JP2009120409A - 希土類水酸化物被膜及び希土類酸化物被膜の形成方法 - Google Patents
希土類水酸化物被膜及び希土類酸化物被膜の形成方法 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】本発明によれば、有機錯体溶融成膜及び加水分解法によって焼成温度を下げて簡便に緻密平滑な希土類水酸化物被膜を得ることができ、また、得られた被膜は低温焼成にて酸化物被膜に変えることができ、産業上その利用価値は極めて高い。
【選択図】なし
Description
更に、得られた希土類水酸化物被膜を熱処理することにより、希土類酸化物被膜が得られることを見出し、本発明をなすに至った。
また、蛍光ランプの一般的な製造工程においては、500℃付近での蛍光体被膜の焼成工程があるため、水酸化物被膜はこの際に酸化物被膜に変化すると考えられる。
〔1〕 希土類元素の有機錯体を加熱溶融し、その融液によって被膜を形成し、次に溶融状態において被膜に水蒸気を接触させることによって、配位子と水酸基の置換反応を起こさせることを特徴とする希土類水酸化物被膜の形成方法。
〔2〕 溶融温度が、有機錯体の分解温度未満であることを特徴とする〔1〕に記載の希土類水酸化物被膜の形成方法。
〔3〕 希土類元素の有機錯体が、非分解の融点を持ち、配位子としては、8−キノリノール、ジピバロイルメタン、2,4−ペンタンジオン、ベンゾイルアセトン、β−ジケトン類、芳香族カルボン酸、1,10−フェナントロリン、2,2’−ビピリジン、及びトリフェニルホスフィンオキサイドから選ばれることを特徴とする〔1〕又は〔2〕に記載の希土類水酸化物被膜の形成方法。
〔4〕 加熱溶融から被膜形成までを、実質的に水蒸気を含まない雰囲気下で行うことを特徴とする〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の希土類水酸化物被膜の形成方法。
〔5〕 加熱溶融から被膜形成までを、実質的に酸素を含まない雰囲気下で行うことを特徴とする〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の希土類水酸化物被膜の形成方法。
〔6〕 不活性ガス雰囲気下で、水蒸気を1〜50容量%導入しながら、被膜に水蒸気を接触させることを特徴とする〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の希土類水酸化物被膜の形成方法。
〔7〕 〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の方法によって得られた希土類水酸化物被膜を熱処理することからなる希土類酸化物被膜の形成方法。
まず、本発明で言う希土類元素とは、Sc,Y,La,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Luである。
希土類元素酸化物を蛍光ランプのガラスバルブ内面の保護膜として使用する場合など、光を透過する用途においては、酸化物自体が無色透明である方がよく、特にSc,Y,La,Gd,Yb,Luが好ましい。
トリス(8−キノリノラト)(8−キノリノール)RE=[RE(C9H6NO)3(C9H7NO)]、
トリス(ベンゾイルアセトナト)RE=[RE(C10H9O2)3]、
トリス(2,4−ペンタンジオナト)RE=[RE(C5H7O2)3]
(REは希土類元素)
などが挙げられる。これらの融点は通常100〜140℃の範囲であり、分解温度は通常140〜180℃の範囲である。
被膜厚さは、1〜500μm、特に5〜100μmとすることが好ましい。
トリス(ベンゾイルアセトナト)RE=[RE(C10H9O2)3]の場合
[RE(C10H9O2)3]+3H2O→RE(OH)3+3C10H10O2↑(ベンゾイルアセトン)
上記水蒸気濃度が低すぎると被膜が完全に水酸化物に変化するまでの時間がかかり過ぎる場合があり、高すぎると被膜に剥離を生じる場合がある。なお、水酸化物被膜の膜厚は0.1〜100μm、好ましくは1〜50μmである。
