JP2009132970A - 金属粒子の造粒方法および溶融塩中の金属粒子の分離方法 - Google Patents

金属粒子の造粒方法および溶融塩中の金属粒子の分離方法 Download PDF

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Abstract

【課題】金属粒子を含有する溶融塩中の金属粒子を簡単な構成の装置で効率良く造粒する方法を提供する。
【解決手段】金属粒子を含有する溶融塩を、Re=ρuD/μで定義されるレイノルズ数(Re)が2,000以上となる領域を構成するように管の内部に流通させることによって造粒する。ただし、ρ:溶融塩密度[kg/m3]、u:平均流速[m/s]、D:管内径[m]、μ:溶融塩粘度[Pa・s]である。例えば反応容器9内でのTiCl4のCaによる還元反応により生成したTi粒子を含有する溶融塩を、反応容器9および反応容器9と分離部10とを接続する配管4を含む管内に上記レイノルズ数となる領域を構成するように流通させる。上記造粒領域の上限レイノルズ数は300,000が望ましい。
【選択図】図3

Description

本発明は、溶融塩中の金属粒子の造粒方法および造粒した金属粒子を含有する溶融塩中の金属の分離方法に関する。
金属Tiの工業的な製法としては、TiCl4をMgにより還元するクロール法が一般的であり、この方法によれば高純度の製品を製造することが可能である。しかし、生成したTi粉が凝集した状態で沈降し、反応容器外へ回収することが困難であるため、操業をバッチ方式で行わざるを得ない。また、TiCl4が反応容器内の溶融Mg液の液面に上方から液体状で供給され、溶融Mg液の液面近傍だけで反応が行われるので、TiCl4の利用効率の低下を回避し、反応に伴う局所的な発熱を避けるため、TiCl4の供給速度が制限される。その結果、製造コストが嵩み、製品価格が非常に高くなる。
そのため、クロール法以外の金属Tiの製造方法に関して多くの研究開発がなされてきた。例えば、特許文献1には、反応容器内にCaCl2の溶融塩を保持し、その溶融塩中に上方から金属Ca粉末を供給して、溶融塩中にCaを溶け込ませるとともに、下方からTiCl4ガスを供給して、CaCl2の溶融塩中で溶解CaとTiCl4を反応させる方法が記載されている。しかし、金属Caの粉末が極めて高価であり、加えて、反応性が強いCaは取り扱いが非常に難しく、この方法は工業的な金属Ti製造法としては成立し得ない。
そこで、本発明者らは、Ca還元による金属Tiの製造方法を工業的に確立するには、TiCl4のCaによる還元が不可欠であり、還元反応で消費される溶融塩中のCaを経済的に補充する必要があると考え、溶融CaCl2の電気分解により生成するCaを利用するとともに、このCaを循環使用する方法、即ち「OYIK法(オーイック法)」を提案した(特許文献2および3参照)。
特許文献2では、電気分解によりCaが生成、補充され、Caリッチとなった溶融CaCl2を反応容器に導入し、Ca還元によるTi粒子の生成に使用する方法が記載され、特許文献3では、更に、陰極として合金電極(例えば、Mg−Ca電極)を用いることにより、電解に伴うバックリアクションを効果的に抑制する方法が示されている。バックリアクションとは、分離工程でTiが分離された後の溶融塩を電解槽に戻したときに、溶融塩中のCaと電気分解により生成した塩素との反応をいい、バックリアクションが生じると、電流効率が低下する。
特許文献2および3に記載された方法においては、いずれもTiCl4とCaとの反応により生成したTi粒子を溶融塩から分離する工程が含まれている。即ち、溶融CaCl2の電気分解によるCaの生成と、このCaによるTiCl4の還元(Ti粒子の生成)を連続して行うと同時に、生成したTi粒子の溶融CaCl2からの分離を連続的に且つ速やかに行うことが、前記OYIK法により連続的に金属Tiを製造するに際し極めて重要である。
