JP2009118761A - 風味強化させた硬質系ナチュラルチーズ及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】風味が豊かな硬質系ナチュラルチーズを提供すること。
【解決手段】熟度指数STN/TN値が5〜30重量%のチーズを芳香物質とともに密封し、嫌気性状態で熟成させることによって風味を強化した硬質系ナチュラルチーズを得る。
【選択図】なし

Description

本発明は、チーズを芳香物質とともに密封し、嫌気性状態で熟成させて得られる、風味豊かな硬質系ナチュラルチーズに関する。
さらに詳しくは、本発明は、熟度指数が5〜30重量%のチーズを芳香物質とともに密封し、酸素欠乏化下の嫌気性条件下にて熟成させて得られる、風味強化硬質系ナチュラルチーズに関する。
ナチュラルチーズの普及とともに、近年、多様な風味・食感のナチュラルチーズが市場にでまわるようになってきた。
ナチュラルチーズは、その製造工程により多種多様な風味、食感、組織を有しており、風味発現の要因としては、乳質、乳処理方法、乳酸菌、酵素、細菌、カビ、熟成条件等の作用が大きなものとして挙げられる。
その中で、とりわけゴーダ、チェダー、グラナ、パルメザン等の硬質系ナチュラルチーズは、主として熟成中に乳酸菌、酵素の作用によるタンパク質及び脂肪分解にともなって生じる呈味成分、芳香成分による特有の風味を有する。
一般に、ゴーダ、チェダー、グラナ、パルメザン等の硬質系ナチュラルチーズは、ナチュラルチーズの中では、いわゆる、癖の少ない風味であり、適度な硬さであることから、日本人に最も受け入れやすいナチュラルチーズである。
これらのナチュラルチーズは、乳に乳酸菌、凝乳酵素を添加し、凝固後、加熱撹拌し、ホエー排除により低水分化したカードを型詰めし、加塩工程を経て熟成する。ナチュラルチーズ特有の風味は熟成中に緩やかに形成され、長期間の熟成条件により風味・食感が大きく変化する。
硬質系ナチュラルチーズの熟成方法として、ナチュラルチーズ表面にワックスや樹脂を塗布したりコーティングするリンデッド法やフィルムによる真空包装するリンドレス法が代表的な手法として知られている。リンデッド法はリンドレス法よりも乳酸菌や酵素が大きく作用し、よりチーズ風味が高まる方法として使用されている。
ナチュラルチーズの熟成条件に工夫をこらし、風味・食感を改善する方法が提案されており、例えば、カビ系チーズを酸素欠乏下にて熟成させ、通常の熟成(有酸素下)とは異なる風味のチーズを得られる技術(特許文献1)、小片ナチュラルチーズを酸素欠乏下にて包装し、熟成後の粉砕等の2次加工を施す必要のないチーズ製造方法(特許文献2)が開示されている。
さらに、乳成分に由来しない風味を付与させるために、ハーブ、香辛料や調味料等を添加したり表面にまぶしたりする方法や、ワインや調味液に浸漬する方法等が知られている。
特許第3370815号 特開平9−107881号公報
このように、熟成方法を工夫したり、香辛料等を添加することによって、風味・食感を改善する取組みがなされてきた。
しかし、特許文献1及び特許文献2の方法では、硬質系ナチュラルチーズとして十分に満足した風味・食感を得ることが難しい。また、ハーブ、香辛料や調味料等を添加したり表面にまぶしたりする方法では、乳由来の酵素作用及び成分変化により、チーズ熟成中に添加物による風味劣化が起こるとともに、香辛料等が均一に混ざりにくく、風味にむらが起きた。また、調味料等に浸漬する方法では、得られるナチュラルチーズの色調が変化するという問題があった。
そこで、本発明では、上記問題点を解決し、芳香性が高く風味が良好な硬質系ナチュラルチーズを提供することを課題とする。
本発明者は、上記状況に鑑み、風味良好で、芳香性の高い硬質系ナチュラルチーズを得ることを目的として熟成処理条件を鋭意研究し、本発明に至った。
すなわち、本発明では、チーズを芳香物質とともに密封し、嫌気性又は酸素欠乏下の状態で熟成させる処理によって独特の風味を強化した硬質系ナチュラルチーズを得ることが可能となった。
すなわち、熟度指数STN/TN値が5〜30重量%のチーズを芳香物質とともに密封し、嫌気性状態で熟成させた風味強化硬質系ナチュラルチーズを得ることができる。
