JP2009122481A - 反射防止積層体、それを用いた光学機能性フィルタおよび光学表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】表面の耐摩耗性、耐擦傷性、撥水性に優れるとともに、所望の分光反射特性を有する反射防止積層体、該反射防止積層体を用いた光学機能性フィルタおよび光学表示装置を安価に提供すること。
【解決手段】基材1の少なくとも一方の面上に、ハードコート層2と反射防止層とを順次積層した反射防止積層体において、前記反射防止層には、最表層として高屈折率層5が設けられ、かつ前記高屈折率層5がダイヤモンドライクカーボンからなることを特徴とする反射防止積層体、該反射防止積層体を用いた光学機能性フィルタおよび光学表示装置。
【選択図】図1
【解決手段】基材1の少なくとも一方の面上に、ハードコート層2と反射防止層とを順次積層した反射防止積層体において、前記反射防止層には、最表層として高屈折率層5が設けられ、かつ前記高屈折率層5がダイヤモンドライクカーボンからなることを特徴とする反射防止積層体、該反射防止積層体を用いた光学機能性フィルタおよび光学表示装置。
【選択図】図1
Description
本発明は、基材上にハードコート層と反射防止層とを順次形成した反射防止積層体に関するものである。また、この反射防止積層体を用いた光学機能性フィルタ及び光学表示装置に関するものである。
近年、フラットパネルディスプレイの発展に伴い、パネル表面の写りこみを防止するため、ディスプレイの表面処理として反射防止層が用いられてきている。反射防止層としては、防眩ハードコート層のみからなるものや、防眩ハードコート層上またはクリアハードコート層上に低屈折率層を単層設けたものや、低屈折率層、高屈折率層を複数層設けたものなど様々である(特許文献1参照)。この防眩ハードコート層上への低屈折率層のコーティング方法としては、湿式成膜法と乾式成膜法の2つの方式を挙げることができる。湿式成膜法は、安価で大量生産が可能である一方、コーティング・ムラが発生しやすいため、高精度での積層が困難である。また、乾式成膜法は、積層が容易である一方、生産コストが高い等の不利な面がある。
防眩ハードコート層は、その表面において光散乱を起こすことにより、所謂写りこみを低下させる効果を有するが、同時にコントラストが低下するという欠点を併せ持っている。写り込みは低下しているが、防眩ハードコート層表面での表面反射は存在しており、この表面反射が視認性を低下させている。このため、精度の高い反射防止層を防眩ハードコート層上に安価で大量に生産する技術が求められている。
特開平10−206604号公報
防眩ハードコート層を積層したプラスチック等の基材において、湿式成膜法を用いて反射防止膜を成膜した場合、防眩ハードコート層の表面へイズが低い場合は、所望の光学特性を得やすいが、防眩ハードコート層の表面へイズが高い場合は、塗液をコートした際、表面の凹部に塗液が溜まってしまい、凸部上の膜厚と凹部上の膜厚が一定にならず、防眩ハードコート層の種類により所望の光学特性を得ることができないという問題があった。
これに対し、湿式成膜における塗液の粘度を上げることや、湿式成膜時の乾燥、硬化工程箇所を塗工箇所に対し最適化する等の方法により改善を施すことが可能であるが、同時に塗工ムラ等の種々のトラブルが発生しやすくなることもあり、技術的に困難である。
この表面へイズの比較的高い防眩ハードコート層の範囲として、表面へイズが12%以上の範囲で、表面の凹部に液が溜まってしまい、顕著に所望の分光反射特性を得ることができない。また、表面へイズが35%より大きくなるとディスプレイ等の用途ではコントラストを得ることができなくなる。このため、表面へイズが12%以上35%以下の間の防眩ハードコート層上に、精度の高い反射防止膜を安価で大量に生産することが求められる。
また、反射防止積層体をディスプレイ等の最表面で用いる場合は特に、表面の耐摩耗性、耐擦傷性が問題とされる。更に、撥水性も問題となる。これらに対し、最表層にフッ素含有珪素化合物やシリコーン等をコーティングする場合があるが、工程が別になるため費用がかかることや、最終層の膜厚が薄い場合、擦傷試験等で剥がれ易いなどの問題があり万全ではなく、反射防止膜の最終層自体が、耐擦傷性を保持していることや、撥水性を保持していることが望まれている。
したがって本発明の目的は、表面の耐摩耗性、耐擦傷性、撥水性に優れるとともに、所望の分光反射特性を有する反射防止積層体を安価に提供することにある。
また本発明の別の目的は、該反射防止積層体を用いた光学機能性フィルタおよび光学表示装置を提供することにある。
また本発明の別の目的は、該反射防止積層体を用いた光学機能性フィルタおよび光学表示装置を提供することにある。
請求項1に記載の発明は、基材の少なくとも一方の面上に、ハードコート層と反射防止層とを順次積層した反射防止積層体において、
前記反射防止層には、最表層として高屈折率層が設けられ、かつ前記高屈折率層がダイヤモンドライクカーボンからなることを特徴とする反射防止積層体である。
請求項2に記載の発明は、前記反射防止層が、前記基材側から、第1の高屈折率層と低屈折率層と最表層として第2の高屈折率層とをこの順で備え、前記第1の高屈折率層の屈折率が1.6以上2.2以下であり、物理膜厚が5nm以上20nm以下であり、かつ前記低屈折率層の屈折率が1.36以上1.43以下であり、物理膜厚80nm以上120nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の反射防止積層体である。
請求項3に記載の発明は、前記ハードコート層が防眩ハードコート層であり、表面ヘイズ値が12%以上35%以下であり、かつ光沢度が20%以上65%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の反射防止積層体である。
