JP2009127640A - 緩衝装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】サスペンション用の緩衝装置において、荷重入力初期の低ばね特性の領域を長くし、且つばね特性曲線の立ち上がり時期を早めて短いストロークで高荷重を吸収する。
【解決手段】自動車のサスペンションのピストンロッド15に取り付けられる緩衝装置1である。ピストンロッド15に外挿される上側筒部25と、上側筒部25の下面25aから下方に延びている下側筒部35とからなるダストカバー本体5を有するダストカバー3と、上面7aが上側筒部25の下面25aと接するように下側筒部35の内部に設けられ、ピストンロッド15に外挿されるバンプストッパ7と、上面9dが上側筒部25の下面25aと接するように下側筒部35とバンプストッパ7との間に設けられた剛性リング9とを備えている。バンプストッパ7のうち、剛性リング9に対応する部分以外の部分が、荷重入力時に変形して剛性リング9の下面9cに当接する当接部37を構成している。
【選択図】図2
【解決手段】自動車のサスペンションのピストンロッド15に取り付けられる緩衝装置1である。ピストンロッド15に外挿される上側筒部25と、上側筒部25の下面25aから下方に延びている下側筒部35とからなるダストカバー本体5を有するダストカバー3と、上面7aが上側筒部25の下面25aと接するように下側筒部35の内部に設けられ、ピストンロッド15に外挿されるバンプストッパ7と、上面9dが上側筒部25の下面25aと接するように下側筒部35とバンプストッパ7との間に設けられた剛性リング9とを備えている。バンプストッパ7のうち、剛性リング9に対応する部分以外の部分が、荷重入力時に変形して剛性リング9の下面9cに当接する当接部37を構成している。
【選択図】図2
Description
本発明は、自動車のサスペンションに用いられる緩衝装置に関するものである。
従来から、自動車のサスペンションの過大なストロークを規制するとともに補助ばねとしても機能するゴム製やウレタン製のバンプストッパを備えた緩衝装置が知られている。この緩衝装置においては、荷重入力初期の低ばね特性の領域が長く、且つ荷重入力後期のばね特性が高いことが望ましい。
このようなばね特性を得るために、例えば特許文献1には、バンプストッパを覆うようにダストカバーが一体になっていて、ダストカバー本体部の端部周囲に環状体が嵌着された緩衝装置が開示されている。この緩衝装置によれば、環状体がバンプストッパ及びダストカバー本体部の外側への広がりを抑えるので、高荷重がかかってもばね特性の低下を抑制することができる。
また、特許文献2には、蛇腹円筒状に形成されたバンプストッパの大径部に環状体を取り付けた構造において、該環状体が横断面凸状又は略L字状となるように環状体に埋設部を形成し、この埋設部だけをバンプストッパに埋設したものが開示されている。このバンプストッパによれば、埋設部だけをバンプストッパに埋設するので荷重入力初期の低ばね特性の領域を維持できるとともに、環状体がバンプストッパの径方向の膨出を抑えるので荷重入力後期のばね特性を高めることができる。
特開2000−104781号公報
特許第3294359号公報
ところで、過度のバンプによる車体やサスペンションの損傷を免れるためには、荷重入力後期のばね特性を単に高めるだけではなく、低ばね特性の領域を超えた後のばね特性曲線の立ち上がり時期を早めるとともにばね特性曲線の立ち上がり勾配(ばね定数)を大きくして、短いストロークで高荷重を吸収する必要がある。
しかしながら、上記特許文献1の緩衝装置では、バンプストッパの外側への広がりをダストカバー本体部を介して環状体により抑えていることから、ダストカバー本体部の低ばね特性が影響して、緩衝装置のばね特性曲線の立ち上がり時期が遅れるとともに、ばね特性曲線の立ち上がり勾配を大きくし難くなる。また、特許文献2では、バンプストッパの外側への広がりを環状体により直接抑えているが、環状体の軸方向長さがバンプストッパの全長に対して極めて短いため、ばね特性曲線の立ち上がり勾配を大きくして短いストロークで高荷重を吸収することが困難となる。
