JP3140856U - 酸素濃縮装置 - Google Patents

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Abstract


【課題】 外出時に携帯することが可能で、酸素濃縮装置の使用場所がどこにあっても最適量の酸素供給を行うことのできる酸素濃縮装置の提供。
【解決手段】 窒素を選択的に吸着して酸素を生成する一対の吸着筒と、前記圧縮空気となる原料空気を濾過するフィルタ手段と、フィルタ手段で濾過された空気から圧縮空気を得るコンプレッサ手段と、吸着筒に対して交互に圧縮空気を供給するように切り換えられる切換弁と、生成された酸素を貯める製品タンクと、酸素センサと、気圧センサとを備えた酸素濃縮装置であって、コンプレッサ手段は、水平対向2筒式とし、酸素センサは、線材に流れる電流を測定する電流計を設けた酸素センサであり、マニホルドにより気体流路を形成し、GPS及び気圧に応じた酸素流量調整を行うようにしたことを特徴とする。
【選択図】 図4

Description

本考案は、酸素濃縮装置に係り、特に圧力スイング吸着方式による医療用の携帯式の酸素濃縮装置に関する。
空気中の酸素を透過させて、窒素を選択的に吸着するゼオライトを吸着剤として用いることで酸素を生成する圧力スイング吸着法による酸素濃縮装置が医療用として実用化されている。
この方式の酸素濃縮装置によれば、空気取入口から取り込んだ原料空気を圧縮手段であるコンプレッサで圧縮して圧縮空気を発生し、この圧縮時に温度上昇した圧縮空気を熱交換器で冷やしている。この熱交換器を上記の圧縮手段とともに外気空気を吹付ける冷却手段で冷却するとともに、吸着剤を内蔵した吸着筒に対して圧縮空気を供給することで、酸素を生成し、生成された酸素をタンクに貯めておき、減圧弁や流量設定器を介してタンクから所定流量の酸素を供給可能な状態にすることで、鼻カニューラ等を介して患者に対する酸素吸入ができるように構成されている。
このように構成される酸素濃縮装置を、例えばAC電源(商用電源)の備わっている場所に設置しておけば、例えば肺機能が低下した在宅酸素療法患者は、就寝中でも安全に酸素を吸うことができるようになり安眠できることとなる。特に、就寝中も使用する場合には、酸素濃縮装置は騒音発生が極めて少ないことが好ましい。可能であれば室内の空調設備から発生する騒音レベル以下となることが望ましい。
一方、慢性気管支炎等の呼吸器疾患の患者の治療法として有効となる長期酸素吸入療法に使用される酸素濃縮装置は、一般的には可搬型ではない。すなわち、患者が外出先に持ち出せるように構成されていない。そこで、患者がやむなく外出する場合には、酸素ボンベを搭載したカートを押しながら、その酸素ボンベから濃縮酸素を吸うようにしている。この酸素ボンベに対する酸素供給は専用設備にて行なわなければならず、患者のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)を少なからず損なうものであった。
そこで、電池駆動されるコンプレッサを使用した可搬型や移動型の酸素濃縮装置が提案されている(特許文献1、特許文献2)。
また、圧縮空気を発生する圧縮手段と負圧を発生する減圧手段とを備えたコンプレッサを採用する場合、特に一体化されたコンプレッサの振動、そして、酸素濃縮プロセスにおける均圧工程時によって発生する振動を低減することを目的とし、減圧手段と切換弁との流路間に外気と連通する負圧破壊弁設け、更に均圧工程時と同期して負圧破壊弁を開状態にすることで、減圧手段と切換弁との流路内に外気が入り込むことによりコンプレッサの振動防止と低電力化を図る技術が提案されている。(特許文献3)。
また、圧縮空気を発生する圧縮手段と負圧を発生する減圧手段とを備えたコンプレッサと、コンプレッサをその入口側に夫々接続することで圧縮空気を筒体の内部に導入し、筒体内に充填された吸着剤により窒素を吸着して酸素を分離生成してその出口側から酸素を供給するとともに、吸着剤が窒素で飽和したときに負圧を導入して窒素を吸着筒体の外部に排出させる2本の吸着筒体と、2本の吸着筒体の入口側とコンプレッサとの間に接続されることで圧縮空気流路と負圧流路と閉流路とに交互に切り換える2組の3方向切換弁と、2本の吸着筒体のいずれかが最高内圧値になったことを検出する圧力センサと、2本の吸着筒体の出口側の間で分岐配管されるとともに圧力センサで最高内圧値が検出されると2本の吸着筒体の間の均等圧化を行うように開状態にされる均等圧弁と、負圧発生部と3方向切換弁の負圧流路との間に接続されるとともに均等圧化を行うときに開状態にしされることで流路内の圧力を制御する負圧破壊弁を備え、消音器を介して排気を行うことで消音器を介して排気を行う負圧破壊弁を用いて騒音低下を図る技術が提案されている。
特開2002−121010号公報 特開2000−79165号公報 特開2005−111016号公報
上記のように構成される酸素濃縮装置にあっては、コンプレッサの振動防止が図られているものの小型で携帯可能ではなく、外出時に携行することが困難で不便を感じる場合があった。
したがって、本考案は上記の事情に鑑みてなされたものであり、外出時に携帯することが可能で、酸素濃縮装置の使用場所がどこにあっても最適量の酸素供給を行うことのできる酸素濃縮装置を提供することをその目的としている。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本考案によれば、収納されたゼオライトの吸着剤中に圧縮空気を透過させ、前記吸着剤で窒素を選択的に吸着して酸素を生成する一対の吸着筒と、前記圧縮空気となる原料空気を濾過するフィルタ手段と、前記フィルタ手段で濾過された空気から前記圧縮空気を得るコンプレッサ手段と、前記一対の吸着筒に対して交互に圧縮空気を供給するように切り換えられる切換弁と、前記生成された酸素を貯める製品タンクと、酸素センサと、気圧センサとを備えた酸素濃縮装置であって、前記コンプレッサ手段は、水平対向2筒式とし、前記酸素センサは、線材に流れる電流を測定する電流計を設けた酸素センサであり、前記線材にLnBaCu7−ΔとLnBaCuO5とを混合した複合セラミックスの線材を用い、さらにマニホルドにより気体流路を形成し、GPS及び気圧に応じた酸素流量調整を行うようにしたことを特徴とする。
