JP2009121486A - 燃料供給機構及びそれを備えたエンジン及び燃料供給方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】空気流路2に形成される混合気に、燃料Gの濃淡分布を発生させるように、供給孔32から空気流路2に燃料Gを供給し、燃焼部1がエンジン200の燃焼室21であると共に、空気流路2が燃焼室21に吸気口を介して酸素含有ガスAを供給する吸気路22であり、吸気路22の酸素含有ガスAの流れが停止している時期において、吸気路22に形成される混合気に、燃料Gの濃淡分布を発生させるように、供給孔32から吸気路22に燃料Gを供給する。
【選択図】図7
Description
従来、エンジンにおいて、燃焼室におけるNOxの生成量を低減する方法として、燃焼室に吸気する混合気の空気過剰率(空気比)を増加させ、燃焼室における燃料の燃焼温度を低下させる方法がある。また、NOxの生成量を低減する別の方法としては、排ガスの一部を吸気系に再循環させる方法、所謂EGRがあり、EGRは、不活性な排ガスの熱容量を利用して燃焼室における燃焼温度を低下させることによって、NOxの生成を低下させることができる。
また、EGRによる低NOx化は、再循環させた排ガスの容量分だけ、容積効率の低下をもたらし、且つ混合気の空気過剰率を増加させたときと同様に点火性能を低下させる。
しかし、このような層状吸気方式において、エンジン出力を増加させる場合は、燃焼室の外側に形成する希薄混合気の空気比を低下させる必要があるので、NOx生成の抑制効果が低減し、特に高出力においても低NOx化が実現できる技術が要求されている。
しかし、このような濃淡燃焼バーナの構成を、例えばエンジンに利用しようとすると、エンジンの吸気路を空気比が異なる複数の流路に分割するなどの複雑な構成となる。
本発明に係る燃料供給機構は、燃焼部に供給される酸素含有ガスが流通する空気流路に燃料を供給する供給孔を備え、前記空気流路に混合気を形成する燃料供給機構であって、
その特徴構成は、前記空気流路に形成される前記混合気に、前記燃料の濃淡分布を発生させるように、前記供給孔から前記空気流路に前記燃料を供給し、
前記燃焼部がエンジンの燃焼室であると共に、前記空気流路が前記燃焼室に吸気口を介して酸素含有ガスを供給する吸気路であり、
前記吸気路の前記酸素含有ガスの流れが停止している時期において、前記吸気路に形成される前記混合気に、前記燃料の濃淡分布を発生させるように、前記供給孔から前記吸気路に前記燃料を供給している点にある。
本発明の燃料供給機構においては、エンジンの吸気路等である空気流路に形成される混合気に、燃料の濃淡分布を発生させるように、供給孔から空気流路に燃料を供給するので、空気流路に形成される混合気は、夫々が微小である空気比が低い濃部と空気比が高い淡部とが、全体に渡って多数分布された状態となるので、その混合気が燃焼部にて燃焼することで、全体的に空気比を均一にしての濃淡分布が発生していない混合気よりも、淡部における燃焼速度低下により燃焼が緩慢になり、局所的な温度上昇を抑制できるので、NOxの生成を抑制することができる。
このような燃料供給機構を、前述のエンジンに利用することで、高出力運転を行っても、燃焼を緩慢なものに維持してノッキングの発生を抑制しながら、低NOx化を実現することができる。
また、本発明の燃料供給機構は、エンジンとしての予混合圧縮自着火エンジン等の吸気路に燃料を供給して、混合気を形成するものである。このようなエンジンは、吸気行程において吸気路の混合気が燃焼室に吸気され、その他の行程においては吸気路における酸素含有ガスの流れは停止している。そして、このようなエンジンに本発明の燃料供給機構を適用する場合に、本構成のごとく、吸気行程以外の吸気路の酸素含有ガスの流れが停止している時期に、吸気路に形成される混合気に濃淡分布が発生するように燃料を供給することで、吸気路における濃淡分布を有する混合気の混合状態を、燃料と空気との混合が抑制された混合抑制状態に維持することができ、このように濃淡分布を維持された混合気を、後の吸気行程において燃焼室に吸気することができる。燃焼室における燃焼を緩慢にして、局所的な温度上昇を抑制することができ、燃焼室におけるNOxの生成を抑制することができる。
