JP2009136092A - 電動車両の歯車打音軽減装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】t1にブレーキペダル踏力Bppを0にし、t2にアクセルペダルをアクセル開度APO一定となるよう踏み込む発進加速時に、APO対応の要求トルクTcと、モータトルク方向の噛合歯面間ギャップをなくす補助トルクTaとの大きい方をモータトルクTmとする。よって発進当初Tm=Taとなって歯車打音を軽減し得る。VSPの上昇につれTaがVSP=0時の最大値Tmaから漸減するため、発進後TmはVSPの上昇につれ低下する。Tm=Tcになるt3に至ると、Tmは通常制御によりAPO対応要求トルクTcと同じにされる。t2〜t3中、TcおよびTm間の差分トルクを前輪ブレーキユニットに指令してブレーキ力Tbを発生させることで、車両の駆動トルクはTcに一致し続け、運転者に違和感を与えることはない。
【選択図】図4
Description
これら電動モータおよび駆動車輪間における角速度変化のずれは、歯車伝動ユニットを構成する歯車組の噛合歯間ギャップを詰めた後において噛合歯同士の衝突音(歯車打音)を生じさせ、噛合歯同士の衝突に伴って電動モータの振動を惹起する。
停車状態に至った時は歯車組が後進方向において噛合歯間ギャップを持って相互に噛合していることとなる。
従って、停車後の発進が後進である場合、歯車組の噛合歯間ギャップを詰めた後に伝動が開始されることになり、この伝動開始時に歯車打音および電動モータの振動を惹起して、上記の問題解決を実現することができない。
運転者は、減速操作を行っているのに、操作通りの減速度が発生しないとか、逆に加速度が発生するといった違和感を覚える懸念がある。
電動モータからの回転を歯車伝動ユニットにより車輪に伝達して走行可能で、該車輪をブレーキユニットにより制動可能な電動車両を前提とし、
少なくとも前記電動モータの発生トルク方向における前記歯車伝動ユニットの噛合歯面間ギャップをなくすのに必要な補助トルクと、車両の運転状態に応じた要求トルクとの大きい方を電動モータの出力トルクとし、
車両の駆動トルクが前記要求トルクに一致するよう、この要求トルクおよびモータ出力トルク間の差分トルクを車両に制動力または駆動力として付加するよう構成したことを特徴とするものである。
電動モータにより歯車伝動ユニットを介し車輪を駆動しての走行中、電動モータの発生トルク方向における歯車伝動ユニットの噛合歯面間ギャップをなくすのに必要な補助トルクと、車両の運転状態に応じた要求トルクとの大きい方を電動モータの出力トルクとするから、
電動モータの出力トルクが補助トルクよりも小さくなることがなく、従って、歯車伝動ユニットが噛合歯面間ギャップのない状態で伝動を行うことができ、歯車打音や電動モータの振動を抑制することができる。
歯車打音や電動モータの振動を抑制するという目的で上記のごとく補助トルクおよび要求トルクの大きい方を電動モータの出力トルクとするモータ出力トルク制御を行っても、車両の駆動トルクを終始要求トルクに一致させ得ることとなり、運転者の操作を越えた加減速度変化を生じさせることがなく、加速中における加速が過大なものになるとか、減速中における減速が過大なものになるといった違和感を運転者に与える懸念を払拭することができる。
図1は、本発明の一実施例になる歯車打音軽減装置を具えた前輪駆動式電動車両のパワートレーン、およびその制御系を示し、
1は電動車両の車体、2FL,2FRは左右前輪、2RL,2RRは左右後輪、3Fは動力源としての電動モータ、4Fは歯車伝動ユニットとしてのディファレンシャルギヤ装置付きギヤボックスである。
電動モータ3Fの回転は、ギヤボックス4Fにより減速され、その後、ギヤボックス4F内の図示せざるディファレンシャルギヤ装置により、左右前輪2FL,2FRの駆動車軸5FL,5FRに分配出力され、これら車軸5FL,5FRにより左右前輪2FL,2FRが駆動されることで車両を走行させることができるものとする。
この駆動時における電動モータ3Fのモータ出力トルクは、モータコントローラ9がインバータ8Fを介して上記の交流電力を加減することにより制御するものとする。
