JP2009121208A - 任意位置へプレストレス導入可能なプレストレス力導入装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】後端部にストッパ8を備えた異径スリーブを有する支承ホルダー20とこれに間隔をおいて先端側に配置されたエンドホルダー22との間に、中空鋼棒1とその内側に配置される中実鋼棒とを備え、基端側の支承ホルダーおよび先端側のエンドホルダーで中実鋼棒を反力体として中空鋼棒に導入されている緊張力を保持し、支承ホルダー20による定着を解放してコンクリートにプレストレスを導入する中空鋼棒を備えたプレストレス力導入装置で、支承ホルダー20およびエンドホルダー22から間隔をおいて離れた任意の中間位置に、中間ナット19を設け、エンドホルダー22よりの中間ナット19とエンドホルダー22間を中空鋼棒とコンクリートとの付着が可能なボンド区間とし、それ以外の中空鋼棒を含む部分にアンボンド被覆を設けてアンボンド区間とした。
【選択図】図1
Description
このようなプレストレス力導入装置は、特許文献3〜7に記載されているように公知である。これらのプレストレス力導入装置の共通の構成は、図12に示すように、反力体として中実の反力PC鋼棒13とその外側に配置される中空PC鋼棒1を備え、また、先端部にエンドホルダー22およびアンカー材15を備え、基端側に支承ホルダー20およびアンカーナット16を備え、一定の定尺長で使用する定尺長のプレストレス力導入装置18である。
底版25と側壁最下端部26aとのプレストレスを導入して接合する箇所は、側壁最下端部26の上端高さレベルよりも下位のレベルで接合するほうが、確実にプレストレスを導入した状態で確実に接合することができる利点がある。しかし、前記のような接合をすることができないために、図13(b)に示すように、プレストレス力導入装置18のプレストレス導入可能な長さとほぼ同様な高さまで、第1ブロックの側壁28を構築して、第1ブロックの側壁28の強度を発現後に、定尺長のプレストレス力導入装置18の支承ホルダー20を後退移動して、第1ブロックの側壁28と底版25とに、プレストレスを導入して結合一体化するようにならざるを得ない。
すなわち、従来の定尺長のプレストレス力導入装置18の場合は、そのほぼ全長を使用してコンクリート部材にプレストレスを導入する使用方法の装置であった。
図13(b)に示す形態では、第1ブロックの側壁28の強度発現後でないと、次の第2ブロックの側壁29の施工ができない。
前記のような工法として、梁部材内にPCケーブルあるいはPC鋼棒のみからなるPC鋼材とボンドシースとアンボンドシースとを使用して、PC鋼材の中間部に部分的にアンボンド部を設けることは知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、柱部材内にPCケーブルあるいはPC鋼棒のみからなるPC鋼材とボンドシースとアンボンドシースとを使用して、PC鋼材の中間部に部分的にアンボンド部を設けることは知られている(例えば、特許文献1参照)。
前記のように部分的にアンボンド部を設ける目的は、PC部材の耐震設計を意図した崩壊型に基づいた靭性依存型の耐震設計法とするためで、ヒンジ発生の想定される部位には、強度とともに要求される塑性変形能力(靱性)を確保するようにしている。前記のパーシャルアンボンド工法は、ボンド方式およびアンボンド方式のそれぞれの利点を生かし、欠点を解消する工法である。
前記のパーシャルアンボンド工法は、PC鋼材中の任意のPC鋼材の任意の区間をコンクリート製母部材と付着のないアンボンド状態とし、すなわち前記ボンド方式およびアンボンド方式のそれぞれ欠点を、これらの方式を巧みに組み合わせることにより、各方式の欠点を解消し、PC部材の変形性能を改善する工法である。
一方、反力体としての押し込み用中実鋼棒と中空鋼棒とを備えたプレストレス力導入装置では、これまで部分的にアンボンド部を設ける例は知られていない。
なお、硬化性遅延性を有するセメント系グラウト塑性物およびそのようなグラウト塑性物を、シース内面とその内側に配置される鋼材との間に充填することは知られている(例えば、特許文献2参照)。
一方、反力体としての押し込み用中実鋼棒と中空鋼棒とを備えたプレストレス力導入装置では、これまで部分的にアンボンド部を設ける例は知られていない。
また、中空鋼材とその内側に配置される反力体としての中実鋼材を備えたプレストレス力導入装置については知られているが、そのようなプレストレス力導入装置でも、アンボンド部とボンド部を自由に設けるようにできると、コンクリート構造物の接合構造が格段に簡単になり、施工も容易で、施工の自由度が向上し、施工性もよくなるため望まれる。すなわち、前記のようなプレストレス力導入装置についても、アンボンド部とボンド部を備えたプレストレス力導入装置、特に任意の区間にプレストレスを導入することが可能プレストレス力導入装置であることが望まれる。
