以下では、本発明の実施形態について図を参照しつつ説明する。以下の実施形態では、本発明の電気光学装置の一例である駆動回路内蔵型のTFTアクティブマトリクス駆動方式の液晶装置を例にとる。
<第1実施形態>
第1実施形態に係る液晶装置について、図1から図6を参照して説明する。
先ず、本実施形態に係る液晶装置の全体構成について、図1及び図2を参照して説明する。
図1は、TFTアレイ基板をその上に形成された各構成要素と共に、対向基板の側から見た液晶装置の構成を示す概略的な平面図であり、図2は、図1のH−H’断面図である。
図1及び図2において、本実施形態に係る液晶装置は、対向配置されたTFTアレイ基板10と対向基板20とを備えている。TFTアレイ基板10は例えば石英基板、ガラス基板等の透明基板又はシリコン基板である。対向基板20も例えばTFTアレイ基板10と同様の材料からなる基板である。TFTアレイ基板10と対向基板20との間には、液晶層50が封入されており、TFTアレイ基板10と対向基板20とは、本発明に係る「画素領域」の一例としての画像表示領域10aの周囲に位置するシール領域に設けられたシール材52により相互に接着されている。
シール材52は、両基板を貼り合わせるための、例えば紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂等からなり、製造プロセスにおいてTFTアレイ基板10上に塗布された後、紫外線照射、加熱等により硬化させられたものである。また、例えばシール材52中には、TFTアレイ基板10と対向基板20との間隔(基板間ギャップ)を所定値とするためのグラスファイバ或いはガラスビーズ等のギャップ材56が散布されている。本実施形態に係る液晶装置は、プロジェクタのライトバルブ用として小型で拡大表示を行うのに適している。
シール材52が配置されたシール領域の内側に並行して、画像表示領域10aの額縁領域を規定する遮光性の額縁遮光膜53が、対向基板20側に設けられている。但し、このような額縁遮光膜53の一部又は全部は、TFTアレイ基板10側に内蔵遮光膜として設けられてもよい。
TFTアレイ基板10上における、画像表示領域10aの周辺に位置する周辺領域には、データ線駆動回路101、サンプリング回路7、走査線駆動回路104及び外部回路接続端子102が夫々形成されている。
TFTアレイ基板10上における周辺領域において、シール領域より外周側に、データ線駆動回路101及び複数の外部回路接続端子102が、TFTアレイ基板10の一辺に夫々沿って設けられている。尚、複数の外部回路接続端子102には、本発明に係る「端子」の一例である、後述する電源端子102cが含まれている。
また、TFTアレイ基板10上の周辺領域のうちシール領域より内側に位置する領域には、TFTアレイ基板10の一辺に沿う画像表示領域10aの一辺に沿って且つ額縁遮光膜53に覆われるようにしてサンプリング回路7が配置されている。
また、走査線駆動回路104は、TFTアレイ基板10の一辺に隣接する2辺に沿い、且つ、額縁遮光膜53に覆われるようにして設けられている。更に、このように画像表示領域10aの両側に設けられた二つの走査線駆動回路104間を電気的に接続するため、TFTアレイ基板10の残る一辺に沿い、且つ額縁遮光膜53に覆われるようにして複数の配線105が設けられている。
また、TFTアレイ基板10上の周辺領域において、対向基板20の4つのコーナー部に対向する領域に、上下導通端子106が配置されると共に、このTFTアレイ基板10及び対向基板20間には上下導通材が上下導通端子106に対応して該端子106に電気的に接続されて設けられている。
図2において、TFTアレイ基板10上には、画素スイッチング用のTFTや走査線、データ線等の配線が作り込まれた積層構造が形成されている。画像表示領域10aには、画素スイッチング用TFTや走査線、データ線等の配線の上層に画素電極9aがマトリクス状に設けられている。画素電極は、ITO膜からなる透明電極として形成されている。画素電極9a上には、配向膜16が形成されている。
他方、対向基板20におけるTFTアレイ基板10との対向面上に、遮光膜23が形成されている。遮光膜23は、例えば遮光性金属膜等から形成されており、対向基板20上の画像表示領域10a内で、例えば格子状等にパターニングされている。そして、遮光膜23上(図2中遮光膜23より下側)に、ITO膜からなる対向電極21が複数の画素電極9aと対向して例えばベタ状に形成され、更に対向電極21上(図2中対向電極21より下側)には配向膜22が形成されている。
液晶層50は、例えば一種又は数種類のネマティック液晶を混合した液晶からなり、これら一対の配向膜間で、所定の配向状態をとる。そして、液晶装置の駆動時、夫々に電圧が印加されることで、画素電極9aと対向電極21との間には液晶保持容量が形成される。
尚、ここでは図示しないが、TFTアレイ基板10上には、データ線駆動回路101、走査線駆動回路104の他に、複数のデータ線に所定電圧レベルのプリチャージ信号を画像信号に先行して各々供給するプリチャージ回路、製造途中や出荷時の当該液晶装置の品質、欠陥等を検査するための検査回路等が形成されていてもよい。
次に、本実施形態に係る液晶装置の電気的な構成について、図3を参照して説明する。
図3は、本実施形態に係る液晶装置の電気的な構成を示すブロック図である。
図3において、本実施形態に係る液晶装置は、TFTアレイ基板10の画像表示領域10aの周辺に位置する周辺領域に、走査線駆動回路104、データ線駆動回路101、サンプリング回路7、画像信号線171及び容量部CAを備えている。
