以下に、本発明の好適な一実施形態について添付の図面を参照して述べる。ここで、本発明は様々な修正と変更が可能であり、その内の特定の事例が図面に図示されており、以下に詳細に記述されることになるが、これらに限定されず請求の範囲に規定された範囲で種々の構成が可能であり、特にAC電源のみとする室内設置式の酸素濃縮装置1にも適用可能であることは言うまでもない。
先ず、図1は、一実施形態に係る酸素濃縮装置1を前方左斜め上から見た外観斜視図である。また、図2は、図1に示した酸素濃縮装置1の背面図である。
図1と図2から分かるように、この酸素濃縮装置1(これ以降、装置1とも呼ぶ)は、設置場所を最少にするために上下方向に細長いスマートな一見して小型旅行カバン風の外観形状を備えている。このため一瞥しただけでは他人に酸素濃縮装置1であることが知られないように配慮している。また、特長としては従来の装置の約三分の一の重さの軽量化、省エネを追求したことで電気代は一日当たり約34円(電気代を1kwH当たり15.58円として)とする一方で、付属された充電式バッテリと家庭用電源で使用できることなどがある。また、充電式バッテリは停電時におけるバックアップ電源としても使用できるので安心して使える。さらに、充電式バッテリ使用モードでは酸素流量が毎分1.25L以上に設定された場合には、バッテリ節約のために吸気に同調して酸素を送り出す「同調モード」に自動的に切り替わる機能を備えている。
また、後述するように、図示の表面カバー2と裏面カバー3を業界では初めての射出成形樹脂部品とし、さらに吸着筒を含む他の構成部品についても極力軽量化することで総重量が約10kgの軽量化(AC電源使用でキャリアを設けない場合)とした。この結果、大人が片手で持ち運べる、所謂可搬型にするための取っ手部分となるとともに、装置1を持ち上げる力に十分に耐え得る強度を備えるハンドル4を上方に設けており、デザイン的な特徴を演出している。
また、この装置1の外形寸法は、全体が丸みを帯びており、具体的には幅Wが350mm×奥行きDが250mm×高さHが550mmである。このため、床面上の占有面積を極力小できることから上記の軽量化とともに小型化を図っている。また、装置1のデザイン上の特徴点としては、設置床面から装置1の前面を3次元的に覆うようにした前面カバー2を、図1に示すようにハンドル4の底面に連続するアクセントラインを左右に上下方向に凹状に一体形成し、さらにこれらのアクセントラインで挟まれる部分を淡い暖色系とし、この上方に同色系の操作パネル5を配置する一方で、裏面カバー3を含む残りの部分をベージュ乃至クリーム系の色としている。
以上のようなデザインおよび配色を施した所謂ツートンカラーの近代的なデザインとすることで、室内に装置1を設置したときに家具などの他の調度品との調和を図れるように配慮している。また、表面カバー2と裏面カバー3は、耐衝撃性を有する熱可塑性樹脂である例えばABS樹脂製とすることでデザイン的自由度を確保している。
図1において、操作パネル5は、ハンドル4の下方の開口部において裏面カバー3との接合面まで、例えば約10度の角度で斜め上に延設されており、その上に左から順に、樹脂製の大型ダイヤル式の電源スイッチ6と、樹脂製部品である酸素出口7と、樹脂製の大型ダイヤル式の酸素流用設定ダイヤル8が配置されている。この酸素出口7の上方には、酸素出口7に形成された段差部に対して気密状態に係合されるとともに、着脱自在に設けられる樹脂製のカプラ13が示されている。このカプラ13には鼻カニューラ14のチューブ15の開口部が連通するようにセットされる。
この操作パネル5は、標準身長(160〜170cm)の患者が起立状態で両手を下げた腰部分に略該当する高さ付近に設けられているので、立ったままの姿勢で装置1の運転操作を行なうことができる。このため従来の装置のようにいちいち座ったり覗き込む必要がなくなる。したがって、特に患者の腹部への負担は大きく軽減される。さらには、左利きの人であっても酸素出口7を中央にして左右対称位置に各ダイヤルが配置されているので、何ら違和感なく操作できることになる。
なお、鼻カニューラ14に接続されたチューブ15を引っかけるための不図示のフックを設けてもよい。鼻カニューラ14に接続されたチューブ15は、患者が生活する同じ部屋内で移動する範囲に略相当する全長を有しており、未使用時は、チューブ15を数回巻き付けた後に、鼻カニューラ14のチューブ15をフックに引っかける。
また、図中の二点鎖線で示した底面カバー9も耐衝撃性の熱可塑性樹脂である例えばABS樹脂製であり、軽量化を図っている。この底面カバー9に対して外出の移動時に使用する着脱が容易なキャリア10を固定ネジ12で固定する。このキャリア10は、図示のように四隅に樹脂製の車輪11を設けたタイプが使用されるとともに、このキャリア10のベースは軽金属の強化アルミ板製であり軽量化するとともに、4辺の縁部を全て曲げ加工して強度を確保している。
次に、図2を参照して、裏面カバー3は、合計で8本の複数の固定ネジ16により上記の表面カバー2に対して固定される。この裏面カバー3も上記の前面カバー2と同様に耐衝撃性の熱可塑性樹脂の例えばABS樹脂製である。この裏面カバー3に一体形成される半分のハンドル4の下方に手が入るようにした開口部の下方には、内部に外気導入フィルタ20を交換自在に収容したフィルタ交換用蓋17が着脱自在に設けられている。
この裏面カバー3の下方の左右部分には後述する排気を行う排気口3a、3bが形成されている。また、各排気口3a、3bの間の部分は、上方に切り欠かれた切り欠き部となっており、バッテリコネクタ131、ブレーカ18、ACコネクタ130を図示のようにこの切り欠き部から夫々露出させている。さらに、図示のACケーブル19はACコネクタ130に挿入されて装置1へのAC(交流100V)電力の供給を行う一方で、不図示の充電式バッテリをバッテリコネクタ131にセットすることで、外出時、室内(屋内)等での移動時などのバッテリ駆動を可能にしている。
次に、図3(a)は、図1に示した酸素濃縮装置1に使用される充電式バッテリの外観斜視図、図3(b)は、充電式バッテリの専用充電器の外観斜視図、図3(c)は専用キャリングカートの外観斜視図、図3(d)は、鼻カニューラの延長チューブセットの外観斜視図である。
