JP2009121283A - 内燃機関の空燃比制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】アルコールを含んだ燃料で運転可能な内燃機関に適した空燃比制御により、暖機状態の変化に起因する空燃比ずれを抑制できる内燃機関の空燃比制御装置を提供する。
【解決手段】アルコールを含んだ燃料で運転可能な内燃機関1に適用され、目標空燃比に対する空燃比のずれを減少させる方向へ燃料噴射量を補正し、その補正量を制限するための補正ガード値を設定する。暖機完了後の運転が十分に行われる前に内燃機関1の運転を停止した特定履歴を記憶している場合は記憶していない場合に比べて燃料噴射量の補正量の大きさの制限が緩和されるように補正ガード値を拡大する。
【選択図】図1

Description

本発明は、アルコールを含んだ燃料で運転可能な内燃機関に適用される内燃機関の空燃比制御装置に関する。
内燃機関の空燃比制御装置として、空燃比学習値による燃料噴射量の補正度合いに制限を加えるガード値の大きさを、燃料による潤滑油の希釈の度合いに応じて変更するものが知られている(特許文献1)。また、給油があったことを検知すると、噴射量補正に関して設定されたリミッタを解除し、許容範囲を超えた補正を可能にした装置も知られている(特許文献2)。その他、本発明に関連する先行技術文献として特許文献3〜5が存在する。
特開2006−183570号公報 特開2003−120363号公報 特開平8−246920号公報 特開平2−9927号公報 特開2006−322401号公報
ところで、ガソリン機関をベースとしてアルコール燃料でもガソリンとアルコールとの混合燃料でも運転できる内燃機関が提案されており、そのような内燃機関を搭載した車両はフレキシブル・フューエル・ビークル(FFV)と呼ばれている。FFVに搭載される内燃機関はその燃料にアルコールが含まれているため、通常のガソリン機関とは異なる配慮が必要になる。アルコール混合燃料は低温での揮発性がガソリンよりも低いため、暖機完了前のショートトリップ、即ち暖機完了後の運転が十分に行われる前に運転を停止するような運転が行われる場合、ガソリンと比べて燃料が液状のままで潤滑油へ溶け込み易い。つまり、暖機完了前のショートトリップによる潤滑油の希釈による影響がガソリン機関の場合よりも顕著であり、暖機完了前に潤滑油に溶け込んだ燃料が暖機完了後に蒸発してブローバイガスとともに吸入されて空燃比ずれが発生する。
特許文献1又は2に記載された装置は、FFVに搭載される内燃機関の暖機状態の変化に伴う空燃比ずれまで考慮されていないので、そのような内燃機関に適した空燃比制御が実現できないおそれがある。
そこで、本発明は、アルコールを含んだ燃料で運転可能な内燃機関に適した空燃比制御により、暖機状態の変化に起因する空燃比ずれを抑制できる内燃機関の空燃比制御装置を提供することを目的とする。
本発明の内燃機関の空燃比制御装置は、アルコールを含んだ燃料で運転可能な内燃機関に適用される内燃機関の空燃比制御装置であって、目標空燃比に対する空燃比のずれを減少させる方向へ燃料噴射量を補正する噴射量補正手段と、前記噴射量補正手段による補正量を制限するための補正ガード値を設定するガード値設定手段と、暖機完了後の運転が十分に行われる前に前記内燃機関の運転を停止した特定履歴を記憶する運転履歴記憶手段と、を備え、前記ガード値設定手段は、前記運転履歴記憶手段が前記特定履歴を記憶している場合に前記噴射量補正手段に対する補正量の大きさの制限が緩和されるように、前記補正ガード値を拡大することにより、上述した課題を解決する(請求項1)。
この空燃比制御装置によれば、暖機完了後の運転が十分に行われる前に内燃機関の運転を停止した特定履歴が記憶されている場合には空燃比補正の補正ガード値が拡大される。これにより、内燃機関の暖機状態の変化により、潤滑油に溶け込んだアルコールを含む燃料が蒸発して空燃比が大きくずれた場合でも、補正ガードの制限により十分に補正できない事態を回避できる。そのため、暖機状態の変化に伴う空燃比のずれを速やかに減少させることができる。なお、補正ガード値は増量補正側の増量側ガード値と減量補正側の減量側ガード値とを含んでもよいが、その場合には減量側ガード値のみを拡大させてもよいし、これらの両方を拡大させてもよい。
