JP2009121951A - 結像光学系の収差分布の評価方法、結像光学系の調整方法、露光装置、およびデバイス製造方法 - Google Patents

結像光学系の収差分布の評価方法、結像光学系の調整方法、露光装置、およびデバイス製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 像面上の計測点の数を少なく抑えつつ、フィールド−ツェルニケ関数を用いて結像光学系の収差分布を正しく評価することのできる評価方法。
【解決手段】 結像光学系の収差分布の評価方法。収差分布を評価する関数として、結像光学系の瞳面座標(ξ,η)と像面座標(y,z)とにより定義されるフィールド−ツェルニケ関数を設定する工程と、結像光学系の像面上の複数の計測点で計測された収差に関する情報と、結像光学系が有する収差分布の特徴とに基づいて、フィールド−ツェルニケ関数の各関数項の係数を決定する決定工程とを含む。
【選択図】 図1

Description

本発明は、結像光学系の収差分布の評価方法、結像光学系の調整方法、露光装置、およびデバイス製造方法に関し、特に半導体素子、撮像素子、液晶表示素子、薄膜磁気ヘッド等のデバイスをリソグラフィー工程で製造するための露光装置に搭載される投影光学系の収差分布の評価に関するものである。
たとえばLSIの製造において回路パターンを形成するリソグラフィー工程では、マスクのパターンをウェハ上のレジストに転写するための投影光学系が組み込まれた露光装置が用いられている。現在のリソグラフィーにおいては、LSIの集積度の増大およびk1ファクター(線幅=kl×λ/NA:λは露光波長、NAは投影光学系の開口数)の縮小に伴って、投影光学系の収差を極限まで低減することが求められる。そのため、投影光学系(結像光学系)の光学調整工程において、各種の波面収差測定器を用いた波面収差の測定および解析が行われている。
波面収差の解析工程では、測定された波面収差を、結像光学系の瞳面座標の関数としてのツェルニケ(Fringe Zernike)多項式を用いて近似(フィッティング)することが多い。ツェルニケ多項式は、瞳面内の波面収差を表現するのに適した関数であるが、ツェルニケ多項式の各項の係数に基づいて、コンピュータを利用した最適化計算により光学調整方法および光学調整量を試行錯誤的に決定して光学調整を行う必要がある。
本出願人は、結像光学系の瞳面座標と像面座標とにより定義されるフィールド−ツェルニケ関数(以下、略して「FZ関数」ともいう)を導入し、このFZ関数により波面収差の瞳面内分布および像面内分布を同時に表現し、波面収差を解析的に評価する方法を提案している(特許文献1および非特許文献1を参照)。フィールド−ツェルニケ関数は、多数のフィールド−ツェルニケ関数項(以下、略して「FZ関数項」または「関数項」ともいう)からなる多項式として表現される。
特開2006−84787号公報 T. Matsuyama and T. Ujike: "Orthogonal Aberration Functions for Microlithographic Optics", Opt. Rev., Vol.11, No.4 (2004)
上述の特許文献1および非特許文献1に記載された従来の評価方法では、FZ関数を用いて、各像点で計測した波面収差のデータから計測点以外の収差分布を推定する。この収差分布の推定において、各FZ関数項の係数(すなわち各FZ関数項の大きさ)の数が未知数の数に相当する。また、未知数を求める際の方程式の数は、計測点の数や計測点の配置等に基づいて決定され、計測点の数が多いほど方程式の数が多くなる。方程式の数よりも未知数の数が多い場合、複数の解が存在し、各関数項の係数が一意に定まらない。すなわち、収差分布を一意に決めることができない。
各FZ関数項の係数の数(未知数の数)以上の方程式が得られる十分な数の像点について波面収差を計測すれば、収差分布を一意に決めることが可能になる。ただし、その場合には、波面収差の計測に多大な時間がかかることになる。一般に、方程式の数よりも未知数の数が多い場合、方程式を満たし且つ各関数項の係数の二乗和が最小となる条件のもとで収差分布を一意に決める手法が採用されるが、この手法では収差分布が正しく推定(評価)されるとは限らない。
