JP2009131929A - スローアウェイチップ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】辺稜部4にコーナ部5を挟んで一対の切れ刃6a,6bが形成されたチップ本体1のすくい面2に、辺稜部4から離間するに従いチップ厚さ方向に漸次後退するように形成された傾斜面8と、傾斜面8からチップ厚さ方向と垂直な方向に延びるブレーカ底面9と、ブレーカ底面9からチップ厚さ方向に切れ刃6の高さを越えて漸次隆起するとともに、平面視においてコーナ部5に向かって突出するブレーカ突起10と、ブレーカ底面9からチップ厚さ方向にブレーカ突起10の高さを越えて漸次隆起するとともに、平面視においてブレーカ突起10の少なくとも終端側部から外方に向かって延在して切れ刃6近傍まで連なるブレーカ壁11と、ブレーカ壁11からチップ厚さ方向と垂直な方向に延びる平坦面12とを備えることを特徴とするスローアウェイチップ。
【選択図】 図1
Description
また、チップブレーカのうち、平面視においてコーナ刃に向けて突き出した部分に第1のブレーカ壁及び第2のブレーカ壁が設けられているので、切削条件によっては、例えば切刃側に流出して、第1のブレーカ壁にも第2のブレーカ壁にも当たらずに、切りくずが延び出てしまうという問題があった。
本発明は、多角形平板状をなすチップ本体の多角形面にすくい面が形成され、前記多角形面の辺稜部に前記多角形面のコーナ部を挟んで一対の切れ刃が形成されたスローアウェイチップであって、前記すくい面に前記辺稜部から離間するに従い前記チップ本体の厚さ方向に漸次後退するように形成された傾斜面と、該傾斜面から前記厚さ方向と垂直な方向に延びるブレーカ底面と、該ブレーカ底面から前記厚さ方向に前記切れ刃の高さを越えて漸次隆起するとともに、前記多角形面に対向する平面視において、前記コーナ部に向かって突出するブレーカ突起と、前記ブレーカ底面から前記厚さ方向に前記ブレーカ突起の高さを越えて漸次隆起するとともに、前記多角形面に対向する平面視において、ブレーカ突起の少なくとも終端側部から外方に向かって延在して前記切れ刃近傍まで連なるブレーカ壁と、該ブレーカ壁から前記厚さ方向と垂直な方向に延びる平坦面とを備えることを特徴とするスローアウェイチップを提供する。
これにより、切りくずが繋がり易い工作物を切削加工する場合であっても、切りくずを確実にカールさせて分断させることが可能となり、切屑処理性に優れる。その結果、高精度の仕上げ面粗さ、寸法精度等を得ることができ、工具寿命が向上する。また、絡みついた切りくずを除去するために工作機械の稼働を停止し、切削作業を中断する必要がなくなるため、加工効率が向上する。さらに、切りくず障害に原因する作業者のケガ等の事故を防止することで作業の安全性が確保される。
また、上記発明においては、前記ブレーカ突起の隆起角が20°以上26°以下であり、前記ブレーカ壁の隆起角が35°以上50°未満であることしてもよい。
このようにすることで、切りくずが最初に接触するブレーカ突起から受ける抵抗を最小限に抑えつつ、ブレーカ突起によって切りくずの排出方向を変化させることができるとともに、ブレーカ壁によって切りくずを確実に拘束し、カールさせて分断させることができるため、切屑処理性が向上する。
また、前記すくい面に対向する平面視において、前記ブレーカ突起の先端角が30°以上70°未満であることとしてもよい。
ここで、ブレーカ突起の先端角とは、ブレーカ突起をブレーカ底面と平行に切断した際に現れる稜線がなす角度をいう。
本実施形態に係るスローアウェイチップは、図1及び図2に示されるように、超硬合金、サーメット、セラミックス等から構成された略三角形平板状をなすチップ本体1と、該チップ本体1における上下一対の三角形面に形成されたすくい面2と、このすくい面2と交差する各側面に形成された逃げ面3と、これらすくい面2と逃げ面3とがなす辺稜部4に、三角形面の3つの角部に設けられた各コーナ部5を挟んで対称に延びる一対の切れ刃6a,6bとを備えるネガティブチップからなる。
換言すると、チップ厚さ方向におけるブレーカ底面9からブレーカ突起10の頂上までの高さが0.2mmであるのに対し、ブレーカ底面9からブレーカ突起11の頂上までの高さはブレーカ底面9を基準としたブレーカ突起10の高さの2倍の0.4mmに設定される。すなわち、ブレーカ底面9を基準とした場合において、
ブレーカ突起10の高さ:ブレーカ壁11の高さ=1:2
を満足するように設定される。
本実施形態に係るスローアウェイチップによれば、ブレーカ底面9とブレーカ突起10とブレーカ壁11とを備えるため、これらが障害物となって切削に伴い工作物から分離して流出する切りくずを適当な形状に変形させることとなる。つまり、これらブレーカ底面9、ブレーカ突起10及びブレーカ壁11がチップブレーカとして機能することにより、切削に伴って排出された切りくずが速やかにカールさせられて適当な小片に破断させられることとなる。さらに、傾斜面8とブレーカ底面9とブレーカ突起10とブレーカ壁11とでくぼみが形成されており、該くぼみが切削中の切りくずの生成、収容、排出を容易にするためのチップポケットのような役割を果たすこととなる。
