JP2009127714A - 空気ばね用筒状可撓膜体およびそれの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】所期した通りの構造を有する筒状可撓膜体を常に高精度に、かつ、材料歩留りの低下なしに安価に製造できる筒状可撓膜体を提供する。
【解決手段】インナーゴム層13およびカバーゴム層14と、それらの両層間に介装配置した二層のコード補強層5,6とを具えるとともに、両端部を、相対変位される上下の面板1,2に気密に連結されるものであって、インナーゴム層13およびカバーゴム層14の少なくとも一方をシームレスチューブ構造としてなる。
【選択図】図1
【解決手段】インナーゴム層13およびカバーゴム層14と、それらの両層間に介装配置した二層のコード補強層5,6とを具えるとともに、両端部を、相対変位される上下の面板1,2に気密に連結されるものであって、インナーゴム層13およびカバーゴム層14の少なくとも一方をシームレスチューブ構造としてなる。
【選択図】図1
Description
この発明は、たとえば、鉄道車両用、トラック・バス用、産業機械用等の比較的大型の空気ばね用として好適な、ベローズタイプもしくはダイアフラムタイプの筒状可撓膜体に関するものであり、とくには、筒状可撓膜体の表面への、歪の集中に原因をおく、いわゆるオゾンクラック等の発生を長期間にわたって有効に防止し得る技術を提案するものである。
空気ばね用の筒状可撓膜体としては、インナーゴム層とカバーゴム層との間に、コード交錯層になる、二層もしくは四層のコード補強層、多くは表裏両面に被覆ゴムを有するコード補強層を介装配置してなる構造を有するものが一般的であり、このような筒状可撓膜体は通常、シート状部材として準備した未加硫インナーゴム素材、コード補強層素材および、未加硫カバーゴム素材のそれぞれを、マンドレル,成型ドラム,フォーマー等の芯型の周面上に順次に巻き回して貼着させることによって筒状成型体とされ、その後、シェーピング工程を経て加硫成形することによって製造されている。
これがため、従来の筒状可撓膜体では、シート状部材として供給された未加硫インナーゴム素材等の全ての素材が、周方向の少なくとも一個所に、1〜10mm程度、補強層コードについてみれば1〜15本程度の重なり量になる重ね合わせ接合部を有することとなり、このようにして発生する各重ね合わせ接合部分は、非重ね合わせ部分に比して高い剛性を有することになるため、製造された筒状可撓膜体を空気ばねに適用して内圧の充填下で使用に供する場合に、その筒状可撓膜体の、前記重ね合わせ接合部分の近傍域にとくに大きな伸長歪が発生することに起因して、筒状可撓膜体の、通常は外表面に、図3に拡大断面図で誇張して例示するようなオゾンクラックOCが、比較的早期に発生し易いという問題があった。
なお、図4は、コード補強層の重ね合わせ接合に起因して、その接合部の近傍域で、筒状可撓膜体の外表面に発生するオゾンクラックOCを例示するものであるが、同様のオゾンクラックOCは、他の構成部材、たとえばゴム素材の重ね合わせ接合部分の隣接域にもまた発生することになる。
図5はこのことを、カバーゴム層の重ね合わせ接合部分との関連において示す拡大断面図であり、図中の仮想線は、カバーゴム素材の端部分の重ね合わせ接合態様を示す。
図5(a)に示すようなオゾンクラシックOCは、カバーゴム層の重ね合わせ接合に基づいて、コード補強層が、半径方向の内方側へ凸となる形態で加硫成形された筒状可撓膜体内への空気圧の充填によって、そのコード補強層が図5(b)に示すように直線状に整列変形された場合に、半径方向外方側に凸となる、カバーゴム層の重ね合わせ接合部分に隣接して位置して、剛性が低く、歪が集中し易い個所に発生するものと考えられる。
図5(a)に示すようなオゾンクラシックOCは、カバーゴム層の重ね合わせ接合に基づいて、コード補強層が、半径方向の内方側へ凸となる形態で加硫成形された筒状可撓膜体内への空気圧の充填によって、そのコード補強層が図5(b)に示すように直線状に整列変形された場合に、半径方向外方側に凸となる、カバーゴム層の重ね合わせ接合部分に隣接して位置して、剛性が低く、歪が集中し易い個所に発生するものと考えられる。