先ず、図3(a)において、充電式バッテリ127は例えばリチウムイオン電池などの繰り返し充電可能な二次電池であり、上記のバッテリコネクタ131にセットされるコネクタ21を介して電力供給する。また、その表面には押圧されることでバッテリ残量を表示する残量確認ボタン22と、残量確認のためにこの残量確認ボタン22が押圧されると残量100%で5個の表示部が点灯し、残量20%で1個の表示部が点灯する5段階の表示部を備えており、例えば液晶やLED表示するための残量確認モニタ23を備えている。このように構成された充電式バッテリ127を使用前に充電残量を必ず確認することで、外出先でバッテリ切れが起こる最悪の事態にならないようにできる。
図3(b)に示した充電式バッテリの専用充電器24には、AC電源に接続されるACケーブル27とコネクタ21に接続されるコネクタ25とが接続されており、充電器本体26に内蔵された電源装置により充電を行うようにしている。
図3(c)に示したキャリングカート28は、上記のキャリア10に代えて充電式バッテリ127を使用して外出するときに使用されるものであり、本体は軽量化のために耐衝撃性を有した熱可塑性樹脂である例えばポリプロピレン樹脂製であり、軽量化を図っている。また、このキャリングカート28の本体には図示のように充電式バッテリ127をすっぽり収容できる凹部29とハンドルとが形成されている。そして図示のように四隅に樹脂製の車輪11を設けている。このように構成されるキャリングカート28の上に装置1をセットすることで外出時においてバッテリ駆動での使用が可能になる。
そして、図3(d)において、鼻カニューラ14のチューブ15にはカプラ13を介して延長チューブ31を接続するために樹脂製の中継カプラ30が接続されている。このように延長チューブ31を接続することで最長約15mの長さまで延長できる。この結果、患者にとって使い易くなり、患者の移動範囲が大きくでき、さらなるQOLの改善ができることとなる。
続いて、図4の酸素濃縮装置1の操作パネル5の実体図において、既に説明済みの構成部品については同様の符号を附して説明を割愛すると、電源スイッチ6は図示のオフ位置と約90度時計周りに回転したオン位置との間で操作される。また、この電源スイッチ6は殆どの部分が操作パネル5の操作面から奥側(図面の裏面側)に引っ込むように設けられている。
このため、例えば患者がつまづくなどして操作パネル5に対して激しくぶつかった場合でも、怪我などをしないように安全上の配慮がされている。この電源スイッチ6のオン位置に相当する位置には緑と赤に点灯する例えば発光LEDを内蔵した運転状態ランプ128aが設けられている。また、この運転状態ランプ128aの上にはバッテリ残量モニタ128dが設けられている。
また、中央の酸素出口7についても図示のように殆どの囲い部分が操作パネル5の操作面から奥側(図面の裏面側)に引っ込むように設けられている。この酸素出口7の上には「点検」の文字を印刷した警報表示部128cが設けられている。この警報表示部128cの下方には緑と赤に点灯する例えば発光LEDを内蔵した酸素濃度ランプ128bが設けられている。
そして、酸素流量設定ダイヤル8についても図示のように殆どの部分が操作パネル5の操作面から奥側(図面の裏面側)に、すり鉢形状の凹部内に引っ込むように設けられている。この酸素流量設定ダイヤル8は、毎分当たり0.25L(リットル)から2Lまで0.25L段階で示した文字位置に回転することで酸素流量の設定が行われる。
以上のように操作パネル5に配置された各操作部は使用上の安全性および高齢者の使用を前提として必要最小限度の操作を行うようにしている。
図5(a)は、図4の操作パネル5のバッテリ残量表示部128dの動作説明図、図5(b)は、図4の操作パネル5の警報表示部128cの動作説明図、また図5(c)は、酸素濃度ランプ128bの動作説明図である。
先ず、図5(a)において、バッテリ残量表示部128dは、電源オンで約2秒間全点灯する。その後に、充電式バッテリ127の残量が100%であると、左側に設けられた発光LEDを内蔵したランプが緑色に点灯(連続して光る)するとともに、5段階の液晶表示部の全てが図示のように点灯表示される。また、バッテリ残量が20%減るごとに、右側から消灯して点灯数がすくなくなり、残り1つになると内蔵のブザーで警告する。
そして、充電式バッテリ127の残量が10%以下になると左側に設けられた発光LEDを内蔵したランプが赤色に点滅(間欠的に光る)するとともに、5分おきに内蔵のブザーで警告する。このようにして、特に外出時におけるバッテリ駆動モードでの使用上の安全性を確保している。
次に、図5(b)において、警報表示部128cは「点検」の文字が印刷されており、酸素濃度が低下したときに内蔵のランプが点灯して知らせるようにしている。また装置側の異常発生時にはブザーも鳴り、知らせるようにしている。また、停電で装置が停止したときには、点滅して知らせる一方で、ブザーを鳴らすことで特に視覚障害者に知らせるようにしている。
そして、図5(c)において、酸素濃度ランプ128bは、酸素が正常に流れているときには内蔵のLEDが緑色に点灯する。また、酸素が出ていないときあるいは酸素濃度が低下したときには消灯する。そして、バッテリ駆動モードで、酸素流量が1.25L以上のときに一定時間、呼吸状態を検出できなかったときに赤色に点灯し、ブザーを鳴らすようにしている。
電源スイッチ6をオンすると、ブザーが鳴り、全てのランプが2秒間緑色に点灯する。そして、バッテリ駆動で使用するときには、その後に5段階の表示部において残量に応じて点灯表示される。患者は医師の処方にしたがって酸素流量設定ダイヤル8を所定流量に設定すると酸素供給が開始される。
停止時には、電源スイッチ6をオフすると、酸素ランプ128bが消灯し、しばらくの間、運転ランプ128aが点滅した後に自動的に終了する。
患者が毎日行う作業として、裏面カバー3に設けられた外気導入フィルタ20に付着したゴミ、埃を掃除機で取り除くことがある。この作業を簡単にできるようにするために外気導入フィルタ20を容易に着脱できるように構成されている。
図6(a)は、酸素濃縮装置1の裏面カバー3から外気導入フィルタ20を着脱自在にするための様子を示した外観斜視図、(b)は、外気導入フィルタ20がさらに交換用蓋17から取り外される様子を示した外観斜視図、また(c)は、図6(a)のX-X線矢視断面図である。