走査線駆動回路104には、外部に設けられたタイミング制御回路(図示省略)から外部回路接続端子102(図1参照)を介して、Yクロック信号CLY、反転Yクロック信号CLYinv及びYスタートパルスDYが供給される。走査線駆動回路104は、YスタートパルスDYが入力されると、Yクロック信号CLY及び反転Yクロック信号CLYinvに基づくタイミングで、走査信号Gi(i=1、…、m)を順次生成して出力する。走査線駆動回路104には、外部に設けられた電源回路(図示省略)から外部回路接続端子102を介して高電位側電源電位VDD及び該高電位側電源電位よりも低い電位を有する低電位側電源電位VSSが供給される。
データ線駆動回路101には、外部に設けられたタイミング制御回路から外部回路接続端子102を介して、Xクロック信号CLX、反転Xクロック信号CLXinv及びXスタートパルスDXが供給される。データ線駆動回路101は、XスタートパルスDXが入力されると、Xクロック信号CLX及び反転Xクロック信号XCLXinvに基づくタイミングで、サンプリング信号Si(i=1、…、n)を順次生成して出力する。データ線駆動回路101には、外部に設けられた電源回路から外部回路接続端子102を介して高電位側電源電位VDD及び低電位側電源電位VSSが供給される。
走査線駆動回路104及びデータ線駆動回路101の各々は、TFTアレイ基板10上の周辺領域に形成された複数のTFTを含むシフトレジスタ等の信号処理手段を備えている。
サンプリング回路7は、データ線6a毎に設けられた複数のサンプリングスイッチ77を備えている。各サンプリングスイッチ77は、Pチャネル型又はNチャネル型の片チャネル型TFTから構成されている。このため、仮に各サンプリングスイッチ77が相補型TFTから構成される場合と比較して、各サンプリングスイッチ77を配置するために必要となるTFTアレイ基板10上の面積が小さくて済むので、複数のサンプリングスイッチ77を、より微細ピッチで配列することができる。
図3において、本実施形態に係る液晶装置は、TFTアレイ基板10の中央を占める画像表示領域10aに、縦横に配線されたデータ線6a及び走査線11を備えている。データ線6a及び走査線11が互いに交差する交点に対応する位置にマトリクス状に画素部700が設けられている。
画素部700は、液晶素子118、画素スイッチング用のTFT30、及び蓄積容量70を備えている。
液晶素子118は、画素電極9a及び対向電極21、並びにこれら一対の電極間に挟持された液晶層50から構成される(図2参照)。画素電極9aは、対向電極21との間で形成される液晶容量を、画像信号に応じて一定期間保持する。
TFT30は、本発明に係る「第2トランジスタ」の一例であり、データ線6aから供給される画像信号を選択画素に印加するために設けられている。TFT30のゲートは走査線11に電気的に接続されており、ソースはデータ線6aに電気的に接続されている。TFT30のドレインは液晶素子118を構成する画素電極9a(図2参照)に電気的に接続されている。
蓄積容量70の一方の容量電極71は、共通電位線91に電気的に接続されている。共通電位線91は、後述するトランジスタ500及び外部回路接続端子102(より具体的には、複数の外部回路接続端子102のうち電源端子102c)を介して外部に設けられた電源回路に電気的に接続されている。共通電位線91(及びこれに電気的に接続される容量電極71)に供給される電源の電位は、画素電極9aに対向配置された対向電極21(図2参照)に供給される共通電位LCCOMである。つまり、蓄積容量70の一方の容量電極71の電位は、液晶装置の駆動時に共通電位LCCOMに維持される。尚、本実施形態では、共通電位LCCOMは、高電位側電源電位VDD及び低電位側電源電位VSSの中間の中間電位を有している。
蓄積容量70は、液晶素子118と並列に付加されている。画素電極9aの電圧は、画像信号が印加された時間よりも、例えば3桁も長い時間だけ蓄積容量70により保持されるので、保持特性が改善される結果、高コントラスト比が実現される。尚、蓄積容量70の具体的構成については後に詳述する。
トランジスタ500は、本発明に係る「第1トランジスタ」の一例であり、そのソースが電源端子102cに電気的に接続されており、そのドレインが共通電位線91に電気的に接続されている。トランジスタ500のゲートは、液晶装置の駆動時に外部に設けられた電源回路から外部回路接続端子102を介して高電位側電源電位VDDが供給される電源電位線95に電気的に接続されている。よって、トランジスタ500は、液晶装置の製造プロセスにおいてはオフ状態とされ、液晶装置の駆動時には、オン状態とされることで、電源端子102cと共通電位線91との間の電気的な接続をスイッチング制御することができる。尚、トランジスタ500の具体的な構成については後に詳述する。また、電源電位線95は、本発明に係る「定電位線」の一例である。
画像信号線171の各々は、サンプリング回路7を介して夫々対応するデータ線6aに電気的に接続されている。外部回路から供給された1系統の入力画像データVIDをシリアル−パラレル変換して得られるN系統(本実施形態ではN=6、即ち6系統)の画像信号は、サンプリング信号Siに応じてオンオフが切り換えられるサンプリングスイッチ77を介してデータ線6aの各々に供給される。N系統の画像信号は、例えば、不図示の画像信号供給回路等の信号変換手段を用いて一系統の入力画像データを変換することによって生成される。尚、シリアル−パラレル変換は、シリアル−パラレル展開或いは相展開とも呼ばれる。