このような構成により、切りくずが繋がり易い工作物を切削加工する場合であっても確実に切りくずを分断させることができ、また、切削速度、切込み量、送り量等の切削条件が異なる場合であっても、安定して切りくずを分断させることが可能となる。そのため、切込み量が大きい場合や、切削速度が速い場合における切削加工においても、切屑処理性に優れ、高い加工精度を得ることができる点で有用である。
すなわち、切削熱を受けて軟化した切りくずが、ブレーカ突起10に接触するまでの間に冷却されて、硬さが少し戻ったところでブレーカ突起10に接触し、その後にまたブレーカ壁11に突き当たるまでの間に冷却されて、さらに硬さが戻ったところでブレーカ壁11に拘束され、カールさせられて細かく分断されるような構成になっている。また、仮に、切りくずがブレーカ突起10に接触しなかったとしても、軟化した切りくずはブレーカ壁11に突き当たるまでの間に冷却されて、硬さが少し戻ったところでブレーカ壁11に拘束されるようになっている。
このような構成により、切削に伴って流出した切りくずが最初にチップ本体1に接触する際に受ける抵抗、つまり、ブレーカ突起10から受ける抵抗を最小限に抑えることができる。
例えば、自動車の部品などで多く使用される熱間圧延軟鋼板及び鋼帯(JIS G3131において規定されるSPHC)、冷間圧延鋼板及び鋼帯JIS G3141において規定されるSPCC)や機械構造用炭素鋼鋼材(JIS 4051において規定されるS10C)などを旋削加工する場合においても、切屑処理性に優れ、切削抵抗の低減及び工具寿命の向上を図ることができ、高い加工精度を得ることができる点で有用である。
また、本実施形態においては、ブレーカ突起10の形状を略二等辺三角形としたが、ブレーカ突起10の形状としては、特に限定されるものではなく、これに代えて略五角形、略七角形、U字形状等の他の任意の形状とすることができる。
また、本実施形態においては、平面視におけるコーナ部5に向かって突出するブレーカ突起10の先端は、剛性向上の観点から面取り等を施して丸みを帯びた形状とすることが好ましい。例えば、平面視において凸状をなすブレーカ突起10先端の曲率半径は0.05mm以上0.08mm以下の範囲内で設定されることが好ましい。
例えば、ブレーカ壁11を、図5(c)に示されるように、コーナ部5を挟む切れ刃6a側のランド7上から切れ刃6bのランド7上まで連なる壁から構成することにしてもよい。また、ブレーカ壁11を、ブレーカ突起10における切れ刃6a側の側面の終端から切れ刃6aに向かって円弧状に延在する壁と、ブレーカ突起10における切れ刃6b側の側面の終端から切れ刃6bに向かって円弧状に延在する壁とから構成することにしてもよい。また、ブレーカ壁11を、複数の長方形の壁をつなぎ合せたような、複数の平面から構成することにしてもよい。また、例えば複数の突起を並べて、それらがまとまって一つの壁をなすような構成としてもよい。
例えば、すくい角γは、17°以上25°以下の範囲内で設定されることが好ましく、有利には19°以上23°以下の範囲内で設定されることが好ましい。すくい角γを大きく設定することで、傾斜面8、ブレーカ底面9、ブレーカ突起10、及びブレーカ壁11とで形成されるくぼみが大きくなり、該くぼみがチップポケットのような役割を果たす結果、切屑排出性が向上するからである。また、このくぼみに沿って切りくずが流出されることで、材質の軟らかい易い工作物を切削加工する場合にあっては、ブレーカ突起10又はブレーカ壁11に接触するまでの間に、切削熱を受けて軟化した切りくずを冷却して、切りくずの圧縮を抑制することができるからである。また、すくい角γが大きすぎると、刃部の強度やチップ剛性に劣るからである。
例えば、切れ刃6からブレーカ突起10の先端までの距離L1は、0.7mm以上1.0mm以下の範囲内で設定されることが好ましく、有利には0.8mm以上0.9mm以下の範囲内で設定されることが好ましい。距離L1が0.7mm未満であると、切削熱を受けて軟化した切りくずが高温のままブレーカ突起10に接触することとなり、期待するような効果が得られないからである。また、距離L1が1.0mmを超えると、切りくずがブレーカ突起10に接触しない可能性が大きくなるからである。
例えば、ブレーカ突起10の隆起角α1は、20°以上26°以下の範囲内で設定されることが好ましく、有利にはその上限は24°とされることが好ましい。ブレーカ突起の隆起角が20°未満であると、切りくずがブレーカ突起を乗り越えてしまったり、ブレーカ突起に接触したとしても滑ってしまったりして、切屑の排出方向をコントロールすることができないからである。また、ブレーカ突起の隆起角が26°を超えると、ブレーカ突起から受ける抵抗が大きくなりすぎ、軟鋼、低炭素鋼等の材質の軟らかい易い工作物を切削加工する場合にあっては、切りくずが圧縮されて、直線状の詰まった切りくずが排出され、切削抵抗が増大し、加工物の仕上がりが悪くなるからである。また、切りくずがブレーカ壁11に突き当たる前にブレーカ突起10においてカールさせられてしまう可能性があり、ブレーカ突起10が切りくずの排出方向を制御するコントロール手段として機能せず、ブレーカ突起10とブレーカ壁11の双方を設けた意味がないからである。
