JP2009132332A - 電動モータ制御装置及び電動倍力装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】CPU21は、バッテリ電圧Vbを看視して、目標速度がバッテリ電圧Vbでの無負荷回転数を超えると予測した場合、制御端子35をONにすることにより、モータドライバ電源ひいてはモータ8に印加される電圧を大きくする(DC−DCコンバータ出力電圧「Vb+△V」とされる)ので、作動初期段階で回転数を上昇させることができる。また、作動終期においては、制御端子35をOFFにすることにより、モータドライバ電源電圧は、バッテリ電圧Vbが用いられて、モータ駆動電圧を低くし、高トルク発生を図る。これにより、電動倍力装置のモータ8に要求される、初期時の高速化及び作動周期の高トルク発生の両機能を簡易な構成で達成できる。
【選択図】図2
Description
特許文献1に示される電動倍力装置は、ブレーキペダルの操作により進退移動する入力部材と、該入力部材に相対移動可能に配置されたアシスト部材と、該アシスト部材を進退移動させる電動モータとを備え、前記ブレーキペダルによる前記入力部材の移動に応じて前記アシスト部材に付与されるアシスト推力によりマスタシリンダ内に倍力されたブレーキ液圧を発生させるようにしている。
ところで、上述した従来技術では、電動モータの駆動電圧ひいては電源電流(電源電圧)等の影響により電動モータの回転数が上限値まで達すると制限を受けることになる。一方、緊急制動を図る際には、電動モータの回転数の増加が要求される。この要求(緊急制動等に際して回転数の増加を図る)に対して、供給電圧を大きくした電源を用意したり、電源にさらにコンデンサを用意したりすることが考えられている。
図3は、図2のDC−DCコンバータを示すブロック図である。図4は、図1の電動モータの駆動電流、電動モータの特性及び電源の電流電圧特性を示し、(a)は電動モータの駆動電流を示す図、(b)は電動モータのトルク・回転数特性(TN特性)を示す図、(c)は、モータドライバ電源の電流電圧特性を示す図である。
図5は、図1の電動倍力装置の負荷特性を示す図である。図6は、図1の電動倍力装置の作用を示すための波形図であり、(a)は減速度特性、(b)は液圧特性、(c)はQ軸電流特性、(d)は回転数特性、(e)は昇圧制御信号発生、(f)はブレーキペダル踏込量を、夫々示す図である。
電動倍力装置1は、入力部材5の前進動に伴って、マスタシリンダ9のピストン6〔プライマリピストン6a及びセカンダリピストン6b〕を押圧するようにしている。プライマリピストン6aは入力部材5に相対移動可能に配置されている。本実施形態では、プライマリピストン6aがアシスト部材を構成している。
即ち、
(1)ブレーキ液圧を使うマスタシリンダ9を用い、このマスタシリンダ9は、非制動時にリザーバタンク10のブレーキ液を配管系に供給するための連通路を設けており、図5に示すような制動開始時に連通路を閉じるための無効ストロークδを有する。
(2)電動倍力装置に関連してブレーキ装置としてディスクブレーキ11が用いられ、ディスクブレーキ11では、ディスクロータ(図示省略)が車輪の上下荷重および横荷重の変動により面外に振れるが、このときでもブレーキパッド(図示省略)がディスクロータ12に接触しないように、キャリパ13はロールバック量と呼ばれる量だけ余分に戻る。制動初期に図5中RBで示した液圧を発生しないストロークが存在する。また、ブレーキパッドは樹脂製で非線形に変形し、特に面圧の低い(減速度の小さい)領域の弾性係数が小さい。
(3)配管中に高圧ゴムホース、ABSユニットおよびキャリパ各部のシールリングなど、剛性の低い部分があり、低圧部分の消費液量が多い。