そしてまた、ゴム層の重ね合わせ接合部分には、このようなオゾンクラックとは別に、加硫成形時のゴムの流動に起因する、接合部の界面に沿ったいわゆるフロークラックも発生し易いという問題があった。
そこで、ゴム層から重ね合わせ接合部を取り除いて、筒状可撓膜体の耐久性の向上を図る技術が特許文献1に記載されている。
これは、「心型に、所要長さの2倍の長さの、予め円筒状に押出した継ぎ目のないゴムチューブを挿入し、この上にゴム引きスダレ織コードの補強層を1層だけ巻き付け、次に、心型の中央に設けられた溝に相当する箇所に、補強層の上からビードを巻き付けて固定する。次いで、心型に予め設けられた空気吹出口から微量の空気を吹き出し、ビードから右半分側の部分を膨らませながら左半分側に移行させると、ビードを境にして反転していく。この反転によって、ゴムチューブの半分が外被ゴムとなり、補強層は2層となる。この反転後、ビードのはいっている部分は不要となるので、心型上で周方向に切断して所定の長さのグリーン成形体を心型から抜き取る。」とするものである。
特開昭58−45938号公報
これは、「心型に、所要長さの2倍の長さの、予め円筒状に押出した継ぎ目のないゴムチューブを挿入し、この上にゴム引きスダレ織コードの補強層を1層だけ巻き付け、次に、心型の中央に設けられた溝に相当する箇所に、補強層の上からビードを巻き付けて固定する。次いで、心型に予め設けられた空気吹出口から微量の空気を吹き出し、ビードから右半分側の部分を膨らませながら左半分側に移行させると、ビードを境にして反転していく。この反転によって、ゴムチューブの半分が外被ゴムとなり、補強層は2層となる。この反転後、ビードのはいっている部分は不要となるので、心型上で周方向に切断して所定の長さのグリーン成形体を心型から抜き取る。」とするものである。
しかるに、この従来技術では、ゴムチューブの半部を、補強層と一体として適正に反転させることが甚だ困難であるとともに、その反転作業に多くの作業工数を要することになり、また、ビードの切断除去が、材料歩留りの低下をもたらすことになる他、作業工数の増加をもたらすことになるため、所期した通りの構造を有する筒状可撓膜体を、高い精度で確実に製造することが難しく、また、筒状可撓膜体のコストの増加が否めないという問題があった。
この発明は、従来技術が抱えるこのような問題点を解決することを課題とするものであり、それの主たる目的は、所期した通りの構造を有する筒状可撓膜体を常に高精度に、かつ、材料歩留りの低下なしに安価に製造できる筒状可撓膜体およびそれの製造方法を提供するにあり、他の目的は、コード補強層の重ね合わせ接合に対してもまた有効に対処して、オゾンクラックの発生を効果的に防止できる筒状可撓膜体およびそれの製造方法を提供するにある。
この発明に係る筒状可撓膜体は、インナーゴム層およびカバーゴム層と、それらの両層間に介装配置した一層以上のコード補強層、多くは、コード交錯層になる複数層のコード補強層とを具え、ビードリングを埋設配置されることもあるそれぞれの端部分を、中心軸線方向等に相対変位されるそれぞれの対向部材に気密に連結されるものであり、インナーゴム層およびカバーゴム層の少なくとも一方、なかでもとくにカバーゴム層をシームレスチューブ構造としてなるものである。
ここで好ましくは、単位のコード補強層、すなわち、各一層のコード補強層を、一枚のコードシート、多くは、表裏両面に被覆ゴムを有するコードシートの、複数回にわたる周回積層構造とするとともに、そのコードシートの周回端部を、周回積層部分に重ね合わせ接合させて構成する。
この場合、コードシートのコードの太さは、たとえば420D/2,210D/2もしくは210D/3等とすることができる。
また、コード補強層は、単位のコード補強層を二層もしくは四層配設して形成し、単位コード補強層の相互間で、コードシートのコードを、筒状可撓膜体の中心軸線に対して対称に延在させることが好ましい。