本実施形態では、6系統、即ち6相(N=6)の画像信号VID1〜VID6が生成され、これら6相の画像信号に対応して画像信号線171は6本設けられている。更に、不図示の画像信号供給回路において、画像信号VID1〜VID6の各々の電圧が、基準電位である共通電位LCCOMに対して正極性及び負極性に反転され、このように極性反転された画像信号VID1〜VID6が出力される。尚、画像信号の相展開数(即ち、シリアル−パラレル展開される画像信号の系列数)に関しては、6相に限られるものでない。
容量部CAは、TFTアレイ基板10上において画像表示領域10aの周辺領域のうち、画像表示領域10aに対してデータ線駆動回路101と反対側に設けられている。容量部CAは、本発明に係る「付加容量」の一例としての複数のコンデンサ600を備えている。複数のコンデンサ600は、共通電位線91及び各データ線6aに電気的に接続されている。コンデンサ600は、データ線6aにおけるデータ線駆動回路101が接続された一端とは異なる他端に接続されている。即ち、データ線6aの一端にデータ線駆動回路101が、その他端にコンデンサ600が配置されている。尚、本実施形態では、容量部CA(言い換えれば、複数のコンデンサ600)が、周辺領域のうち、画像表示領域10aに対してデータ線駆動回路101と反対側に設けられるように構成したが、容量部CAは、周辺領域における他の領域、或いは画像表示領域10aの一部に設けられるように構成してもよい。
このようなコンデンサ600によって、サンプリングスイッチ77がオン状態に切り換えられた際に、データ線6aに供給された画像信号電位が本来の画像信号電位に比べて、小さくなること(即ち、プッシュダウン)を低減或いは防止できる。即ち、例えばデータ線6aの配線容量、或いはデータ線6aと他の配線との重なり合いにより生じる容量に対し、コンデンサ600の静電容量が加わることにより、データ線6a周りの容量を適切に確保することができる。従って、データ線6aが保有すべき電位に変動が生じてしまうこと、即ち、データ線6aに書き込まれる画像信号電位のプッシュダウンが生じてしまうことを抑制できる。この結果、データ線6aに書き込まれる画像信号電位のプッシュダウンに起因した例えばデータ線6aに沿った表示ムラが発生することを低減或いは防止できる。
尚、本実施形態では、後述するように、複数のデータ線6aは、6本のデータ線6aを1群とするデータ線群毎に順次駆動される。
次に、本実施形態に係る液晶装置の動作原理について、図3を参照して説明する。
図3において、本実施形態に係る液晶装置は、TFTアクティブマトリクス駆動方式を採り、走査線駆動回路104から各走査線11に走査信号G1、G2、…、Gmを線順次に印加すると共に、TFT30がオン状態となる水平方向の選択画素領域の列に、データ線駆動回路101からデータ線11に画像信号を印加するようになっている。この際、画像信号を各データ線6aに線順次に供給してもよい。これにより、画像信号が、選択画素領域の画素電極9aに供給される。本実施形態に係る液晶装置は、TFTアレイ基板10と対向基板20とが液晶層50を介して対向配置されているので(図2参照)、以上のようにして区画配列された画素毎に液晶層50に電界を印加することにより、両基板間の透過光量が画素毎に制御され、画像が階調表示される。
6相にシリアル−パラレル展開された画像信号VID1〜VID6は、N本、本実施形態では6本の画像信号線171を介して各画素部700に供給される。データ線6aは、以下に説明するように、画像信号線171の本数に対応する6本のデータ線6aを1群とするデータ線群毎に順次駆動される。
データ線駆動回路101から、データ線群に対応するサンプリングスイッチ77毎にサンプリング信号Si(i=1、2、…、n)が順次供給され、サンプリング信号Siに応じて各サンプリングスイッチ77はオン状態となる。
よって、画像信号VID1〜VID6は、オン状態に切り換えられたサンプリングスイッチ77を介して6本の画像信号線171の各々からデータ線群に属するデータ線6aに同時に、且つデータ線群毎に順次供給され、一のデータ線群に属するデータ線6aは互いに同時に駆動されることとなる。従って、本実施形態に係る液晶装置によれば、データ線6aをデータ線群毎に駆動するため、駆動周波数を抑制できる。
液晶素子118には、画素電極9a及び対向電極21の各々の電位によって規定される印加電圧が印加される。液晶は、印加される電圧レベルにより分子集合の配向や秩序が変化することにより、光を変調し、階調表示を可能とする。ノーマリーホワイトモードであれば、各画素の単位で印加された電圧に応じて入射光に対する透過率が減少し、ノーマリーブラックモードであれば、各画素の単位で印加された電圧に応じて入射光に対する透過率が増加され、全体として本実施形態に係る液晶装置から画像信号VID1〜VID6に応じたコントラストをもつ光が出射され、画像が表示される。
次に、本実施形態に係る液晶装置の画素部の具体的な構成について、図4及び図5を参照して説明する。
図4は、第1実施形態に係る液晶装置の画素部の平面図である。図5は、図4のA−A’断面図である。尚、図4及び図5では、各層・各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、該各層・各部材ごとに縮尺を異ならしめてある。また図4及び図5では、説明の便宜上、画素電極9aより上側に位置する部分の図示を省略している。図4においては、走査線11等の一部の配線や電極を透過的に図示している。
