以下に、本発明の好適な一実施形態について添付の図面を参照し、携帯型酸素濃縮装置を実施例の一例として述べる。ここで、本発明は様々な修正と変更が可能であり、その内の特定の事例が図面に図示されており、以下に詳細に記述されることになる。しかしながら、これらに限定されず請求の範囲に規定された範囲で種々の構成が可能であることは言うまでもない。図1(a)は、酸素生成原理を説明する配管図、(b)は正圧による正圧力変動吸着法(PSA)と正圧と負圧による正負圧力変動吸着法(VPSA)における圧力変動を時間経過とともに図示した図表、(c)は、圧力変動吸着法(PSA)と正負圧力変動吸着法(VPSA)における窒素吸着量を圧力とともに図示した図表である。
図1において、正圧の原料空気による正圧力変動吸着法(PSA)と正圧と負圧の原料空気による正負圧力変動吸着法(VPSA)について簡単に述べる。図1(a)において、外部空気を導入してコンプレッサCで圧縮された原料空気は、一方の3方向切換弁109aを経て第1吸着筒体108aに導入される。第1吸着筒体108aには触媒のゼオライトが内蔵されており、ゼオライトにより窒素が吸着され酸素が分離生成される。このようにして分離生成された酸素は、不図示の逆止弁を通り製品タンクに流れる。この第1吸着筒体108aの内圧が高まると、3方向切換弁109aが排気側に切り換えられることで排気が行われる。これに前後して均等圧弁107が開かれて、第1吸着筒体108aで濃縮された一部の酸素を使用して、第2吸着筒体108bの洗浄を行う均圧工程に移行する。
次に、第1吸着筒体108aの脱着工程(窒素や水分の排出)と第2吸着筒体108bへの圧縮空気の取入れを行うために3方切換弁109bが開かれて、第2吸着筒体108bに流れ込んだ圧縮空気により分離生成された酸素が不図示の逆止弁を介して製品タンク中に流れる。その後、所定の圧力となったことが不図示の圧力センサで検出されると均等圧弁107が所定時間開かれて、次に第2吸着筒体108aの洗浄及び均圧工程が行われる。また均等圧弁107が開かれることで、第2の吸着筒体108bで分離生成された酸素が第1の吸着筒体108aの出口部に送り込まれて、内蔵のゼオライトの洗浄化が行なわれる。以上のような各工程を所定タイミングで繰り返し行うことで、連続した酸素の安定供給を行う。
以上のように2本の各吸着筒体に対して圧縮空気を2個の3方切換弁を切り換えて供給するときに、図1(b)で実線で図示した圧力変化となるように、正圧の圧縮空気を吸着筒体内に送り窒素を吸着させ、脱着操作を略大気圧下で行う方法を正圧力変動吸着法(PSA)と呼び、図1(b)破線で図示した脱着操作を真空下まで減圧することで、より積極的に内蔵のゼオライトの洗浄を行う方法を正負圧力変動吸着法(VPSA)と呼ぶ。る方法を正圧力変動吸着法(PSA)と呼び、正圧の圧縮空気と減圧された負圧空気を送ることで、図1(b)で破線で図示した圧力変化となるように、より積極的に内蔵のゼオライトの洗浄を行う方法を正負圧力変動吸着法(VPSA)と呼ぶ。
図1(c)に示したように、正圧力変動吸着法(PSA)による窒素吸着量は、正負圧力変動吸着法(VPSA)に比べ、同じ圧差でもN2吸着量は減少するため、正負圧力変動吸着法に基づき行うことが望ましい。しかしながら、この場合には正圧の圧縮空気と減圧された負圧空気の双方を送気可能なコンプレッサが必要となる。このようなコンプレッサは通常大型化するので、例えば携帯用の小型酸素濃縮装置に組み入れることは困難となる。
これに対して正圧力変動吸着法では、正圧の圧縮空気のみを送気することのできるコンプレッサで良いので、例えば携帯用の小型酸素濃縮装置に組み入れることが可能になる。以下に上記の正圧力変動吸着法に基づき構成された携帯用の小型酸素濃縮装置を一例として詳細に述べる。
<酸素濃縮装置1の全体構成の説明>
図2(a)は、本発明の一実施形態である小型酸素濃縮装置1(以下、装置1とも呼ぶ)を鼻カニューラ14とともに前方側の左斜め上から見て図示した外観斜視図である。また、図2(b)は、小型酸素防縮装置1を収容するために専用に準備された携帯用バッグ4の外観斜視図である。
図2(a)に図示されるように小型酸素濃縮装置1は、総重量が約2〜4Kgで2リットルのペットボトルに略近い上下方向に細長い縦長の外観形状を備えている。このように縦長構成とすることで、図2(b)に図示される携帯用バッグ4の開口部4aから下方に挿入できるようになり、挿入後にホックを設けた蓋4bが操作パネル5を覆うようにして固定することで脱落防止される状態となり、携帯用バッグ4に固定された吊り下げベルト4dを肩から掛けるようにして、例えば外出時に邪魔にならないようにして携帯できるように構成されている。また、吊り下げベルト4dには図示のように肩パッドが固定されており肩に負担とならないようにするとともに、携帯用バッグ4の正面にはチューブ15を接続した鼻カニューラ14を収納するパウチ4cが設けられている。なお、携帯用バッグ4は、合成皮革乃至ウレタン引布製とすることができ、後述する吸気口を塞がないように開口部が形成される。
以上のように小型酸素濃縮装置1は、ペットボトルに略近い縦長の外観形状を備えており、特に携帯用バッグ4のパウチ4c内に鼻カニューラ14と折り曲げたチューブ15を収納した未使用状態では、他人が一瞥しただけでは小型酸素濃縮装置1であることが簡単には知られないように配慮されている。
また、軽量化、省エネを追求したことで電気代をさらに安くする一方で、付属の着脱可能で、かつ繰り返し充電可能な外部電池と繰り返し充電可能な内蔵された充電電池228と家庭用商用(AC)電源の3系統で使用できるようにしている。また、特に内蔵電池228および外部電池は、停電時におけるバックアップ電源としても使用できるので安心して使えることになる。さらに、電池節約のために吸気に同調して酸素を送り出す「同調モード」に切り替えることができる機能を備えている。
また、上記の縦長の外観形状を有する密閉カバーを構成する主筐体2を射出成形樹脂部品である耐衝撃性を有する熱可塑性樹脂である例えばABS樹脂製とすることでデザイン的な自由度を確保している。さらに吸着剤を充填した2本の吸着筒を含む他の構成部品についても極力軽量化するとともに、最も重量の大きなコンプレッサ10については、上記の正圧力変動吸着法(PSA)による圧縮空気のみを発生するタイプとすることで、総重量が約2kg程度の軽量化を達成している。また、図中の二点鎖線で示した防音室3も軽量化のために耐衝撃性の熱可塑性樹脂、例えばABS樹脂製とすることができる。
