増幅産物同士がForward Primerの5'末端配列とReverse Primerの5'末端側の配列とのハイブリッド形成を介して生成された産物であり、3倍体である。
(1)ターゲット核酸断片を含む核酸試料液の調整
HumanGenomicDNA(Clontech社製)3.0ngを98℃で3min.加熱を行い、1本鎖にしたのち、β2AR遺伝子中の配列の増幅を以下の条件で行った。
プライマーは、β2AR遺伝子を標的に設計を行った。各プライマーの配列を以下に示す。
プライマー(5)(Forward5):
5'−TGGTCTTGCTGGCACCCAATA−3'(配列番号15)
プライマー(6)(Forward6):
5'−TGGGTGGTCTTGCTGGCACCCAATA−3'(配列番号16)
プライマー(7)(Forward7):
5'−TGGGTGGTGGGCCTTGCTGGCACCCAATA−3'(配列番号17)
プライマー(8)(Forward8):
5'−TGGGTGGTGGGCATCTTGCTGGCACCCAATA−3'(配列番号18)
プライマー(9)(Revesre2):
5'−TCCCTTTCCTGCGTGAC−3'(配列番号19)
ここで、プライマー(5)、(6)、(7)、(8)の5'末端には、鋳型となる核酸断片の塩基配列上においてプライマー(5)、(6)、(7)、(8)の3’末端側部分(プライマーが鋳型核酸とアニールする部分)と実質的に相同な塩基配列よりも3’末端側に存在する、それぞれ4塩基、8塩基、12塩基、14塩基の配列と実質的に相同な配列(Tag)が付加されている。
以下に示す反応液の組成で、60℃、60分反応させることで増幅反応を実施した。酵素は、NEB社のBst.DNA polymeraseを使用した。
<反応液の組成>
10×Bst Buffer(DF) 1.0μL
100mM MgSO4 0.6μL
10%(v/v) Tween20 0.1μL
100% DMSO 0.5μL
25mM dNTP each 0.56μL
SYBR GreenI(2000倍希釈) 0.2μL
50μM primer(1)又は(2)又は(3) 0.64μL
50μM primer(4) 0.64μL
Bst. Polymerase 0.4μL
1)で得た核酸断片試料 3.0ng
精製水 4.96μL
10.0μL
上記で得られた増幅産物について、3wt%のアガロースゲル、0.5xTBEバッファー(50mM Tris, 45mM Boric acid、0.5mM EDTA, pH8.4)を用い、100Vで60分の電気泳動を行った。結果を図12に示す。
第一のオリゴヌクレオチドプライマーの5’末端側に、鋳型となる核酸断片の塩基配列上において第二のオリゴヌクレオチドプライマーの塩基配列に対して実質的に相補的な塩基配列よりも3’末端側に存在する塩基配列を付加しない系での核酸の増幅反応を比較例として記述する。
HumanGenomicDNA(Clontech社製)3.0ngを前処理液(30mM NaOH、0.05% Tween20)とともに98℃で3min.加熱を行い、1本鎖にしたのち、β2AR遺伝子中の配列の増幅を以下の条件で行った。
プライマーは、β2AR遺伝子を標的に設計を行った。各プライマーの配列を以下に示す。
5'−CTTGCTGGCACCCAATA−3'(配列番号20)
プライマー(2)(Reverse):
5'− CCGGCGCATGGCTT−3'(配列番号4)
以下に示す反応液の組成で、60℃、60分反応させることで増幅反応を実施した。酵素は、NEB社のBst.DNA polymeraseを使用した。
<反応液の組成>
10×Bst Buffer(DF) 1.0μL
100mM MgSO4 0.6μL
10%(v/v) Tween20 0.1μL
100% DMSO 0.5μL
25mM dNTP each 0.56μL
SYBR GreenI(2000倍希釈) 0.2μL
50μM primer(1) 0.64μL
50μM primer(2) 0.64μL
Bst. Polymerase 0.4μL
1)で得た核酸断片試料液(3.0ng) 0.4μL