そこで、本発明者らは、荷重入力初期の低ばね特性の領域を長くしつつ、短いストロークで荷重入力後期の高荷重を吸収させるために、荷重入力初期の低荷重をバンプストッパで吸収させるとともに荷重入力後期の高荷重を剛性リングで吸収させるように構成された緩衝装置を考案した。
この緩衝装置101は、図5に示すように、ダストカバー103とバンプストッパ107と剛性リング109とを備えており、ショックアブソーバ111のピストンロッド115に取り付けられている。ダストカバー103は、略円筒状のダストカバー本体105と蛇腹状のダストブーツ119とを有している。ダストカバー本体105は、ピストンロッド115に外挿される上側筒部125と、上側筒部125の下面から下方に延びている下側筒部135とからなっている。バンプストッパ107は、上面が上側筒部125の下面に接するとともに、上端部の外周面が下側筒部135の内周面に接するように下側筒部135の内部に配置されている。薄板状の剛性リング109は、バンプストッパ107の上下方向略中央部に取り付けられており、下側筒部135の内周面に沿ってロッド軸方向(上下方向)に摺動するように、下側筒部135の内側に嵌められている。
この緩衝装置101によれば、バンプストッパ107の剛性リング109よりも下方に位置する部分(下側部分)137がバンプ時に圧縮変形して低荷重を吸収することにより、低ばね特性の領域を形成できるとともに、図6に示すように、ショックアブソーバ111のシリンダ113により該下側部分137が圧縮された後は剛性リング109が高荷重を吸収することにより、ばね特性曲線の立ち上がり勾配を大きくすることができる。
しかしながら、この緩衝装置101では、圧縮されたバンプストッパ107の下側部分137が剛性リング109に当接したときに、剛性リング109と下側筒部135との摩擦力が抵抗ばねとして作用したり、剛性リング109と上側筒部125との間に挟まれた、バンプストッパ107の剛性リング109よりも上方に位置する部分(上側部分)127が緩衝ばねとして作用したりすることから、荷重入力初期の低ばね特性の領域と、高いばね特性によって高荷重による変位を規制する領域とが混在することになり、ばね特性曲線の立ち上がり時期が遅れるとともに、その立ち上がり勾配が大きくならないおそれがある。
さらに、圧縮時に剛性リング109と上側筒部125との間に挟まれて押し潰されたバンプストッパ107の上側部分127が、剛性リング109と下側筒部135との接触抵抗により、元の形状に戻り難くなり、緩衝装置の耐久性が低下するという問題がある。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、自動車のサスペンションに用いられる緩衝装置において、荷重入力初期の低ばね特性の領域を長くするとともに、荷重入力後期の高荷重に対してばね特性曲線の立ち上がり時期を早め且つばね特性曲線の立ち上がり勾配を大きくして、短いストロークで高荷重を吸収する技術を提供することにある。
第1の発明は、自動車のサスペンションにおけるショックアブソーバのピストンロッドに取り付けられる緩衝装置であって、上記ピストンロッドに外挿される上側筒部と、該上側筒部の下面から下方に延びて該上側筒部と同軸上に設けられ、内径が上記上側筒部の内径よりも大きい下側筒部とからなるダストカバー本体を有するダストカバーと、上面が上記上側筒部の下面と接するように上記下側筒部の内部に上記ダストカバー本体と同軸上に設けられ、外径が上記下側筒部の内径よりも小さく、上記ピストンロッドに外挿される筒状のバンプストッパと、上面が上記上側筒部の下面と接するように上記下側筒部の内周面と上記バンプストッパの外周面との間に設けられた剛性リングとを備え、上記バンプストッパのうち、上記剛性リングに対応する部分以外の部分が、荷重入力時に変形して上記剛性リングの下面に当接する当接部を構成していることを特徴とするものである。