なお、ここでいう熟度指数とは、標準試験法(日本工業学会誌,36(12),981(1989)参照)に従い、ケルダール法で可溶性窒素(STN)及び全窒素(TN)を測定し、STN/TN(重量%)=(可溶性窒素/全窒素)×100、を算出した。
本発明では、チーズを芳香物質とともに密封し、酸素欠乏下の状態、いわゆる嫌気状態で熟成させることにより、風味強化した硬質系ナチュラルチーズを得ることができる。
本発明のナチュラルチーズは、ナチュラルチーズ本来の風味をベースにし、その風味を生かした状態で、芳香物質により風味を強化できるものであり、従来にはない新風味(香り)を付与させた硬質系ナチュラルチーズが得られ、これにより味わいのバリエーションが豊富な硬質系ナチュラルチーズを提供することができる。
本発明は、チーズを芳香物質とともに密封し、嫌気性状態で熟成処理することによって、風味強化した硬質系ナチュラルチーズを得ることを可能にした。
具体的には、本発明では、熟度指数STN/TN値が5〜30重量%のチーズを芳香物質とともに密封し、嫌気性状態で熟成させる。
一般に、ゴーダ、チェダー、グラナ、パルメザン等の硬質系ナチュラルチーズは、ナチュラルチーズの中では比較的癖の少ない風味であり、適度な食感であることから日本人に最も受け入れやすいナチュラルチーズである。これらのナチュラルチーズは主として熟成中の乳酸菌、酵素の作用により、特有の風味が形成されてくる。これらのナチュラルチーズは、乳に乳酸菌、凝乳酵素を添加し、凝固後、加熱撹拌し、ホエー排除により低水分化したカードを型詰めし、加塩工程を経て熟成する。本発明では硬質系ナチュラルチーズを熟成初期段階にて芳香物質とともに密封し、この状態で熟成させる方法によって、目的の風味豊かなナチュラルチーズの得られることを見出した。このような熟成により、硬質系ナチュラルチーズの風味改良(強化)、及び新風味のナチュラルチーズを得ることができる。
通常の硬質系ナチュラルチーズに準じた条件でカードメーキングを実施し、加塩後、このチーズを予備乾燥し、酸素バリア性の高いフィルムで形成した空所内又は容器内において密封し熟成させる。チーズの熟度指数STN/TN値が5〜30重量%になった時点で、ガス不透過性のフィルムや容器の空所内に、芳香性の高い物質をチーズに直接触れないように入れ、別途、脱酸素剤を入れて嫌気性状態で熟成させる。
嫌気性状態をつくるためには、酸素を窒素又は炭酸ガス等で置換してもよい。なお、嫌気性状態とは、酸素が0%に近いほうが好ましい。
熟成は、チーズ特有の熟成温度である5〜15℃にて通常の硬質系ナチュラルチーズと同様に熟成させる。その際、厳密な湿度管理、反転作業、表面清掃は省略できる。また、チーズの水分が高い場合には、シリカゲルのような吸水剤を入れて水分調整させるとより好ましい。
風味強化、または風味改良として使用する芳香物質は、特に制限はなく日本人の嗜好に合わせればよい。例えば、ハーブ系、日本茶又は中国茶系、コーヒー、スモーク、オニオン、ガーリック等の芳香物質を使用することができるし、柑橘系等の芳香性フレーバーと組み合わせて使用することができる。芳香物質を吸着したチーズは、熟成終了後、通常のナチュラルチーズの旨味、香りをベースとし、さらに香りを強化した風味が付与されるが、場合によっては他の芳香物質によって従来にはなかった新規な風味を付与することもできる。一緒に入れる芳香物質量は香りの強さにより調整する。芳香物質は、例えば不織布に入れて使用してもよいし、シート状のものを使用してもよい。
芳香物質を、直接、乳又はカードに添加混合させるナチュラルチーズもあるものの、直接添加した場合には、添加物又は呈味成分の味そのものがナチュラルチーズ本来の味と混在して、風味のバランスが崩れて風味が良いとは言えない場合がある。また、他の芳香物質等との併用は、ナチュラルチーズ製造工程、熟成工程での熱、pH、微生物により、芳香物質が変性分解してしまい、もともとの芳香物質の風味を消失してしまう。また、熟成工程で芳香物質がナチュラルチーズの風味発現に影響を与え、もともとのナチュラルチーズ風味を阻害する。