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたものであり、像面上の計測点の数を少なく抑えつつ、フィールド−ツェルニケ関数を用いて結像光学系の収差分布を正しく評価することのできる評価方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、収差分布を正しく評価する評価方法により得られた波面収差の解析的な評価に基づいて、結像光学系を良好に光学調整することのできる調整方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、波面収差の解析的な評価に基づいて光学調整する調整方法により良好に光学調整された結像光学系を用いて、良好な投影露光を行うことのできる露光装置およびデバイス製造方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明の第1形態では、結像光学系の収差分布の評価方法において、
前記収差分布を評価する関数として、前記結像光学系の瞳面座標と像面座標とにより定義されるフィールド−ツェルニケ関数を設定する工程と、
前記結像光学系の像面上の複数の計測点で計測された収差に関する情報と、前記結像光学系が有する収差分布の特徴とに基づいて、前記フィールド−ツェルニケ関数の各関数項の係数を決定する決定工程とを含むことを特徴とする評価方法を提供する。
本発明の第2形態では、第1形態の評価方法により得られた前記結像光学系の収差分布の評価結果に基づいて前記結像光学系を光学調整することを特徴とする調整方法を提供する。
本発明の第3形態では、所定のパターンを感光性基板に投影露光するための投影光学系として、第2形態の調整方法により光学調整された結像光学系を備えていることを特徴とする露光装置を提供する。
本発明の第4形態では、第3形態の露光装置を用いて、前記所定のパターンを前記感光性基板に露光する露光工程と、
前記パターンが転写された前記感光性基板を現像し、前記パターンに対応する形状のマスク層を前記感光性基板の表面に形成する現像工程と、
前記マスク層を介して前記感光性基板の表面を加工する加工工程とを含むことを特徴とするデバイス製造方法を提供する。
本発明の評価方法では、結像光学系の収差分布を推定する際に、像面上の複数の計測点で計測された収差に関する情報に加えて、結像光学系が有する収差分布の特徴を用いる。具体的には、例えばフィールド−ツェルニケ関数の各関数項を変量として、同じタイプの結像光学系について収差分布の主成分分析を行い、この主成分分析により得られた主成分を収差分布の特徴として用いる。その結果、収差分布の特徴を利用することにより、少ない数の計測点で計測された収差に関する情報から、収差分布を一意に推定すること、すなわちフィールド−ツェルニケ関数の各関数項の係数を一意に決定することができる。
こうして、本発明の評価方法では、像面上の計測点の数を少なく抑えつつ、フィールド−ツェルニケ関数を用いて結像光学系の収差分布を正しく評価することができる。したがって、本発明の評価方法により得られた波面収差の解析的な評価に基づいて、結像光学系を良好に光学調整することができる。また、本発明の調整方法により良好に光学調整された結像光学系を用いて、良好な投影露光を行うことができ、ひいては良好なデバイスを製造することができる。
以下、本発明の実施形態の具体的な説明に先立って、結像光学系の収差分布を評価する関数としてのフィールド−ツェルニケ(Field-Zernike)関数について簡単に説明する。図1は、結像光学系の像面座標および瞳面座標を説明する図である。図1には、結像光学系の像面直交座標(y,z)および瞳面直交座標(ξ,η)、並びに像面極座標(h,α)および瞳面極座標(ρ,θ)が示されている。フィールド−ツェルニケ関数は、像面にまで拡張した収差分布の定量的な評価をするために提案された収差関数である。
具体的に、フィールド−ツェルニケ関数は、瞳面座標でのツェルニケ関数と像面座標でのツェルニケ関数とを用いて、瞳面座標と像面座標とにより定義される。すなわち、FZ関数は、瞳面の座標(ξ,η)と像面の座標(y,z)とを変数とし、ΣKm・FZm(ξ,η,y,z)と表される。ここで、FZm(ξ,η,y,z)は第m番目のFZ関数項であり、Kmは第m番目のFZ関数項の係数であり、ΣはFZ関数項の数mに関する総和記号である。フィールド−ツェルニケ関数の詳細については、上述の特許文献1および非特許文献1を参照することができる。