このように、ピストンロッドの軸方向に下から順に、バンプストッパの当接部、剛性リング、ダストカバー本体の上側筒部を配置することにより、バンプストッパの下端にショックアブソーバのシリンダの上面が当接した際、当接部が変形することによってバンプストッパに衝撃を吸収させるとともに、当接部が剛性リングの下面に当接した後は、剛性リングに高荷重を吸収させることができる。これにより、荷重入力初期の低荷重をバンプストッパが吸収するので、荷重入力初期の低ばね特性の領域を長くできるとともに、荷重入力後期の高荷重を剛性リングが吸収するので、ばね特性曲線の立ち上がり時期を早め且つばね特性曲線の立ち上がり勾配を大きくして、短いストロークで高荷重を吸収することができる。さらに、剛性リングは、その上面が上側筒部の下面と接するように下側筒部の内周面とバンプストッパの外周面との間に設けられていることから、ダストカバー本体と剛性リングとの間にバンプストッパが挟まれることがないので、バンプストッパが圧縮変形後に元に戻り易くなる。したがって、繰り返し大変形に対する緩衝装置の耐久性を向上させることができる。
第2の発明は、上記第1の発明において、上記当接部は、上記剛性リングへの当接時に該剛性リングの下面を覆うように形成されていることを特徴とするものである。
このように、荷重入力時に圧縮された当接部が剛性リングの下面を覆うことにより、剛性リングの下面とシリンダの上面との間で緩衝材として働くので、シリンダの衝突によって剛性リングが割れるのを抑えることができる。
第3の発明は、上記第1又は2の発明において、上記当接部は、外周面が径方向外側に膨らみ、内周面が径方向外側に窪んでいることを特徴とするものである。
このように、バンプストッパの当接部を、上下方向に圧縮変形し易く且つ径方向外側に広がり易い形状に形成することにより、荷重入力初期の低ばね特性の領域を確保できるとともに、剛性リングの下面を確実に覆うことができる。
第4の発明は、上記第1〜3のいずれか1つの発明において、上記バンプストッパの外周面及び上記剛性リングの内周面のうち一方には、凸条部が全周に亘って形成されているとともに、他方には、該凸条部と対応する部分に該凸条部と係合する凹溝部が全周に亘って形成されていることを特徴とするものである。
これにより、互いに異なる材料からなるバンプストッパと剛性リングとの組付けが容易になり、作業性が向上する。
第5の発明は、上記第1〜4のいずれか1つの発明において、上記下側筒部の内周面及び上記剛性リングの外周面のうち一方には、凸条部が全周に亘って形成されているとともに、他方には、該凸条部と対応する部分に該凸条部と係合する凹溝部が全周に亘って形成されていることを特徴とするものである。
これにより、互いに異なる材料からなるダストカバー本体と剛性リングとの組付けが容易になり、作業性が向上する。
本発明によれば、ピストンロッドの軸方向に下から順に、バンプストッパの当接部、剛性リング、ダストカバー本体の上側筒部を配置することにより、低荷重をバンプストッパが吸収するので、荷重入力初期の低ばね特性の領域を長くでき、高荷重を剛性リングが吸収するので、ばね特性曲線の立ち上がり時期を早め且つその立ち上がり勾配を大きくして、短いストロークで高荷重を吸収できるとともに、剛性リングが、その上面が上側筒部の下面と接するように下側筒部の内周面とバンプストッパの外周面との間に設けられていることから、ダストカバー本体と剛性リングとの間にバンプストッパが挟まれないので、バンプストッパが圧縮変形後に元に戻り易くなり、緩衝装置の耐久性を向上させることができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る緩衝装置1の縦断図を示し、図2は、緩衝装置1が自動車のサスペンションのショックアブソーバ11に取り付けられた状態を示す。このショックアブソーバ11は、円筒状のシリンダ13にピストンロッド15が該シリンダ13の上面13aからその軸方向(上下方向)に出入り可能に設けられてなるもので、このピストンロッド15の先端部には、緩衝装置1を保持する保持金具17が備えられている。