特許文献4では、反応還元炉において生成したTi粒子を溶融塩から分離する方法として、高温デカンターが用いられている。しかし、本発明者らの実験によると、高温デカンターを用いて分離した場合のTiの回収率は40%程度と低いため、回収率を高める方法が求められている。
本発明者らは、反応還元炉において生成した溶融塩中のTi粒子が微細であることが、この回収率の低さの一因であると考え、溶融塩中のTi粒子の粒径を増大させる方法を検討した。この粒径を増大させる操作または処理をここでは「造粒」という。生成したTi粒子の粒径を増大させることができればTi粒子は溶融塩中を沈降しやすくなり、前述の問題の解決に向けた大きな改善につながると考えられる。
従来から、造粒という操作は種々の目的で様々な方法により行われてきた。例えば、医薬の顆粒や錠剤、農薬や化学肥料などの粒状品を得るために、あるいは生産プロセスにおいて、ハンドリング性、焼結性などの良好なペレット、ブリケットなどの造粒物を得るために、粉状物(微粒子)から種々の形状を持った成型物とする造粒操作が行われている。また、造粒方法としては、一般に、湿らせた粉状物を、回転パンや回転ドラムを用いた転動、攪拌、振動などの作用により凝集現象を利用して顆粒や粒状物とする方法、乾燥した(または湿らせた)粉状物をロール間圧縮その他の機械的成形により粒状物等とする方法等が用いられている。
しかし、これらの造粒操作は、いずれも粉状物(微粒子)を大気中で所定の形状の成型物とするもので、溶融塩のような液体中で微粒子を凝集させ、造粒するものではない。
上述の通り、「造粒」とは、通常、顆粒およびその他の粒状品、ペレット、ブリケットおよびその他特定の形態の造粒物をつくる操作を指す。一方、本発明でいう「造粒」とは、溶融塩中で微細な粒子を合体(固着)させて粒径を増大させることを意味する。このため、微細な粒子を集合させて粒子を粗大化させるという点で両者間に差はないので、本発明でも「造粒」という用語を使用することとした。
米国特許第4820339号明細書 特開2005−133195号公報 特開2005−133196号公報 特開2007−239065号公報
前述の通り、本発明者らが提案した前記OYIK法では、生成したTi粒子の溶融塩からの分離を連続的に且つ速やかに行うことが極めて重要である。しかし、分離操作を行う前のTi粒子は非常に細かく、高温デカンターを用いた場合でも回収率は低く、生産速度が低下し製造コストが上昇する。
また、Ti粒子は溶融塩と混合した状態で生成し、しかもその濃度が低い。そのため、前記の溶解分離により溶融塩を除去する方法、または水洗により溶融塩を除去する方法などを使用すると、多量のエネルギーを要するので、製造コストの上昇は避けられない。
これらの問題は、生成したTi粒子を溶融塩から分離する前に造粒し、粒子の沈降を促進して分離の効率を高めることにより解決することが可能と考えられる。
本発明の目的は、溶融塩に含有されるTi粒子等の金属粒子を簡単な構成の装置で効率良く造粒する方法、および、Ti等の金属を安価に製造するため、この金属粒子の造粒方法で造粒した金属粒子を金属の製造プロセスにおける溶融塩中の金属粒子の濃縮・分離工程で適用し、生産性を向上させる方法を提供することにある。
上記の課題を解決するために、本発明者らは、溶融塩に含有される金属粒子同士の当該溶融塩中での造粒挙動について検討した。その結果、当該溶融塩を、下記(1)式で定義されるレイノルズ数(Re)が2,000以上となる領域を構成するように管の内部を流通させることによって、金属粒子同士を結合させ、溶融塩中で造粒できることを見出した(以下、溶融塩を「浴」ともいい、溶融塩の流れを「浴流れ」ともいう)。
Re=ρuD/μ …(1)
ただし、ρ:溶融塩密度[kg/m3]、u:平均流速[m/s]、D:管内径[m]、μ:溶融塩粘度[Pa・s]。
さらに、液体サイクロンを用いることにより、造粒した金属粒子を含有する溶融塩から、金属粒子を高率で回収し、分離し得ることを確認した。
本発明は、これらの知見に基づいてなされたもので、その要旨は、下記(1)の金属粒子の造粒方法および下記(2)の金属粒子の分離方法にある。