本発明の実施形態を、添付図面に基づいて説明する。図2は、本発明の実施形態にかかる結像光学系の評価方法を適用する投影光学系を備えた露光装置の構成を概略的に示す図である。図2において、投影光学系PLの光軸AXに平行にZ軸を、光軸AXに垂直な面内において図2の紙面に平行にY軸を、光軸AXに垂直な面内において図2の紙面に垂直にX軸をそれぞれ設定している。
図2に示す露光装置は、照明光を供給するための光源LSとして、たとえばF2レーザー光源(波長157nm)を備えている。光源LSから射出された光は、照明光学系ILを介して、所定のパターンが形成されたレチクル(マスク)Rを照明する。なお、光源LSと照明光学系ILとの間の光路はケーシング(不図示)で密封されており、光源LSから照明光学系IL中の最もレチクル側の光学部材までの空間は、露光光の吸収率が低い気体であるヘリウムガスや窒素などの不活性ガスで置換されているか、あるいはほぼ真空状態に保持されている。
レチクルRは、レチクルホルダRHを介して、レチクルステージRS上においてXY平面に平行に保持されている。レチクルRには転写すべきパターンが形成されており、たとえばパターン領域全体のうちX方向に沿って長辺を有し且つY方向に沿って短辺を有する矩形状のパターン領域が照明される。レチクルステージRSは、図示を省略した駆動系の作用により、レチクル面(すなわちXY平面)に沿って二次元的に移動可能であり、その位置座標はレチクル移動鏡RMを用いた干渉計RIFによって計測され且つ位置制御されるように構成されている。
レチクルRに形成されたパターンからの光は、投影光学系PLを介して、感光性基板であるウェハW上にレチクルパターン像を形成する。ウェハWは、ウェハテーブル(ウェハホルダ)WTを介して、ウェハステージWS上においてXY平面に平行に保持されている。そして、レチクルR上での矩形状の照明領域に光学的に対応するように、ウェハW上ではX方向に沿って長辺を有し且つY方向に沿って短辺を有する矩形状の露光領域にパターン像が形成される。ウェハステージWSは、図示を省略した駆動系の作用によりウェハ面(すなわちXY平面)に沿って二次元的に移動可能であり、その位置座標はウェハ移動鏡WMを用いた干渉計WIFによって計測され且つ位置制御されるように構成されている。
また、図示の露光装置では、投影光学系PLを構成する光学部材のうち最もレチクル側に配置された光学部材と最もウェハ側に配置された光学部材との間で投影光学系PLの内部が気密状態を保つように構成され、投影光学系PLの内部の気体はヘリウムガスや窒素などの不活性ガスで置換されているか、あるいはほぼ真空状態に保持されている。
さらに、照明光学系ILと投影光学系PLとの間の狭い光路には、レチクルRおよびレチクルステージRSなどが配置されているが、レチクルRおよびレチクルステージRSなどを密封包囲するケーシング(不図示)の内部に窒素やヘリウムガスなどの不活性ガスが充填されているか、あるいはほぼ真空状態に保持されている。
また、投影光学系PLとウェハWとの間の狭い光路には、ウェハWおよびウェハステージWSなどが配置されているが、ウェハWおよびウェハステージWSなどを密封包囲するケーシング(不図示)の内部に窒素やヘリウムガスなどの不活性ガスが充填されているか、あるいはほぼ真空状態に保持されている。このように、光源LSからウェハWまでの光路の全体に亘って、露光光がほとんど吸収されることのない雰囲気が形成されている。
上述したように、投影光学系PLによって規定されるレチクルR上の照明領域およびウェハW上の露光領域(すなわち実効露光領域)は、Y方向に沿って短辺を有する矩形状である。したがって、駆動系および干渉計(RIF、WIF)などを用いてレチクルRおよびウェハWの位置制御を行いながら、矩形状の露光領域および照明領域の短辺方向すなわちY方向に沿ってレチクルステージRSとウェハステージWSとを、ひいてはレチクルRとウェハWとを同期的に移動(走査)させることにより、ウェハW上には露光領域の長辺に等しい幅を有し且つウェハWの走査量(移動量)に応じた長さを有する領域に対してレチクルパターンが走査露光される。