先ず、図6(a)において、裏面カバー3には外気導入用の縦方向の開口3K1を穿設した開口部3kが設けられており、この開口部3kに対して交換用蓋17が図示のように着脱可能に設けられている。また、この開口部3kは交換用蓋17の全体を埋没する容積を有しており、上方において指先が入る凹部3cを形成している。
次に、図6(b)において、交換用蓋17は図示のように横方向の開口部17bと4隅の起立部17aが設けられており、起立部17aで囲まれる部分の中に連続気泡のスポンジ製の外気導入フィルタ20を、それ自体の有する弾性力により不動状態で収めるようにしている。この起立部17aは、開口部3kへの取付壁部を兼ねている。このため、図示の状態で外気導入フィルタ20を取り出し、水洗により洗浄するか、新品に交換することで、交換用蓋17にセットするようにして元に戻せる。
図6(c)において、交換用蓋17が図示のように開口部3kにセットされると、本体の遮蔽板32の端面32aが外気導入用の縦方向の開口3K1の殆どの部分を覆い隠し、わずかに上方部分を残す状態になる。この結果、外気は矢印F方向に流れることになるが、このように遮蔽板32で内部から覆うことで後述する騒音が外部に漏れることを効果的に防止している。すなわち、装置1の外部に対する開口部分としては、この開口3K1と上記の排気口3a、3bのみとするとともに、開口面積は後述する原料空気の流量を確保するために必要となる最少限度として、内部から発生する音が外部に漏洩しないようにして38デシベルを可能にしている。周囲を覆い且つ出口部分を少なくして防音と防水対策もできるようにしている。
また、装置1は通常部屋の壁面から狭い間隙分を離間して設置されるので、外気導入と排気を裏面カバー3側から行うことで、外気導入と排気音が最も低くなる個所からの排気を可能にしている。またブレーカー18は、万が一の過剰電流発生時における対処を可能にしている。
一方、上記の裏面カバー3の凹部3cは図示のように指先が入るようにして交換用蓋17を外側に取り出せるようにしている。以上が患者が直に使用する構成部分である、以下に内部構成について図7から図19を参照して述べる。
図7は、装置1のブロック図を兼ねた配管図である。本図において、既に説明済みの構成部品については同様の符号を附して説明を割愛するとともに、二重線は空気、酸素、窒素ガスの流路を示しており概ね配管33として示されている。また、細い実線は電源供給または電気信号の配線を示している。
ここで、以下の説明ではコンプレッサとして圧縮手段と減圧手段を一体化構成したものを用いる場合について述べるが、これに限定されず圧縮手段と減圧手段を個別に構成した場合も可能であることは言うまでもない。
図7において、上記のフィルター交換用蓋体17に内蔵された外気導入用フィルタ20を通過して装置1の内部に空気が導入される。この空気は、一対の冷却手段であるブロア104による送風が矢印方向に行われることで、原料空気と冷却空気に分かれる。各ブロア104、104は温度が上昇する圧縮空気を冷却するために熱伝導率が高く、軽重量の金属材である例えばアルミなどの管材を蛇行させて配置した冷却配管37を覆うようにした冷却室36の内部に固定される。この冷却室36には送風用の第2開口部が穿設されており、ブロア104、104からの送風を冷却室36内に導入する。この冷却室36は軽量化と高熱伝達のために強化アルミ板製と、アルミ合金、チタン合金などの、他の材料も可能である。
この冷却室36は、送風のための第1開口部をその外壁部に穿設し、かつ外壁部に沿うように冷却配管37を配設した防音室35に図示のように固定される。この防音室についても、軽量化と高熱伝達のために強化アルミ板製がよく、アルミ合金、チタン合金などの他の材料のも可能となる。この防音室35の内部には原料空気を圧縮して圧縮空気を発生する圧縮手段105aと、減圧手段105bとを一体構成したコンプレッサ105が内蔵される。この防音室35には、冷却室36の第2開口部に対向した位置において第1開口部が夫々穿設されており、ブロア104、104からの送風を内部に導入してコンプレッサ105の冷却を行う。また、冷却後に温度上昇した排気は下方の開口部から矢印方向に外部に送りだされて上記の排気口に向かう。この途中で迷路状の消音室を通過してさらに消音される。
一方、冷却室36からは生成酸素の原料空気を送るために、二次濾過を行う吸気フィルタ101に向かう配管33が接続されている。この吸気フィルタ101の下流側には大容量の吸気用バッファタンク102が配管されており、この吸気用バッファタンク102から上記の圧縮手段105aへの配管がされている。この吸気用バッファタンク102は、冷却室36から取り入れられた原料空気を一時的に貯蔵し、圧縮手段105aから発生する作動音の消音を行うためのものである。この吸気フィルタ102の内部は、約200cc程度の体積で、重量は120g程度である。
次に、濾過された原料空気は、コンプレッサ105の圧縮手段105aで加圧されて圧縮空気となるがこのとき温度上昇するので、下流側に配管された熱交換器となる上記の冷却配管37に送り出される。この冷却配管37は上記のように放熱効果に優れた軽量の金属パイプ(例えば、外径6mm内径4mmのアルミ管)を螺旋状、渦巻き型のコイル状にすることで表面積を増やしてもよい。また、パイプは丸パイプに限らす矩形パイプでもよい。この冷却配管37はアルミ製の防音室35の外壁部に密着固定されており、一対のブロア104、104からの直の送風と外壁部が送風で冷却されることで熱伝導で冷やされる。このように圧縮空気を冷却することで高温では機能低下する吸着剤であるゼオライトが窒素の吸着により酸素を十分に濃縮できるようにしている。
この冷却配管37により十分に冷やされた後の圧縮空気は、配管33を介して第1吸着筒108aと第2吸着筒108bに対して、交互に圧縮空気を供給するための3方向切換弁107a、107bに送られる。これらの3方向切換弁107a、107bには、さらに第1吸着筒108aと第2吸着筒108bのパージ(浄化)を行うために減圧手段105bに対する配管33と開放弁118への配管が行われており、吸着剤を減圧状態にすることでパージを行うとともに吸着剤から放出される窒素と水分を排気するようにしている。また、減圧手段105aには排気用の消音器120が配管されている。