本発明は、前記のような課題を解消し、前記のような要望を満足し、任意の区間にプレストレスを導入することが可能なプレストレス力導入装置を提供することを目的とする。
また、第2発明のプレストレス力導入装置においては、後端部にストッパを備えた異径スリーブを有する支承ホルダーとこれに間隔をおいて先端側に配置されたエンドホルダーとの間に、中空鋼棒とその内側に配置される中実鋼棒とを備え、基端側の支承ホルダーおよび先端側のエンドホルダーで中実鋼棒を反力体として中空鋼棒に導入されている緊張力を保持し、支承ホルダーによる定着を解放することでコンクリートにプレストレスを導入する中空鋼棒を備えたプレストレス力導入装置であって、前記支承ホルダーおよびエンドホルダーから間隔をおいて離れた任意の中間位置に、間隔をおいて複数の中間ナットを設け、エンドホルダーよりの前記中間ナットとエンドホルダー間を中空鋼棒とコンクリートとの付着が可能なボンド区間とし、隣り合う中間ナット間を中空鋼棒とコンクリートとの付着が可能なボンド区間または隣り合う中間ナット間にアンボンド被覆を設けてアンボンド区間とし、それ以外の中空鋼棒を含む部分にアンボンド被覆を設けてアンボンド区間としたことを特徴とする。
また、第3発明では、第1発明または第2発明のプレストレス力導入装置において、前記中空鋼棒は、直列に配置された複数の中空鋼棒ユニット相互がカプラーからなる中間ナットにより接続されていることを特徴とする。
第4発明では、第1発明〜第3発明のプレストレス力導入装置において、中実鋼棒および中空鋼棒の長手方向の全長または一部が曲線状とされていることを特徴とする。
また、開放緊張を行う定着具(支承ホルダー)の位置をコンクリート打設面に配置せず、他の箇所に設けることで、コンクリート打設面までのコンクリート圧縮強度の発現を待たずに次の工程に進むことができ、効率よく施工することができ、コンクリート構造物全体の工程短縮を図ることができる。
また、本発明のプレストレス力導入装置は、ボンド区間とアンボンド区間を設けているので、柱、梁部等で地震時大きなひずみを受ける部分に、プレストレス力導入装置におけるアンボンド区間を配置することで、変形に対応できるプレストレス構造物とすることができる。また、複数の中間ナットを備えた本発明のプレストレス力導入装置を用いた場合には、複数のひずみを受ける部分、または複数のボンド区間を備えた構造に簡単に適用することができ、配置も容易である共に、中空鋼棒ユニットと反力鋼棒と中間ナットを順次設ければよいので構造も簡単であるなどの効果がある。
前記の中空PC鋼棒1の他端側の雄ねじ部3に、前後両端部に雌ねじ孔4、5を有すると共に多角形の回動工具係合用外面6を有する異径スリーブからなる支承筒7における前端部の雌ねじ孔4がねじ込まれて連結されている。
前記の各中空PC鋼棒ユニット1bおよび各ノンプル用反力PC鋼棒13の長さは、設計により適宜設定され、従って、中間ナット19の位置は設定により適宜設定される。中空PC鋼棒1が長尺で、その長手方向全体または部分的に雄ねじを設けている形態では、中間ナット19は位置調整可能であるが、中空PC鋼棒の加工が高くなる。また、中間ナット19の装着のために軸方向に移動させるように送るようになるので、装着が煩雑になる。
前記の各中空PC鋼棒ユニット1bの長さは異なる長さのものを適宜組合せてもよく、これに合わせて、ノンプル用反力PC鋼棒13の長さをあわせるようにすればよい。
また、図7に示すように、ねじ接合部分付近を直線部とし、それ以外の部分については、曲線部Yとし、全体としてほぼ曲線状としたプレストレス力導入装置17としてもよい。
コンクリート製タンク24では、コンクリート製底版26とコンクリート製側壁最下端部26aとを確実に接合し、それより上のレベルのコンクリート製側壁部26bをRC構造とする場合がある。
前記のように、側壁部をRC構造にすると施工性がよく工期が短縮できる利点がある。
そのため、図4(b)に示す形態のようにセメント系遅延硬化性充填材48を、アンボンド被覆23としてのシースと中空PC鋼棒1との間、あるいは中空PC鋼棒1とノンプル用反力PC鋼材13との間に充填する形態のプレストレス力導入装置17(詳細は後記する。)を使用して、図8〜図10に示す形態に適用すると、一時的にアンボンド部である部分が、ストッパ8を後退移動した後、あるいは支承ホルダー20および撤去用反力PC鋼棒12を撤去した後等の最終状態では、セメント系遅延硬化性充填材48が硬化して、プレストレスを導入しない状態で、前記のようにコンクリート構造物と一体となり、コンクリート構造物の終局耐力を向上することができるようになる。
