JP2009126716A - ガラス微粒子堆積体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】チャンバー壁面のススを除去する清掃処理の頻度を低減させて、装置の稼働率の向上によりガラス微粒子堆積体の生産性を向上させることができ、しかも、清掃処理の適正な実施タイミングで実施して、高品位なガラス微粒子堆積体を安定生産することができるガラス微粒子堆積体の製造方法を提供すること。
【解決手段】出発基材5に向けてガラス微粒子を発生させるバーナー11a〜11hと、出発基材5に堆積しなかったガラス微粒子を排気する排気機構13a,13b,13cとを有する装置内で、ガラス微粒子堆積体17を製造するガラス微粒子堆積体の製造方法において、出発基材5に堆積しないガラス微粒子の内の排気機構13a,13b,13cにより排気される割合を算出し、排気割合が高いほど、装置内に付着したススを除去する清掃処理の頻度を低く設定する。
【選択図】図2

Description

本発明は、バッチ間に実施する清掃処理の頻度を低減して、装置稼働率の向上により生産性を向上させることのできるガラス微粒子堆積体の製造方法に関する。
光ファイバ用石英ガラス母材の製造工程の一つとして、出発基材にガラス微粒子を堆積させたガラス微粒子堆積体を製造する工程がある。
このガラス微粒子堆積体の製造方法としては、例えば、MMD法(多バーナー多層付け法)若しくはOVD法(外付け法)を利用する方法がある。
これらの製造方法では、バーナーから噴射するガラス原料を酸水素火炎中で火炎加水分解させ、生成したガラス微粒子(スス)を出発基材(ターゲット棒)上に多層に堆積させていく。
しかし、バーナーから発生させたガラス微粒子は、その全てが出発基材に堆積する訳ではなく、出発基材に付着できなかったガラス微粒子(未付着スス)は、装置のチャンバー内を浮遊することになる。
通常、装置のチャンバーには、内部の雰囲気を吸引して回収する排気機構が装備されているため、通常、チャンバー内を浮遊する未付着ススの大半は排気機構によりチャンバー外へ排出されるが、排出されなかった未付着ススはチャンバー内を浮遊している間にチャンバー壁面に付着し、ススとなって堆積する。
チャンバー壁面に堆積したススが壁面から剥離して堆積処理中のガラス微粒子堆積体に付着すると、該堆積体を透明ガラス化する工程で品質欠陥となる気泡発生の原因となる。そのため、チャンバー壁面に付着したススは、次バッチの堆積を開始する前に掃除機等を用いて除去する清掃処理を適時実施することが必要となる。
図6は、チャンバー壁面に付着したススを除去するための清掃処理を組み込んだバッチ間の作業工程を示している。
即ち、バッチ間の作業は、出発基材に対して規定量のガラス微粒子の堆積が終了すると(ステップS101)、堆積が終了したガラス微粒子堆積体を装置から取り出し(ステップS102)、その後、掃除機等を用いてチャンバー壁面に付着したススを除去する清掃処理を実施し(ステップS103)、その後、次バッチの出発基材をチャンバー内にセットし(ステップS104)、次いで、バーナーを点火して次バッチの処理(ステップS105,S106)を開始する手順となる。
ところが、チャンバー壁面に付着したススを除去するための清掃処理は手間がかかり、例えば、1バッチ毎に清掃処理を実施すると、装置の稼働率の低下による生産性の低下を招く。
そこで、ガラス微粒子を出発基材に堆積させる装置のチャンバー内の最小内圧Pminを、装置内外の差圧で−80Pa≦Pmin≦−40Paの範囲にあるように調整することで、未付着ススの排気機構による排気効率を高めて、チャンバー壁面へのススの堆積自体を抑止することにより清掃処理の頻度を下げる製造方法が提案された(例えば、特許文献1参照)。
特開2005−247624号公報