請求項4に記載の発明は、CIE XYZ表色系において、正対反射における反射Y値が視野角2度の際、0.6%以下であることを特徴とする請求項1に記載の反射防止積層体である。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の反射防止積層体を用いたことを特徴とする光学機能性フィルタである。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の反射防止積層体を用いたことを特徴とする光学表示装置である。
前記反射防止層には、最表層として高屈折率層が設けられ、かつ前記高屈折率層がダイヤモンドライクカーボンからなることを特徴とする反射防止積層体である。
請求項2に記載の発明は、前記反射防止層が、前記基材側から、第1の高屈折率層と低屈折率層と最表層として第2の高屈折率層とをこの順で備え、前記第1の高屈折率層の屈折率が1.6以上2.2以下であり、物理膜厚が5nm以上20nm以下であり、かつ前記低屈折率層の屈折率が1.36以上1.43以下であり、物理膜厚80nm以上120nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の反射防止積層体である。
請求項3に記載の発明は、前記ハードコート層が防眩ハードコート層であり、表面ヘイズ値が12%以上35%以下であり、かつ光沢度が20%以上65%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の反射防止積層体である。
請求項4に記載の発明は、CIE XYZ表色系において、正対反射における反射Y値が視野角2度の際、0.6%以下であることを特徴とする請求項1に記載の反射防止積層体である。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の反射防止積層体を用いたことを特徴とする光学機能性フィルタである。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の反射防止積層体を用いたことを特徴とする光学表示装置である。
本発明によれば、表面の耐摩耗性、耐擦傷性、撥水性に優れるとともに、所望の分光反射特性を有する反射防止積層体、該反射防止積層体を用いた光学機能性フィルタおよび光学表示装置を安価に提供することができる。
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
本発明における反射防止積層体は、基材の少なくとも一方の面上に、ハードコート層と反射防止層とを順次積層してなるものであるが、とくに好適な形態としては、図1に示すように、基材1、防眩ハードコート層2、第1の高屈折率層3、低屈折率層4、第2の高屈折率層5を順次積層してなる反射防止積層体である。しかし、図1は一実施形態を示したにすぎず、これに限定されるものではない。
本発明における反射防止積層体は、基材の少なくとも一方の面上に、ハードコート層と反射防止層とを順次積層してなるものであるが、とくに好適な形態としては、図1に示すように、基材1、防眩ハードコート層2、第1の高屈折率層3、低屈折率層4、第2の高屈折率層5を順次積層してなる反射防止積層体である。しかし、図1は一実施形態を示したにすぎず、これに限定されるものではない。
本発明に用いる基材1としては、透明性を有する有機化合物成形物を挙げることができる。本発明における透明性とは、可視光領域の波長の光が透過すればよいことを意味する。有機化合物成形物の形状としては、シート状、ロール状であり、また、基材1は、透明性を有する有機化合物成形物を複数層積層してなる積層体であってもよい。
透明性を有する有機化合物成形物としては、プラスチックを挙げることができ、プラスチックとしては、例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアセタール、ポリウレタン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレンサルファイド、ポリエーテルスルフォン、ポリオレフィン、ポリアリレート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、トリアセチルセルロース等を挙げることができる。しかし、これらに限定されるものではない。
基材1の厚さとしては、目的の用途に応じて適宜選択され、通常25μm以上300μm以下程度のものが用いられる。有機化合物成形物には、公知の添加剤、例えば、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、着色剤、酸化防止剤、難燃剤等が含有されていてもよい。
本発明の反射防止積層体では、基材1と第1の高屈折率層3との間に防眩ハードコート層2を備えており、防眩ハードコート層2は、表面での拡散による写りこみ防止以外に、鉛筆等による引っ掻き傷、スチールウールによる擦り傷等の機械的外傷から各層を防護する層でもある。防眩ハードコート層2を形成する材料としては、透明性、適度な硬度および機械的強度を有するものであればよい。
防眩ハードコート層2の構成としては、特に限定されるものではないが、粒子21とバインダー22から構成されていることが好ましい。バインダー22内に粒子21が分散し、塗膜表面に凹凸を形成させることにより光散乱を生じさせ防眩性を発現させることが可能であるためである。
粒子21としては、平均粒子径0.01μm以上15μm以下程度の無機あるいは有機系粒子を挙げることができ、具体的には、シリカ粒子、アクリル粒子、アクリル−スチレン粒子、タルク、各種アルミノケイ酸塩、カオリンクレー、MgAlハイドロタルサイト等を挙げることができる。これらの粒子を複数組み合わせて使用してもよく、またこれらに限定されるものではない。
