JP2009114208A - アミオダロン含有非経口溶液 - Google Patents

アミオダロン含有非経口溶液 Download PDF

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Abstract

【課題】希釈の必要のない静脈内投与に適したアミオダロン非経口溶液を提供すること。
【解決手段】本発明は、アミオダロン抗不整脈剤、より詳細には、静脈注入のためのアミオダロンの非経口溶液に関する。この非経口溶液は、0.2〜10mg/mlのアミオダロン濃度および乳酸塩緩衝液、メタンスルホン酸塩緩衝液、またはその組み合わせからなる群より選択される緩衝溶液を有し、この溶液は、約2.5〜約4.5の範囲内のpHを有する。この溶液はまた、必要に応じて、ブドウ糖、マンニトール、ソルビトール、グリセロール、アミノ酸(例えば、グリシン)、または塩(例えば、塩化ナトリウム)のような浸透圧剤を含み得る。
【選択図】なし

Description

(技術分野)
本発明は、アミオダロン抗不整脈剤、そしてより詳細には、静脈注入のためのアミオダロンの非経口溶液に関する。
(発明の背景)
アミオダロンは、幅広いスペクトルの活性を示すIII型抗不整脈剤である。塩酸塩は、ブドウ糖中での希釈に続く静脈内投与に適したアンプルで現在市販されている(Cordarone IV、Wyeth−Ayrest)。希釈された生成物のpH範囲(実験室で測定された)は、3.8〜4.0である。
アミオダロン遊離塩基は、水中において非常に低い推定固有溶解度(約6ng/mL)を有する。この遊離塩基は、中性であり、酸でのプロトン化によって、より水溶性のトリアルキルアンモニウムイオンに変換される。しかし、塩酸塩(現在市販の製品に使用される)は、中程度に低いpH(3.8−4.5)で水中には明らかに可溶性ではない。従って、市販の処方物は、この薬物を溶解させ、可溶化させることを助けるために界面活性剤としてポリソルベート80を含む。これは、重大な欠点であり得る。なぜなら、グリコールエーテルおよびそれらの誘導体(例えば、ポリエチレングリコール(PEG)またはポリソルベート(Tween))は、注射時の痛みの一因となることが公知であり、そしてまたアナフィラキシー反応を誘導し得る。Tween80はまた、心臓抑制(cardiodepression)と関連し、低血圧を引き起こす(Goughら、「Hypotensive Action of Commercial Intravenous Amiodarone and Polysorbate 80 in Dogs」、Journal of Cardiovascular Pharmacology、1982、375−380)。
米国特許第5,234,949号は、希釈時に静脈内非経口投与に適切なアンプル中にパッケージされた界面活性剤を含まないアミオダロン溶液を提供する。‘949号特許は、25〜75mg/mlのアミオダロン溶液のpHを4未満、より好ましくは3.5〜3.8の範囲に調整するためにアセテート緩衝溶液(0.05〜0.1M)を使用することを開示する。緩衝液の濃度および緩衝化剤の選択が、物理的安定性に重要であること(すなわち、0.2Mアセテート緩衝液、0.1Mフタレート緩衝液、または0.1Mホスフェート緩衝液が薬剤を可溶化するために使用される場合、沈殿またはゲル形成が生じる)も開示する。
公開されたPCT特許出願WO/9702031は、非経口投与に適切な1.5〜8重量%の界面活性剤含有アミオダロン溶液を提供する。‘031出願は、薬物を可溶化させるために2.4〜3.8のpHのアセテート緩衝溶液またはホスフェート緩衝溶液と組み合わせて非イオン性親水性界面活性剤(例えば、Tween80、Pluronic P94、またはCremophor EL)を使用することを開示する。
しかし、これらの参考文献はいずれも、薬物を可溶化させるために乳酸またはメタンスルホン酸を使用することを開示せず、界面活性剤を含まないアミオダロン処方物を調製するための乳酸緩衝液またはメタンスルホン酸緩衝液の使用も記載しない。さらに、これらは、希釈の必要なしに、静脈内投与に適切な、界面活性剤を含まないアミオダロン非経口溶液の調製を開示しない。
(発明の要旨)