図1(a)において、操作パネル5は、例えば約10度の角度で斜めに形成されており、その上に左から順に、電源スイッチ6と、この上の7セグメントの数字でLEDまたは液晶表示を行う酸素流量他の表示部204と、樹脂製部品の酸素出口7と、樹脂製カバー付きまたはカバー無しの上下2個の酸素流用設定ボタン8が配置されている。また酸素出口7の上方には、酸素出口7に形成された段差部に対して気密状態に係合されるとともに、着脱自在に設けられる樹脂製のカプラ13が設けられている。このカプラ13には鼻カニューラ14等のフレキシブルなチューブ15の開口部が連通するようにセットされる。
上記の携帯用バッグ4に装填したときに、日本人の標準身長(160〜170cm)の患者が起立状態で両手を下げた腰部分に略該当する高さ付近において、身体の外側となるように操作パネル5は斜めに形成されるので、例えば、立ったままの姿勢で小型酸素濃縮装置1の運転操作を無理なく行なうことができるようになる。さらには、酸素出口7を中央にして左右対称位置に各ダイヤルが配置されているので、左利きの人であっても何ら違和感なく操作できることになる。
なお、鼻カニューラ14に接続されたチューブ15の全長は例えば60cm以内とすることで特に携帯時に邪魔にならないようにできるが、患者が生活する同じ部屋内で移動する範囲に略相当する全長としたものを別途準備しておけば、小型酸素濃縮装置1を室内の片隅に固定した状態での使用が可能となる。なお、底面の四隅に4つのゴム足(不図示)を固定しておき、床面上に設置して使用するときに横滑りを防止するとともに簡単には倒れないようにしても良い。
次に、図3は、図1に示した小型酸素濃縮装置1の内部構成を図示するために要部を破断して示した正面図である。本図において、既に説明済みの構成または部品については同様の符号を附して説明を割愛すると、主筐体2の背面側の上方には外気を内部に導入するために図示のように横長に形成された吸気口2aが形成されている。また、主筐体2の右側面には、酸素を生成した後に外部に排気を行うように外部に開口した排気口2bが形成されている。
また、副筐体となる防音室3は、主筐体2と一体成形または別部材として設けられる壁部材9から形成されており、防音室3の内部の壁面に敷設される防音材11を設けることで、コンプレッサ10から発生する運転音を効果的に吸収するようにしている。
この防音材11は、さらに図示のように主筐体2の内部の壁面及び後述する各種電磁弁109、115、117を覆うように設けることで、オンオフ時の運転音を効果的に吸収できるようにしている。
この防音材11は、その繊維径が1〜4ミクロンのポリオレフィレン系繊維(好ましくは、ポリプロピレン繊維)と、繊維径が20〜30ミクロンのポリオレフィレン系繊維(好ましくは、ポリプロピレン繊維)とからなる不織布を用いることができる。このような不織布を用いて軽量に構成することができ、かつ防音吸音効果が飛躍的に上がることが確認された。
コンプレッサ10は、例えば0.5〜2mm厚のアルミニウム板部材をコの字状に曲げ加工して得られた取付板20に固定された後に、ラバーブッシュを含む防振ゴム21を介して防音室3の内部において図示のように固定される。
このコンプレッサ10に一体的に設けられたフィルタ組立体22に対して上記の吸気口2aからの原料空気を導入するためのフレキシブルな配管24が、防音室3に穿設された貫通孔を通過するように設けられている。
また、コンプレッサ10で圧縮されることで温度上昇した圧縮空気を冷却するための放熱管25が配管24を介して接続されている。この放熱管25は、例えば銅製またはアルミニウム製の長尺の管を、図示のようにコイル状に巻いて表面積を大きくするように構成されており、温度上昇された圧縮空気が放熱管25の管の内部を通過する過程で、近傍に配置された軸流ファンを含む放熱ファン30の送風により冷却される。
また、放熱ファン30の送風は上記の排気口2bへ向けて排気される。一方、放熱ファン30の送風は後述する消音器31からの排気も同様に積極的に行うことから、不図示の別の貫通孔を介して防音室3内に外気を導入し、上記の放熱及び排気を行うように構成されている。
一方、外部電池コネクタ131、ACアダプタコネクタ130、133が主筐体2の左側面に設けられており、図示のACアダプタのACケーブル端部のコネクタがACアダプタコネクタ130に挿入されて小型酸素濃縮装置1へのACアダプタ(交流100V)からの電力供給を行うようにしている。
また、繰り返し充電可能な外部電池のコネクタを外部電池コネクタ131にセットすることで、外出時、室内(屋内)等での移動時などにおいて、最大で2時間程度の電池駆動を可能にしている。
さらに、繰り返し充電可能な内蔵電池228は、図示のように最下位置に配置されており、装置全体の重心位置を低くしている。以上のように、AC電源(商用電源)、外部電池、内蔵電池の3系統の電源とするとともに、使用する電源の優先順位をAC電源、外部電池、内蔵電池に自動切り換えすることで、特に内蔵電池228の温存化を図れるようにしている。
一方、収納されたゼオライトの吸着剤中に圧縮空気を透過させ、吸着剤で窒素を選択的に吸着して酸素を生成するための一対の吸着筒108a、108bは、図示のように防音室3と主筐体2との間の空間に設けられている。さらに、生成された酸素を貯める製品タンク111は、防音室3の上方に配置されている。
上記の電源スイッチ6のオン位置に相当する位置には緑と赤に点灯する例えば発光LEDを内蔵した運転状態ランプ(不図示)が設けられている。また、電池残量モニタが設けられる機種もある。
中央の酸素出口7は、図示のように全ての囲い部分が操作パネル5の操作面から奥側(図面の裏面側)に引っ込むように設けられている。この酸素出口7の上には「点検」の文字またはこれに相当するキャラクター表示を横に印刷した警報表示部が設けられる機種もある。さらに警報表示部の下方には緑と赤と黄色とに点灯する例えば発光LEDを内蔵した酸素ランプが設けられる機種もある。
そして、上下の酸素流量設定ボタン8、8はフラットスイッチとして設けられており操作パネル5の操作面と略同一面となるように設けられている。この酸素流用設定ボタン8は、90%程度以上に濃縮された酸素を毎分当たり0.25L(リットル)から最大で5Lまで0.25L段階または0.01L段階で押圧操作する度に、酸素流量が設定できるように構成されており、上方の酸素流量表示部9で表示するようにしている。
以上のようにして酸素生成能力を変えて運転することが可能である。また、濃縮酸素を呼吸同調により断続供給状態で運転中であることを点灯または点滅表示により患者に知らせるために設けられる同調ランプを設ける機種もある。また、呼吸に同期して点滅表示することにより患者に知らせるために設けられる動作インジケータを設けた機種もある。