モータコントローラ9は当該モータ出力トルク指令値を受信してインバータ8Fを制御することにより、当該インバータ8Fから電動モータ3Fへの交流電力を、モータ出力トルクが上記の指令値となるよう加減するものとする。
このためインバータ8Fには、電動モータ3Fのモータ回転数Nmを検出するモータ回転センサ11Fからの信号と、電動モータ3Fの温度を検出する温度センサ12Fからの信号とを入力する。
車速VSPを検出する車速センサ13からの信号と、
ステアリングホイール(図示せず)の操舵角θを検出する操舵角センサ14からの信号と、
アクセルペダル踏み込み量(アクセル開度)APOを検出するアクセル開度センサ15からの信号と、
ブレーキペダル(図示せず)の踏力Bppを検出するブレーキペダル踏力センサ16からの信号と、
運転者が希望する車両の運転モードに応じて操作するモードスイッチ17からの信号と、
車体1の鉛直軸線周りにおける回転運動情報であるヨーレートφを検出するヨーレートセンサ18からの信号と、
車体1の横加速度Gyを検出する横Gセンサ19からの信号と、
車体1の前後加速度Gxを検出する前後Gセンサ20からの信号とを入力する。
先ずステップS1において、上記した各センサの検出データを読み込み、次のステップS2では、歯車打音が発生してそれを軽減する制御が必要な歯車打音軽減制御範囲内での運転か否かをチェックする。
何れの補助トルクTaもモータ回転数Nm(車速VSP)の低下につれて大きくなり、これら補助トルクTaの変化特性を表す特性線により囲まれた領域が歯車打音軽減制御範囲である。
図3の第1象限における前進加速時の補助トルクTa、第2象限における後進加速時の補助トルクTa、第3象限における後進減速時の補助トルクTa、および、第4象限における前進減速時の補助トルクTaの何れも、モータ回転数Nm(車速VSP)の低下につれて大きくなり、モータ回転数Nm(車速VSP)=0の時における補助トルクTaの最大値Tma,Tmdは電動モータ3Fのトルク変動最大値よりも大きい。
従って、ステップS4でTc<Taに非ず、Tc≧Tasであると判定するときは、制御をステップS5に進め、通常の制御を実行して図2のループから離脱する。
ステップS6においては、ステップS4で対比した要求トルクTcおよび補助トルクTaのうち大きい方の補助トルクTaを電動モータ3Fの出力トルクTmとすべく、電動モータ3Fの出力トルクTmを変更するよう指令する。
つまり車両コントローラ10は、かように変更したモータ出力トルクTm=Taをモータコントローラ9に指令し、モータコントローラ9はインバータ8Fを介して電動モータ3Fの出力トルクTmを当該変更した値となるよう制御する。
あらゆる走行条件のもとで、歯車打音や電動モータの振動を抑制するという上記の作用効果を達成することができる。
歯車打音や電動モータの振動を抑制するという目的で上記のごとく補助トルクTaおよび要求トルクTcの大きい方を電動モータ3Fの出力トルクTmとするモータ出力トルク制御を行っても、車両の駆動トルクを終始要求トルクに一致させ得ることとなり、運転者の操作を越えた加減速度変化を生じさせることがなく、加速中における加速が過大なものになるとか、減速中における減速が過大なものになるといった違和感を運転者に与える上記の懸念を払拭することができる。
図4は、瞬時t1に踏み込み状態だったブレーキペダルを釈放してその踏力Bppを0にし、瞬時t2にアクセルペダルを踏み込んだ後アクセル開度APOを一定に保って、車両を停車状態から発進させる場合における発進加速時の動作タイムチャートである。
一方、瞬時t2の加速操作開始により車速VSPは図示のごとくに0から上昇するが、加速操作開始時t2では車速VSP=0であるため、モータ出力トルクTmは補助トルクTaの最大値Tma(図3参照)にされる。
そして、上記のごとく補助トルクTaと同じ値にされてきたモータ出力トルクTmがアクセル開度(APO)対応の要求トルクTcまで低下する瞬時t3に至ると、図2のステップS4がステップS6からステップS5へと選択を切り替える結果、モータ出力トルクTmは図示のごとくアクセル開度(APO)対応の要求トルクTcと同じにされる。