本考案によれば、外出時に携帯することが可能で、酸素濃縮装置の使用場所がどこにあっても最適の酸素供給を行うことのできる小型、軽量の酸素濃縮装置が得られる。
各構成要素の効果は、下記のとおりである。
<水平対向2筒式小型コンプレッサの効果>
水平対向2筒式小型コンプレッサは、従来の両軸モータの左右にピストンが配置されたコンプレッサ構造と比較すると、モータ軸が片軸となり、部品点数が減少し、特に長手方向が短くなり、小型化される。また、振動が少ない効果が得られる。
<小型酸素センサの効果>
従来の携帯型酸素濃縮装置には酸素センサは搭載されておらず、本願の小型酸素センサは、線材に流れる電流を測定する電流計を設けた酸素センサであり、前記線材にLnBaCu7−ΔとLnBaCuO5とを混合した複合セラミックスの線材を用いたことを特徴とし、高精度で小型、軽量を実現できる。
<マニホルドの効果>
従来の携帯型酸素濃縮装置は配管継手および配管チューブを組み付けていたがマニホルド構造にすることで、無駄な配管が削除され、組立性が向上し、効率の良い流路が確保される。また、配管部品の経年劣化による性能低下がなくなる。
<ポリプロピレン不織布の効果>
筐体カバーの内側および本体内部にポリプロピレン不織布を用いた消音部品を配置することにより、携帯型酸素濃縮装置の低騒音が実現できる。
<気圧に応じた酸素濃度調整の効果>
気圧に応じたコンプレッサ回転制御を行なうことにより、気象状況の変化や高度変化に左右されず、安定した濃度の酸素を供給することができる。
<GPSの効果>
携帯型酸素濃縮装置にGPSを搭載することにより、販売した酸素濃縮装置の位置情報を把握し、稼動状況を知り得る1つの手段とすることができる。
<気圧センサの効果>
GPSとの組合せにより、屋外,航空機等いかなる使用環境にも適応して、濃縮酸素を供給することができる。
以下に、本考案の好適な一実施形態について添付の図面を参照し、携帯型酸素濃縮装置を実施例の一例として述べる。ここで、本発明は様々な修正と変更が可能であり、その内の特定の事例が図面に図示されており、以下に詳細に記述されることになる。しかしながら、これらに限定されず請求の範囲に規定された範囲で種々の構成が可能であることは言うまでもない。
図1(a)は、酸素生成原理を説明する配管図、(b)は正圧による正圧力変動吸着法(PSA)と正圧と負圧による正負圧力変動吸着法(VPSA)における圧力変動を時間経過とともに図示した図表、(c)は、圧力変動吸着法(PSA)と正負圧力変動吸着法(VPSA)における窒素吸着量を圧力とともに図示した図表である。
図1において、正圧の原料空気による正圧力変動吸着法(PSA)と正圧と負圧の原料空気による正負圧力変動吸着法(VPSA)について簡単に述べる。図1(a)において、外部空気を導入してコンプレッサCで圧縮された原料空気は、一方の3方向切換弁109aを経て第1吸着筒体108aに導入される。第1吸着筒体108aには触媒のゼオライトが内蔵されており、ゼオライトにより窒素が吸着され酸素が分離生成される。このようにして分離生成された酸素は、不図示の逆止弁を通り製品タンクに流れる。この第1吸着筒体108aの内圧が高まると、3方向切換弁109aが排気側に切り換えられることで排気が行われる。これに前後して均等圧弁107が開かれて、第1吸着筒体108aで濃縮された一部の酸素を使用して、第2吸着筒体108bの洗浄及び均圧工程に移行する。
次に、第1吸着筒体108aの脱着工程(窒素や水分の排出)と第2吸着筒体108bへの圧縮空気の取入れを行うために3方切換弁109bが開かれて、第2吸着筒体108bに流れ込んだ圧縮空気により分離生成された酸素が不図示の逆止弁を介して製品タンク中に流れる。その後、所定の圧力となったことが不図示の圧力センサで検出されると均等圧弁107が所定時間開かれて、次に第2吸着筒体108aの洗浄及び均圧工程が行われる。以上のような各工程を所定タイミングで繰り返し行うことで、連続した酸素の安定供給を行う。
以上のように2本の各吸着筒体に対して圧縮空気を2個の3方切換弁を切り換えて供給するときに、図1(b)で実線で図示した圧力変化となるように、正圧の圧縮空気を吸着筒体内に送り窒素を吸着させ、脱着操作を略大気圧下で行う方法を正圧力変動吸着法(PSA)と呼び、図1(b)破線で図示した脱着操作を真空下まで減圧することで、より積極的に内蔵のゼオライトの洗浄を行う方法を正負圧力変動吸着法(VPSA)と呼ぶ。
図1(c)に示したように、正圧力変動吸着法(PSA)による窒素吸着量は、正負圧力変動吸着法(VPSA)に比べ、同じ圧差でもN吸着量は減少するため、正負圧力変動吸着法に基づき行うことが望ましい。しかしながら、この場合には正圧の圧縮空気と減圧された負圧空気の双方を送気可能なコンプレッサが必要となる。このようなコンプレッサは通常大型化するので、例えば携帯用の小型酸素濃縮装置に組み入れることは困難となる。
これに対して正圧力変動吸着法では、正圧の圧縮空気のみを送気することのできるコンプレッサでよいので、例えば携帯用の小型酸素濃縮装置に組み入れることが可能になる。以下に上記の正圧力変動吸着法に基づき構成された小型で携帯型の酸素濃縮装置を一例として詳細に述べる。