以上のように操作パネル5に配置された各操作部は使用上の安全性および高齢者の使用を前提として必要最小限度の操作で主な機能を全て操作できるように構成されている。
具体的には、表示部204の電池残量表示部は、電源オンで約2秒間全点灯する。その後に、内蔵電池228または外部充電式電池の残量が100%であると、発光LEDを内蔵したランプが緑色に点灯(連続して光る)するとともに、複数段階(例えば、5段階)の表示部の全てが点灯表示される。また、電池残量が満充電に対して所定割合(例えば、20%)減る度に、順次消灯するとともに点灯数が次第に少なくなり、残り1つの点灯状態になるとオレンジ色等の注意色で点灯して、内蔵のブザーまたは音声ガイドで警告できるように構成されている。
そして、充電式電池の残量が満充電に対して所定割合の例えば10%以下になると発光LEDを内蔵したランプが赤色等の警報色に間欠的に光るように点滅するとともに、所定間隔、例えば、5分おきに内蔵のブザーまたは音声ガイドでその旨を警告するようにして、特に外出時や停電時における電池駆動モードでの使用上の安全性を確保している。なお、内蔵電池228と外部充電式電池の電池残量表示部を、内蔵電池228と外部充電式電池のそれぞれに対応するように別々に表示し、視認しやすいようにしてもよい。また、警報表示部には「点検」の文字を印刷しておき、酸素濃度が低下したときに内蔵のランプが点灯して知らせるようにしても良い。また装置側の異常発生時にはブザーも鳴り音声ガイドとともに知らせるようにしても良い。また、停電で装置が停止したときには、点滅して知らせる一方で、ブザーおよび音声ガイドで特に視覚障害者に対して確実に知らせることができるようにしても良い。また、酸素ランプは、酸素が正常に酸素吸入されているときには内蔵のLEDが緑色に点灯する。また、酸素が出ていないときあるいは酸素濃度が低下したときには消灯する。そして、同調モード(呼吸同調モード)で、一定時間、例えば30秒程度呼吸状態を検出できなかった時に警報色である赤色に点灯し、ブザーを鳴らすとともに音声ガイドで知らせるようにしても良い。
また、吸気に同期して濃縮酸素供給を行う同調モードで運転中の場合にはその旨を患者に視認させるために呼吸パターン(酸素出力)に実質的に同期して緑色に点灯または点滅して知らせるようにして、患者は正常に濃縮酸素が供給されていることを確認できるようにしても良い。
一方、電源スイッチ6をオンすると、ブザーが鳴り、全てのランプが2秒間緑色に点灯する初期セルフチェックを行い、電池駆動モードで使用するときには、その後に5段階の表示部において残量に応じて点灯表示しても良い。患者は医師の処方にしたがって酸素流量設定ボタン8の増減操作を行い所定流量に設定すると酸素供給が開始されることとなる。なお、通常に小型酸素濃縮装置1を停止させた場合には、一時記憶装置に前回の動作条件(酸素流量,同調モードの有無)が記憶されることとなる。このため、初期セルフチェックの後に、酸素流量設定ボタン8を押さない場合には、自動的に前回の動作条件で濃縮酸素の供給を行なうように構成されている。なお、その旨(前回と同一動作条件等)を音声ガイドで合わせて知らせるようにしても良い。
停止時に電源スイッチ6をオフすると、酸素ランプも消灯し、しばらくの間、運転ランプが点滅した後に自動的に終了するようにしても良い。
<酸素濃縮装置1の配管およびブロック図の説明>
図4は、酸素濃縮装置1のブロック図を兼ねて図示した配管図である。本図において、既に説明済みの構成部品については同様の符号を附して説明を割愛すると、図中の二重線は空気、酸素、窒素ガスの流路となる配管24であり概ね配管24a〜24gで示されている。また、細い実線は電源供給または電気信号の配線を示している。
ここで、以下の説明ではコンプレッサ10として圧縮空気発生部とフィルタ組立体22とを一体化構成したものを用いる場合について述べる。また、外気を吸気口2aを介して内部に導入し、排気口2bを介して外部に排出する主筐体2については密閉容器として図中において概ね破線で図示されている。
図4において、導入空気の流れに沿って順次述べる。上記の配管24を介してフィルタ組立体22に原料空気(外気)が矢印F方向に導入される。このフィルタ組立体22で濾過された原料空気は、破線で図示した防音室3内に位置するコンプレッサ10に入る。
このフィルタ組立体22を一体構成したコンプレッサ10は上記のように防振状態で固定されている。
次に、濾過された原料空気は、コンプレッサ10の後述する圧縮機構で加圧されて圧縮空気となるが、このとき温度上昇した状態で配管24cに送り出されるので、この配管24cを放熱効果に優れた上記の放熱管25に接続し、送風ファン30からの送風で冷却するように設けられている。このように圧縮空気を冷却することで、高温では機能低下してしまう吸着剤であるゼオライトが窒素の吸着により酸素を生成するための吸着剤として十分に機能できるようになる結果、酸素を90%程度以上にまで濃縮できるようになる。
圧縮空気は、配管24dを介して並列に2本分が上記のように配置された、第1吸着筒体108aと第2吸着筒体108bに対して交互に供給されることになる。このため切換弁である3方向切換弁109a、109bが図示のように接続されている。これらの3方向切換弁109a、109bと、さらに第1吸着筒体108aと第2吸着筒体108bの不要ガスを脱離させるための浄化工程を行うために、3方向切換弁109a、109bに対して配管24fが図示のように接続されている。また、配管24fの下流側には排気の消音を行い排気口2bから外部への排気を行う消音器31が接続されている。
以上の第1吸着筒体108aと第2吸着筒体108b内に夫々貯蔵されている触媒吸着剤であるゼオライトは、Si203/Al2O3比が2.0〜3.0であるX型ゼオライトであり、かつこのAl2O3の四面体単位の少なくとも88%以上をリチウムカチオンと結合させたものを用いることで、単位重量当たりの窒素の吸着量を増やせるようにしている。特に1mm未満の顆粒測定値を有するとともに、四面体単位の少なくとも88%以上をリチウムカチオンと融合させたものが好ましい。
このようなゼオライトを使用することで、同じ酸素を生成するために必要となる原料空気の使用量を削減できるようになる。この結果、圧縮空気を発生するためのコンプレッサ10をより小型のタイプとすることができ、一層の低騒音化を図ることができる。