第1吸着筒108aと第2吸着筒108b内に貯蔵されているゼオライトは、SiO2/Al2O3比が2.0〜3.0であるX型ゼオライトであり、かつこのAl2O3の四面体単位の少なくとも88%以上をリチウムカチオンと結合させたものを用いることにより、単位重量当たりの窒素の吸着量を増やしている。特に、1mm未満の顆粒測定値を有し、四面体単位の少なくとも88%以上をリチウムカチオンと融合させたものが好ましい。
このようなゼオライトを使用することで、同じ酸素を生成するために必要となる原料空気の使用量を削減できるようになる結果、圧縮空気を発生するためのコンプレッサ105を小型のタイプとすることができ、低騒音化を一層図ることができる。ここで、従前から使用されている通常のゼオライトを使用しても良く、この場合でも後述する消音機能により十分な低騒音化を図ることができる。
一方、第1吸着筒108aと第2吸着筒108bの図示の上方の出口側には逆止弁130が夫々図示のように接続されている。また、各逆止弁130、130の下流側は合流するように配管33が成されており、生成した酸素を貯蔵するための製品タンク111が図示のように配管されている。さらに、第1吸着筒108aと第2吸着筒108bの各出口側との間には均等圧弁119が配管されており、各吸着筒の二次浄化を行うようにしている。
製品タンク111の下流側には、出口側の酸素の圧力を一定に自動調整する圧力調整器112が配管されている。この圧力調整器112の下流側には、酸素濃度センサ114が接続されており、酸素濃度の検出を行うようにしいる。この下流側には上記の酸素流量設定ダイヤル8に連動する流量調整器115が接続されており、その下流側の呼吸同調器となるデマンド弁116を経て、装置1の酸素出口7に配管されている。
以上の構成により鼻カニューレ(不図示)を経て患者に最大流量2L/分で約88〜94%程度に濃縮された酸素が供給されることとなる。
また、AC電源に接続するAC電源コネクタ130と、ブレーカー18とスイッチング電源部125と介して商用電源により制御手段の制御基板124への通電が行われる。また外出時等においては、バッテリ(充電式バッテリ)127によって行われるためにコネクタ131を介して制御基板124への通電が行われる。
一方、酸素濃度センサ114と流量調整器115と、3方向切換弁107a、107bと均等圧弁119と開放弁118とは制御基板124に接続されている。
また、コンプレッサ105は、総重量が約1kgであり、制御基板124に接続されるモータ制御部123と、これに接続される可変速度制御器123aによりモータの駆動制御が行われる。このコンプレッサ105は、各速度で運転可能であり、必要な真空/圧力レベルと流量を提供することができ、僅かな騒音と振動しか出さず、僅かな熱しか発生せず、小型軽量であり、そして僅かな電力を消費するものであることが好ましい。
また、充電式バッテリ127や他の商用電源等の電源に対してコンプレッサ105に必要とされる消費電力を軽減するために、可変速度制御手段である可変速度制御器123aが接続されている。モータ制御回路123に接続される可変速度制御器123aを備えることにより、患者の活動レベル、環境条件に基づいてコンプレッサ105の速度を自在に変化させることができる。例えば、可変速度制御器123aは、患者が座ったり、寝たり、低い場所にいる時等、患者の酸素要求が比較的低いことが判断されると、コンプレッサ105の駆動回転速度を落とし、患者が立ったり、活動的であったり、高地にいるときなど、患者の酸素要求が比較的高く、高まったと判断される時には速度を上げることができる。
これによって装置1全体の消費電力が低減され、充電式バッテリ127での駆動時の充電式バッテリ127の寿命を延ばし、充電式バッテリ127の重量と大きさを軽減し、コンプレッサ105の摩耗度を低めて寿命を延ばし信頼性が向上するようにできる。
さらに、装置1は、AC駆動モードとバッテリ駆動モードとを備えており、AC駆動モード時における酸素生成量をバッテリ駆動モード時における酸素生成量の約2倍の2Lになるように自動的に切替えるとともに、ブロアをAC駆動モード時において高速に、またバッテリ駆動モード時において低速に回転駆動する制御を行うようにしている。
このコンプレッサ105は、上記のように圧縮と減圧の両方の機能を備えるものであり、取り出される酸素流量に応じて回転数が自動制御されるが、具体的には、回転速度が500rpmから3000rpmの間で制御され、通常の至適速度である1700rpm程度で回転するときの操作寿命を15000時間と長くできるようにしている。また、このコンプレッサ105は、空気を100kPa、好ましくは75kPa程度に圧縮する。
このコンプレッサ105を取り巻く操作温度は、好ましくは0℃〜40℃であり、コンプレッサ105用の駆動電圧は、好ましくは直流12Vまたは24Vであり(自動車などのアダプタから得られる電源)、電力使用量は、約45〜80W程度である。
ここで、開放弁118の役割は、コンプレッサ105の減圧手段側の真空度を調整するものである。すなわち、装置1に採用されるコンプレッサ105は圧縮手段と減圧手段の両機能を備えているので、小型軽量化できるという利点がある。しかしながら、このように一体化されたコンプレッサは、圧縮手段の加圧専用コンプレッサや減圧手段の真空専用コンプレッサに対して振動が大きいという問題がある。特に、圧縮工程において均圧工程移行時に特に振動が激しくなる。この原因は、均圧工程時には3方向切換弁107a、107bの流路は圧縮手段側と一方の吸着筒側が連通され、減圧手段側は遮断された状態となるために、3方向切換弁と減圧手段の間は極端な高真空状態となることによる。この高真空状態を解消するために、外気と連通する開放弁118を設けておき均圧工程と同期して、制御基板124からの指示で開放弁118を開状態に動作させることで、流路内に外気が入り込むようにして、流路内を大気圧により近い状態とする。この作用によりコンプレッサ105は無負荷状態に近い状態となるため、振動の発生を防止できまた、騒音の低減や低電力化にも寄与するようにできる。
