JP2009132692A - 内視鏡消毒薬 - Google Patents

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康太 福井
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Abstract

【課題】酢酸、過酢酸、及び過酸化水素を含有する水溶液からなる内視鏡消毒薬であって、長期間安定に使用可能である内視鏡消毒薬、及び該内視鏡消毒薬を含むキットの提供。
【解決手段】
酢酸、過酢酸、及び過酸化水素を含有する水溶液からなる内視鏡消毒薬であって、前記酢酸と前記過酢酸の含有質量比が1:1〜3:1(酢酸質量:過酢酸質量)である内視鏡消毒薬、ならびに該内視鏡消毒薬と、緩衝剤、腐食防止剤、pH調整剤、金属イオン封鎖剤、安定化剤、再付着防止剤、及び界面活性剤からなる群から選択される1種以上を含有する添加物とを含む内視鏡消毒用キット。
【選択図】なし

Description

本発明は内視鏡消毒薬、及び内視鏡消毒用キットに関する。より詳しくは、本発明は酢酸、過酢酸、及び過酸化水素を含有する水溶液からなる内視鏡消毒薬及び該内視鏡消毒薬を含むキットに関する。
内視鏡は人体の上部、下部の消化管、呼吸器官および体腔内の検査や治療に広く利用されている。内視鏡は特に患者間の感染を防ぐため、使用のたび洗浄消毒が行われている。近年、内視鏡の洗浄消毒は、自動式の内視鏡洗浄消毒装置によって行われることが多い。標準的には、手作業による内視鏡チャネル内のブラッシング洗浄が行われた後、内視鏡が内視鏡洗浄消毒装置にセットされ、自動的に洗浄、濯ぎ、薬剤浸漬消毒そして濯ぎ、乾燥と順次行われる。
内視鏡の洗浄消毒に用いられる消毒剤としては、グルタラール液、オルトフタラール液、過酢酸液が高水準消毒液として認可されている。このうち、過酢酸液はアルデヒド系に比較し安全性が高いとされている。内視鏡を過酢酸消毒剤で消毒する例としては、例えば特許文献1,2に開示がある。
これらの消毒剤は一般に高価であり、消毒後回収して、繰り返し用いられている。
しかし、自動式の内視鏡洗浄消毒装置で過酢酸液を用いる場合、経時安定性が悪く、室温下で有効過酢酸濃度を維持できるのは10日間前後である。また、消毒剤としては、安定性の面から有効成分の濃縮液の状態で保管することが一般的であるが、濃縮液の状態においても経時と共に過酢酸の分解が起こりやすい。このため、濃縮液が使用されるまでの経過期間によって、一定倍率で希釈され消毒あるいは滅菌に使われる実用液における過酢酸濃度が異なってしまうという問題がある。
このため時間が経過しても過酢酸濃度が低下しにくい消毒剤が望まれていた。
また、過酢酸は、高濃度で使用すると内視鏡の部材(金属やプラスチック部分)を劣化させるという問題がある。一方で、低濃度で使用すると十分な殺菌能力が得られない。一般に消毒液における過酢酸濃度を0.2から0.4質量%程度の範囲に維持して内視鏡を消毒あるいは滅菌する必要がある。
WO00/22931号公報 特開2001-70413号公報
本発明の目的は、酢酸、過酢酸、及び過酸化水素を含有する水溶液からなる内視鏡消毒薬であって、長期間安定に使用可能である内視鏡消毒薬、及び該内視鏡消毒薬を含むキットを提供することである。
本発明の発明者らは鋭意研究を行った結果、酢酸、過酢酸、及び過酸化水素を含有する水溶液において過酢酸濃度を維持しやすい酢酸及び過酢酸の含有量比を見出し、この知見を基に本発明を完成させた。
すなわち、本発明は下記を提供するものである。
(1)酢酸、過酢酸、及び過酸化水素を含有する水溶液からなる内視鏡消毒薬であって、前記酢酸と前記過酢酸の含有質量比が1:1〜3:1(酢酸質量:過酢酸質量)である内視鏡消毒薬。
(2)過酢酸濃度が7質量%以上15質量%以下である(1)に記載の内視鏡消毒薬。
(3)(1)又は(2)に記載の内視鏡消毒薬と、緩衝剤、腐食防止剤、pH調整剤、金属イオン封鎖剤、安定化剤、再付着防止剤、及び界面活性剤からなる群から選択される1種以上を含有する添加物とを含む内視鏡消毒用キット。