図4において、画素電極9aは、TFTアレイ基板10(図2参照)上に、マトリクス状に複数設けられており、ITO膜からなる透明電極である。画素電極9aの縦横の境界にそれぞれ沿ってデータ線6a及び走査線11が設けられている。即ち、走査線11は、X方向に沿って延びており、データ線6aは、走査線11と交差するように、Y方向に沿って延びている。走査線11の上層側には、画素スイッチング用のTFT30が画素電極9a毎に設けられている。
走査線11、データ線6a、TFT30及び後述する中継電極60は、TFTアレイ基板10上で平面的に見て、画素電極9aに対応する各画素の開口領域(即ち、各画素において、表示に実際に寄与する光が透過又は反射される領域)を囲む非開口領域内に配置されている。即ち、これらの走査線11、データ線6a、TFT30及び中継電極60は、表示の妨げとならないように、各画素の開口領域ではなく、非開口領域内に配置されている。
本実施形態に係る液晶装置の動作時には、上述したデータ線6aから画素電極9aへの画像信号の供給が制御され、所謂アクティブマトリクス方式による画像表示が可能となる。尚、画像信号は、データ線6a及び画素電極9a間に電気的に接続されたスイッチング素子であるTFT30が走査線11から供給される走査信号に応じてオンオフされることによって、所定のタイミングでデータ線6aからTFT30を介して画素電極9aに供給される。
図5に示すように、TFTアレイ基板10上には、上述した画素電極9a等の各種構成要素が積層構造をなしている。各種構成要素は、下から順に、走査線11等を含む第1層(即ち、第1の導電層)、半導体層1a等を含む第2層(即ち、第2の導電層)、データ線6a等を含む第3層(即ち、第3の導電層)、容量電極71等を含む第4層(即ち、第4の導電層)、画素電極9a等を含む第5層(第5の導電層)からなる。また、第1の導電層及び第2の導電層間には下地絶縁膜12、第2の導電層及び第3の導電層間には第1層間絶縁膜41、第3の導電層及び第4の導電層間には第2層間絶縁膜42、第4の導電層及び第5の導電層間には容量絶縁膜75がそれぞれ設けられ、各種構成要素間が短絡することを防止している。第1層間絶縁膜41及び第2層間絶縁膜42は、例えばNSG(ノンシリケートガラス)によって形成されている。その他、第1層間絶縁膜41及び第2層間絶縁膜42には、PSG(リンシリケートガラス)、BSG(ボロンシリケートガラス)、BPSG(ボロンリンシリケートガラス)等のシリケートガラス、窒化シリコンや酸化シリコン等を用いることができる。
図4及び図5において、TFT30は、半導体層1a及びゲート電極3aを含んで構成されている。尚、半導体層1aは、本発明に係る「第2半導体層」の一例である。
半導体層1aは、ポリシリコン膜からなり、X方向に沿って設けられたチャネル領域1a’、データ線側LDD領域1b及び画素電極側LDD領域1c並びにデータ線側ソースドレイン領域1d及び画素電極側ソースドレイン領域1eからなる。即ち、TFT30はLDD構造を有している。データ線側ソースドレイン領域1dは、第1層間絶縁膜41に開孔されたコンタクトホール81を介してデータ線6aと電気的に接続されている。画素電極側ソースドレイン領域1eは、第1層間絶縁膜41に開孔されたコンタクトホール83、後述する中継電極60及びコンタクトホール85を介して画素電極9aと電気的に接続されている。
データ線側ソースドレイン領域1d及び画素電極側ソースドレイン領域1eは、チャネル領域1a’を基準として、X方向に沿ってほぼミラー対称に形成されている。データ線側LDD領域1bは、チャネル領域1a’及びデータ線側ソースドレイン領域1d間に形成されている。画素電極側LDD領域1cは、チャネル領域1a’及び画素電極側ソースドレイン領域1e間に形成されている。データ線側LDD領域1b、画素電極側LDD領域1c、データ線側ソースドレイン領域1d及び画素電極側ソースドレイン領域1eは、例えばイオンインプランテーション法等の不純物打ち込みによって半導体層1aに不純物を打ち込んでなる不純物領域である。データ線側LDD領域1b及び画素電極側LDD領域1cはそれぞれ、データ線側ソースドレイン領域1d及び画素電極側ソースドレイン領域1eよりも不純物の少ない低濃度な不純物領域として形成されている。このような不純物領域によれば、TFT30の非動作時において、ソース領域及びドレイン領域間に流れるオフ電流を低減し、且つTFT30の動作時に流れるオン電流の低下を抑制できる。尚、TFT30は、LDD構造を有することが好ましいが、データ線側LDD領域1b、画素電極側LDD領域1cに不純物打ち込みを行わないオフセット構造であってもよいし、ゲート電極をマスクとして不純物を高濃度に打ち込んでデータ線側ソースドレイン領域及び画素電極側ソースドレイン領域を形成する自己整合型であってもよい。
図4及び図5において、ゲート電極3aは、半導体層1aよりも第1層間絶縁膜41を介して上層側に配置され、チャネル領域1a’に対向するように形成されている。第1層間絶縁膜41は、TFTアレイ基板10上のほぼ全面に亘って形成されている。第1層間絶縁膜41のうちTFTアレイ基板10上の積層構造におけるチャネル領域1a’とゲート電極との間に形成された部分が、ゲート電極3a及びチャネル領域1a’間を絶縁するゲート絶縁膜として機能する。
図5に示すように、ゲート電極3aは、下層に導電性のポリシリコンからなる層3a1、上層にアルミニウムを含む層3a2の二層構造を有する膜として形成されている。よって、この種の液晶装置において伝統的な或いは従来の典型的なTFTである、導電性のポリシリコン膜からなるゲート電極を有するTFTを製造する製造プロセスを殆ど或いは完全にそのまま利用して、TFT30を形成することができる。