この場合、コードシートのコードの太さは、たとえば420D/2,210D/2もしくは210D/3等とすることができる。
また、コード補強層は、単位のコード補強層を二層もしくは四層配設して形成し、単位コード補強層の相互間で、コードシートのコードを、筒状可撓膜体の中心軸線に対して対称に延在させることが好ましい。
そして、また好ましくは、単一のコード補強層を、一枚のコードシートの一回の巻き回し構造とするとともに、そのコードシートの両端を突き合わせ接合させて構成し、より好ましくは、コードシートの突き合わせ接合部の端縁クリアランスを5mm以下とする。
なお、ここにおける接合部は、「突き合わせ接合部」であるので、端縁クリアランスは、正の値となることはあっても、負の値となることはあり得ない。
なお、ここにおける接合部は、「突き合わせ接合部」であるので、端縁クリアランスは、正の値となることはあっても、負の値となることはあり得ない。
またここでの「突き合わせ接合」は、一枚のコードシートそれ自体が、コード補強層内でのコードの延在角度を設定値に揃えるために、引き揃えコードの表裏両面に被覆ゴムを有するトリートコード等の、2個所以上の接合部を有するときに、そのようなコードシートによって構成されるコード補強層が、円周方向の一個所以上の個所に突き合わせ接合部を有する場合をも含むものとする。
ところで、コード補強層を複数層介装配置するときは、それぞれのコード補強層のそれぞれの接合部の位置を、その接合部が、重ね合わせ接合になると、突き合わせ接合になるとの別なく、周方向に相互に変位させることが好ましい。
また、この発明に係る空気ばね用筒状可撓膜体の製造方法は、インナーゴム層およびカバーゴム層と、それらの両層間に介装配置した一層以上のコード補強層とを具えるとともに、両端部を、相対変位されるそれぞれの対向部材に気密に連結される空気ばね用筒状可撓膜体を製造するに当って、マンドレル、成形ドラム、フォーマ等の芯型の周面上に、押出し成形等によって予め製造した、シームレスチューブからなる未加硫のインナーゴム素材をセットするとともに、この未加硫のインナーゴム素材上に、所要の層数のコード補強層素材のそれぞれを、コードシートの所定の巻き回し態様によって配設し、次いで、そのコード補強層素材止に、これもまた同様にして予め製造したシームレスチューブになる未加硫のカバーゴムの素材をセットし、しかる後、芯型から取り外したその成型体に対するシェーピングおよび加硫成形を順次に行うにある。
ここにおいて好ましくは、予め製造した、シームレスチューブになる未加硫カバーゴム素材を、内外表面を反転させながら、もしくは反転させた後、コード補強層素材上にセットする。
ところで、所要の筒状可撓膜体が、両端部にビードリングを有するものであるときは、上述したようにして、シームレスチューブからなる未加硫カバーゴム素材を、コード補強層素材上にセットするに先だって、コード補強層素材のそれぞれの端部分をビードリング部材の周りに巻き返すことが好ましい。
この発明に係る、筒状可撓膜体では、インナーゴム層およびカバーゴム層の少なくとも一方、より好適にはそれらの双方を、シームレスチューブ構造として、そのゴム層から周上の接合部を完全に排除することにより、ゴム層の、重ね合わせ接合部分の近傍域への歪の集中に起因する、筒状可撓膜体表面へのオゾンクラックの発生を効果的に防止できることはもちろん、ここにおける筒状可撓膜体では、芯型上に、所要の層を順次に積層配置して未加硫の可撓膜体を成型することで、コード補強層のコード交差角等をも含めて、所期した通りの構造を有する製品筒状可撓膜体を、簡易・迅速に、かつ、常に高い精度で製造することができ、また、成型体の余剰部分の切断除去を不要として、従来技術に比し、材料歩留りの向上および作業工数の低減、ひいては、製品可撓膜体の低廉化を実現することができる。