バインダー22としては、紫外線硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂などの電離放射線硬化性樹脂や熱硬化性樹脂等を挙げることができ、特に電離放射線硬化性樹脂等には光重合開始剤が含まれる。
電離放射線硬化性樹脂としては、多価アルコールのアクリル酸またはメタクリル酸エステルのような多官能性のアクリレート樹脂、ジイソシアネート、多価アルコール及びアクリル酸またはメタクリル酸のヒドロキシエステル等から合成されるような多官能のウレタンアクリレート樹脂等を挙げることができる。またこれらの他にも、アクリレート系の官能基を有するポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂等も使用することができる。
熱硬化性樹脂としては、熱硬化型ウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等を挙げることができる。
上記バインダー22は、通常、揮発性溶媒で希釈して塗布される。希釈溶媒として用いられるものは、特に限定されるものではないが、組成物の安定性、塗膜に対する揮発性などを考慮して、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、2−メトキシエタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチル等のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、ジイソプロピルエーテル等のエーテル類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール等のグリコール類、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチルカルビトール、ブチルカルビトール等のグリコールエーテル類、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド等を挙げることができる。これらの溶媒は1種または2種類以上の混合物として用いてもよい。
光重合開始剤としては、活性エネルギー線が照射された際にラジカルを発生するものであればよく、例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル[4−(メチルチオ)フェニル]モルフォリノプロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、ベンゾフェノン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド等を挙げることができる。光重合開始剤の添加量は、活性エネルギー線硬化単量体10質量部以上80質量部以下に対して、0.1質量部以上10質量部以下が好ましく、1質量部以上7質量部以下がより好ましく、1質量部以上5質量部以下がさらに好ましい。
防眩ハードコート層2の厚さは、物理膜厚で1μm以上25μm以下であり、ここでいう物理膜厚は、防眩ハードコート層2の平均膜厚を示している。物理膜厚が1μm未満である場合、鉛筆硬度や耐擦傷性等の機械強度が低くなる問題があり、物理膜厚が25μmより大きい場合、厚すぎるためハードコートの応力でフィルムの反りがきつくなる等の問題がある。なお、物理膜厚が10μm以下であることが好ましく、さらには、物理膜厚が5μm以下であることがより好ましい。
防眩ハードコート層2の形成方法としては、ダイコート法、スピンコート法、バーコート法、ローラーコート法、フローコート法等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
防眩ハードコート層2は、表面処理が施されていることが好ましい。表面処理を施すことにより、隣接する第1の高屈折率層3との密着性を向上させることができる。防眩ハードコート層2の表面処理としては、例えば、コロナ処理法、蒸着処理法、電子ビーム処理法、高周波放電プラズマ処理法、スパッタリング処理法、イオンビーム処理法、大気圧グロー放電プラズマ処理法、アルカリ処理法、酸処理法等を挙げることができる。
本発明における第1の高屈折率層3、低屈折率層4、第2の高屈折率層5は、乾式成膜法である真空成膜法により形成されるものである。
第1の高屈折率層3として用いる材料としては、例えば波長500nmにおいて1.6以上2.2以下の屈折率を提供する材料が挙げられ、例としてはAl2O3、ZrO2、HfO2、Ta2O3などがあり、物理膜厚が5nm以上20nm以下であることが好ましい。第1の高屈折率層3の物理膜厚が5nm未満であると、高屈折率層として機能させることが困難であり、20nmを超えると光学的に低反射の反射防止膜とすることが困難となり、好ましくない。
また、低屈折率層4に用いる材料としては、波長500nmにおいて、屈折率1.36以上1.43以下の材料が適しており、LiF、MgF2、CaF2、BaF2、AlF3のいずれか、もしくは、それらの混合材料を挙げることができる。また、1.36未満の屈折率の材料は無機物では基本的に存在しない。低屈折率層4の物理膜厚は80nm以上120nm以下であることが好ましい。低屈折率層4の物理膜厚が80nm未満であると、光学的に低反射の反射防止膜とすることが困難となり、120nmを超えると、同様に光学的に低反射の反射防止膜とすることが困難となり、好ましくない。
更に、第2の高屈折率層5としては、耐摩耗性、耐擦傷性の良さから、波長500nmにおいて屈折率が1.6以上2.2以下が適しており、物理膜厚が5nm以上20nm以下であるダイヤモンドライクカーボンであることである。第2の高屈折率層5の物理膜厚が5nm未満であると、高屈折率層として機能させることが困難となり、20nmを超えると光学的に低反射の反射防止膜とすることが困難となり、好ましくない。