精製水 4.96μL
10.0μL
上記で得られた増幅産物について、3wt%のアガロースゲル、0.5xTBEバッファー(50mM Tris, 45mM Boric acid、0.5mM EDTA, pH8.4)を用い、100Vで60分の電気泳動を行った。結果を図14に示す。
若干の規則性はあるものの、基本的にスメア状の泳動パターンが得られた。即ち、高分子量形成反応の規則性が低いことがわかった。
Claims (15)
- 少なくとも1種のデオキシヌクレオチド3リン酸、少なくとも1種のDNAポリメラーゼ、少なくとも2種のオリゴヌクレオチドプライマー、及び鋳型となる核酸断片を含む反応溶液をインキュベートすることによって前記プライマーの3’末端を起点とするポリメラーゼ反応を行い、該核酸断片を増幅することを含む核酸の増幅方法であって、第一のオリゴヌクレオチドプライマーの5’末端側にタグ配列が付加されており、該タグ配列が、鋳型となる核酸断片の塩基配列上において、第一のオリゴヌクレオチドプライマーの3’末端側部分(第一のオリゴヌクレオチドが鋳型核酸とアニールする部分)と実質的に相同な配列の3’末端側に存在する塩基配列であることを特徴とする、核酸の増幅方法。
- 該タグ配列の3’末端の塩基が、鋳型となる核酸断片の塩基配列上において、第二のオリゴヌクレオチドプライマーの塩基配列に対して実質的に相補的な塩基配列よりも3’末端側に存在する塩基である、請求項1に記載の核酸の増幅方法。
- 第一のオリゴヌクレオチドプライマーの5’末端側に付加するタグ配列が、2塩基以上20塩基以下である、請求項1又は2に記載の核酸の増幅方法。
- 第一のオリゴヌクレオチドプライマーの5’末端側に付加するタグ配列が、鋳型となる核酸断片の塩基配列上において、第一のオリゴヌクレオチドプライマーの3’末端側部分(第一のオリゴヌクレオチドが鋳型核酸とアニールする部分)と実質的に相同な配列の3’末端側200塩基以内に存在する塩基配列である、請求項1から3の何れかに記載の核酸の増幅方法。
- 反応溶液が、少なくとも0.01%以上の界面活性剤をさらに含む、請求項1から4の何れかに記載の核酸の増幅方法。
- 界面活性剤が非イオン性界面活性剤である、請求項5に記載の核酸の増幅方法。
- 非イオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル系、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系から選ばれることを特徴とする請求項6に記載の方法
- 反応溶液が、2価の陽イオンをさらに含む、請求項1から7の何れかに記載の核酸の増幅方法。
- 反応溶液が、融解温度調整剤をさらに含む、請求項1から8の何れかに記載の核酸の増幅方法。
- 融解温度調整剤が、ジメチルスルホキシド、ベタイン、ホルムアミドもしくはグリセロール、またはこれらの2種以上の混合物である、請求項9に記載の核酸の増幅方法。
- 少なくとも1種のDNAポリメラーゼが、鎖置換機能を有するDNAポリメラーゼである、請求項1から10の何れかに記載の核酸の増幅方法。
- 少なくとも1種の鎖置換能を有するDNAポリメラーゼが、バチルス ステアロサーモフィラス由来の5’→3’エキソヌクレアーゼ欠損Bst.DNAポリメラーゼ、及びバチルスカルドテナックス由来の5’→3’エキソヌクレアーゼ欠損Bca DNAポリメラーゼ 、サーモコッカス リトラリス由来の5’→3’エキソヌクレアーゼ欠損Vent.DNAポリメラーゼ、アリサイクロバチルス アシドカルダリウス由来のDNAポリメラーゼからなる群より選択されるポリメラーゼである、請求項11に記載の方法。
- 核酸を増幅する工程が実質的に等温で行われる、請求項1から12の何れかに記載の核酸の増幅方法。
- 核酸を増幅する工程が50℃以上100℃以下で行われる、請求項13に記載の核酸の増幅方法。
- 核酸を増幅する工程が実質的に60分以内で行われる、請求項1から14の何れかに記載の核酸の増幅方法。
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