かかる筒状可撓膜体において、単位のコード補強層を、一枚のコードシートの、複数回、たとえば2回にわたる周回積層構造とするとともに、そのコードシートの周回端部分を周回積層部分に重ね合わせ接合させて構成し、これによって、単位のコード補強層に所定の強度を付与し、また、その補強層の厚みを所定のものとするときは、一枚のコードシートの一回の巻き回し構造の下で、所定の強度を有し、また、所定の厚みを有する単位のコード補強層を構成する場合に比して、用いるコードの太さが自と細くなり、たとえば、コードシートの二回の周回積層構造になって、周回端部分を、その二回の周回積層部分に重ね合わせ接合させて、単位のコード補強層を構成するときは、重ね合わせ接合部分の、非重ね合わせ部分に対する剛性比を、(3/2=)1.5とすることができ、この比は、所定の太さのコードを用い、コードシートの一回の巻き回し構造の下で、そのコードシートの端部分を、巻き回し部分に重ね合わせ接合させて、単位のコード補強層を構成する場合の剛性比(2/1=)2より相当小さい値となるので、単位コード補強層内の剛性段差を、その一回の巻き回し構造になる場合に比して有効に低減させることができ、この結果として、コードシートの重ね合わせ接合部の近傍域への歪の集中を有効に緩和することができる。
これがため、筒状可撓膜体の表面へのオゾンクラックの発生を効果的に抑制することができる。
これがため、筒状可撓膜体の表面へのオゾンクラックの発生を効果的に抑制することができる。
そして、単位のコード補強層をこのようにして構成する場合は、たとえば、鉄道車両用、トラック・バス用等の空気ばねのための筒状可撓膜体に従来から広く用いられている、一回の巻き回し構造の下で単位のコード補強層を構成する場合の、840D/2,1260D/2等のコードに比してはるかに細い、420D/2,210D/2もしくは210D/3のコードをコードシートとして用いることで、単位のコード補強層に、所定の厚みの下で、所定の強度を十分に付与することができる。
この一方で、単位のコード補強層を、上述したところに代えて、一枚のコードシートの一回の巻き回し構造とするとともに、そのコードシートの両端を突き合わせ接合させて構成するときは、単位コード補強層から、コードシートの重ね合わせ接合部を完全に取り除くことができるので、そのコード補強層内の剛性段差をより効果的に解消して、可撓膜体表面へのオゾンクラックの発生を一層有効に防止することができる。
ところで、この場合は、コードシートの突き合わせ接合部の端部クリアランスを5mm以下とすることで、多くは、コード交錯層になる複数層のコード補強層を埋設配置した筒状可撓膜体に所要の耐圧強度を十分に付与することができる。
すなわち、突き合わせ接合部の端縁クリアランスが5mmを越えると、コード補強層に、所期した耐張強度を発揮させることが難しくなって、筒状可撓膜体の耐圧強度が不足するうれいがある。
すなわち、突き合わせ接合部の端縁クリアランスが5mmを越えると、コード補強層に、所期した耐張強度を発揮させることが難しくなって、筒状可撓膜体の耐圧強度が不足するうれいがある。
なお、単位のコード補強層の構成態様が上記のいずれの場合にあっても、コード補強層を複数層介装配置し、それぞれのコード補強層の接合部の位置を、周方向に相互に変位させるときは、コード補強層の、強度の高い部分、または低い部分を周方向に分散配置させて、筒状可撓膜体全体としての、周方向での強度を十分均等なものとすることができる。
以上に述べたような筒状可撓膜体の、この発明に係る製造方法では、とくに、芯型の周面上に、予め製造したシームレスチューブからなる未加硫のインナーゴム素材を嵌め合わせてセットし、そして、この未加硫のインナーゴム素材上に、所要の層数のコード補強層素材、通常は複数層のコード補強層素材を、コードシートの所定の巻き回し態様によって、それぞれのコードシートを、中心軸線に対して5〜45°の角度で、相互に逆方向に、たとえば対称に延在させて配置し、次いで、コード補強層素材上に、これも予め製造したシームレスチューブからなる未加硫のカバーゴム素材をセットすることにより、所期した通りの構造を有する筒状可撓膜体を、少ない作業工数の下で高精度に製造することができ、また、成型体の余剰部分の切断除去を不要として、材料歩留りの低下を防止し、作業工数の増加を防止することができる。