<酸素濃縮装置1の全体構成の説明>
図2(a)は、本発明の一実施形態である小型で携帯型の酸素濃縮装置1(以下、装置1とも呼ぶ)を鼻カニューラ14とともに前方側の左斜め上から見て図示した外観斜視図である。また、図2(b)は、小型の携帯型酸素濃縮装置1を収容するために専用に準備された携帯用バッグ4の外観斜視図である。
図2(a)に図示されるように酸素濃縮装置1は、総重量が約2〜4kgで2リットルのペットボトルに略近い上下方向に細長い縦長の外観形状を備えている。このように縦長構成とすることで、図2(b)に図示される携帯用バッグ4の開口部4aから下方に挿入できるようになり、挿入後にホックを設けた蓋4bが操作パネル5を覆うようにして固定することで脱落防止される状態となり、携帯用バッグ4に固定された吊り下げベルト4dを肩から掛けるようにして、例えば外出時に邪魔にならないようにして携帯できるように構成されている。また、吊り下げベルト4dには図示のように肩パッドが固定されており肩に負担とならないようにするとともに、携帯用バッグ4の正面にはチューブ15を接続した鼻カニューラ14を収納するパウチ4cが設けられている。なお、携帯用バッグ4は、合成皮革乃至ウレタン引布製とすることができ、後述する吸気口を塞がないように開口部が形成される。
以上のように小型酸素濃縮装置1は、ペットボトルに略近い縦長の外観形状を備えており、特に携帯用バッグ4のパウチ4c内に鼻カニューラ14と折り曲げたチューブ15を収納した未使用状態では、他人が一瞥しただけでは小型酸素濃縮装置1であることが簡単には知られないように配慮されている。
また、軽量化、省エネを追求したことで電気代をさらに安くする一方で、付属の着脱可能で、かつ繰り返し充電可能な外部電池と繰り返し充電可能な内蔵された充電電池228と家庭用商用(AC)電源の3系統で使用できるようにしている。また、特に内蔵電池228および外部電池は、停電時におけるバックアップ電源としても使用できるので安心して使えることになる。さらに、電池節約のために吸気に同調して酸素を送り出す「同調モード」に切り替えることができる機能を備えている。
また、上記の縦長の外観形状を有する密閉カバーを構成する主筐体2を射出成形樹脂部品である耐衝撃性を有する熱可塑性樹脂である例えばABS樹脂製とすることでデザイン的な自由度を確保している。さらに吸着剤を充填した2本の吸着筒を含む他の構成部品についても極力軽量化するとともに、最も重量の大きなコンプレッサ10については、上記の正圧力変動吸着法(PSA)による圧縮空気のみを発生するタイプとすることで、総重量が約2kg程度の軽量化を達成している。また、図中の二点鎖線で示した防音室3も軽量化のために耐衝撃性の熱可塑性樹脂、例えばABS樹脂製とすることができる。
図2(a)において、操作パネル5は、例えば約10度の角度で斜めに形成されており、その上に左から順に、電源スイッチ6と、この上の7セグメントの数字でLEDまたは液晶表示を行う酸素流量他の表示部204と、樹脂製部品の酸素出口7と、樹脂製カバー付きまたはカバー無しの上下2個の酸素流用設定ボタン8が配置されている。また濃縮された酸素出口7の上方には、酸素出口7に形成された段差部に対して気密状態に係合されるとともに、着脱自在に設けられる樹脂製のカプラ13が設けられている。このカプラ13には鼻カニューラ14等のフレキシブルなチューブ15の開口部が連通するようにセットされる。
上記の携帯用バッグ4に装填したときに、日本人の標準身長(160〜170cm)の患者が起立状態で両手を下げた腰部分に略該当する高さ付近において、身体の外側となるように操作パネル5は斜めに形成されるので、例えば、立ったままの姿勢で酸素濃縮装置1の運転操作を無理なく行なうことができるようになる。さらには、酸素出口7を中央にして左右対称位置に各ダイヤルが配置されているので、左利きの人であっても何ら違和感なく操作できることになる。
なお、鼻カニューラ14に接続されたチューブ15の全長は例えば60cm以内とすることで特に携帯時に邪魔にならないようにできるが、患者が生活する同じ部屋内で移動する範囲に略相当する全長としたものを別途準備しておけば、酸素濃縮装置1を室内の片隅に固定した状態での使用が可能となる。なお、底面の四隅に4つのゴム足(不図示)を固定しておき、床面上に設置して使用するときに横滑りを防止するとともに簡単には倒れないようにしても良い。
図2(a)において、副筐体となる防音室3は、主筐体2と一体成形または別部材として設けられる壁部材9から形成されており、防音室3の内部の壁面に敷設される防音材を設けることで、コンプレッサ10から発生する運転音を効果的に吸収するようにしている。
この防音材は、さらに図示のように主筐体2の内部の壁面の適所及び後述する各種電磁弁109、115、117(図3参照)を覆うように設けることで、オン(ON)・オフ(OFF)時の運転音を効果的に吸収できるようにしている。
この防音材は、その繊維径が1〜4μmのポリオレフィレン系繊維(好ましくは、ポリプロピレン繊維)と、繊維径が20〜30μmのポリオレフィレン系繊維(好ましくは、ポリプロピレン繊維)とからなる不織布を用いることができる。このような不織布を用いて軽量に構成することができ、かつ防音吸音効果が飛躍的に上がることが確認された。
さらに、繰り返し充電可能な内蔵電池228は、図示のように最下位置に配置されており、装置全体の重心位置を低くしている。以上のように、AC電源(商用電源)、外部電池、内蔵電池の3系統の電源とするとともに、使用する電源の優先順位をAC電源、外部電池、内蔵電池に自動切り換えすることで、特に内蔵電池228の温存化を図れるようにしている。
上記の電源スイッチ6のオン位置に相当する位置には緑と赤に点灯する例えば発光LEDを内蔵した運転状態ランプ(不図示)が設けられている。また、電池残量モニタが設けられる機種もある。