従って、高出力運転を行っても安定した運転状態を維持しながら、低NOx化を図ることができるエンジン用の燃料供給機構を実現することができる。
即ち、予混合圧縮自着火エンジンは、燃料供給機構によって吸気路に形成された濃淡分布を有する混合気が燃焼室に吸気されるので、自着火時点の混合気を、燃料の酸素含有ガスに対する混合が抑制された混合抑制状態、所謂、燃料の濃淡分布が発生した燃料と酸素含有ガスの混合状態を不均一な状態とすることができる。そして、自着火時の燃焼室の混合気は、空気比が低い部分(濃部)と高い部分(淡部)が存在し、圧縮行程において、その混合気は、まず最初に濃部において着火し、その火炎が、隣接している淡部に伝播するというように燃焼するので、その自着火直後の燃焼速度を、均一な混合状態のときに比べて低下させることができ、結果、ノッキングを抑制することができる。
従って、混合気の空気比を比較的低くして高出力運転を行っても、燃焼部における燃焼状態を安定なものに維持しながら、全体的に希薄な混合気を燃焼させて低NOx化を図ることができる燃料供給機構を実現できる。
前記空気流路の酸素含有ガスの流速を検出する空気流速検出手段と、
前記混合気に前記濃淡分布を発生させるべく、前記空気流速検出手段の検出結果に基づいて、前記供給孔からの前記燃料の供給速度を設定する供給速度設定手段を備えるように構成することができる。
本発明の燃料供給機構においては、本構成のごとく、空気若しくは希薄混合気である酸素含有ガスがほぼ層流状態で流れる空気流路において、燃料を供給する供給孔の開口を酸素含有ガスの流れ方向の下流側に方向付けるとともに、供給速度設定手段によって、燃料の供給速度を空気流速検出手段により検出された酸素含有ガスの流速とほぼ同じものとして、供給孔から燃料を酸素含有ガスの流れに沿って供給することで、空気流路に、濃淡分布を有し、前記濃淡分布における前記燃料と前記酸素含有ガスとの混合状態が不均一な混合抑制状態の混合気を安定して形成することができる。即ち、供給された燃料は、酸素含有ガスの層流状態を乱すこと無く、酸素含有ガスの流れに沿って糸状に供給されることになり、燃料と酸素含有ガスとが混合され難くなる。よって、燃焼部に供給される混合気はほとんど混合が進んでいない混合抑制状態となり、さらに、混合抑制状態は時間的にほぼ安定したものとなる。
このような燃料供給機構を、前述のエンジンとしての予混合圧縮自着火エンジン等において利用することで、特に高出力運転を行っても、ノッキングの発生を抑制して運転状態を安定なものに維持しながら、全体的に希薄な混合気を燃焼させて低NOx化を図ることができる。
このような燃料供給機構を備えた燃焼機器においては、燃焼部における混合気の燃焼状態は、その混合気の空気比の他に前記濃淡分布における前記燃料と前記酸素含有ガスとの混合状態によって変化し、例えば混合気の全体的な燃焼速度は、その状態によって変化する。また、燃焼部における燃焼状態として混合気の空気比等を検出しながら、前記混合状態を調整して、燃焼部における燃焼状態を制御することが考えられる。
例えば、予混合圧縮自着火エンジンにおいて、混合気の空気比を低く設定し高負荷運転を行う場合は、前記濃淡分布における前記燃料と前記酸素含有ガスとの混合状態が不均一となる状態に調整して、燃焼室においてノッキングを回避して燃料を燃焼させ、逆に、空気比を高く設定し低負荷運転を行う場合は、混合状態が均一となる状態に設定して、燃焼室において低NOx燃焼を実現するように構成することができる。
また、給湯器用のバーナ装置であれば、異常音(共鳴音)の鳴り始めを検出した場合には、混合状態が不均一となる状態に調整して異常音の発生を回避する。
従って、簡単な構成で燃料の供給状態を調整して、燃焼部に供給される混合気の混合状態を簡単に調整することができる燃料供給機構を実現することができる。