緩衝装置1は、ショックアブソーバ11に取り付けられたダストカバー3と、バンプストッパ7と、該バンプストッパ7の上端部の外周面を囲むようにダストカバー3とバンプストッパ7の間に配置された剛性リング9とを備えている。
上記ダストカバー3は、NR(Natural Rubber、天然ゴム)材料からなっており、略円筒状のダストカバー本体5と蛇腹状のダストブーツ19とを有している。上記ダストカバー本体5は、厚肉筒円状の上側筒部25と、該上側筒部25の下面25aの外周側から下方に延びている円筒状の下側筒部35とからなっている。
上記上側筒部25は、ピストンロッド15に外挿される、すなわち、ピストンロッド15を外周側から囲むように、ピストンロッド15に対して配置されるとともに、その上端部が保持金具17に装着されている。上側筒部25の下側は、下方に行くに従って外径が大きくなっており、この上側筒部25と同軸上に設けられ且つその外径が上側筒部25の上側の外径よりも大きく形成された上記下側筒部35と連続している。下側筒部35の内径は、上側筒部25の内径よりも大きく設定されているとともに、サスペンションのコイルスプリング(図示せず)が大きく圧縮されたとき(バンプ時)に上昇したシリンダ13と下側筒部35とが接触しないように、シリンダ13の外径よりも僅かに大きく設定されている。さらに、下側筒部35の上端部には、内周面に径方向内側に凸起する凸条部35aが全周に亘って形成されている。
上記ダストブーツ19は、下側筒部35の下端に一体に形成されており、この下端から垂れ下がっていて、バンプストッパ7、ピストンロッド15及びシリンダ13の上側部分をその外周側から覆っている。
上記バンプストッパ7はウレタンゴム(弾性材料)からなっていて、ピストンロッド15を外周側から囲むように、ピストンロッド15に対して同軸上に外挿されている。バンプストッパ7は、その上面7aが上側筒部25の下面25aと接するように下側筒部35の内部にダストカバー本体5と同軸上に設けられている。また、バンプストッパ7は、その外径が下側筒部35の内径よりも小さく形成されているとともに、その内径が上側筒部25の内径と同じ大きさに形成されている。
バンプストッパ7のうち、上記剛性リング9に囲まれる部分がストッパ本体部27を構成し、ストッパ本体部27(剛性リング9に対応する部分)以外の部分が、荷重入力時に変形して剛性リング9の下面9cに当接する当接部37を構成している。ストッパ本体部27の上端部には、外周面に径方向内側に凹む凹溝部27bが全周に亘って形成されている。当接部37は、外周面が径方向外側に膨らみ、内周面が径方向外側に窪んだ形状に形成されることで、上下方向に圧縮変形し易く且つ径方向外側に広がり易い形状になっている。当接部37は、このように上下方向に圧縮変形し易く且つ径方向外側に広がり易い形状に形成されているので、図3に示すように、バンプ時に上昇したシリンダ13により上下方向に圧縮されて剛性リング9に当接したときに、該剛性リング9の下面9cを覆うようになっている。
上記剛性リング9は、樹脂材料、具体的にはガラス繊維強化ナイロンからなっており、上面9dが上側筒部25の下面25aと接するように下側筒部35の内周面とバンプストッパ7の外周面との間に嵌め込まれている。また、剛性リング9の上面9d及び下面9cには、剛性リング9の成型時の割れを防止するために、周方向に延びる穴9eが周方向に略等間隔で複数形成されている。
剛性リング9の軸方向略中央部の内周面には、径方向内側に突出する凸条部9aが全周に亘って形成されている一方、軸方向略中央部の外周面には、下側筒部35の凸条部35aと対応する部分に径方向内側に凹んで下側筒部35の凸条部35aと係合する凹溝部9bが全周に亘って形成されている。