また、その支承ホルダー20よりも下側(先端側)では、アンボンド区間Bとしておき、第2段目の側壁ブロックにおけるコンクリートの硬化した後、支承筒7を定着するようにするか、前記支承筒7を定着用ナット(図示を省略した)に置き換えて定着し、第2段目のRC構造体の第2ブロックの側壁29を固定する。
このように、アンボンド被覆23としては、付着防止層でも、前記実施形態のように、シースにより形成してよい。この形態のプレストレス力導入装置17を使用して、構造物を構築した場合、コンクリート構造物の完成後においても、アンボンド部となるが、前記第1実施形態では、シースと中空鋼棒1との間にセメント系硬化性充填材を充填することにより、ボンド部に変更することができる。なお、前記実施形態と同様な部分については、同様な符号を付している。
また、前記中空鋼材1は緊張されて上端部が定着具34により定着された後、アンボンド被覆23の部分では、そのアンボンド被覆23が非硬化性アンボンド被覆23であるかボンド被覆の材料により、耐震変形性能を有する接合部とすることができる。
なお、支圧プレートは適宜設けられる。
1 中空PC鋼棒
1a 中空PC鋼棒本体
1b 中空鋼棒ユニット
2 雄ねじ部
3 雄ねじ部
4 雌ねじ孔
5 雌ねじ孔
6 回動工具係合用外面
7 支承筒
8 ストッパ
8a 前部雄ねじ部
9 回動工具係合用外面
10 凹部
11 押圧係止片
12 撤去用反力PC鋼棒
13 ノンプル用反力PC鋼棒
14 押し込み用反力PC鋼棒
15 アンカー材
15a 雌ねじ孔
16 アンカーナット
17 プレストレス力導入装置
18 定尺長のプレストレス力導入装置
19 中間ナット
20 支承ホルダー
21 支承用雄ねじ部材
22 エンドホルダー
23 アンボンド被覆
24 コンクリート製タンク
25 コンクリート製底版
26 コンクリート側壁
26a 側壁最下端部
26b 最下端部よりも上の側壁部
27 側壁最下端部の上端高さレベル
28 第1ブロックの側壁
29 第2ブロックの側壁
30 コンクリート製建物
31 PC柱部材
33 コンクリート製梁
34 定着具
35 コンクリート
48 接着兼用防錆材または硬化遅延性を有するセメント系グラウト組成物
Claims (4)
- 後端部にストッパを備えた異径スリーブを有する支承ホルダーとこれに間隔をおいて先端側に配置されたエンドホルダーとの間に、中空鋼棒とその内側に配置される中実鋼棒とを備え、基端側の支承ホルダーおよび先端側のエンドホルダーで中実鋼棒を反力体として中空鋼棒に導入されている緊張力を保持し、支承ホルダーによる定着を解放することでコンクリートにプレストレスを導入する中空鋼棒を備えたプレストレス力導入装置であって、前記支承ホルダーおよびエンドホルダーから間隔をおいて離れた任意の中間位置に、中間ナットを設け、エンドホルダーよりの前記中間ナットとエンドホルダー間を中空鋼棒とコンクリートとの付着が可能なボンド区間とし、それ以外の中空鋼棒を含む部分にアンボンド被覆を設けてアンボンド区間としたことを特徴とするプレストレス力導入装置。
- 後端部にストッパを備えた異径スリーブを有する支承ホルダーとこれに間隔をおいて先端側に配置されたエンドホルダーとの間に、中空鋼棒とその内側に配置される中実鋼棒とを備え、基端側の支承ホルダーおよび先端側のエンドホルダーで中実鋼棒を反力体として中空鋼棒に導入されている緊張力を保持し、支承ホルダーによる定着を解放することでコンクリートにプレストレスを導入する中空鋼棒を備えたプレストレス力導入装置であって、前記支承ホルダーおよびエンドホルダーから間隔をおいて離れた任意の中間位置に、間隔をおいて複数の中間ナットを設け、エンドホルダーよりの前記中間ナットとエンドホルダー間を中空鋼棒とコンクリートとの付着が可能なボンド区間とし、隣り合う中間ナット間を中空鋼棒とコンクリートとの付着が可能なボンド区間または隣り合う中間ナット間にアンボンド被覆を設けてアンボンド区間とし、それ以外の中空鋼棒を含む部分にアンボンド被覆を設けてアンボンド区間としたことを特徴とするプレストレス力導入装置。
- 前記中空鋼棒は、直列に配置された複数の中空鋼棒ユニット相互がカプラーからなる中間ナットにより接続されていることを特徴とする請求項1または2に記載のプレストレス力導入装置。
- 中実鋼棒および中空鋼棒の長手方向の全長または一部が曲線状とされていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のプレストレス力導入装置。
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