(4)前記組成物が有機ホスホン酸を含有する(3)に記載のキット。
(5)前記組成物がベンゾトリアゾール誘導体を含有する(3)又は(4)に記載のキット。
(6)(1)又は(2)に記載の内視鏡消毒薬を含む消毒液を、自動洗浄機の中で内視鏡と1〜15分間接触させる工程を含む、内視鏡を高水準に消毒する方法。
(7)内視鏡と接触させた前記消毒液を、1回の接触ごとに廃却することを特徴とする(6)に記載の方法。
本発明により、酢酸、過酢酸、及び過酸化水素を含有する水溶液からなる内視鏡消毒薬であって、長期間安定に使用可能である内視鏡消毒薬が提供される。
以下に本発明を詳細に説明する。
本明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
本発明の内視鏡消毒薬は、酢酸、過酢酸、及び過酸化水素を含有する水溶液からなる。この水溶液において酢酸、過酢酸、及び過酸化水素は平衡状態で存在していればよい。
本発明の内視鏡消毒薬の酢酸と過酢酸の含有質量比は1:1〜3:1(酢酸質量:過酢酸質量)である。すなわち、酢酸質量/過酢酸質量で表した場合、1以上3以下である。酢酸質量/過酢酸質量は、好ましくは1.2以上2.5以下、特に好ましくは1.4以上2.3以下であればよい。
本発明の内視鏡消毒薬が内視鏡の消毒のために提供される場合、特に限定されるものではないが、濃縮液として提供され、使用時に希釈して消毒液として用いられることが好ましい。
濃縮液においては水溶液の過酢酸濃度は7質量%以上15質量%以下であればよく、8質量%以上14質量%以下であることが好ましく、9質量%以上13質量%以下であることが特に好ましい。
濃縮液においては水溶液の過酸化水素濃度は10質量%以上30質量%以下であればよく、13質量%以上25質量%以下であることが好ましく、15質量%以上23質量%以下であることが特に好ましい。
濃縮液においては水溶液の酢酸濃度は10質量%以上30質量%以下であればよく、13質量%以上25質量%以下であることが好ましく、15質量%以上23質量%以下であることが特に好ましい。
使用時においては水溶液の過酢酸濃度は0.1質量%以上0.5質量%以下であることが好ましく、0.2質量%以上0.4質量%以下であることがより好ましい。
したがって、濃縮液を希釈する希釈倍率は23倍以上50倍以下であればよく、好ましくは25倍以上40倍以下であることが好ましく、30倍以上35倍以下であることがより好ましい。
本発明の内視鏡消毒薬は酢酸と過酢酸の含有量比に影響を与えない他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては安定剤等が挙げられる。安定剤としては、オルトリン酸およびピロリン酸、硫酸、硝酸であることが好ましい例として挙げられる。このうち、特に好ましくはオルトリン酸およびピロリン酸である。
濃縮液として提供される本発明の内視鏡消毒薬を希釈する溶媒としては通常水を用いればよい。
希釈の際には、緩衝剤、腐食防止剤、pH調整剤、金属イオン封鎖剤、安定化剤、及び界面活性剤からなる群から選択される1種以上を含有する添加物を第二の試薬として混合し、希釈することが好ましい。以後、この第二の試薬との対比のために濃縮液の状態で提供される本発明の内視鏡消毒薬を第一の試薬という場合がある。
例えば、第一の試薬を50ml、第二の試薬を50mlと水900mlを混合して、消毒あるいは滅菌のための消毒液(実用液)を調製する。この場合は、平衡過酢酸組成物を含有する第一の試薬50mlから1000mlの実用液を調製しているから、第一の試薬から見ると20倍に希釈されていることになる。
実用液を用いて内視鏡を消毒する場合、自動洗浄機を用いることが好ましい。
自動洗浄機における実用液と内視鏡との接触時間は1〜15分間が好ましく、特に好ましくは4〜11分間であればよい。