一方、第1吸着筒体108aと第2吸着筒体108bの上方の出口側には逆止弁と、絞り弁と開閉弁とからなる均等圧弁107が図示のように分岐接続されている。また、均等圧弁107の下流側には、合流する配管24dが接続されており、分離生成された90%程度以上の濃度の酸素を貯蔵するための容器となる製品タンク111が、図示のように配管24dに対して配管されている。また、各吸着筒体内の圧力を検出する不図示の圧力センサが配管されている。
製品タンク111の下流側には、出口側の酸素の圧力を一定に自動調整する所謂レギュレータである圧力調整器112が配管されている。この圧力調整器112の下流側には、ジルコニア式あるいは超音波式の酸素濃度センサ114が配管24eを介して接続されており、酸素濃度の検出を間欠(10〜30分毎)または連続で行うようにしている。この下流側には上記の酸素流量設定ボタン8に連動して開閉する比例開度弁115が配管24gを介して接続されており、その下流側には酸素流量センサ116がさらに接続されている。またこのセンサ116の下流には呼吸同調制御のための負圧回路基板を介してデマンド弁117が接続されており、滅菌フィルタ119を経て、小型酸素濃縮装置1の酸素出口7に対して接続されている。以上の構成により、鼻カニューレ14等を経て患者に対する最大流量5L/分で約90%程度以上に濃縮された酸素の吸入が可能になる。
次に、電源系統は、AC(商用交流)電源を所定直流電圧に整流するスイッチングレギュレータ式のACアダプタ19に接続されたAC電源のコネクタ130を中継して接続されるACアダプタ19と、主筐体2の底部に内蔵される内蔵電池228と、上記のコネクタ131を介して着脱自在可能に設けられる外部電池227と電源制御回路226から構成されている。内蔵電池228および外部電池227は繰り返し充電可能な2次電池であり、内蔵電池228は電源制御回路226からの電力供給を受けて充電される。なお、少なくとも内蔵電池228は、少なくとも500回(数100回程度)程度の繰り返し充放電が可能で、電池残量、使用充放電サイクル数、劣化程度、出力電圧等のマネジメント機能を有するものが使用され、電池残量、残充電容量、充放電回数を外部の携帯端末などで確認可能なマネジメント機能を有するものが好ましい。また、外部電池227については、コネクタ131を介する接続状態において、電源制御回路226からの電力供給を受けて充電することもできるが、通常は別途準備される電池充電器を用いて繰り返し充電されることになる。または、専用設計された電池充電器を一体化した外部電池227として準備しても良い。
以上の電源系統の構成において、酸素濃縮装置1はACアダプタ19からの電力供給を受けて作動する第1電力供給状態と、内蔵電池228からの電力供給を受けて作動する第2電力供給状態と、外部電池からの電力供給を受けて作動する第3電力供給状態との3系統の電力供給状態の内の一つに自動切換えされて使用されることになる。
この自動切換えのための優先順位は上記の第1電力供給状態、第3電力供給状態、第2電力供給状態の順序で自動決定するように中央制御部200により電源制御回路226が制御される。
また、電源制御回路226には、IDタグコード識別回路230がさらに接続される場合があり、後述するように携帯時に充電式電池切れとなる事態を防止できるようにしている。すなわち、携帯時に充電式電池切れとなる事態を防止するためには、複数の充電式電池228を接続すると良いが、このように複数の電池を接続すると電源切替の手段が複雑になるし、また個別に電力消費をモニターすることができなくなる。
そこで複数の充電式電池228、...228の内で、放電済の電池からフル充電された充電式電池に自動的に切り換える制御を可能にするために個別に識別IDタグコード及び充電状態検出手段を設けておき、放電済の電池を確認可能にしてフル充電された電池に切り換えるようにしている。さらにまた、電池使用したい時間に合致させて、接続する電池の数を自由に選択し、利便性を高めるようにしている。
さらに内蔵の内蔵電池228については酸素濃縮装置1の低重心化を図るために後述するように底面に配設される。一方、外部電池227は例えば患者の衣類のポケット内に収容しておき、適宜接続することで外出時などで使用することが可能になる。この外部電池227には上記の充電残量表示部が設けられているので残り使用時間を音声ガイドとともに知ることができる。
ACアダプタ19は、周波数の違いの影響および電圧の変動を受けずに所定直流電圧を発生することが可能であり、かつまた小型軽量に構成できるスイッチングレギュレータ式が良いが、通常のシリーズ式でも良い。また、内蔵電池228および外部電池227は充電時のメモリ効果が少なく再充電時にも満杯充電できるリチウムイオン、リチウム水素イオン2次電池が良いが、従来からのニッカド電池やニッケル水素電池でも良い。さらに、緊急時に備えて、どこでも入手可能な単2乾電池のボックスとして外部電池を構成しても良いことになる。
また、中央制御部200は、生成する酸素量に応じた、最適な動作モードに切り替えるプログラムが記憶されており、多くの酸素生成をする場合は自動的にコンプレッサ10、送風ファン30を高速駆動し、少ない酸素生成時の場合には低速に回転駆動する制御を行うモータ制御部201、ファンモータ制御部203を介して夫々行うことで、特に、内蔵電池228を温存させるようにしている。この結果、外部電池227を充電し忘れた場合であっても突然の外出時や停電時等の対応が可能になる。
この中央制御部200には所定動作プログラムを記憶したROMが内蔵されるとともに、外部記憶装置210と、揮発メモリと一時記憶装置とリアルタイムクロックからなる回路207がさらに接続されており、外部コネクタ133を介して通信回線などと接続することで記憶内容へのアクセスが可能となるように構成されている。
また、上記の3方向切換弁109a、109bと均等圧弁107とをオンオフ制御することで、第1吸着筒体108aと第2吸着筒体108b内の不要ガスを脱離させるように制御する制御回路208と、上記の酸素濃度センサ114と比例開度弁115と、流量センサ116とデマンド弁117とを駆動制御する流量制御部202が中央制御部200に接続されている。
総重量が約500gのコンプレッサ10は、モータ制御部201に内蔵される可変速度制御部により正弦波駆動波形でアウターロータ式の電動モータを含む直流モータの駆動制御が行われることで運転音を低くしている。このコンプレッサ10は、各速度で運転可能であって、必要な正圧の圧力レベルと流量を発生でき、僅かな騒音と振動しか出さず、僅かな熱しか発生せず、小型軽量であって僅かな電力消費で運転できるように構成されている。