本発明の空燃比制御装置の一態様において、前記運転履歴記憶手段は、暖機完了前の前記内燃機関の運転時間に相関する履歴変数値を前記特定履歴として記憶するとともに、暖機完了後の前記内燃機関の運転時間に基づいて前記履歴変数値を減少させ、前記ガード値設定手段は、前記履歴変数値が所定レベルに低下するまでの間、前記補正ガード値の拡大を続行してもよい(請求項2)。暖機完了前の運転時間が長くなれば、それだけ燃料が潤滑油に溶け込む量(燃料希釈量)が増加する関係が成り立つ。そして暖機完了後の運転時間の経過とともに燃料希釈量は減少していく。この態様によれば、暖機完了前の運転時間に相関する履歴変数値を暖機完了後の運転時間に基づいて減少させ、その履歴変数値が所定レベルに低下するまでの間、補正ガード値の拡大が続行される。そのため、燃料希釈量の変化を正確に捉えつつ、燃料希釈の影響がある間は補正ガード値の拡大が維持される。これにより、空燃比ずれを抑制できる期間を確実に確保でき、空燃比制御の制御性が向上する。
この態様において、前記ガード値設定手段は、前記噴射量補正手段による減量補正側の制限が前記履歴変数値が大きいほど緩和されるように、前記履歴変数値に応じて前記補正ガード値を拡大してもよい(請求項3)。この場合、履歴変数値の大きさ、即ち燃料希釈量の大きさに見合うように補正ガード値が拡大されるので、必要以上に補正ガード値が拡大されることを防止できる。
本発明の空燃比制御装置の一態様において、前記ガード値設定手段は、前記補正ガード値を、前記運転履歴記憶手段が前記特定履歴を記憶していない場合は通常値に、前記運転履歴記憶手段が前記特定履歴を記憶している場合は前記通常値よりも大きい緩和値にそれぞれ切り替えてもよい(請求項4)。この態様は、少なくとも二種類の補正ガード値を設定すれば済むので制御内容を簡素化できる。
本発明の空燃比制御装置の一態様において、前記内燃機関の油温に基づいて暖機完了後を判定する暖機完了判定手段と、前記内燃機関の水温に基づいて暖機完了前を判定する暖機未了判定手段と、を更に備えてもよい(請求項5)。内燃機関の水温は吸気ポート壁温、シリンダ壁温と相関があるので、水温に基づいて暖機完了前か否かを判定することにより、燃料が液体の状態で潤滑油に溶け込む状況を正確に捉えることができる。そして、内燃機関の油温に基づいて暖機完了後か否かを判定することにより、潤滑油内の燃料が蒸発する状況を正確に捉えることができる。これにより、空燃比制御が一層正確なものになる。
なお、本発明の空燃比制御装置において、補正ガード値を拡大するとは、その拡大を十分に行うことにより実質的に補正量に対する制限を解除することも含む。
以上説明したように、本発明によれば、暖機完了後の運転が十分に行われる前に内燃機関の運転を停止した特定履歴が記憶されている場合には空燃比補正の補正ガード値が拡大される。これにより、内燃機関の暖機状態の変化により、潤滑油に溶け込んだアルコールを含む燃料が蒸発して空燃比が大きくずれた場合でも、補正ガードの制限により十分に補正できない事態を回避できる。そのため、暖機状態の変化に伴う空燃比のずれを速やかに減少させることができる。
(第1の形態)
図1は本発明の制御装置が適用された内燃機関の要部を示している。内燃機関1は筒内直接噴射式内燃機関として構成されている。内燃機関1は不図示の車両の走行用動力源として搭載されており、その車両はFFVとして構成されている。内燃機関1は一方向に並ぶ4つ(図では1つ)の気筒2が形成されたシリンダブロック3と、各気筒2の開口部が塞がれるようにしてシリンダブロック3に取り付けられたシリンダヘッド4とを備える。各気筒2にはピストン5が往復動可能な状態で挿入されており、各ピストン5はコンロッド6を介してクランクシャフト7に連結されている。