(1)管内を流通する溶融塩に含有される金属粒子を造粒する方法であって、前記管内に、上記(1)式で定義されるレイノルズ数Re(以下、単に「レイノルズ数」という場合、このレイノルズ数を指す)が2,000以上となる領域を構成して造粒することを特徴とする金属粒子の造粒方法。
前記(1)に記載の金属粒子の造粒方法において、前記管内に構成される造粒領域の上限レイノルズ数は300,000であることが望ましい。
前記(1)に記載の金属粒子の造粒方法において、前記管内に構成される造粒領域のレイノルズ数は4,000以上、100,000以下であることがさらに望ましい。
前記溶融塩において、密度および粘度はそれぞれ概ね一定であるため、上記(1)式で定義されるレイノルズ数を変化させるには、浴流れの速度の変更、溶融塩の流れる管の直径の変更が有効である。
前記(1)に記載の金属粒子の造粒方法において、前記溶融塩が、前記管内に構成される造粒領域を通過する時間が0.5秒以上、30秒以下であることが望ましい。
前記(1)に記載の金属粒子の造粒方法において、前記管内に構成される造粒領域における圧損が100Pa以上、100kPa以下であることが望ましい。
また、前記(1)に記載の前記金属粒子は、CaCl2を含有し且つCaが溶解している溶融塩中にTiCl4を添加することによって生成したTi粒子であってもよい。この場合、Ti粒子が生成した時点およびその後の溶融塩の流通する管内のレイノルズ数を2,000以上とすることにより、Ti粒子同士を結合させ、溶融塩中で造粒できる。
また、TiCl4に換えて、TiCl4を含む金属塩化物(V、Al、Cr等、Tiの合金成分となり得る金属の塩化物)を添加してもよい。これらの金属塩化物もTiCl4の還元と同時にCaにより還元されるため、この場合は金属粒子としてTi合金粒子が生成される。
(2)前記(1)に記載の金属粒子の造粒方法によって造粒した金属粒子を含有する前記溶融塩から、液体サイクロンによって金属粒子を分離することを特徴とする溶融塩中の金属粒子の濃縮方法。
本発明で規定する「造粒領域」とは、溶融塩が流通する管内に、造粒に最適なレイノルズ数になるように構成した領域をいう。
本発明の金属粒子の造粒方法によれば、金属粒子を含有する溶融塩中の金属粒子を簡単な構成の装置で効率良く造粒することができる。また、液体サイクロンを用いることによって、造粒した金属粒子を含有する溶融塩から高率で金属粒子を分離、回収することができる。
本発明の金属粒子の造粒方法は、管内を流通する溶融塩に含有される金属粒子を造粒する方法であって、前記管内に、上記(1)式で定義されるレイノルズ数が2,000以上となる領域を構成して造粒することを特徴とする金属粒子の造粒方法である。
ここでは、溶融塩としてCaCl2を含有し且つCaが溶解している溶融塩を対象とし、金属粒子として前記溶融塩にTiCl4を添加することによって生成したTi粒子を対象とする場合について、具体的に説明する。
Caが溶解しているCaCl2を含有する溶融塩にTiCl4を添加すると、TiCl4がCaによって還元されてTiが生成する。このように、溶融塩中で還元によって生成したTiは、例えば粒径150nm以下のサブミクロンの微細な粒子である。この微細な粒子は、還元反応の際に生じる還元熱で合体する。
さらに、この微細な粒子は、溶融塩の構成成分である分子の粒子への衝突に起因するブラウン運動によって粒子同士が接触(衝突)して凝集する。ただし、凝集によって粒径が増すにしたがって粒子のブラウン運動は緩慢となるため、ある程度以上への粒径の増大は期待できない。
溶融塩(浴)が、静止状態または層流をなす緩やかな流動状態では、Ti粒子の粒径の増大はブラウン運動による凝集で達せられる粒径(最大でも1〜3μm程度)にとどまる。しかし、本発明の金属粒子の造粒方法では、さらに「造粒」という操作を加えて粒径のさらなる増大を図る。
図1は、本発明の金属粒子の造粒方法において、金属粒子であるTi粒子のCa還元による生成から造粒を経て、溶融塩から金属粒子を分離するまでの過程を模式的に示す図である。図中に付記した粒径は、途中段階におけるTi粒子の粒径の目安を示したものである。