また、燃料を間欠的に供給させるための開閉弁としてソレノイドバルブを使用することで、デジタル制御による高速な制御が可能となり、D−A変換器の必要もなくコスト的にも有利である。
前記空気流路における前記障害部材の設置状態を調整して前記乱流の発生状態を調整し、前記濃淡分布における前記燃料と前記酸素含有ガスとの混合状態を調整する混合状態調整手段を備えて構成することができる。
また、空気流路に形成される混合気の濃淡分布における混合状態を調整するために、本構成のごとく、供給孔に対する下流側に設けられた障害部材の設置状態を調整して、障害部材によって酸素含有ガスの流れに発生する乱流の発生状態を調整するように構成することができる。即ち、供給孔から酸素含有ガスの流れに沿って糸状に供給した燃料を、障害部材に衝突させて前記乱流によって混合すると共に、その乱流の発生状態を調整することで、燃料と酸素含有ガスとの混合状態を調整することができる。
例えば障害部材を酸素含有ガスの流れ方向に沿って動作可能に構成し、混合状態調整手段によって障害部材を供給孔に対して離間若しくは接近させ、燃焼部に供給される混合気の混合状態を調整する。即ち、供給孔に対して障害部材を離間させる側に動作させると、障害部材が燃焼部に近づき、燃料が障害部材において発生する乱流によって混合される混合時間が少なくなるので、燃焼部に供給される混合気の混合状態を不均一側に調整することができる。
また、障害部材を空気流路の酸素含有ガスの流れの直角方向に動作可能に構成し、混合状態調整手段によって障害部材の配置状態を調整して、酸素含有ガスに発生される乱流の場所を酸素含有ガスの流れの直角方向において変更することで、例えば供給孔に対する下流側から酸素含有ガスの流れの直角方向に離間させるように障害部材を動作させると、障害部材によって混合されずに、燃焼部に供給される混合気が増加するので、燃焼部に供給される混合気の混合状態を不均一側に調整することができる。
従って、簡単な構成で燃焼部に供給される混合気の混合状態を調整することができる燃料供給機構を実現することができる。
即ち、検出された動作状態が、ノッキング等が発生しやすい状態である動作状態である場合、燃焼室に吸気される混合気の混合状態を不均一なものに調整して、その混合気を燃焼室に吸気することで、自着火時点の燃焼室において空気比が低い部分(濃部)と高い部分(淡部)とを存在させることができる。よって、燃焼室において圧縮された混合気は、最初に濃部において着火し、その火炎が、隣接している淡部に伝播することとなるが、その自着火直後の燃焼速度は、均一な混合状態のときに比べて低下しており、結果、ノッキングを抑制することができる。
また、検出された動作状態が、ノッキング等が発生し難い状態である動作状態である場合、燃焼室に吸気される混合気の混合状態を均一なものに調整して、自着火燃焼時に燃料と酸素含有ガスの接触を強め、全体的に空気過剰状態で燃焼させることができるので、高効率且つ低NOx化を図ることができる。
本発明に係る燃料供給機構の更なる特徴構成は、前記吸気路における前記供給孔が設けられた前記吸気口までの混合気形成部の容積が、1サイクルにおいて前記燃焼室に吸気される吸気量に対して、80%から120%の範囲内に設定されている点にある。
本構成のごとく、吸気路において、本発明の燃料供給機構の吸気孔の最上流側端部から吸気口までに渡って形成される混合気形成部の容積を、1サイクル中の吸気行程において燃焼室に吸気される吸気量に対して、上記の範囲内に設定することで、吸気行程以外の吸気路の酸素含有ガスの流れが停止している時期において混合気形成部に形成された濃淡分布を有する混合気を、次の吸気行程で燃焼室に吸気することができ、燃焼室に吸気される混合気の濃淡分布における混合状態を、混合抑制状態に維持することができる。
よって、燃焼室に吸気される混合気を、好ましい状態で緩慢燃焼する程度の混合状態の濃淡分布を有するものに維持することができ、一層高出力時の安定運転及び低NOx化を向上することができる。
本発明に係る燃料供給機構更なる特徴構成は、前記供給孔の複数が、前記吸気路において前記酸素含有ガスの流れ方向に沿って分散配置され、