そして、芯型上の成型体は、芯型からの取り外しの後、シェーピングおよび加硫成形を順次に行うことで製品可撓膜体とされ、このようにして製造された筒状可撓膜体では、インナーゴム層およびカバーゴム層のいずれにも重ね合わせ接合部が存在しないことから、それらのいずれのゴム層にも、接合部の界面に沿ったフロークラックの発生のおそれがないことはもちろん、歪の集中に原因をおく、オゾンクラックの発生をもまた効果的に防止することができる。
ここで、押出し成型等によって予め製造した、シームレスチューブからなる未加硫カバーゴム素材を、内外表面を反転させながら、もしくは反転させた後に、コード補強層素材上にセットする場合は、製造方法のいかんにかかわらず、予め製造されて、内面相互の粘着等を防止するべく、内周面に離型剤を、塗布、散布等されるその未加硫カバーゴム素材を、内周面の離型剤の影響なしに、コード補強層素材上に粘着等させることができ、また、コード補強層に十分に加硫接着させることができる。
この場合、未加硫カバーゴム素材の内外表面を反転させながらの、コード補強層素材上へのセットは、たとえば、そのカバーゴム素材の、一端側の外表面を、コード補強層素材上に拘束しながら、カバーゴム素材の他端側から加圧空気等を吹き込むことによって、そのカバーゴム素材を、一端側から順次に反転させて、それの外周面をコード補強層素材に粘着等させることによって行うことができる。
また、未加硫カバーゴム素材の、内外表面を反転させた後のコード補強層素材上へのセットは、たとえば、予め内外を反転させたそのカバーゴム素材を幾分の拡径姿勢に維持しつつ、コード補強層素材の外周側に嵌め合わせ、そこで拡径拘束力を除去して、その未加硫カバーゴム素材を、コード補強層素材上に接触する形状まで弾性復帰させることによって行うことができる他、芯型の拡径変形に基いて、コード補強層素材を、拡径姿勢に維持した未加硫カバーゴム素材の内周面に接触させることによって行うことができる。
ところで、筒状可撓膜体の両端部にビードリングを埋設配置する必要があるときは、未加硫カバーゴム素材を、コード補強層素材上にセットするに先だって、コード補強層素材のそれぞれの端部分を、芯型上でビードリング部材の周りに巻き返すことが、ビードリング部材の、加硫時における変位を拘束して、精度の高い筒状可撓膜体を製造する上で好ましい。
図1は、この発明に係るベロースタイプの筒状可撓膜体を、鉄道車両用空気ばねに適用した場合を例示する縦断面図であり、図2はその筒状可撓膜体を示す断面図である。
図1に示す空気ばねは、ばね上側の荷重を常用荷重として、それを所定の高さに維持するに必要な空気圧294〜490kpa(3〜5kg/cm2)を充填した常態姿勢で示すものであり、図中1は上面板を、2は下面板をそれぞれ示し、そして3は、ともに水平姿勢としたそれらの上下の面板1,2に、それぞれの端部を気密に連結した筒状可撓膜体を示す。
なお、図示のこの筒状可撓膜体3は各端部に埋設配置したビードリング4を具える。
図1に示す空気ばねは、ばね上側の荷重を常用荷重として、それを所定の高さに維持するに必要な空気圧294〜490kpa(3〜5kg/cm2)を充填した常態姿勢で示すものであり、図中1は上面板を、2は下面板をそれぞれ示し、そして3は、ともに水平姿勢としたそれらの上下の面板1,2に、それぞれの端部を気密に連結した筒状可撓膜体を示す。
なお、図示のこの筒状可撓膜体3は各端部に埋設配置したビードリング4を具える。
ここで、図示のこの筒状可撓膜体3はまた、ゴム中に埋設配置したコード交錯層になる二層のコード補強層5,6を具えてなり、それの独立下では、図2(a)に、半部を縦断面図で例示するように、全体としてほぼ円筒状をなす。
なおここでのコード補強層5,6のそれぞれは、補強層コードを、中心軸線に対して5〜45°の角度で、相互に逆方向にたとえば対称に延在させて交差させることが好ましい。
なおここでのコード補強層5,6のそれぞれは、補強層コードを、中心軸線に対して5〜45°の角度で、相互に逆方向にたとえば対称に延在させて交差させることが好ましい。