また、低屈折率層4に用いる材料としては、波長500nmにおいて、屈折率1.36以上1.43以下の材料が適しており、LiF、MgF2、CaF2、BaF2、AlF3のいずれか、もしくは、それらの混合材料を挙げることができる。また、1.36未満の屈折率の材料は無機物では基本的に存在しない。低屈折率層4の物理膜厚は80nm以上120nm以下であることが好ましい。低屈折率層4の物理膜厚が80nm未満であると、光学的に低反射の反射防止膜とすることが困難となり、120nmを超えると、同様に光学的に低反射の反射防止膜とすることが困難となり、好ましくない。
更に、第2の高屈折率層5としては、耐摩耗性、耐擦傷性の良さから、波長500nmにおいて屈折率が1.6以上2.2以下が適しており、物理膜厚が5nm以上20nm以下であるダイヤモンドライクカーボンであることである。第2の高屈折率層5の物理膜厚が5nm未満であると、高屈折率層として機能させることが困難となり、20nmを超えると光学的に低反射の反射防止膜とすることが困難となり、好ましくない。
ダイヤモンドライクカーボンは、耐摩耗性、耐擦傷性の非常に高い膜として知られており、同時に内部に含まれる水素含有量次第で撥水性を併せ持たせることが可能な材料である。本発明では、第2の高屈折率層5にダイヤモンドライクカーボンを用いることで高い機械特性と、撥水性を同時にもたせることで、課題の解決を図ることができた。ダイヤモンドライクカーボンの水素含有量は、5〜35%が好ましい。
乾式成膜法により防眩ハードコート層2上に真空成膜による反射防止層を成膜するに際し、表面へイズ値が低い防眩ハードコート層を用いたのでは乾式成膜法の利点は見出しにくい。また、表面へイズ値が高すぎても明所でのコントラストが下がり、反射防止積層体としての価値が見出せなくなる。
ここで、本発明で用いられる防眩ハードコート層2の表面へイズ値は12%以上35%以下であることが好ましい。また、光沢度が高すぎる防眩ハードコート層2を用いた場合、パソコン用のLCDディスプレイ等に用いるには不適当であり、光沢度が低すぎても、黒色のしまりが悪く、小型ディスプレイ等では視認性が悪くなる。このため、本発明で用いられる防眩ハードコート層2の光沢度は20%以上65%以下であるのがよい。
これより、パソコンモニター等に使用される表面へイズ値の高い防眩ハードコート層として十分に機能する。この範囲であれば、湿式成膜法では得られない所望の光学特性を、乾式成膜法によって得ることができる。
ここで、本発明で用いられる防眩ハードコート層2の表面へイズ値は12%以上35%以下であることが好ましい。また、光沢度が高すぎる防眩ハードコート層2を用いた場合、パソコン用のLCDディスプレイ等に用いるには不適当であり、光沢度が低すぎても、黒色のしまりが悪く、小型ディスプレイ等では視認性が悪くなる。このため、本発明で用いられる防眩ハードコート層2の光沢度は20%以上65%以下であるのがよい。
これより、パソコンモニター等に使用される表面へイズ値の高い防眩ハードコート層として十分に機能する。この範囲であれば、湿式成膜法では得られない所望の光学特性を、乾式成膜法によって得ることができる。
本発明では、ヘイズメーター(日本電色工業株式会社製 NDH2000)を用い、ISO (14782(FDIS1999))に準じて、基材を含めた全光線透過光を(A)、基材を含めた散乱光を(B)とした場合、ヘーズ値(C)は下記一般式(1)で表される。
ヘーズ値(C)(%)= 100%×散乱光(B)/全光線透過光(A)
・内部ヘイズの測定方法
サンプルの防眩ハードコート層表面に両面粘着シートを介して基材フィルムと貼り合わせヘイズを測定し、得られたヘイズから両面粘着シートと基材フィルムのヘイズを差し引いた値を内部ヘイズとした。
・表面ヘイズの算出方法
上述したトータルヘイズから内部ヘイズを差し引いた値を表面ヘイズとした。
また、本発明における光沢度は、ヘイズ―グロス リフレクトメーター(BYK Gardner製)を用いて入射角60度、反射角60度で測定した値を用いている。
ヘーズ値(C)(%)= 100%×散乱光(B)/全光線透過光(A)
・内部ヘイズの測定方法
サンプルの防眩ハードコート層表面に両面粘着シートを介して基材フィルムと貼り合わせヘイズを測定し、得られたヘイズから両面粘着シートと基材フィルムのヘイズを差し引いた値を内部ヘイズとした。
・表面ヘイズの算出方法
上述したトータルヘイズから内部ヘイズを差し引いた値を表面ヘイズとした。
また、本発明における光沢度は、ヘイズ―グロス リフレクトメーター(BYK Gardner製)を用いて入射角60度、反射角60度で測定した値を用いている。
反射Y値の測定方法は、CIE 1931 XYZ表色系における2°視野における反射Y値を日立製作所製 分光光度計U−4000形自記分光光度計にて測定した。
防眩ハードコート層2を用い、表面へイズ値が12%以上35%以下、光沢度が20%以上65%以下の範囲では、湿式成膜法を用いて良好なステップカバレッジを得ることができない範囲であり、塗液硬化後における波長500nmの屈折率が1.36以上1.43以下の材料を塗工したとしても正対での反射Y値が0.6以下になることはない。しかし本発明に採用される乾式成膜法によっては、前記反射Y値を得ることができる。
防眩ハードコート層2上に乾式成膜法である真空成膜法にて、第1の高低屈折率層3、低屈折率層4、第2の高屈折率層5を形成する方法として、スパッタリング法、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、イオンプレーティング法、PECVD法、ICB法等があり特に限定されるものではないが、低屈折率層4を形成する材料LiF、MgF2、CaF2、BaF2、AlF3に関してはスパッタリング法では成膜速度が著しく遅いので、抵抗加熱蒸着法や電子ビーム蒸着法、イオンプレーティング法等が、成膜速度が速く適している。
