JP2009117069A - 燃料電池の電極用ペースト、膜電極接合体及び電極用ペーストの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】触媒担持カーボンを真空乾燥した後、水を加え、公転しながら自転する遠心撹拌装置によって混合攪拌する。これにより、各触媒担持カーボンの表面から空気が強制的に追い出され、カーボン粉末の隙間にも水が充填された第1中間物となる。そして、第1中間物を凍結乾燥し、多孔質とした後、減圧下でナフィオン溶液を添加して、電極用ペーストを得る。
【選択図】図1
Description
また、触媒担持カーボン側に配向し、かつ連通する親水性のパスが形成されていないため、カソード触媒層で生成した水が固体電解質膜側へ逆拡散し難くなる。このため、水がカソード触媒層内に滞留し、ガス拡散を阻害する要因となる。
さらには、触媒担持カーボンと高分子固体電解質とが大きな凝集塊(アグロメレート)となりやすく、アグロメレート内部の触媒担持カーボンが電極反応に寄与できなくなり、無駄となってしまう。加えて、触媒担持カーボンが固体高分子電解質にムラ無く付着していなければ、親水性パスの連通性が充分確保できず、上記水移送が円滑に行われなくなる。
また、高分子電解質の疎水性部分は空孔側に配向して空孔側が疎水性になるため、水が溜まり難く、ブラッディングが防止され、ガス拡散が阻害され難くなる。このため、燃料電池システムは、MEAのアノード極、電解質膜及びカソード極でH3Oが良好に移動し、軽加湿又は無加湿でありながら高出力が得られる。
チャンバー内に無数の前記触媒担持カーボンと水とを含む混合物を収容した後、該チャンバーを公転させることによって該混合物に遠心力を付与しつつ、該チャンバーを自転させることによって該混合物を自身の自重で攪拌し、第1中間物を得る第1工程と、
該第1中間物を減圧下で凍結乾燥することによって、第1中間物の表面吸着水以外の氷を気化して多孔質化した第2中間物を得る第2工程と、
減圧状態を保持しつつ該第2中間物にイソプロピルアルコールを含む高分子電解質の溶液を混合し、電極用ペーストを得る第3工程とを備えていることを特徴とする。
本発明によって得られる電極用ペーストは、互いに接触する各触媒担持カーボンと高分子電解質との間に水によって互いに連続する親水層が形成されている。このため、この電極用ペーストを用いて燃料電池のアノード極やカソード極を製造すれば、そのアノード極やカソード極は親水層によってプロトンが移動しやすい。また、高分子電解質はその親水層側にプロトン交換基を高度に配向させているため、プロトンの移動に親水層が有効に活用される。さらには、触媒担持カーボンと高分子固体電解質とが大きな凝集塊(アグロメレート)を形成することがないため、電極反応に寄与できない触媒担持カーボンの割合が少なくなり、ガス拡散を阻害されることの少ない燃料電池の電極を形成することができる。
したがって、本発明の燃料電池の電極用ペーストによって燃料電池を構成すれば、軽加湿又は無加湿でありながら高出力が得られる
<電極用ペーストの製造>
燃料電池に用いる電極用ペーストは図1に示すフローチャートに従って製造した。
まず、ステップS1において、無数の触媒担持カーボンからなる市販の集合体を用意した。各触媒担持カーボンは、ほぼ球形のカーボン粉末にPtからなる触媒金属を60重量%担持してなるものである。そして、ステップS2において、この触媒担持カーボン1gをビーカーに入れ、150°Cの真空乾燥チャンバー内に1時間投入し、真空乾燥した。触媒担持カーボンを真空乾燥するのは、各触媒担持カーボンの表面の不純物を可及的に除去し、親水性に近づけるためである。この際、触媒担持カーボン同士の接触を阻害しないようにするため、集合体を粉砕しなかった。
上記実施例1の電極用ペーストを用いて燃料電池単層セルを製造し、その評価を行った。
上記の方法で得られた実施例1の電極用ペーストをカーボンクロスの表面にPt担持量が0.05mg/cm2となるように印刷して、乾燥する。こうして実施例1の拡散層1を得た。なお、拡散層の上に印刷して反応層を形成する替わりに、ポリテトラフルオロエチレン製のシート上に上記触媒ペーストで印刷し、乾燥後、剥離させて自立した反応層膜を作製し、これを拡散層と熱圧着させて反応層を形成してもよい。
