以下に、本発明の好適な一実施形態について添付の図面を参照して述べる。ここで、本発明は様々な修正と変更が可能であり、その内の特定の事例が図面に図示されており、以下に詳細に記述されることになるが、これらに限定されず請求の範囲に規定された範囲で種々の構成が可能であり、特に商用電源であるAC電源のみとする室内設置式の圧力スイング吸着方式の酸素濃縮装置やコンプレッサを用いる吸着膜型酸素濃縮装置1にも適用可能であることは言うまでもない。
<酸素濃縮装置1の全体構成の説明>
先ず、図1は一実施形態に係る可搬型の圧力スイング吸着方式の酸素濃縮装置1を前方左斜め上から見た外観斜視図である。また、図2は図1に示した酸素濃縮装置1の背面図である。
図1と図2から分かるように、この酸素濃縮装置1は、設置場所を最少にするために上下方向に細長いスマートな一見して小型旅行カバン風の外観形状を備えている。このため一瞥しただけでは他人に酸素濃縮装置1であることが知られないように配慮している。
また、特長としては従来の酸素濃縮装置の約三分の一の重さの軽量化、省エネを追求したことで電気代は一日当たり約34円(電気代を1kwH当たり15.58円として)とする一方で、付属の着脱可能で繰り返し充電可能な外部バッテリと繰り返し充電可能な内蔵された充電バッテリと家庭用商用(AC)電源の3系統で使用できることなどが挙げられる。また、特に内蔵バッテリおよび外部バッテリは、停電時におけるバックアップ電源としても使用できるので安心して使える。さらに、バッテリ節約のために吸気に同調して酸素を送り出す「同調モード」に切り替えることが出来る機能を備えている。
また、後述するように、密閉カバーを構成するための図示の表面カバー2と裏面カバー3を射出成形樹脂部品とし、さらに吸着剤を充填した並列に複数配列した吸着筒(本実施例では、2本)を含む他の構成部品についても極力軽量化することで総重量が約10kg程度の軽量化(AC電源使用でキャリア10を設けない場合)とした。この結果、大人が片手で持ち運べる、所謂可搬型にするための取っ手部分となる酸素濃縮装置1を持ち上げる力に十分に耐え得る強度を備えるハンドル4を図示のように上方に設けており、デザイン的な特徴を演出している。
また、この酸素濃縮装置1の外形寸法は、全体が丸みを帯びており、具体的には幅Wが350mm×奥行きDが250mm×高さHが550mmである。このため、床面上の占有面積を極力小できることから上記の軽量化とともに小型化を図っている。また、酸素濃縮装置1のデザイン上の特徴点としては、設置床面から酸素濃縮装置1の前面を3次元的に覆うようにした前面カバー2を、図1に示すようにハンドル4の底面に連続するアクセントラインを左右に上下方向に凹状に一体形成し、さらにこれらのアクセントラインで挟まれる部分を淡い暖色系とし、この上方に同色系の操作パネル5を配置する一方で、裏面カバー3を含む残りの部分をベージュ乃至クリーム系の色としている。
以上のようなデザインおよび配色を施した所謂ツートンカラーの近代的なデザインとすることで、酸素濃縮装置1を室内に設置したときに家具などの他の調度品との調和を図れるように配慮している。また、表面カバー2と裏面カバー3は、耐衝撃性を有する熱可塑性樹脂である例えばABS樹脂製とすることでデザイン的な自由度を確保している。
図1において、操作パネル5は、ハンドル4の下方の開口部において裏面カバー3との接合面まで、例えば約10度の角度で斜め上に延設されており、その上に左から順に、樹脂製の大型ダイヤル式の電源スイッチ6と、樹脂製部品の酸素出口7と、樹脂製カバー付きの酸素流用設定ボタン8と、7セグメントの数字でLEDまたは液晶表示を行う酸素流量表示部9が配置されている。また酸素出口7の上方には、酸素出口7に形成された段差部に対して気密状態に係合されるとともに、着脱自在に設けられる樹脂製のカプラ13が示されている。このカプラ13には鼻カニューラ14等のチューブ15の開口部が連通するようにセットされる。
この操作パネル5は、日本人の標準身長(160〜170cm)の患者が起立状態で両手を下げた腰部分に略該当する高さ付近に設けられているので、立ったままの姿勢で酸素濃縮装置1の運転操作を行なうことができる。このため従来の酸素濃縮装置のようにいちいち座ったり覗き込む必要がなくなる。また、場合によっては後述する遠隔操作で使用することもできる。したがって、特に患者の腹部への負担は大きく軽減される。さらには、左利きの人であっても酸素出口7を中央にして左右対称位置に各ダイヤルが配置されているので、何ら違和感なく操作できることになる。
なお、鼻カニューラ14等に接続されたチューブ15を引っかけるための不図示のフックを設けて、鼻カニューラ14等に接続されたチューブ15を患者が生活する同じ部屋内で移動する範囲に略相当する全長としてフックから外して使用し、未使用時はチューブ15を数回巻き付けた後に、鼻カニューラ14等を接続した状態のチューブ15をフックに引っかけるようにしても良い。
また、図中の二点鎖線で示した底蓋41も軽量化のために耐衝撃性の熱可塑性樹脂、例えばABS樹脂製である。この底蓋41には4つのゴム足22が四隅に固定されており、床面上に設置して使用するときに横滑りを防止している。一方、外出時等の移動時に使用するキャリア10を2本の固定ネジ12で底蓋41に対して固定するように構成されている。このキャリア10には、上記の各ゴム足22より大きな孔部10bが対応位置に穿設されるとともに、図示のように四隅に樹脂製の自在キャスタ11を設けている。また、このキャリア10のベースは軽量化のために軽金属の強化アルミ板製であり、4辺の縁部を全て曲げ加工して強度を確保している。また、後述する外部バッテリを裏側から挿入し所定位置に収容し不動状態にするための収容部10cと、2本の固定ネジ12を通過させて上記の底蓋41の雌ネジ部に螺合固定させることでキャリア10を装置1に対して一体化するための孔部10aがそれぞれ設けられている。
次に、図2を参照して説明する。裏面カバー3は、合計で8本の複数の固定用のネジ16により上記の表面カバー2に対して固定されることで密閉カバーを構成している。この裏面カバー3も上記の前面カバー2と同様に、耐衝撃性の熱可塑性樹脂の例えばABS樹脂製である。この裏面カバー3に一体形成される前後方向半分のハンドル4の下方に手が入るようにした開口部の下方には、内部に外気導入フィルタ20を交換自在に収容したフィルタ交換用蓋17が着脱自在に設けられている。
この裏面カバー3の下方の左右部分には後述する排気を行う排気口3a、3bが格子を設けた状態で形成されている。また、各排気口3a、3bの間の部分は、上方に切り欠かれた切り欠き部となっており、外部バッテリコネクタ131、ACアダプタコネクタ130を図示のようにこの切り欠き部から夫々露出させている。さらに、図示のACアダプタ19のACケーブル19a端部のコネクタ19bはACアダプタコネクタ130に挿入されて酸素濃縮装置1へのACアダプタ(交流100V)19から酸素濃縮装置へ電力の供給を行う。また、繰り返し充電可能な外部バッテリ227のコネクタ227cをバッテリコネクタ131にセットすることで、外出時、室内(屋内)等での移動時などにおいて、患者に供給される酸素流量にもよるが、最大2時間程度のバッテリ駆動を可能になる。
さらに、繰り返し充電可能な内蔵バッテリ228(図7を参照の事)も備えており、AC電源(商用電源)、外部バッテリ、内蔵バッテリの3系統の電源としている。また、使用する電源の優先順位をAC電源、外部バッテリ、内蔵バッテリとすることで、特に内蔵バッテリの温存を図るようにしている。この外部バッテリ227の表面には押圧されることでバッテリ残量を表示する残量確認ボタン227aと、残量確認のためにこの残量確認ボタン227aが押圧されると残量100%で複数、例えば5個の表示部が点灯し、残量20%で1個の表示部が点灯する複数段階(5段階)表示を例えばLED表示するための残量確認モニタ227bを備えている。また、この外部バッテリ227は例えばリチウムイオン電池などの二次電池であり充電器が一体的に設けられた専用設計されると良い。または、AC電源に接続される充電器から充電を行うようにしても良い。このように構成された充電式バッテリ227を、使用前に充電残量を必ず確認することで、外出先でバッテリ切れが起こる最悪の事態にならないようにしている。
また、キャリア10には、収容部10cをはさんでコードフック21、21が固定されており、上記のACアダプタケーブル19aを巻き付けるようにして移動時に邪魔にならないようにしている。
次に、図3は鼻カニューラ14等の延長チューブセットの外観斜視図である。本図において、鼻カニューラ14等のチューブ15にはカプラ13を介して延長チューブ31を接続するために樹脂製の中継カプラ30が接続されている。このように延長チューブ31を接続することで最長約15mの長さまで延長できる結果、患者の移動範囲を大きくでき、さらなるQOLの改善ができることとなる。
次に、図4は酸素濃縮装置1の操作パネル5の実体図である。本図において、既に説明済みの構成部品については同様の符号を附して説明を割愛すると、電源スイッチ6は図示のオフ位置と約90度分時計周りに回転したオン位置との間で操作される。また、この電源スイッチ6は殆どの部分が操作パネル5の操作面から奥側(図面の裏面側)に引っ込むように設けられているので、例えば患者がつまづくなどして操作パネル5に対して激しくぶつかった場合でも、怪我などをしないように安全上の配慮がされている。この電源スイッチ6のオン位置に相当する位置には緑と赤に点灯する例えば発光LEDを内蔵した運転状態ランプ128aが設けられている。また、この運転状態ランプ128aの上にはバッテリ残量モニタ128dが設けられている。
また、中央の酸素出口7についても図示のように全ての囲い部分が操作パネル5の操作面から奥側(図面の裏面側)に引っ込むように設けられている。この酸素出口7の上には「点検」の文字またはこれに相当するキャラクター表示を横に印刷した警報表示部128cが設けられている。この警報表示部128cの下方には緑と赤と黄色とに点灯する例えば発光LEDを内蔵した酸素ランプ128bが設けられている。