上記の特許文献1の製造方法のように、チャンバー内の最小内圧Pminを管理すると、排気機構による排気効率が従来よりも高まるため、その分、チャンバー壁面へのススの堆積自体を減らすことができ、清掃処理の頻度を下げることにより装置稼働率を向上させて、ガラス微粒子堆積体の生産性を向上させることができる。
しかし、チャンバー壁面へのススの堆積自体をなくすことはできない。そして、チャンバー内の最小内圧Pminを管理しても、バーナーへの原料ガスの供給量等が変動すると未付着ススの排気効率が変動してしまうため、チャンバー壁面への実際のススの堆積量を正確に把握することができない。
そのため、清掃処理の適正な実施タイミングを逃してしまって、チャンバー壁面から剥離したススが堆積処理中のガラス微粒子堆積体に付着するといった不都合を招き、結果的に、後の透明ガラス化工程で気泡の発生を招くことのない高品位なガラス微粒子堆積体を安定生産することが難しいという問題が生じた。
本発明の目的は上記課題を解消することに係り、チャンバー壁面に付着したススを除去する清掃処理の頻度を低減させて、装置の稼働率の向上によりガラス微粒子堆積体の生産性を向上させることができ、しかも、清掃処理の適正な実施タイミングを逃したためにチャンバー壁面から剥離したススが堆積中のガラス微粒子堆積体に付着するという不都合が発生せず、高品位なガラス微粒子堆積体を安定生産することができるガラス微粒子堆積体の製造方法を提供することを目的とする。
(1)上記した課題を解決するために、本発明によるガラス微粒子堆積体の製造方法は、出発基材に向けてガラス微粒子を発生させるバーナーと、前記出発基材に堆積しなかったガラス微粒子を排気する排気機構とを有する装置内で、MMD法若しくはOVD法によりガラス微粒子堆積体を製造するガラス微粒子堆積体の製造方法において、
出発基材に堆積しないガラス微粒子の内の前記排気機構により排気される割合を算出し、前記排気割合が高いほど、装置内に付着したススを除去する清掃処理の頻度を低く設定することを特徴とする。
(2)また、上記(1)に記載のガラス微粒子堆積体の製造方法は、出発基材に堆積しないガラス微粒子の内の50%以上70%未満が前記排気機構により排気される場合には、清掃処理の頻度を1/2〜1/4(回/バッチ)に設定し、出発基材に堆積しないガラス微粒子の内の70%以上が前記排気機構により排気される場合には、清掃処理の頻度を1/5〜1/10(回/バッチ)に設定することを特徴としても良い。
(3)また、上記(1)又は(2)に記載のガラス微粒子堆積体の製造方法は、前記バーナーの周辺に設けたエア導入部から前記装置内にクリーンエアを導入し、前記装置内におけるクリーンエアの流速を1m/s以上に維持することを特徴としても良い。
(4)また、上記(1)〜(3)の何れか一つに記載のガラス微粒子堆積体の製造方法は、前記エア導入部を陽圧とすることを特徴としても良い。
(5)また、上記(1)〜(4)のいずれか一つに記載のガラス微粒子堆積体の製造方法は、マッフル内面の表面粗さ(Ra)を、0.4μm以上の粗面にすることを特徴としても良い。
本発明によるガラス微粒子堆積体の製造方法によれば、排気割合の算出は、実際に装置のチャンバー壁に堆積する未付着スス量を算出していることになり、チャンバー壁面への実際のススの堆積量を正確に把握することができる。
そして、排気割合が高いときは、逆に実際に装置のチャンバー壁に堆積する未付着スス量が低減しているときなので、そのときに清掃処理頻度を低く設定することは、極めて合理的である。
即ち、本発明によるガラス微粒子堆積体の製造方法は、実際に装置のチャンバー壁に堆積する未付着スス量が低減するときには、清掃処理の実施を間引くことになるため、清掃処理の頻度を低減させて、装置の稼働率の向上によりガラス微粒子堆積体の生産性を向上させることができる。