内燃機関1の吸気通路8には、吸気を濾過するエアクリーナ9と、吸入空気量に応じた信号を出力するエアフローメータ10と、吸入空気量を調整するスロットルバルブ11とがそれぞれ設けられている。吸気通路8は各気筒2に吸気を分配する吸気マニホールド12と、気筒2毎に設けられて吸気マニホールド12に接続される吸気ポート13とを含む。排気通路14には酸素濃度に応じた信号を出力するO2センサ15と、排気浄化のための触媒コンバータ16とがそれぞれ設けられている。排気通路14は気筒2毎に設けられた排気ポート17と、各排気ポート17を集合する排気マニホールド18とを含む。シリンダヘッド4には吸気ポート13を開閉する吸気バルブ19と、排気ポート17を開閉する排気バルブ20とが設けられており、これらのバルブ19、20はカム等を含んだ動弁機構21にて、クランクシャフト7と同期して開閉駆動される。
各気筒2には燃料噴射弁22及び点火プラグ23がそれらの先端を気筒2内に臨ませるようにしてシリンダヘッド4にそれぞれ取り付けられている。燃料噴射弁22にて燃料が各気筒2へ噴射されると気筒2内に混合気が形成され、その混合気は点火プラグ23の火花により着火して燃焼する。その燃焼によりクランクシャフト7が回転駆動される。燃焼後の排気は排気通路14に導かれ、触媒コンバータ16にて浄化された後に不図示のマフラーを介して大気へ放出される。内燃機関1の燃料としては、アルコールを含む燃料、即ちアルコール燃料又はアルコール燃料とガソリンとの混合燃料を使用できる。
シリンダブロック3の下部3aは潤滑油24を溜めるオイルパン25にて塞がれており、その下部3aとオイルパン25との組み合わせはクランクシャフト7を収容するクランクケース26を構成する。内燃機関1にはクランクケース26内に吹き込んだブローバイガスを吸気通路8へ導いてクランクケース26を換気するポジティブクランクケースベンチレーション装置(PCV装置)27が設けられている。
内燃機関1においては、暖機完了前の状態(冷間時)が典型的であるが、そのような状態で燃料噴射弁21にて燃料が噴射された場合、気筒2の内周壁(シリンダ壁)に燃料が付着して液体のまま潤滑油と混ざり合い、燃料を含んだ潤滑油がピストン5の往復運動に伴ってオイルパン25に掻き落とされる。これより、潤滑油が燃料にて希釈されるいわゆる燃料希釈が生じる。内燃機関1はアルコールを含む燃料を使用するため、ガソリン機関の場合よりも気筒2内で気化し難い。そのため、内燃機関1はガソリン機関よりも燃料希釈が起り易い。特に、内燃機関1は筒内直接噴射式の内燃機関であるので、アルコールを含む燃料を吸気ポートに噴射するポート噴射式内燃機関の場合よりも更に燃料希釈が顕著なものとなる。
潤滑油24に溶け込んだ燃料は、内燃機関1の暖機が進むに従って、つまり油温の上昇に従ってクランクケース26内に蒸発し、その燃料がPCV装置27を介して吸気通路8に導かれる。蒸発した燃料が気筒2に吸入されることにより、目標空燃比(例えば理論空燃比)に対する空燃比のずれが生じる。内燃機関1はそのような空燃比のずれを減少させるためエンジンコントロールユニット(ECU)30にて以下に説明する空燃比制御が行われる。ECU30には内燃機関1の制御に必要な情報を取得するために内燃機関1や車両の各所に設けられた種々のセンサが電気的に接続される。ECU30に接続されるセンサは上述したエアフローメータ10及びO2センサ15の他に、内燃機関1の回転速度(回転数)に応じた信号を出力するクランク角センサ31、内燃機関1の水温に応じた信号を検出する水温センサ32、潤滑油24の温度(油温)に応じた信号を出力する油温センサ33等がある。なお、ECU30は空燃比制御の他、内燃機関1の運転状態を適正に保持するための各種制御を実行しているが、以下の説明では本発明に関連する制御の言及に留める。
空燃比制御は図2〜図4に示す各ルーチンをECU30が所定周期で繰り返し実行することにより実現される。ECU30は各気筒2に導かれる混合気の空燃比を目標空燃比に保持させるように燃料噴射量を補正する。ECU30は内燃機関1の回転数や負荷をクランク角センサ31及びエアフローメータ10の出力信号に基づいて最終的に気筒2内へ噴射する燃料噴射量の基礎となる基本噴射量を算出するとともに、その基本噴射量に後述するフィードバック補正係数やその他の係数を乗じることにより最終的な燃料噴射量を決定している。
(燃料噴射制御)