そして、酸素流量設定ボタン8は、上下矢印を印刷したフラットスイッチ8a、8bとして設けられており操作パネル5の操作面と略同一面となるように設けられている。この酸素流用設定ボタン8は、90%程度以上に濃縮された酸素を毎分当たり0.25L(リットル)から最大で5Lまで0.25L段階または0.01L段階で押圧操作する度に酸素流量が設定できるように構成されており、上方の酸素流量表示部9で表示するようにしている。以上のようにして酸素生成能力を変えることが可能である。また、同調ランプ25は、濃縮酸素を呼吸同調により断続供給状態で運転中であることを点灯または点滅表示により患者に知らせるために設けられている。また、動作インジケータ25aは、呼吸に同期して点滅表示することにより患者に知らせるために設けられている。
以上のように操作パネル5に配置された各操作部は使用上の安全性および高齢者の使用を前提として必要最小限度の操作を行うようにしている。
図5(a)は、図4の操作パネル5のバッテリ残量表示部128dの動作説明図、図5(b)は、図4の操作パネル5の警報表示部128cの動作説明図、また図5(c)は、酸素濃度ランプ128bの動作説明図である。
先ず、図5(a)において、バッテリ残量表示部128dは、電源オンで約2秒間全点灯する。その後に、内蔵バッテリ228(図7参照)または外部充電式バッテリ227の残量が100%であると、左側に設けられた発光LEDを内蔵したランプが緑色に点灯(連続して光る)するとともに、複数段階(例えば、5段階)の表示部の全てが図示のように点灯表示される。また、バッテリ残量が満充電に対して所定割合(例えば、20%)減る度に、右側から順次消灯するとともに点灯数が次第に少なくなり、残り1つの点灯状態になるとオレンジ色等の注意色で点灯して、内蔵のブザーまたは後述する音声ガイドで警告できるように構成されている。
そして、充電式バッテリの残量が満充電に対して所定割合(例えば、10%)以下になると左側に設けられた発光LEDを内蔵したランプが赤色等の警報色に点滅(間欠的に光る)するとともに、所定間隔、例えば、5分おきに内蔵のブザーまたは音声ガイドでその旨を警告する。このようにして、特に外出時や停電時におけるバッテリ駆動モードでの使用上の安全性を確保している。なお、内蔵バッテリ228と外部充電式バッテリ227のバッテリ残量表示部128dを、内蔵バッテリ228と外部充電式バッテリ227それぞれに対応するように別々に表示し、視認しやすいようにしてもよい。
次に、図5(b)において、警報表示部128cは「点検」の文字が印刷されており、酸素濃度が低下したときに内蔵のランプが点灯して知らせるようにしている。また装置側の異常発生時にはブザーも鳴り音声ガイドとともに知らせるようにしている。また、停電で装置が停止したときには、点滅して知らせる一方で、ブザーおよび音声ガイドで特に視覚障害者に対して確実に知らせることができるようにしている。
そして、図5(c)において、酸素ランプ128bは、酸素が正常に酸素吸入されているときには内蔵のLEDが緑色に点灯する。また、酸素が出ていないときあるいは酸素濃度が低下したときには消灯する。そして、同調モード(呼吸同調モード)で、一定時間、例えば30秒程度呼吸状態を検出できなかった時に警報色である赤色に点灯し、ブザーを鳴らすとともに音声ガイドで知らせるようにしている。また、吸気に同期して濃縮酸素供給を行う同調モードで運転中の場合にはその旨を患者に視認させるために呼吸パターン(酸素出力)に実質的に同期して緑色に点灯または点滅して知らせるようにしている。こうすることで、患者は正常に濃縮酸素が供給されていることを確認できる。
一方、電源スイッチ6をオンすると、ブザーが鳴り音声ガイドとともに、全てのランプが2秒間緑色に点灯する(初期セルフチェック)。そして、バッテリ駆動モードで使用するときには、その後に5段階の表示部において残量に応じて点灯表示される。患者は医師の処方にしたがって酸素流量設定ボタン8の増減スイッチ8a,8bを操作し所定流量に設定すると酸素供給が開始されることとなる(増減スイッチ8aを押すことで酸素流量が増加し、増減スイッチ8bを押すことで酸素流量が減少)。なお、通常に酸素濃縮装置1を停止させた場合、一時記憶装置206に前回の動作条件(酸素流量,同調モードの有無)が記憶される。このため、初期セルフチェックの後、酸素流量設定ボタン8を押さない場合、自動的に前回の動作条件で濃縮酸素の供給を行なうようになっている。なお、その旨(前回と同一動作条件等)を音声ガイドで合わせて知らせるようにしてもよい。
停止時には、電源スイッチ6をオフすると、酸素ランプ128bが消灯し、しばらくの間、運転ランプ128aが点滅した後に自動的に終了する。
患者が毎日行う作業として、裏面カバー3に設けられた外気導入フィルタ20に付着したゴミや埃などを掃除機で取り除くことがある。この作業を簡単にできるようにするために外気導入フィルタ20を容易に着脱できるように構成されている。
図6(a)は、酸素濃縮装置1の裏面カバー3から外気導入フィルタ20を着脱自在にするための様子を示した外観斜視図、(b)は、外気導入フィルタ20がさらに交換用蓋17から取り外される様子を示した外観斜視図、また(c)は、図6(a)のX-X線矢視断面図である。
先ず、図6(a)において、裏面カバー3には外気導入用の縦方向の開口3K1を穿設した開口部3kが設けられており、この開口部3kに対して交換用蓋17が図示のように着脱可能に設けられている。また、この開口部3kは交換用蓋17の全体を埋没する容積を有しており、上方において指先が入る凹部3cを形成している。
次に、図6(b)において、交換用蓋17は図示のように横方向の開口部17bと4隅の起立部17aが設けられており、起立部17aで囲まれる部分の中に連続気泡のスポンジ製の外気導入フィルタ20を、それ自体の有する弾性力により不動状態で収めるようにしている。この起立部17aは、開口部3kへの取付壁部を兼ねている。このため、図示の状態で外気導入フィルタ20を取り出し、水洗により洗浄するか、新品に交換することで、交換用蓋17にセットするようにして元に戻せることとなる。
図6(c)において、交換用蓋17が図示のように開口部3kにセットされると、本体の遮蔽板32の端面32aが外気導入用の縦方向の開口3K1の殆どの部分を覆い隠し、わずかに上方部分を残す状態になる。この結果、外気は矢印F方向に内部に導入されることになる。このように遮蔽板32で内部から裏面カバー3を覆うことで騒音が外部に漏れることを効果的に防止している。すなわち、酸素濃縮装置1の外部に対する開口部分としては、この開口3K1と上記の排気口3a、3bのみとするとともに、開口面積は後述する原料空気の流量を確保するために必要となる最少限度とすることで、内部から発生する音が外部に極力漏洩しないようにして運転時の騒音レベルの38デシベル以下を実現可能にしている。さらに、密閉カバー構造により周囲を完全に覆い且つ出口部分を少なくして防音に加えて防水対策も可能にしている。遮蔽板32は黒色樹脂の成形部品として準備され、スピーカ23と、外部通信コネクタ133が図示のように固定される。
また、酸素濃縮装置1は通常、部屋の壁面から狭い間隙を経て設置されるので、外気導入と排気を裏面カバー3側から行うことで、外気導入と排気音が最も低くなる個所からの排気を可能にしている。
一方、上記の裏面カバー3の凹部3cは図示のように指先が入るようにして交換用蓋17を外側に取り出せるようにしている。以上が患者が直に使用する構成部分である、以下に具体的な内部構成について図7から図13を参照して述べる。
<酸素濃縮装置1の配管およびブロック図の説明>
図7は、酸素濃縮装置1のブロック図を兼ねて図示した配管図である。本図において、既に説明済みの構成部品については同様の符号を附して説明を割愛するとともに、図中の二重線は空気、酸素、窒素ガスの流路であり概ね配管24a〜24gで示されている。また、細い実線は電源供給または電気信号の配線を示している。
ここで、以下の説明ではコンプレッサ105として圧縮手段(圧縮空気発生部)と減圧手段(負圧発生部)を一体化構成したものを用いる場合について述べる。しかしながら、この構成に限定されず圧縮空気発生部と負圧発生部を個別に構成しても良いことは言うまでもない。また、外気を吸気口を介して内部に導入し、排気口を介して外部に排出する表面カバー2と裏面カバー3については密閉容器として図中破線で図示されている。
図7において、導入空気の流れに沿って順次述べると、上記のフィルター交換用蓋体17(図6参照)に内蔵された外気導入用フィルタ20を通過して酸素濃縮装置1内部に空気(外気)が矢印F方向に導入される。この空気は、一対の送風ファン104、104による送風により二段式防音室34内に入る。すなわち、後述するように上段部材上に送風ファン104、104を配設し下段部材にコンプレッサ105を防振状態で配設した二段式防音室34(破線図示の)側面に穿設された開口部を介して二段式防音室34内に空気が入る。この空気の一部をコンプレッサ105の圧縮手段105aに対して原料空気として供給するために、配管24aの開口部が二段式防音室34内に開口して設けられており、配管24aの途中に二次濾過を行う吸気フィルタ101と大容量の吸気マフラ102とが設けられている。このように構成することで原料空気の吸気音が二段式防音室34内に留まるようにして吸気音を低減している。
一方、この二段式防音室34は軽量化のために厚さ約0.5mm〜2.0mmの強化軽合金、アルミ合金、チタン合金板または他の好適な材料から構成される。このように薄板から構成するとネジ孔部の強度が確保されない。そこでネジ孔部としてインサートナットを適所に固定している。この二段式防音室34の内部には原料空気を圧縮して圧縮空気を発生する圧縮手段105aと、減圧手段105bとを好ましくは一体構成したコンプレッサ105が防振状態で固定されている。