剛性リング9は、凸条部9aがバンプストッパ7の凹溝部27bに係合することにより、ストッパ本体部27においてバンプストッパ7に取り付けられている。さらに、剛性リング9は、凹溝部9bに下側筒部35の凸条部35aが係合することにより、その上面9dが上側筒部25の下面25aに接した状態で下側筒部35に取り付けられている。このように、剛性リング9の上面9dが上側筒部25の下面25aに接しているので、図3に示すように、シリンダ13により圧縮されたバンプストッパ7が剛性リング9とダストカバー本体5との間に挟まれないようになっている。
さらに、剛性リング9の上下方向における移動が上側筒部25によって制限されることから、剛性リング9と下側筒部35との間で抵抗が生じないので、剛性リング9が荷重入力初期におけるバンプストッパ7のばね特性に影響を与えることがない。
以上の如く構成された緩衝装置1を用いたサスペンションにおいて、例えば自動車のローリングによって分担荷重が増大し、コイルスプリングが大きく圧縮されると、バンプストッパ7は、その下端がシリンダ13の上面13aに当接して、シリンダ13とダストカバー本体5との間で上下方向に圧縮されるとともに、バンプストッパ7が圧縮された後は剛性リング9が高荷重を受けるようになる。こうして、緩衝装置1はサスペンションの過大なストロークを規制するとともに、補助ばねとしても機能するようになる。
より詳しくは、まず、バンプストッパ7の下端がシリンダ13の上面13aに当接すると、当接部37が変形し、当接部37全体が上下方向に潰れることによって衝撃が吸収される。これにより、バンプストッパ7作動時のショックがなく、コイルスプリングのばね力との繋がりもスムーズな補助ばね特性となる。
その際、バンプストッパ7の当接部37は、シリンダ13の上面13aに当接した状態で上下方向に潰れ、外周側にはみ出して剛性リング9の下面9cを覆うので、剛性リング9の下面9cとシリンダ13の上面13aとが衝突するのを防ぐことになる。
バンプストッパ7の当接部37が上下方向に潰れた後は、すなわち、荷重入力初期の低ばね特性の領域を超えた後は、剛性リング9が高荷重を吸収するので、ばね特性曲線の立ち上がり時期が早まるとともにばね特性曲線の立ち上がり勾配を大きくして、短いストロークで高荷重を吸収し、シリンダ13の変位を規制する。
図4は、上記実施形態に係る緩衝装置1(実施例)と、図5に示す従来の緩衝装置101(比較例)とを対比して、緩衝装置1の静ばね特性を調べた荷重−たわみ曲線である。比較例の緩衝装置101も実施例の緩衝装置1と同様に、NR材料からなるダストカバー本体105、ウレタンゴムからなるバンプストッパ107、ガラス繊維強化ナイロンからなる剛性リング109をそれぞれ用いた。なお、実施例の剛性リング9は、比較例の剛性リング109よりも軸方向厚さが厚いものを用いた。また、静ばね特性の測定に際しては、各緩衝装置1,101をその使用状態と略同じになるように材料試験機に装着して、それぞれ軸方向に圧縮した。
図4より、実施例の緩衝装置1は、荷重入力初期の低荷重に対しては、剛性リング9の軸方向厚さを厚くしているにも拘わらず、比較例のものと殆ど同じ低ばね特性及びストローク長を有していることが分かる。一方、荷重入力後期の高荷重に対しては、低ばね特性の領域(リニアの範囲)を超えた後のばね特性曲線の立ち上がり時期が、実施例の緩衝装置1では比較例のものよりも早くなっていることが分かる。これらのことから、実施例の緩衝装置1の方が比較例の緩衝装置101よりも、短いストロークで高荷重を吸収できることが確認された。
−効果−
本実施形態によれば、ピストンロッド15の軸方向に下から順に、バンプストッパ7の当接部37、剛性リング9、ダストカバー本体5の上側筒部25を配置することにより、バンプストッパ7の下端にシリンダ13の上面13aが当接した際、当接部37が変形することによってバンプストッパ7に衝撃を吸収させるとともに、当接部37が剛性リング9の下面9cに当接した後は、剛性リング9に高荷重を吸収させることができる。これにより、荷重入力初期の低荷重をバンプストッパ7が吸収するので、荷重入力初期の低ばね特性の領域を長くできるとともに、荷重入力後期の高荷重を剛性リング9が吸収するので、ばね特性曲線の立ち上がり時期を早め且つばね特性曲線の立ち上がり勾配を大きくして、短いストロークで高荷重を吸収することができる。さらに、剛性リング9は、その上面9dが上側筒部25の下面25aに接するように下側筒部35の内周面とバンプストッパ7の外周面との間に設けられていることから、ダストカバー本体5と剛性リング9との間にバンプストッパ7が挟まれることがないので、バンプストッパ7が圧縮変形後に元に戻り易くなる。したがって、繰り返し大変形に対する緩衝装置1の耐久性を向上させることができる。