可変速度制御手段である可変速度制御器をモータ制御部201に備えることにより、患者の活動レベル、環境条件に基づいてコンプレッサ10の速度を自在に変化させることができる。この結果、患者が座ったり、寝たりしている等、患者の酸素要求が比較的低いことがデマンド弁117によって呼吸同調に基づき判断されると、コンプレッサ10の駆動回転速度を自動的に落とすことができる。また、患者が立ったり、活動的であったり、後述するように酸素濃度の低い高地にいることがGPSで判断されたときなど、患者の酸素要求が比較的高く、酸素要求量が高まったと判断されると速度を自動的に高めることができるように構成されている。
以上のモータ制御によって装置1全体の消費電力が低減され、充電式電池での駆動時の寿命を延ばすことが可能になるとともに、充電式電池の重量と大きさを軽減し、コンプレッサ10の摩耗度を低めて寿命を延ばすことで信頼性を向上できる二次的効果を得ることも可能になる。
このコンプレッサ10は、上記のように圧縮空気発生のみの機能を備えるものであり、取り出される酸素流量に応じて回転数が自動制御され、回転速度が500rpmから3000rpmの間で制御される。また、このコンプレッサ10は、空気を60?150kPa程度に圧縮する性能を備えている。
このコンプレッサ10を取り巻く操作温度は、0℃〜40℃であり、コンプレッサ10の駆動電圧は、自動車やトラックなどのシガーライターアダプタから得られる電源である直流12Vまたは24Vであって、電力使用量は、約30W程度である。このため、最悪の場合にはコネクタ131に接続して電源供給することもできる。
上記の送風ファン30は、消費電力約3W程度であり、濃縮酸素流量に応じて回転数が変動し、騒音の低下、電力の低減に貢献する。
3方向切換弁109a、109bには、一般的に直動式と呼ばれる弁の動作を通電時の磁力で行う電磁弁が使用可能である。この種の電磁弁は電気の力だけで主弁を動作させるため消費電力が高いという問題点がある。そこで、3方向切換弁109a、109bとしてパイロット式3方向切換弁を使用することもできる。このパイロット式3方向切換弁によれば、僅かな消費電力とコンプレッサからの空気圧を有効利用して動作させることが出来るために従来の8Wから0.5Wにまで低減されるので大幅な電力低減が図れることになる。
以上の各構成部品は、低騒音化された小型酸素濃縮装置1の組立作業性および点検整備性の向上を配慮して図3に図示したように一方向から主に主筐体2をその取り付け部として固定できるように設計されている。すなわち、各種制御基板と、上記のように酸素の圧力を一定に自動調整する圧力調整器112と、圧力調整器112の下流側の酸素濃度センサ114と比例開度弁115と、酸素流量センサ116と呼吸同調制御のための負圧回路基板118に接続されるデマンド弁117を、全て一方向から固定できるように構成されている。特に振動または騒音発生の伴う構成部品は防音室3の内部において防音状態かつ防振状態で設けることで、圧縮空気の供給音と、外部空気の導入音と、原料空気を作るための濾過空気の導入音と周期的に発生する排気音が外部に漏れないようにして騒音低減を図っている。また、3方向切換弁の作動音は上記のように防音シート11で覆うことで防音している。さらに主筐体2は、その吸気口2aを介して内部に導入し、排気口2bを介して外部に排出する必要最小限の開口を備えた密閉カバーとして構成されることから、さらなる騒音低減を図ることが可能になる。
<フィルタ組立体22とコンプレッサ10の一体化構成>
図5は、コンプレッサ10の外観斜視図であってコンプレッサ10に取付板20とフィルタ組立体22を固定した後の様子を示した外観斜視図である。
本図において、コンプレッサ10は上記のように原料空気から圧縮空気のみを得る形式であるので一つのシリンダ部35を備えている。また、シリンダ部35の上部には圧縮された空気を送り出す配管24cを接続するための継手47が接続された頭部部材36が4本のロングボルトを用いて固定されている。このように頭部部材36の4隅を固定することでシリンダ部35の内部で発生する大きな圧力を受け止めることができるとともに分解修理可能に構成されている。
図5に図示のように原料空気を濾過するためのフィルタ組立体22が固定される。このフィルタ組立体22の両側面には配管24に接続されるL字継手37が夫々固定されている。また、上記の取付板20がコンプレッサ10の底面に形成された雌ネジ孔に対して防振ゴム21を固定することで共締め状態で図示のように固定される。
次に、図6は、図5のコンプレッサ10とフィルタ組立体22の内部構成を図示するために要部を破断して示した正面図である。図6において、既に説明済みの構成または部品については同様の符号を附して説明を割愛すると、コンプレッサ10は、電動モータ39によるクランク運動で往復駆動されるピストン33をシール状態で案内するシリンダ室35aと空気導入口となる主開口部32Pとを形成した主ハウジング32を備えている。この主ハウジング32はアルミニウムダイキャスト製とすることで軽量化を図ることが可能となる。この主開口部32Pに対してフィルタ組立体22が圧入されることで図示のように固定される。尚、シリンダ部35は温度上昇するので破線図示の放熱フィンを設けることで放熱を図るようにしても良い。
上記のピストン33の中心からはピストンロッド34が一体形成されており、このピストンロッド34の端部にはラジアル軸受け43が内蔵されている。このラジアル軸受け43はモータ出力軸40に固定された円盤41の回転中心からそれた偏心位置に固定されたクランク軸42により回転自在に設けられている。
一方、ピストン33の外周縁部には図中破線で図示したピストンシール体44が固定されている。このピストンシール体44はシリンダ室35aの内周面に対して隙間なく摺接することで、ピストン33が上死点と下死点との間で白抜き矢印方向に往復運動するときにシリンダ室35a内を気密状態に維持できるように構成されている。
また、ピストン33には、孔部33aが穿設されており、この孔部33aを常時塞ぐバネ力を発生する第1のリード弁45がピストン33の上面に固定されている。また、上記の頭部部材36はシリンダ室35aの天井部を気密状態で塞ぐとともに、上記の継手47に一端が連通する流路36gを形成しており、この流路36gとシリンダ室内との間においてシリンダ室内が所定圧力になると開き、それ以下の圧力では閉じるバネ力を有した第2のリード弁46が固定されている。