内視鏡を消毒する場合、実用液は、1回のみ使用して廃却してもよく、繰り返し使用した後に廃却してもよい。好ましくは、実用液は1回のみ使用して廃却する。同様に、自動洗浄機を用いて内視鏡を消毒する場合、実用液と内視鏡との接触を複数回行うごとに、内視鏡と接触させた実用液を廃却するように設定してもよいが、1回の接触ごとに廃却するように設定することが好ましい。消毒性能の面では実用液を20回程度繰り返して使用することができるが、より衛生的な消毒剤による消毒が市場ニーズとして高まっているためである。
第二の試薬は緩衝剤、腐食防止剤、pH調整剤、金属イオン封鎖剤、安定化剤、界面活性剤、及び再付着防止剤からなる群から選択される1種以上を含有する試薬として調製される。
緩衝剤とはpH緩衝能を有する無機・有機の酸もしくは塩、およびpH調節に必要な酸およびアルカリの成分を指す。例えば、クエン酸、酢酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、グリコール酸、コハク酸、グルタル酸、若しくはアジピン酸等の有機酸又はその塩、リン酸若しくは硫酸等の無機酸又はその塩、あるいは水酸化アンモニウム若しくは水酸化アルカリ金属等の塩基を用いることができる。これらのうち本発明において好ましく用いられる緩衝剤はクエン酸、酢酸の有機酸又はその塩、リン酸若しくは硫酸等の無機酸又はその塩であり、さらに好ましくはリン酸の無機酸又はその塩である。緩衝剤の濃度は特に限定されないが、第二の試薬中20質量%以下が好ましく、10質量%以下が特に好ましく、消毒液組成物中2質量%以下が好ましく1質量%以下が特に好ましい。
pH調整剤としては、環境に適合するような酸、例えば、クエン酸、酢酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、グリコール酸、コハク酸、グルタル酸、又はアジピン酸等の有機酸及びその塩、リン酸、硫酸等の無機酸及びその塩、水酸化アンモニウム又は水酸化アルカリ金属等の塩基を用いることができる。もっとも本発明で用いることができるpH調整剤はこれらに限定されない。実用液中のpH調整剤の濃度は実用液の総質量に対して、20質量%以下が好ましく、特に0.1質量%〜10質量%が好ましい。
安定化剤としては公知の安定化剤を用いればよく、リン酸塩、8-ヒドロキシキノリン、スズ酸、スルホレン、スルホラン、スルホキシド、スルホン、スルホン酸などが挙げられる。第二の試薬において、リン酸塩が好ましい安定化剤である。好ましくは、実用液中の安定化剤の濃度は実用液の総質量に対して約0.001質量%から約0.5質量%のリン酸塩を含めばよい。上記リン酸塩は、オルトリン酸ナトリウム塩、オルトリン酸カリウム塩、ピロリン酸ナトリウム塩、ピロリン酸カリウム塩、ポリリン酸ナトリウム塩、ポリリン酸カリウム塩、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。第二の試薬中のリン酸塩濃度は、0.05以上2.0mol/L以下が好ましく、0.1以上1.0mol/L以下がより好ましい。
界面活性剤としては、酸性水性媒体中でペルオキシカルボン酸、過酸化水素の存在下で酸化及び分解に対して安定な界面活性剤を使用することができ、好ましくは、酸化され易い界面活性剤は避ける。適切な界面活性剤は、非イオン性、アニオン性、両性、又はカチオン性の界面活性剤から選択することができる。
第二の試薬に添加するのに好ましい界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤が挙げられ、具体的には、ポリエチレン/ポリプロピレンブロックポリマー型界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル型界面活性剤、ポリオキシエチレンエーテル型界面活性剤、及びポリオキシエチレンソルビタン型界面活性剤等が挙げられるが。第二の試薬に添加される界面活性剤はこれらに限定されない。実用液中の界面活性剤の濃度は特に限定されないが実用液の総質量に対して約1.0質量%から約30質量%であればよい。