一方、このコンプレッサ105の冷却と、装置1内部の冷却を行う上記のブロア104、104は、消費電力約2.7W程度である。このブロアに代えて軸流ファンでもよい。ここで、装置1の最大騒音圧力レベルは、最大の回転数のときに35dBA以下であり、濃縮酸素流量1L/分以下の場合には33dBAである。
3方向切換弁107a、107bには、一般的に直動式と呼ばれる弁の動作を通電時の磁力で行う電磁弁が使用可能である。この種の電磁弁は電気の力だけで主弁を動作させるため消費電力が高いという問題点があった。この装置1では3方向切換弁107a、107bにパイロット式3方向切換弁を使用することもできる。この弁によれば、僅かな消費電力とコンプレッサからの空気圧を有効利用して動作させることが出来るために従来の8Wから0.5Wまで低減される結果、大幅に電力が低減されることになる。動作説明は図16により後述する。
以上の構成により装置1の電源スイッチ6がオンされる事で、所定電圧の供給が開始され、制御基板124でセルフチェックが行われる。これに続きコンプレッサ105と、ブロア104、104と、3方向切換弁107への通電が行われることで、外部空気の導入が行われてそれに伴う空気導入音が連続的に発生する。同時にコンプレッサ105の振動やその振動に伴う騒音、吸着筒に及ぶ配管からの透過音が連続して発生する。
これに続き、導入された空気は一方の3方向切換弁107aを経て第1吸着筒108aに導入され、生成酸素は逆止弁130を通り、製品タンク47に流れ、徐々に圧力が上昇する。所定の圧力になると均等圧弁119が所定時間 、「開状態」となる。以上で第1吸着筒108aで濃縮された一部の酸素を使用して、第2吸着筒108bの、洗浄及び次の加圧に備えての準備が行われる。又、均等圧弁119の作動時には作動音を伴うので、防音スポンジで取り囲まれている。
次に、第1吸着筒108aの脱着工程(窒素や水分の排出)と第2吸着筒108bへの圧縮空気の取入れを行うべく3方切換弁107bが作動する。これに前後して開放弁118が動作され第1吸着筒108a内に残る窒素ガスの放出が行われる。この排気音は一時的ではあるが最も大きい。第2吸着筒108bに流れ込んだ圧縮空気で生成された生成酸素は逆止弁130を介して、製品タンク111に流れる。その後所定の圧力となると均等圧弁119が所定時間「 開」となる。この後に、第2吸着筒108aの、洗浄及び次の加圧に備えての準備が行われる。
以上のように均等圧弁119が開かれることで、第2の吸着筒体108bで生成された酸素が第1の吸着筒体108aの出口部に送り込まれるので、内蔵のゼオライトの洗浄化が行なわれることになる。以上の切換動作を所定タイミングで繰り返し行うことで、連続した酸素の安定供給を可能としている。
尚、流量検出手段は、上記のように使用する酸素流量を決定するための流量設定器の設定値を制御基板が読み取るものであるが、さらに、チューブ折れ等の外乱要因により流量低下した場合に備えて、実流量を測定しても良い。以上説明したように、任意に設定される酸素流量の大小の如何に拘わらず、酸素濃度を安定的に保持できる。
以上のように、圧縮空気の供給音と、外部空気の導入音と、原料空気を作るための濾過空気の導入音と、3方向切換弁の作動音と排気音が周期的に発生するが、このように発生する騒音低減のために、従来装置では外部空気導入通路を長く設定し、かつ多くの屈折回数を与え、さらに吸音材を設けた遮音箱内に収容していた。このために静かな酸素濃縮装置は大型化するとされていた。また、ゼオライトを充填した吸着筒は、温度上昇すると窒素吸着量が減少するために温度の影響を受け難い場所において離間して配置されるのが一般的であった。
このため、配管経路が長くなることによる圧力損失も無視できない場合があったがこれらの問題は、図7に示した構成と後述する機械的構成により全て解決された。
図8は、酸素濃縮装置1の内部構成を示すために背面側から見た立体分解図である。本図において、既に説明済みの構成部品については同様の符号を附して説明を割愛すると、下方より、図1で二点鎖線で示した樹脂製の底面カバー9が、同じく樹脂製のベース体40の底面に対して複数の固定ネジ16を用いて固定される。
このベース体40には、上記の各コネクタ131、130とブレーカー18が内蔵されている。また裏面カバー3の各排気口3a、3bに対向して排気口40b、40cが穿設されており、これらの排気口が内部の迷路状の消音室に連通している。このベース体40の上面は図示のように平らに形成されるとともに、防音室35を左右面と裏面の3方から固定ネジ16で固定するための孔部を穿設した起立部40fを一体成形している。また、排気用開口部40aをさらに穿設している。
防音室35は、コンプレッサ105を防音状態で収容する密閉箱であり、手前側に示した防音室蓋41を複数の固定ネジ16で固定するようにしている。このために防音室35には図示のように曲げ加工されるとともにインサートナットを植設した取付部が一体的に設けられている。この防音室内部には防音材が敷設される。また外周面には制振部材であって、合成ゴムと特殊樹脂材料を混合した素材をシート状のものが敷設されており、アルミの薄板製である防音室35自体が共鳴などで振動することを防止している。
防音室35の下面には開口部35dが上記のベース体40の排気用開口部40aに対向して穿設される。また、防音室35の上面には上記の冷却室36の第2開口部36a、36bに対向した位置に第1開口部35a、35bが穿設されている。さらにこの防音室35には孔部35c他が穿設されており、冷却配管37を図示のように位置させ、かつ配管33を外部に出るようにしている。
冷却室36は上記のように、軽量で熱伝導性のよい金属等の材料、例えば、アルミ製であり取付部36fが4方から曲げ加工されており、固定ネジ16を用いて防音室35の外壁部に固定される。この冷却室36の上には上記の各第2開口部36a、36bに向けて送風を行うように、ブロア104の送風口104aが下方に向くようにしてブラケット38、38で固定されている。
この防音室35の左側側面には二点鎖線で示した筒状の吸着筒108a、108bが、吸気用バッファタンク102と並べて配置されている。また、二点鎖線図示の製品タンク111は図示のように長手方向に横たえて冷却室36の上方に配置される。