また、チャンバー壁に堆積する未付着スス量が所定量に達するときを推定して、清掃処理を実施するため、清掃処理の適正な実施タイミングを逃すことがなく、清掃処理の適正な実施タイミングを逃したためにチャンバー壁面から剥離したススが堆積中のガラス微粒子堆積体に付着するという不都合を回避して、高品位なガラス微粒子堆積体を安定生産することができる。
以下、本発明に係るガラス微粒子堆積体の製造方法の好適な実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明に係るガラス微粒子堆積体の製造方法を実施する装置の一実施の形態の概略構成図、図2は本発明に係るガラス微粒子堆積体の製造方法において清掃処理の頻度を設定する処理のフローチャートである。
図1に示した製造装置1は、MMD法によりガラス微粒子堆積体を製造する装置で、反応容器であるチャンバー3内に配置される出発基材(スタートガラスロッド)5は、トラバース装置7a,7bから延出する支持棒8a,8bに連結されて、軸方向に往復変位可能になっている。
そして、出発基材5の長手方向に一定間隔で並ぶように、チャンバー3の一側には多数のバーナー11a〜11hが配置され、また、チャンバー3の他側にはチャンバー3内雰囲気を負圧吸引して排気することによりチャンバー3内に浮遊する未付着ススを外部に排気する排気機構(排気管)13a,13b,13cが配置されている。
また、各バーナー11a〜11hには、ガラス微粒子の生成に必要な原料ガスや一般ガスなどを供給するガス供給路15が接続されている。
各バーナー11a〜11hは、ガス供給路15から供給されるガラス原料ガスを出発基材5に向けて噴射し、そのガラス原料ガスの火炎加水分解により生成されるガラス微粒子(スス)を出発基材5の外周に多層に堆積させて、ガラス微粒子堆積体17を形成する。
チャンバー3の一側の各バーナー11a〜11hの周辺には、チャンバー3内に連通するエア導入部19が区画形成されており、このエア導入部19には、クリーンエアを導入するエア供給管21が接続されている。
エア導入部19は、各バーナー11a〜11hの周辺部からチャンバー3内に所定流速のクリーンエアを導入することにより、未付着ススを排気機構13a,13b,13cに到着し易くする気流をチャンバー3内に形成する。
エア導入部19には該導入部内の圧力を測定する複数の圧力検出位置23が設定されており、これらの圧力検出位置23にて、不図示の圧力検出手段により圧力が測定される。
チャンバー3の他側に配置された排気機構13a,13b,13cとガラス微粒子堆積体17との間に位置するように、複数の圧力検出位置25が設定されている。
これらの圧力検出位置25にて、不図示の圧力検出手段により圧力が測定され、各圧力検出位置25が所定の負圧に維持されるように、各排気機構13a,13b,13cによる吸引圧が調整される。
この製造装置1が実施するガラス微粒子堆積体の製造方法は、図示のように多数のバーナー11a〜11hから出発基材5に向けてガラス微粒子を吹き付けて、ガラス微粒子堆積体17を形成するもので、所謂MMD法による製造法であるが、図2に示すように、出発基材5に堆積しないガラス微粒子の総量の内の排気機構13a,13b,13cにより排気される割合(A%)を算出し(図2のステップS201)、排気割合Aが高いほど、装置内に付着したススを除去する清掃処理の頻度を低く設定することを特徴とする。
排気割合Aは、次のようにしてバッチの終了時に算出する。
まず、各バーナー11a〜11hからの原材料投入量からガラス微粒子生成量の総重量w1を計算する。また、ガラス微粒子堆積体17の総重量w2から出発基材5の重量w3を差し引いて、ガラス微粒子堆積体17のガラス微粒子部のみの重量w4を測定する。次に、チャンバー3のスス付着重量w5を測定する。
そして、以上の各測定重量から、
排気割合A=(w1−(w4+w5))/(w1−w4) ……(1)
そして、上記(1)式により算出した排気割合Aに応じて、以降のバッチにおける清掃処理の頻度を調整する。
