JP2009127669A - 変速機における摩擦クラッチの冷却構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】湿式摩擦クラッチから排出された潤滑油がその周囲に充満して、冷却効率が低下したり湿式摩擦クラッチの間の撹拌抵抗が増大するのを防止する。
【解決手段】変速機ケース10の前後方向中間部に隔壁10aを設けるとともにその前部を前部カバープレート11により液密に閉じ、隔壁と前部カバープレートの間のクラッチ室12内に、外周に開口16aを設けたクラッチケース16を有する多板摩擦クラッチ15を回転自在に支持する。クラッチケースと同軸的に配置されて軸線方向一端部が前部カバープレートに取り付けられた案内筒21によりクラッチケースの外周を一定の隙間をあけて覆い、クラッチケースの外周に取り付けられて外側縁が案内筒の内周面に接触しない程度に接近されたらせん状突起20の回転により、クラッチケースと案内筒の間の潤滑油を案内筒の端部からクラッチ室内に掻き出す。
【選択図】図1
【解決手段】変速機ケース10の前後方向中間部に隔壁10aを設けるとともにその前部を前部カバープレート11により液密に閉じ、隔壁と前部カバープレートの間のクラッチ室12内に、外周に開口16aを設けたクラッチケース16を有する多板摩擦クラッチ15を回転自在に支持する。クラッチケースと同軸的に配置されて軸線方向一端部が前部カバープレートに取り付けられた案内筒21によりクラッチケースの外周を一定の隙間をあけて覆い、クラッチケースの外周に取り付けられて外側縁が案内筒の内周面に接触しない程度に接近されたらせん状突起20の回転により、クラッチケースと案内筒の間の潤滑油を案内筒の端部からクラッチ室内に掻き出す。
【選択図】図1
Description
本発明は、変速機における摩擦クラッチの冷却構造、特に湿式摩擦クラッチを冷却する潤滑油の排出を向上させるためのクラッチ周辺の構造の改良に関する。
湿式摩擦クラッチを備えた変速機としては、例えば特許文献1(特開2005−299708号公報)に開示されたものがある。これは、変速機ケースの前側に入力クラッチハウジングを設けるとともに、入力クラッチハウジング内にフロントカバーを設けて油潤滑がなされる第2収装室を画成し、変速機ケースと入力クラッチハウジングの間を仕切ってこの第2収装室入力のクラッチハウジング側に形成されたクラッチ室内に、多段変速機の入力軸に取り付けられる湿式の電磁多板クラッチ(湿式摩擦クラッチ)を設けたものである。
この種の変速機では、第2収装室の潤滑油はオイルポンプにより湿式摩擦クラッチ内に供給され、遠心力により湿式摩擦クラッチの内部を通ってこれを冷却してクラッチケースの外周の開口からクラッチ室内に排出され、排出されたこの潤滑油は変速機ケースと入力クラッチハウジングの間の仕切りに形成した連通孔を通して変速機ケース内に戻される。
特開2005−299708号公報(請求項4、段落〔0013〕、図2)。
上述した特許文献1による技術では、湿式摩擦クラッチからクラッチ室内に排出された潤滑油は湿式摩擦クラッチの周囲に充満して連れ回り、すぐには変速機ケース内に戻らないので、湿式摩擦クラッチ内に供給された潤滑油がクラッチケースの外周の開口から排出されるのを妨げて冷却効率が低下し、またこのように充満された潤滑油と湿式摩擦クラッチの間の撹拌抵抗により変速機の効率の低下、ひいては燃料消費率の増大をまねくという問題がある。本発明はこのような問題を解決することを目的とする。