比較例1では、燃料電池用の電極用ペーストとして、実施例1で用いた触媒担持カーボン31を用い、触媒カーボン1gに対し水0.5gを加えて遠心攪拌後、表1に示す比較例2〜4の組成のナフィオン(登録商標)溶液を14g添加し、この混合物を超音波攪拌したものを用いた。燃料電池単層セルの製造方法は、実施例1と同様であり、説明を省略する。
実施例1〜4及び比較例1〜4に係る燃料電池単層セルについて、温度50℃−湿度100%RH及び温度70℃−湿度40%RHにおけるカソード電極のサイクリックボルタモグラム測定を行い、電気化学反応に寄与可能な触媒表面積を求めた。その原理は、次の理論に基づくものである。
以上のことから、S4の凍結乾燥により、固体高分子のプロトン交換基が触媒担持カーボンに高密度に配向し、水移送が円滑に行われる親水層を形成していることがわかる。
上記実施例1の電極ペースト用いて、次のようにMEAを製造することができる。まずガス透過性を有する基材としてカーボンクロスを用意し、両面にカーボンブラックとPTFEとの混合物からなる撥水層を付与した拡散層を形成する。この後、上記電極用ペーストを用いてカソード触媒層及びアノード触媒層の印刷を行なう。そして、印刷後の基材を乾燥させ、溶液のアルコール及び水を蒸発させてカソード極及びアノード極を得る。
こうして得られたMEAを用いて、次のような燃料電池システムを構築することができる。この燃料電池システムでは、図11に示すセル70が複数用いられている。各セル70は膜電極接合体(MEA)71と一対のセパレータ72とを備えている。
また、カソード極75は、電解質膜73側に設けられるカソード触媒層75aと、カソード触媒層75aの非電解質膜側に接合され、カソード触媒層75aに空気を拡散するカソード拡散層75bとからなる。
41…第1中間物
42…第2中間物
10…チャンバー
50…電極用ペースト
12…水
92a、93a… 触媒層(92a…アノード触媒層、93a…カソード触媒層)
2、13… 電極(92…アノード極、93…カソード極)
11…電解質膜
10…膜電極接合体(MEA)
74b…アノード拡散層
75b…カソード拡散層
79、77…空気供給手段、水素供給手段(79…ブロア、77…空気室)
78、76…燃料供給手段(78… 水素ボンベ、76… 水素室
Claims (4)
- カーボン粉末に触媒金属を担持してなる無数の触媒担持カーボンと、各該触媒担持カーボンを互いに結合するとともにガス透過性を有する基材に結合するための高分子電解質の溶液とを混合して電極用ペーストを得る燃料電池の電極用ペーストの製造方法であって、
チャンバー内に無数の前記触媒担持カーボンと水とを含む混合物を収容した後、該チャンバーを公転させることによって該混合物に遠心力を付与しつつ、該チャンバーを自転させることによって該混合物を自身の自重で攪拌し、第1中間物を得る第1工程と、
該第1中間物を減圧下で凍結乾燥することによって、第1中間物の表面吸着水以外の氷を気化して多孔質化した第2中間物を得る第2工程と、
減圧状態を保持しつつ該第2中間物にイソプロピルアルコールを含む高分子電解質の溶液を混合し、電極用ペーストを得る第3工程とを備えていることを特徴とする燃料電池の電極用ペーストの製造方法。 - 前記イソプロピルアルコールは前記触媒担持カーボンを除いた分散溶媒中に10〜80重量%含まれていることを特徴とする請求項1記載の燃料電池の電極用ペーストの製造方法。
- 請求項1又は2の方法により製造してなることを特徴とする燃料電池の電極用ペースト。
- 高分子固体電解質層と、該高分子固体電解質層の一面に接合されて空気が供給されるカソード極と、該高分子固体電解質層の他面に接合されて燃料が供給されるアノード極とを有する燃料電池の膜電極接合体の製造方法において、
請求項3記載の電極用ペーストを前記基材の一面に塗布してなる電極を前記カソード極及びアノード極の少なくとも一方に用いることを特徴とする燃料電池の膜電極接合体の製造方法。
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