図5ではブレーキ液圧10MPa(通常のシステムでは減速度1G程度の急ブレーキに相当する)に達するストロークを1として、ストロークを正規化して表示したが、正規化ストロークが0.5に達しても液圧は僅かで、O.7以降急速に立ち上がる。
モータ8は、表面磁石形で3相(Y結線)のDCブラシレス(DCBL)モータからなり、PWM駆動されるようになっている。ねじ機構15のナット部15b及び入力部材5との間には、両者の相対変位を検出する相対変位センサ19が介在されている。
マスタシリンダ9は、ブレーキペダル2の操作力及び又はモータ8のアシスト力に応じた液圧をマスタシリンダ9に発生させ、この液圧に応じた大きさの制動力を、ABSユニット17を介して四輪に対応して設けられたブレーキ装置(ディスクブレーキ11)に発生させるようにしている。
以下、便宜上、DC−DCコンバータ出力電圧「Vb+△V」に相当するモータドライバ電源電圧Vsを昇圧時モータドライバ電源電圧Vs’という。また、バッテリ電圧Vbに相当するモータドライバ電源電圧Vsを非昇圧時モータドライバ電源電圧Vsという。
なお、ダイオード25があることから、バッテリ電圧Vbからはダイオード25の順方向に電圧(0.5〜0.7V)が降下するが、この電圧降下については、説明が煩雑になることを回避するために、便宜上、無視して説明する。
この要望に応えるべく、本実施形態では、モータ8として、上述したように表面磁石形のDCブラシレス(DCBL)モータを用い、モータ8をPWM駆動する方式を採用している。
モータ8のUVW各相電流がI〔Arms〕のとき、駆動力になる直流成分(Q軸電流)Iqは、
Iq=(√3)×I
であり、駆動トルクTはトルク定数Kt〔Nm/A〕を使って、
T=Kt×Iq
で表される。
最大電圧Vmmax=(Vs/2)×{√(3/2)}〔Vrms〕
で制限され、無負荷回転数Nmaxは誘起電圧定数Ke〔V/(1/s)〕を使って、
Nmax=(Vs/Ke)×(1/√3)×{1/(2π)}×60〔rpm〕
で表される。なお、トルク定数Ktと誘起電圧定数Keは物理的には同じであるが、使い分けるのが一般的であり、本明細書でも、一般的な例に沿って使い分けて記載する。
そして、出力トルク(ひいてはQ軸電流Iq)が0のときの回転数が非昇圧時最大回転数Nmaxであり、この回転数は無負荷回転数(以下、適宜、非昇圧時無負荷回転数Nmaxともいう。)に相当する。
N={(Nmax−Vs)/Ke}×(1/√3)×{1/(2π)}×60〔rpm〕
昇圧時モータ回転数N’に対して、DC−DCコンバータ24が作動されずに、モータ8にバッテリ電圧Vbが供給された際のモータ回転数Nを、以下、適宜、非昇圧時モータ回転数Nともいう。
点◇は、モータ電圧がVmmax’でモータ電流がIq(Q軸電流)のときに作動可能な最大回転数(昇圧時最大回転数)Nmax’を示す特性点である。この線分41から判るように、モータ電流 Iq(出力トルク)が増加すると、前記非昇圧時モータ回転数Nの場合と同様に、モータ回転数N’は直線的に低下する。
そして、出力トルク(ひいてはQ軸電流Iq)が0のときの回転数が昇圧時最大回転数Nmax’であり、この回転数は無負荷回転数(以下、適宜、昇圧時無負荷回転数Nmax’ともいう。)に相当する。
Nmax’=Nmax×Vs’/Vs
Vs’:昇圧時モータドライバ電源電圧
Vs:非昇圧時モータドライバ電源電圧(=バッテリ電圧Vb)
の関係式で示される。
Vmmax’に対応した回転数を示す線分、即ち、点□、◎、及び◇をつなぐ線分41 は、Vmmaxに対応した回転数を示す線分、即ち、点○、△、及び▽をつなぐ線分40と平行になる。
モータ8は発熱の影響を受けることから、モータ8が連続して発生できるトルク(モータ電流)は最大Q軸電流Iqmaxの1/2から1/3程度であるのが普通であり、このことを考慮して、本実施形態では、最大液圧発生時のトルクが上記トルク〔最大Q軸電流Iqmaxの1/2から1/3程度に対応するトルク〕以下であるように設計されている。