図2は燃料噴射制御の制御ルーチンの一例を示している。図2に示すように、ECU30はステップS1で内燃機関1の運転状態として回転数Neと、吸入空気流量Gaとをクランク角センサ31及びエアフローメータ10のそれぞれの出力信号に基づいて取得する。次に、ステップS2において、これらの運転状態に応じた基本噴射量Qbaseを算出する。次に、ステップS3においてO2センサ15の出力電圧を取得し、続くステップS4において、目標空燃比に対応付けられた目標電圧とO2センサ15の出力電圧とを比較して空燃比が目標空燃比よりもリッチ側にあるかリーン側にあるかを判定するとともに目標電圧と出力電圧との偏差を特定する。
続くステップS5では、目標電圧と出力電圧との偏差に応じてフィードバック補正係数FAFを算出する。フィードバック補正係数FAFはメイン目標電圧とO2センサ15の出力電圧とが一致したときに1.0に設定される。出力電圧が目標電圧よりも大きい場合、つまり空燃比が目標空燃比よりもリッチ側にずれたときフィードバック補正係数FAFは1.0よりも小さい値に設定され、出力電圧が目標電圧よりも小さい場合、つまり空燃比が目標空燃比よりもリーン側にずれたときフィードバック補正係数FAFは1.0よりも大きい値に設定される。いずれにせよ、フィードバック補正係数FAFは1.0を中心として空燃比の変動を打ち消すように制御される。また、この処理においては、空燃比が目標空燃比に対してリーン側からリッチ側へ変化したときに前回処理で算出したフィードバック補正係数FAFから所定のステップ量だけ減少させ、かつ空燃比が目標空燃比に対してリッチ側からリーン側へ変化したときにそのフィードバック補正係数FAFから所定のステップ量だけ増加させる。
次に、ステップS6においては、ステップS5で算出したフィードバック補正係数FAFと補正ガード値Gとを比較する。補正ガード値Gは、フィードバック補正係数FAFに基づいた燃料噴射量の補正量を制限するためのものであり、増量補正側の増量側ガード値GHと減量補正側の減量側ガード値GLとを含む。続くステップS7では、ステップS6の比較の結果、フィードバック補正係数FAFが増量側ガード値GHを超えているか又は減量側ガード値GLを下回るか否かを判定し、そのような場合はステップS8に進んでフィードバック補正係数FAFを増量側ガード値GH又は減量側ガード値GLに設定し、そうでない場合はステップS8をスキップしてステップS9に進む。これにより燃料噴射量の補正量は補正ガード値Gを超えて設定されることが防止される。補正量ガード値Gは、図2のルーチンと並行して実行される後述の補正ガード値設定処理によって適時に変更される。
ステップS9においては、最終的な燃料噴射量Qを算出する。燃料噴射量Qは上述したように基本噴射量Qbaseにフィードバック補正係数FAF及びその他の係数Δをそれぞれ乗じることにより算出される。即ち、燃料噴射量Qは、式:Q←Qbase×FAF×Δに基づいて算出される。係数Δには目標空燃比に対する実空燃比の定常的なずれを補償するための空燃比学習値等が含まれる。
次に、ステップS10においては、ステップS9で算出した燃料噴射量Qの燃料が噴射されるように、燃料噴射弁21を制御して今回のルーチンを終える。
図2のルーチンを実行することにより、ECU30は本発明に係る噴射量補正手段として機能する。
(運転履歴記憶処理)
ECU30は、内燃機関1の空燃比ずれに影響を与える運転履歴、特に未暖機のショートトリップが行われた特定履歴を上述した補正ガード値の設定に反映させるため、内燃機関1の運転履歴を記憶する運転履歴記憶処理を、図2の燃料噴射制御と並行して所定周期で繰り返し実行している。図3は運転履歴記憶処理の一例を示したフローチャートである。まず、ステップS11において、ECU30は運転履歴記憶処理の前回の演算時に内燃機関1が始動完了後の状態(始動後状態)であったか否かを判定する。その始動後状態の記憶は後述のステップS13にて行われる。始動後状態でない場合、つまり前回の演算時において内燃機関1の始動前又は始動中の場合は、ステップS12に進み内燃機関1の回転数Neが始動完了判定値(例えば400rpm)以上であるか否かを判定する。回転数Neが始動完了判定値以上の場合はステップS13に進み、そうでない場合はステップS16に進む。