前記混合気に前記濃淡分布を発生させるべく、夫々の前記供給孔の前記燃料の供給方向が、互いに平行、且つ、前記吸気路の前記酸素含有ガスの流れ方向と交差する方向とされている点にある。
上記のようなエンジン用の燃料供給機構は、本構成のごとく、吸気路の混合気形成部等に酸素含有ガスの流れ方向に沿って分散配置された複数の供給孔により構成することができ、さらに、夫々の供給孔における燃料の供給方向が、互いに平行且つ酸素含有ガスの流れ方向に交差する方向(例えば酸素含有ガスの流れ方向に直角の方向)とすることで、酸素含有ガスの流れが停止している吸気路に夫々の供給孔から供給された燃料は、吸気路において互いに交じり合うことが殆どなく、吸気路を横断する方向に進むことになり、吸気路の酸素含有ガスの流れ方向において燃料が多く供給された縞状の濃部が形成され、隣接する濃部の間は、燃料の濃度が小さい縞状の淡部となる。よって、吸気路に濃淡分布を有する混合気を容易に形成することができ、このように形成された混合気は、上記の縞状の濃淡分布を維持しながら燃焼室に吸気されることになる。
本発明に係る燃料供給機構の更なる特徴構成は、前記供給孔から前記吸気路への前記燃料の供給を、吸気行程において遮断する遮断手段を備えている点にある。
エンジン用に構成された本発明の燃料供給機構は、吸気行程以外の吸気路の酸素含有ガスの流れが停止している時期に、吸気路に形成される混合気に濃淡分布を発生させ、特に吸気行程においては供給孔から吸気路への燃料供給を停止する必要はないが、本構成の如く、上記遮断手段を設けて、吸気行程における供給孔からの燃料供給を停止するほうが、酸素含有ガスの流れが停止する直後の吸気路には燃料が供給されておらず、酸素含有ガスの流れが停止されて始めて燃料が供給されるので、混合抑制状態を一層高めた濃淡分布を吸気路の混合気に形成することができ、一層高出力時の安定運転及び低NOx化を向上することができる。
まず、本発明でエンジンに採用する燃料供給機構10を適用したバーナ装置50について、図面に基づいて説明する。
図1に示すバーナ装置50は、ファン(図示せず)等によって燃焼部1に供給される空気A(酸素含有ガスの一例)が流通し、10mm×80mmの長方形の流路断面を有する空気流路2と、燃焼部1に表裏間において連通する複数の連通孔を有する燃焼面部材1aとを備えている。
そこで、制御装置15は、風速計12の検出結果に基づいて、燃料供給装置13を供給速度設定手段として働かせて、噴孔11aに供給する燃料Gの量を調整して、噴孔11aから供給される燃料Gの供給速度を空気Aの流速とほぼ同じ値に設定して、燃料Gを噴孔11aから空気流路2に供給する。
〈1〉 上述の燃料供給機構10において、燃焼部1に供給される混合気の濃淡分布における混合状態を調整する混合状態調整手段を備えることができ、その構成について、以下に説明する。
図2に示すバーナ装置50及び燃料供給機構10の基本構成は、上述の形態と同様であり、風速計12の検出結果に基づいて、噴孔11aに供給する燃料Gの量を調整して、噴孔11aから供給される燃料Gの供給速度を空気Aの流速とほぼ同じ値に設定することで、濃淡分布が発生し混合抑制状態の混合気を燃焼部1に供給し、燃焼部1において濃淡燃焼を行うものである。
また、この柱状体14は、駆動装置14aによって、空気流路2において空気Aの流れ方向にそって摺動可能となっており、柱状体14の位置は、噴孔11aに近い位置である位置aと、位置aよりも噴孔11aから離れた位置である位置bとにの間の任意の位置に設置することができる。
このように、空気流路2における柱状体14の位置を切り換えることで、柱状体14によって空気流路2に発生する乱流の発生状態を調整することができ、混合状態調整手段として、燃焼部1に供給される濃淡分布が発生し混合抑制状態の混合気の混合状態を調整することができる。即ち、柱状体14が位置aにある場合は、位置bにある場合と比べて、乱流が発生してから燃焼部1までの距離が長いので、燃料Gと空気Aとが混合される時間が長く、その下流側の燃焼部1に供給される混合気の混合状態は均一となる。