また、無負荷で最大回転数〔点▽。図4(b)の点▽に対応する〕のとき、モータドライバ電源電流Isは小さい。また最大トルク発生時でも回転数0でその場で保持している〔点●。図4(b)の点●に対応する〕とき、モータドライバ電源電流IsはPWM駆動の効果でモータドライバ電源電流Isは小さい。このときの電源電流×バッテリ電圧のエネルギは全てモータコイルの抵抗発熟で消費され、モータ発生動力はOである。
本実施形態では、回転数を把握し、この回転数が所定値以上の場合にDC−DCコンバータ24(昇圧回路)の制御端子35をONにし、これにより、モータドライバ電源電圧を大きくし、図6(d)に点線で示すように回転数を多くするようにしている。この説明に先立って、DC−DCコンバータ24(昇圧回路)の制御端子35がOFFである場合(即ち、DC−DCコンバータ24(昇圧回路)がON制御しない場合、ひいてはDC−DCコンバータ24を備えていない場合)の動作〔実線〕について、説明する。
図6に示される経緯(動作特性)から最高液圧に達する時間を短縮するには、Iqmaxを増しても達成することができず、Nmaxを大きくすることにより効果があることが判る。減速比を小さくすることも時間短縮になるが、液圧保持時のQ軸電流がモータ8の発熱で制限されているので、減速比は下げられない。また、誘起電圧定数Keを小さくすればNmaxが大きくできるが、Ktを下げることと同義なので、やはりQ軸電流が増加してしまう。可変減速機構を設けて低付加時には減速比を下げることは有効であるが、複雑な変速機構を設けるより、電源電圧を昇圧してNmaxを大きくする方が小形で安価とすることが可能である。
ここで、図6の点線の波形、すなわち、DC−DCコンバータ24(昇圧回路)の制御端子35がONの場合について、説明する。
制動初期にはモータ8の回転子(ロータ)の慣性を加速するために図6(c)に示すように電流Iqmaxの通電が必要であるが、電流の立ち上げには高電圧は不要なので、回転数が上昇して誘起電圧による速度制限の影響が生じるまでは、DC−DCコンバータ24(昇圧回路)から昇圧電圧(高電圧)をモータ8に供給する。倍力装置のピストン前進、マスタシリンダ9からブレーキ装置のキャリパヘのブレーキ液供給に伴い、モータ8負荷が増加し、(b)に示した所定液圧(負荷設定値)に到達したら、CPU21は、(e)に示すように、制御信号をOFFし、DC−DCコンバータ24の動作を停止する。
低負荷トルク域を高速で通過することにより、(b)の目標液圧、いいかえると(a)の目標減速度に短時間で到達することができる。
図7(a)に示すように、昇圧回路の利用なし(昇圧電圧のモータ8への供給がない)の場合には、最大速度はVbでの無負荷回転数Nmaxより若干下った速度で制限される。これに対して、図7(b)に示すように、昇圧回路の利用(昇圧電圧のモータ8への供給がある)の場合には、非昇圧時無負荷回転数Nmax付近から昇圧時無負荷回転数Nmax'付近に大幅に増大する。図6(d)からこの昇圧時無負荷回転数Nmax'付近の高速回転時間がかなり長く、目標減速度到達までの時間が大幅に短縮できることが判る。
そして、上述したように、CPU21は、バッテリ電圧Vbを看視して、目標速度がバッテリ電圧Vbでの無負荷回転数を超えると予測した場合、制御端子35をONにする。
モータ8にはロータ慣性があるので、短時間とはいえ無負荷回転数近くまで加速する時間があり、制御端子35のON時点からの昇圧開始で十分間に合う。また、CPU21にはモータ8の回転角を検出する機能もあるので、時間差分により現在の回転速度を算出でき、Q軸電流から加速に要したトルクを減算することにより、負荷トルクも算出できる。負荷トルクが小さいのに現在の回転速度が目標速度に達しなかったら、制御端子35をONにする。