またここでは、図1に示すように、上面板1の中央部に、筒状可撓膜体3内への内圧の給排を司るノズル7を設け、そして、下面板2の下方側に、ビード受座8を介して、全体として円環状をなす積層ゴム9を取り付ける。
ところで、下面板それ自体には、筒状可撓膜体3の内側を積層ゴム9の内側に連通させる絞り通路10を、そして積層ゴム9には、その内側を、図示しない補助タンクに連通させるノズル11をそれぞれ設ける。
なお図中12は、上面板1に設けられて、筒状可撓膜体3の外周側部分に接触し、車両の前後方向および左右方向の所要のばね特性に応じて、その筒状可撓膜体3の変形を拘束するゴム部材を示す。
鉄道車両に従来から広く一般に使用されているこのような空気ばねは、たとえば、ばね上側の上下振動、左右振動および前後振動に対して所要のばね特性および減衰機能を十分に発揮することができる。
このような空気ばねに適用することができる筒状可撓膜体3は、たとえば、コード交錯層になる内外二層のコード補強層5,6を具えるとともに、それらのコード補強層5,6の内周側に位置するインナーゴム層13および、それらの外周側に位置するカバーゴム層14を具え、ここでの両ゴム層13,14はともに、円周方向のいずれの個所にも接合部、すなわち、図4示すような重ね合わせになる接合部、および、突き合わせ接合部のいずれをも有しないシームレスチューブ構造を有する。
ここで、コード交錯層になる二層のコード補強層5,6の、単位のコード補強層としての各コード補強層5,6は、図2(b)に、筒状可撓膜体3の要部を、それの中心軸線と直交する方向の拡大断面図で例示するように、好ましくは、コードの太さを、従来から一般的に用いられている1260D/2および840D/2に比してはるかに細い、420D/2,210D/2もしくは210D/3としたコードの引き揃えシートであるコードシート、より具体的には表裏の両面に被覆ゴムを有するコードシートを、図では二回にわたって周回させた周回積層構造とするとともに、一枚のそのコードシートの周回端部分を、外層側のコード補強層6について例示するように、周回積層部に、たとえば、1〜15mmの周方向長さにわたって重ね合わせ接合させることにより構成する。
この場合、内方側のコード補強層5の重ね合わせて接合部は、コード補強層6のそれとは円周方向に、たとえば180°位置をずらして形成されるので、図2(b)には表出されないことになる。
このような構造のコード補強層5,6を、たとえばコード太さが210D/2もしくは210D/3のものを用いて構成したときは、各補強層5,6の厚み、とくには、周回積層構造部分の厚みを1〜1.5mmとすることができ、この厚みは、図2(c)に拡大断面図で例示するように、840D/2のコードを用い、一枚のコードシートを、一回だけ巻き回して各コード補強層を構成する従来のものとほぼ同様のものとなる。
ところで、210D/2もしくは210D/3のコードそれ自体は、840D/2のコードに比して、太さの低減分だけ強度が低くなるも、この強度の低下分を、コードの打込密度の増加、すなわち、コードシードの周回数の増加をもって補うことで、単位のコード補強層としてみたときは、厚みの実質的な増加なしに、強度を同等のものとすることができる。
以上のような筒状可撓膜体3の製造は、たとえば、図3(a)に示すように、芯型としてのマンドレル21の周面上に、予め押出し成型等によって製造したシームレスチューブからなる未加硫のインナーゴム素材22をセットし、次いで、この未加硫インナーゴム素材上22に、図3(b)に示すように内層側のコード補強層5のためのコード補強層素材としての一枚の未加硫コードシート23を二回にわたって周回積層させるとともに、そのコードシートの周回端部分を周回積層部分に重ね合わせ接合させ、そして、図3(c)に示すように、外層側のコード補強層6のための他の一枚の未加硫コードシート24を、コード補強層5のためのコードとの間に所要のコード交角を確保しつつ、これもまた二回にわたって周回積層させるとともに、それの周回端部分を同様にして重ね合わせ接合させ、その後に、円筒状に形成された未加硫