これに対し、本発明では芳香物質がチーズと直接接することがないため、互いに風味を阻害することはなく、各々ナチュラルチーズ特有の風味をベースにして、芳香性が強化されたものとなる。
また、直接添加物又は呈味成分を混在させるわけではないため、ナチュラルチーズの色調等の外観上の変化もない。例えば、一般的なスモークチーズは、スモークさせることにより、ナチュラルチーズの色調が変化するが、本発明ではそのような外観上の変化が認められない。
また、芳香物質とともに密封し、嫌気性状態で熟成させるチーズとしては熟度指数STN/TN値が5〜30重量%のチーズを使用する。好ましくは熟度指数STN/TN値が5〜20重量%のチーズを使用する。チーズ調製直後の熟度指数STN/TN値は、既に5重量%に達しており、5重量%未満のチーズを得ることが難しい。つまり、硬質系ナチュラルチーズは加塩直後の熟度指数STN/TN値が5重量%以上であり,加塩、予備乾燥直後の硬質系ナチュラルチーズは全て使用することができる。一方、ナチュラルチーズは熟成条件(温度、湿度、水分蒸発、離水)により成分及び風味が大きく変化し、風味を一定に制御することが難しい。このように熟成が進行した熟度指数STN/TN値が30重量%を越えるチーズは既に風味が大きく変化しているため、本発明の熟成方法を実施した場合の芳香物質による風味強化の効果は小さくなる。また、芳香物質を付与させるために、さらに熟成させる必要が生じて効率的ではない。
上述するように、風味強化した硬質系ナチュラルチーズを得るためには、チーズを芳香物質とともに密封し、空気欠乏下の嫌気性状態で熟成させることが必要な条件となる。
以下に実施例を示し、本発明についてより詳細に説明するが、これらは単に例示するのみであり、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。
代表的な硬質系ナチュラルチーズであるゴーダチーズを、通常の製造方法により調製した。
すなわち、脂肪分2.8 重量%に調整した原料乳をプレート型殺菌機により75℃で15秒間殺菌した後、30℃まで冷却した。この原料乳100kgに対し、乳酸菌スターター(中温菌スターター:CHR.HANSEN社製、Direct Vat Set)を10U(ユニット)添加し、ジャケット付のチーズバット内に静置させた。
1時間後に仔牛レンネット(HR:CHR.HANSEN社製)を3g添加し、さらに静置させた。約30分経過した時点で乳の凝固が起こり、凝固開始から5分後にチーズナイフを使用してチーズカードを10mmの立方体に切断した。
切断後、緩やかに撹拌しながらチーズカード中からホエーを流出させた。ホエーの流出を促進させるために、カードとホエー混合物を1℃/2分の加熱で38℃まで加温した。
撹拌を開始してから2時間後にカードとホエーを分離し、全カードを10kg容量のチーズモールドに入れ、縦型プレス機にて140kgの荷重をかけて2時間プレスした。プレス後20%食塩水中(10℃)に48時間浸漬して加塩し、加塩後、布をかけ10℃熟成庫内で5日間チーズ表面を予備乾燥させた。レモングラス2g、バジル1g、ローズマリー1gを秤量し、各々不織布に入れ、外側に漏れ出ないようにシールした。予備乾燥させたチーズとともに(熟度指数値5重量%)、上記芳香物質をそれぞれ一緒に入れ、さらに脱酸素剤(三菱ガス化学社製)を入れて酸素バリア性の高いフィルム中で熟成させた(嫌気性状態)。
なお、芳香物質を入れず、それ以外は同一条件として嫌気性状態で熟成させたサンプルをコントロールとした。
また、予備乾燥後、食用ワックスを表面にコーティングさせたリンデッド品、及び、真空包装しリンドレス状態で熟成させたものを参考品とした。
チーズの熟成は、10℃で4ヶ月間実施した。
その結果、芳香物質を入れていないコントロール品に比べ、芳香物質を一緒に入れたゴーダチーズは、ゴーダ特有のアミノ酸由来の旨味をベースとし、レモングラス、バジル、ローズマリー各々特有の香りを付与させた新規風味のゴーダチーズとなった。
なお、リンデッド品は、アミノ酸由来の旨味を有するものの香りは弱い通常のマイルドなゴーダ特有の風味であり、リンドレス品は、フィルムに離水が生じ、旨味、及び香りの欠乏したゴーダとなり好ましくなかった。