図1に示すように、生成したTi粒子は、還元熱やブラウン運動によって合体、凝集し、その後、凝集した各粒子が浴流れにしたがって運動する間における衝突による合体(これを「慣性力合体」という)が進行し、溶融塩からの分離に必要な粒径(望ましくは、20〜100μm)まで造粒が行われる。特に、造粒過程においては、衝突した粒子間で溶融塩が保有している熱による焼結が生じるので、慣性力合体が進行しやすい。
本発明の金属粒子の造粒方法で、金属粒子を含有する溶融塩を、レイノルズ数が2,000以上となる領域を構成するように管の内部を流通させるのは、管の内部に溶融塩が乱流となる部分を設け、この乱流によって慣性力合体を促進させるためである。これにより、溶融塩中の金属粒子を簡単な構成の装置で効率良く造粒することが可能である。以下、管内に構成されるレイノルズ数が2,000以上となる領域を造粒領域という。
本発明の金属粒子の造粒方法における、溶融塩が流通する管内のレイノルズ数は、上記(1)式で定義されるものであり、溶融塩の粘度および密度はほぼ一定であるため、管の内径または管内を通過する溶融塩の流速を変更することにより制御することができる。
管内に構成される造粒領域の上限レイノルズ数は300,000が望ましい。これは、レイノルズ数が300,000を超えるには、管を大径にしなければならず、管の保温設備を過大なものとしなければならず、また、管において過大な圧損が生じるため余分に加圧しなればならならず、設備コストが増大するからである。
管内に構成される造粒領域のレイノルズ数を4,000以上、100,000以下にするのがさらに望ましい。これは、金属の生産量や設備の規模を一般的なものとした場合でも容易に実現でき、さらに後述の実施例で示すように高率で金属粒子を回収できるからである。
また、本発明の金属粒子の造粒方法では、溶融塩が管内に構成される造粒領域を通過する時間が、0.5秒以上、30秒以下であることが望ましい。造粒領域を通過する時間が0.5秒未満では、十分な大きさに金属粒子が造粒されないおそれがあるからである。また、30秒以上とするには、管を長くしなければならず、設備コストが増大するからである。
また、本発明の金属粒子の造粒方法では、管内に構成される造粒領域における圧損を100Pa以上、100kPa以下とするのが望ましい。圧損が100Pa未満では、造粒領域が短いため、十分な大きさに金属粒子が造粒されないおそれがある。一方、圧損を100kPaよりも大きくする場合、溶融塩を流通させるポンプの能力や設備の耐圧能力等の面で設備コストが増大するおそれがある。
次に、本発明の溶融塩からの金属粒子の分離方法について、図面を用いて説明する。
図2は、液体サイクロンと濾過分離器とを併用して造粒後の金属粒子を含む溶融塩中の金属粒子を濃縮し、溶融塩から金属粒子を分離する装置の一例の概略構成図である。
図2に示すようにこの濃縮・分離装置は、液体サイクロン6と濾過分離器7とを有する。
液体サイクロン6は、円筒状の胴体部と、胴体部の下方に設けられた逆円錐状の円錐部とを備え、溶融塩中の金属粒子を濃縮する。胴体部の側面には、前記(1)に記載の造粒方法で造粒された金属粒子を含む溶融塩が流通する配管4が接続される流入口6aが設けられている。胴体部の上面には、金属粒子が除去された溶融塩が排出される第1の排出口6bが設けられている。円錐部の下端には、金属粒子が濃縮された溶融塩が排出される第2の排出口6cが設けられている。
濾過分離器7は、液体サイクロン6の下端の第2の排出口6cから排出される、金属粒子が濃縮された溶融塩から金属粒子を濾過分離する。濾過分離器7は、円筒状で、筒(管)の内壁にらせん状のひれ8が設けられ、さらに内壁の内側近傍に目の細かい金網(図示せず)が張られている。濾過分離器7は、金属粒子の流出側が、溶融塩の流入側に対して若干上向きに傾斜し、軸Cを中心として回転可能に構成されている。
造粒後の金属粒子を含有する溶融塩が液体サイクロン6に供給されると、粒子の衝突、接触により、さらに造粒が進行するとともに、溶融塩の一部が分離して第1の排出口6bから排出され、残りの溶融塩において金属粒子が濃縮される。そして、濃縮後の金属粒子は残りの溶融塩とともに第2の排出口6cから排出され、濾過分離器7に供給される。