加速走行中における加速が、運転者の加速操作を越えた加速度変化を伴ったものになる違和感を回避することができる。
瞬時t3以後モータ出力トルクTmは図5に示すごとく制動側補助トルクTaに同じ値となる。
かかるモータ出力トルクTmの制動側への増大により歯車打音の軽減を図ることができる。
つまり、ステップS7では要求トルクTcおよびモータ出力トルクTm間の差分トルクを車両に駆動力(図5が減速時のタイムチャートであるため)として付加すべく、当該差分トルクを前輪ブレーキユニット6FL,6FRに指令するため、ブレーキ力Tbは図示のごとくモータ出力トルクTmの制動側への増大分だけ低下される。
減速走行中における減速が、運転者の減速操作を越えた減速度変化を伴ったものになる違和感を回避することができる。
図6に示す電動車両のパワートレーンにおいては、電動車両を全輪駆動車とするために、左右前輪2FL,2FRの駆動系を図1におけると同様な構成とし、左右後輪2RL,2RRも左右前輪と同様な系により駆動する構成にする。
電動モータ3Rは、車体1の後端に横置きに搭載し、その出力軸(図示せず)をギヤボックス4Rおよびその内部におけるディファレンシャルギヤ装置(図示せず)を介して左右後輪2RL,2RRの駆動車軸5RL,5RRに駆動結合する。
電動モータ3Rの回転は、ギヤボックス4Rにより減速され、その後、ギヤボックス4R内の図示せざるディファレンシャルギヤ装置により、左右後輪2RL,2RRの駆動車軸5RL,5RRに分配出力され、これら車軸5RL,5RRにより左右後輪2RL,2RRが駆動されることで、左右前輪2FL,2FRの駆動との共働により車両を走行させるものとする。
この駆動時における電動モータ3Rのモータ出力トルクは、モータコントローラ9がインバータ8Rを介して上記の交流電力を加減することにより制御するものとする。
モータコントローラ9は当該モータ出力トルク指令値を受信してインバータ8Rを制御することにより、当該インバータ8Rから電動モータ3Rへの交流電力を、モータ出力トルクが上記の指令値となるよう加減するものとする。
このためインバータ8Rには、電動モータ3Rのモータ回転数Nmを検出するモータ回転センサ11Rからの信号と、電動モータ3Rの温度を検出する温度センサ12Rからの信号とを入力する。
つまり、前輪駆動系および後輪駆動系に対する前記モータ出力トルク制御および差分トルク付加制御の結果、前輪電動モータ3Fおよび後輪電動モータ3Rの少なくとも一方のモータ出力トルクTmが補助トルクTa未満となる場合は、
前輪電動モータ3Fおよび後輪電動モータ3Rのうち何れか一方のモータ出力トルクを、モータ回転数対応の制動側補助トルクとし、他方のモータ出力トルクを、モータ回転数対応の駆動側補助トルクとし、
即ち前後輪電動モータ3F,3R間で相互逆向きの補助トルク対応のトルクを発生させ、これにより、前輪駆動系および後輪駆動系の双方で歯車打音軽減効果が達成されるようになす。
そこで本実施例においては、減速運転中であれば前後輪電動モータ3F,3Rのうち制動側電動モータの出力トルクに要求トルクTcを加算することにより、また、加速運転中であれば前後輪電動モータ3F,3Rのうち駆動側電動モータの出力トルクに要求トルクTcを加算することにより、車両の駆動トルクを要求トルクTcに一致させる。
かかるトルクの加算により、上記のモータ出力トルク制御による歯車打音軽減制御によっても、前後輪でモータ出力トルクが相殺されることなく、要求トルクTcを発生させることができ、運転操作と異なる加減速の発生に伴う違和感をなくすことができる。
しかし、ブレーキユニットの作動は低応答で、制御精度が悪いため、制動側電動モータの出力トルクに要求トルクTcを加算して行うモータ出力トルク制御の方が好ましいのは勿論である。
図7に示す電動車両のパワートレーンにおいては、全輪を個別に駆動するために、
左右前輪2FL,2FRの動力源として電動モータ3FL,3FR、また歯車伝動ユニットとしてギヤボックス4FL,4FR を設け、