次に、濾過された原料空気は、コンプレッサ105の圧縮手段105aで加圧されて圧縮空気となるがこのとき温度上昇した状態で配管24cに送り出されるので、この配管24cを放熱効果に優れた軽量の金属パイプ(例えば、外径6mm内径4mmのアルミ管)とし、送風ファン104からの送風で冷却すると良い。このように圧縮空気を冷却することで高温では機能低下する吸着剤であるゼオライトが窒素の吸着により酸素を生成するための吸着剤として、十分に酸素を90%程度以上に濃縮できることとなる。
圧縮空気は配管24cを介して吸着手段(本実施例では、並列に少なくも2つ配置された、第1吸着筒体108aと第2吸着筒体108b)に対して交互に供給される。このため切換弁(3方向切換弁)109a、109bが図示のように接続されている。これらの切換弁109a、109bと、さらに第1吸着筒体108aと第2吸着筒体108bの不要ガスを脱離させるため(パージ(浄化)を行うため)に減圧手段105bに連通する配管24fに負圧破壊第1弁120と負圧破壊第2弁(圧調整弁)121が直列に複数(少なくとも2つ)配置されている。これらを開くことで後述するように、配管24f内の圧力を均圧工程時には大気圧付近まで、所定流量以下では圧力コントロールすることでコンプレッサの振動抑制と低電量化を図っている。
第1吸着筒体108aと第2吸着筒体108b内に夫々貯蔵されている触媒吸着剤であるゼオライトは、SiO2/Al2O3比が2.0〜3.0であるX型ゼオライトであり、かつこのAl2O3の四面体単位の少なくとも88%以上をリチウムカチオンと結合させたものを用いることで、単位重量当たりの窒素の吸着量を増やしている。特に、1mm未満の顆粒測定値を有し、四面体単位の少なくとも88%以上をリチウムカチオンと融合させたものが好ましい。
このようなゼオライトを使用することで、同じ酸素を生成するために必要となる原料空気の使用量を削減できるようになる結果、圧縮空気を発生するためのコンプレッサ105を小型のタイプとすることができ、低騒音化を一層図ることができた。
一方、第1吸着筒体108aと第2吸着筒体108bの上方の出口側には逆止弁と、絞り弁と開閉弁とからなる均等圧弁107が分岐接続されている。また、均等圧弁107の下流側は合流するように配管24dが成されており、分離生成された90%程度以上の濃度の酸素を貯蔵するための容器となる製品タンク111が図示のように配管されている。また、各吸着筒体内の圧力を検出する圧力センサ208が図示のように配管される。
製品タンク111の下流側には、出口側の酸素の圧力を一定に自動調整する圧力調整器112が配管されている。この圧力調整器112の下流側には、ジルコニア式あるいは超音波式の酸素濃度センサ114が接続されており、酸素濃度の検出を間欠(10〜30分毎)または連続で行うようにしている。この下流側には上記の酸素流量設定ボタン8に連動して開閉する比例開度弁115が接続されており、その下流側には酸素流量センサ116が接続されている。またこのセンサ116の下流には呼吸同調制御のための負圧回路基板118を介してデマンド弁117が接続されており、滅菌フィルタ119を経て、装置1の酸素出口7に対して接続されている。以上の構成により、鼻カニューレ14等を経て患者に対する最大流量5L/分で約90%程度以上に濃縮された酸素の吸入が可能になることとなる。
次に、図7において電源系統は、AC(商用交流)電源を所定直流電圧に整流するスイッチングレギュレータ式のACアダプタ19に接続されたAC電源のコネクタ130を中継して接続されるACアダプタ19と、装置本体に内蔵される内蔵バッテリ228と、上記のコネクタ131を介して着脱自在可能に設けられる外部バッテリ227と電源制御回路226から構成されている。内蔵バッテリ228および外部バッテリ227は繰り返し充電可能な2次電池であり、内蔵バッテリ228は電源制御回路226からの電力供給を受けて充電される。なお、少なくとも内蔵バッテリ228は、少なくとも500回(数100回程度)程度の繰り返し充放電が可能で、バッテリ残量、使用充放電サイクル数、劣化程度、出力電圧等のマネジメント機能を有するものが使用され、バッテリ残量、残充電容量、充放電回数を外部の携帯端末などで確認可能なマネジメント機能を有するものが好ましい。
また、外部バッテリ227については、コネクタ131を介する接続状態において、電源制御回路226からの電力供給を受けて充電することもできるが、通常は別途準備されるバッテリチャージャーを用いて繰り返し充電される。または、専用設計されたバッテリチャージャーを一体化した外部バッテリ227として準備しても良い。
以上の電源系統の構成において、酸素濃縮装置はACアダプタ19からの電力供給を受けて作動する第1電力供給状態と、内蔵バッテリ228からの電力供給を受けて作動する第2電力供給状態と、外部バッテリからの電力供給を受けて作動する第3電力供給状態との3系統の電力供給状態の内の一つに自動切換えされて使用される。
この自動切換えのための優先順位は上記の第1電力供給状態、第3電力供給状態、第2電力供給状態の順序で自動決定するように中央制御部200により電源制御回路226が制御される。
また、電源制御回路226と、内蔵の内蔵バッテリ228については酸素濃縮装置1の低重心化を図るために後述するように底面に配設される。一方、外部バッテリ227は上記のようにキャリア10の収容部に内蔵されることで外出時などで使用可能になる。この外部バッテリ227には上記の充電残量表示部他が設けられているので残り使用時間を音声ガイドとともに知ることができる。
ACアダプタ19は周波数の違いの影響および電圧の変動を受けずに所定直流電圧を発生することが可能であり、かつまた小型軽量に構成できるスイッチングレギュレータ式が良いが、通常のトランス式でも良い。また、内蔵バッテリ228および外部バッテリ227は充電時のメモリ効果が少なく再充電時にも満杯充電できるリチウムイオン、リチウム水素イオン2次電池が良いが、従来からのニッカド電池でも良い。
さらに、緊急時に備えて、どこでも入手可能な単2乾電池のボックスとして外部バッテリを構成しても良い。
また、酸素濃縮装置1の中央制御部200は、生成する酸素量に応じた、最適な動作モードに切り替える機能を備えており、自動的にコンプレッサ105、送風ファン104を、多くの酸素生成をする場合は高速に、少ない酸素生成時において低速に回転駆動する制御を行うことで特に、内蔵バッテリ228を温存させるようにしている。この結果、外部バッテリ227を充電し忘れた場合であっても突然の外出時や停電時等の対応が可能になるように配慮されている。
こうすることで例えば、外出時に外部バッテリ227が残量ゼロになった場合でも内蔵バッテリ228で継続使用できるようになるので、患者は安心して使用できる。
<電源選択の自動選択動作の説明>
図8は、電源選択の動作説明フローチャートであって、図7に図示された3系統の電力供給状態の内の一つに自動切換えする一制御例を示している。電源投入直後は、接続されている全ての電源は電源制御回路226により一時的に並列に供給されている。本図において、酸素濃縮装置1の電源スイッチ6が押圧されると中央制御部200の動作プログラムが起動され初期化後にステップS1に進み、電源種別判断が実行される。次に、ステップS2に進み、装置1はACアダプタ19が接続され商用電源からの通電が行われて電力供給可能になっているか否かの判断が行われる。このステップS2の判断で電力供給可能であると判断されるステップS3に進み、電源制御回路226によりACアダプタ19よりの供給のみに自動切換えされることにより第1電力供給状態にセットされて処理が終了する。
一方、電源供給状態は常に変化するため、処理終了後はS1に戻り、電源監視を継続する。商用電源からの通電が行われているときは、内蔵バッテリ228、外部バッテリ227の順に充電を実施する。
ここで、ACアダプタの出力電圧は直流30Vであるが、内蔵バッテリと外部バッテリの出力電圧は29Vであるので、制御部による判断が可能となる。また、内蔵バッテリと外部バッテリの判断はコネクタ接続の有無から判断できることとなる。
また、ステップS2でACアダプタ19からの電力が供給可能になっていないと判断されると、ステップS4に進み最初に外部バッテリ227が接続されているか否かの判断が行われる。このステップS4で外部バッテリ227が接続されていると判断されるとステップS5に進み外部バッテリ227からの電力供給を受けて作動する第3電力供給状態となる。これに続いてステップS6においてバッテリ残量の検出を行い、次のステップS7でバッテリ残量が十分であるか否かの判断が行われる。ステップS7でバッテリ残量が十分であると判断されると、電源制御回路226により外部バッテリ227よりの供給のみに自動切換えされ、S1に戻り電源監視処理を継続する。
しかし、ステップS7でバッテリ残量が十分ではないと判断されると、ステップS8に進み電源制御回路226により内蔵バッテリ228に自動切換えする。次に、ステップS9において、内蔵バッテリ残量の検出を行うことで検出結果を操作パネル5のバッテリ残量表示部128dで行う。以上で装置1を最後まで温存された内蔵バッテリ228の電力供給を受けて作動できる第2電力供給状態にすることができる。
この後、ステップS10で内蔵バッテリ残量が十分であるか否かの判断が行われバッテリ残量が十分であると判断されると電源制御回路226により内蔵バッテリ228に自動切換えS1に戻り電源監視処理を継続する。一方、ステップS10で内蔵バッテリ残量も十分でなくなった場合にはステップS11に進みバッテリ切れの警報または音声ガイドを発生する。
再度、図7において、上記の3電源系統のうちの一つから電力供給を受けて作動する中央制御部200には上記の電源スイッチ6と上記の表示用のLED素子を図5で説明したように点灯、点滅駆動するとともに、7セグメントLEDで設定流量、積算時間を表示するように駆動する表示駆動部204とが図示のように接続されている。