尚、アルミニウムを含む層3a2は、アルミニウム膜のみから形成されてもよいし、例えば、チタン(Ti)膜、チタンナイトライド(TiN)膜、アルミニウム(Al)膜及び窒化チタン(TiN)膜がこの順に下層側から積層されてなる多層膜から形成されてもよい。言い換えれば、ゲート電極3aは、導電性のポリシリコン膜とアルミニウム膜とがこの順に下層側から積層されることにより形成されてもよいし、例えば、導電性のポリシリコン膜、Ti膜、TiN膜、Al膜及びTiN膜がこの順に下層側から積層されることにより形成されてもよい。
図5において、TFTアレイ基板10上の半導体層1aよりも下地絶縁膜12を介して下層側には、走査線11が設けられている。走査線11は、例えばタングステン(W)、Ti、TiN等の高融点金属材料等の遮光性の導電材料からなる。走査線11は、図4のX方向に沿って延びるように、且つ、TFT30のチャネル領域1a’及び画素電極側LDD領域1cに対向する領域を含むように形成されている。
このような走査線11によれば、TFTアレイ基板10における裏面反射や、複板式のプロジェクタ等で他の液晶装置から発せられ合成光学系を突き抜けてくる光などの、戻り光に対してTFT30のチャネル領域1a’及び画素電極側LDD領域1cを殆ど或いは完全に遮光できる。
図5において、下地絶縁膜12は、例えばシリコン酸化膜等からなる。下地絶縁膜12は、走査線11から半導体層1aを層間絶縁する機能の他、TFTアレイ基板10の全面に形成されることにより、TFTアレイ基板10の表面の研磨時における荒れや、洗浄後に残る汚れ等によるTFT30の特性の劣化を防止する機能を有する。
図5において、TFTアレイ基板10上の半導体層1aよりも第1層間絶縁膜41を介して上層側には、上述したゲート電極3aに加えて、データ線6a及び中継電極60が設けられている。
データ線6aは、ゲート電極3a(及び中継層60)と同一膜からなる。即ち、データ線6aは、ゲート電極3aと同様に、下層に導電性のポリシリコンからなる層6a1、上層にアルミニウムを含む層6a2の二層構造を有する膜として形成されている。データ線6aは、図4のY方向に沿って延びるように形成されている。データ線6aは、第1層間絶縁膜41に開孔されたコンタクトホール81を介して、TFT30のデータ線側ソースドレイン領域1dに電気的に接続されている。コンタクトホール81は、一層の層間絶縁膜(即ち、第1層間絶縁膜41)のみを貫通するので、その深さは、相対的に短くて済み、その開孔は、エッチング等により容易である。また、そのアスペクト比も小さいので底部にても良好なコンタクトを取り易い。更に、データ線6aとTFT30のデータ線側ソースドレイン領域1dとの電気的な接続は、データ線6aを構成する導電性のポリシリコンからなる層6a1と、ポリシリコンからなるデータ線側ソースドレイン領域6a1との接触により実現されており、両者間の電気的な接続を良好にすることができる。
中継電極60は、ゲート電極3a(及びデータ線6a)と同一膜からなる。即ち、中継電極60は、ゲート電極3aと同様に、下層に導電性のポリシリコンからなる層61、上層にアルミニウムを含む層62の二層構造を有する膜として形成されている。中継電極60は、第1層間絶縁膜41に開孔されたコンタクトホール83を介してTFT30の画素電極側ソースドレイン領域1eに電気的に接続されると共に、第2層間絶縁膜42及び容量絶縁膜75を貫通して開孔されたコンタクトホール85を介して画素電極9aに電気的に接続されている。よって、中継電極60は、画素電極9aとTFT30の画素電極側ソースドレイン領域1eとの電気的接続を中継する。従って、中継電極60及び画素電極側ソースドレイン領域1e間の層間距離が長くて一つのコンタクトホールで両者間を接続するのが困難となる事態を、回避できる。更に、中継電極60によって、画素電極9a及び画素電極側ソースドレイン領域1e間の電気的な抵抗を低減することが可能となる。
図4及び図5に示すように、ゲート電極3a、データ線6a及び中継電極60は、TFTアレイ基板10上で平面的に見て、互いに連続した平面形状を有するように形成されているのではなく、各者間はパターニング上分断されるように形成されている。これにより、ゲート電極3a、データ線6a及び中継電極60は、互いに電気的に第2層間絶縁膜42により絶縁されている。このようにゲート電極3a、データ線6a及び中継電極60を互いに同一膜から形成することで、これらを別個に別々の材料から形成する場合と比較して、画素の構成を簡略化すると共に、製造プロセスにおける工程数も削減して簡略化することができる。
図5において、TFTアレイ基板10上のデータ線6aよりも第2層間絶縁膜42を介して上層側には、本発明に係る「第2容量電極」の一例としての容量電極71が設けられている。容量電極71は、画素電極9aと中継電極60とを電気的に接続するためのコンタクトホール85が設けられた部分を除いて、開口領域及び非開口領域を共に覆うように設けられている。
容量電極71は、画素電極9aと容量絶縁膜75を介して対向配置されており、蓄積容量70を形成している。
容量電極71は、図3を参照して上述したように共通電位線91に電気的に接続され、共通電位LCCOMに維持された固定電位側容量電極である。容量電極71は、例えばITO等の透明導電材料から形成されている。
容量絶縁膜75は、例えばHTO(High Temperature Oxide)膜、LTO(Low Temperature Oxide)膜等の酸化シリコン(SiO2)膜、或いは窒化シリコン(SiN)膜等から構成された単層構造、或いは多層構造を有している。
