JP2009133825A - 赤外線撮像素子およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明に係る赤外線撮像素子は、検出部とその検出部上に結合部を介して検出部から離間されて支持された赤外線吸収部と、検出部を支持する支持脚とを備えた画素を半導体基板上に二次元状に配列配置した熱型の赤外線撮像素子であって、その画素列に隣接して設けられた入射赤外線を遮蔽する構造を備えた画素の基準信号を発生する参照画素を有し、画素と参照画素の各検出部はそれぞれ支持脚を介して半導体基板と接続されたことを特徴とするものである。
かかる構成により、画素信号の読出し動作に伴う自己発熱のため、参照画素と画素との出力に著しい差が生じることはなく、参照画素の出力が理想的な基準電圧になる。
【選択図】 図3
Description
また、パッケージ上に入射赤外線を遮る遮光板を設け、遮光された部分を参照画素としていたものもあった(例えば、特許文献2参照。)。
図1は、本実施の形態1に係る赤外線撮像素子の概略構成を示す斜視図である。図2は、図1中のIIで示した部分を拡大した平面図であって、隣接する画素10と参照画素11をそれぞれ1画素ずつ抜出して拡大した平面図である。図3は、図2中に示すIII-III断面を矢印方向に見た断面図で、隣り合う画素10および参照画素11の断面図を示した模式図である。図4は、図3中に示すIV-IV断面を矢印方向に見た平面図であって、図1中のIIで示した部分面を拡大した部分を平面視した模式図である。同じく、図5は、図3中に示すV-V断面を矢印方向に見た平面図であって、図1中のIIで示した部分面を拡大した部分を平面視した模式図である。
図1において、赤外線撮像素子は、画素10、参照画素11、水平走査回路2、垂直走査回路3、出力アンプ4、等により構成さている。また、画素10は、光学系(図示せず。)によって像が結像する基板上の領域(以下、撮像領域という)に2次元アレイ状に配列されている。さらに、配列配置された画素10の外側の列であって、垂直走査回路3寄りの最外周に参照画素11が配置されている。画素10及び参照画素11の出力信号は、それぞれ垂直選択線5及び信号線6を通じて水平走査回路2と垂直走査回路3とにより読み出され、出力アンプ4より素子外部へ出力される。
赤外線撮像素子は、SOI(Silicon On Insulator)基板の埋め込み酸化膜(図示せず。以下、BOX酸化膜という)の上に作製されたSOIダイオードを検出部16とした構成である。SOIダイオードは熱を電気信号へ変換する機能を有する。また、BOX酸化膜の下のSi基板12は、部分的にエッチングにより空洞部18が形成されており、支持脚17を介してSi基板12から検出部16が離間されて支持されている。そのため、検出部16からSi基板12への熱伝導を低減する構造となっている。したがって、画素10では素子へ入射する赤外線によって断熱構造体上の検知部分の温度が上昇し、その温度上昇を熱電気変換素子で検出し、電気信号として出力することが可能となる。なお、この構造はマイクロマシニング技術を用いて作製される。例えば支持脚17は窒化チタンからなる配線と酸化珪素からなる誘電体層を積層したものから構成されている。また、誘電体層は主に支持脚17の剛性を向上するために用いられている。
したがって、撮像領域の中心付近に位置する画素10と参照画素11と隣接する画素10とがほぼ同一形状の赤外線吸収部13を有することになるので、入射赤外光に対する開口率はほぼ等しくなる。そのため、撮像領域の全般に渡り信号出力特性を均一にできる。
また、素子の上方に別に設置した遮光体を形成していないため、素子の大型化や、素子作製のために煩雑な手法を用いる必要もない。
まず、半導体素子の製造に常用される汎用の製造工程を経て水平走査回路2、垂直走査回路3、出力アンプ4、温度を検出する検出部16等の信号処理回路、および、支持脚17等を作製する。これらの工程までは画素10と参照画素11とでは作製パターンや工程など特に差異はない。上述の工程までの出来上がり状態は、基板を平面視して画素部分を拡大して見ると図5に示された状態になっている。
上述した信号処理回路等の上に有機材料からなる第1の犠牲層を形成する。支持脚17の周囲に配置された垂直選択線5と信号線6の一方か両者の少なくとも一部分の上には第1の犠牲層を形成しないようにパターニングする。こうすることにより、犠牲層の無い部分には次に積層する赤外反射体21が基板側と接合されることになり、後の工程で犠牲層が除去されても赤外反射体21を基板側から支持することができる。犠牲層のパターニングはフォトレジストを第1の犠牲層として用いたときのリソグラフィによる形成でも可能であり、エッチング加工や全面形成したのちにポリッシング加工で信号線6上に形成されているSi酸化膜26を露出させる方法でも可能である。次に、第1の犠牲層を硬化させる。