左右後輪2RL,2RRの動力源として電動モータ3RL,3RR、また歯車伝動ユニットとしてギヤボックス4RL,4RR を設ける。
電動モータ3FRは、その出力軸(図示せず)をギヤボックス4FRを介して右前輪2FRに駆動結合し、
電動モータ3RLは、その出力軸(図示せず)をギヤボックス4RLを介して左後輪2RLに駆動結合し、
電動モータ3RRは、その出力軸(図示せず)をギヤボックス4RRを介して右後輪2RRに駆動結合する。
電動モータ3FRの回転はギヤボックス4FRにより減速されて右前輪2FRの駆動に供され、
電動モータ3RLの回転はギヤボックス4RLにより減速されて左後輪2RLの駆動に供され、
電動モータ3RRの回転はギヤボックス4RRにより減速されて右後輪2RRの駆動に供され、
これら左右前輪2FL,2FRおよび左右後輪2RL,2RRの全輪が個別に駆動されて車両を走行させるものとする。
この駆動時における電動モータ3FL,3FR,3RL,3RRのモータ出力トルクは、共通なモータコントローラ9がインバータ8FL,8FR,8RL,8RRを介して上記の交流電力を加減することにより制御するものとする。
この共通なモータコントローラ9は、当該モータ出力トルク指令値を受信して個々のインバータ8FL,8FR,8RL,8RRを制御することにより、当該インバータ8FL,8FR,8RL,8RR から電動モータ3FL,3FR,3RL,3RR への交流電力を、モータ出力トルクが上記の指令値となるよう加減するものとする。
このためインバータ8FL,8FR,8RL,8RR には、電動モータ3FL,3FR,3RL,3RR のモータ回転数Nm(簡便のため同じ符号で示した)を検出するモータ回転センサ11FL,11FR,11RL,11RR からの信号を入力する。
しかし、本実施例のように各車輪2FL,2FR,2RL,2RRの制駆動系が全く独立した電動車両にあっては、図3の歯車打音軽減制御範囲内における運転状態にあるとき、各車輪の電動モータ3FL,3FR,3RL,3RR の全てが共に補助トルクTa以上の出力トルクを発生する運転条件でないと、各車輪のギヤボックス4FL,4FR,4RL,4RR の全てで前記した歯車打音軽減効果を発揮し得ない。
つまり、各車輪の駆動系に対する前記モータ出力トルク制御および差分トルク付加制御の結果、電動モータ3FL,3FR,3RL,3RR の1つでも補助トルクTa以上の出力トルクを発生し得ない場合は、
一方の対角位置にある車輪(左前輪および右後輪、または、右前輪および左後輪)の電動モータのモータ出力トルクをそれぞれモータ回転数対応の制動側補助トルクとし、他方の対角位置にある車輪(右前輪および左後輪、または、左前輪および右後輪)の電動モータのモータ出力トルクをそれぞれモータ回転数対応の駆動側補助トルクとし、
即ち、一方の対角位置にある車輪用の電動モータと、他方の対角位置にある車輪用の電動モータとの間で相互逆向きの補助トルク対応のトルクを発生させ、これにより、各車輪2FL,2FR,2RL,2RRの全てで歯車打音軽減効果が達成されるようになす。
そこで本実施例においては、減速運転中であれば電動モータ3FL,3FR,3RL,3RRのうち制動側電動モータの出力トルクに要求トルクTcを加算することにより、また、加速運転中であれば駆動側電動モータの出力トルクに要求トルクTcを加算することにより、車両の駆動トルクを要求トルクTcに一致させる。
かかるトルクの加算により、上記のモータ出力トルク制御による歯車打音軽減制御によっても、全輪に係わるモータ出力トルクが相殺されることなく、要求トルクTcを発生させることができ、運転操作と異なる加減速の発生に伴う違和感をなくすことができる。
しかし、ブレーキユニットの作動は低応答で、制御精度が悪いため、制動側電動モータの出力トルクに要求トルクTcを加算して行うモータ出力トルク制御の方が好ましいのは言うまでもない。
ステップS4で要求トルクTcが補助トルクTaよりも小さい(Tc<Ta)と判定した時、つまり、歯車打音が発生してそれを軽減する制御が必要である時、ステップS11において車速VSP=0の停車状態か否かを、また、ステップS12においてブレーキユニットが作動された制動状態か否かをそれぞれチェックする。