また、図3(ロ)の状態は、図3(イ)に比べて、スケールが大きい濃淡場(濃淡のピッチが大きい濃淡場)が形成されていることが判った。このような混合状態の調整を行うことにより、ブンゼンバーナ燃焼時における燃焼騒音やNOxの生成量を最小限に抑える制御が可能となる。
即ち、図4(イ)及び(ロ)に示すように、空気流路2に備えた柱状体14’を、駆動装置14a’空気流路2の空気Aの流れの直角方向に動作可能に構成し、混合状態調整手段として、制御装置15により柱状体14’の位置を、噴孔11aの軸線上の下流側の位置aと、位置aから空気Aの流れの直角方向に離間した位置bとに切り換えて、空気Aに発生される乱流の場所を空気Aの流れの直角方向において変更して、その乱流によって混合される燃料Gの量を調整する。
即ち、燃焼部1に混合状態が均一な混合気を供給する場合は、図4(イ)のように、柱状体14’を位置aにして、柱状体14によって供給された燃料Gのほとんどが柱状体14’おいて発生する乱流によって混合されるようにし、逆に、燃焼部1に不均一な混合状態の混合気を供給する場合は、図4(ロ)のように、柱状体14’を位置bにして、柱状体14’において発生する乱流によって混合されずに燃焼部1に供給される混合気を増加させる。
即ち、図5に示すように、空気流路2に備えた柱状体14”を、シリンダ機構部14a”によって噴孔11aの配設方向に突出自在に構成し、混合状態調整手段として、制御装置15によりシリンダ機構部14a”を働かせて柱状体14”の突出量を変化させ、複数の噴孔11aから供給される夫々の燃料Gのうち、柱状体14”により発生する乱流によって混合される燃料Gの量を変化させ、燃焼部1に供給される混合気の混合状態を調整することができる。即ち、燃焼部1に混合状態が均一な混合気を供給する場合は、柱状体14”の突出量を増加させ、
柱状体14”によって供給された燃料Gのほとんどが柱状体14”において発生する乱流によって混合されるようにし、逆に、燃焼部1に不均一な混合状態の混合気を供給する場合は、柱状体14”の突出量を減少させ、柱状体14”において発生する乱流によって混合されずに燃焼部1に供給される混合気を増加させる。
図6(イ)に示すように、燃料供給機構10は、燃料Gを空気流路2に供給するに、間欠供給手段として、燃料Gを間欠的に供給するように構成することができる。
さらに、燃料供給機構10は、燃料Gを間欠的に供給すると共に、単位時間あたりの供給回数である供給周波数H、若しくは1周期あたりの供給時間割合であるデューティー比Dを調整可能に構成することができる。
よって、例えば周波数を増加させた場合においては、燃料Gが供給されない時間T0が短くなって、燃料Gの供給は連続的な状態に近づくため、燃焼部1に供給される混合気の濃淡分布における混合状態は不均一側から均一側に変化させることができる。
また、空気Aに対する燃料Gの相対流速に基づく噴流のレイノルズ数を100未満に設定することが望ましく、空気流路2に好ましい状態で混合抑制状態の混合気を形成することができる。
さらに、噴孔11aを複数設けた構成を示したが、別に、空気流路2に1つの噴孔を設け、その噴孔11aに対して下流側に空気比が低い濃部を形成し、その周囲に空気比が高い淡部を形成しても構わない。
次に、本発明に係る燃料供給機構10の第1の実施の形態として、予混合圧縮自着火エンジン100について図面に基づいて説明する。
予混合圧縮自着火エンジン100は、図7に示すように、シリンダ6と、シリンダ6内に収容されてシリンダ6と共に燃焼室21を形成するピストン3とを備え、そのピストン3が、連接棒4を介してクランク軸18に連動連結されている。
前記シリンダ6には、吸気弁5を備えた吸気路22と、排気弁7を備えた排気路8とが連通され、吸気弁5と排気弁7を開閉動作させながら、燃焼室21において吸気、圧縮、燃焼・膨張、排気の諸工程を実行して、ピストン3の往復運動をクランク軸18の回転運動に変えて出力するように構成されている。