次に図6に図7のフィルタ組立体22の立体分解図をさらに参照して、フィルタ組立体22は、有底筒状のハウジング部材50を備えている。このハウジング部材50は、蓋部材38の外周面に形成された溝部38aに内蔵されたOリング49を圧縮状態で嵌合する空気導入口(開口部)50pをその一端に形成するとともに、内部に容積部Hを形成している。また、このハウジング部材50の有底面部50dには貫通孔部50bが穿設されており、ハウジング部材50の外周面に形成された溝部50aに内蔵されたOリング49を圧縮状態で主開口部32Pに対して圧入嵌合するように構成されている。また、ハウジング部材50の容積部H内に空気を導入するためにハウジング部材50の外周面に固定される空気導入管となる破線図示のL字継手37が接続されている。
このL字継手37から導入された空気の一次濾過を行うための第1の筒状フィルタ部材51が図示のようにその外周面周りに空間部を形成するようにして内蔵される。この第1の筒状フィルタ部材51によって一次濾過された後の空気の二次濾過を行うとともに貫通孔部50bに送り出すための第2の筒状フィルタ部材52が第1の筒状フィルタ部材51と同軸となるように配置されている。各筒状フィルタ部材51、52は両端部が蓋部材38の内壁部と有底面部50dに対して図示のように当接することで不動状態に維持される。また、金属網を焼結した焼結フィルタ部材53が貫通孔部50bを塞ぐように固定されている。上記の第1、第2の筒状フィルタはフェノール樹脂含浸のセルロースから構成されるとともに、標準濾過精度40ミクロンの濾過性能を有する。
ここで、第1の筒状フィルタ部材51のみでも良く、また、濾過媒体であるセルロース体をひだ状に折り曲げて構成される通常の濾過フィルタであっても良い。
図8(a)は、筒状フィルタ部材51、52を構成するために螺旋状に積層されるフェノールシート55を剥がして示した外観斜視図、(b)は、フェノ−ルシート55の拡大図である。図8(a)において、第1の筒状フィルタ部材51及び第2の筒状フィルタ部材52の少なくともいずれかは、フェノール樹脂を含浸したセルロール体55を帯状体筒状に積層するように螺旋巻きし、フェノール樹脂を熱硬化して得られる。このセルロース体55は幅寸法Wを有しており、図8(b)に図示するように長手方向に直交する山部55bと谷部55aとを1mm前後のピッチで交互に形成している。
次に、図9(a)は、焼結フィルタ部材53の拡大図、(b)は焼結フィルタ部材53の断面の拡大図である。本図において、焼結フィルタ部材53は、夫々番手の異なる金属網を複数分焼結して形成される。このようにして濾過精度が20ミクロンの焼結フィルタを得ることが可能となる。具体的には、焼結フィルタ部材53を5層構成することができ、シリンダ室35側に露出される通常の番手を有する保護層56に続いて二次濾過後の濾過を行うために最も番手の細かい濾過制御層57と、この濾過制御層57に続く番手の荒い散支持層58と、これに続くさらに番手の荒い第1の補強層59と、これに続く所定番手の第2の補強層60とを焼成処理により一体化している。
このように構成される焼結フィルタ部材53の金属網は、ステンレス製が防錆上好ましい。ここで、焼結とは金属の融点前後の温度状態で一定時間付き合わせることで、金属組織内の交差する各接点の間で原子拡散現象が起こり、接点間を跨いで結晶が形成されて完全に一体化されることを言う。このようにして得られた焼結物は優れた機械的強度と耐蝕性を得ることができるとともに、不純物の除去を行うための濾過作用と、空気中の微粒子を通過させつつ除去を行う通気作用を備える。また、さらに音のエネルギーを吸収する消音作用を発揮することが可能になる。上記の特性を備える焼結フィルタ部材53を大きな面積部分で貫通孔部50bを塞ぐように設けることにより、特に消音効果を最大限に実現できるようにしている。
図10(a)は、コンプレッサ10に供給される原料空気と、圧縮後の空気の流れる様子を図示するために要部を破断して示した外観斜視図である。図10(b)は、ピストンの上下運動にともない発生する騒音が焼結フィルタ部材53で遮断及び吸収される様子を図示するために要部を破断して示した外観斜視図である。
図10に図6をさらに参照して、モータ39への通電によりクランク軸42が下方に移動されピストン33が下死点まで降下される。このときシリンダ室35aの内部は負圧状態になりピストン33の第1のリード弁45が開くことでシリンダ室35aの内部に貫通孔部50bを通過した第2の筒状フィルタ部材52と第1の筒状フィルタ部材51とにより濾過された原料空気が充填される。
この後、モータ39への通電でクランク軸42が上方に移動されピストン33が上死点まで上昇されることでシリンダ室35aの内部は正圧状態になるのでピストン33の第1のリード弁45が閉じる。上死点まで移動後に、所定内圧になると第2のリード弁46が開くことで圧縮空気が配管24cに送り出される。以上のピストン運動を反復することで、圧縮空気を2本の吸着筒体に対して送ることができる。
以上のピストン運動を行うときに発生する騒音は、焼結フィルタ部材53で遮断及び吸収される。また、騒音の一部が貫通孔部50bを通過しても、2重に配置された各筒状フィルタ部材51、52により音が遮断されるので外部には騒音が漏洩しない。
次に、主ハウジング32の底面には上記の取付板20を固定するための2箇所の雌ネジ部32hが形成されている。この雌ネジ部32hに螺合されるネジを用いて上記の取付板20が固定される。以上のようにコンプレッサ10と一体化されたフィルタ組立体22とを防音室3の内部で2個の防振ゴム21を介して防振状態で固定する。
図11(a)は、酸素濃縮装置1の主筐体2にコンプレッサ10を固定した様子を図示した横断面図である。また、図11(b)は、コンプレッサ10の振動発生状態及び振動吸収状態を図示した外観斜視図である。
図11において、本図において、既に説明済みの構成または部品については同様の符号を附して説明を割愛すると、上記のように一体化されたフィルタ組立体22とコンプレッサ10は、フィルタ組立体22が鉛直方向に沿う上方に、また電動モータ39が鉛直方向に沿う下方に位置されて防音室3内に配置される。また、取付板20は主筐体2の前後壁面に対して発泡軟質ウレタン材などの制動部材48を介して取り付けられる。
以上のように主筐体2と防音室3の取付面との間で鉛直方向(Z軸方向)に沿う上下に設けられることで、Z軸方向に沿う上下方向の振動と、X軸方向に沿う左右方向の振動と、Y軸方向に沿う前後方向の振動及びこれらの合成振動とを効果的に抑制できることとなる。なお、防振効果は適度に弾性変形するようにコンプレッサ10に一端が固定され、他端が防音室3の開口部に固定された配管24からも得ることができる、