このために、本発明による変速機における摩擦クラッチの冷却構造は、前後方向中間部に隔壁を形成した筒状の変速機ケースの前部を前部カバープレートにより液密に閉じて隔壁と前部カバープレートの間にクラッチ室を形成するとともに隔壁の後側に変速機室を形成し、変速機室内に設けた変速機構の入力軸の先端部を軸受を介して隔壁に支持させるとともにクラッチ室内に突出させ、湿式摩擦クラッチの円筒状のクラッチケースとこれに同軸的に回転自在に設けられて離脱可能に摩擦係合されるハブ部の何れか一方をクラッチ室内に突出する変速機構入力軸の先端部に連結し、クラッチケースとハブ部の他方に連結されて変速機構入力軸と同軸的に前側に突出するクラッチ入力軸を軸受を介して前部カバープレートに支持させてそれより前方に突出させ、クラッチケースの外周部には変速機室内から湿式摩擦クラッチ内に供給した冷却用の潤滑油を排出する開口を形成し、隔壁の下部にはクラッチ室内と変速機室内を連通する下部連通孔を形成してなる変速機において、クラッチケースと同軸的に配置され軸線方向一端部が隔壁または前部カバープレートに取り付けられてクラッチケースの外周の実質的に全部を半径方向に一定の隙間をあけて覆う円筒状の案内筒と、クラッチケースの外周に取り付けられ外側縁が案内筒の内周面に接触しない程度に接近されて湿式摩擦クラッチの回転によりクラッチケースと案内筒の間に存在する潤滑油を案内筒の端部からクラッチ室内に掻き出す少なくとも1つのらせん状突起よりなることを特徴とするものである。
前項に記載の変速機における摩擦クラッチの冷却構造において、らせん状突起は湿式摩擦クラッチの通常方向回転の際にクラッチケースと案内筒の間に存在する潤滑油を案内筒が取り付けられる隔壁または前部カバープレートと反対側に掻き出すようなつる巻き角を有することが好ましい。
前項に記載の変速機における摩擦クラッチの冷却構造において、案内筒は前部カバープレートに取り付けられ、らせん状突起は湿式摩擦クラッチの通常方向回転の際にクラッチケースと案内筒の間に存在する潤滑油を隔壁側に掻き出すようなつる巻き角を有するものとすることが好ましい。
前項に記載の変速機における摩擦クラッチの冷却構造において、変速機ケースに取り付けられてらせん状突起の回転によりクラッチケースと案内筒の間から掻き出されて下方に流れ落ちる潤滑油を受け止める前後方向に延びる樋部が形成されたオイルガイドを湿式摩擦クラッチと隔壁の間となるクラッチ室内に設け、隔壁には樋部に連なる連通孔を形成することが好ましい。
前項に記載の変速機における摩擦クラッチの冷却構造において、オイルガイドは、倒立U字断面形状で変速機構入力軸を覆うように前後方向に延びる本体部と、この本体部の両側部の上部の外側に設けられた1対の上側樋部と、両側部の下部の外側に設けられた1対の下側樋部よりなることが好ましい。
請求項1に記載の発明によれば、クラッチケースと同軸的に配置され軸線方向一端部が隔壁または前部カバープレートに取り付けられてクラッチケースの外周の実質的に全部を半径方向に一定の隙間をあけて覆う円筒状の案内筒と、クラッチケースの外周に取り付けられ外側縁が案内筒の内周面に接触しない程度に接近されて湿式摩擦クラッチの回転によりクラッチケースと案内筒の間に存在する潤滑油を案内筒の端部からクラッチ室内に掻き出す少なくとも1つのらせん状突起よりなるので、湿式摩擦クラッチからクラッチケースと案内筒の間に排出された潤滑油は、らせん状突起により直ちに掻き出されて案内筒の端部からクラッチ室の下部に流れ落ち、隔壁の下部に形成した下部連通孔から変速機室内に戻される。これにより、湿式摩擦クラッチの周囲に潤滑油が充満されることはないので、湿式摩擦クラッチ内を通ってクラッチケースの開口から排出される潤滑油の排出が妨げられて冷却効率が低下することはなく、また湿式摩擦クラッチと潤滑油の間の撹拌抵抗もなくなるので変速機の効率の低下、ひいては燃料消費率の増大をまねくこともなくなる。