Figure 2009118761
(ナチュラルチーズの評価方法)
製造した硬質系ナチュラルチーズについて、以下の項目で評価した。
○風味・食感の官能評価
熟練された5名のパネラーによって、香り(香ばしさの有無、香りのバランス)、呈味性(雑味の有無、コク味の有無、ミルク感の有無)及び食感(滑らかさ、口どけ、舌ざわり)について官能評価を行った。評価は、◎:非常に好ましい、〇:好ましい、△:どちらともいえない、×:好ましくない、とした。
代表的な硬質系ナチュラルチーズであるチェダーチーズを通常の製造方法により調製した。すなわち、脂肪分3.6重量%に調整した原料乳をプレート型殺菌機により75℃で15秒間殺菌した後、30℃まで冷却した。
この原料乳100kgに対し乳酸菌スターター(中温菌スターター:CHR.HANSEN社製、Direct Vat Set)を15U(ユニット)添加し、ジャケット付のチーズバット内に静置した。
1時間後に仔牛レンネット(HR:CHR.HANSEN社製)を3g添加し、さらに静置した。約30分経過した時点で乳の凝固が起こり、凝固開始から5分後にチーズナイフを使用して、チーズカードを10mmの立方体に切断した。切断後、緩やかに撹拌しながらチーズカード中からホエーを流出させた。
ホエーの流出を促進するために、カードとホエー混合物を1℃/3分の加熱で38℃まで加温した。撹拌を開始してから2時間後に、カードとホエーを分離し、チーズカードをチーズバット中に堆積した。
堆積したチーズカードを38℃に保温しながら30分毎に反転した。マッティングカードのpHが5.2に低下した時点で、チーズカードを30mmの立方体に細断し、食塩を200g添加しチーズカードと食塩を混合した。
加塩した全チーズカードを10kg容量のチーズモールドに入れ、縦型プレス機にて700kgの荷重をかけて38時間プレスした。プレス後、布をかけ10℃熟成庫内で5日間チーズ表面を予備乾燥させた。
ペッパーミント0.5g、ピザ&パスタ(オニオン、ガーリック)4gを秤量し、各々、不織布に入れ、外側に漏れ出ないようにシールした。予備乾燥させたチーズ(熟度指数値8重量%)とともに上記芳香物質をそれぞれ一緒に入れ、さらに脱酸素剤(三菱ガス化学社製)を入れて酸素バリア性の高いフィルム中で熟成させた(嫌気性状態)。
なお、芳香物質を入れず、それ以外は同一条件として嫌気性状態で熟成させたサンプルをコントロールとした。
また、予備乾燥後、食用ワックスを表面にコーティングさせたリンデッド品を参考品とした。
チーズの熟成は10℃で6ヶ月間実施した。6ヵ月後、芳香性を強化したチェダーチーズを得た。
その結果、芳香物質を入れていないコントロール品に比べ、芳香物質を一緒に入れたチェダーチーズは、チェダー特有の風味をベースとし、ペッパーミント、ピザ(オニオン、ガーリック)各々特有の香りを付与させた新規風味のチェダーチーズとなった。なお、リンデッド品は、やや酸味を有し、アミノ酸由来の旨味を有するものの香りは弱い通常のチェダー特有の風味であった。
Figure 2009118761
代表的な硬質系ナチュラルチーズであるグラナタイプのチーズを通常の製造方法により調製した。
すなわち、脂肪分2.4重量%に調整した原料乳を、プレート型殺菌機により75℃で15秒間殺菌した後、30℃まで冷却した。この原料乳300kgに対し、乳酸菌スターター(高温菌スターター:CHR.HANSEN社製、Direct Vat Set)を30U(ユニット)添加し、ジャケット付のチーズバット内に静置させた。
1時間後に仔牛レンネット(HR:CHR.HANSEN社製)を9g添加しさらに静置させた。約30分経過した時点で乳の凝固が起こり、凝固開始から5分後にチーズナイフを使用してチーズカードを5mmの立方体に切断した。
切断後、緩やかに撹拌しながらチーズカード中からホエーを流出させた。ホエーの流出を促進させるためにカードとホエー混合物を1℃/2分の加熱で50℃まで加温した。
撹拌を開始してから1.5時間後にチーズカードを布で掬い取り、布内で球状の一塊にまとめ、ホエー中で30分間懸垂浸漬させた。懸垂後、球状の全カードを30kg容量のチーズモールドに入れ、モールドの上に5kgの重石をのせて6時間プレスした。プレス後、20%食塩水中(10℃)で20日間加塩し、加塩後、布をかけ10℃熟成庫内で5日間チーズ表面を予備乾燥させた。