排気割合Aが50%以上70%未満の場合は、図2のステップS210,ステップS211に示すように、清掃処理の頻度を1/2〜1/4(回/バッチ)に設定する。これは、清掃処理が、2バッチ〜4バッチに1回に間引かれることを意味している。
また、排気割合Aが70%以上の場合は、図2のステップS220,S221に示すように、清掃処理の頻度を1/5〜1/10(回/バッチ)に設定する。
また、上記の各ステップS210,S220のいずれにも該当しないとき(即ち、排気割合Aが50%未満)のときは、図2にステップS231で示すように、清掃処理の頻度を1バッチに1回に設定する。
以上のような清掃処理の頻度は、過去に製造したガラス微粒子堆積体を透明ガラス化した際の気泡の発生数と、排気割合、清掃処理の頻度等の相関を調べた結果に因っている。
装置の非稼働時間は、後述の図4に示すように、清掃処理の頻度に逆比例する関係となるため、清掃処理の頻度を低減させることで、装置の非稼働時間を低減させ、装置の稼働率の向上によりガラス微粒子堆積体の生産性を向上させることができる。
また、エア導入部19から装置内にクリーンエアを導入するが、装置内におけるクリーンエアの流速を1m/s以上に維持する。これにより、チャンバー3内に浮遊する未付着ススが、効率的に排気機構13a,13b,13cに流れるようになる。
更に、望ましくは、各圧力検出位置23が所定の陽圧に維持されるように(即ち、エア導入部19が陽圧に維持されるように)エア供給管21からのクリーンエアの導入量を調整する。このようにエア導入部19を陽圧に設定することで、外部の異物が、チャンバー3やエア導入部19内に混入することを防止することができる。
更に好ましくは、チャンバー3の内面であるマッフル内面の表面粗さ(Ra)を、0.4μm以上の粗面にすると良い。
本願発明者等は、マッフル内面に付着したガラス微粒子の剥がれ易さと、マッフル内面の表面粗さRaを変えて、透明ガラス化したガラス母材中に発生する気泡数と、マッフル内面の表面粗さRaとの関係を調べた。すると、マッフル内面の表面粗さRaが0.4μm以上のときには、母材中に気泡の発生が検出されなかった。マッフル内面の表面粗さRaが0.4μm未満の場合は、表面が滑らかになるに応じて、母材中に気泡の発生が急激に増大する。これは、マッフル内面が滑らかなほど、マッフル内面へのススの付着強度が低く、母材の堆積処理中にマッフル内面から剥離したススが母材に付着したと考えられ、上記のように、マッフル内面の表面粗さRaが0.4μm以上の粗さに粗面化されている装置を使用することで、剥離したススのガラス母材への付着による気泡の発生を防止でき、信頼性の高い堆積処理が実施可能になる。
以上の実施の形態におけるガラス微粒子堆積体の製造方法によれば、排気割合の算出は、実際に装置のチャンバー壁に堆積する未付着スス量w5を算出していることになり、チャンバー壁面への実際のススの堆積量w5を正確に把握することができる。
そして、排気割合が高いときは、逆に実際に装置のチャンバー壁に堆積する未付着スス量w5が低減しているときなので、そのときに清掃処理頻度を低く設定することは、極めて合理的である。
即ち、本実施の形態によるガラス微粒子堆積体の製造方法は、実際に装置のチャンバー壁に堆積する未付着スス量w5が低減するときには、清掃処理の実施を間引くことになるため、清掃処理の頻度を低減させて、装置の稼働率の向上によりガラス微粒子堆積体の生産性を向上させることができる。
また、チャンバー壁に堆積する未付着スス量w5が所定量に達するときを推定して、清掃処理を実施するため、清掃処理の適正な実施タイミングを逃すことがなく、清掃処理の適正な実施タイミングを逃したためにチャンバー壁面から剥離したススが堆積中のガラス微粒子堆積体に付着するという不都合を回避して、高品位なガラス微粒子堆積体を安定生産することができる。