本発明は、希釈の必要なしに、静脈内投与に適切な、界面活性剤を含まないアミオダロン非経口溶液を提供する。この溶液は、0.2〜10mg/mlの濃度範囲のアミオダロン塩酸塩の活性成分、および乳酸緩衝液、メタンスルホン酸緩衝液またはこれら2つの緩衝液の任意の組み合わせからなる群から選択される緩衝液を含む。この溶液は、約2.5〜約4.5の範囲のpHを有する。この溶液はまた、必要に応じて、ブドウ糖、マンニトール、ソルビトール、グリセロール、アミノ酸(例えば、グリシン)、または塩(例えば、塩化ナトリウム)のような浸透圧剤を含み得る。
本発明はまた、静脈内投与に適したアミオダロン溶液を調製するための方法を提供する。この方法は、以下の工程を包含する:(1)アミオダロン溶液の有効成分を提供する工程;(2)蒸留水を提供する工程;(3)乳酸およびメタンスルホン酸またはその組み合わせからなる群から選択される酸を提供する工程;(4)有効量の、乳酸、メタンスルホン酸、またはそれら2つの酸の組み合わせを加熱した蒸留水と混合する工程;(5)加熱した水/酸溶液中に有効量の活性成分を溶解する工程;(6)この溶液を冷却する工程;(7)この溶液のpHを適切なpH調製剤で約2.5〜約4.5の範囲内に調整する工程;(8)この溶液を最終の活性成分濃度に希釈する工程。この方法は、ブドウ糖、マンニトール、ソルビトール、グリセロール、アミノ酸、無機塩、およびこの溶液へのこれらの浸透圧調節剤の任意の組み合わせのような浸透圧剤を、この溶液に混合する任意の工程を包含し得る。
上記に加えて、本発明は、以下の手段を提供する:
(項目1) 希釈の必要性のない静脈投与のための非経口溶液であって、0.2〜10mg/mlの濃度範囲の活性成分アミオダロン、ならびに乳酸塩緩衝液、乳酸、メタンスルホン酸緩衝液およびメタンスルホン酸、およびこれらの任意の組み合わせからなる群より選択されるpH改変溶液を含み、該溶液が、約2.5〜4.5の範囲内のpHを有する、非経口溶液。
(項目2) 項目1に記載の溶液であって、前記pH改変溶液が乳酸である、溶液。
(項目3) 項目1に記載の溶液であって、前記pH改変溶液が乳酸塩緩衝液である、溶液。
(項目4) 項目1に記載の溶液であって、前記pH改変溶液がメタンスルホン酸である、溶液。
(項目5) 項目1に記載の溶液であって、前記pH改変溶液がメタンスルホン酸塩である、溶液。
(項目6) 項目1に記載の溶液であって、さらに浸透圧剤を含む、溶液。
(項目7) 項目6に記載の溶液であって、前記浸透圧剤が、ブドウ糖、マンニトール、ソルビトール、グリセロール、アミノ酸(例えば、グリシン)、および無機塩(例えば、塩化ナトリウム)からなる群より選択される、溶液。
(項目8) 静脈内投与のためのアミオダロン静脈溶液を調製するための方法であって、以下の工程:
有効成分のアミオダロンを提供する工程;
蒸留水を提供する工程;
乳酸およびメタンスルホン酸またはこれらの組み合わせからなる群より選択される酸を提供する工程;
有効量の該酸、該蒸留水および該アミオダロンを混合して溶液を規定する工程;
該溶液のpHを約2.5〜4.5の範囲内であるように調整する工程;および
該アミオダロンの濃度を約0.2〜約25mg/mlの範囲内であるように調整する工程、
を包含する、方法。
(項目9) 項目8に記載の方法であって、さらに、
ブドウ糖、マンニトール、ソルビトール、グリセロール、アミノ酸、および無機塩、またはその任意の組み合わせからなる群より選択される浸透圧剤を提供する工程;および
前記溶液に該浸透圧剤を混合する工程、
を包含する、方法。
(項目10) 項目8に記載の方法であって、前記酸、前記アミオダロンおよび前記蒸留水を混合する工程が、該溶液を約45℃〜約70℃の温度まで加熱する工程を包含する、方法。
(詳細な説明)
本発明は、多くの異なる形態における可能な実施形態であるが、本開示が本発明の原理の例示として考慮されるべきであり、かつ例示された実施形態に対する本発明の幅広い局面を限定することは意図しないという理解とともに、本発明の詳細な好ましい実施形態において本明細書中で記載される。
本発明に従って、ベンゾフラン薬物(乳酸、メタンスルホン酸、またはその任意の組み合わせによって可溶化される)を活性成分として含む非経口溶液が提供される。この溶液のpHは、約2.5〜約4.5の範囲内であるように調整される。この活性成分は、以下の構造式を有する:
Figure 2009114208