本実施形態では、結像光学系としての投影光学系PLに対して、本発明の評価方法および調整方法が適用される。以下、本実施形態の評価方法における主要な工程の1つである収差分布の主成分分析について説明する。収差分布の主成分分析では、FZ関数項を変量とし、評価すべき結像光学系と同じタイプの結像光学系の収差分布を用いる。本実施形態では、同じタイプの結像光学系の収差分布として、同じ設計データに基づいて製造された結像光学系の像面上の十分な数の計測点で実際に計測された収差から求められた収差分布と、同じ設計データに基づく結像光学系において各レンズが微小移動したときの収差変化に基づいてシミュレーションにより求められた収差分布とを用いた。
まず、収差分布の主成分分析では、これらの収差分布をFZ関数項で成分分離し、FZ関数項の係数を求める。そして、FZ関数項の係数の分散共分散行列の固有値問題を解き、固有ベクトルを得る。この固有ベクトルが、評価すべき結像光学系の収差分布に主に含まれる成分(主成分)であり、変量であるFZ関数項の線形結合により次式(1)で表される。
Cn(ξ,η,y,z)=ΣWn,m・FZm(ξ,η,y,z) (1)
式(1)において、Cn(C1,C2,C3,・・・)は、評価すべき結像光学系の収差分布に主に含まれる成分である。Wn,mは、成分Cnに関連してFZ関数項FZmにかかる係数である。Σは、FZ関数項FZmの数mに関する総和記号である。収差成分Cnは、対応する固有値が大きいほど、評価すべき結像光学系の収差分布に主に含まれる重要な成分である。
次に、収差分布の推定について説明する。収差分布の推定では、収差分布の主成分分析により得られた収差成分Cnを用いて、波面収差の計測値から収差分布を推定する。成分Cnは、変量の数、すなわちFZ関数項の数だけ得られるが、収差分布を一意に推定するのに必要な数までの主な成分Cnを用いる。
以下、本発明の実施形態の具体的な例について説明する。上述したように、FZ関数は、瞳面の座標(ξ,η)と像面の座標(y,z)とを変数とし、ΣKm・FZm(ξ,η,y,z)と表されるが、瞳面座標でのツェルニケ番号がk(k=1,2,4,5,7,・・・)であるツェルニケ関数Zk(ξ,η)を用いる場合には、次式(2)のようにツェルニケ関数の2つの項の和で表される。
Figure 2009121951
ここで、fk,j(y,z)、gk,j(y,z)は像面座標に依存する関数であり、添え字jはフィールド−ツェルニケ関数を上記のようにツェルニケ関数Zk(ξ,η)の番号kでまとめて表記したときのフィールド−ツェルニケ関数の番号を表している。簡単のため、波面収差にはツェルニケ関数Z2(ξ,η)およびZ3(ξ,η)で表される成分のみが存在するものと仮定する。つまり、計測点iにおける波面収差φi(ξ,η)は、次式(3)のように表されるものとする。式(3)において、a2,j、a3,jは各ツェルニケ関数の大きさを表しており、以後これをツェルニケ係数と呼ぶ。
Figure 2009121951
上記の仮定より、フィールド−ツェルニケ関数においてZ2(ξ,η)、Z3(ξ,η)の項を含まないフィールド−ツェルニケ関数の係数はすべて零(ゼロ)となる。したがって、決定すべきフィールド−ツェルニケ関数の係数は、Z2(ξ,η)、Z3(ξ,η)を含む関数の係数となる。上式(2)の表現に従うと、Z2(ξ,η)、Z3(ξ,η)を含むフィールド−ツェルニケ関数は、次式(4)のように表される。
Figure 2009121951
ここでは、収差分布を計測値から推定するために、Z2(ξ,η)、Z3(ξ,η)を含んだフィールド−ツェルニケ関数211項(つまりj=1,2,・・・,211)を用いた。収差分布の推定に用いる計測値は、図3に示す黒丸31の33点の計測点から得た波面収差の計測値である。波面収差φi(ξ,η)をフィールド−ツェルニケ関数FZ2,j(ξ,η,y,z)で表せるように式を立てると、最終的に以下のような連立方程式(5)および(6)となる。
Figure 2009121951
ここで、b2,jは、フィールド−ツェルニケ関数FZ2,j(ξ,η,y,z)の大きさ(以降、「FZ係数」という)を表す。このFZ係数は、上述の方程式(5)および(6)より決定すべき値である。また、上述の方程式(5)および(6)の数(計測点の数および計測点の配置等に基づいて決定される)は、計測点i(=33)の数×2=66個となり、決定すべきFZ係数の数(211個)よりも少ない。つまり、未知数の数(211個)よりも方程式の数(66個)の方が少ないので、複数の解が存在し、各FZ係数が一意に定まらない条件となっている。このように、計測点の数および計測点の配置は、波面収差の計測値を満たすフィールド−ツェルニケ関数の各関数項の係数の値の組合せが複数存在する条件となっている。