次に、上記実施の形態の具体的な各実施例及び比較例で製造したガラス微粒子堆積体について説明する。
以下の各実施例1〜18および比較例1〜8は、上記製造装置1において、出発基材5としては直径40mm、長さ2100mmの光ファイバ用コアガラスを使用する。8本のバーナー11a〜11hへ投入するガラス原料(SiCl)の平均投入量は5SLM/本とする。そして、出発基材5へのガラス微粒子の堆積量が100kgになったとき、ガラス微粒子堆積体17の製造完了として、ガラス微粒子堆積体17の取出しを行う。
各実施例1〜18は、ガラス微粒子の堆積処理中は、図1に示した各圧力検出位置25での測定値が、−20Pa〜−30Paになるように、排気機構13a,13b,13cの排気を調整する。
各実施例1〜18及び比較例1〜8では、それぞれ60本のガラス微粒子堆積体17を製造し、60本目のガラス微粒子堆積体17を、透明ガラス化して、気泡数を測定する。
更に、(装置に付属する排気機構13a,13b,13cで排気したガラス微粒子の総量)/(出発基材5に堆積しなかったガラス微粒子の総量)×100=排気割合A(%)、次の清掃処理を実施するまでのバッチ数をB、チャンバー3内のクリーンエアの流速をC(m/s)、図1に示した各圧力検出位置23におけるエア導入部19の圧力をD(Pa)、マッフル内面の表面粗さRaの値をE(μm)として、各実施例及び比較例で60本目に製造したガラス微粒子堆積体を透明ガラス化したガラス母材中の1mm以上の気泡数F(個/母材)と、バッチ間の平均設備停止時間G(分)を測定した。
以下の表1〜表3は、各実施例及び比較例の測定結果を示したものである。
以下、各表の測定結果について、説明する。
Figure 2009126716
表1において、実施例1〜3は、排気割合Aが50%の場合で、清掃処理の頻度を図2に示したフローに従って設定したものである。また、これらの各実施例1〜3では、クリーンエアの流速Cは1m/s、エア導入部19の圧力Dは0.60Pa、マッフル内面の表面粗さEは0.56μmである。
これらの各実施例1〜3は、測定した母材中の気泡数Fが、いずれも0又は1(個/母材)となり、発生する気泡数の少ない良好な母材が得られた。
これに対して、比較例1は、清掃処理の頻度を1バッチ毎に1回実施するようにしたもので、その他の製造条件は、実施例1〜3と同様にした。実施例1〜3と比較すると、気泡数Fについては良好な結果が確認されたが、清掃頻度が高い分、平均設備停止時間Gが実施例1〜3よりも多くなっている。
即ち、実施例1〜3では、1バッチ毎に清掃処理を実施する比較例1と比較して、清掃頻度の低減によって、平均設備停止時間G(分)が短縮されていて、装置の稼働率が向上していることが確認できた。
また、比較例2は、清掃処理の頻度を、図2に示したフローに従わずに、5バッチに1回に設定したもので、その他の製造条件は、実施例1〜3と同様にしている。この場合は、清掃処理の頻度を過度に下げたことが影響して、測定した母材中の気泡数Fが10(個/母材)となり、図2に示したフローの有効性が確認できた。
表1において、実施例4〜6は、排気割合Aが69%の場合で、清掃処理の頻度を図2に示したフローに従って設定したものである。また、これらの各実施例4〜6では、クリーンエアの流速Cは1.38m/s、エア導入部19の圧力Dは0.83Pa、マッフル内面の表面粗さEは0.56μmである。
これらの各実施例4〜6の場合も、測定した母材中の気泡数Fが、いずれも0又は1(個/母材)となり、発生する気泡数の少ない良好な母材が得られた。
比較例3は、上記の実施例4〜6との比較のために、清掃処理の頻度を、図2に示したフローに従わずに、5バッチに1回に設定したもので、その他の製造条件は、実施例4〜6と同様にしている。この場合は、清掃処理の頻度を過度に下げたことが影響して、測定した母材中の気泡数Fが9(個/母材)となり、