本発明では、防眩ハードコート層2と第1の高低屈折率層3との間の密着性を向上させるためにプライマー層を設けてもよい。
プライマー層の材料としては、例えば、シリコン、ニッケル、クロム、錫、金、銀、白金、亜鉛、チタン、タングステン、ジルコニウム、パラジウム等の金属や、これら金属の2種類以上からなる合金や、これらの酸化物、弗化物、硫化物、窒化物等を挙げることができる。酸化物、弗化物、硫化物、窒化物の化学組成は、密着性が向上するのであれば、化学量論的な組成と一致しなくてもよい。
プライマー層の材料としては、例えば、シリコン、ニッケル、クロム、錫、金、銀、白金、亜鉛、チタン、タングステン、ジルコニウム、パラジウム等の金属や、これら金属の2種類以上からなる合金や、これらの酸化物、弗化物、硫化物、窒化物等を挙げることができる。酸化物、弗化物、硫化物、窒化物の化学組成は、密着性が向上するのであれば、化学量論的な組成と一致しなくてもよい。
プライマー層の厚さとしては、基材1の透明性を損なわない程度であればよく、好ましくは物理膜厚で0.1nm以上10nm以下である。物理膜厚が0.1nm未満である場合、(基材との密着力が乏しく)であり、物理膜厚が10nmより大きい場合、(光学的に無視出来ない膜厚となるため)である。
プライマー層は、蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、イオンビームアシスト法、化学蒸着(CVD)法等の従来公知の方法で形成することができる。
プライマー層は、蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、イオンビームアシスト法、化学蒸着(CVD)法等の従来公知の方法で形成することができる。
本発明の光学機能性フィルタは、CRT用フィルタ、液晶表示装置用フィルタ、プラズマディスプレイパネル用フィルタ、エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイ用フィルタ、フィールドエミッションディスプレイ(FED)用フィルタ、リアプロジェクションテレビ用フィルタ等を挙げることができる。
また、本発明の反射防止積層体は、光学機能性フィルタとして光学表示装置の前面に用いるだけでなく、額縁のスクリーンや窓材、展示用のガラス、プラスチックボックス等にも適用できる。
本発明の光学表示装置は、光学機能性フィルタを有するものである。具体的には、CRT、液晶表示装置、プラズマディスプレイパネル等の光学表示装置の前面、または内部に、本発明の少なくとも反射防止積層体、または本発明の光学機能性フィルタを設けたものである。
以下、本発明の実施例を具体的に説明する。
本発明を実施するにあたり、防眩ハードコート層2上に第1の高屈折率層3および第2の高屈折率層5を成膜する装置としてロール・ツー・ロール型のスパッタ装置を、低屈折率層4を成膜する装置として、ロール・ツー・ロール型の電子ビーム蒸着機を用いた。成膜装置は、1つの成膜メインローラーに対し、両サイドにそれぞれ第1の高屈折率層3、第2の高屈折率層5を成膜するターゲットが装着されており、ローラーの下部に蒸着源が配備されている装置を用いた。
このロール・ツー・ロール型の電子ビーム蒸着機は、リング型の低屈折率層形成材料を蒸着源にセットし、このリングを回転させながら電子ビームを当てて、連続的に材料を供給していく形式のものである。これによりロール・ツー・ロールでのフィルム上への巻き取り成膜が可能となる。
<実施例1>
基材1として、トリアセチルセルロース・フィルム(富士フイルム株式会社製)(以下TACフィルム)を用い、バインダーとしてペンタエリスリトールトリアクリレート(共栄社化学株式会社製)、光重合開始剤としてイルガキュア184(チバスペシャリティケミカルズ社製)、溶剤としてトルエン(三協化学株式会社製)、粒子として粒子径3〜6μmのアクリルビーズ(綜研化学株式会社製)を用いて、湿式成膜法であるダイコート法により、TACフィルム上に表面ヘイズ値12%、光沢度65%の防眩ハードコート層2を塗工し、紫外線硬化させた。この際の防眩ハードコート層の物理膜厚は5μmとした。この防眩ハードコート層上2に高屈折率層3を形成する高屈折率薄膜形成材料として波長500nmでの屈折率が1.68のAl2O3を用い、マグネトロンスパッタ法により物理膜厚15nmを成膜し、低屈折率層4を形成する低屈折率層形成材料としてMgF2を用い、波長500nmでの屈折率が1.38で、電子ビーム蒸着法にて物理膜厚100nm成膜し、更に第2の高屈折率層5を形成する高屈折率薄膜形成材料として炭素ターゲットを用い、ArガスとCH4ガスと1:1の割合に混合して、波長500nmでの屈折率が2.0のダイヤモンドライクカーボンをマグネトロンスパッタ法により物理膜厚10nmを成膜し反射防止積層体を形成した。
基材1として、トリアセチルセルロース・フィルム(富士フイルム株式会社製)(以下TACフィルム)を用い、バインダーとしてペンタエリスリトールトリアクリレート(共栄社化学株式会社製)、光重合開始剤としてイルガキュア184(チバスペシャリティケミカルズ社製)、溶剤としてトルエン(三協化学株式会社製)、粒子として粒子径3〜6μmのアクリルビーズ(綜研化学株式会社製)を用いて、湿式成膜法であるダイコート法により、TACフィルム上に表面ヘイズ値12%、光沢度65%の防眩ハードコート層2を塗工し、紫外線硬化させた。この際の防眩ハードコート層の物理膜厚は5μmとした。この防眩ハードコート層上2に高屈折率層3を形成する高屈折率薄膜形成材料として波長500nmでの屈折率が1.68のAl2O3を用い、マグネトロンスパッタ法により物理膜厚15nmを成膜し、低屈折率層4を形成する低屈折率層形成材料としてMgF2を用い、波長500nmでの屈折率が1.38で、電子ビーム蒸着法にて物理膜厚100nm成膜し、更に第2の高屈折率層5を形成する高屈折率薄膜形成材料として炭素ターゲットを用い、ArガスとCH4ガスと1:1の割合に混合して、波長500nmでの屈折率が2.0のダイヤモンドライクカーボンをマグネトロンスパッタ法により物理膜厚10nmを成膜し反射防止積層体を形成した。