ステップS11およびステップS12において、車速VSP=0の停車状態で、且つ、ブレーキユニットを作動させた制動状態であると判定した場合、つまり、発進意志のない停車状態であると判定した場合は、制御をステップS13に進めてステップS6およびステップS7を実行しないこととし、このステップS13において上記の歯車打音軽減制御を停止させる。
本実施例のように発進意志のない停車状態で歯車打音軽減制御を停止させることにより、無駄な歯車打音軽減制御を行わせないようにすることができ、無駄に電動モータが出力トルク制御されてエネルギーが浪費されるのを回避することができる。
ステップS4で要求トルクTcが補助トルクTaよりも小さい(Tc<Ta)と判定した時、つまり、歯車打音が発生してそれを軽減する制御が必要である時、ステップS11において車速VSP=0の停車状態か否かを、また、ステップS14において駐車ブレーキが作動されたり、駐車(P)レンジが選択されている駐車状態か否かをそれぞれチェックする。
ステップS11およびステップS14において、車速VSP=0で、且つ、駐車状態であると判定した場合は、制御をステップS13に進めてステップS6およびステップS7を実行しないこととし、このステップS13において上記の歯車打音軽減制御を停止させる。
本実施例のように駐車状態で歯車打音軽減制御を停止させることにより、無駄な歯車打音軽減制御を行わせないようにすることができ、無駄に電動モータが出力トルク制御されてエネルギーが浪費されるのを回避することができる。
ステップS4で要求トルクTcが補助トルクTaよりも小さい(Tc<Ta)と判定した時、つまり、歯車打音が発生してそれを軽減する制御が必要である時、ステップS15においてバッテリ7の蓄電状態SOC(持ち出し可能電力)が設定値SOCs未満に低下したか否かをチェックする。
ステップS15でバッテリ蓄電状態SOCが設定値SOCs未満に低下したと判定するまでの間は、車両の走行距離が問題になることがないから、ステップS6でのモータ出力トルク制御およびステップS7での差分トルク付加制御を介した前記歯車打音軽減制御を実行する。
制御をステップS13に進めてステップS6およびステップS7を実行しないこととし、このステップS13において上記の歯車打音軽減制御を停止させる。
よって本実施例によれば、車両の走行距離が問題になるほど短くなるバッテリ蓄電状態SOCであるのに歯車打音軽減制御(モータ出力トルク制御)を強行してしまう愚を避けることができ、走行距離の確保を優先させた歯車打音軽減制御を具現化することができる。
ステップS4で要求トルクTcが補助トルクTaよりも小さい(Tc<Ta)と判定した時、つまり、歯車打音が発生してそれを軽減する制御が必要である時、ステップS11において車速VSP=0の停車状態か否かを、また、ステップS16において前進自動変速(D)レンジまたは後進走行(R)レンジが選択されているか否かをそれぞれチェックする。
ステップS6でのモータ出力トルク制御およびステップS7での差分トルク付加制御を介した前記歯車打音軽減制御を実行する。
かようにすることで歯車打音軽減制御が、走行中とか、走行(Dレンジ、または、Rレンジ)を選択してブレーキを非作動にした発進操作時のように、歯車打音軽減制御を必要とする状態の時に限り実行することとなり、バッテリの消費を最小限にすることができる。
本実施例のように非走行レンジ選択中の停車状態において歯車打音軽減制御を停止させることにより、無駄な歯車打音軽減制御を行わせないようにすることができ、無駄に電動モータが出力トルク制御されてエネルギーが浪費されるのを回避することができる。
図12(b) に示す電動車両は、左右前輪を2FL,2FRを共通なエンジン21および電動モータ3Fにより、トランスアクスル22((歯車伝動ユニット))および車軸5FL,5FRを介して駆動するようにした前輪駆動式の電動車両である。