本明細書において金属イオン封鎖剤とは、金属イオンを封鎖(キレート)する作用を行う成分を意味し、これらの成分がカルシウム及びマグネシウムのキレート化能力を有する場合でも、鉄、マンガン、及び銅のような重金属イオンとより選択的に結合する成分を意味する。金属イオン封鎖剤は第二の試薬の総質量に対して0.005質量%〜20質量%、好ましくは0.1質量%〜10質量%、さらに好ましくは0.25質量%〜7.5質量%、最も好ましくは0.5質量%〜5質量%の割合で使用することができる。金属イオン封鎖剤として、例えば、有機ホスホン酸塩、例えば、アミノアルキレンポリ(アルキレンホスホン酸塩)、アルカリ金属エタン1−ヒドロキシジホスホン酸塩、及びニトリロトリメチレンホスホン酸塩などが挙げられる。上記の中で好ましいのは、アミノトリ(メチレンホスホン酸塩)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸塩)、エチレンジアミントリ(メチレンホスホン酸塩)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸塩)、ヘキサメチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、及びヒドロキシ−エチレン1,1二ホスホン酸塩である。
他の金属イオン封鎖剤としては、ニトリロ三酢酸及びポリアミノカルボン酸、例えばエチレンジアミノ四酢酸、エチレントリアミン五酢酸、エチレンジアミン二コハク酸、エチレンジアミン二グルタル酸、2−ヒドロキシプロピレンジアミン二コハク酸、又はこれらいずれかの塩が挙げられる。特に好ましいのはエチレンジアミン−N,N'−二コハク酸(EDDS)又はそのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、若しくは置換アンモニウム塩、あるいはこれらの混合物である。
好ましい他の金属イオン封鎖剤としては、例えば、欧州特許公開第317,542号公報及び欧州特許公開第399,133号公報に記載されている2−ヒドロキシエチル二酢酸又はグリセリルイミノ二酢酸のようなイミノ二酢酸誘導体、欧州特許公開第516,102号公報に記載されているイミノ二酢酸−N−2−ヒドロキシプロピルスルホン酸及びアスパラギン酸N−カルボキシメチルN−2−ヒドロキシプロピル−3−スルホン酸封鎖剤、並びに欧州特許公開第509,382号公報に記載されているβ−アラニン−N,N'−二酢酸、アスパラギン酸−N,N'−二酢酸、アスパラギン酸−N−モノ酢酸、及びイミノ二コハク酸封鎖剤が挙げられる。欧州特許公開第476,257号公報には好適なアミノ基剤の封鎖剤が記載されている。欧州特許公開第510,331号公報にはコラーゲン、ケラチン、又はカゼインから誘導した好適な封鎖剤が記載されている。欧州特許公開第528,859号公報には好適なアルキルイミノ二酢酸封鎖剤が記載されている。二ピコリン酸及び2−ホスホノブタン−1,2,4−三カルボン酸も好適である。グリシンアミド−N,N'−二コハク酸(GADS)、エチレンジアミン−N,N'−二グルタル酸(EDDG)及び2−ヒドロキシプロピレンジアミン−N,N'−二コハク酸(HPDDS)もまた好適である。もっとも、金属イオン封鎖剤は上記の例示に限定されない。
第二の試薬は、金属イオン封鎖剤として有機ホスホン酸を含有することが好ましい。有機ホスホン酸としては、例えば、アミノアルキレンポリ(アルキレンホスホン酸)、エタン1−ヒドロキシジホスホン酸、及びニトリロトリメチレンホスホン酸とそのアルカリ金属塩などが挙げられる。上記の中で好ましいのは、アミノトリ(メチレンホスホン酸塩)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸塩)、エチレンジアミントリ(メチレンホスホン酸塩)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸塩)、ヘキサメチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、及びエタン-1-ヒドロキシ-1,1-ジホスホン酸(エチドロン酸)とそのアルカリ金属塩であり、特に好ましくはエタン-1-ヒドロキシ-1,1-ジホスホン酸(エチドロン酸)とそのアルカリ金属塩である。