上記の遮蔽板32も軽量化のために軽量である金属板の例えば強化アルミ板製であり、図示のように冷却室36を跨ぐようにした部材を一体的に設けており、防音室35の上方の外壁に対して固定ネジ16を用いて固定される。この部材の上に制御基板124他が固定されてブロア104、104の送風時の気体流れで冷却を可能としている。なお、この遮蔽板32は上記のように一部が外部に出るので黒色に着色される。
図9は、酸素濃縮装置1の底面カバー9とベース体40を示すために底面側から見た立体分解図である。図示のようにベース体40には上記の開口部40aに連通する第1消音室42と、通路44を介してこの第1消音室42に連通する第2消音45と、上記の排気口40cに連通する第3消音室46と、排気口40bに連通する第4消音室47とが形成されている。これらの各消音室は図示のように迷路状になっているので、これらを通過する過程で、消音器120を介して排気される排気音が減衰される。
この消音器120は、軽金属であるアルミ製丸パイプ(外径Φ6mm、内径Φ4mm)で構成され、コンプレッサ105と接続されない側の端部は閉塞され、パイプ側面には長手方向にΦ0.3〜1.0mm程度の小孔が複数個、例えば2〜6個穿設されている。これ以上増やすと騒音の増加になり小さくするとコンプレッサの排気効率が下がり好ましくない。
図10は、図8で示した構成を組立後の酸素濃縮装置1の内部構成を示すために反対側から見た外観斜視図である。本図において、既に説明済みの構成部品については同様の符号を附して説明を割愛すると、図示のようにベース体40上において、隙間なく全ての部品が固定されている。各吸着筒108a、108bと吸気用バッファタンク102については複数のワンタッチ固定ベルト49を用いて固定されている。また、酸素センサ114と流量調整器115は図示のように遮蔽部材32の部材に固定されている。このよう略全ての構成部品をベース体40上に固定することで4方向からアクセス可能となるので組立作業性が大幅に向上された。このために自動組立ライン化も可能となる。また、省スペース化にも大きく寄与できた。このように省スペース化するためには上記の表面カバー2と裏面カバー3はベース体40から放射状に張り出さないようにする必要がある。
図11は、酸素濃縮装置1の組立後の内部構成に対して表裏カバー2、3を固定する工程を示す外観斜視図である。本図において、既に説明済みの構成部品については同様の符号を附して説明を割愛すると、防音室35の側面には上記のワンタッチ固定ベルト49を通過させて固定する樹脂製のブロック49kが固定されている。このようにしてすると、図示のようにベース体40上において、隙間なく全ての部品が固定されている。各吸着筒108a、108bと吸気用バッファタンク102をワンタッチ固定ベルト49で不動状態に固定できるようにしている。
一方、ベース体40の外周面には一方の鍔部48が形成されている。また、表面カバー2の裏面には独立気泡のウレタンスポンジ製の吸音材51が敷設されている。また、上記の操作パネルに配置される各ランプ類と表示部を実装した実装基板128が図示のように固定されている。また、この表面カバー2の下方にはベース体40の外周面に形成された一方の鍔部48を上下方向から挟むようにした他方の鍔部50、50が一体成形されている。さらにこの表面カバー2の突合せ面2pは略平面に沿うように成形されるとともに、固定ネジ16の雌ネジ部となるインサートナットをインサート成形した形状部2hが複数箇所に成形されている。
また、裏面カバー3の突合せ面3pは略平面に沿うように成形されるとともに、固定ネジ16の挿通孔となる形状部3hが複数箇所に成形されている。
図12は、表裏面カバー2、3を固定する様子を示す断面図である。本図に示すように表裏面カバー2、3をベース体40に固定するために各カバー2、3を突合せ面2p、3pにおいて当接させると、ベース体40の一方の鍔部48が他方の鍔部50、50の間に入るようになる。この後に固定ネジ16で固定することで完成する。
以上のように構成することで省スペース化を実現できる。これらの表面カバー2、裏面カバー3と上記の底面カバー9、ベース40は、ABS樹脂材料を用いて射出成形された軽量部品であって、樹脂部品の総重量は2.6kgであり、装置1の全重量10kgの約26%となった。
ここで、表面カバー2と裏面カバー3とから形成される同じ表面積を有するカバーを、従来からの木製筐体であって加工が容易であり、かつ寸法に狂いの生じにくく軽量で防音性能が優れているMDF(Medium Density Fiberboard)木製とした場合には重量が約4.6kgとなる。また、木製筐体は板厚が1cm前後の平らな板状であるので図示のような曲面状にするためには、これらの板部材を重ねるとともに、曲面状に加工することになるので約8kgとなってしまう。このために、目標重量の約10kgは到底達成できなくなる。無論、軽量にする必要の無い場合には上記のMDFでカバーを作ることもできることになる。
次に、図13はコンプレッサ105を防音状態で収納する防音室35の要部を破断して示した外観斜視図である。先ず、防音室35のうち側には制振材67と独立気泡スポンジ68の防音材が敷設されている。また上記のようにコンプレッサ105は圧縮手段105aと減圧手段105bを一体形成しており、アウターロータ式の電動モータ55の出力軸56に固定されるクランク軸周りにコンロッド57、58に連結されるピストンであって、クランク運動する1対の水平対向ピストンを備えている。一方の破線図示のピストン60により圧縮手段が構成され、他方のピストン59により減圧手段を構成するために各ピストンの圧縮面には不図示の一方向弁が夫々搭載されている。
また、この1対の水平対向ピストンの往復移動方向は防音室35の底面に平行な水平方向であるが、負荷が大きくなると矢印V、V方向に大きく振動する。このためにコンプレッサを防音室35内で略垂直方向の防振状態にするコンプレッサ固定台61上にコンプレッサ105を固定して振動を効率的に吸収している。すなわち、4つのコイルバネ62を四隅に固定し、ラバーブッシュ63をさらに内蔵して図示のように底面に固定している。また、コンプレッサ固定台61は送風が通過しかつ軽量にするために大きな開口部61aが穿設されている。これでは強度的に振動に耐えられないので起立部61fを4辺に曲げ加工するとともに鉄製補強部材70を固定している。