また、中央制御部200にはコンプレッサ105の直流モータおよび送風ファン104のモータの駆動制御を夫々行うモータ制御部201および上記のスピーカ23に接続されることで音声内容を発生する音声制御部203が接続されている。
この中央制御部200には所定動作プログラムを記憶したROMが内蔵されるとともに、外部記憶装置210と揮発メモリ205と一時記憶装置206とリアルタイムクロック207とがさらに接続されており、外部コネクタ133を介して通信回線などと接続することで記憶内容へのアクセスが可能となるように構成されている。
また、上記の3方向切換弁109a、109bと均等圧弁107と、第1吸着筒体108aと第2吸着筒体108b内の不要ガスを脱離させるための負圧発生部105bと配管24f内の圧力を制御するための負圧破壊第1弁120と負圧破壊第2弁121と酸素濃度センサ114と比例開度弁115と、流量センサ116とデマンド弁117を駆動制御する弁及び流量制御部202が中央制御部200に接続されている。
ところで、総重量が約1kgのコンプレッサ105はモータ制御部201に内蔵される可変速度制御器123aであって後述する正弦波駆動波形によりモータの駆動制御が行われることで運転音を低くしている。このコンプレッサ105は、各速度で運転可能であって、必要な真空(負圧)/正圧の圧力レベルと流量を発生でき、僅かな騒音と振動しか出さず、僅かな熱しか発生せず、小型軽量であって僅かな電力消費で運転できることが好ましい。
可変速度制御手段である可変速度制御器をモータ制御部201に備えることにより、患者の活動レベル、環境条件に基づいてコンプレッサ105の速度を自在に変化させることができる。この結果、患者が座ったり、寝たりしている等、患者の酸素要求が比較的低いことがデマンド弁117によって呼吸同調により判断されると、コンプレッサ105の駆動回転速度を自動的に落とすことができる。また、患者が立ったり、活動的であったり、酸素濃度の低い高地にいるときなど、患者の酸素要求が比較的高く、酸素要求量が高まったと判断されると速度を自動的に高めることができるように構成されている。
以上のモータ制御によって装置1全体の消費電力が低減され、充電式バッテリでの駆動時の寿命を延ばすことが可能になるとともに、充電式バッテリの重量と大きさを軽減し、コンプレッサ105の摩耗度を低めて寿命を延ばすことで信頼性を向上できる。
このコンプレッサ105は、上記のように圧縮空気発生と負圧発生の両方の機能を備えるものであり、取り出される酸素流量に応じて回転数が自動制御される。具体的には、回転速度が500rpmから3000rpmの間で制御され、通常の速度である1700rpm程度で回転するときの操作寿命を15000時間と長くできるようにしている。また、このコンプレッサ105は、空気を100kPa、好ましくは75kPa程度に圧縮する性能を備えている。また、上記の操作寿命が経過すると音声ガイドにて知らせる機能を備えている。
このコンプレッサ105を取り巻く操作温度は、0℃〜40℃であり、コンプレッサ105用の駆動電圧は、自動車やトラックなどのシガーライターアダプタから得られる電源である直流12Vまたは24Vであって、電力使用量は、約45〜80W程度である。このため、最悪の場合にはコネクタ131に接続して電源供給することもできる。
ここで、負圧破壊弁120、121のそれぞれの役割は、コンプレッサ105の減圧手段側の真空度を自動調整するものである。すなわち、装置1に採用されるコンプレッサ105は圧縮手段と減圧手段の両機能を備えているので、小型軽量化できるという利点がある。しかしながら、このように一体化されたコンプレッサは、加圧専用コンプレッサや真空(負圧)専用コンプレッサに比較して振動が大きくなるという問題がある。特に、圧縮工程に振動が激しくなり、均圧工程時には3方向切換弁109a、109bの流路24fは圧縮手段(圧縮空気発生部)105a側と一方の吸着筒対108a側が連通され、このとき減圧手段(負圧発生部)105b側は遮断された状態となるために、3方向切換弁109a、109bと減圧手段(負圧発生部)105bの流路24f内圧力は極端な高真空状態となることによる。この高真空状態を解消するために、外気と連通するように負圧破壊弁120を図7に図示のように配管する。
均圧工程と同期して、負圧破壊弁の1つ負圧破壊弁120を開状態に動作させることで、流路内に外気が入り込むようにして、流路内を大気圧により近い状態とする。この作用によりコンプレッサ105は無負荷状態に近い状態となるため、振動の発生を防止できまた、騒音の低減や低電力化にも寄与するようにできるようになる。負圧破壊弁の1つ負圧破壊弁121は、後述するように、設定酸素流量に応じてオンされて開状態にされる。
一方、このコンプレッサ105の冷却と、装置1内部の冷却を行うための上記の送風ファン104、104は、消費電力約2.7W程度である。このブロアに代えて軸流ファンでもよい。ここで、装置1の最大騒音圧力レベルは、最大の回転数のときに35dBA以下であり、濃縮酸素流量1L/分以下の場合には33dBAである。
3方向切換弁109a、109bには、一般的に直動式と呼ばれる弁の動作を通電時の磁力で行う電磁弁が使用可能である。この種の電磁弁は電気の力だけで主弁を動作させるため消費電力が高いという問題点がある。そこで、3方向切換弁109a、109bとしてパイロット式3方向切換弁を使用することもできる。このパイロット式3方向切換弁によれば、僅かな消費電力とコンプレッサからの空気圧を有効利用して動作させることが出来るために従来の8Wから0.5Wにまで低減される結果、大幅な電力低減が期待されることになる。
以上の各構成部品は、低騒音化された小型の酸素濃縮装置1の組立作業性および点検整備性の向上を配慮して主に二段式防音室34を取り付け部として固定されている。
即ち、騒音発生の大きなコンプレッサ105と、送風でコンプレッサ105の冷却を行うために送風音が発生する送風ファン104と、吸気用バッファタンク102の空気導入口と3方向切換弁109と、排気時に排気音が発生する消音器110と他の各種弁を内周面全面に防音材を敷設した二段式防音室34の内部に配置し、この二段式防音室34の外壁部分を有効利用して上記の遮蔽板32と、吸着筒体108a、108bと、製品タンク111と、吸気用バッファタンク102と、各種制御基板200、201、202と、上記のように酸素の圧力を一定に自動調整する圧力調整器112と、圧力調整器112の下流側の酸素濃度センサ114と比例開度弁115と、酸素流量センサ116と呼吸同調制御のための負圧回路基板118に接続されるデマンド弁117とが固定されている。
このように振動または騒音発生の伴う構成部品は二段式防音室34内部において防音状態でそれぞれ設けることで、圧縮空気の供給音と、外部空気の導入音と、原料空気を作るための濾過空気の導入音と、例えば3方向切換弁の作動音と消音器110から周期的に発生する排気音が外部に漏れないようにして騒音低減を図っている。
また、上記のように前面カバー2と裏面カバー3は外気を吸気口を介して内部に導入し、排気口3a、3bを介して外部に排出するための必要最小限の開口を備えた密閉カバーとして構成することで同様に騒音低減を図っている。
次に、図9は、酸素濃縮装置1の内部構成を示すために背面側から見た立体分解図である。本図において、既に説明済みの構成部品については同様の符号を附して説明を割愛すると、下方より、上記のゴム足22を四隅に固定した図1で二点鎖線で示した樹脂製の底蓋41が、同じく樹脂製のベース体40の底面に対して複数の固定ネジ16を用いて固定されている。
このベース体40は、4面から下方に向けて連続形成された壁面を一体成形した箱状に成形されており、図示のように裏面の壁面上には、上記の各コネクタ131、130が固定されている。また裏面カバー3の各排気口3a、3bに対向するとともに内部の電源室に連通する排気口40c、40cが図示のように穿設されており、これらの排気口40cを介して最終的な外部排気が行われる。このベース体40の上面は図示のように平らに形成されるとともに、図示のように形成される二段式防音室34の左右面と裏面の3方側から固定ネジ16で固定するための孔部を穿設した起立部40fを3方から一体成形している。また、上記の電源室に連通した排気用開口部40bをさらに穿設している。
次に、二段式防音室34は、図面の手前側の側方から出し入れ可能な上段部材36上に2個の送風ファン104を固定し、同じく側方から出し入れ可能な下段部材37上にコンプレッサ105を防振状態で配設した密閉箱35として上記のような軽量金属板から構成されている。
この二段式防音室34は、図示のように手前側に示した防音室蓋39と奥側に示した防音室蓋38を複数の固定ネジ16で固定するようにしている。このために二段式防音室34は、図示のように曲げ加工されるとともにインサートナットを植設した取付部が一体的に設けられている。この防音室内部には防音材51が敷設される。また外周面には制振部材であって、合成ゴムと特殊樹脂材料を混合した素材をシート状のものが敷設されており、アルミの薄板製である二段式防音室34自体が共鳴などで振動防止している。
この二段式防音室34の上段部材36の上方の左右の側壁面には実線図示の第1開口部35a、35a(破線図示)とが穿設されており、外気を内部に導入するように構成されている。この上段部材36には、配管24をラバーブッシュを介して固定するための複数の固定孔36hが穿設されており、配管24を支持するとともに振動防振機能をラバーブッシュと協働して行うように構成されている。
また、各送風ファン104は、それぞれの送風口が下方に向くようにしてブラケットを用いて上段部材36に固定されている。この各送風ファン104の間には上記の3方向切換弁109他が配置されている。
この二段式防音室34の左側の側壁面には筒状の吸着筒体108a、108bが、吸気用バッファタンク102と並べて配置されており側壁面に固定された固定具49kにバンド49を通過後にバンド49を締め上げることで図示のように固定されている。このとき、吸着筒体108はベース体40の上面に載るが、全長の長いバッファタンクは開口部40d中に一部が挿入されて固定される。