供給された濃縮後の金属粒子を含有する溶融塩の殆どは、濾過分離器7で処理される間に金網を通過して濾過分離器7の溶融塩の流入側に移行し、排出される。一方、金網上の金属粒子は濾過分離器7の回転に伴ってらせん状のひれ8によって押し上げられ、金属粒子の排出側から排出される。排出後の金属粒子には、表面に溶融塩が付着しているのみであり、極めて効果的な濃縮・分離を行うことができる。
次に、金属Tiの製造において本発明の金属粒子の分離方法を適用する方法を、図面を用いて説明する。
図3は、本発明の金属粒子の分離方法を適用する金属Tiの製造方法を実施する際に用いられる装置の一例の概略構成図である。この装置は、TiCl4のCaによる還元、Ti粒子の分離、Tiの溶解および鋳造ならびに溶融塩中のCaの除去・回収を連続して行うことのできるシステムを構成することができる。
図3に示すように、この装置は、CaCl2を含有し且つCaが溶解している溶融塩を保持し、前記溶融塩中に供給されるTiCl4を前記Caによって還元させ、Ti粒子を生成させるための反応容器9と、前記溶融塩中に生成されたTi粒子を溶融塩から分離するための分離部10と、分離後のTi粒子を連続的に溶解して金属Tiのインゴットとする溶解部11と、前記Ti粒子が分離された後の溶融塩を電気分解して陰極側にCaを生成させるための電解槽12と、電気分解により生成されたCaの濃度を一定とするための調整槽13と、分離部10で分離され電解槽12へ送られる溶融塩中に溶解しているCaを除去し、回収するためのCa濃縮除去装置14とを有している。
前述した(1)に記載の金属粒子の造粒方法は、この装置の反応容器9および反応容器9と分離部10とを接続する配管4を含む、Ti粒子を含有する溶融塩が流通する管に適用され、(2)に記載の金属粒子の分離方法は分離部10に適用されている。
前記図3に示した装置を使用してTiを製造するには、まず、電解槽12から調整槽13を介して連続的に供給される溶融塩を、反応容器9を通し、その溶融塩中のCaに、TiCl4供給口15から供給したTiCl4を反応させ、前記溶融塩中にTi粒子を生成させる(還元工程)。
前記還元工程で溶融塩中に生成した微細なTi粒子は、反応容器9および配管4を含む、溶融塩が流通する管内に構成されるレイノルズ数が2,000以上となる領域(造粒領域)において造粒が行われる。
造粒領域にて造粒が行われたTi粒子を含有する溶融塩は、分離部10の液体サイクロン6によって一部が上方へ分離、排出され、残りの溶融塩中のTi粒子が残留した溶融塩を含んだ状態で分離される。分離されたTi粒子が濃縮された溶融塩は、液体サイクロンの下端から排出され、濾過分離器7で、さらにTi粒子と溶融塩とに分離される(分離工程)。
分離工程において分離された後のTi粒子は、溶解部11に搬送され、分離槽23内でプラズマトーチ24から照射されるプラズマによって連続的に加熱、溶融され、鋳型25に流し込まれ、インゴット26となる。
分離工程において、液体サイクロン6で上方に分離され、排出された溶融塩、濾過分離器7で分離された溶融塩およびプラズマトーチ24による加熱溶融により上層として分離された溶融塩は、それぞれ経路La、LbまたはLcを経てCa濃縮除去装置14を用いて行うCa回収工程へ送られる。Ca濃縮除去装置14は、溶融塩が隔壁16によってCa濃縮領域17とCa除去領域18とに隔離された状態で保持され、その上に保持された溶融Mg−Ca合金電極19を利用して溶融塩を電気分解することによって溶融塩中のCaを除去し、または高濃度化する機能を有する。
Ca回収工程で電気分解に悪影響を及ぼすCaが除去、回収された溶融塩は電解工程へ送られ、電気分解されてCaが生成され、溶融塩中のCa濃度が高められる。なお、電解槽12は、溶融塩を保持する円筒状の電解槽容器12aと、同じく円筒状の陽極20および円柱状の陰極21を、隔膜22を隔てて有しており、電解槽12の下端から陽極20と陰極21の間に連続的に供給された溶融塩を電気分解して、Caが濃化した溶融塩を抜き出すことができるように構成されている。