ステップS13では内燃機関1の始動が完了したこと、即ち始動後状態を記憶する。例えば、その記憶は始動後状態の有無を管理するフラグをECU30が内蔵する記憶装置の所定領域に割り当てて、そのフラグの値を記憶させることにより実現できる。続くステップS14では、水温センサ32の出力信号を参照して、内燃機関1の水温Tpwが暖機未了判定値(例えば40℃)未満であるか否かを判定する。水温Tpwが暖機未了判定値未満の場合はステップS15に進み、そうでない場合はステップS16に進む。
ステップS15では、暖機完了前の運転時間を管理するための未暖機履歴カウンタCをインクリメントし、ステップS16に進む。カウンタCの値は、順次更新されるとともに内燃機関1の停止後にもリセットされずに保持できるようになっている。例えば、ECU30が持つ不揮発性の記憶装置にカウンタCの値が記憶される。これにより、暖機完了前の運転時間に応じてカウンタCの値が増えてゆくので、カウンタCの値が本発明に係る履歴変数値に相当する。
ステップS11で前回演算時に始動後状態であったと判定した場合は、ステップS17に進み、油温センサ33の出力信号を参照して、内燃機関1の油温Tpoが暖機完了判定値(例えば60℃)以上であるか否かを判定する。油温Tpoがその判定値未満の場合は暖機完了前であるため、処理をステップS14に進める。一方、油温Tpoが判定値以上の場合はステップS18に進み、暖機完了後の運転時間を管理する変数である暖機後運転時間Timeをインクリメントする。このインクリメントの一単位は運転履歴記憶処理の演算周期に応じて設定される。続くステップS19では、暖機後運転時間Timeが所定時間(例えば5min)以上か否かを判定する。この所定時間は、潤滑油に溶け込んだ燃料が暖機後の運転により所定量蒸発するまでの時間に基づいて設定される。暖機後運転時間Timeが所定値以上の場合は、所定量の燃料が潤滑油から蒸発したものと考えられるので、未暖機履歴カウンタCの値をデクリメントしてステップS16に進む。このデクリメントでは、カウンタCの値が0以下にならないようにガードが設定されている。ステップS16では暖機後運転時間Timeをクリアし、その後今回のルーチンを終える。一方、暖機後運転時間Timeが所定値未満の場合は、ステップS16をスキップして今回のルーチンを終える。
図3のルーチンを繰り返し実行することにより、暖機完了前の運転時間に応じて未暖機履歴カウンタCの値が増加し(S14→S15)、暖機完了後の運転時間に応じてそのカウンタCの値が減少する。つまり、暖機後の運転が続くと所定時間(5min)毎にカウンタCの値が減少する(S19→S20→S16)。そのため、内燃機関1の暖機状態の変化(水温、油温の変化)に相関する燃料希釈量の現在の状態を内燃機関1の運転履歴を踏まえながら正確に把握することができる。
図3のルーチンを実行することにより、ECU30は本発明に係る運転履歴記憶手段として機能する。また、ECU30は、図3のステップS14を実行することにより、暖機未了判定手段として、図3のステップS17を実行することにより、暖機完了判定手段として、それぞれ機能する。
(補正ガード値設定処理)
ECU30は燃料希釈量の状態を考慮して、図2のルーチンで使用される補正ガード値Gを算出するため、図4に示す補正ガード値設定処理を行う。図4のルーチンは、図2及び図3のルーチンと並行して所定周期で繰り返し実行される。まず、ECU30はステップS21において、未暖機履歴カウンタCの値を読み込む。次にステップS22では燃料が溶け込んだ潤滑油の燃料濃度を推定する。この推定は、例えば図5に示すようにカウンタCを変数として燃料濃度を与えるマップをECU30に記憶させておき、ECU30がそのマップを適時参照することにより実現することができる。図5のマップはカウンタCが大きいほど燃料濃度が高くなるようにカウンタCと燃料濃度とが関係付けられている。
次に、ステップS23では、補正ガード値Gを算出し、その後今回のルーチンを終了する。ここでは、補正ガード値Gのうち減量側ガード値BLの算出のみを説明する。なお、増量側ガード値BHは予め定めた定数でもよいし、内燃機関1の運転状態に応じて変化させることも可能である。減量側ガード値BLの算出は、例えば図6に示すように燃料濃度を変数として減量側ガード値BLを与えるマップをECU30に記憶させておき、ECU30がそのマップを適時参照することにより実現することができる。図6のマップは、燃料濃度が高いほど減量側ガード値BLが大きくなるように、つまり減量補正に対する制限がより緩和されるように、燃料濃度と減量側ガード値BLとが関係付けられている。