腐食防止剤としては、内視鏡の材質に適したものを選択すればよく、例えば、ベンゾトリアゾール誘導体(1,2,3-ベンゾトリアゾールと、低級アルキルベンゾトリアゾール、ヒドロキシベンゾトリアゾール、低級アルキルヒドロキシベンゾトリアゾール、カルボキシベンゾトリアゾール、低級アルキルカルボキシベンゾトリアゾール)、ベンズイミダゾール、低級アルキルベンズイミダゾール、ヒドロキシベンズイミダゾール、低級アルキルヒドロキシベンズイミダゾール、カルボキシベンズイミダゾール、低級アルキルカルボキシベンズイミダゾール、メルカプトベンゾチアゾール、低級アルキルメルカプトベンゾチアゾール、ヒドロキシメルカプトベンゾチアゾール、低級アルキルヒドロキシメルカプトベンゾチアゾール、カルボキシメルカプトベンゾチアゾール、低級アルキルカルボキシメルカプトベンゾチアゾール、グルコン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸ブチル、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、ソルビトール、エリスリトール、リン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、ピロリン酸テトラナトリウム、モリブデン酸ナトリウム、亜硝酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、硝酸、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、クロム酸塩、又はホウ酸塩、あるいはこれらから選択される2種以上の物質の組み合わせなどを挙げることができるが、これらに限定されない。本明細書において、「低級アルキル」という用語は、1個から6個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝鎖状の飽和炭化水素基を意味する。
銅、黄銅、青銅、又は多金属系を含む内視鏡を殺菌処理するために本発明の内視鏡消毒薬を使用する場合には、ベンゾトリアゾール誘導体(1,2,3-ベンゾトリアゾール、低級アルキルベンゾトリアゾール、ヒドロキシベンゾトリアゾール、低級アルキルヒドロキシベンゾトリアゾール)、モリブデン酸ナトリウム、亜硝酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、クロム酸塩、又はホウ酸塩、あるいはこれらの任意の組み合わせである腐食防止剤が好ましく用いられる。1,2,3-ベンゾトリアゾール、モリブデン酸ナトリウム、又は亜硝酸ナトリウム、あるいはそれらの組み合わせを含む腐食防止剤が特に好ましく用いられる。炭素鋼及び/又はステンレス鋼を含む機器等を殺菌処理するために本発明の内視鏡消毒薬を使用する場合には、例えば、安息香酸ナトリウム、亜硝酸ナトリウム、及びモリブデン酸ナトリウム、硝酸、硝酸ナトリウム、硝酸カリウムなどを含む腐食防止剤が好ましく用いられる。炭素鋼及び/又はステンレス鋼を含む機器等を殺菌処理するために本発明の内視鏡消毒薬を使用する場合には、例えば、硝酸、硝酸カリウム、硝酸ナトリウム及び/又はモリブデン酸ナトリウムを含む腐食防止剤が好ましく用いられる。
腐食防止剤の添加量は第二の試薬において0.1から10質量%であることが好ましく、さらに好ましくは0.3から5質量%である。