中央の酸素出口7は、図示のように全ての囲い部分が操作パネル5の操作面から奥側(図面の裏面側)に引っ込むように設けられている。この酸素出口7の上には「点検」の文字またはこれに相当するキャラクター表示を横に印刷した警報表示部が設けられる機種もある。さらに警報表示部の下方には緑と赤と黄色とに点灯する例えば発光LEDを内蔵した酸素ランプが設けられる機種もある。
そして、上下の酸素流量設定ボタン8、8はフラットスイッチとして設けられており操作パネル5の操作面と略同一面となるように設けられている。この酸素流用設定ボタン8は、90%程度以上に濃縮された酸素を毎分当たり0.25L(リットル)から最大で5Lまで0.25L段階または0.01L段階で押圧操作する度に、酸素流量が設定できるように構成されており、上方の酸素流量表示部9で表示するようにしている。
以上のようにして酸素生成能力を変えて運転することが可能である。また、濃縮酸素を呼吸同調により断続供給状態で運転中であることを点灯または点滅表示により患者に知らせるために設けられる同調ランプを設ける機種もある。また、呼吸に同期して点滅表示することにより患者に知らせるために設けられる動作インジケータを設けた機種もある。
以上のように操作パネル5に配置された各操作部は使用上の安全性および高齢者の使用を前提として必要最小限度の操作で主な機能を全て操作できるように構成されている。
具体的には、表示部204の電池残量表示部は、電源オンで約2秒間全点灯する。その後に、内蔵電池228または外部充電式電池の残量が100%であると、発光LEDを内蔵したランプが緑色に点灯(連続して光る)するとともに、複数段階(例えば、5段階)の表示部の全てが点灯表示される。また、電池残量が満充電に対して所定割合(例えば、20%)減る度に、順次消灯するとともに点灯数が次第に少なくなり、残り1つの点灯状態になるとオレンジ色等の注意色で点灯して、内蔵のブザーまたは音声ガイドで警告できるように構成されている。
そして、充電式電池の残量が満充電に対して所定割合の例えば10%以下になると発光LEDを内蔵したランプが赤色等の警報色に間欠的に光るように点滅するとともに、所定間隔、例えば、5分おきに内蔵のブザーまたは音声ガイドでその旨を警告するようにして、特に外出時や停電時における電池駆動モードでの使用上の安全性を確保している。なお、内蔵電池228と外部充電式電池の電池残量表示部を、内蔵電池228と外部充電式電池のそれぞれに対応するように別々に表示し、視認しやすいようにしてもよい。また、警報表示部には「点検」の文字を印刷しておき、酸素濃度が低下したときに内蔵のランプが点灯して知らせるようにしても良い。また装置側の異常発生時にはブザーも鳴り音声ガイドとともに知らせるようにしてもよい。また、繰り返し充電可能な外部電池のコネクタを外部電池コネクタ131にセットすることで、乗用車内、電車,バス,船舶,航空機等輸送機関内、外出時、室内(屋内)等での移動時などにおいて、最大で2時間程度の電池駆動を可能にしている。
また、停電で装置が停止したときには、点滅して知らせる一方で、ブザーおよび音声ガイドで特に視覚障害者に対して確実に知らせることができるようにしても良い。また、酸素ランプは、酸素が正常に酸素吸入されているときには内蔵のLEDが緑色に点灯する。また、酸素が出ていないときあるいは酸素濃度が低下したときには消灯する。そして、同調モード(呼吸同調モード)で、一定時間、例えば30秒程度呼吸状態を検出できなかった時に警報色である赤色に点灯し、ブザーを鳴らすとともに音声ガイドで知らせるようにしてもよい。
また、吸気に同期して濃縮酸素供給を行う同調モードで運転中の場合にはその旨を患者に視認させるために呼吸パターン(酸素出力)に実質的に同期して緑色に点灯または点滅して知らせるようにして、患者は正常に濃縮酸素が供給されていることを確認できるようにしてもよい。
一方、電源スイッチ6をオンすると、ブザーが鳴り、全てのランプが2秒間緑色に点灯する初期セルフチェックを行い、電池駆動モードで使用するときには、その後に5段階の表示部において残量に応じて点灯表示しても良い。患者は医師の処方にしたがって酸素流量設定ボタン8の増減操作を行い所定流量に設定すると酸素供給が開始されることとなる。なお、通常に小型酸素濃縮装置1を停止させた場合には、一時記憶装置に前回の動作条件(酸素流量,同調モードの有無)が記憶されることとなる。このため、初期セルフチェックの後に、酸素流量設定ボタン8を押さない場合には、自動的に前回の動作条件で濃縮酸素の供給を行なうように構成されている。なお、その旨(前回と同一動作条件等)を音声ガイドで合わせて知らせるようにしてもよい。
停止時に電源スイッチ6をオフすると、酸素ランプも消灯し、しばらくの間、運転ランプが点滅した後に自動的に終了するようにしてもよい。
<酸素濃縮装置1の配管およびブロック図の説明>
図3は、酸素濃縮装置1のブロック図を兼ねて図示した配管の模式図である。本図において、既に説明済みの構成部品については同様の符号を附して説明を割愛する。図中の二重線は空気、酸素、窒素ガスの流路となる配管24であり概ね配管24a〜24gで示されている。また、細い実線は電源供給または電気信号の配線を示している。
ここで、以下の説明ではコンプレッサ10として水平対向2筒式のコンプレッサを使用した場合について述べる。また、外気(空気)を吸気口2a、フィルタ22を介してコンプレッサ10に導入し、排気口2bを介して外部に排出する主筐体2については密閉容器として図中において概ね破線で図示されている。