本実施形態によれば、ピストンロッド15の軸方向に下から順に、バンプストッパ7の当接部37、剛性リング9、ダストカバー本体5の上側筒部25を配置することにより、バンプストッパ7の下端にシリンダ13の上面13aが当接した際、当接部37が変形することによってバンプストッパ7に衝撃を吸収させるとともに、当接部37が剛性リング9の下面9cに当接した後は、剛性リング9に高荷重を吸収させることができる。これにより、荷重入力初期の低荷重をバンプストッパ7が吸収するので、荷重入力初期の低ばね特性の領域を長くできるとともに、荷重入力後期の高荷重を剛性リング9が吸収するので、ばね特性曲線の立ち上がり時期を早め且つばね特性曲線の立ち上がり勾配を大きくして、短いストロークで高荷重を吸収することができる。さらに、剛性リング9は、その上面9dが上側筒部25の下面25aに接するように下側筒部35の内周面とバンプストッパ7の外周面との間に設けられていることから、ダストカバー本体5と剛性リング9との間にバンプストッパ7が挟まれることがないので、バンプストッパ7が圧縮変形後に元に戻り易くなる。したがって、繰り返し大変形に対する緩衝装置1の耐久性を向上させることができる。
さらに、剛性リング9がバンプストッパ7の径方向外側への広がりを抑えるので、バンプストッパ7の膨張によるダストカバー本体5の破断を防ぐことができる。
また、荷重入力時に圧縮された当接部37が剛性リング9の下面9cを覆うことにより、剛性リング9の下面9cとシリンダ13の上面13aとの間で緩衝材として働くので、シリンダ13の衝突により剛性リング9が割れるのを抑えることができる。
さらに、バンプストッパ7の当接部37は、外周面が径方向外側に膨らみ、内周面が径方向外側に窪んでいるので、上下方向に圧縮変形し易く且つ径方向外側に広がり易くなっている。これにより、荷重入力初期の低ばね特性の領域を確保できるとともに、剛性リング9の下面9cを確実に覆うことができる。
さらに、剛性リング9の内周面には、径方向内側に突出する凸条部9aが全周に亘って形成されているとともに、バンプストッパ7のストッパ本体部27の外周面には、該凸条部9aと対応する部分に該凸条部9aと係合する凹溝部27bが全周に亘って形成されているので、互いに異なる材料からなる剛性リング9とバンプストッパ7との組付けが容易になり、作業性が向上する。
また、下側筒部35の内周面には、径方向内側に突出する凸条部35aが全周に亘って形成されているとともに、剛性リング9の外周面には、該凸条部35aと対応する部分に該凸条部35aと係合する凹溝部9bが全周に亘って形成されているので、互いに異なる材料からなるダストカバー本体5と剛性リング9の組付けが容易になり、作業性が向上する。
−その他の実施形態−
上記実施形態では、剛性リング9の内周面に凸条部9aを形成し、外周面に凹溝部9bを形成しているが、これとは逆に、剛性リング9の内周面に凹溝部9bを形成し、外周面に凸条部9aを形成してもよい。また、剛性リング9の内周面及び外周面に凸条部9a,9a又は凹溝部9b,9bを形成してもよい。
上記実施形態では、剛性リング9の内周面に凸条部9aを形成し、外周面に凹溝部9bを形成しているが、これとは逆に、剛性リング9の内周面に凹溝部9bを形成し、外周面に凸条部9aを形成してもよい。また、剛性リング9の内周面及び外周面に凸条部9a,9a又は凹溝部9b,9bを形成してもよい。
上記実施形態では、NR材料からなるダストカバー3を用いているが、ダストカバー3の材質ははこれに限定されず、例えば、EPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)やCR(クロロプレンゴム)からなるダストカバー3を用いてもよい。