そして、図5のマップはカウンタCが0の場合は燃料濃度の値として0を与え、図6のマップは燃料濃度が0の場合は所定値Aを与える。従って、カウンタCの値が所定レベルに低下するまで、ここではカウンタCが0に低下するまでは、減量側ガード値BLの拡大が続行されることになる。なお、この形態ではカウンタCに基づいて燃料濃度を推定し、その燃料濃度に基づいて減量側ガード値BLを算出しているが、カウンタCに基づいて減量側ガード値BLを直接的に算出することもできる。その推定はカウンタCと減量側ガード値BLとの対応関係を実験的に調査し、カウンタCを変数として減量側ガード値BLを与えるマップを準備することにより実現できる。
以上の各ルーチンを並行して実行する本形態によれば、暖機完了後の運転が十分に行われる前に内燃機関1の運転を停止した特定履歴が記憶されている場合、即ちカウンタCの値が0よりも大きい値として記憶されている場合には減量側ガード値BLが拡大され、そのガード値BLを用いて燃料噴射量が減量補正される。そのため、内燃機関1の暖機状態の変化により、潤滑油に溶け込んだ燃料が蒸発して空燃比がリッチ側に大きくずれた場合でも、減量側ガード値BLの制限により十分に補正できない事態を回避できる。これにより暖機状態の変化に伴う空燃比のずれを速やかに減少させることができる。また、カウンタCの値が大きいほど減量側ガード値BLが拡大されて制限が緩和されるため、燃料希釈量に見合うように減量側ガード値が拡大される。これにより必要以上に減量側ガード値が拡大することを防止できる。更に、未暖機履歴カウンタCが0に低下するまでの間、減量側ガード値BLの拡大が続行される。そのため、燃料希釈量の変化を正確に捉えつつ、燃料希釈の影響がある間は減量側ガード値BLの拡大が維持される。これにより、空燃比ずれを抑制できる期間を確実に確保でき、空燃比制御の制御性が向上する。
また、内燃機関1が暖機完了前か否かをポート壁温やシリンダ壁温と相関する水温に基づいて判定しているので、燃料が液体の状態で潤滑油に溶け込む状況を正確に捉えることができる。そして、内燃機関1の油温に基づいて暖機完了後か否かを判定しているため潤滑油内の燃料が蒸発する状況を正確に捉えることができる。これにより、空燃比制御が一層正確なものになる。
図4のルーチンを実行することにより、ECU30は本発明に係るガード値設定手段として機能する。
(第2の形態)
次に、本発明の第2の形態を図7を参照して説明する。第2の形態では、補正ガード値設定処理を除き第1の形態と共通であるので、以下においては特徴部分のみを説明し、共通部分の説明を省略する。図7は第2の形態に係る補正ガード値設定処理の一例を示したフローチャートである。この設定処理は減量側ガード値BLの設定にあたり、未暖機履歴カウンタCの値に基づいて二種類の値に切り替えることに特徴がある。この処理は上述した図2及び図3のルーチンと並行してECU30にて所定周期で繰り返し実行される。これにより、ECU30は本発明に係る噴射量補正手段、ガード値設定手段、運転履歴記憶手段、暖機未了判定手段及び暖機完了判定手段としてそれぞれ機能する。
まず、ECU30はステップS31において、減量ガード値BLを予め定められた通常値αに設定する。続くステップS32では未暖機履歴カウンタCが0でないか否か、換言すれば、カウンタCの値が所定レベルとしての0にまで減少したか否かを判定する。カウンタCが0でない場合(Yes)は、無視できない燃料希釈が生じているはずなので、ステップS33に進んで減量ガード値BLを通常値αよりも大きな値として予め定められた緩和値βに設定し、今回のルーチンを終える。一方、カウンタCが0である場合(No)は、減量側ガード値BLの設定を通常値αに維持した状態でステップS33をスキップして今回のルーチンを終える。