<実施例2>
基材1として、トリアセチルセルロース・フィルム(富士フイルム株式会社製)(以下TACフィルム)を用い、バインダーとしてペンタエリスリトールトリアクリレート(共栄社化学株式会社製)、光重合開始剤としてイルガキュア184(チバスペシャリティケミカルズ社製)、溶剤としてトルエン(三協化学株式会社製)、粒子として粒子径3〜6μmのアクリルビーズ(綜研化学株式会社製)を用いて、湿式成膜法であるダイコート法により、TACフィルム上に表面ヘイズ値35%、光沢度20%の防眩ハードコート層2を塗工し、紫外線硬化させた。この際の防眩ハードコート層の物理膜厚は5μmとした。この防眩ハードコート層上2に高屈折率層3を形成する高屈折率薄膜形成材料として波長500nmでの屈折率が1.68のAl2O3を用い、マグネトロンスパッタ法により物理膜厚15nmを成膜し、低屈折率層4を形成する低屈折率層形成材料としてMgF2を用い、波長500nmでの屈折率が1.38で、電子ビーム蒸着法にて物理膜厚100nm成膜し、更に第2の高屈折率層5を形成する高屈折率薄膜形成材料として炭素ターゲットを用い、ArガスとCH4ガスと1:1の割合に混合して、波長500nmでの屈折率が2.0のダイヤモンドライクカーボンをマグネトロンスパッタ法により物理膜厚10nmを成膜し反射防止積層体を形成した。
基材1として、トリアセチルセルロース・フィルム(富士フイルム株式会社製)(以下TACフィルム)を用い、バインダーとしてペンタエリスリトールトリアクリレート(共栄社化学株式会社製)、光重合開始剤としてイルガキュア184(チバスペシャリティケミカルズ社製)、溶剤としてトルエン(三協化学株式会社製)、粒子として粒子径3〜6μmのアクリルビーズ(綜研化学株式会社製)を用いて、湿式成膜法であるダイコート法により、TACフィルム上に表面ヘイズ値35%、光沢度20%の防眩ハードコート層2を塗工し、紫外線硬化させた。この際の防眩ハードコート層の物理膜厚は5μmとした。この防眩ハードコート層上2に高屈折率層3を形成する高屈折率薄膜形成材料として波長500nmでの屈折率が1.68のAl2O3を用い、マグネトロンスパッタ法により物理膜厚15nmを成膜し、低屈折率層4を形成する低屈折率層形成材料としてMgF2を用い、波長500nmでの屈折率が1.38で、電子ビーム蒸着法にて物理膜厚100nm成膜し、更に第2の高屈折率層5を形成する高屈折率薄膜形成材料として炭素ターゲットを用い、ArガスとCH4ガスと1:1の割合に混合して、波長500nmでの屈折率が2.0のダイヤモンドライクカーボンをマグネトロンスパッタ法により物理膜厚10nmを成膜し反射防止積層体を形成した。
<比較例1>
基材1として、トリアセチルセルロース・フィルム(富士フイルム株式会社製)(以下TACフィルム)を用い、バインダーとしてペンタエリスリトールトリアクリレート(共栄社化学株式会社製)、光重合開始剤としてイルガキュア184(チバスペシャリティケミカルズ社製)、溶剤としてトルエン(三協化学株式会社製)、粒子として粒子として粒子径3〜6μmのアクリルビーズ(綜研化学株式会社製)を用いて、湿式成膜法であるダイコート法により、TACフィルム上に表面ヘイズ値12%、光沢度65%の防眩ハードコート層2を塗工し、紫外線硬化させた。この際の防眩ハードコート層の物理膜厚は5μmとした。防眩ハードコート層上2に、硬化後に波長500nmでの屈折率が1.36となるテトラエトキシシランの加水分解物により得られたオリゴマーを原料とし、低屈折率シリカ微粒子と混合し、2−プロパノールで希釈した液を、乾燥後の物理膜厚が100nmになるようにマイクログラビア法により塗工して低屈折率層3を形成し反射防止積層体を形成した。
基材1として、トリアセチルセルロース・フィルム(富士フイルム株式会社製)(以下TACフィルム)を用い、バインダーとしてペンタエリスリトールトリアクリレート(共栄社化学株式会社製)、光重合開始剤としてイルガキュア184(チバスペシャリティケミカルズ社製)、溶剤としてトルエン(三協化学株式会社製)、粒子として粒子として粒子径3〜6μmのアクリルビーズ(綜研化学株式会社製)を用いて、湿式成膜法であるダイコート法により、TACフィルム上に表面ヘイズ値12%、光沢度65%の防眩ハードコート層2を塗工し、紫外線硬化させた。この際の防眩ハードコート層の物理膜厚は5μmとした。防眩ハードコート層上2に、硬化後に波長500nmでの屈折率が1.36となるテトラエトキシシランの加水分解物により得られたオリゴマーを原料とし、低屈折率シリカ微粒子と混合し、2−プロパノールで希釈した液を、乾燥後の物理膜厚が100nmになるようにマイクログラビア法により塗工して低屈折率層3を形成し反射防止積層体を形成した。
<比較例2>
基材1として、トリアセチルセルロース・フィルム(富士フイルム株式会社製)(以下TACフィルム)を用い、バインダーとしてペンタエリスリトールトリアクリレート(共栄社化学株式会社製)、光重合開始剤としてイルガキュア184(チバスペシャリティケミカルズ社製)、溶剤としてトルエン(三協化学株式会社製)、粒子として粒子径3〜6μmのアクリルビーズ(綜研化学株式会社製)を用いて、湿式成膜法であるダイコート法により、TACフィルム上に表面ヘイズ値35%、光沢度20%の防眩ハードコート層2を塗工し、紫外線硬化させた。この際の防眩ハードコート層の物理膜厚は5μmとした。この防眩ハードコート層上2に硬化後に波長500nmでの屈折率が1.36となるテトラエトキシシランの加水分解物により得られたオリゴマーを原料とし、低屈折率シリカ微粒子と混合し、2−プロパノールで希釈した液を、乾燥後の物理膜厚が100nmになるようにマイクログラビア法により塗工して低屈折率層3を形成し反射防止積層体を形成した。