上述したように、蓄積容量70が形成されることによって、画素電極9aにおける電位保持特性が向上し、コントラスト向上やフリッカの低減といった表示特性の向上が可能となる。また、画素電極9aと容量電極71とによって蓄積容量70を形成しているため、例えば画素電極9aの他に、上部電極及び下部電極を設けて蓄積容量を形成する場合と比較して、装置構成を単純化させることが可能である。更に、容量電極71は、画素電極9aより下層側に設けられているため、画素電極9aと容量電極71の下層側(例えば、データ線6aなど)との電気的或いは電磁気的なカップリングを防止するシールド層として機能することもできる。よって、画素電極9aにおける電位変動等が生じる可能性を低減することも可能となる。
以上に説明した画素部の構成は、図4に示すように、各画素部に共通である。画像表示領域10a(図1参照)には、かかる画素部が周期的に形成されている。
次に、上述したコンデンサ600、トランジスタ500及び電源端子102cの具体的な構成について、図3から図5に加えて図6を参照して説明する。
図6は、データ線に電気的に接続されたコンデンサと電源端子との接続に係る構成を示す断面図である。尚、図6では、各層・各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、該各層・各部材ごとに縮尺を異ならしめてある。また図6では、電源端子102cからトランジスタ500及び共通電位線91を介して複数のコンデンサ600のうちの一つのコンデンサ600までに至る経路における断面を概念的に示している。
図6において、コンデンサ600は、固定電位側電極610及び画素電位側電極620を備え、これら一対の電極の間に容量絶縁膜75を挟持して構成されている。
固定電位側電極610は、本発明に係る「導電部」の一例であり、図5を参照して上述した画素電極9aと同一膜(即ち、容量絶縁膜75上に配置されたITO膜)から形成されている。固定電位側電極610は、所定の平面形状を有するように形成されている。固定電位側電極610は、容量絶縁膜75及び第2層間絶縁膜42を貫通して開孔されたコンタクトホール89を介して共通電位線91と互いに電気的に接続されている。このため、固定電位側電極610は、液晶装置の駆動時には、共通電位LCCOMに維持される。
画素電位側電極620は、容量絶縁膜75を介して固定電位側電極610と対向するように形成されている。即ち、画素電位側電極620は、図5を参照して上述した容量電極71と同一膜(即ち、第2絶縁膜42上に配置された例えばITO膜等の透明導電膜)から形成されている。画素電位側電極620は、第2層間絶縁膜42に開孔されたコンタクトホール88を介してデータ線6aと互いに電気的に接続されている。
このように、本実施形態では特に、コンデンサ600は、画素電極9aと同一膜から形成された固定電位側電極610と、容量電極71と同一膜から形成された画素電位側電極620と、これら一対の電極間に挟持される容量絶縁膜75とから構成されている。言い換えれば、コンデンサ600と蓄積容量70(図5参照)は、製造工程段階では、同一機会に形成されるものである。よって、このようにコンデンサ600と蓄積容量70とを、同一機会に製造することから、これらそれぞれを別々に製造する場合と比較して、製造工程の長期化及び複雑高度化等を防止することが可能となる。
更に、本実施形態では、固定電位側電極610は、画素電位側電極620よりも上層側に設けられているため、TFTアレイ基板10の最表面側から電磁気的な悪影響が画素電位側電極620に及んでしまう(言い換えれば、画素電位側電極620の電位に電磁気的なノイズが発生してしまう)のを防止するシールド層として機能することができる。
図6において、電源端子102cは、データ線6aと同一膜から形成されている。即ち、電源端子102cは、データ線6aと同様に、下層に導電性のポリシリコンからなる層、上層にアルミニウムを含む層の二層構造を有する膜として形成されている。電源端子102cは、その一部が容量絶縁膜75及び第2層間絶縁膜42に開口された開口部810から露出するように形成されている。開口部810は、容量絶縁膜75及び第2層間絶縁膜41における所定の領域に対してウェットエッチングを施すことにより形成される。
尚、電源端子102cは、複数の外部回路接続端子102(図1参照)のうちの一つの端子として形成されている。
本実施形態に係る液晶装置の駆動時には、外部に設けられた電源回路が、電源端子102cのうち開口部810から露出された部分に電気的に接続されることで、該電源回路から共通電位LCCOM(図3参照)が電源端子102c(及び、該電源端子102cを介してトランジスタ500、更には、共通電位線91)に供給される。
図6において、トランジスタ500は、半導体層510及びゲート電極520を有している。尚、半導体層510は、本発明に係る「第1半導体層」の一例である。
半導体層510は、図5を参照して上述した半導体層1aと同一膜(即ち、下地絶縁膜12上に配置されたポリシリコン膜)から形成されており、チャネル領域511、高濃度ソース領域513、高濃度ドレイン領域514、低濃度ソース領域515及び低濃度ドレイン領域516からなる。即ち、トランジスタ500は、画素スイッチング用のTFT30と同様に、LDD構造を有している。高濃度ソース領域513は、第1層間絶縁膜41に開孔されたコンタクトホール86を介して電源端子102cと互いに電気的に接続されている。高濃度ドレイン領域514は、第1層間絶縁膜41に開孔されたコンタクトホール87を介して共通電位線91に電気的に接続されている。共通電位線91は、コンタクトホール89を介してコンデンサ600の固定電位側電極610に電気的に接続されている。即ち、高濃度ドレイン領域514は、コンタクトホール87、共通電位線91及びコンタクトホール89を介して、固定電位側電極610に電気的に接続されている。