図3において、導入空気の流れに沿って順次述べる。吸気口2a、フィルタ22、配管24を介して原料空気(外気)が破線で図示した防音室3内に位置するコンプレッサ10に入る。コンプレッサ10は防振状態で、ボルトにより、下部マニホルドM1に固定され、また、防音室3に固定されている(図2,図4参照)。
濾過された原料空気は、後述するコンプレッサ10の圧縮機構で加圧されて圧縮空気となるが、このとき温度上昇した状態で配管24cが形成されたアルミ製の下部マニホルドM1(破線で示す)に送り出され下部マニホルドM1の放熱効果により冷却されるため、送風ファン30の小型化が図れる。冷却された圧縮空気が第1吸着筒体108aと第2吸着筒体108bに導入される。こうして、高温では機能低下してしまう吸着剤であるゼオライトが十分に機能できるようになる結果、酸素を90%程度以上にまで濃縮できるようになる。
圧縮空気は、配管24dを介して並列に2本分が上記のように配置された、第1吸着筒体108aと第2吸着筒体108bに対して交互に供給されることになる。このため切換弁である3方向切換弁109a、109bが図示のように接続されている。これらの3方向切換弁109a、109bと、さらに第1吸着筒体108aと第2吸着筒体108bの不要ガスを脱離させるための浄化工程を行うために、3方向切換弁109a、109bに対して配管24fが図示のように接続されている。また、配管24fの下流側には排気の消音を行い排気口2bから外部への排気を行う消音器31が接続されている。
以上の第1吸着筒体108aと第2吸着筒体108b内に夫々貯蔵されている触媒吸着剤であるゼオライトは、Si/Al比が2.0〜3.0であるX型ゼオライトであり、かつこのAlの四面体単位の少なくとも88%以上をリチウムカチオンと結合させたものを用いることで、単位重量当たりの窒素の吸着量を増やせるようにしている。特に約0.3〜0.6mm程度の顆粒測定値を有するとともに、四面体単位の少なくとも88%以上をリチウムカチオンと融合させたものが好ましい。
このようなゼオライトを使用することで、同じ酸素を生成するために必要となる原料空気の使用量を削減できるようになる。この結果、圧縮空気を発生するためのコンプレッサ10をより小型のタイプとすることができ、一層の低騒音化を図ることができる。
一方、第1吸着筒体108aと第2吸着筒体108bの上方の出口側には逆止弁と、絞り弁と開閉弁とからなる均等圧弁107が図示のように分岐接続されている。分離生成された90%程度以上の濃度の酸素を貯蔵するための容器となる製品タンク111が、図示のように配管24dに対して配管されている。また、各吸着筒体内の圧力を検出する不図示の圧力センサが配管されている。
製品タンク111の下流側には、出口側の酸素の圧力を一定に自動調整する所謂レギュレータである圧力調整器112が配管されている。この圧力調整器112の下流側には、後述する酸素濃度センサ114が配管24eを介して接続されており、酸素濃度の検出を間欠(10〜30分毎)または連続で行うようにしている。この下流側には上記の酸素流量設定ボタン8に連動して開閉する比例開度弁115が配管24gを介して接続されており、その下流側には酸素流量センサ116がさらに接続されている。またこのセンサ116の下流には呼吸同調制御のための負圧回路基板を介してデマンド弁117が接続されており、滅菌フィルタ119を経て、酸素濃縮装置1の酸素出口7に対して接続されている。以上の構成により、鼻カニューレ14等を経て患者に対する最大流量5L/分で約90%程度以上に濃縮された酸素の吸入が可能になる。
次に、電源系統は、AC(商用交流)電源を所定直流電圧に整流するスイッチングレギュレータ式のACアダプタ19に接続されたAC電源のコネクタ130を中継して接続されるACアダプタ19と、主筐体2の底部に内蔵される内蔵電池228と、上記のコネクタ131を介して着脱自在可能に設けられる外部電池227と電源制御回路226から構成されている。内蔵電池228および外部電池227は繰り返し充電可能な2次電池であり、内蔵電池228は電源制御回路226からの電力供給を受けて充電される。なお、少なくとも内蔵電池228は、少なくとも500回(数100回程度)程度の繰り返し充放電が可能で、電池残量、使用充放電サイクル数、劣化程度、出力電圧等のマネジメント機能を有するものが使用され、電池残量、残充電容量、充放電回数を外部の携帯端末などで確認可能なマネジメント機能を有するものが好ましい。また、外部電池227については、コネクタ131を介する接続状態において、電源制御回路226からの電力供給を受けて充電することもできるが、通常は別途準備される電池充電器を用いて繰り返し充電されることになる。または、専用設計された電池充電器を一体化した外部電池227として準備しても良い。
以上の電源系統の構成において、酸素濃縮装置1はACアダプタ19からの電力供給を受けて作動する第1電力供給状態と、内蔵電池228からの電力供給を受けて作動する第2電力供給状態と、外部電池からの電力供給を受けて作動する第3電力供給状態との3系統の電力供給状態の内の一つに自動切換えされて使用されることになる。
この自動切換えのための優先順位は上記の第1電力供給状態、第3電力供給状態、第2電力供給状態の順序で自動決定するように中央制御部200により電源制御回路226が制御される。
また、電源制御回路226には、IDタグコード識別回路230がさらに接続される場合があり、後述するように携帯時に充電式電池切れとなる事態を防止できるようにしている。すなわち、携帯時に充電式電池切れとなる事態を防止するためには、複数の充電式電池228を接続すると良いが、このように複数の電池を接続すると電源切替の手段が複雑になるし、また個別に電力消費をモニタすることができなくなる。