製品タンク111は真空成形されるポリエチレン樹脂製であって図示のように長手方向に横たえて上方に配置される。上記の遮蔽板32も軽量化のために樹脂製であり、図示のようにスピーカ23と外部コネクタ133を設けており、二段式防音室34の上方の外壁面に対して固定ネジ16を用いて固定される補強を兼ねた取り付け部を一体成形している。また、二段式防音室34の上方の壁面には放熱部材52、53が固定ネジ16で固定されるとともに上記の各制御基板200、201、202他が起立状態で固定されており放熱効果を高めている。なお、この遮蔽板32は上記のように一部が外部に出るので黒色顔料を用いて黒色に着色されている。
この二段式防音室34の右側の側壁面には酸素センサ114と比例開度弁115と圧力調整器112と流量センサ116とデマンド弁117と回路基板118aとが固定されている。
以上のように略全ての構成部品をベース体40上に固定された二段式防音室34の外壁を取り付け面として固定する構造とすることで、小型化が実現でき、しかも4方向からアクセス可能となるので組立作業性が大幅に向上されるので自動組立ライン化も可能となった。また、上記の表面カバー2と裏面カバー3はベース体40から放射状に張り出さないようにすることで省スペース化にも大きく寄与できた。
図10は、酸素濃縮装置1の底蓋41とベース体40を示すために底面側から見た立体分解図である。本図において、既に説明済みの構成部品については同様の符号を附して説明を割愛すると、図示のようにベース体40には上記の開口部40bに連通する電源室401と、内蔵バッテリ228を内蔵したバッテリ室402と、均等圧化弁107121と吸気バッファタンク102の一部を収容した収容室403とが隔壁を介して形成されており底蓋41を固定後にそれぞれが密閉された部屋を構成するようにしている。
以上の構成により、上記のように二段式防音室34に内蔵された消音器110を介して排気される過程で排気が破線矢印方向Fに分岐して開口部40cから外部に流れるようにして排気音が減衰されるとともに、電源装置226の発熱分を排気で冷却できるようにしている。
図11は、図9で示した各構成部品をベース体40上に組み付け後の酸素濃縮装置1の内部構成を示すために反対側から見た外観斜視図である。本図において、既に説明済みの構成部品については同様の符号を附して説明を割愛すると、図示のようにベース体40上において、隙間なく全ての部品が固定されている。
この酸素濃縮装置1の組立後の内部構成に対して表裏カバー2、3を固定するために、ベース体40の外周面には一方の鍔部48が形成されている。また、表面カバー2の裏面には独立気泡のウレタンスポンジ製の吸音材51が敷設されている。また、上記の操作パネル5に配置される各ランプ類と表示部の表示駆動部204を実装した実装基板128が図示のように固定されている。また、この表面カバー2の下方にはベース体40の外周面に形成された一方の鍔部48を上下方向から挟むようにした他方の鍔部50、50が上下に夫々一体成形されている。さらに、この表面カバー2の突合せ面2pは略平面に沿うように成形されるとともに、固定ネジ16の雌ネジ部となるインサートナットをインサート成形した形状部2hが複数箇所に成形されている。
また、裏面カバー3の突合せ面3pは略平面に沿うように成形されるとともに、固定ネジ16の挿通孔となる形状部3hが複数箇所に成形されている。
図12は、表裏面カバー2、3を固定する様子を示す断面図である。本図に示すように表裏面カバー2、3をベース体40に固定するために各カバー2、3を突合せ面2p、3pで当接させると、ベース体40の一方の鍔部48が他方の鍔部50、50の間に入る状態になる。この後に固定ネジ16で固定することで密閉カバーが完成する。
以上のように構成することで省スペース化を実現できることとなる。このため表面カバー2、裏面カバー3と上記の底蓋41、ベース40は、ABS樹脂材料を用いて射出成形される軽量部品として準備され、樹脂部品の総重量は2.6kgであり、装置1の全重量10kgの約26%となった。
ここで、表面カバー2と裏面カバー3とから形成される同じ表面積を有するカバーを、従来からの木製筐体であって加工が容易であり、かつ寸法に狂いが生じにくく軽量で防音性能が優れているMDF(Medium Density Fiberboard)木製とした場合には重量が約4.6kgとなる。また、木製筐体は板厚が1cm前後の平らな板状であるので図示のような曲面状にするためには、これらの板部材を重ねるとともに、曲面状に加工することになるので約8kgとなってしまう。このために、目標重量の約10kgは到底達成できなくなる。しかしながら、例えば室内常設タイプであって軽量にする必要の無い場合には上記のMDFで密閉カバーを作ることもできることは言うまでもない。
<二段式防音室34の説明>
次に、図13はコンプレッサ105を防振・防音状態で収納する二段式防音室34の下段部材37の要部を破断して示した外観斜視図である。本図において、既に説明済みの構成部品については同様の符号を附して説明を割愛すると、二段式防音室34の内周面には制振材と独立気泡スポンジとを多層構成した防音材が敷設されている。
上記のようにコンプレッサ105は圧縮空気発生部105aと負圧発生部105bを一体形成しており、アウターロータ式の電動モータの出力軸56に固定されるクランク軸周りにコンロッド57、58に連結されるピストンを設けている。このクランク運動する1対の水平対向ピストンはシリンダに夫々往復移動可能な密閉状態で設けられており、一方のピストン60により空気圧縮部105aが構成され、他方のピストン59により負圧部105bが構成されている。このために各ピストンの圧縮面には不図示の一方向弁が夫々搭載されている。
また、この1対の水平対向ピストンの往復移動方向は二段式防音室34の底面に対して平行な水平方向であるが、負荷が大きくなると矢印V、V方向に大きく振動する。このためにコンプレッサを二段式防音室34内で略垂直方向の防振状態にするコンプレッサ固定台61でコンプレッサ105を上下から挟むように固定して振動を効率的に吸収できるように構成されている。すなわち、前後2つのコイルバネ62(手前側のみ図示されている)を固定し、不図示のラバーブッシュをさらに内蔵して図示のように下段部材37上に固定している。また、コンプレッサ固定台61は軽量化のためにアルミ板製が良い。
以上の構成によりコンプレッサ105が起動されると、コイルバネ62が適度に圧縮と伸張を繰り返し行う一方で、上記のように上段部材36に対してラバーブッシュを介して固定された配管24も適度に圧縮と伸張を繰り返し行うことで、実質的に6点支持状態で防振されて支持することができるようになる。
また、コンプレッサ固定台61は直流モータ部分のみを保持するために送風ファン104によるコンプレッサ105の冷却のための送風が邪魔されず円滑に行えることとなる。 図14は、コンプレッサ105および送風ファン104を防音状態で収納する二段式防音室34の要部を破断して示した側面図である。
本図において、既に説明済みの構成部品については同様の符号を附して説明を割愛すると、密閉箱35の左右壁面には上段部材36と下段部材37とを個別に矢印方向に引き出すように構成されており、図示の位置での点検作業を可能にしている。以上の構成により、組付け作業とオーバーホール時の作業が大幅に改善された。
次に、図15は、外気導入空気と、原料空気および排気空気の流れる様子を示した模式図である。本図で、既に説明済みの構成部品については同様の符号を附して説明を割愛すると、外気導入フィルタ20で一次濾過された空気は矢印F1方向に密閉カバー内(2、3)に導入される。導入された空気は、矢印F2方向にそれぞれ分岐するように2個の送風ファン104により吸い込まれて二段式防音室34の第1開口部35aを介して二段式防音室34内に流入する。コンプレッサ105は発熱するためが大きく冷却しないと50℃以上に温度上昇するので効率的に冷却する必要があるので、上段部材36の開口部36aからの送風によりコンプレッサ105を冷やすようにしている。
また二段式防音室34内に導入された空気の一部を原料空気として使用するために配管24内を矢印F3方向に通り、二次濾過を行うフィルタ101と吸気バッファタンク102を通過後に矢印F4方向に流れ圧縮空気発生部105aに向かう。このようにして、吸気音は完全に遮断されることになる。また、排気は内蔵された消音器110で充分に消音された後に、下段部材37の開口部37bを矢印F5方向に出てから各排気口2cから矢印F6方向に外部排気される。
以上のように実質的に酸素を生成する上で必要となる主構成部品を全て二段式防音室34内で防音する事で、連続する騒音源となるコンプレッサ105の音は、唯一の開口部となる空気の排出口2cから外部に出されることとなる。このときの音エネルギーは、反射、吸音を繰り返して減衰される結果、耳障りな音は低減される。さらに、防音室内部は、内面に吸音材51を貼ることにより、騒音源は最小限に抑えられ、更には、従来のような排出通路と酸素の生成に必要な部品とが区分けされている酸素濃縮装置に比べて、効率良くスペース使うことで、装置の小型化とメンテナンス性を大幅に向上できる。
尚、以上は本発明の医療用の酸素濃縮装置1を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、空気中から窒素を吸着して、酸素を生成するための触媒担体として、SiO2/Al2O3比が2.0〜3.0であるX型ゼオライトであり、かつ前記Al2O3の四面体単位の少なくとも88%以上をリチウムカチオンと結合させることにより、吸着筒体は1本にすることもできる。さらに、カバーのデザインは上記構成に限定にされないことは言うまでもない。
以上の構成により酸素濃縮装置1の電源スイッチ6がオンされる事で、所定電圧の供給が開始され、セルフチェックが行われる。これに続きコンプレッサ105と、送風ファン104、104と、3方向切換弁109への通電が行われることで、外部空気の導入が行われ、それに伴う空気導入音が連続的に発生する。同時にコンプレッサ105の振動やその振動に伴う騒音、各吸着筒に及ぶ配管からの透過音が連続して発生する。