さて、本発明では、前記フィールド−ツェルニケ関数の主成分分析により、変量の数すなわちフィールド−ツェルニケ関数項の数(211個)の主成分Cnを得る。本例では、収差分布の推定に用いる主成分を、収差分布に主に含まれ得る成分すなわち固有値が大きい主成分Cnから順に選んだ。主成分の数は、計測値から一意に収差分布が推定でき、かつ残差が十分小さくなる33個とした。
この場合、決定すべき主成分の大きさの数は33個であり、計測点から決まる方程式の数66個(=計測点iの数×2)よりも小さく、最小二乗法により主成分の大きさを一意に決定することができる。最終的に、決定した主成分の大きさと式(1)とを用いて、フィールド−ツェルニケ関数の各関数項の係数を決定することができる。つまり、各関数項の係数の決定に用いられる主成分Cnの数(上述の例では33個)は、波面収差の計測値に対して残差が最小となるフィールド−ツェルニケ関数の各関数項の係数の値の組合せが1つだけ存在する条件となっている。
このように、本実施形態では、結像光学系の像面上の33点で計測された収差の計測値と、33個の主成分Cnとを用いて、フィールド−ツェルニケ関数の各関数項の係数を一意に決定した(すなわち結像光学系の収差分布を一意に推定した)。
図4は、本実施形態により得られた収差分布と、比較例により得られた収差分布とを示す図である。図4において、縦軸は収差を、横軸は像面上でのy方向に沿った位置を示している。また、図4において、白丸41は本実施形態における収差分布の推定に用いなかった11個の計測点における収差の計測値を示している。収差分布の推定に用いなかった11個の計測点の像面上の位置は、図3において白丸32で示されている。
また、図4において、実線42は、本実施形態により得られた収差分布のうち、図3において白丸32で示す11個の計測点のz座標に沿った分布を示している。一方、破線43は、比較例により得られた収差分布のうち、図3において白丸32で示す11個の計測点のz座標に沿った分布を示している。なお、比較例では、計測点33の数に対応して得られた方程式を満たし且つ各関数項の係数の二乗和が最小となる条件のもとで収差分布を一意に決めている。図4を参照すると、本実施形態により得られた収差分布42の方が、比較例の手法により得られた収差分布43よりも、白丸41で示す11個の計測値に良く対応している。
本実施形態では、結像光学系の収差分布の推定に際して、像面上の33個の計測点31で計測された収差に関する情報に加えて、同じタイプの結像光学系の収差分布の主成分分析により得られた主成分Cnを用いている。このように、収差分布の特徴として、同じタイプの結像光学系の収差分布の主成分分析により得られた主成分Cnを利用することにより、関数項の数よりも少ない数の方程式しか得られない33個の計測点31で計測された収差に関する情報から、FZ関数の各関数項の係数を一意に決定し、結像光学系の収差分布をFZ関数により正しく推定することができる。
以上のように、本実施形態の評価方法では、像面上の計測点31の数を少なく抑えつつ、フィールド−ツェルニケ関数を用いて結像光学系の収差分布を正しく評価することができる。また、本実施形態の評価方法では、収差分布の特徴(収差分布の主成分分析により得られた主成分Cn)を利用して、FZ関数の各関数項の係数を一意に決定するので、異常な計測値を除外することが可能になる。
こうして、本実施形態の評価方法では、フィールド−ツェルニケ関数により波面収差の瞳面内分布および像面内分布を同時に表現することにより、波面収差を解析的に評価することができる。したがって、本実施形態の評価方法により得られた波面収差の解析的な評価に基づいて、結像光学系としての投影光学系PLを良好に光学調整することができる。また、本実施形態の調整方法により良好に光学調整された投影光学系PLを用いて、良好な投影露光を行うことができ、ひいては良好なデバイスを製造することができる。