オレガノ0.5g、スモークフレーバ0.5g、バジル1gを秤量し、各々、不織布に入れ、外側に漏れ出ないようにシールした。
予備乾燥させたチーズ(熟度指数値10重量%)とともに上記芳香物質をそれぞれ一緒に入れ、さらに脱酸素剤(三菱ガス化学社製)を入れ、酸素バリア性の高いフィルム中で熟成させた(嫌気性状態)。
なお、芳香物質を入れず、それ以外は同一条件として嫌気性状態で熟成させたサンプルをコントロールとした。
また、予備乾燥後、食用ワックスを表面にコーティングさせたリンデッド品を参考品とした。
チーズの熟成は10℃で6ヶ月間実施した。18ヵ月後、芳香性を強化したグラナチーズを得た。
その結果、芳香物質を入れていないコントロール品に比べ、芳香物質を一緒に入れたグラナチーズは、上記グラナ特有の風味をベースとし、オレガノ、スモーク、バジル各々特有の香りを付与させた新規風味のグラナチーズとなり、いずれも好ましいものであった。
なお、リンデッド品は、アミノ酸由来の旨味が強く、やや脂肪分解に由来する香りのする風味であった。
Figure 2009118761
実施例1と同様に、代表的な硬質系ナチュラルチーズであるゴーダチーズを、通常の製造方法により調製した。
すなわち、脂肪分2.8 重量%に調整した原料乳をプレート型殺菌機により75℃で15秒間殺菌した後、30℃まで冷却した。この原料乳100kgに対し、乳酸菌スターター(中温菌スターター:CHR.HANSEN社製、Direct Vat Set)を10U(ユニット)添加し、ジャケット付のチーズバット内に静置させた。
1時間後に仔牛レンネット(HR:CHR.HANSEN社製)を3g添加し、さらに静置させた。約30分経過した時点で乳の凝固が起こり、凝固開始から5分後にチーズナイフを使用してチーズカードを10mmの立方体に切断した。
切断後、緩やかに撹拌しながらチーズカード中からホエーを流出させた。ホエーの流出を促進させるために、カードとホエー混合物を1℃/2分の加熱で38℃まで加温した。
撹拌を開始してから2時間後にカードとホエーを分離し、全カードを10kg容量のチーズモールドに入れ、縦型プレス機にて140kgの荷重をかけて2時間プレスした。プレス後20%食塩水中(10℃)に48時間浸漬して加塩し、加塩後、布をかけ10℃熟成庫内で5日間チーズ表面を予備乾燥させた。
乾燥後、チーズを脱酸素剤(三菱ガス化学社製)を入れた酸素バリア性の高いフィルム中で、10℃条件下にて熟成させ(嫌気性状態)、乾燥直後、乾燥1、3、6、10ヶ月後の時点(熟度指数値が各々5、10、20、30、35重量%)で、レモングラス2gを秤量し、不織布に入れ、外側に漏れ出ないようにシールした芳香物質をフィルムに入れた。なお、芳香物質を入れず、それ以外は同一条件として嫌気性状態で熟成させたサンプルをコントロールとした。乾燥後チーズは、10℃で12ヶ月間熟成させた。
その結果、熟度指数値が5〜30重量%のチーズと芳香物質を一緒に入れたゴーダチーズは、ゴーダ特有のアミノ酸由来の旨味をベースとし、レモングラス特有の香りを付与させた新規風味のゴーダチーズとなった。
一方、チーズの熟度指数値が35重量%の時点で芳香物質を一緒に入れたゴーダチーズとコントロール品は、アミノ酸由来の旨味を有するものの、香りは弱い通常のマイルドなゴーダ特有の風味であり、好ましくなかった。
Figure 2009118761

Claims (3)

  1. チーズを芳香物質とともに密封し、嫌気性状態で熟成させることを特徴とする風味強化硬質系ナチュラルチーズ。
  2. 熟度指数STN/TN値が5〜30重量%のチーズを芳香物質とともに密封し、嫌気性状態で熟成させることを特徴とする風味強化硬質系ナチュラルチーズ。
  3. チーズを芳香物質とともに密封し、嫌気性状態で熟成させることを特徴とする風味強化硬質系ナチュラルチーズの製造方法。
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