以上の構成によりコンプレッサの防振と防音が効果的に計れるとともにブロアによるコンプレッサ105の冷却のための送風が邪魔されず円滑に行えることとなる。
図14は、外気導入空気と、原料空気および排気空気の流れる様子を示した外観斜視図、図15は、図7のブロック図の拡大図であり外気導入空気と、原料空気および排気空気の流れる様子を示した図である。
両図を参照して、既に説明済みの構成部品については同様の符号を附して説明を割愛すると、外気導入フィルタ20で一次濾過された空気は矢印F1方向に内部に導入される。導入された空気は矢印F2、F3方向に分岐するようにブロア104により吸い込まれ、冷却室36の第2開口部36a、36bと防音室35の第1開口部35a、35bを介して矢印F4、F5方向に流入する。これによりコンプレッサ105を冷やす。コンプレッサ105は発熱が大きく冷却しないと最高75度まで温度上昇するので効率的に冷却する必要がある。このため防音室の内部に収容し、圧縮後の高熱酸素を冷却する蛇行配管を密着させ、さらに冷却室を設けこの上にブロアを設けて、2個のブロアからの送風で蛇行配管とコンプレッサ105の双方を冷やすことで冷却効率をアップしている。
また、冷却室36に導入された空気の一部は原料空気として配管33を矢印F6方向に通り二次濾過を行うフィルタ101とバッファタンク102を矢印F7方向に通過して配管33内を矢印F8方向に通過して圧縮手段105aに向かう。このとき、吸気音は完全に遮断されることになる。また、排気は開口部35dを矢印F9方向に出てから各消音室で充分に消音された後に排気口から矢印F10方向に出される。
以上のように実質的に酸素を生成する上で必要となる主構成部品を全て防音する事で、連続する騒音源となるコンプレッサ105の音は、唯一の開口部となる空気の排出口から外部に出されるが、このとき各消音室を通過する際に、音エネルギーは、反射、吸音を繰り返して減衰される結果、耳障りな音は低減されることとなる。さらに、防音室内部は、内面に吸音材を貼ることにより、騒音源は最小限に抑えられ、更には、従来のような排出通路と酸素の生成に必要な部品とが区分けされている装置に比べて、効率良くスペース使うことが出来るため、装置の小型化とメンテナンス性を大幅に向上できることになる。
尚、以上は本発明の医療用の装置1を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、空気中から窒素を吸着して、酸素を生成するための触媒担体として、SiO2/Al2O3比が2.0〜3.0であるX型ゼオライトであり、かつ前記Al2O3の四面体単位の少なくとも88%以上をリチウムカチオンと結合させることにより、吸着筒は1本にすることもできる。さらに、カバーのデザインは上記構成に限定にされないことは言うまでもない。
図16の3方向切換弁の動作説明のための配管図において、3方向主弁(主電磁弁)107a1,107b1は、パイロット弁(パイロット電磁弁)107a2,107b2を備えており、これらのパイロット弁107a2,107b2は、コンプレッサ105からのわずかな圧力により、主弁107a1,107b1を開閉動作するため、直動式に比べ低消費電力化が図られるように構成されている。また逆止弁107a3,107b3が図示のように接続されている。
この制御シーケンスは、上述の制御方法とは異なり、図17に示すように、まずコンプレッサ105を所定秒(図3では0.5秒)作動させ(コンプレッサ起動工程)、次に3方向切換弁107のパイロット弁107a2を作動(開動作)させるように制御する(動作状態は矢印で示す)。このように制御をすることにより、パイロット弁は空気圧を利用できる状態となり、わずかな電力で主弁を作動させることが可能となる。この主弁が開となると圧縮空気は、第1吸着筒108aに流れ込み、ガス吸着を行われる吸着工程となる。均圧弁119を所定秒開動作させると、開動作状態の前半は、第2吸着筒108bの洗浄工程となる。第2吸着筒108bの洗浄工程が終了すると、3方向切換弁107の主弁107b1を開動作させるように制御する。均圧弁119の開動作状態の後半は、3方向切換弁107の主弁107a1,107b1ともに開動作状態であるので均圧工程となる。
これ以降、同様のシーケンスで吸着工程、洗浄工程、均圧工程を繰り返す。なお、コンプレッサ105は、上記すべての工程(起動時工程、吸着工程、洗浄工程、均圧工程)において、動作状態となっている。ここでは、第1吸着筒108aの吸着工程から始まる工程について説明したが、先に第2吸着筒108bの吸着工程から始まる工程としてもよい。また、3方向切換弁107の排気流路側には開放弁118が接続連通し、均圧工程と同期して、制御基板124により開放弁118を開状態に動作させてコンプレッサ105に高真空状態を低減させて真空度を調整可能にして、振動の発生を防止し、騒音を低減している。
次に、図18において圧力調整器112の役割は、製品タンク111では、吸着筒内圧力と同期して圧力が変動しているため、圧力調整器112により、リリーフ弁(開放弁)112a、減圧弁112cを含み、濃縮酸素を減圧し、ほぼ一定圧力となるよう機能するように構成されている。さらに酸素吐出圧(2次側圧力)が異常に上昇した場合のリリーフ機能(リリーフ弁)112aとフィルタ機能(フィルタ112b)を備えており、従来機のような個々に部品を設置するタイプに比べ、小型・軽量化・メンテナンス等の作業性の向上が図れるように構成されている。なお、圧力調整器112の下流側には流量設定器115が設置されるが、この流量設定器115は流量制限をオリフィスで行っており、その穴孔径は設定される吐出圧力にもよるが最小で120〜150ミクロン(マイクロメータ)程度の孔径(平均孔径)が設定される。よって、ここで使用されるフィルタには100ミクロン(マイクロメータ)以下の孔径(平均孔径)のものが使用されることが流量を安定して得られる点で好ましい。また、リリーフ機能は、吸気検知の際に使用する微圧センサの保護を目的とする。