また、上記実施形態では、モータ8の回転数と対応する関係にある物理的データがバッテリ電圧Vbである場合を例にしたが、これに代えて、モータ電流センサ23の検出値を用いてもよい。
さらに図4(b)に最大電圧Vmmax、Vmmax’に夫々対応する非昇圧時モータ回転数N、昇圧時モータ回転数N’を示す線分40,41が記載されているが、この線分40,41から明らかなように、電源電圧を昇圧すると、回転数N、N’がVmmax、Vmmax’に比例して増加すること、ひいてはバッテリ電圧Vbが低下するとほぼ比例して回転数が低下する、すなわち、回転数は、バッテリ電圧Vb(ひいてはモータドライバ22電源電圧)の影響を大きく受ける。そして、バッテリ電圧Vbの低下、即ち回転数の低下は目標減速度までの到達時間を大幅に延ばしてしまう。これに対して、CPU21でバッテリ電圧Vbを監視して、バッテリ電圧Vbが所定電圧(例えば12V)以下に下がったときは無条件に昇圧動作を開始することにより、上述した目標減速度までの到達時間の大幅延期という悪影響を防止するようにしてもよい。この場合、高液圧保持の電流を流し続けることは、熱容量的には難しいことを考慮して停車したら昇圧を停止して、保持液圧を下げるような工夫をすることが望ましい。
このような電源二重化システムを用いて図8に示すように、電動倍力装置1A(第2実施形態)を構成することができる。
第2実施形態に係る電動倍力装置1Aでは、そのECU18Aが、図8に示すように、絶縁型DC−DCコンバータ24Aを使って補助バッテリ26をバッテリ電圧Vbから昇圧するように構成されている。バッテリ26の正常時は最大約24V、バッテリ26失陥時にも補助バッテリ45から約12Vを給電することができる。この場合、DC−DCコンバータ24への給電はオルタネータ46から直接給電する構成にして、バッテリ26と独立させる構成が望ましい。
Claims (4)
- 電源からの電力供給を受けて作動する電動モータを備えた車両ブレーキシステムに用いられて前記電動モータを制御する電動モータ制御装置において、
前記電動モータに印加される電圧を昇圧して昇圧電圧を発生する昇圧回路を、前記電動モータに前記昇圧電圧を供給し得るように設け、前記電動モータの回転数と対応する関係にある物理的データの検出結果が、前記電源からの電圧の印加時に前記電動モータの回転数が上限値まで達したことを示す場合、前記昇圧回路が発生した前記昇圧電圧を前記電動モータに供給することを特徴とする電動モータ制御装置。 - 請求項1に記載の電動モータ制御装置において、前記昇圧回路の出力電流を、前記電動モータ駆動の最大電流よりも小さい値の電流に制限することを特徴とする電動モータ制御装置。
- ブレーキペダルの操作により進退移動する入力部材と、該入力部材に相対移動可能に配置されたアシスト部材と、該アシスト部材を進退移動させる電動モータとを備え、前記ブレーキペダルによる前記入力部材の移動に応じて前記アシスト部材に付与される推力を、電源からの電動モータヘの電流供給を制御して行う電動倍力装置において、
前記電動モータに印加される電圧を昇圧して昇圧電圧を発生する昇圧回路を、前記電動モータに前記昇圧電圧を供給し得るように設け、前記電動モータの回転数と対応する関係にある物理的データの検出結果が、前記電源からの電圧の印加時に前記電動モータの回転数が上限値まで達したことを示す場合、前記昇圧回路が発生した前記昇圧電圧を前記電動モータに供給させる制御回路を設けたことを特徴とする電動倍力装置。 - 請求項3に記載の電動倍力装置において、前記昇圧回路の出力電流を、前記電動モータ駆動の最大電流よりも小さい値の電流に制限することを特徴とする電動倍力装置。
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