らせん状突起は湿式摩擦クラッチの通常方向回転の際にクラッチケースと案内筒21の間に存在する潤滑油を案内筒が取り付けられる隔壁または前部カバープレートと反対側に掻き出すようなつる巻き角を有する請求項2の発明によれば、湿式摩擦クラッチからクラッチケースと案内筒の間に排出された潤滑油は、らせん状突起により直ちに掻き出されて案内筒の自由に解放された端部と隔壁または前部カバープレートの間の隙間からクラッチ室の下部に流れ落ち、隔壁の下部に形成した下部連通孔から変速機室内に戻される。自由に解放された案内筒の端部と隔壁または前部カバープレートの間の隙間は充分大きくすることができ、クラッチケースと案内筒の間の潤滑油は速やかに排出されるので、湿式摩擦クラッチ内を通ってクラッチケースの開口から排出される潤滑油の排出を妨げる作用は一層少なくなる。従って冷却効率の低下は一層少なくなり、また湿式摩擦クラッチと潤滑油の間の撹拌抵抗も一層減少する。
案内筒は前部カバープレートに取り付けられ、らせん状突起は湿式摩擦クラッチの通常方向回転の際にクラッチケースと案内筒の間に存在する潤滑油を隔壁側に掻き出すようなつる巻き角を有するものとした請求項3の発明によれば、湿式摩擦クラッチからクラッチケースと案内筒の間に排出された潤滑油は、らせん状突起により下部連通孔が形成される隔壁側に掻き出されてクラッチ室の下部に流れ落ち、直ちに下部連通孔から変速機室内に戻されてクラッチ室内の潤滑油量が減少するので、クラッチケースの開口から排出される潤滑油の排出が妨げられることによる冷却効率の低下及び湿式摩擦クラッチと潤滑油の間の撹拌抵抗はさらに一層少なくなる。
変速機ケースに取り付けられてらせん状突起の回転によりクラッチケースと案内筒の間から掻き出されて下方に流れ落ちる潤滑油を受け止める前後方向に延びる樋部が形成されたオイルガイドを湿式摩擦クラッチと隔壁の間となるクラッチ室内に設け、隔壁には樋部に連なる連通孔を形成した請求項4の発明によれば、クラッチケースと案内筒の間に排出されてらせん状突起により下部連通孔が形成された隔壁側に掻き出されて流れ落ちる潤滑油の一部は樋部により受け止められ、下部連通孔とは別の連通孔を通って変速機室内に戻される。このようにクラッチ室内の潤滑油は下部連通孔だけではなく樋部及び連通孔を通っても変速機室内に戻され、これによりクラッチ室内から変速機室内に戻される潤滑油量が多くなってクラッチ室内の潤滑油量が一層減少するので、クラッチケースの開口から排出される潤滑油の排出が妨げられることによる冷却効率の低下及び湿式摩擦クラッチと潤滑油の間の撹拌抵抗はさらに一層少なくなる。
また、オイルガイドは、倒立U字断面形状で変速機構入力軸を覆うように前後方向に延びる本体部と、この本体部の両側部の上部の外側に設けられた1対の上側樋部と、両側部の下部の外側に設けられた1対の下側樋部よりなるものとした請求項5の発明によれば、前述と同様、らせん状突起によりクラッチケースと案内筒の間から掻き出されて、オイルガイドの本体部の上部から両側部の外側に沿って流れ落ちる潤滑油の一部は、1対の上側樋部により受け止められて下部連通孔とは別の第1の連通孔を通って変速機室内に戻され、残る潤滑油の一部は1対の下側樋部により受け止められて下部連通孔及び第1の連通孔とはさらに別の第2の連通孔を通って変速機室内に戻される。このようにクラッチ室内の潤滑油は下部連通孔だけではなく上側及び下側樋部並びにそれぞれの連通孔を通っても変速機室内に戻され、これによりクラッチ室内から変速機室内に戻される潤滑油量が一層多くなってクラッチ室内の潤滑油量がさらに一層減少するので、クラッチケースの開口から排出される潤滑油の排出が妨げられることによる冷却効率の低下及び湿式摩擦クラッチと潤滑油の間の撹拌抵抗はさらに一層少なくなる。