酸素及び水蒸気が0.1容量%未満の窒素置換された密閉容器中、100mm×100mm×2mmtのアルミニウム板を160℃に加温し、トリス(ベンゾイルアセトナト)イットリウム塩(融点114℃、分解点140℃)0.1gを表面に落とし、全体が溶融したことを確認してから、あらかじめ125℃に温めておいた間隙5μmのドクターブレードで成膜した。次に、溶融状態を保ったまま、系内に水蒸気を10容量%導入し、その表面に水酸化イットリウムの被膜を得た。表面と断面を電子顕微鏡で観察すると、約1μm厚の被膜が形成されていたが、クラックや異物のない緻密平滑膜であった。これを、大気中400℃にて焼成し、その表面に酸化イットリウムの被膜を得たが、水酸化物被膜と同様、クラックや異物のない緻密平滑膜であった。
実施例1に記載の密閉容器中で100mm×100mm×2mmtの石英ガラス板を150℃に加温し、トリス(2,4−ペンタンジオン)エルビウム塩(融点140℃、分解点165℃)0.1gを表面に落とし、全体が溶融したことを確認してから、あらかじめ150℃に温めておいた間隙5μmのドクターブレードで成膜した。次に、溶融状態を保ったまま、系内に10容量%水蒸気を導入し、その表面に水酸化エルビウムの被膜を得た。表面と断面を電子顕微鏡で観察すると、約1μm厚の被膜が形成されていたが、クラックや異物のない緻密平滑膜であった。これを、大気中400℃にて焼成し、その表面に酸化エルビウムの被膜を得たが、水酸化物被膜と同様、クラックや異物のない緻密平滑膜であった。
100mm×100mm×2mmtのアルミニウム板に、イットリウムイソプロポキシドの5質量%エタノール溶液をディップコート法によって塗布し、ゲル化,乾燥した。この操作を20回繰り返した後、大気中100℃にて乾燥した。表面と断面を電子顕微鏡で観察すると、約1μm厚の水酸化イットリウムと考えられる緻密膜が形成されていたが、1〜数μm幅のクラックが各所に観察された。更に、大気中500℃にて焼成したものの表面と断面を電子顕微鏡で観察すると、約1μm厚の酸化イットリウムと考えられる緻密膜が形成されていたが、1〜数十μm幅のクラックが各所に観察された。
100mm×100mm×2mmtの石英ガラス板に、トリス(2,4−ペンタンジオン)エルビウム塩の5質量%エタノール溶液をディップコート法によって塗布し、乾燥後、大気中550℃にて焼成した。この操作を10回繰り返した後、表面を電子顕微鏡で観察すると、5μm程の不定形状をした酸化エルビウム粒子が石英ガラス表面に多数点在していることが確認された。有機錯体の結晶が析出し、これが形を崩しながら熱分解して酸化物に変化したものと考えられる。
Claims (7)
- 希土類元素の有機錯体を加熱溶融し、その融液によって被膜を形成し、次に溶融状態において被膜に水蒸気を接触させることによって、配位子と水酸基の置換反応を起こさせることを特徴とする希土類水酸化物被膜の形成方法。
- 溶融温度が、有機錯体の分解温度未満であることを特徴とする請求項1に記載の希土類水酸化物被膜の形成方法。
- 希土類元素の有機錯体が、非分解の融点を持ち、配位子としては、8−キノリノール、ジピバロイルメタン、2,4−ペンタンジオン、ベンゾイルアセトン、β−ジケトン類、芳香族カルボン酸、1,10−フェナントロリン、2,2’−ビピリジン、及びトリフェニルホスフィンオキサイドから選ばれるものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の希土類水酸化物被膜の形成方法。
- 加熱溶融から被膜形成までを、実質的に水蒸気を含まない雰囲気下で行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の希土類水酸化物被膜の形成方法。
- 加熱溶融から被膜形成までを、実質的に酸素を含まない雰囲気下で行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の希土類水酸化物被膜の形成方法。
- 不活性ガス雰囲気下で、水蒸気を1〜50容量%導入しながら、被膜に水蒸気を接触させることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の希土類水酸化物被膜の形成方法。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法によって得られた希土類水酸化物被膜を熱処理することからなる希土類酸化物被膜の形成方法。
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