図12(d) に示す電動車両は、左右後輪2RL,2RRをこれら左右後輪内における個々の電動モータ3RL,3RR により駆動するようにした後輪駆動式の電動車両である。
なお図示しなかったが、左右後輪2RL,2RRと電動モータ3RL,3RRとの間は、図7におけるギヤボックス4RL,4RRと同様なギヤボックスを介して駆動結合する。
なお図示しなかったが、左右前輪2FL,2FRと電動モータ3FL,3FRとの間は、図7におけるギヤボックス4FL,4FRと同様なギヤボックスを介して駆動結合する。
図12(f) に示す電動車両は、左右後輪2RL,2RRを車体上における個々の電動モータ3RL,3RR により車軸5RL,5RRを介して駆動するようにした後輪駆動式の電動車両である。
なお図示しなかったが、左右後輪車軸5RL,5RR と電動モータ3RL,3RRとの間は、図7におけるギヤボックス4RL,4RRと同様なギヤボックスを介して駆動結合する。
なお図示しなかったが、左右前輪車軸5FL,5FR と電動モータ3FL,3FRとの間は、図7におけるギヤボックス4FL,4FRと同様なギヤボックスを介して駆動結合する。
なお図示しなかったが、左右前輪車軸5FL,5FR と電動モータ3FL,3FRとの間は、図7におけるギヤボックス4FL,4FRと同様なギヤボックスを介して駆動結合し、左右後輪車軸5RL,5RR と電動モータ3RL,3RRとの間は、図7におけるギヤボックス4RL,4RRと同様なギヤボックスを介して駆動結合する。
左右後輪2RL,2RRを図12(d)におけると同様な後輪駆動系により、つまり、個々の電動モータ3RL,3RR により、図7におけるギヤボックス4RL,4RRと同様なギヤボックスを介して駆動するようにした全輪駆動式の電動車両である。
2 車輪
3 電動モータ
4 ギヤボックス(歯車伝動ユニット)
5 車軸
6 ブレーキユニット
7 バッテリ
8 インバータ
9 モータコントローラ
10 車両コントローラ
11 モータ回転センサ
12 モータ温度センサ
13 車速センサ
14 操舵角センサ
15 アクセル開度センサ
16 ブレーキペダル踏力センサ
17 モードスイッチ
18 ヨーレートセンサ
19 横Gセンサ
20 前後Gセンサ
21 エンジン
22 トランスアクスル(歯車伝動ユニット)
Claims (15)
- 電動モータからの回転を歯車伝動ユニットにより車輪に伝達して走行可能で、該車輪をブレーキユニットにより制動可能な電動車両において、
少なくとも前記電動モータの発生トルク方向における前記歯車伝動ユニットの噛合歯面間ギャップをなくすのに必要な補助トルクと、車両の運転状態に応じた要求トルクとの大きい方を電動モータの出力トルクとし、
車両の駆動トルクが前記要求トルクに一致するよう、この要求トルクおよびモータ出力トルク間の差分トルクを車両に制動力または駆動力として付加するよう構成したことを特徴とする電動車両の歯車打音軽減装置。 - 請求項1に記載の歯車打音軽減装置において、
前記差分トルクを車両に制動力として付加する差分トルク付加制御を、前記ブレーキユニットの作動により行うよう構成したことを特徴とする電動車両の歯車打音軽減装置。 - 電動車両が、前後輪をそれぞれ個々の前輪電動モータおよび後輪電動モータにより駆動されて走行可能で、これら前輪電動モータおよび後輪電動モータに対し個々に、前記モータ出力トルク制御および前記差分トルク付加制御を行うものである、請求項1に記載の歯車打音軽減装置において、
前記前輪電動モータおよび後輪電動モータに対するモータ出力トルク制御および差分トルク付加制御の結果、これら前輪電動モータおよび後輪電動モータの少なくとも一方のモータ出力トルクが前記補助トルク未満となる場合、前記前輪電動モータおよび後輪電動モータの一方のモータ出力トルクをモータ回転数対応の制動側補助トルクとし、他方のモータ出力トルクをモータ回転数対応の駆動側補助トルクとし、
減速運転中ならこれら電動モータのうち制動側電動モータの出力トルクに前記要求トルクを加算することにより、また、加速運転中なら駆動側電動モータの出力トルクに前記要求トルクを加算することにより、車両の駆動トルクを前記要求トルクに一致させるよう構成したことを特徴とする電動車両の歯車打音軽減装置。 - 請求項3に記載の歯車打音軽減装置において、