以下に、図1〜図3により、本発明による変速機における摩擦クラッチの冷却構造を実施するための最良の形態の説明をする。この実施形態による摩擦クラッチの冷却構造を備えた変速機は、変速機ケース10の前後方向中間部に隔壁10aを設けるとともにその前部を前部カバープレート11により液密に閉じ、隔壁10aと前部カバープレート11の間のクラッチ室12内に回転自在に支持された湿式摩擦クラッチ15の外周にらせん状突起20を固定し、一端が前部カバープレート11に固定された案内筒21を湿式摩擦クラッチ15と同軸的に配置し、また隔壁10aに固定されたオイルガイド30を湿式摩擦クラッチ15の後側に配置したものである。
主として図1及び図3に示すように、変速機ケース10は筒状で、エンジンに連結される前部のベルハウジング10bと後部の本体部10cの間には隔壁10aが形成されている。ベルハウジング10b内の前部に液密にボルト止めされた前部カバープレート11と隔壁10aの間にはクラッチ室12が形成され、本体部10cの後端に液密にボルト止めされた後カバー(図示省略)と隔壁10aの間には変速機室13が形成されている。変速機室13内に設けられる変速機構(図示省略)の入力軸19の先端部は転がり軸受14bを介して隔壁10aに支持されてクラッチ室12内に突出されている。隔壁10aの最下部には、クラッチ室12と変速機室13を連通する1対の下部連通孔10dが形成され、また隔壁10aの上下方向中間部とその下側にもそれぞれ同様な1対の第1及び第2連通孔36,37が形成されている。
湿式摩擦クラッチ15は、主として図1に示すように、入力側ボス部16bが同軸的に一体形成されたクラッチケース16と、これと同軸的に回転自在に支持されて出力側ボス部17が同軸的に一体形成されたハブ部と、互いに交互に重ねられて外周部がクラッチケース16に軸線方向移動可能に係合された複数のフリクションプレート及び内周部がハブ部に軸線方向移動可能にスプライン係合された複数のクラッチプレート(何れも図示省略)よりなり、通常はスプリングにより押圧されているフリクションプレート及びクラッチプレートを電磁石の作用により離脱させる電磁式の湿式多板クラッチである。クラッチケース16の外周部には、フリクションプレートの外周の突部と軸線方向移動可能に係合される複数のスリット(開口)16aが、軸線方向に沿って形成されている。
湿式摩擦クラッチ15は、そのハブ部の出力側ボス部17がクラッチ室12内に突出する変速機構入力軸19の先端部に同軸的にスプライン結合されて取り付けられ、クラッチケース16の入力側ボス部16bに同軸的にスプライン結合されたクラッチ入力軸18が転がり軸受14aを介して前部カバープレート11に支持される。これにより湿式摩擦クラッチ15は、クラッチ室12内に前部カバープレート11側に寄せて回転自在に支持される。前部カバープレート11から前側に突出するクラッチ入力軸18の先端部は、軸継ぎ手を介してエンジンの出力軸に連結される。
前部カバープレート11のクラッチ室12側には、クラッチケース16と同軸的に配置された円筒状の案内筒21の軸線方向一端部がねじ止めなどにより取り付けられており、この案内筒21はクラッチケース16の外周の全長を相当な一定の隙間をあけて覆っている。クラッチケース16の外周部には、4本の略円弧状の薄い帯板よりなるらせん状突起20の内側縁が固着されて半径方向に突出され、その外側縁は案内筒21の内周面に接触しない程度に接近されている。この各らせん状突起20は、湿式摩擦クラッチ15がエンジンにより駆動される場合の矢印Rで示す通常方向回転の際に、クラッチケース16と案内筒21の間に存在する潤滑油を、矢印Sで示すように隔壁10a側に掻き出すようなつる巻き角αを有している。
オイルポンプ(図示省略)により変速機室13の底部から吸入された潤滑油は、変速機構入力軸19内に形成された油路を通って湿式摩擦クラッチ15内に供給され、フリクションプレート及びクラッチプレートの間を通って湿式摩擦クラッチ15を潤滑するとともに冷却し、クラッチケース16のスリット16aからクラッチケース16と案内筒21の間に排出される。このようにクラッチケース16と案内筒21の間に排出された潤滑油は、矢印Sに示すようにらせん状突起20により隔壁10a側に掻き出される。