一方、外部に漏洩した騒音は上記の不織布からなる防音シート11により吸収されることとなる。また、上記の各電磁弁の動作音についてはその上に被せられた防音シートに加えて主筐体2の内壁面の適所に敷設された防音シートにより吸音されることとなる。
以上の構成により小型酸素濃縮装置1の電源スイッチ6がオンされる事で、所定電圧の供給が開始され、セルフチェックが行われる。これに続きコンプレッサ10と、送風ファン30と、3方向切換弁109a、109bへの通電が行われることで、外部空気の導入が行われ、それに伴う空気導入音と同時にコンプレッサ10の振動やその振動に伴う騒音、各吸着筒に及ぶ配管からの透過音が連続して発生するが、上記のように防振及び防音が施されてているので外部に漏れ出る騒音、振動は非常に小さくできる。
これに続き、導入された空気は一方の3方向切換弁109aを経て第1吸着筒体108aに導入されて、生成された酸素は逆止弁を通り、製品タンク111に流れ込み圧力が次第に上昇する。所定の圧力になると均等圧弁107が所定時間 「開状態」となる。
第1吸着筒体108aで濃縮された一部の酸素を使用して、第2吸着筒体108bの洗浄が行われ、続いて均圧工程が行われる次の加圧に備えた準備が行われる。
次に、第1吸着筒体108aの脱着工程(窒素や水分の排出)と第2吸着筒体108bへの圧縮空気の取入れを行うべく3方切換弁109bが作動する。第2吸着筒体108bに流れ込んだ圧縮空気から分離されて生成された酸素は、不図示の逆止弁を介して製品タンク111中に流れる。その後所定の圧力となったことが不図示の圧力センサで検出されると均等圧弁107が所定時間「 開」となる。この後に、第2吸着筒体108aの洗浄及び均圧工程が行われる。以上のように均等圧弁107が開かれることで、第2の吸着筒体108bで生成された酸素が第1の吸着筒体108aの出口部に送り込まれるので、内蔵のゼオライトの洗浄化が行なわれる。以上の切換動作を所定タイミングで繰り返し行うことで、連続した酸素の安定供給が可能となる。
尚、流量センサ116は、使用する酸素流量を決定するために、流量設定で設定された設定値を読み取るとともに、チューブ折れ等の外乱要因により流量低下した場合に備えて、実流量を測定できるようにしている。
<予測式呼吸同調の説明>
再度、図4を参照して、製品タンク111では、吸着筒内圧力と同期して圧力が変動するため、圧力調整器112は一定圧力となるよう機能するとともに不図示のフィルタを内蔵している。このフィルタは100ミクロン以下の平均孔径のタイプが使用されることで圧力調整器112以降の下流側の各部品の吸気検知の際に使用されるデマンド弁117に接続される微圧センサの保護を行うようにしている。
この圧力調整器112の下流側には酸素濃度の検出を行う酸素濃度センサ114が配管24eを介して接続されている。また、開度が可変に開閉駆動される比例開度弁115が配管24gを介して接続されている。この比例開度弁115は、流量制御基板202に接続されており酸素流量設定手段で設定された酸素供給量に比例してその開度が変化されて開閉駆動されるように構成されている。具体的には、単純に開閉動作を行う電磁弁のバルブ開度を駆動電圧値に比例させて大きくすることで、酸素供給量をリニアーに制御できるように専用設計されている。
また、比例開度弁115の下流側に配管されることで酸素流量の検出を行う酸素流量センサ116と、この酸素流量センサ116の下流側に配管されることで吸気状態に応じて酸素を送り出すデマンド弁117と、このデマンド弁117の下流側に配管されるフィルタ119と、酸素吸入を行うときに使用される上記の鼻カニューラ14を接続した酸素吸入具が設けられている。デマンド弁117には、更に呼吸時の負圧検出を行い使用者に酸素を送るタイミングを検出するとともに、流量制御基板202で制御される微圧力センサが接続されている。
以上の構成において、電源オンの後に設定流量の入力及び同調モードの設定がなされると、設定流量に応じた開度が維持される。次に、デマンド弁117に接続された微圧センサで吸気の負圧検出を行う。これに続き、デマンド弁117を作動させることで酸素を供給可能にする。これに続き、流量センサ116により実流量を検出して、実流量と設定流量との比較を行うことで設定流量になるように比例弁115の開度が自動調整されるように構成されている。
以上の微圧力センサで吸気状態が検出されると比例開度弁115を酸素流量設定手段で設定された酸素供給量に比例してその開度を変化させて開駆動させることで、呼吸同調で酸素吸入を行うことで最適な酸素供給を行うように構成されている。
上記の呼吸同調制御によれば、充電式電池で、酸素濃縮装置1全体が駆動されている場合に、濃縮された酸素をより効率的に患者が使用できるようにするために、呼吸に同調した制御を行うことができる。通常の呼吸の間は、患者は、吸気/呼気サイクルは、1:2とされており、呼気の間に生成される濃縮酸素は患者にとっては不要のものである。この結果この余剰の濃縮酸素の流れを効率的に提供する追加の電池電力は無駄にされている。そこで、呼気の間に生成された濃縮酸素を吸気時に供給することにより、仮に、吸気/呼気サイクルが1:2であるならば、吸気時に3倍の流量まで供給することが可能となる。このように、呼吸同調制御を行うことは酸素濃縮装置の小型化、低消費電力化が可能となる利点がある。
図12は、予測式呼吸同調における連続発生酸素流量、制御パターン、コンプレッサ10のモータの回転数、消費される電力、吸気呼気率毎に対応可能な供給酸素量との相関図である。本図において、制御パターンAでは、電力消費が127ワットとなりモータ39の回転数が毎分2700回転に設定されることで、連続発生酸素流量を3リットルにすることができるので、吸気:呼気の比が1:1で毎分30回の酸素吸入時において最大毎分6リットルまで対応可能である。
また、制御パターンBでは、電力消費が116ワットとなりモータ回転数が毎分2500回転に設定されることで連続発生酸素流量を2.5リットルにすることができるので、吸気:呼気の比が1:2で毎分20回の酸素吸入時において、最大毎分7.5リットルまで対応可能である。
制御パターンCでは、電力消費が76ワットとなりモータ回転数が毎分1750回転に設定されることで連続発生酸素流量を2リットルにすることができるので、吸気:呼気の比が1:3で毎分15回の酸素吸入時において、最大毎分8リットルまで対応可能である。
また、制御パターンDでは、電力消費が64ワットとなりモータ回転数が毎分1500回転に設定されることで連続発生酸素流量を1.5リットルにすることができ、図示のように対応できる。以下、制御パターンE、Fで電力消費とモータ回転数が図示のように設定されることで吸気:呼気の比と供給する濃縮酸素流量により制御パターンをテーブルに記憶しておくことで制御パターンA〜Fの内のいずれかに基づきモータ回転数の増減制御を行うことで、電力消費の無駄を無くすことが可能となる。このように、制御パターンA〜Fの内のいずれかを選択することは、装置側にて自動検出される。