基材1として、トリアセチルセルロース・フィルム(富士フイルム株式会社製)(以下TACフィルム)を用い、バインダーとしてペンタエリスリトールトリアクリレート(共栄社化学株式会社製)、光重合開始剤としてイルガキュア184(チバスペシャリティケミカルズ社製)、溶剤としてトルエン(三協化学株式会社製)、粒子として粒子径3〜6μmのアクリルビーズ(綜研化学株式会社製)を用いて、湿式成膜法であるダイコート法により、TACフィルム上に表面ヘイズ値35%、光沢度20%の防眩ハードコート層2を塗工し、紫外線硬化させた。この際の防眩ハードコート層の物理膜厚は5μmとした。この防眩ハードコート層上2に硬化後に波長500nmでの屈折率が1.36となるテトラエトキシシランの加水分解物により得られたオリゴマーを原料とし、低屈折率シリカ微粒子と混合し、2−プロパノールで希釈した液を、乾燥後の物理膜厚が100nmになるようにマイクログラビア法により塗工して低屈折率層3を形成し反射防止積層体を形成した。
<比較例3>
基材1として、トリアセチルセルロース・フィルム(富士フイルム株式会社製)(以下TACフィルム)を用い、バインダーとしてペンタエリスリトールトリアクリレート(共栄社化学株式会社製)、光重合開始剤としてイルガキュア184(チバスペシャリティケミカルズ社製)、溶剤としてトルエン(三協化学株式会社製)、粒子として粒子径3〜6μmのアクリルビーズ(綜研化学株式会社製)を用いて、湿式成膜法であるダイコート法により、TACフィルム上に表面ヘイズ値12%、光沢度65%の防眩ハードコート層2を塗工し、紫外線硬化させた。この際の防眩ハードコート層の物理膜厚は5μmとした。この防眩ハードコート層上2に高屈折率層3を形成する高屈折率薄膜形成材料として波長500nmでの屈折率が1.68のAl2O3を用い、マグネトロンスパッタ法により物理膜厚15nmを成膜し、低屈折率層4を形成する低屈折率層形成材料としてMgF2を用い、波長500nmでの屈折率が1.38で、電子ビーム蒸着法にて物理膜厚100nm成膜し、更に第2の高屈折率層5を形成する高屈折率薄膜形成材料として波長500nmでの屈折率が2.0のHfO2を用い、マグネトロンスパッタ法により成膜した。この第2の高屈折率薄膜層5の上に防汚層として、(CH3O)3SiCH2CH2CH2OCH2CF2CF2O(CF2CF2CF2O)8CF2CF3を物理膜厚で10nm真空成膜し、反射防止積層体を形成した。
基材1として、トリアセチルセルロース・フィルム(富士フイルム株式会社製)(以下TACフィルム)を用い、バインダーとしてペンタエリスリトールトリアクリレート(共栄社化学株式会社製)、光重合開始剤としてイルガキュア184(チバスペシャリティケミカルズ社製)、溶剤としてトルエン(三協化学株式会社製)、粒子として粒子径3〜6μmのアクリルビーズ(綜研化学株式会社製)を用いて、湿式成膜法であるダイコート法により、TACフィルム上に表面ヘイズ値12%、光沢度65%の防眩ハードコート層2を塗工し、紫外線硬化させた。この際の防眩ハードコート層の物理膜厚は5μmとした。この防眩ハードコート層上2に高屈折率層3を形成する高屈折率薄膜形成材料として波長500nmでの屈折率が1.68のAl2O3を用い、マグネトロンスパッタ法により物理膜厚15nmを成膜し、低屈折率層4を形成する低屈折率層形成材料としてMgF2を用い、波長500nmでの屈折率が1.38で、電子ビーム蒸着法にて物理膜厚100nm成膜し、更に第2の高屈折率層5を形成する高屈折率薄膜形成材料として波長500nmでの屈折率が2.0のHfO2を用い、マグネトロンスパッタ法により成膜した。この第2の高屈折率薄膜層5の上に防汚層として、(CH3O)3SiCH2CH2CH2OCH2CF2CF2O(CF2CF2CF2O)8CF2CF3を物理膜厚で10nm真空成膜し、反射防止積層体を形成した。
<評価>
(1)分光反射測定(CIE XYZ表色系 反射Y値測定):
実施例1、2、比較例1、2に対し、自動分光光度計(株式会社日立製作所製 U−4000)にて反射角0°の分光反射Y値を測定した。この結果を表1に示す。
(2)純水接触角測定
実施例1、2、比較例1、2、3に対し、純水を5μリットル滴下し、その際の接触角を調査する。この結果を表2に示す。
(1)分光反射測定(CIE XYZ表色系 反射Y値測定):
実施例1、2、比較例1、2に対し、自動分光光度計(株式会社日立製作所製 U−4000)にて反射角0°の分光反射Y値を測定した。この結果を表1に示す。
(2)純水接触角測定
実施例1、2、比較例1、2、3に対し、純水を5μリットル滴下し、その際の接触角を調査する。この結果を表2に示す。
(3)純水転落角測定試験:
実施例1、2、比較例1、2、3に対し、純水を5μリットル滴下し、基材を傾けた際何度で水が滑り出すかを調査する。この結果を表3に示す。
実施例1、2、比較例1、2、3に対し、純水を5μリットル滴下し、基材を傾けた際何度で水が滑り出すかを調査する。この結果を表3に示す。
(4)耐擦傷試験:
実施例1、2、比較例1、2、3に対し、スチールウールにて250g、500g荷重で10往復擦る耐擦傷試験を行う。この結果を表4に示す。
実施例1、2、比較例1、2、3に対し、スチールウールにて250g、500g荷重で10往復擦る耐擦傷試験を行う。この結果を表4に示す。
表1の反射角0°の分光反射Y値の測定結果より、比較例1、2は屈折率がMgF2より低いSiO2の湿式成膜法塗工膜であるが、反射Y値が0.6%を超えておりステップカバレッジが良くないことが分る。一方、乾式成膜法の実施例1、2は、0.6%以下の反射Y値が得られ、十分に反射防止積層体としての効果を発揮している。