例えば、ブレーカ突起10の先端角βは、30°以上70°未満の範囲内で設定されることが好ましく、有利には35°以上55°未満の範囲内で設定されることが好ましい。ブレーカ突起10の先端角βが30°未満であると、突起部分が細すぎるため切りくずのコントロール力が弱く、また、切りくずとの衝突や擦過によりブレーカ突起10が磨耗して切削加工中に欠損、破損等してしまう問題があるからである。また、ブレーカ突起10の先端角βが70°以上であると、ブレーカ突起10によってその排出方向が変化させられた切りくずが、ブレーカ壁11に当たらずにそのまま長く延び出てしまったり、ブレーカ壁11に当たらないで逃げ面3に当ってしまったりする恐れがあるからである。
例えば、切れ刃6からブレーカ壁11までの距離L2は、1.4mm以上1.9mm以下の範囲内で設定されることが好ましく、有利には1.5mm以上1.7mm以下の範囲内で設定されることが好ましい。距離L2が1.4mm未満であると、ブレーカ突起10に近接しすぎて排出方向の変化させられた切りくずがブレーカ壁11に接触しないで延び出てしまったり、平坦面12に乗り上げてしまったりする可能性があるからである。また、距離L2が1.9mmを超えると、切りくずがブレーカ壁11に当たらないで逃げ面3に当たってしまったりそのまま長く延び出てしまったりする恐れがあるからである。
例えば、ブレーカ底面9を基準としたブレーカ壁11の高さは、ブレーカ突起10の高さの1.4倍以上3.0倍以下の範囲内設定されることが好ましく、有利には1.8倍以上2.6倍以下の範囲内で設定されることが好ましい。ブレーカ壁11の高さがブレーカ突起10の高さの1.4倍未満であると、ブレーカ突起10によりその排出方向が変化させられた切りくずが、ブレーカ壁11を乗り越えてしまったり、ブレーカ突起10に接触したとしても平坦面12に乗り上げてしまったりする可能性があるからである。3.0倍を超えると、ブレーカ壁11が高すぎるため、切りくずが排出するためのスペースが小さくなり切りくずが詰まってしまうからである。
また、本実施形態においては、チップ本体1が取り付けられる切削工具としてスローアウェイバイトを例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、エンドミル、フライス等の多種の切削工具に取り付けて使用することができる。
2 すくい面
3 逃げ面
4 辺稜部
5 コーナ部
6 切れ刃
7 ランド
8 傾斜面
9 ブレーカ底面
10 ブレーカ突起
11 ブレーカ壁
12 平坦面
L1 切れ刃からブレーカ突起の先端までの距離
P 二等分線
α1 ブレーカ突起の隆起角
α2 ブレーカ壁の隆起角
β ブレーカ突起の先端角
γ すくい角
Claims (5)
- 多角形平板状をなすチップ本体の多角形面にすくい面が形成され、前記多角形面の辺稜部に前記多角形面のコーナ部を挟んで一対の切れ刃が形成されたスローアウェイチップであって、
前記すくい面に前記辺稜部から離間するに従い前記チップ本体の厚さ方向に漸次後退するように形成された傾斜面と、
該傾斜面から前記厚さ方向と垂直な方向に延びるブレーカ底面と、
該ブレーカ底面から前記厚さ方向に前記切れ刃の高さを越えて漸次隆起するとともに、前記多角形面に対向する平面視において、前記コーナ部に向かって突出するブレーカ突起と、
前記ブレーカ底面から前記厚さ方向に前記ブレーカ突起の高さを越えて漸次隆起するとともに、前記多角形面に対向する平面視において、ブレーカ突起の少なくとも終端側部から外方に向かって延在して前記切れ刃近傍まで連なるブレーカ壁と、
該ブレーカ壁から前記厚さ方向と垂直な方向に延びる平坦面とを備える
ことを特徴とするスローアウェイチップ。 - 前記ブレーカ壁における前記厚さ方向と垂直な方向に対する隆起角が、前記ブレーカ突起における前記厚さ方向と垂直な方向に対する隆起角よりも大きい
ことを特徴とする請求項1に記載のスローアウェイチップ。 - 前記ブレーカ突起の隆起角が20°以上26°以下であり、
前記ブレーカ壁の隆起角が35°以上50°未満である
ことを特徴とする請求項2に記載のスローアウェイチップ。 - 前記コーナ部の二等分線上における前記切れ刃から前記ブレーカ突起の先端までの距離が0.7mm以上1.0mm以下である
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のスローアウェイチップ。 - 前記すくい面に対向する平面視において、前記ブレーカ突起の先端角が30°以上70°未満である
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のスローアウェイチップ。
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