開口の方法は、誘電体や金属膜を用いたハードマスクによるエッチング工程でも可能であるが、より簡便には、フォトレジストを第2の犠牲層として用い、リソグラフィによって形成してもよい。なお、リソグラフィによる形成方法では、第1の犠牲層の形成時にも画素10のみに結合部14に相当する箇所を開口しておく。
上述の実施の形態1では画素の断熱特性がほぼ等しい形態を説明したが、更に検出部16の熱容量もほぼ等しくした形態を以下説明する。
上述の実施の形態1では画素10と参照画素11の断熱特性と吸熱特性の両方が同一となる例を示したが、参照画素11については吸熱性が無くてもよい。しかし、参照画素11にも検知部16があるので、入射赤外線を遮蔽するなんらかの構造を検知部16の上部に設ける必要がある。本実施の形態では係る構造について以下説明する。
Claims (7)
- 温度を検出する検出部と、該検出部上に結合部を介して前記検出部から離間されて支持された入射赤外線を吸収して熱に変換する赤外線吸収部と、前記検出部を半導体基板より離して保持する支持脚とを備えた画素を前記半導体基板上に二次元状に配列配置した熱型の赤外線撮像素子であって、
前記二次元配置された画素列に隣接して設けられた前記画素で発生する信号の基準となる基準信号を発生する参照画素を有し、
前記参照画素は、前記検出部と、該検出部を前記半導体基板より離して保持する前記支持脚と、入射赤外線から前記検出部を遮蔽する反射体とを備え、該反射体は前記半導体基板の表面に堆積された層の一部であって検出部の上方に前記検出部から離間されて保持されたことを備えたことを特徴とする赤外線撮像素子。 - 熱型の赤外線撮像素子であって、
温度に応じた信号を発生する検出部と、該検出部上に結合部を介して前記検出部から離間されて支持された入射赤外線を吸収して熱に変換する赤外線吸収部と、前記検出部を半導体基板より離して保持する支持脚とによって構成された画素が前記半導体基板上に2次元状に配列された撮像領域と、
前記検出部と、該検出部を前記半導体基板より離して保持する前記支持脚と、前記半導体基板の表面に堆積された積層の一部であって前記検出部の上方に配置され入射赤外線から前記検出部を遮蔽する積層体とによって構成された参照画素が前記画素領域に隣接して配置された参照画素の画素群と、を備えた赤外線撮像素子。 - 参照画素は画素が備える赤外線吸収部と同一形状の赤外線吸収部を有し、
該赤外線吸収部は結合部を介して反射体と結合された請求項1または2に記載の赤外線撮像素子。 - 参照画素は赤外線吸収部の上部に入射赤外線を遮光する遮光体を有した請求項3に記載の赤外線撮像素子。
- 参照画素の検知部は、検知部の熱容量を調整するための熱容量調整体を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の赤外線撮像素子。
- 二次元配置された画素列の配列と画素列に隣接して設けられた参照画素の配列とが等しい間隔で配列されていることを特徴とする請求項1または2に記載の赤外線撮像素子。
- 温度を検出する検出部と、該検出部上に結合部を介して前記検出部から離間されて支持された入射赤外線を吸収して熱に変換する赤外線吸収部と、前記検出部をシリコン基板より離して保持する支持脚とを備えた画素を前記シリコン基板上に二次元状に配列配置し、前記画素と同じ検出部と支持脚とを備えた参照画素であって前記画素で発生する信号の基準となる基準信号を発生する参照画素を前記配列配置した画素列の外側に隣接して配置した熱型の赤外線撮像素子の製造方法において、
前記シリコン基板上に、前記検知部、前記支持脚と信号処理回路を形成する工程と、
前記検知部と前記支持脚上に第1の犠牲層を形成する工程と、
前記第1の犠牲層と前記シリコン基板とを覆う反射体となる層を形成する工程と、
前記画素に対しては、前記反射体となる層のうち、のちに結合部を貫通させる穴となる領域であって前記検知部の上部にある前記反射体となる層に開口部を形成する工程と、
前記反射体上に第2の犠牲層を形成する工程と、
前記画素に対しては、前記第2の犠牲層のうち、のちに前記赤外線吸収部と前記検出部とを結合する結合部を形成する領域であって前記画素の前記検知部の一部分の領域の上部にある前記第1及び第2の犠牲層を除去したのち、除去した部分に前記結合部となる材料を埋め込む工程と、
前記参照画素に対しては、前記第2の犠牲層のうち、のちに前記赤外線吸収部と前記反射体とを結合する参照画素の結合部を形成する領域であって前記参照画素の前記検知部の上部にある前記第2の犠牲層を除去したのち、除去した部分に参照画素の結合部となる材料を埋め込む工程と、
前記第2の犠牲層およびそれぞれの前記結合部の上に赤外線吸収部となる薄膜を形成し、前記画素および前記参照画素ごとに赤外線吸収部が分離されるようにパターニングする工程と、
前記検知部および前記支持脚の下部の前記シリコン基板をエッチングしてシリコン基板中に空洞部を形成する工程と、
前記第1及び第2の犠牲層をエッチングして除去する工程とを含む、
赤外線撮像素子の製造方法。
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