高濃度ソース領域513及び高濃度ドレイン領域514は、チャネル領域511に対して反対側に形成されている。低濃度ソース領域515は、チャネル領域511及び高濃度ソース領域513間に形成されている。低濃度ドレイン領域516は、チャネル領域511及び高濃度ドレイン領域514間に形成されている。高濃度ソース領域513、高濃度ドレイン領域514、低濃度ソース領域515及び低濃度ドレイン領域516は、不純物打ち込みによって半導体層510に不純物を打ち込んでなる不純物領域である。低濃度ソース領域515及び低濃度ドレイン領域516はそれぞれ、高濃度ソース領域513及び高濃度ドレイン領域514よりも不純物の少ない低濃度な不純物領域として形成されている。尚、トランジスタ500は、低濃度ソース領域515及び低濃度ドレイン領域516に不純物打ち込みを行わないオフセット構造であってもよいし、ゲート電極をマスクとして不純物を高濃度に打ち込んで高濃度ソース領域及び高濃度ドレイン領域を形成する自己整合型であってもよい。
本実施形態では、高濃度ソース領域513、高濃度ドレイン領域514、低濃度ソース領域515及び低濃度ドレイン領域516には、例えばリン(P)イオン等のN型の不純物イオンがドープされており、トランジスタ500は、Nチャネル型のTFTとして形成されている。
ゲート電極520は、図5を参照して上述したゲート電極3aと同一膜(言い換えれば、データ線6aと同一膜)から形成されている。即ち、ゲート電極520は、下層に導電性のポリシリコンからなる層、上層にアルミニウムを含む層の二層構造を有する膜として形成されている。ゲート電極520は、半導体層510よりも第1層間絶縁膜41を介して上層側に配置され、チャネル領域520に対向するように形成されている。第1層間絶縁膜41のうちTFTアレイ基板10上の積層構造におけるチャネル領域511とゲート電極520との間に形成された部分が、ゲート電極520及びチャネル領域511間を絶縁するゲート絶縁膜として機能する。
尚、ゲート電極520は、図3を参照して上述した電源電位線95に電気的に接続されており、液晶装置の動作時には、高電位側電源電位VDDが供給されるように構成されている。
このように、本実施形態では特に、トランジスタ500は、TFT30を構成する半導体層1aと同一膜から形成された半導体層510と、TFT30を構成するゲート電極3aと同一膜から形成されたゲート電極520と、半導体層510及びゲート電極520間にゲート絶縁膜として配置される第1層間絶縁膜41の一部とから構成されている。よって、トランジスタ500とTFT30とを、製造工程における同一機会に製造することができる。従って、これらそれぞれを別々に製造する場合と比較して、製造工程の長期化及び複雑高度化等を防止することが可能となる。
図6において、共通電位線91は、データ線と同一膜から形成されている。即ち、共通電位線91は、下層に導電性のポリシリコンからなる層、上層にアルミニウムを含む層の二層構造を有する膜として形成されている。共通電位線91は、図3に示すように、TFTアレイ基板10上の周辺領域において、トランジスタ500からコンデンサ600へ至るように引き回されている。共通電位線91は、コンタクトホール87を介してトランジスタ500の高濃度ドレイン領域514に電気的に接続されると共に、コンタクトホール89を介してトランジスタ600の固定電位側電極610に電気的に接続されている。
図3及び図6において、本実施形態では特に、上述したように、ソース(即ち、高濃度ソース領域513)が電源端子102cに電気的に接続されると共にドレイン(即ち、高濃度ドレイン領域514)が固定電位側電極610に電気的に接続されたトランジスタ500を備えている。言い換えれば、アルミニウムを含む膜からなる電源端子102cとITO膜からなる固定電位側電極610との間の電気的な接続をスイッチング制御することが可能なトランジスタ500を有している。よって、製造プロセスにおいて、オフ状態とされたトランジスタ500によって電源端子102c及び固定電位側電極610間を電気的に遮断すると共に、駆動時において、オン状態とされたトランジスタ500によって、電源端子102c及び固定電位側電極610間を電気的に接続することが可能となる。言い換えれば、本実施形態では、製造プロセスにおいては、ゲート電極520に電源電位VDDが供給されないことでトランジスタ500はオフ状態となり、その結果、電源端子102c及び固定電位側電極610間は絶縁され、駆動時においては、ゲート電極520に電源電位VDDが供給されることでトランジスタ500はオン状態となり、その結果、電源端子102c及び固定電位側電極610間は電気的に接続される。