そこで複数の充電式電池228、・・・228の内で、放電済の電池からフル充電された充電式電池に自動的に切り換える制御を可能にするために個別に識別IDタグコード及び充電状態検出手段を設けておき、放電済の電池を確認可能にしてフル充電された電池に切り換えるようにしている。さらにまた、電池使用したい時間に合致させて、接続する電池の数を自由に選択し、利便性を高めるようにしている。
さらに内蔵の内蔵電池228については酸素濃縮装置1の低重心化を図るために後述するように底面に配設される。一方、外部電池227は例えば患者の衣類のポケット内に収容しておき、適宜接続することで外出時などで使用することが可能になる。この外部電池227には上記の充電残量表示部が設けられているので残り使用時間を音声ガイドとともに知ることができる。
ACアダプタ19は、周波数の違いの影響および電圧の変動を受けずに所定直流電圧を発生することが可能であり、かつまた小型軽量に構成できるスイッチングレギュレータ式が良いが、通常のシリーズ式でも良い。また、内蔵電池228および外部電池227は充電時のメモリ効果が少なく再充電時にも満杯充電できるリチウムイオン、リチウム水素イオン2次電池が良いが、従来からのニッカド電池やニッケル水素電池でも良い。さらに、緊急時に備えて、どこでも入手可能な単2乾電池のボックスとして外部電池を構成しても良いことになる。
また、中央制御部200は、生成する酸素量に応じた、最適な動作モードに切り替えるプログラムが記憶されており、多くの酸素生成をする場合は自動的にコンプレッサ10、送風ファン30を高速駆動し、少ない酸素生成時の場合には低速に回転駆動する制御を行うモータ制御部201、ファンモータ制御部203を介して夫々行うことで、特に、内蔵電池228を温存させるようにしている。この結果、外部電池227を充電し忘れた場合であっても突然の外出時や停電時等の対応が可能になる。
この中央制御部200には所定動作プログラムを記憶したROMが内蔵されるとともに、外部記憶装置210と、揮発メモリと一時記憶装置とリアルタイムクロックからなる回路207がさらに接続されており、外部コネクタ133を介して通信回線などと接続することで記憶内容へのアクセスが可能となるように構成されている。
また、上記の3方向切換弁109a、109bと均等圧弁107とをオンオフ制御することで、第1吸着筒体108aと第2吸着筒体108b内の不要ガスを脱離させるように制御する制御回路208と、上記の酸素濃度センサ114と比例開度弁115と、流量センサ116とデマンド弁117とを駆動制御する流量制御部202が中央制御部200に接続されている。
総重量が約500gのコンプレッサ10は、モータ制御部201に内蔵される可変速度制御部により正弦波駆動波形でアウターロータ式の電動モータを含む直流モータの駆動制御が行われることで運転音を低くしている。このコンプレッサ10は、各速度で運転可能であって、必要な正圧の圧力レベルと流量を発生でき、僅かな騒音と振動しか出さず、僅かな熱しか発生せず、小型軽量であって僅かな電力消費で運転できるように構成されている。
可変速度制御手段である可変速度制御器をモータ制御部201に備えることにより、患者の活動レベル、環境条件に基づいてコンプレッサ10の速度を自在に変化させることができる。この結果、患者が座ったり、寝たりしている等、患者の酸素要求が比較的低いことがデマンド弁117の頻度に基づき判断されると、コンプレッサ10の駆動回転速度を自動的に落とすことができる。また、患者が立ったり、活動的であったり、後述するように酸素濃度の低い高地にいることがGPSで判断されたときなど、患者の酸素要求が比較的高く、酸素要求量が高まったと判断されると速度を自動的に高めることができるように構成されている。
以上のモータ制御によって装置1全体の消費電力が低減され、充電式電池での駆動時の寿命を延ばすことが可能になるとともに、充電式電池の重量と大きさを軽減し、コンプレッサ10の摩耗度を低めて寿命を延ばすことで信頼性を向上できる二次的効果を得ることも可能になる。
このコンプレッサ10は、上記のように圧縮空気発生のみの機能を備えるものであり、取り出される酸素流量に応じて回転数が自動制御され、回転速度が500rpmから3000rpmの間で制御される。また、このコンプレッサ10は、空気を60〜150kPa程度に圧縮する性能を備えている。
このコンプレッサ10を取り巻く操作温度は、0℃〜40℃であり、コンプレッサ10の駆動電圧は、自動車やトラックなどのシガーライターアダプタから得られる電源である直流12Vまたは24Vであって、電力使用量は、約30W程度である。このため、最悪の場合にはコネクタ131に接続して電源供給することもできる。下部マニホルドM1に放熱・冷却効果があるため、必要最小限のファンでよく騒音の低下、電力の低減に貢献する。
3方向切換弁109a、109bには、一般的に直動式と呼ばれる弁の動作を通電時の磁力で行う電磁弁が使用可能である。この種の電磁弁は電気の力だけで主弁を動作させるため消費電力が高いという問題点がある。そこで、3方向切換弁109a、109bとしてパイロット式3方向切換弁を使用することもできる。このパイロット式3方向切換弁によれば、僅かな消費電力とコンプレッサからの空気圧を有効利用して動作させることが出来るために従来の8Wから0.5Wにまで低減されるので大幅な電力低減が図れることになる。