コードシート24の両端部分に、図3(d)に示すように、一対のビードリング部材25を配置するとともに、各ビードリング部材25の周りに、それぞれのコード補強層素材の端部分を、未加硫インナーゴム素材22の端部分とともに巻き返し、さらには、図3(e)に示すように、拡張マンドレル26上に配置した、これもシームレスチューブからなる未加硫カバーゴム素材27を、空気の吹き込み等によって拡張させるとともに表裏反転させて、その未加硫のカバーゴム素材27を、コード補強層素材上にセットして、全体として円筒状の成型体を構成し、しかる後、マンドレル21から取り外したその成型体を、所要の形状にシェーピングし、このようにして成型を終えた未加硫の筒状可撓膜体を、加硫機によって加硫成形することにより行うことができる。
筒状可撓膜体の以上のような製造工程において、予め製造したシームレスチューブからなる未加硫カバーゴム素材を、内外表面を反転させながら、または反転させた後に、コード補強層素材上にセットすることにより、未加硫カバーゴム素材の内周面に塗布、散布等される離型剤の、加硫接着等に及ぼす影響を十分に回避することができる。
なお、筒状可撓膜体3が図示のように両端部にビードリング4を具えるものであるときは、図3(d)に示すように、未加硫カバーゴム素材をコード補強層素材上にセットするに先だって、円筒状に形成された内外のコード補強層素材のそれぞれの端部分を、それらのコード補強層素材上に配置したそれぞれのビードリング部材25の周りに巻き返すことにより、ビードリング部材25の、所期した通りの位置への確実なる位置決め、および、それらの補強層素材、ひいては、各コード補強層5,6の、十分強固な固定を実現することができる。
以上、図2(b)および図3に示すところでは、単位のコード補強層5,6を、一枚のコードシートの二回にわたる周回積層構造とするとともに、そのコードシートの周回端部分を周回積層部分に重ね合わせ接合させて構成する場合について説明したが、単位のコード補強層5,6は、このことに代えて、図2(d),(e)に示すように、一枚のコードシートの一回の巻き回し構造とするとともに、そのコードシートの両端部を突き合わせ接合させて構成することもでき、この場合は、コード補強層5,6の接合部の端縁クリアランスC0,C1は5mm以下とすることが好ましい。
このことによれば、単位のコード補強層5,6内に、コードが重なり合う部分と、非重なり部分とが存在することを確実に防止することができ、これがため、コードの重なり部分の近傍域で、コードの非重なり部分に歪が集中するおそれを完全に除去することができる。
なお、図2(d)(e)に示すところでは、内外のそれぞれのコード補強層5,6をともに同様に構成し、一方の補強層5の突き合わせ接合部を、他方の補強層6の接合部に対して、円周方向に所定の角度、たとえば180°相対変位させて位置させたものとしているが、これらのそれぞれのコード補強層5,6については、いずれか一方のみが突き合わせ接合部を有し、他方が重ね合わせ接合部を有するものとすることも可能である。
以上、鉄道車両用のベローズタイプの空気ばねについて説明したが、この発明は、各種用途のダイフラムタイプの空気ばねに用いられる筒状可撓膜体にもまた適用することができる。
図1に示すような鉄道車両用の空気ばねにおいて、図2(a)に示すような形態を有する筒状可撓膜体の有効直径を540Φとし、その筒状可撓膜体の、耐オゾンクラック性を、空気ばねへの充填空気圧力を490kPa、空気ばねの軸線方向の振幅を±70mmとして、オゾン濃度50pphm、温度40℃の環境下でベンチ試験を行ったところ、カバーゴム層をシームレスチューブ構造とした実施例可撓膜体では、約150万回の振動で、コード補強層の重ね合わせ接合部の近傍域にオゾンクラックが発生した。
これに対し、カバーゴム層をオーバラップ接合構造とした比較例可撓膜体では、同様の試験で、約80万回の振動で、コード補強層の重ね合わせ接合部の近傍域にオゾンクラックが発生した。