オイルガイド30は、クラッチ室12内に前部カバープレート11側に寄せて支持された湿式摩擦クラッチ15と隔壁10aの間に設けられ、一体的に形成された本体部31と各1対の上側及び下側樋部32,33により構成されている。図1及び図3に示すように、本体部31は半円弧状の上部31aとその両側から下方に延びる両側部31b,31bよりなる倒立U字断面形状で、上側及び下側樋部32,33は各側部31bの上部及び下部の外側に設けられている。各上側及び下側樋部32,33は、それぞれ本体部31の一部とともに上側が解放された断面コ字状を形成し、何れも湿式摩擦クラッチ15側の端面は閉じられ、隔壁10a側の端面は解放されている。各上側樋部32の湿式摩擦クラッチ15側の端面は、円弧状のフランジ32aにより連結され、また各下側樋部33は各上側樋部32より外側に突出されている。
このオイルガイド30は、本体部31が前後方向に延びて変速機構入力軸19を覆うように配置し、各上側及び下側樋部32,33の底面の隔壁10a側となる端部から下方に突出する取付ラグ34を隔壁10aに当接して、ボルト35により隔壁10aに取り付けられる。この取り付け状態では、隔壁10aに形成した各第1及び第2連通孔36,37は、各上側及び下側樋部32,33の解放された端面内に連通されている。また湿式摩擦クラッチ15及び案内筒21とオイルガイド30の間には、接触しない程度の隙間が設けられている。
前述のようにらせん状突起20により隔壁10a側に掻き出された潤滑油はオイルガイド30の本体部31の上部31aから両側部31bの外側に沿って流れ落ち、その一部は1対の上側樋部32により受け止められて第1連通孔36を通って変速機室13内に戻され、残る潤滑油の一部は1対の下側樋部33により受け止められて第2連通孔37を通って変速機室13内に戻され、さらに残った潤滑油はクラッチ室12の底部から下部連通孔10dを通って変速機室13内に戻される。
上述のように、湿式摩擦クラッチ15を潤滑するとともに冷却し、クラッチケース16のスリット16aからクラッチケース16と案内筒21の間に排出された潤滑油は、らせん状突起20により直ちに掻き出されて案内筒21の端部からクラッチ室12の下部に流れ落ち、隔壁10aに形成した連通孔10d,36,37から変速機室13内に戻される。クラッチケース16と案内筒21の間からクラッチ室12内に掻き出された潤滑油は、案内筒21により遮られてクラッチケース16と案内筒21の間に戻されることはない。これにより、湿式摩擦クラッチ15の周囲に潤滑油が充満されることはないので、湿式摩擦クラッチ内を通ってクラッチケース16の開口16aから排出される潤滑油の排出が妨げられて冷却効率が低下することはなく、また湿式摩擦クラッチと潤滑油の間の撹拌抵抗もなくなるので変速機の効率の低下、ひいては燃料消費率の増大をまねくこともなくなる。
上述した実施形態では、案内筒21は前部カバープレート11に取り付け、らせん状突起20はクラッチケース16と案内筒21の間の潤滑油を湿式摩擦クラッチ15の通常方向回転の際に、矢印Sに示すように隔壁10a側に向けて掻き出しており、このようにすれば掻き出された潤滑油は自由に解放された案内筒21の端部と隔壁10aの間に形成される大きな隙間からクラッチ室12内に流れ落ち、クラッチケース16と案内筒21の間の潤滑油は速やかに排出されるので、湿式摩擦クラッチ内を通ってクラッチケース16の開口16aから排出される潤滑油の排出も速やかになって冷却効率の低下はきわめて少なくなり、また湿式摩擦クラッチと潤滑油の間の撹拌抵抗も大きく減少する。