以上の各構成部品は、低騒音化された小型酸素濃縮装置1の組立作業性および点検整備性の向上を配慮して図3に図示したように一方向から主に主筐体2をその取り付け部として固定できるように設計されている。すなわち、各種制御基板と、上記のように酸素の圧力を一定に自動調整する圧力調整器112と、圧力調整器112の下流側の酸素濃度センサ114と比例開度弁115と、酸素流量センサ116と呼吸同調制御のための負圧回路基板118に接続されるデマンド弁117を、全て一方向から固定できるように構成されている。特に振動または騒音発生の伴う構成部品は防音室3の内部において防音状態かつ防振状態で設けることで、圧縮空気の供給音と、外部空気の導入音と、原料空気を作るための濾過空気の導入音と周期的に発生する排気音が外部に漏れないようにして騒音低減を図っている。また、3方向切換弁の作動音は上記のように防音シート11で覆うことで防音している。さらに主筐体2は、その吸気口2aを介して内部に導入し、排気口2bを介して外部に排出する必要最小限の開口を備えた密閉カバーとして構成されることから、さらなる騒音低減を図ることが可能になる。
<水平対向2筒式コンプレッサの構造>
図2において、コンプレッサ10を防音状態で収納する防音室3の内側には防音材11が適所(好ましくはほぼ全面)に敷設されている。この防音材11は、その繊維径が1〜4μmのポリオレフィレン系繊維(好ましくは、ポリプロピレン繊維)と、繊維径が20〜30μmのポリオレフィレン系繊維(好ましくは、ポリプロピレン繊維)とからなる不織布を用いることができる。このような不織布を用いて軽量に構成することができ、かつ防音効果がある。
コンプレッサ10は水平対向式のコンプレッサであり、モータ軸が片軸で、部品点数が減少し、特に長手方向が短くなり、小型化される。また、振動が少くなる。
図4は、コンプレッサ10、吸着筒108a,108b、下部マニホルドM1、上部マニホルドM2を固定した様子を図示した模式図であり、全体の総重量が約1kg程度である。コンプレッサ10の配管24は、下部マニホルドM1に嵌め込まれ、Oリングでシールされている。また、吸着筒108a,108bの上部は上部マニホルドM2に嵌め込まれ、Oリングでシールされている。また、上部マニホルドM2とコンプレッサ10はボルトにより、固定され、こうしてコンプレッサ10、吸着筒108a,108b、下部マニホルドM1、上部マニホルドM2を固定されている。
以上の構成により酸素濃縮装置1の電源スイッチ6がオンされることで、所定電圧の供給が開始され、セルフチェックが行われる。これに続きコンプレッサ10と、3方向切換弁109a、109bへの通電が行われることで、外部空気の導入が行われ、それに伴う空気導入音と同時にコンプレッサ10の振動やその振動に伴う騒音、各吸着筒に及ぶ配管からの透過音が連続して発生するが、上記のように防振及び防音が施されているので外部に漏れ出る騒音、振動は非常に小さくできる。
これに続き、導入された空気は一方の3方向切換弁109aを経て第1吸着筒体108aに導入されて、生成された酸素は逆止弁を通り、製品タンク111に流れ込み圧力が次第に上昇する。所定の圧力になると均等圧弁107が所定時間 「開状態」となる。
第1吸着筒体108aで濃縮された一部の酸素を使用して、第2吸着筒体108bの洗浄が行われ、続いて均圧工程が行われる次の加圧に備えた準備が行われる。
次に、第1吸着筒体108aの脱着工程(窒素や水分の排出)と第2吸着筒体108bへの圧縮空気の取入れを行うべく3方切換弁109bが作動する。第2吸着筒体108bに流れ込んだ圧縮空気から分離されて生成された酸素は、不図示の逆止弁を介して製品タンク111中に流れる。その後所定の圧力となったことが不図示の圧力センサで検出されると均等圧弁107が所定時間「 開」となる。この後に、第2吸着筒体108aの洗浄及び均圧工程が行われる。以上の切換動作を所定タイミングで繰り返し行うことで、連続した酸素の安定供給が可能となる。
尚、流量センサ116は、使用する酸素流量を決定するために、流量設定で設定された設定値を読み取るとともに、チューブ折れ等の外乱要因により流量低下した場合に備えて、実流量を測定できるようにしている。
<全地球測位システム(GPS),気圧に応じた酸素供給の自動設定>
制御装置200は選択モードにより全地球測位システム装置221に接続されることで、全地球測位システム221で計測される酸素濃縮装置1の使用場所の高度に応じてコンプレッサ10の回転数を増減させ、圧縮空気量を変化させることができる。
図5は、全地球測位システム221により装置の使用場所の高度を計測して、酸素供給量を増加させる動作説明フローチャートである。酸素濃縮装置1が起動されるとステップS10に進み全地球測位システムの測量が行われる。この全地球測位システム221では、4つの人工衛星との間で行われる4点測量と3つの人工衛星との間で行われる3点測量から求めた座標と、内蔵の高度地図との対比から高度を計測することができるので、ステップS11において、4点測量または3点測量を選択する。ステップS11にて4点測量が選択されるとステップS12に進み高度計算を行う。この高度計算の結果と気圧センサ222により測定された気圧に基づき(ステップS13)、高高度で気圧が低い時はコンプレッサ10の回転数を増やし、酸素濃度を改善させる(ステップS14)。なお、航空機内では、全地球測位システム221を作動させずに気圧計222により測定された機内の気圧に基づいてモータの駆動制御を行うようにするとよい。この後、ステップS15においてモータ駆動制御を行い処理を終了する。一方、ステップS11において、3点測量が選択されるとステップS16に進み、3点測量でも無いと判断されると再測量のためにステップS10に戻り、上記のステップS10からやり直す。ステップS16で3点測量であると判断されるとステップS17において、内蔵の高度地図を参照して高度が決定されるので、この高度と気圧センサ222により測定された気圧に対応したコンプレッサ10の回転数とし、安定した酸素濃度を供給する。この後、ステップS15においてモータ駆動制御を行い処理を終了する。なお、登山/下山等で高度,気圧の変化がある場合に備えて図5に示す処理フローを30分ごとに更新するようにしてもよい。また、気圧センサ222による使用環境での気圧に基づきモータ駆動制御を行ってもよい。