これに続き、導入された空気は一方の3方向切換弁109aを経て第1吸着筒体108aに導入されて、生成酸素は後述する逆止弁を通り、製品タンク111に流れ込み圧力が次第に上昇する。所定の圧力になると均等圧弁107が所定時間 「開状態」となる。
第1吸着筒体108aで濃縮された一部の酸素を使用して、第2吸着筒体108bの、洗浄が行われ、続いて均圧工程が行われる。また、均圧工程と同期して負圧破壊第1弁120が動作されることによりコンプレッサの振動を低減する。及び次の加圧に備えた準備が行われる。
次に、第1吸着筒体108aの脱着工程(窒素や水分の排出)と第2吸着筒体108bへの圧縮空気の取入れを行うべく3方切換弁109bが作動する。第2吸着筒体108bに流れ込んだ圧縮空気で分離生成された酸素は不図示の逆止弁を介して製品タンク111中に流れる。その後所定の圧力となったことが圧力センサ208で検出されると均等圧弁107が所定時間「 開」となる。この後に、第2吸着筒体108aの洗浄及び均圧工程が行われる。
以上のように均等圧弁107が開かれることで、第2の吸着筒体108bで生成された酸素が第1の吸着筒体108aの出口部に送り込まれるので、内蔵のゼオライトの洗浄化が行なわれることになる。以上の切換動作を所定タイミングで繰り返し行うことで、連続した酸素の安定供給が可能としている。
尚、流量センサ116は、上記のように使用する酸素流量を決定するための流量設定で設定された設定値を読み取るものであるが、さらに、チューブ折れ等の外乱要因により流量低下した場合に備えて、実流量を測定して音声ガイドにて知らせるようにしている。
従来の酸素濃縮装置によれば外部空気導入通路を長く設定し、かつ多くの屈折回数を与え、さらに吸音材を設けた遮音箱内に収容していた。このために静かな酸素濃縮装置は大型化するとされていた。また、ゼオライトを充填した吸着筒は、温度上昇すると窒素吸着量が減少するために温度の影響を受け難い場所において離間して配置されるのが一般的であった。
このため、配管経路が長くなることによる圧力損失も無視できない場合があったがこれらの問題は、図7に示した構成と後述する機械的構成により全て解決された。
<負圧破壊第1弁120、負圧破壊第2弁121の説明>
次に、図16(a)は酸素流量が所定流量以上、例えば本実施例では毎分1.25リットルより大きい場合の第1吸着筒体108aの吸着工程、(b)は洗浄工程、(c)は第1吸着筒体108aの均圧工程を夫々図示した模式図である。
また、図17(d)は酸素流量が所定流量以下、例えば毎分1.25リットル以下の場合の上記の第1吸着筒体108aの吸着工程、(e)は洗浄工程、(f)は第1吸着筒体108aの均圧工程を夫々図示した模式図である。
図18(a)は酸素流量が所定流量以上、例えば毎分1.25リットルより大きい場合のバルブシーケンスであり、(b)は酸素流量が所定流量以下、例えば毎分1.25リットル以下の場合のバルブシーケンスを表している。ここで、斜線部は動作状態にあることを示している。そして、酸素流量が所定流量以下、例えば毎分1.25リットル以下の場合は常に負圧破壊弁120を動作させている。ここで、斜線部は各バルブが作動状態に有ることを示している。そして、負圧破壊弁121は、酸素流量によらず、均圧工程で作動させている。一方、負圧破壊弁120は、酸素流量に閾値を設け、例えば酸素流量が所定流量以下、例えば毎分1.25リットル以下の場合に連続(吸着/脱着,洗浄,均圧のすべての工程)作動させている。
そして、図19(a)は、酸素流量が所定流量、例えば本実施例では毎分1.25リットルより大きい場合の均圧工程時における配管24f内の圧力を示しており、負圧破壊弁121の「あり」と「なし」を示すために時間経過に伴い変化する圧力チャートであり、(b)は酸素流量が所定流量、例えば本実施例では毎分1.25リットル以下の場合の配管24f内の圧力を示し、負圧破壊弁120の「あり」と「なし」の場合の圧力チャートである。
図19(a)から解るように、負圧破壊弁121を作動させた場合と作動させない場合では、配管24f内の圧力に違いが見られる。作動させない場合に現れるスパイク的圧力変化がコンプレッサへの激しい振動を発生させ電力をも増加させる要因であり、負圧破壊弁121の効果が見られる。
図16(a)において、既に説明済みの構成部品については同様の符号を附して説明を割愛すると、均等圧弁107が、図示のように2本の吸着筒体の出口側の間で分岐配管されている。この均等圧弁107は、圧力センサ208で筒体内の最高内圧値が検出されると2本の吸着筒体の間の均等圧化を行うように制御部202からの通電で開状態にされる。また、配管24の合流点の手前には各筒体から製品タンク111に生成された酸素が供給されるようにした逆止弁307a、307bがそれぞれ接続されている。
そして、図7の3方向切換弁(主電磁弁)109a、109bは、パイロット弁(パイロット電磁弁)を備えており、これらのパイロット弁は、コンプレッサ105の圧縮空気発生部105aからのわずかな圧力で主弁が開閉動作できるように構成されている。このため、直動式電磁弁に比べ低消費電力化が図られるように構成されており不図示の逆止弁も内蔵されている。
次に、図19(b)は酸素流量が所定流量以下、例えば毎分1.25リットル以下での配管24f内の圧力であるが、図17(d)(e)(f)を通して常に負圧破壊弁120は作動(動作)状態にある。作動させない場合では、配管24f内の圧力が高くなることがわかる。低流量領域では比較的、高濃度の酸素が得られやすくなるため、負圧破壊弁120を作動させて、ある程度真空圧力を下げても(より大気圧に近くしても)酸素濃度には影響しない。こうして、コンプレッサへの負荷は低減され、騒音の低減と電力の低減が図れる。
配管24f内の圧力コントロールは負圧破壊弁のオリフィス口径で決定されるが、負圧破壊弁121は略大気圧下まで下げることが最も効果があるため、ここではφ2.3程度としている。また、負圧破壊弁120は配管24f内の圧力を所定の圧力下まで低減させれれば良く、負圧破壊弁121のオリフィス口径より小さく形成し、例えばφ1.0程度が選択されている。
そして、図18(a)は、酸素流量が所定流量、例えば本実施例では毎分1.25リットル以上の場合の均圧工程時における配管24f内の圧力を示しており、負圧破壊弁120の「あり」と「なし」を示すために時間経過に伴い変化する圧力チャートであり、(b)は酸素流量が所定流量、例えば本実施例では毎分1.25リットル以下の場合の配管24f内の圧力を示し、負圧破壊弁121の「あり」と「なし」の場合の圧力チャートである。
図18(a)から解るように、負圧破壊弁120を作動させた場合と作動させない場合では、配管24f内の圧力に違いが見られる。作動させない場合に現れるスパイク的圧力変化がコンプレッサへの激しい振動を発生させ電力をも増加させる要因であり、負圧破壊弁120の効果が見られる。
図16(a)において、既に説明済みの構成部品については同様の符号を附して説明を割愛すると、均等圧弁107が、図示のように2本の吸着筒体の出口側の間で分岐配管されている。この均等圧弁107は、圧力センサ208で筒体内の最高内圧値が検出されると2本の吸着筒体の間の均等圧化を行うように制御部202からの通電で開状態にされる。また、この均等圧弁107に対して平行となるように絞り306が配管されており、適度な酸素供給を他方の筒体内に送るようにしている。一方、配管24の合流点の手前には各筒体から製品タンク111に生成された酸素が供給されるようにした逆止弁307a、307bがそれぞれ接続されている。
そして、図7の3方向切換弁(主電磁弁)109a、109bは、パイロット弁(パイロット電磁弁)を備えており、これらのパイロット弁は、コンプレッサ105の圧縮空気発生部105aからのわずかな圧力で主弁が開閉動作できるように構成されている。このため、直動式電磁弁に比べ低消費電力化が図られるように構成されており不図示の逆止弁も内蔵されている。
次に、図18(b)は毎分1.0リットル以下での配管24f内の圧力であるが、図17(d)(e)(f)を通して常に作動状態にある。作動させない場合では、配管24f内の圧力が高くなることがわかる。低流量領域では比較的、高濃度の酸素が得られやすくなるため、負圧破壊弁121を作動させて、ある程度真空圧力を下げても酸素濃度には影響しない。こうして、コンプレッサへの負荷は低減され、騒音の低減と電力の低減が図れる。
配管24f内の圧力コントロールは負圧破壊弁のオリフィス口径で決定されるが、負圧破壊弁120は略大気圧下まで下げることが最も効果があるため、ここではφ2.3程度としている。また、負圧破壊弁121は配管24f内の圧力を所定の圧力下まで低減させれれば良く、ここではφ1.0程度が選択されている。
図19は、コンプレッサの負圧部105bの圧力変化の実測値であって、(a)は設定された酸素流量が毎分1.5リットルを示し、(b)は設定された酸素流量が毎分1リットルである場合を夫々示している。なお、本実施例では負圧破壊弁120、121は配管24fに直列に配置されているが、3個以上複数個を直列に設けてもよい。
図19(a)の工程は、吸着工程、洗浄工程での圧力波形を示している。この後に、図16(b)における均等圧工程において負圧破壊第1弁120への通電を行わず閉じた状態にしておくと圧力波形となり大きな圧力変動A2となる結果、コンプレッサの振動騒音が大きくなる。そこで、この均等圧工程において負圧破壊第1弁120への通電により開く状態にすると図示のような圧力波形A3となり小さい振幅の圧力変動となる。この結果、コンプレッサの振動騒音が低くなる。図16(c)、(d)の運転動作時においても同様の圧力波形となる。