表2の結果より、実施例1、2は純水接触角が85度であり、比較例1、2はそれぞれ25度、27度であり低い。また比較例3は105度であり最も高い。
表3の結果より、実施例1、2は純水転落角が17、21度であり、比較例1、2はそれぞれ共に60度まで転落しなかった。また比較例3は49度であり実施例1、2より純水の転落角に関しては高い値を示した。
表4の耐擦傷性試験結果より、実施例1、実施例2>比較例1>比較例2>比較例3の順であり、MgF2膜と防汚層との間にHfO2膜を高屈折率層として用いた比較例3の場合、耐擦傷性は最も低いという結果が得られた。
表面ヘイズ値12%以上35%以下、光沢度20以上65%以下の防眩ハードコート層がコーティングされているプラスチック基材上に、その防眩ハードコート層上に、屈折率が波長500nmにおいて1.68であり、物理膜厚が10nmである第1の高屈折率層を真空成膜法により形成し、更にその上に屈折率が波長500nmにおいて1.38であるMgF2低屈折率層を、物理膜厚で95nm、真空成膜法により形成し、また前記第2の高屈折率層は、屈折率が波長500nmにおいて2.2であり、物理膜厚が10nmであるダイヤモンドライクカーボンを第2の高屈折率層として真空成膜法により形成した。これにより、湿式成膜法で成膜した場合では得ることができない正対での低い反射Y値を持たせることが可能となった。また、防汚層としてフッ素含有珪素化合物等の防汚剤を用いることなく、撥水性、耐擦傷性に優れた反射防止積層体を提供することができた。
1 基材
2 防眩ハードコート層
3 第1の高屈折率層
4 低屈折率層
5 第2の高屈折率層
21 粒子
22 バインダー
2 防眩ハードコート層
3 第1の高屈折率層
4 低屈折率層
5 第2の高屈折率層
21 粒子
22 バインダー
Claims (6)
- 基材の少なくとも一方の面上に、ハードコート層と反射防止層とを順次積層した反射防止積層体において、
前記反射防止層には、最表層として高屈折率層が設けられ、かつ前記高屈折率層がダイヤモンドライクカーボンからなることを特徴とする反射防止積層体。 - 前記反射防止層が、前記基材側から、第1の高屈折率層と低屈折率層と最表層として第2の高屈折率層とをこの順で備え、前記第1の高屈折率層の屈折率が1.6以上2.2以下であり、物理膜厚が5nm以上20nm以下であり、かつ前記低屈折率層の屈折率が1.36以上1.43以下であり、物理膜厚80nm以上120nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の反射防止積層体。
- 前記ハードコート層が防眩ハードコート層であり、表面ヘイズ値が12%以上35%以下であり、かつ光沢度が20%以上65%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の反射防止積層体。
- CIE XYZ表色系において、正対反射における反射Y値が視野角2度の際、0.6%以下であることを特徴とする請求項1に記載の反射防止積層体。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の反射防止積層体を用いたことを特徴とする光学機能性フィルタ。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の反射防止積層体を用いたことを特徴とする光学表示装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007297607A JP2009122481A (ja) | 2007-11-16 | 2007-11-16 | 反射防止積層体、それを用いた光学機能性フィルタおよび光学表示装置 |
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JP2007297607A JP2009122481A (ja) | 2007-11-16 | 2007-11-16 | 反射防止積層体、それを用いた光学機能性フィルタおよび光学表示装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2009122481A true JP2009122481A (ja) | 2009-06-04 |
Family
ID=40814682
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JP2007297607A Pending JP2009122481A (ja) | 2007-11-16 | 2007-11-16 | 反射防止積層体、それを用いた光学機能性フィルタおよび光学表示装置 |
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JP (1) | JP2009122481A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN114815372A (zh) * | 2022-05-07 | 2022-07-29 | 深圳市华星光电半导体显示技术有限公司 | 显示面板与显示装置 |
-
2007
- 2007-11-16 JP JP2007297607A patent/JP2009122481A/ja active Pending
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CN114815372B (zh) * | 2022-05-07 | 2023-10-31 | 深圳市华星光电半导体显示技术有限公司 | 显示面板与显示装置 |
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