<小型酸素センサの説明>
次に、小型酸素センサの構成について説明する。外径0.3〜1.0mm程度の線材の両端に電源を設け、この線材に所定電圧を印加して、流れる電流を測定する電流計を設けた酸素センサ であり、この線材にLnBaCu7−ΔとLnBaCuO5とを混合した複合セラミックスの線材を用いたことを特徴とするものである。また、線材の両端に電源を設け、この線材に所定電圧を印加して、流れる電流を測定する電流計を設けた酸素センサ であり、この線材にGdBaCu7−ΔとGdBaCuO5とを混合した複合セラミックスの線材を用いたことを特徴とするものである。また、線材の両端に電源を設け、この線材に所定電圧を印加して、流れる電流を測定する電流計を設けた酸素センサ であり、線材中にLnBaCu7−ΔとLnBaCuO5とを含む線材を用いたことを特徴とするものである。また、線材の両端に電源を設け、線材に所定電圧を印加して、流れる電流を測定する電流計を設けた酸素センサ であり、この線材中にGdBaCu7−ΔとGdBaCuO5とを含む線材を用いたことを特徴とするものである。
<モジュラー電池228の説明>
図6(a)は、モジュラー電源装置の模式図、図6(b)はモジュラー電源装置の回路図である。本図において、複数の充電式電池228、・・・、228の内で、放電済の電池からフル充電された充電式電池に自動的に切り換える制御を可能にするために個別に特有のIDコード(識別コード)228a、228b、228c、228d、228eと充電状態検出装置230を設けておき、放電済の電池を確認可能にして、フル充電された電池に切り換えるようにしている。さらにまた、電池使用したい時間に合致させて、接続する電池の数を自由に選択し、利便性を高めるようにしている。
図7は、モジュラー電源装置の動作説明フローチャートである。本図において、装置1の起動後にステップS31において、各充電式電池に特有のIDコード228a、228b、228c、228d、228eを個別に確認する。これに続き、ステップS32において各充電式電池の充電状態または放電状態を確認する。以上のステップS31、32によって電圧電池が放電済である電池が確認されることで上記のIDコードとともに記憶される。その後、ステップS34において放電前の充電式電池に切り換えることで電源供給端子を介して電力供給を行う。以上のステップ31〜34を繰り返し実行して、全電池が放電したことをステップS35で確認されるとステップS36に進みアラームにより使用できなくなったことを知らせる。
なお、上記の電池はリチウム・イオン積層構造であって、出力電圧が3.7〜29.0Vの二次電池が含まれる。その重量は500g程度で、呼吸同調制御を行う場合において、88〜94%の濃縮酸素流量が最大2L/分時に最大2時間の動作を可能にしている。このリチウム・イオン・電池以外にも他の携帯用エネルギ源からの供給も受けることができる。例えば、充電式もしくは取替え式の燃料電池が使用可能である。このシステムは、二次電池として内蔵電池と外部電池から電力供給されるが、多数の電池によって駆動してもよい。
また、患者は常に追加の新鮮な充電済みの外部電池を持つことで、より長時間の外出等が可能となり、その際のQOLが大幅に向上する。また、適当な接続部を介して濃縮酸素の流れに湿気を加えるための加湿手段(不図示)を備えていてもよい。
(a)は、酸素生成原理を説明する配管図、(b)は正圧による正圧力変動吸着(PSA)と正圧と負圧による正負圧力変動吸着(VPSA)における圧力変動を時間経過とともに図示した図表、(c)は、圧力変動吸着(PSA)と正負圧力変動吸着(VPSA)における窒素吸着量を時間経過とともに図示した図表である。 (a)は、本発明の一実施形態である小型酸素濃縮装置1を鼻カニューラとともに前方側の左斜め上から見て図示した外観斜視図、(b)は小型酸素濃縮装置1専用の携帯用バッグ4の外観斜視図である。 小型酸素濃縮装置1の配管図を兼ねたブロック図である。 一体化された水平2筒式コンプレッサ,マニホルド,吸着筒の模式図である。 全地球測位システムにより装置の使用場所の高度を計測して、酸素供給量を増加させる動作説明フローチャートである。 (a)は、モジュラー電源装置の模式図、(b)はモジュラー電源装置の回路図である。 モジュラー電源装置の動作説明フローチャートである。
符号の説明
1 小型酸素濃縮装置
2 主筐体
3 防音室
4 携帯用バッグ
5 操作パネル
10 コンプレッサ
11 防音材
114 酸素センサ
221 全地球測位システム
222 気圧センサ
M1,M2 マニホルド

Claims (1)

  1. 収納されたゼオライトの吸着剤中に圧縮空気を透過させ、前記吸着剤で窒素を選択的に吸着して酸素を生成する一対の吸着筒と、前記圧縮空気となる原料空気を濾過するフィルタ手段と、前記フィルタ手段で濾過された空気から前記圧縮空気を得るコンプレッサ手段と、前記一対の吸着筒に対して交互に圧縮空気を供給するように切り換えられる切換弁と、前記生成された酸素を貯める製品タンクと、酸素センサと、気圧センサとを備えた酸素濃縮装置であって、
    前記コンプレッサ手段は、水平対向2筒式とし、
    前記酸素センサは、線材に流れる電流を測定する電流計を設けた酸素センサであり、前記線材にLnBaCu7−ΔとLnBaCuO5とを混合した複合セラミックスの線材を用い、
    さらにマニホルドにより気体流路を形成し、
    GPS及び気圧に応じた酸素流量調整を行うようにしたことを特徴とする携帯型酸素濃縮装置。
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