また、図19(b)の工程は図17(a)における吸着工程、洗浄工程での圧力波形を示している。この後に、図17(b)における均等圧工程において負圧破壊第1弁120への通電で開いた状態にし、さらに負圧破壊第2弁121を閉じた状態にしておくと圧力波形B2となりやや大きな圧力変動となる結果、コンプレッサの振動騒音がやや大きくなる。そこで、この均等圧工程において負圧破壊第1弁120への通電に加えて負圧破壊第2弁121も開く状態にすると圧力波形B3となり小さい振幅の圧力変動となる結果、コンプレッサの振動騒音が非常に低くなることが確認された。図17(c)、(d)の運転動作時においても同様の圧力波形となった。
以上のように、特に設定酸素流量が小さく設定されコンプレッサの負荷が低減された場合において、騒音を小さくでき、電力を低減できる酸素濃縮装置が提供されることとなった。すなわち、高流量かつ高濃度で酸素を分離生成させるためには、吸着筒体内の圧力を極力高真空(負圧状態)にさせることが好ましいために負圧破壊第2弁121を閉じた状態にしておく。しかし低流量では高濃度の酸素を容易に得られるために負圧破壊第2弁121を開く状態にして高濃度の酸素が得られる最低限の圧力まで下げるようにしてコンプレッサの振動を低く抑えるとともに低騒音と低電力での運転を可能にしている。
<コンプレッサの直流モータの駆動説明>
次に、圧縮空気を発生させる圧縮空気発生部と負圧を発生させる負圧発生部を直流モータ(以下、コンプレッサモータとも呼ぶ)を駆動源として構成したコンプレッサ105の運転騒音を低減することでさらに騒音低減できる。
図20は、コンプレッサモータの横断面図、(b)は(a)のX-X線矢視断面図である。図20において、既に説明済みの構成または部品については同様の符号を附して説明を割愛すると、図11で説明したようにピストン59、60に連結されたコンロッド57、58を軸支したクランク軸体56を出力軸とするために、クランク軸56はコンプレッサモータのアルミダイキャスト製のケーシング67に設けられた2つの軸受けにより回転自在に軸支されている。
このクランク軸56の端部には、分極着磁された永久磁石64が固定されており直流モータのアウターロータを構成している。また、このロータ近傍には永久磁石64が回転されるに伴い発生する磁極変化を非接触で検出するための3個分のホール素子66がケーシング67の内周面上に等しい角度間隔で固定されている。
一方、回転磁界を発生する3極コイルから形成されるステータ65は、アウタ―ロータの内側に位置するようにケーシングの蓋部材に図示のように固定されている。
以上のようにして所謂ブラシレスアウタ―ロータ直流モータが構成される。ここで、このように構成される3極の直流モータ以外にも通常の直流モータも使用可能なことは言うまでもなく、3極以上であっても良いこととなる。
次に、図20(a)は、モータ駆動回路図、(b)はモータ駆動波形図である。先ず、図20(a)において、上記のモータ制御部201には不図示のモータドライバーが内蔵されており上記のステータ65の個別のコイルに対して個別のホール素子66の検出にともない駆動波形を印加するように構成されている。このようにしてステータに回転磁界を発生させることでアウタ―ロータに固定された永久磁石64を磁気吸引して回転駆動する。
このように回転磁界を発生するために従来は図20(b)において波形K1で図示した矩形波をステータコイル65a、65b、65cに対して順次通電する矩形波による駆動を従来から行っていたが矩形波駆動特有の騒音発生があった。そこで、駆動波形をメモリ素子に記憶させておき、一周期分の正弦波形を順次読み出すことにより正弦波に変換する不図示の正弦波発生回路を使用することにより、波形K2で示した正弦駆動波に変換し、この正弦駆動波を順次通電することで、さらなる騒音低減を実現することができた。
以上のように、運転時に常時駆動される最大の騒音発生源であるコンプレサーの低騒音化を図ることでさらに騒音の低減を実現することができた。
<音声ガイダンスの説明>
図22は、音声ガイダンスの動作説明フローチャートである。図22において、上記のように電源スイッチ6がセットされるとこのプログラムが起動されて、ステップS20において音声発生モードであるか否かが判断される。音声発生モードにセットされていないことが判断されるとステップS21でリターンして以下の処理を終了する。
ステップS20で音声発生モードであると判断される。ステップS22に進み使用項目の判断が実行される。これに続き、ステップS23に進み、図24に図示した各使用項目に対応する「アドレス」にアクセスする。この各使用項目と音声は音声モジュール203に記憶されている。そして、ステップS24において音声発生モジュール203から「音声No.]を読み出す。これに続きステップS25でこの「音声No.]に対応する「音声内容」をスピーカ23に出力して処理を終了する。なお、上記の各音声内容は、ほんの一例であり、装置の仕様に応じて適宜設定されることは言うまでもない。
次に、図23は、音声ガイダンスの別動作を示した動作説明フローチャートであって、図22の動作説明フローチャートの処理後または同時処理されるものである。
図23において、ステップS30において内蔵バッテリ駆動であるかが判断されて、内蔵バッテリ駆動でないと判断されるとステップS31でリターンして以下の処理を終了する。また、ステップS30で内蔵バッテリ駆動であると判断されると、ステップS32に進み、設定流量1L〜3Lの読み出しを行い、設定された設定流量値を一時記憶部205に一時記憶する。
これに続き、ステップS33において呼吸同調モードに設定されているか否かの判断が行われて呼吸同調モードでないと判断されるとステップS31でリターンして以下の処理を終了する。
ステップS33で呼吸同調モードであると判断されると、ステップS34において内蔵バッテリ残量の検出を電圧などから行い、バッテリ残量検出値を一時記憶部205に一時記憶する。次に、ステップS35に進み、一時記憶部205に記憶された設定流量値とバッテリ残量検出値とから使用可能残り時間の算出を行う。そして、ステップS36において「使用可能残り時間の音声発生」をスピーカ23に出力して処理を終了する。
図24は、音声ガイダンス一覧表である。本図において音声名は「音声No」として示されており、これに対応するアドレスと音声内容についてそれぞれ図示されるように音声モジュールに記憶されている。
具体的には、音声1は「装置停止」に対応しており「ピー 電源を切ってから緊急連絡先に連絡して下さい」とのメッセージを発生する。音声2は「停電警報」に対応しており「ピー 電源が無くなりました ACアダプタを接続して下さい」とのメッセージを発生する。音声3は「カニューラに接続されたチューブ折れ」に対応しており「ピー 流量が低下しています カニューラとチューブの折れを確認して下さい」とのメッセージを発生する。音声4は「酸素濃度警報」に対応しており「ピー 酸素濃度が低下しました」とのメッセージを発生する。音声5は「ピー音/起動時」に対応しており「ピー 1回 1kHZ 2秒」で発音する。音声6は「キー確認」に対応しており「ピー 1回 1KHZ0.2秒」で発音する。音声8は「AC電源切替え」に対応しており「ピー ACアダプタが接続されました」とのメッセージを発生する。音声9は「内部電池切替え」に対応しており、「ピー バッテリで運転しています」とのメッセージを発生する。音声10は「外部電池切替え」に対応しており「ピー 外部バッテリで運転しています」とのメッセージを発生する。音声11は「外部電池終了」に対応しており「ピー 外部バッテリが空になりました」とのメッセージを発生する。音声12は「電池残量少ない」に対応しており「ピー バッテリ残量が少なくなりました、ACアダプタを接続して下さい」とのメッセージを発生する。 音声13は「無呼吸警報」に対応しており「ピー 呼吸を検出できません、カニューラを確認して下さい」とのメッセージを発生する。音声14は「同調モード切替え」に対応しており「同調モードに切り替わりました」とのメッセージを発生する。音声15は「同調モート゛解除」に対応しており「同調モードを解除します」とのメッセージを発生する。音声16は「流量設定入力」に対応しており「酸素流量を設定しますとのメッセージを発生する。音声17は「流量設定0.25L」に対応しており「酸素流量は0.25Lです」とのメッセージを発生する。以下流量設定に応じたメッセージを発生する。そして、患者以外が操作するときに音声27において「テストモード」に対応して「ピー テストモードです」とのメッセージを発生する。
ここで、音声内容の音声発生周波数は約1KHzに設定されることで高齢者でも聞き取りやすいよう配慮がされている。以上のように特に内蔵バッテリ切れとなる最悪の事態発生を防止できるようにする音声ガイド付き酸素濃縮装置を実現できる。また音声ガイド手段のオン・オフを任意に設定する音声ガイドスイッチは遮蔽板32の外部コネクタの下方に設けられており、患者以外は通常は簡単にセットできないようにしている。
<操作及び実作動履歴の説明>
図25は、操作及び実作動履歴の記憶表である。図26(a)は、患者使用履歴の動作説明フローチャート、(b)はメンテナンス側履歴の動作説明フローチャートである。
図7で説明したように中央制御部200にはリアルタイムクロック207が接続されており、酸素濃縮装置1の使用開始日時および使用時間を計時するために電源オンで読み出し可能となるように設けられている。
一方、消去可能な記憶部205または外部記憶部210には、図25に図示したように酸素吸入時における操作状況を計時とともに記憶する操作履歴記憶部と、酸素濃縮装置の動作状況を計時とともに記憶する動作履歴記憶部とが割り付けられている。具体的には、操作履歴記憶部には、使用開始日時と使用停止日時と延べ動作時間と設定流量と使用電源が個別に記憶される。また、動作履歴記憶部には、実作動履歴であるコンプレッサ延べ動作時間と吸着筒のサイクル数と各弁の動作回数が記憶されている。