比較例2の場合と同様に、図2に示したフローの有効性が確認できた。
表1において、実施例7〜12は、排気割合Aが90%の場合で、清掃処理の頻度を図2に示したフローに従って設定したものである。また、これらの各実施例7〜12では、クリーンエアの流速Cは1.8m/s、エア導入部19の圧力Dは1.08Pa、マッフル内面の表面粗さEは0.56μmである。
これらの各実施例7〜12は、測定した母材中の気泡数Fが、いずれも0又は1(個/母材)となり、発生する気泡数の少ない良好な母材が得られた。
また、比較例1と比べると、清掃処理の頻度が大幅に低減されているため、平均設備停止時間Gの短縮が顕著に表れている。
比較例4は、排気割合Aが実施例7〜12と同一の90%の場合であるが、清掃処理の頻度を、図2に示したフローに従わずに、11バッチに1回に低減させたもので、その他の製造条件は、実施例7〜12と同様にしている。この場合は、清掃処理の頻度を過度に下げたことが影響して、測定した母材中の気泡数Fが10(個/母材)となり、図2に示したフローの有効性が確認できた。
図3は、表1に示した各実施例及び比較例において、清掃を行うバッチ回数Bと、母材中に発生する気泡数Fとの相関を、排気効率A毎にまとめたものである。排気効率50%及び排気効率69%の場合は、略同様の傾向を示し、バッチ回数Bが4を超えると、気泡数Fが急激に増加する傾向が見られ、図2にも示したように、出発基材に堆積しないガラス微粒子の内の50%以上70%未満が前記排気機構により排気される場合には、清掃処理の頻度を1/2〜1/4(回/バッチ)に設定することが気泡数Fの低減に有効であることが確認できた。
また、排気効率90%の場合は、バッチ回数Bが10を超えると、気泡数Fが急激に増加する傾向が見られ、図2にも示したように、出発基材に堆積しないガラス微粒子の内の70〜90%が前記排気機構により排気される場合には、清掃処理の頻度を1/5〜1/10(回/バッチ)に設定することが気泡数Fの低減に有効であることが確認できた。
図4は、表1に示した各実施例及び比較例において、清掃を行うバッチ回数Bと、装置の非稼働時間との相関をまとめたもので、装置の非稼働時間が清掃処理の頻度に逆比例する関係となるため、清掃処理の頻度を低減させることが、装置の稼働率の向上によってガラス微粒子堆積体の生産性の向上に有効であることが確認された。
Figure 2009126716
表2に示した実施例13〜16及び比較例5、6は、上記実施の形態において、マッフル内面の表面粗さを規制したことの有用性を実証したものである。
これらの実施例13〜16及び比較例5,6は、排気割合Aが50%の場合で、清掃処理の頻度を図2に示したフローに従って2バッチに1回に設定している。
また、クリーンエアの流速Cは1m/s、エア導入部19の圧力Dは0.60Paとして、実施の形態の条件設定に準じている。
ただし、マッフル内面の表面粗さEについては、実施例13〜16は実施の形態の条件設定に準じて0.4μm以上の値に設定しているが、比較例5及び6は実施の形態の条件設定から外れる0.4μm以下に設定している。その影響で、実施例13〜16の場合は測定した母材中の気泡数Fが、いずれも図5にも示すように、0(個/母材)となり、発生する気泡数の少ない良好な母材であることが確認されたが、比較例5,6の場合は測定した母材中の気泡数Fが10又は20となり、マッフル内面の表面粗さEを0.4μm以下にしたことによって、品質が低下することが明らかとなり、上記実施の形態に示したマッフル内面の表面粗さを0.4μm以上に設定することの有用性が確認できた。
Figure 2009126716
表3に示した実施例17、18及び比較例7,8は、上記実施の形態において、クリーンエアの流速Cやエア導入部19の圧力Dを規制したことの有用性を実証したものである。