次に、上述の実施形態にかかる露光装置を用いたデバイス製造方法について説明する。図5は、半導体デバイスの製造工程を示すフローチャートである。図5に示すように、半導体デバイスの製造工程では、半導体デバイスの基板となるウェハWに金属膜を蒸着し(ステップS40)、この蒸着した金属膜上に感光性材料であるフォトレジストを塗布する(ステップS42)。つづいて、上述の実施形態の投影露光装置を用い、マスク(レチクル)Mに形成されたパターンをウェハW上の各ショット領域に転写し(ステップS44:露光工程)、この転写が終了したウェハWの現像、つまりパターンが転写されたフォトレジストの現像を行う(ステップS46:現像工程)。その後、ステップS46によってウェハWの表面に生成されたレジストパターンをマスクとし、ウェハWの表面に対してエッチング等の加工を行う(ステップS48:加工工程)。
ここで、レジストパターンとは、上述の実施形態の投影露光装置によって転写されたパターンに対応する形状の凹凸が生成されたフォトレジスト層であって、その凹部がフォトレジスト層を貫通しているものである。ステップS48では、このレジストパターンを介してウェハWの表面の加工を行う。ステップS48で行われる加工には、例えばウェハWの表面のエッチングまたは金属膜等の成膜の少なくとも一方が含まれる。なお、ステップS44では、上述の実施形態の投影露光装置は、フォトレジストが塗布されたウェハWを、感光性基板つまりプレートPとしてパターンの転写を行う。
図6は、液晶表示素子等の液晶デバイスの製造工程を示すフローチャートである。図6に示すように、液晶デバイスの製造工程では、パターン形成工程(ステップS50)、カラーフィルタ形成工程(ステップS52)、セル組立工程(ステップS54)およびモジュール組立工程(ステップS56)を順次行う。
ステップS50のパターン形成工程では、プレートPとしてフォトレジストが塗布されたガラス基板上に、上述の実施形態の投影露光装置を用いて回路パターンおよび電極パターン等の所定のパターンを形成する。このパターン形成工程には、上述の実施形態の投影露光装置を用いてフォトレジスト層にパターンを転写する露光工程と、パターンが転写されたプレートPの現像、つまりガラス基板上のフォトレジスト層の現像を行い、パターンに対応する形状のフォトレジスト層を生成する現像工程と、この現像されたフォトレジスト層を介してガラス基板の表面を加工する加工工程とが含まれている。
ステップS52のカラーフィルタ形成工程では、R(Red)、G(Green)、B(Blue)に対応する3つのドットの組をマトリックス状に多数配列するか、またはR、G、Bの3本のストライプのフィルタの組を水平走査方向に複数配列したカラーフィルタを形成する。
ステップS54のセル組立工程では、ステップS50によって所定パターンが形成されたガラス基板と、ステップS52によって形成されたカラーフィルタとを用いて液晶パネル(液晶セル)を組み立てる。具体的には、例えばガラス基板とカラーフィルタとの間に液晶を注入することで液晶パネルを形成する。ステップS56のモジュール組立工程では、ステップS54によって組み立てられた液晶パネルに対し、この液晶パネルの表示動作を行わせる電気回路およびバックライト等の各種部品を取り付ける。
また、本発明は、半導体デバイス製造用の露光装置への適用に限定されることなく、例えば、角型のガラスプレートに形成される液晶表示素子、若しくはプラズマディスプレイ等のディスプレイ装置用の露光装置や、撮像素子(CCD等)、マイクロマシーン、薄膜磁気ヘッド、及びDNAチップ等の各種デバイスを製造するための露光装置にも広く適用できる。更に、本発明は、各種デバイスのマスクパターンが形成されたマスク(フォトマスク、レチクル等)をフォトリソグラフィ工程を用いて製造する際の、露光工程(露光装置)にも適用することができる。
なお、上述の実施形態では、露光装置に搭載された投影光学系に対して本発明を適用しているが、これに限定されることなく、他の一般的な結像光学系に対して本発明を適用することもできる。また、上述の実施形態では、いわゆるスキャン露光型の露光装置に搭載された投影光学系に対して本発明を適用しているが、これに限定されることなく、一括露光型の露光装置に搭載された投影光学系に対して本発明を適用することもできる。
さらに、上述の実施形態では、157nmの波長光を供給するF2 レーザー光源を用いているが、これに限定されることなく、たとえば248nmの波長光を供給するKrFエキシマレーザー光源や、193nmの波長光を供給するArFエキシマレーザー光源などの深紫外光源、146nmの波長光を供給するKr2 レーザー光源や126nmの波長光を供給するAr2 レーザー光源などの真空紫外光源、またg線(436nm)やi線(365nm)を供給する水銀ランプなどを用いることもできる。