なお、実施例および比較例の可撓膜体はいずれも、内外二層のコード補強層を具えるものとし、各コード補強層はともに、図2(c)に示すような重ね合わせ接合部を有するものとした。
なお、実施例および比較例の可撓膜体はいずれも、内外二層のコード補強層を具えるものとし、各コード補強層はともに、図2(c)に示すような重ね合わせ接合部を有するものとした。
1 上面板
2 下面板
3 筒状可撓膜体
4 ビードリング
5,6 コード補強層
13 インナーゴム層
14 カバーゴム層
21 マンドレル
22 未加硫インナーゴム素材
23、24 未加硫コードシート
25 ビードリング部材
26 拡張マンドレル
27 未加硫カバーゴム素材
2 下面板
3 筒状可撓膜体
4 ビードリング
5,6 コード補強層
13 インナーゴム層
14 カバーゴム層
21 マンドレル
22 未加硫インナーゴム素材
23、24 未加硫コードシート
25 ビードリング部材
26 拡張マンドレル
27 未加硫カバーゴム素材
Claims (9)
- インナーゴム層およびカバーゴム層と、それらの両層間に介装配置した一層以上のコード補強層とを具えるとともに、両端部を、相対変位されるそれぞれの対向部材に気密に連結される空気ばね用の筒状可撓膜体であって、
インナーゴム層およびカバーゴム層の少なくとも一方をシームレスチューブ構造としてなる空気ばね用筒状可撓膜体。 - 単位のコード補強層を、一枚のコードシートの、複数回にわたる周回積層構造とするとともに、そのコードシートの周回端部分を周回積層部分に重ね合わせ接合させて構成してなる請求項1に記載の空気ばね用筒状可撓膜体。
- 単位のコード補強層を、二層もしくは四層配設してなり、単位コード補強層の相互間で、コードシートのコードを筒状可撓膜体の中心軸線に対して対称に延在させてなる請求項2に記載の空気ばね用筒状可撓膜体。
- 単位のコード補強層を、一枚のコードシートの一回の巻き回し構造とするとともに、そのコードシートの両端を突き合わせ接合させて構成してなる請求項1に記載の空気ばね用筒状可撓膜体。
- コードシートの突き合わせ接合部の端縁クリアランスを5mm以下としてなる請求項4に記載の空気ばね用筒状可撓膜体。
- コード補強層を複数層介装配置し、それぞれのコード補強層の接合部の位置を、周方向に相互に変位させてなる請求項2〜5のいずれかに記載の空気ばね用筒状可撓膜体。
- インナーゴム層およびカバーゴム層と、それらの両層間に介装配置した一層以上のコード補強層とを具えるとともに、両端部を、相対変位されるそれぞれの対向部材に気密に連結される空気ばね用筒状可撓膜体を製造するに当り、
芯型の周面上に、シームレスチューブになる未加硫のインナーゴム素材をセットするとともに、この未加硫のインナーゴム素材上に、所要の層数のコード補強層素材を、コードシートの所定の巻き回し態様によって配置し、次いで、コード補強層素材上に、シームレスチューブになる未加硫のカバーゴム素材をセットし、しかる後、芯型から取り外したこの成型体に対するシェーピングおよび加硫成形を順次に行う空気ばね用筒状可撓膜体の製造方法。 - 予め製造した、シームレスチューブになる未加硫カバーゴム素材を、内外表面を反転させながら、もしくは反転させた後、コード補強層素材上にセットする請求項7に記載の空気ばね用筒状可撓膜体の製造方法。
- シームレスチューブになる未加硫カバーゴム素材を、コード補強層素材上にセットするに先だって、コード補強層素材のそれぞれの端部分をビードリング部材の周りに巻き返す請求項7もしくは8に記載の空気ばね用筒状可撓膜体方法。
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---|---|---|---|---|
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2007
- 2007-11-21 JP JP2007302204A patent/JP2009127714A/ja active Pending
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