また、本発明の予混合圧縮自着火エンジンには、吸気路22に流通する空気A(酸素含有ガスの一例)に燃料Gを供給し混合気を形成する燃料供給機構10が設けられており、その特徴構成について以下に説明する。
このように、燃料Gの供給速度を空気Aの流速検出を伴って設定する手段を供給速度設定手段と呼ぶ。
このようにして燃料Gと空気Aとの混合状態が不均一な混合抑制状態の混合気を圧縮自着火させることにより、最初に濃部において着火して、その火炎が隣接している淡部に伝播する際に燃焼速度を低下させ、全体的な燃焼速度を低下させることで、ノッキングを抑制しながら高出力運転が可能となり、全体的に希薄な混合気を燃焼させることができるので、NOxの発生を抑制することができる。
そして、燃焼・膨張行程において、混合気の燃焼によって発生する高圧ガスによりピストン3が下降され、その後の排気行程において、排気弁7が開状態とされ、ピストン3の上昇に伴って、燃焼室21の排ガスが排気路8からエンジン100外へと排出される。
なお、そのときの運転条件は、下記の通りである。
ボア径 110mmφ
ストローク 106mm
圧縮比 17
燃料 都市ガス13A
燃料供給装置13は、燃料Gを吸気路22に供給するに、上述したものと同様に、間欠供給手段として、燃料Gを間欠的に供給すると共に、単位時間あたりの供給回数である供給周波数H、若しくは1周期あたりの供給時間割合であるデューティー比Dを調整可能に構成することができる。
また、上記のようなノッキング検出は、直接ノッキングセンサ等によって検出することもでき、さらに、エンジンの出力を検出し、ノッキングが発生しやすい出力条件を検出することもできる。
次に、本発明の第2の実施の形態として、都市ガス13Aである気体燃料を燃料Gとして利用したエンジン200について図面に基づいて説明する。
図8に示すエンジン200は、上記第2の実施の形態の予混合圧縮自着火エンジン100と同様の構成については説明を省略するが、吸気路22に流通する空気Aに燃料Gを供給し混合気を形成する燃料供給機構30が設けられており、吸気行程において吸気路22に形成された混合気を燃焼室21に吸気し、圧縮行程を経て、燃焼室21に設けられた点火プラグ45を働かせて混合気を点火し、燃焼・膨張、及び排気の諸行程を実行して、ピストン3の往復運動をクランク軸18の回転運動に変えて出力するように構成されている、所謂火花点火式エンジン(SIエンジン)である。
さらに、ケーシング部材31の内部には、筒状のケーシング部材31の周方向に渡って形成された燃料Gが最初に供給される室部を形成する整流部材34が設けられ、整流部材34内の室部に供給された燃料Gは、整流部材34の外側に設けられた複数の開口から、整流部材34の外側に流出し、その燃料Gはケーシング部材31の両端部と整流部材34の両端部との間を通って、供給孔32に到達する。また、ケーシング部材31内には、供給孔32が設けられた吸気路22の壁部と整流部材34との間に、筒状のパンチング板35が設けられており、パンチング板35により供給孔32に供給される燃料Gの流れ方向及び圧力等を整えることができる。
夫々の供給孔32から吸気路22への燃料Gの供給方向が、互いに平行、且つ、吸気路22の空気Aの流れ方向と直交する方向とされている。よって、吸気路22の空気Aの流れ方向で隣接する供給孔32における、燃料Gの供給方向は、互いに交わることがない。
即ち、吸気路22において、燃料供給機構30の吸気路22における最上流端部から吸気弁5までの混合気形成部49の容積が、一回の吸気行程において燃焼室21に吸気される吸気量に対して、ほぼ同等、即ち80%から120%の範囲内に設定されており、このように吸気路22に形成された濃淡分布を有する混合気は、その濃淡分布を維持した混合抑制状態のままで、次の吸気行程において燃焼室21に吸気されることになる。尚、吸気路22の流路条件等を最適化することで、吸気路22に形成された混合気の混合抑制状態を、燃焼室21まで維持することができるのであれば、上記混合気形成部49の容積の上記吸気量に対する割合を、上記数値範囲外としても構わない。