呼吸同調器のデマンド弁116は、流量設定器115での酸素流量が所定流量(例えば1.25L/分以上)に設定され、かつ、充電式バッテリ127で駆動動作されると制御基板124において判断されると、充電式バッテリ127の消費電力を押さえるために、図19に示すシーケンス制御により、呼吸同調制御部のデマンド制御部122によって、1L/分の濃縮酸素発生能力と呼吸同調制御(デマンド制御)を行うようにして、実質的に2L/分の酸素流量までの対応を可能としている。
このため、2L/分の濃縮酸素流量時で消費電力は約50Wである。吸着工程、洗浄工程、均圧工程における3方向切換弁107の主弁107a1,107b1の開動作、開放弁118、均圧弁の開動作タイミングは、矢印で示すとおりである。この時、コンプレッサ105、呼吸同調機器116は連続動作状態となっている。なお、製品タンク111内の圧力変動を下に示している。なお、このような酸素濃縮工程は一例であり、この例に限られるものではない。
可搬可能なシステムとして適切に機能するためには、システムは適切な再充電可能な電源から電源供給を受けなければならない。従来は、このようなシステムに使用される電池は残量が不明確で、繰り返し使用による容量減少により、更に電池残量の予測が難しいものであった。装置1の電源は、数100回程度の充放電が可能で、バッテリ残量、使用充放電サイクル数、劣化程度、出力電圧等のマネジメント機能を有するものが使用され、バッテリ残量、残充電容量、充放電回数が表示部に表示または通信コネクタ129(図7参照)を介して外部モニタ装置で読取れるようにしても良い。
本機能により、従来の電池のように不確実な残量ではなく、劣化程度に応じた、電池の実力値としての残量管理が可能となった。また、コネクタ131を介して装置1に好ましくは着脱自在に設けられ、好ましくはリチウム・イオン形式で積層された構造で、出力電圧が21.0〜29.0Vの充電式バッテリ127が含まれる。この充電式バッテリ127の重量は、1.5kg程度で、呼吸同調制御を行う場合において、88〜94%濃縮酸素流量が最大2L/分時に最大3時間の動作を可能にしている。
システムは、リチウム・イオン・バッテリ以外にも他の携帯用エネルギ源からの供給も受けることができ、例えば、充電式もしくは取替え式の燃料電池が使用可能である。このシステムは、全般に1つの充電式バッテリ127により動力供給されるように記述されているが、システムは多数のバッテリによっても動力供給がされる。したがって、ここで言う「バッテリ」は、1つ、もしくはそれ以上のバッテリを含む。さらには、充電式バッテリ127には、1つ、もしくはそれ以上の内部、及び/又は外部バッテリを含み得る。バッテリ127、もしくはバッテリ127を含むバッテリ・モジュールは、好ましくはシステムから着脱が可能である。このシステムは、標準の内部バッテリ、低価格バッテリ、延長作動内部バッテリ、クリップ取り付けモジュールの外部の2次的バッテリを使用することができる。システムは、充電のコネクタ131に接続できるバッテリ充電器と、1つ、もしくはそれ以上のプラグ(不図示)とを含む組込み式のアダプタを備えることができ、これらは、システムがDC電源(例えば、自動車のシガレット・ライタ・アダプタ)から、及び/又はAC電源(例えば家庭もしくは事務所の商用電源のAC壁ソケット)から電力を供給され、同時にバッテリ127は前記DCもしくはAC電源から充電されるよう構成される。アダプタもしくは充電器は、個別のアクセサリとすることもできる。
例えば、アダプタは、自動車内でシステムを駆動し、及び/又はバッテリ127を充電する個別のシガレット・ライタ・アダプタであってもよい。システムに使用され、及び/又はバッテリ127を充電するため、出力からのACをDCに変換するように個別のACアダプタを使用してもよい。アダプタの他の例には、車椅子バッテリ、もしくはその他のカートと共に使用するアダプタがある。
以上のように患者は常に追加の新鮮な充電済みの追加のバッテリ・パックを持つことで、患者は、より長時間の外出等が可能となり、そのQOLが大幅に向上する。また、適当な接続部を介して、システム内の濃縮酸素の流れに湿気を加えるための加湿手段(不図示)を備えていてもよい。また、装置1を車輪を有するカート(二輪または四輪カート)とし、ストッパ、収縮/延伸自在な取手等を設けた手押し車式としてもよい。またシステムは、就寝時の防音のために、装置1をさらに覆う防音ボックスを備えていてもよい。
呼吸同調制御は、充電式バッテリ127により、酸素濃縮装置1全体が駆動されている場合に、濃縮された酸素をより効率的に患者が使用するために、呼吸に同調した制御を行うためのものである。通常の呼吸の間は、患者は、吸息/呼息サイクル時間の約1/3を吸息に、残りの2/3を呼息に当てている。呼息の間に生成される濃縮酸素は患者にとっては不要のもので、その結果この余剰の濃縮酸素の流れを効率的に提供する追加のバッテリ電力は無駄にされているといえる。そこで、呼息の間に生成された濃縮酸素を吸息時に供給することにより、仮に、吸息/呼息サイクルが1(吸息):2(呼息)であるならば、吸息時に3倍の流量まで供給することが可能となる。
このように、呼吸同調制御を行うことにより、装置の小型化、低消費電力化が可能となる。呼吸同調器116の開閉制御は図19に示すように全期間に亘って行われる(コンプレッサ105も全期間に亘って動作する)。なお、図19において、矢印は、3方向切換弁107の主弁107a1,107b1の開動作、開放弁118、均圧弁の開動作の期間を示すものである。ところで、呼吸同調制御時の酸素濃度検出は圧力変動により検出することができない。このため30分に1回のペースで約10秒間に渡り生成酸素を連続供給し、この酸素濃度を約1秒間遅れて10秒間検出することで、呼吸同調制御時の酸素濃度検出を可能にしている。
尚、酸素濃縮装置1は、酸素センサ114を標準装備しているが、加速度センサ135、GPS(全地球位置センサ)134、ショックセンサ132等の各種センサ、脈拍センサ、血圧センサ、血中酸素飽和度センサ等をオプションとして付属することも可能である。 酸素センサにはガルバニ電池式、超音波式、ジルコニア式等のセンサが使用可能だが、大きさの点や測定精度の点からもジルコニア式酸素センサが好ましい。また、酸素使用量、動作時間、トラブル積算などを日時ともに時系列的に記憶したヒストリ記憶部を設け
、外部機器によりメンテナンスできるようにしてもよい。