前記制動側電動モータの出力トルクに前記要求トルクを加算する代わりに、制動側電動モータに係わる車輪のブレーキユニットを作動させることにより、車両の駆動トルクを前記要求トルクに一致させるよう構成したことを特徴とする電動車両の歯車打音軽減装置。 - 電動車両が、各車輪を個々の電動モータにより駆動されて走行可能で、これら各電動モータに対し個々に、前記モータ出力トルク制御および前記差分トルク付加制御を行うものである、請求項1に記載の歯車打音軽減装置において、
前記各電動モータに対する前記モータ出力トルク制御および差分トルク付加制御の結果、これら電動モータの少なくとも1のモータ出力トルクが前記補助トルク未満となる場合、一方の対角位置にある車輪の電動モータのモータ出力トルクをそれぞれモータ回転数対応の制動側補助トルクとし、他方の対角位置にある車輪の電動モータのモータ出力トルクをそれぞれモータ回転数対応の駆動側補助トルクとし、
減速運転中ならこれら電動モータのうち制動側電動モータの出力トルクに前記要求トルクを加算することにより、また、加速運転中なら駆動側電動モータの出力トルクに前記要求トルクを加算することにより、車両の駆動トルクを前記要求トルクに一致させるよう構成したことを特徴とする電動車両の歯車打音軽減装置。 - 請求項5に記載の歯車打音軽減装置において、
前記制動側電動モータの出力トルクに前記要求トルクを加算する代わりに、制動側電動モータに係わる車輪のブレーキユニットを作動させることにより、車両の駆動トルクを前記要求トルクに一致させるよう構成したことを特徴とする電動車両の歯車打音軽減装置。 - 請求項1〜6のいずれか1項に記載の歯車打音軽減装置において、
前記モータ出力トルク制御および差分トルク付加制御を低車速領域でのみ実行するよう構成したことを特徴とする電動車両の歯車打音軽減装置。 - 請求項7に記載の歯車打音軽減装置において、
前記モータ出力トルク制御および差分トルク付加制御を実行する低車速領域の上限車速に対応する電動モータの上限回転数は、車輪の回転角速度と電動モータの角速度変化量との比が、電動モータ1回転あたりのロータ部におけるギヤの歯数比以下となるものであることを特徴とする電動車両の歯車打音軽減装置。 - 請求項7または8に記載の歯車打音軽減装置において、
前記補助トルクが低車速ほど大きいものであることを特徴とする電動車両の歯車打音軽減装置。 - 請求項1〜9のいずれか1項に記載の歯車打音軽減装置において、
前記補助トルクの最大値が前記電動モータのトルク変動最大値よりも大きいものであることを特徴とする電動車両の歯車打音軽減装置。 - 請求項1〜10のいずれか1項に記載の歯車打音軽減装置において、
前記補助トルクの設定範囲を電動モータの回転イナーシャおよびモータトルク変動に応じて定めたことを特徴とする電動車両の歯車打音軽減装置。 - 請求項1〜11のいずれか1項に記載の歯車打音軽減装置において、
前記モータ出力トルク制御および差分トルク付加制御を停車時は実行しないよう構成したことを特徴とする電動車両の歯車打音軽減装置。 - 請求項1〜12のいずれか1項に記載の歯車打音軽減装置において、
運転者による駐車意志を表す操作があるとき、前記モータ出力トルク制御および差分トルク付加制御を実行しないよう構成したことを特徴とする電動車両の歯車打音軽減装置。 - 請求項1〜13のいずれか1項に記載の歯車打音軽減装置において、
前記電動モータのバッテリ蓄電状態が設定値未満である間、前記モータ出力トルク制御および差分トルク付加制御を実行しないよう構成したことを特徴とする電動車両の歯車打音軽減装置。 - 請求項1〜14のいずれか1項に記載の歯車打音軽減装置において、
運転者による車両発進意志を表す操作があるとき、前記モータ出力トルク制御および差分トルク付加制御を開始させるよう構成したことを特徴とする電動車両の歯車打音軽減装置。
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