腐食防止剤が第二の試薬に難溶である場合には、さらにアルキレングリコールのなどの可溶化剤を含んでもよい。本明細書において、「アルキレングリコール」という用語は、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジアルキレングリコール(例えばジエチレングリコールなど)、又はトリアルキレングリコール(例えばトリエチレングリコールなど)、あるいは対応するそれらのモノ-及びジアルキルエーテルなどのグリコール類をいう。アルキルエーテルは1個から6個の炭素原子を有する低級アルキルエーテル(例えばメチルエーテル、エチルエーテル、又はプロピルエーテルなど)である。特に好ましくは、可溶化剤としてプロピレングリコールを含み、またこのプロピレングリコールは実用液に腐食防止剤の約3倍から10倍の濃度で含まれていることが好ましい。例えば、約2質量%で含まれる1,2,3-ベンゾトリアゾールに対してプロピレングリコールが実用液中に1質量%から6質量%で含まれていることが好ましく、特に好ましくは1.5質量%から4質量%である。
再付着防止剤としては、内視鏡から脱離した汚れ等を液中に懸濁した状態に保つ機能を有するものを使用することができる。例えば、有機性の水溶性コロイド(例えば、デンプン、ゼラチン、若しくはデンプンなどのエーテルカルボン酸又はエーテルスルホン酸の塩、セルロース、セルロースエーテル、若しくはセルロースのエーテルカルボン酸又はエーテルスルホン酸の塩、あるいはセルロース又はデンプンの酸性硫酸エステルの塩)などを用いることができる。酸性基を含む水溶性ポリアミドも好ましく用いることができる。さらに上記以外のデンプン誘導体、例えばアルデヒドデンプンも使用することができる。もっとも、添加することができる再付着防止剤はこれらの例示に限定されることはない。再付着防止剤としては、再付着防止剤として例示された上記の化合物からなる群から選択される1種又は2種以上を用いることができる。再付着防止剤の濃度は第二の試薬の総質量に対して5質量%以下が好ましく、特に2質量%以下が好ましい。
本明細書において用いられる「消毒」という用語には、「洗浄」、「殺菌」、及び「滅菌」などの意味が含まれる。
本発明の内視鏡消毒薬を用いた内視鏡消毒方法は特に限定されないが、内視鏡を本発明の内視鏡消毒薬に浸漬させることにより、両者を接触させて消毒する方法が好ましい。該浸漬においては内視鏡消毒薬を攪拌してもよく、内視鏡を振とうしてもよく、自動洗浄機を用いてもよい。また、該浸漬前又は該浸漬後に内視鏡の水洗等の工程を含めてもよく、浸漬の後の内視鏡を滅菌ガーゼ等で拭う又はドライヤー等により乾燥させる工程等を含めてもよい。該浸漬時間は1分以上15分以下であればよく、3分以上12分以下が好ましく、4分以上6分以下がより好ましい。
以下、本発明の実施例を挙げて説明するが、本発明は以下の実施例により制限されるものではない。
(例1)
第一の試薬(濃縮液)として表1に記載の組成の試薬を調製した。
表1に示す4つの第一の試薬をそれぞれ1リットルずつガス抜きが可能なポリエチレン容器に入れた。これらの試薬の50℃の条件下での時間経過後の過酢酸濃度の変化を調べた。
過酢酸濃度は酸化還元滴定で定量した。滴定方法は下記の通りである。結果を図1に表す。図1から、試薬3及び4は過酢酸濃度安定性が高いことが分かる。
<過酢酸濃度定方法>
サンプルをマイクロピペッターで1ml採取し、メスフラスコを用いて純水で20mlに希釈した。
200mlのコニカルビーカーに20倍に希釈したサンプルをマイクロピペッターで1ml採取し、10%硫酸20mlを加えた。
これにフェロイン指示薬を1〜2滴添加し、1/10N硫酸セリウム標準液で滴定し、赤色から淡青色になったところを終点(Aml)とした。
次に、別の200mlのコニカルビーカーに消毒液をマイクロピペッターで1ml採取し、10%硫酸20ml、10%ヨウ化カリウム溶液10ml、5%モリブデン酸アンモニウム溶液1〜2滴を加え、これに1/10Nチオ硫酸ナトリウム標準液で淡黄色になるまで滴定し、1%デンプン溶液を約1ml加えて暗青色が消えたところを終点(Bml)とした。過酢酸の濃度は以下式により求めた。

過酢酸(w/v%(質量%))=( B×f2 − A×f1 )×0.05 × 76
× 100/1000

ここで、 f1は1/10N硫酸セリウム標準液のファクター、
f2は1/10Nチオ硫酸ナトリウム標準液のファクターを表す。