しかしながら本発明はこれに限られるものではなく、らせん状突起20はクラッチケース16と案内筒21の間の潤滑油を湿式摩擦クラッチ15の通常方向回転の際に、矢印Sとは逆向きに前部カバープレート11側に向けて掻き出し、らせん状突起20の根本部に円周方向に沿って二点鎖線Tで示すような排出口を複数形成して、そこからクラッチ室12内に排出するようにしてもよい。なお上述した実施形態では、湿式摩擦クラッチ15は、クラッチケース16を入力側とし、ハブ部を出力側としたが、これと逆にハブ部を入力側とし、クラッチケース16を出力側とするようにしてもよい。
また上述した実施形態では、案内筒21は前部カバープレート11に取り付け、らせん状突起20は湿式摩擦クラッチ15の通常方向回転の際にクラッチケース16と案内筒21の間の潤滑油を隔壁10a側に掻き出すようにしており、このようにすれば潤滑油は連通孔10d,36,37が形成された隔壁10a側に接近した位置に掻き出されてクラッチ室12内に流れ落ち、連通孔10d,36,37から変速機室13内に戻り易いので、クラッチケース16の開口16aから排出される潤滑油の排出が妨げられることによる冷却効率の低下及び湿式摩擦クラッチと潤滑油の間の撹拌抵抗はさらに一層少なくなる。
また上述した実施形態では、倒立U字断面形状の両側部31bの上部と下部の外側にそれぞれ1対の上側樋部32と下側樋部33を設けたオイルガイド30を湿式摩擦クラッチ15と隔壁10aの間となるクラッチ室12内に設けており、このようにすればらせん状突起20によりクラッチケース16と案内筒21の間から掻き出された潤滑油は、オイルガイド30の本体部31の上部31aから両側部31bの外側に沿って流れ落ち、その一部は1対の上側樋部32により受け止められて下部連通孔10dとは別の第1の連通孔36を通って変速機室13内に戻され、残る潤滑油の一部は1対の下側樋部33により受け止められて下部連通孔10d及び第1の連通孔36とはさらに別の第2の連通孔37を通って変速機室13内に戻される。このようにクラッチ室12内の潤滑油は下部連通孔10dだけではなく上側及び下側樋部32,33並びにそれぞれの連通孔36,37を通っても変速機室13内に戻され、これによりクラッチ室12内から変速機室13内に戻される潤滑油量が一層多くなってクラッチ室12内の潤滑油量がさらに一層減少するので、クラッチケース16の開口16aから排出される潤滑油の排出が妨げられることによる冷却効率の低下及び湿式摩擦クラッチと潤滑油の間の撹拌抵抗はさらに一層少なくなる。なお上述した実施形態では、オイルガイド30に設けた樋部32,33と隔壁10aに形成した連通孔36,37はそれぞれ上下各1対の各4個としたが、その数は各4個に限らず、それより少なくまたは多くしてもよい。
上述した実施形態では、本発明を通常の湿式多板摩擦クラッチを備えた変速機に適用した場合につき説明したが、本発明は例えば特開2007−255558号公報に開示されたようなデュアルクラッチを備えた変速機に適用することも可能である。このデュアルクラッチは、クラッチ入力軸に連結される共通のクラッチケースと、このクラッチケース内に同軸的に互いに独立して回転自在に設けられた第1及び第2ハブ部と、このクラッチケースと各ハブ部を互いに独立して離脱可能に連結する2組のフリクションプレート及びクラッチプレートと、それらの離脱連結を独立して制御する2個の電磁石よりなるものである。この場合には、変速機構入力軸は第1変速機構入力軸及びそれを同軸的に囲んで回転自在に設けられた筒状の第2変速機構入力軸よりなるものとして、第1及び第2ハブ部をそれぞれ第1及び第2変速機構入力軸に連結し、共通のクラッチケースに本発明と同様のらせん状突起を設けるとともに案内筒で囲い、また必要に応じて本発明と同様のオイルガイドを設けて実施すればよい。