電解工程で電気分解により生成されたCaは、溶融塩とともにCa供給源を有する調整槽13へ導入され、溶融塩のCa濃度が一定とされた後、反応容器9へ投入され、金属Tiの製造が連続的に行われる。
このように、前記図3に例示した装置では、反応容器9および反応容器9と分離部10とを接続する配管4を含む、Ti粒子を含有する溶融塩が流通する管内のレイノルズ数が2,000以上となる部分、即ち造粒領域においてTi粒子の造粒が行われる。また、液体サイクロン6が、溶融塩中のTi粒子の分離に用いられる。
従来は、溶融塩中で生成したTi粒子を造粒する技術は開発されておらず、上述のようにTi粒子を微細な状態で溶融塩から分離していた。そのため、回収率が低く、生産速度が低下し製造コストが上昇するという問題があった。
これに対し、本発明の造粒方法および分離方法を用いることによって、溶融塩中のTi粒子の造粒および分離を効率良く行えるので、生産性を向上させてTiを安価に製造することができる。
本発明の造粒方法および分離方法の効果を確認するため、下記のTiの製造試験を行い、その結果を評価した。
1.造粒・濃縮条件
前記図3に示す装置を用いて溶融塩中に生成させたTi粒子について、造粒条件および分離条件を変化させて造粒および分離した。Ti粒子の造粒条件および分離条件は表1に示す通りである。表1には、前記図3に示した装置の造粒領域における、上記(1)式で定義されるレイノルズ数(Re)の値、溶融塩の流速、管の内径および溶融塩中のTiの分離に用いた分離装置を示した。
Figure 2009132970
本発明の実施例1〜3では使用する管の内径を0.02mとし、実施例4〜8ではその管内径を0.1mとし、いずれも溶融塩の流速を変化させた。実施例4および5は溶融塩の流速および管の内径を同一として、濃縮装置をそれぞれ液体サイクロンまたは高速デカンターと、異なったものとした。
比較例1および2は、管の内径を実施例1〜3と同じ0.02mとし、溶融塩の流速を下げてレイノルズ数を本発明で規定する範囲よりも小さいものとした。
ここで、レイノルズ数は、上記(1)式で定義されるものであり、溶融塩の粘度μは4.0×103Pa・s、密度ρは2,000kg/m3であり、溶融塩の温度は850℃であった。
2.試験結果
上記条件で生成したTi粒子を含有する溶融塩および分離後のTi粒子を抽出して、2種類の指標について評価を行った。試験結果は、表1に造粒・濃縮条件と併せて示した。表1において、評価指標として「30μm以上(%)」および「回収率(%)」を示した。
第1の評価項目は、分離部10に入る直前の管内の、即ち造粒領域を経たTi粒子含有溶融塩をサンプリングし、Ti粒子の粒径分布を測定し、溶融塩中の全Ti量に対する粒径30μm以上のTi粒子の体積割合(%)であり、表1において「30μm以上(%)」と表記した。
第2の評価項目は、反応容器内に供給したTiCl4に含まれるTiの質量に対する、分離部10で分離されたTiの質量の割合(%)であり、表1において、「回収率(%)」を示したと表記した。
「回収率(%)」とは、反応容器内に供給したTiCl4に含まれるTiの質量に対する、分離部10で分離されたTiの質量の割合(%)である。
本発明の実施例1〜8は、レイノルズ数および濃縮装置によらず、いずれの評価項目も比較例と比べて優れた結果であった。「30μm以上(%)」については、実施例1で65%、それ以外の実施例では70%と、いずれも良好な値であった。「回収率(%)」については、実施例すべてが70%以上と良好な値であり、実施例2〜4および6〜8では90%以上と特に良好な値であった。
実施例3および4の結果から、濃縮装置が液体サイクロンの場合の「回収率(%)」は、内径が異なってもレイノルズ数が同じであればほぼ同等であることがわかる。また、内径が0.02mである実施例1〜3ではレイノルズ数が大きい方が高かった。一方、内径が0.1mである実施例4および6〜8ではほぼ同じ値であったが、レイノルズ数が小さい方がわずかに高かった。