(例2)
例1で用いた第一の試薬を用いて実用液を調製した。試薬2及び3につき経時期間が0、32、99日のサンプルを用いた。試薬2(50ml)と下記の第二の試薬50mlとさらにイオン交換水を加えて1Lとした液、及び試薬3(26ml)と下記の第二の試薬50mlとさらにイオン交換水を加えて1Lとした液を調製した。すなわち、試薬2を20倍に希釈した液及び試薬3を38倍に希釈した液を調製した。
第二の試薬:下記表2の組成物にイオン交換水を加えて1Lとして調製した。調製された液は、pH8.7、比重1.07、電導度5.4であった。
上記で調製した各実用液1Lを高密度ポリエチレン製容器(容量2L)に入れ、25℃55%RH(相対湿度)で13日間保存した時の過酢酸濃度変化を図2に示した。
内視鏡用過酢酸消毒剤として過酢酸濃度が低すぎる場合は殺菌能力が低下して殺菌保証ができなくなる。また、濃度が高すぎる場合は繰返し消毒を行った場合に内視鏡部材を傷めてしまう。そのため、実用液において、過酢酸濃度は0.2〜0.4質量%の範囲である必要がある。
比較例の試薬2については、調製後すぐに希釈を行って、実用液としたものは13日間0.2〜0.4質量%の範囲の有効濃度を保っていたが、50℃で32日間経過後に希釈を行って実用液としたものは4日間程度しか有効濃度を保てず、50℃で99日間経過後に希釈を行って実用液としたものは、調製時に既に過酢酸濃度が有効濃度より低くなっていた。
一方、試薬3は、50℃で32日間経過後に希釈を行って実用液としたものについても、50℃で99日間経過後に希釈を行って実用液としたものについても、有効濃度が12日間程度保たれていた。この結果から本発明の内視鏡消毒薬は、濃縮液においても経時による過酢酸濃度変動が少なく、長期間再現性がよく消毒あるいは殺菌を行うことができることがわかる。
(例3)
例2と同様の手順で、試薬2と試薬3の経時期間が0日及び32日のサンプルからそれぞれ実用液の調製を15リットルスケールで行い、3日間放置した。放置後のこれら4種類の実用液を用いて、内視鏡用自動洗浄機を使い、内視鏡を実用液に5分間接触させ、内視鏡を洗浄、消毒を行った結果、問題なく洗浄、消毒できることが確認できた。
(例4)
例2と同様の手順で、試薬2と試薬3の経時期間が0日及び32日のサンプルからそれぞれ実用液の調製を15リットルスケールで行い、調整後すぐにこれら4種類の実用液を用いて、内視鏡用自動洗浄機を使い、内視鏡を実用液に5分間接触させ、内視鏡を洗浄、消毒を行った結果、問題なく洗浄、消毒できることが確認できた。消毒液は1回の使用で廃却した。
表1に示す組成の試薬の50℃の条件下での過酢酸濃度変化を示すグラフである。 表1に示す試薬2又は3と表2に示す第二の試薬とを含む実用液の25℃55%RHで13日間保存した時の過酢酸濃度変化を示すグラフである。

Claims (7)

  1. 酢酸、過酢酸、及び過酸化水素を含有する水溶液からなる内視鏡消毒薬であって、前記酢酸と前記過酢酸の含有質量比が1:1〜3:1(酢酸質量:過酢酸質量)である内視鏡消毒薬。
  2. 過酢酸濃度が7質量%以上15質量%以下である請求項1に記載の内視鏡消毒薬。
  3. 請求項1又は2に記載の内視鏡消毒薬と、緩衝剤、腐食防止剤、pH調整剤、金属イオン封鎖剤、安定化剤、再付着防止剤、及び界面活性剤からなる群から選択される1種以上を含有する添加物とを含む内視鏡消毒用キット。
  4. 前記組成物が有機ホスホン酸を含有する請求項3に記載のキット。
  5. 前記組成物がベンゾトリアゾール誘導体を含有する請求項3又は4に記載のキット。
  6. 請求項1又は2に記載の内視鏡消毒薬を含む消毒液を、自動洗浄機の中で内視鏡と1〜15分間接触させる工程を含む、内視鏡を高水準に消毒する方法。
  7. 内視鏡と接触させた前記消毒液を、1回の接触ごとに廃却することを特徴とする請求項6に記載の方法。
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