以上の構成において、図26(a)の動作説明フローチャートで患者の操作が開始されるとステップS40で電源スイッチオンが検出されるとステップS41に進み上記のリアルタイマー207をオンさせることで計時を行う。次に、ステップS42で各動作の読み出しが実行されて、ステップS43に進み各操作履歴を記憶して終了する。
また図26(b)のメンテナンス側操作の動作説明フローチャートにおいて、ステップS50で電源スイッチをオンし、ステップS51で4Pコネクタ133にノートパソコン等を接続又は、外部メモリ媒体を外部記憶部210をセットする。これに続きステップS52において各メモリから記憶内容を読み出すことでノートパソコンの表示部に読み出し内容を表示する。以上で動作履歴記憶部の記憶内容を見る状態にできるのでステップS53において、中央制御部200は故障自己診断を行う。故障が発見されない場合には、ステップS54に進み、例えばコンプレッサ105の積算運転時間が15000時間を越えたオーバーホールの時期であるか否かの判断を行いオーバーホールの時期であると判断されるとステップS56に進み上記の音声ガイドなどからオーバーホールを知らせることで終了する。
一方、ステップS54でコンプレッサ105の積算運転時間が所定時間、例えば15000時間(例えば、標準的な回転数を2000rpmとしている)を越えていないと判断されると、ステップS55に進みリアルタイムクロックの時刻修正をして終了する。以上がメンテナンス側操作の操作であるが、場合によっては4Pコネクタ133に通信回線を接続して遠隔地から上記の処理を行うようにしても良い。または外部メモリ媒体を郵送してもらいその記憶内容を読み出して故障診断、オーバーホールの時期の判断を行うようにしても良い。なお、この所定時間は以下のようにして演算される。
例えば、コンプレッサ105の標準的な回転数2000rpmで実動作する場合の係数(劣化係数)を1.0とし、回転数2000rpmを超えて実動作する場合の係数(劣化係数)を1.6とし、回転数2000rpm未満で実動作する場合の係数(劣化係数)を0.8とする。即ち、回転数2000rpmを超えて実動作する場合は、標準的な回転数2000rpmで実動作する場合の1.6倍の動作時間と見做している。また、回転数2000rpm未満で実動作する場合は、標準的な回転数2000rpmで実動作する場合の0.8倍の動作時間と見做している。これらの係数は、より細かな回転数ごと、例えば500回転数ごとに設定、記憶してもよい。また、標準的な回転数を所定幅にしておいてもよい。
以上のように操作履歴記憶部と動作履歴記憶部とに対して個別にアクセス可能とすることで故障診断、オーバーホールの時期の適切な判断を行うことができる。
<無線式または有線式の遠隔操作装置の説明>
次に、酸素濃縮装置を離れた場所からでも操作可能にすることは、特に就寝患者または重篤患者にとって必須な構成である。
そこで、図27(a)は、有線リモコン装置の外観斜視図、(b)は無線リモコン装置の外観斜視図に図示したリモコンを設けている。本図において、既に説明済みの構成または部品については同様の符号を附して説明を割愛すると、図27(a)においてリモコン装置600はチューブ15に固定される配線601と電源のオンオフスイッチ6および酸素供給量設定スイッチ8を備えて有線式である。
配線601は操作パネル5に固定されたコネクタ602を介して接続される。
以上の構成によれば、患者は鼻カニューラ14をセットした状態でリモコン装置600を操作することが可能となる。
また、図27(b)においてリモコン装置610は赤外線の無線式であって、赤外線発振器611と乾電池613とを内蔵しており、酸素濃縮装置1のハンドル4に固定された赤外線受信器612に対してスイッチ6、8の信号を送信するように構成されている。
以上のようなリモコン装置をオプションまたは付属品として準備することで患者は、離れた場所から、電源のオン/オフ、設定流量の変更、同調モードのオン/オフなどを行うことが出来、より便利に使用できるようになる。
<呼吸同調式の比例開度弁115の説明>
図28(a)は、圧力調整器(レギュレータ)112の配管図、(b)は比例開度弁115の模式図である。
先ず、図28(a)において、圧力調整器112の役割は、製品タンク111では、吸着筒内圧力と同期して圧力が変動する。このため、圧力調整器112は一定圧力となるよう機能する。ここでは所定圧、本実施例では約20kPaとなるよう調節がなされている。圧力調整器112はフィルタ機能を備えフィルタ112bを図示のように備えている。
また、フィルタ112bには100ミクロン(マイクロメータ)以下の孔径(平均孔径)のものが使用されることで圧力調整器112以降(下流側)の部品の吸気検知の際に使用されるデマンド弁に内蔵される微圧センサの保護も目的としている。
この圧力調整器112の下流側には図7のブロック図を参照して述べたように酸素濃度の検出を行う酸素濃度センサ114が配管24を介して接続されている。また、図28(b)に図示したように開度(絞り器)が可変となるように開閉駆動される比例開度弁115が接続されている。この比例開度弁115は、流量制御基板202に接続されており酸素流量設定手段で設定された酸素供給量に比例してその開度が変化されて開閉駆動されるように構成されている。具体的には、単純に開閉動作を行う電磁弁のバルブ開度を駆動電圧値に比例させて大きくすることで、酸素供給量をリニアーに制御できるように専用設計されたものである。
また、図7で述べたようにこの比例開度弁115の下流側に配管されることで酸素流量の検出を行う酸素流量センでサ116と、この酸素流量センサ116の下流側に配管されることで吸気状態に応じて酸素を送り出すデマンド弁117と、このデマンド弁117の下流側に配管される滅菌フィルタ119と、酸素吸入を行うときに使用される上記の鼻カニューラ14を接続した酸素吸入具が設けられている。
デマンド弁117には、更に呼吸時の負圧検出を行い使用者に酸素を送るタイミングを検出する微圧力センサーが接続されており流量制御基板118によって制御される。
以上の構成において、図29の呼吸同調における比例開度弁115の動作説明フローチャートにおいて、酸素濃縮装置1の電源オンの後にステップS60で設定流量の入力及び同調モードの設定がなされるとステップS61に進み設定流量に応じた開度で維持。ステップ62では、デマンド弁117に接続された微圧センサーで吸気呼気の負圧検出を行う。これに続き、ステップS63でデマンド弁を作動させ酸素を放出させる。これに続き、ステップS64で流量センサ116により実流量を検出。ステップ65ではステップ64での実流量と設定流量との比較を行い、比例弁115の開度を調整する。ステップ65で開度が修正されば場合には、ステップ61の開度にフィードバックされ常に設定流量と実流量との比較が行われる。
図30(a)は、固定弁による実供給量G1と積算流量G2と固定弁の開度G3との関係を示し、(b)は比例開度弁115による実供給量H1と積算流量H2と比例開度弁の開度H3との関係を比較のために図示した比較表である。
固定弁によれば開度はG3で実線と破線で図示したようにオン時間を可変することで、オン時間に応じて実線と破線で示した積算流量G2に制御されることになる。このため実供給酸素量G1は実線と破線で示したようになるのでディレイが生じることとなる。このため呼吸同調により酸素吸入を行うときに、リアルタイムでの精度アップを図ることが困難となる。
これに対して図30(b)に図示したように比例開度弁115によれば開度はH3で実線と破線と二点鎖線で図示した範囲で同じオン時間内で可変することができるので、開度に比例して実線と破線と二点鎖線とで示した範囲で積算流量H2を任意に制御できることとなる。このため実供給酸素量H1は実線と破線と二点鎖線で示したように実時間で制御可能となる。このため呼吸同調により酸素吸入を行うときに、リアルタイムでの精度アップを図ることができるようになる。
上記のバッテリはリチウム・イオン積層構造であって、出力電圧が21.0〜29.0Vの二次電池が含まれその重量は、1.5kg程度で、呼吸同調制御を行う場合において、88〜94%濃縮酸素流量が最大2L/分時に最大3時間の動作を可能にしている。このリチウム・イオン・バッテリ以外にも他の携帯用エネルギ源からの供給も受けることができる。例えば、充電式もしくは取替え式の燃料電池が使用可能である。このシステムは、二次電池として内蔵バッテリと外部バッテリから電力供給されるが、多数のバッテリによって駆動してもよい。
また、患者は常に追加の新鮮な充電済みの外部バッテリを持つことで、より長時間の外出等が可能となり、その際のQOLが大幅に向上する。また、適当な接続部を介して濃縮酸素の流れに湿気を加えるための加湿手段(不図示)を備えていてもよい。
上記の呼吸同調制御は、充電式バッテリで、酸素濃縮装置1全体が駆動されている場合に、濃縮された酸素をより効率的に患者が使用できるようにするために、呼吸に同調した制御を行うためのものである。通常の呼吸の間は、患者は、吸気吸息/呼気呼息サイクル時間の約1/3を吸気吸息に、残りの2/3を呼気呼息に当てている。呼気呼息の間に生成される濃縮酸素は患者にとっては不要のものである。この結果この余剰の濃縮酸素の流れを効率的に提供する追加のバッテリ電力は無駄にされているといえる。そこで、呼気呼息の間に生成された濃縮酸素を吸息時に供給することにより、仮に、吸気吸息/呼気呼息サイクルが1(吸気吸息):2(呼気呼息)であるならば、吸気吸息時に3倍の流量まで供給することが可能となる。このように、呼吸同調制御を行うことは装置の小型化、低消費電力化が可能となる利点がある。
尚、酸素ボンベから酸素吸入するように構成された酸素吸入装置にも適用可能となることは言うまでもない。
また、酸素濃縮装置1は、酸素センサ114を標準装備している。これに加えて、加速度センサ、GPS(全地球位置センサ)、ショックセンサ等の各種センサ、脈拍センサ、血圧センサ、血中酸素飽和度センサ等をオプションとして付属することも可能である。ここで酸素センサにはガルバニ電池式、超音波式、ジルコニア式等のセンサが使用可能であるが大きさの点や測定精度の点からジルコニア式酸素センサが好ましい。