レイノルズ数を300,000よりも大きくする場合、設備コストが増大する。そのため費用および上述の回収率の面からレイノルズ数は4,000以上、100,000以下がより望ましいことがわかる。
また、実施例4および5の結果から、濃縮装置は液体サイクロンの方が高速デカンターよりも回収率が高いことがわかる。
本発明の金属粒子の造粒方法は、溶融塩中の金属粒子を簡単な構成の装置で効率良く造粒でき、金属粒子の溶融塩からの分離の効率を高めることができる。さらに、造粒後の粒子を含有する溶融塩を液体サイクロンによって濃縮することで、分離の効率をより高めることができる。
また、本発明の方法を、溶融塩中で還元することによる金属の製造、例えばCa還元によるTiまたはTi合金の製造プロセスにおいて生成したTi粒子またはTi合金粒子の溶融塩からの分離工程で適用すれば、生産性を向上させてTiまたはTi合金を安価に製造することが可能である。
したがって、本発明の方法は、溶融塩中で還元することによる金属の製造において有効に利用することができる。
金属粒子であるTi粒子のCa還元による生成から造粒を経て、溶融塩から金属粒子を分離するまでの過程を模式的に示す図である。 液体サイクロンと濾過分離器とを併用して造粒後の金属粒子を含む溶融塩中の金属粒子を濃縮し、溶融塩から金属粒子を分離する装置の一例の概略構成図である。 本発明の金属粒子の造粒方法および金属粒子の分離方法を適用するTiの製造方法を実施する際に用いられる装置の一例の概略構成図である。
符号の説明
4 配管
6 液体サイクロン
6a 流入口
6b 第1の排出口
6c 第2の排出口
7 濾過分離器
8 ひれ
9 反応容器
10 分離部
11 溶解部
12 電解槽
12a 電解槽容器
13 調整槽
14 Ca濃縮除去装置
15 TiCl4供給口
16 隔壁
17 Ca濃縮領域
18 Ca除去領域
19 溶融Mg−Ca合金電極
20 陽極
21 陰極
22 隔膜
23 分離槽
24 プラズマトーチ
25 鋳型
26 インゴット

Claims (7)

  1. 管内を流通する溶融塩に含有される金属粒子を造粒する方法であって、前記管内に、下記(1)式で定義されるレイノルズ数(Re)が2,000以上となる領域を構成して造粒することを特徴とする金属粒子の造粒方法。
    Re=ρuD/μ …(1)
    ただし、ρ:溶融塩密度[kg/m3]、u:平均流速[m/s]、
    D:管内径[m]、μ:溶融塩粘度[Pa・s]
  2. 前記管内に構成される造粒領域の上限レイノルズ数が300,000であることを特徴とする請求項1に記載の金属粒子の造粒方法。
  3. 前記管内に構成される造粒領域のレイノルズ数が4,000以上、100,000以下であることを特徴とする請求項1に記載の金属粒子の造粒方法。
  4. 前記溶融塩が前記管内に構成される造粒領域を通過する時間が、0.5秒以上、30秒以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の金属粒子の造粒方法。
  5. 前記管内に構成される造粒領域における圧損が、100Pa以上、100kPa以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の金属粒子の造粒方法。
  6. 前記金属粒子が、CaCl2を含有し且つCaが溶解している溶融塩中にTiCl4を添加することによって生成したTi粒子であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の金属粒子の造粒方法。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の金属粒子の造粒方法によって造粒した金属粒子を含有する前記溶融塩から、液体サイクロンによって金属粒子を分離することを特徴とする溶融塩中の金属粒子の分離方法。
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