上記実施形態では、ガラス繊維強化ナイロンからなる剛性リング9を用いているが、剛性リング9の材質ははこれに限定されず、他の樹脂材料やアルミダイキャスト等の軽量金属材料からなる剛性リング9を用いてもよい。
本発明は、実施形態に限定されず、その精神又は主要な特徴から逸脱することなく他の色々な形で実施することができる。
このように、上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
以上説明したように、本発明は、自動車のサスペンションに用いられる緩衝装置等について有用である。
1 緩衝装置
3 ダストカバー
5 ダストカバー本体
7 バンプストッパ
7a 上面
9 剛性リング
9a 凸条部
9b 凹溝部
9c 下面
9d 上面
11 ショックアブソーバ
15 ピストンロッド
25 上側筒部
25a 下面
27 ストッパ本体部
27b 凹溝部
35 下側筒部
35a 凸条部
37 当接部
3 ダストカバー
5 ダストカバー本体
7 バンプストッパ
7a 上面
9 剛性リング
9a 凸条部
9b 凹溝部
9c 下面
9d 上面
11 ショックアブソーバ
15 ピストンロッド
25 上側筒部
25a 下面
27 ストッパ本体部
27b 凹溝部
35 下側筒部
35a 凸条部
37 当接部
Claims (5)
- 自動車のサスペンションにおけるショックアブソーバのピストンロッドに取り付けられる緩衝装置であって、
上記ピストンロッドに外挿される上側筒部と、該上側筒部の下面から下方に延びて該上側筒部と同軸上に設けられ、内径が上記上側筒部の内径よりも大きい下側筒部とからなるダストカバー本体を有するダストカバーと、
上面が上記上側筒部の下面と接するように上記下側筒部の内部に上記ダストカバー本体と同軸上に設けられ、外径が上記下側筒部の内径よりも小さく、上記ピストンロッドに外挿される筒状のバンプストッパと、
上面が上記上側筒部の下面と接するように上記下側筒部の内周面と上記バンプストッパの外周面との間に設けられた剛性リングとを備え、
上記バンプストッパのうち、上記剛性リングに対応する部分以外の部分が、荷重入力時に変形して上記剛性リングの下面に当接する当接部を構成していることを特徴とする緩衝装置。 - 請求項1記載の緩衝装置において、
上記当接部は、上記剛性リングへの当接時に該剛性リングの下面を覆うように形成されていることを特徴とする緩衝装置。 - 請求項1又は2記載の緩衝装置において、
上記当接部は、外周面が径方向外側に膨らみ、内周面が径方向外側に窪んでいることを特徴とする緩衝装置。 - 請求項1〜3のいずれか1つに記載の緩衝装置において、
上記バンプストッパの外周面及び上記剛性リングの内周面のうち一方には、凸条部が全周に亘って形成されているとともに、他方には、該凸条部と対応する部分に該凸条部と係合する凹溝部が全周に亘って形成されていることを特徴とする緩衝装置。 - 請求項1〜4のいずれか1つに記載の緩衝装置において、
上記下側筒部の内周面及び上記剛性リングの外周面のうち一方には、凸条部が全周に亘って形成されているとともに、他方には、該凸条部と対応する部分に該凸条部と係合する凹溝部が全周に亘って形成されていることを特徴とする緩衝装置。
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JP2000161419A (ja) * | 1998-11-24 | 2000-06-16 | Tokai Rubber Ind Ltd | バンパスプリング |
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- 2007-11-19 JP JP2007299757A patent/JP2009127640A/ja active Pending
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