遮断弁41は、制御装置15により制御されており、詳しくは、供給孔32から吸気路22への燃料Gの供給を、吸気行程開始時点から、次の吸気行程開始時点に対して所定の燃料供給期間分前の時点まで遮断するように制御される。尚、前記所定の燃料供給期間は、1サイクルにおける吸気路22に供給する燃料Gの量によって決定されている。
さらに、調圧弁42は、夫々の供給孔32から吸気路22に供給される燃料Gの流速が、前記濃淡分布を発生するのに好ましい流速となるように、燃料Gの圧力を設定するように、制御装置15により調整される。
さらに、燃焼部へ供給される混合気の濃淡分布の混合抑制状態を緩和して、且つ燃焼部の燃焼負荷を増加させるために全体的に混合気の当量比を高くしたい場合や、濃淡分布における淡部が過度の希薄状態となると燃焼不良を起こし得るような場合には、本発明に係る燃料供給機構により燃料が供給される前の空気流路を流通する酸素含有ガスを、予め上流側にて混合された燃料と空気との混合気とし、その混合気に燃料を供給して濃淡分布を発生させるように構成しても構わない。
2 空気流路
10 燃料供給機構
11 ノズル
11a 噴孔
21 燃焼室(燃焼部)
22 吸気路(空気流路)
15 制御装置
30 燃料供給機構
32 供給孔
41 遮断弁(遮断手段)
49 混合気形成部
50 バーナ装置
100 予混合圧縮自着火エンジン
200 エンジン
A 空気(酸素含有ガス)
G 燃料
Claims (7)
- 燃焼部に供給される酸素含有ガスが流通する空気流路に燃料を供給する供給孔を備え、前記空気流路に混合気を形成する燃料供給機構であって、
前記空気流路に形成される前記混合気に、前記燃料の濃淡分布を発生させるように、前記供給孔から前記空気流路に前記燃料を供給し、
前記燃焼部がエンジンの燃焼室であると共に、前記空気流路が前記燃焼室に吸気口を介して酸素含有ガスを供給する吸気路であり、
前記吸気路の前記酸素含有ガスの流れが停止している時期において、前記吸気路に形成される前記混合気に、前記燃料の濃淡分布を発生させるように、前記供給孔から前記吸気路に前記燃料を供給することを特徴とする燃料供給機構。 - 前記吸気路における前記供給孔が設けられた前記吸気口までの混合気形成部の容積が、1サイクルにおいて前記燃焼室に吸気される吸気量に対して、80%から120%の範囲内に設定されている請求項1に記載の燃料供給機構。
- 前記供給孔の複数が、前記吸気路において前記酸素含有ガスの流れ方向に沿って分散配置され、
前記混合気に前記濃淡分布を発生させるべく、夫々の前記供給孔の前記燃料の供給方向が、互いに平行、且つ、前記吸気路の前記酸素含有ガスの流れ方向と交差する方向とされている請求項1又は2に記載の燃料供給機構。 - 前記供給孔から前記吸気路への前記燃料の供給を、吸気行程において遮断する遮断手段を備えた請求項1から3の何れか1項に記載の燃料供給機構。
- 吸気路に形成された混合気を、吸気口を介して燃焼室に吸気すると共に、前記燃焼室において前記混合気を着火させて、クランク軸の回転を維持するエンジンであって、
請求項1から4の何れか1項に記載の燃焼供給機構を、前記吸気路を前記空気流路とし、前記燃焼室を前記燃焼部として備えたエンジン。 - 前記燃焼室において前記混合気を圧縮自着火させる予混合圧縮自着火エンジンとして構成されている請求項5に記載のエンジン。
- エンジンの燃焼室に供給される酸素含有ガスが流通する吸気路に燃料を供給して、前記吸気路に混合気を形成する燃料供給方法であって、
前記吸気路に設けられ、前記酸素含有ガスの流れ方向に沿って分散配置された複数の供給孔から、互いに平行、且つ、前記吸気路の前記酸素含有ガスの流れ方向と交差する方向に方向付けて前記燃料を供給して、前記吸気路の前記酸素含有ガスの流れが停止している時期において、前記吸気路に形成される前記混合気に、前記燃料の濃淡分布を発生させることを特徴とする燃料供給方法。
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