結像光学系の像面座標および瞳面座標を説明する図である。 本発明の実施形態にかかる結像光学系の評価方法を適用する投影光学系を備えた露光装置の構成を概略的に示す図である。 収差分布の推定に用いた像面上の33個の計測点と、収差分布の推定に用いなかった11個の計測点とを示す図である。 本実施形態により得られた収差分布と、比較例により得られた収差分布とを示す図である。 半導体デバイスの製造工程を示すフローチャートである。 液晶表示素子等の液晶デバイスの製造工程を示すフローチャートである。
符号の説明
LS 光源
IL 照明光学系
R レチクル
RS レチクルステージ
PL 投影光学系
W ウェハ
WS ウェハステージ

Claims (9)

  1. 結像光学系の収差分布の評価方法において、
    前記収差分布を評価する関数として、前記結像光学系の瞳面座標と像面座標とにより定義されるフィールド−ツェルニケ関数を設定する工程と、
    前記結像光学系の像面上の複数の計測点で計測された収差に関する情報と、前記結像光学系が有する収差分布の特徴とに基づいて、前記フィールド−ツェルニケ関数の各関数項の係数を決定する決定工程とを含むことを特徴とする評価方法。
  2. 前記決定工程は、前記フィールド−ツェルニケ関数の各関数項を変量として前記結像光学系と同じタイプの結像光学系の収差分布の主成分分析を行う分析工程を含み、前記分析工程で得られた主成分を前記収差分布の特徴として用いることを特徴とする請求項1に記載の評価方法。
  3. 前記分析工程では、前記同じタイプの結像光学系として、前記結像光学系と同じ設計データに基づいて形成された結像光学系を用いることを特徴とする請求項2に記載の評価方法。
  4. 前記計測点の数は、前記フィールド−ツェルニケ関数の関数項の数よりも少なく、
    前記決定工程において前記収差分布の特徴として用いる前記主成分の数は、前記計測点の数以下であることを特徴とする請求項2または3に記載の評価方法。
  5. 前記収差に関する情報は、前記計測点で計測された波面収差の計測値であり、
    前記計測点の数は、前記波面収差の計測値を満たす前記フィールド−ツェルニケ関数の各関数項の係数の値の組合せが複数存在する条件であり、
    前記主成分の数は、前記主成分を用いて、前記波面収差の計測値を満たす前記フィールド−ツェルニケ関数の各関数項の係数の値の組合せが1つだけ存在する条件であることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載の評価方法。
  6. 前記主成分の数は、前記主成分を用いて、前記波面収差の計測値に対して残差が最小となる前記フィールド−ツェルニケ関数の各関数項の係数の値の組合せが1つだけ存在する条件であることを特徴とする請求項5に記載の評価方法。
  7. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の評価方法により得られた前記結像光学系の収差分布の評価結果に基づいて前記結像光学系を光学調整することを特徴とする調整方法。
  8. 所定のパターンを感光性基板に投影露光するための投影光学系として、請求項7に記載の調整方法により光学調整された結像光学系を備えていることを特徴とする露光装置。
  9. 請求項8に記載の露光装置を用いて、前記所定のパターンを前記感光性基板に露光する露光工程と、
    前記パターンが転写された前記感光性基板を現像し、前記パターンに対応する形状のマスク層を前記感光性基板の表面に形成する現像工程と、
    前記マスク層を介して前記感光性基板の表面を加工する加工工程とを含むことを特徴とするデバイス製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN114114853A (zh) * 2021-11-30 2022-03-01 南京诚芯集成电路技术研究院有限公司 一种筛选光学系统像差敏感度的方法

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