図13は、予測式呼吸同調における動作説明フローチャートである。
本図において、酸素吸入が開始されるとステップS1において、デマンド弁117に内蔵されたセンサにより単位時間当たりのN回分の吸気、呼気が行われたことが検出され、制御部200に接続されたRAM207に一時記憶される。これに続き、ステップS2に進み、単位時間当たりのN回分の吸気と呼気に変化または変動が無いか否かが判断されて、変動は無いと判断されるとステップS3の通常モードに進み、モータ回転数の変化をさせることなくステップS6に進みリターンして処理を終える。
また、ステップS2で単位時間当たりのN回分の吸気、呼気に変化があると判断されるとステップS4に進み、吸気が増加傾向であるか否かの判断がされ、増加傾向ではないと判断されると通常モードの運転で酸素供給を十分に行えることからステップS3に進みリターンして処理を終える。
一方、ステップS4で吸気が増加傾向であると判断されると、ステップS5に進み図12の制御パターンB〜Fを1ランク以上アップさせて最高の制御パターンAまでに自動設定することで、不足分の酸素供給に備えリターンして終了する。
以上のように吸気、呼気から求められる酸素吸入頻度に基づき供給すべき酸素供給量周期を予測し、予測された酸素供給量周期に応じてモータ駆動のモータ回転数を変化させることで、消費電力が低減されるととともに内蔵または外付けの充電式電池の消費を低減することが可能となる。このように省力化することは携帯用機器において最も重要な要件となることは言うまでもない。
以上のように最適な制御パターンA〜Fに自動設定する状況は、患者の酸素吸入状態を反映して行う以外に、装置1の使用される高度からも自動設定すると良い。すなわち、高高度では酸素が薄いので高度に応じた酸素供給量の増加を行うことで患者は環境変化を意識せずに使用できるようになる。
<全地球測位システム(GPS)による酸素供給の自動設定>
制御装置200は全地球測位システム装置221に接続されることで、全地球測位システム221で計測される装置1の使用場所の高度に応じてコンプレッサ10の回転数を増減させ、圧縮空気量を変化させることができる。また、最適な制御パターンA〜Fに自動設定することで酸素供給量を変化させることができる。
図14は、全地球測位システム221により装置の使用場所の高度を計測して、酸素供給量を増加させる動作説明フローチャートである。
本図において、装置1が起動されるとステップS10に進み全地球測位システムの測量が行われる。この全地球測位システムでは、4つの人口衛生との間で行われる4点測量と3つの人口衛生との間で行われる3点測量から求めた座標と、内蔵の高度地図との対比から高度を計測することができるので、ステップS11において、4点測量または3点測量を選択する。ステップS11にて4点測量が選択されるとステップS12に進み高度計算を行う。この高度計算の結果、高高度な時はコンプレッサ10の回転数を増やし、酸素濃度を改善させる。この後、ステップS14においてモータ駆動制御を行い処理を終了する。
一方、ステップS11において、3点測量が選択されるとステップS15に進み、3点測量でも無いと判断されると再測量のためにステップS10に戻り、上記のステップS10からやり直す。ステップS15で3点測量であると判断されるとステップS16において、内蔵の高度地図を参照して高度が決定されるので、この高度に対応したコンプレッサ10の回転数とし、安定した酸素濃度を供給する。この後、ステップS14においてモータ駆動制御を行い処理を終了する。
<モジュラー電池228の説明>
図4において、電源制御回路226には、IDタグコード識別回路230がさらに接続されることで携帯時に充電式電池切れとなる事態を防止できるとともに、充電式電池228は、主筐体2の下方から重ねた状態で交換自在にセットされることで低重心化を図れることを述べた。
このように携帯時に充電式電池切れとなる事態を防止するために、複数の充電式電池228、...、228を接続することが考えられる。しかし複数の電池を接続すると電源切替が複雑になりかつまた個別に電力消費量をモニターできなくなる。
図15(a)は、モジュラー電源装置の模式図、図15(b)はモジュラー電源装置の回路図である。本図において、複数の充電式電池228、...、228の内で、放電済の電池からフル充電された充電式電池に自動的に切り換える制御を可能にするために個別に特有のIDコード(識別コード)228a、228b、228c、228d、228eと充電状態検出装置230を設けておき、放電済の電池を確認可能にして、フル充電された電池に切り換えるようにしている。さらにまた、電池使用したい時間に合致させて、接続する電池の数を自由に選択し、利便性を高めるようにしている。
図16は、モジュラー電源装置の動作説明フローチャートである。本図において、装置1の起動後にステップS31において、各充電式電池に特有のIDコード228a、228b、228c、228d、228eを個別に確認する。これに続き、ステップS32において各充電式電池の充電状態または放電状態を確認する。以上のステップS31、32によって電圧電池が放電済である電池が確認されることで上記のIDコードとともに記憶される。その後、ステップS34において放電前の充電式電池に切り換えることで電源供給端子を介して電力供給を行う。以上のステップ31〜34を繰り返し実行して、全電池が放電したことをステップS35で確認されるとステップS36に進みアラームにより使用できなくなったことを知らせる。
なお、上記の電池はリチウム・イオン積層構造であって、出力電圧が3.7〜29.0Vの二次電池が含まれる。その重量は500g程度で、呼吸同調制御を行う場合において、88〜94%の濃縮酸素流量が最大2L/分時に最大2時間の動作を可能にしている。このリチウム・イオン・電池以外にも他の携帯用エネルギ源からの供給も受けることができる。例えば、充電式もしくは取替え式の燃料電池が使用可能である。このシステムは、二次電池として内蔵電池と外部電池から電力供給されるが、多数の電池によって駆動してもよい。
また、患者は常に追加の新鮮な充電済みの外部電池を持つことで、より長時間の外出等が可能となり、その際のQOLが大幅に向上する。また、適当な接続部を介して濃縮酸素の流れに湿気を加えるための加湿手段(不図示)を備えていてもよい。