従って、製造プロセスにおいて、ITO膜からなる固定電位側電極610とアルミニウムを含む膜からなる電源端子102cとが互いに電気的に接続された状態で、ウェット処理工程(例えば、開口部810を開口するためのウェットエッチングを行う工程或いは画素電極9a及び固定電位側電極610をパターニングする工程など)において用いられるエッチング液やレジスト剥離液等の処理液に電源端子102c及び固定電位側電極610が同時に曝されることを防止できる。これにより、電源端子102c及び固定電位側電極610が電気的に接続された状態で電源端子102c及び固定電位側電極610が同時に処理液に曝されることによって発生し得る電蝕の発生を防止できる。言い換えれば、本実施形態に係る液晶装置によれば、ウェット処理工程において、アルミニウムを含む膜からなる電源端子102cとITO膜からなる固定電位側電極610とは、オフ状態とされたトランジスタ500によって互いに絶縁されるので、電源端子102c及び固定電位側電極610が同時にエッチング液やレジスト剥離液等の処理液に曝されても電蝕は殆ど或いは好ましくは全く発生しない。
以上説明したように、本実施形態に係る液晶装置によれば、ウェット処理工程における電蝕の発生を防止でき、高品質な表示を行うことが可能となる。
尚、本実施形態では、共通電位LCCOMを、高電位側電源電位VDD及び低電位側電源電位VSSの中間の中間電位を有するように構成したが、例えば、共通電位LCCOMを、高電位側電源電位VDD及び低電位側電源電位VSSのいずれかと等しい電位を有するように構成してもよい。共通電位LCCOMが高電位側電源電位VDDと等しい電位を有する場合には、上述した本実施形態とは異なり、トランジスタ500をPチャネル型のトランジスタとして形成すると共に、トランジスタ500のゲートに低電位側電源電位VSSが供給されるように構成するとよい。また、共通電位LCCOMが低電位側電源電位VSSと等しい電位を有する場合には、上述した本実施形態にと同様に、トランジスタ500をNチャネル型のトランジスタとして形成すると共に、トランジスタ500のゲートには、高電位側電源電位VDDが供給されるように構成するとよい。いずれの場合にも、トランジスタ500によって、製造プロセスにおいて、電源端子102c及び固定電位側電極610間を確実に電気的に遮断することができると共に、駆動時において、電源端子102c及び固定電位側電極610間を確実に電気的に接続することができる。
<電子機器>
次に、上述した電気光学装置である液晶装置を各種の電子機器に適用する場合について説明する。
図7は、プロジェクタの構成例を示す平面図である。以下では、この液晶装置をライトバルブとして用いたプロジェクタについて説明する。
図7に示されるように、プロジェクタ1100内部には、ハロゲンランプ等の白色光源からなるランプユニット1102が設けられている。このランプユニット1102から射出された投射光は、ライトガイド1104内に配置された4枚のミラー1106及び2枚のダイクロイックミラー1108によってRGBの3原色に分離され、各原色に対応するライトバルブとしての液晶パネル1110R、1110B及び1110Gに入射される。
液晶パネル1110R、1110B及び1110Gの構成は、上述した液晶装置と同等であり、画像信号処理回路から供給されるR、G、Bの原色信号でそれぞれ駆動されるものである。そして、これらの液晶パネルによって変調された光は、ダイクロイックプリズム1112に3方向から入射される。このダイクロイックプリズム1112においては、R及びBの光が90度に屈折する一方、Gの光が直進する。従って、各色の画像が合成される結果、投射レンズ1114を介して、スクリーン等にカラー画像が投写されることとなる。
ここで、各液晶パネル1110R、1110B及び1110Gによる表示像について着目すると、液晶パネル1110Gによる表示像は、液晶パネル1110R、1110Bによる表示像に対して左右反転することが必要となる。
尚、液晶パネル1110R、1110B及び1110Gには、ダイクロイックミラー1108によって、R、G、Bの各原色に対応する光が入射するので、カラーフィルタを設ける必要はない。
尚、図7を参照して説明した電子機器の他にも、モバイル型のパーソナルコンピュータや、携帯電話、液晶テレビや、ビューファインダ型、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた装置等が挙げられる。そして、これらの各種電子機器に適用可能なのは言うまでもない。
また、本発明は上述の各実施形態で説明した液晶装置以外にも反射型液晶装置(LCOS)、プラズマディスプレイ(PDP)、電界放出型ディスプレイ(FED、SED)、有機ELディスプレイ、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)、電気泳動装置等にも適用可能である。
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う電気光学装置、及び該電気光学装置を備えた電子機器もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
1a…半導体層、1a’…チャネル領域、1b…データ線側LDD領域、1c…画素電極側LDD領域、1d…データ線側ソースドレイン領域、1e…画素電極側ソースドレイン領域、3a…ゲート電極、6a…データ線、9a…画素電極、10…TFTアレイ基板、10a…画像表示領域、11…走査線、12…下地絶縁膜、30…TFT、71…容量電極、60…中継電極、75…容量絶縁膜、91…共通電位線、95…電源電位線、102…外部回路接続端子、102c…電源端子、171…画像信号線、500…トランジスタ、510…半導体層、511…チャネル領域、513…高濃度ソース領域、514…高濃度ドレイン領域、515…低濃度ソース領域、516…低濃度ドレイン領域、520…ゲート電極、600…コンデンサ、610…固定電位側電極、620…画素電位側電極、810…開口部