10…変速機ケース、10a…隔壁、10d…下部連通孔、11…前部カバープレート、12…クラッチ室、13…変速機室、14a,14b…転がり軸受、15…湿式摩擦クラッチ、16…クラッチケース、16a…開口(スリット)、18…クラッチ入力軸、19…変速機構入力軸、20…らせん状突起、21…案内筒、30…オイルガイド、31…本体部、31b…両側部、32…上側樋部、33…下側樋部、36…第1連通孔、37…第2連通孔。
Claims (5)
- 前後方向中間部に隔壁を形成した筒状の変速機ケースの前部を前部カバープレートにより液密に閉じて前記隔壁と前部カバープレートの間にクラッチ室を形成するとともに前記隔壁の後側に変速機室を形成し、前記変速機室内に設けた変速機構の入力軸の先端部を軸受を介して前記隔壁に支持させるとともに前記クラッチ室内に突出させ、湿式摩擦クラッチの円筒状のクラッチケースとこれに同軸的に回転自在に設けられて離脱可能に摩擦係合されるハブ部の何れか一方を前記クラッチ室内に突出する前記変速機構入力軸の先端部に連結し、前記クラッチケースとハブ部の他方に連結されて前記変速機構入力軸と同軸的に前側に突出するクラッチ入力軸を軸受を介して前記前部カバープレートに支持させてそれより前方に突出させ、前記クラッチケースの外周部には前記変速機室内から前記湿式摩擦クラッチに供給した冷却用の潤滑油を排出する開口を形成し、前記隔壁の下部には前記クラッチ室内と変速機室13内を連通する下部連通孔を形成してなる変速機において、
前記クラッチケースと同軸的に配置され軸線方向一端部が前記隔壁または前部カバープレートに取り付けられて前記クラッチケースの外周の実質的に全部を半径方向に一定の隙間をあけて覆う円筒状の案内筒と、前記クラッチケースの外周に取り付けられ外側縁が前記案内筒の内周面に接触しない程度に接近されて前記湿式摩擦クラッチの回転により前記クラッチケースと案内筒の間に存在する潤滑油を前記案内筒の端部から前記クラッチ室内に掻き出す少なくとも1つのらせん状突起よりなることを特徴とする変速機における摩擦クラッチの冷却構造。 - 請求項1に記載の変速機における摩擦クラッチの冷却構造において、前記らせん状突起は前記湿式摩擦クラッチの通常方向回転の際に前記クラッチケースと案内筒の間に存在する潤滑油を前記案内筒が取り付けられる前記隔壁または前部カバープレートと反対側に掻き出すようなつる巻き角を有することを特徴とする変速機における摩擦クラッチの冷却構造。
- 請求項2に記載の変速機における摩擦クラッチの冷却構造において、前記案内筒は前記前部カバープレートに取り付けられ、前記らせん状突起は前記湿式摩擦クラッチの通常方向回転の際に前記前記クラッチケースと案内筒の間に存在する前記潤滑油を前記隔壁側に掻き出すようなつる巻き角を有することを特徴とする変速機における摩擦クラッチの冷却構造。
- 請求項3に記載の変速機における摩擦クラッチの冷却構造において、前記変速機ケースに取り付けられて前記らせん状突起の前記回転により前記前記クラッチケースと案内筒の間から掻き出されて下方に流れ落ちる潤滑油を受け止める前後方向に延びる樋部が形成されたオイルガイドを前記湿式摩擦クラッチと隔壁の間となる前記クラッチ室内に設け、前記隔壁には前記樋部に連なる連通孔を形成したことを特徴とする変速機における摩擦クラッチの冷却構造。
- 請求項4に記載の変速機における摩擦クラッチの冷却構造において、前記オイルガイドは、倒立U字断面形状で前記変速機構入力軸を覆うように前後方向に延びる本体部と、この本体部の両側部の上部の外側に設けられた1対の上側樋部と、前記両側部の下部の外側に設けられた1対の下側樋部よりなることを特徴とする変速機における摩擦クラッチの冷却構造。
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