これらの実施例17,18は、排気割合Aが50%の場合で、清掃処理の頻度を図2に示したフローに従って2バッチに1回に設定している。
また、クリーンエアの流速Cは1m/s、エア導入部19の圧力Dは0.60Paの陽圧として、実施の形態の条件設定に準じている。
これに対して、比較例7は、流速Cを0.96m/sに減少させることで排気割合Aが48%と低くなった場合で、清掃処理の頻度を図2に示したフローに従うと、1バッチに1回にしなければならないところを、2バッチに1回に設定している。
その結果、測定した母材中の気泡数Fが5となり、クリーンエアの流速Cや清掃頻度を規定外にしたことで、品質の低下が生じることが確認できた。
また、比較例8は、排気割合Aが50%の場合で、エア導入部19の圧力Dを実施の形態の規定外となる負圧(−0.50Pa)に設定した以外は、実施例17,18と同様の製造条件にしているが、エア導入部19の圧力Dを負圧にしたことの影響で、測定した母材中の気泡数Fが10(個/母材)となり、エア導入部19の圧力Dを陽圧に設定することの有用性が確認された。
なお、以上の実施の形態及び実施例は、MMD法によりガラス微粒子堆積体を製造する場合について説明したが、本発明の製造方法は、OVD法によりガラス微粒子堆積体を製造する場合にも適用可能である。
本発明に係るガラス微粒子堆積体の製造方法を実施する装置の一実施の形態の概略構成図である。 本発明に係るガラス微粒子堆積体の製造方法において清掃処理の頻度を設定する処理のフローチャートである。 本発明の実施例における清掃頻度と母材中の気泡数との相関を示すグラフである。 本発明の実施例における清掃頻度と装置の非稼働時間との相関を示すグラフである。 本発明の実施例におけるマッフル内面精度と母材中の気泡数との相関を示すグラフである。 ガラス微粒子堆積体を製造する際のバッチ間の作業の説明図である。
符号の説明
3 チャンバー
5 出発基材
11a〜11h バーナー
13a,13b,13c 排気機構
15 ガス供給路
17 ガラス微粒子堆積体
19 エア導入部
21 エア供給管
23 圧力検出位置
25 圧力検出位置

Claims (5)

  1. 出発基材に向けてガラス微粒子を発生させるバーナーと、前記出発基材に堆積しなかったガラス微粒子を排気する排気機構とを有する装置内で、MMD法若しくはOVD法によりガラス微粒子堆積体を製造するガラス微粒子堆積体の製造方法において、
    出発基材に堆積しないガラス微粒子の内の前記排気機構により排気される割合を算出し、前記排気割合が高いほど、装置内に付着したススを除去する清掃処理の頻度を低く設定することを特徴とするガラス微粒子堆積体の製造方法。
  2. 出発基材に堆積しないガラス微粒子の内の50%以上70%未満が前記排気機構により排気される場合には、清掃処理の頻度を1/2〜1/4(回/バッチ)に設定し、出発基材に堆積しないガラス微粒子の内の70%以上が前記排気機構により排気される場合には、清掃処理の頻度を1/5〜1/10(回/バッチ)に設定することを特徴とする請求項1に記載のガラス微粒子堆積体の製造方法。
  3. 前記バーナーの周辺に設けたエア導入部から前記装置内にクリーンエアを導入し、前記装置内におけるクリーンエアの流速を1m/s以上に維持することを特徴とする請求項1又は2に記載のガラス微粒子堆積体の製造方法。
  4. 前記エア導入部を陽圧とすることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載のガラス微粒子堆積体の製造方法。
  5. マッフル内面の表面粗さ(Ra)を、0.4μm以上の粗面にすることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載のガラス微粒子堆積体の製造方法。
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