第2の形態によれば、カウンタCの値が所定レベルに低下するまでの間、減量側ガード値BLが緩和値βに設定されるため、燃料希釈の影響を受ける間は減量側ガード値BLの拡大が続行される。これにより、内燃機関1の暖機状態の変化により、潤滑油に溶け込んだ燃料が蒸発して空燃比がリッチ側に大きくずれた場合でも、減量側ガード値BLの制限により十分に補正できない事態を回避できる。また、本形態は、少なくとも二種類の値をカウンタCの値に基づいて設定すれば済むため制御内容を簡素化できる。なお、本形態はカウンタCのレベルを多段階に設定し、減量側ガード値BLの値をそれらのレベルに基づいて3種類以上の値に切り替えることも可能である。
本発明は以上の形態に限定されず、本発明の要旨の範囲内において種々の形態にて実施できる。例えば、内燃機関1は筒内直接噴射式内燃機関として構成されているが、本発明の制御装置を、アルコールを含む燃料を吸気ポートに噴射するポート噴射式内燃機関に適用することもできる。
また、第2の形態における緩和値βを、第1の形態のように燃料濃度或いはカウンタCの値に応じて変化させて、通常時αと緩和値βとを切り替えるようにしてもよい。
本発明の制御装置が適用された内燃機関の要部を示した図。 燃料噴射制御の制御ルーチンの一例を示したフローチャート。 運転履歴記憶処理の一例を示したフローチャート。 補正ガード値設定処理の一例を示したフローチャート。 未暖機履歴カウンタCを変数として燃料濃度を与えるマップの一例を示した図。 燃料濃度を変数として減量側ガード値BLを与えるマップの一例を示した図。 第2の形態に係る補正ガード値設定処理の一例を示したフローチャート。
符号の説明
1 内燃機関
30 ECU(噴射量補正手段、ガード値設定手段、運転履歴記憶手段)
C 未暖機履歴カウンタ(特定履歴、履歴変数値)
G 補正ガード値
GL 減量側ガード値
GH 増量側ガード値
Tpw 水温
Tpo 油温
α 通常値
β 緩和値

Claims (5)

  1. アルコールを含んだ燃料で運転可能な内燃機関に適用される内燃機関の空燃比制御装置であって、
    目標空燃比に対する空燃比のずれを減少させる方向へ燃料噴射量を補正する噴射量補正手段と、前記噴射量補正手段による補正量を制限するための補正ガード値を設定するガード値設定手段と、暖機完了後の運転が十分に行われる前に前記内燃機関の運転を停止した特定履歴を記憶する運転履歴記憶手段と、を備え、
    前記ガード値設定手段は、前記運転履歴記憶手段が前記特定履歴を記憶している場合に前記噴射量補正手段に対する補正量の大きさの制限が緩和されるように、前記補正ガード値を拡大することを特徴とする内燃機関の空燃比制御装置。
  2. 前記運転履歴記憶手段は、暖機完了前の前記内燃機関の運転時間に相関する履歴変数値を前記特定履歴として記憶するとともに、暖機完了後の前記内燃機関の運転時間に基づいて前記履歴変数値を減少させ、前記ガード値設定手段は、前記履歴変数値が所定レベルに低下するまでの間、前記補正ガード値の拡大を続行する請求項1に記載の空燃比制御装置。
  3. 前記ガード値設定手段は、前記噴射量補正手段による減量補正側の制限が前記履歴変数値が大きいほど緩和されるように、前記履歴変数値に応じて前記補正ガード値を拡大する請求項2に記載の空燃比制御装置。
  4. 前記ガード値設定手段は、前記補正ガード値を、前記運転履歴記憶手段が前記特定履歴を記憶していない場合は通常値に、前記運転履歴記憶手段が前記特定履歴を記憶している場合は前記通常値よりも大きい緩和値にそれぞれ切り替える請求項1に記載の空燃比制御装置。
  5. 前記内燃機関の水温に基づいて暖機完了前を判定する暖機未了判定手段と、前記内燃機関の油温に基づいて暖機完了後を判定する暖機完了判定手段と、を更に備える請求項1〜4のいずれか一項に記載の空燃比制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011122543A (ja) * 2009-12-11 2011-06-23 Toyota Motor Corp 内燃機関のオイル希釈判定装置及び内燃機関制御装置
JP2015168379A (ja) * 2014-03-10 2015-09-28 マツダ株式会社 ハイブリッド車の制御装置

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