は、アルキル、アリール、アルコキシ、アリールオキシまたはハロゲン置換基から選択される1つ以上の基を表す。
は、アルキル、アリール、アルコキシ、アリールオキシまたはハロゲン置換基を表し、Xは、フェニル環上の1つ以上のヨードまたはブロモ置換基を含む。Rは、N,N−ジメチルアミノまたはN,N−ジエチルアミノのようなジアルキルアミノ基を表す。Rはまた、1−モルホリニル、1−ピペラジニル(piperazinyl)、または1−ピペラジニル(piperadinyl)のような1−置換複素環であり得る。
本発明の好ましい形態において、活性成分は、以下の構造式を有する心臓血管剤である:
Figure 2009114208

非経口溶液は、十分な量のpH改変溶液(乳酸塩緩衝液、乳酸、メタンスルホン酸塩緩衝液およびメタンスルホン酸またはこれらの任意の組み合わせからなる群より選択される)を蒸留脱イオン水またはWater for Injection、USPに添加することによって調製される。この溶液は、約45〜約70℃の温度に加熱される。濃度が約0.2〜約25mg/ml、より好ましくは0.5〜10mg/mlであるように、アミオダロンをこの溶液に十分な量で混合する。次いで、この溶液をわずかに希釈し、そして約25〜35℃の温度に冷却する。浸透圧剤を、この溶液にこの時点で100〜450mM、より好ましくは150〜350mMの量で加え得る。この溶液は、適切なpH調節剤(例えば、塩酸または水酸化ナトリウム)で約2.5〜4.5のpHに調整されたpHである。次いで、この溶液を、蒸留脱イオン水またはWater for Injection、USPで、0.2〜10mg/mlの最終アミオダロン濃度を与えるために希釈する。
適切なアミオダロン塩酸塩は、ISOCHEMによって販売される。乳酸またはメタンスルホン酸は、純粋な化合物として、またはこれらの酸の適切な希釈によって調製される溶液として使用され得る。乳酸はまた、純粋な原料中、またはそれから調製される溶液中に存在する任意のダイマーまたはポリマーを加水分解するために熱処理され得る。適切な乳酸は、商品名90%Lactic Acid、USPでPURACによって販売される。適切なメタンスルホン酸は、商品名Methanesulfonic AcidでAldrichによって販売される。適切な浸透圧としては、ブドウ糖、マンニトール、ソルビトール、グリセロール、アミノ酸(例えば、グリシン)、または無機塩(例えば、塩化ナトリウム)が挙げられる。
本発明の非経口溶液は、任意の非イオン性親水性可溶化界面活性剤(例えば、ポリエチレングリコール、ポリソルベート、またはポリエチレングリコールステアリン酸エステル(これらは、I.V.溶液中の成分として注射される場合、有害な薬理学的効果を有することが公知である))を含まない。本発明の処方物は、任意の有機共溶媒(例えば、プロピレングリコールまたはエタノール)を含まない。
以下は、本発明の非制限的な例であり、そして本発明の範囲を狭めるために使用されるべきではない。
(実施例1:乳酸を使用するアミオダロン処方物の調製)
20Lのジャケット付きタンク反応器を、8Lの蒸留脱イオン水を加えた。これに、400mLの20%乳酸(乳酸ダイマーを加水分解するために希釈された90%乳酸濃縮物の熱処理によって先に調製された)を加えた。この混合物を55℃にした。36gのアミオダロン塩酸塩をこの混合物に加え、そして溶解させるために撹拌した。この混合物を16mLに希釈し、そして30℃に冷却した。909.2gのブドウ糖をこの混合物に加え、そして溶解させるために撹拌した。この混合物を水酸化ナトリウムで最終pH3.5に調整した。次いで、この溶液を蒸留脱イオン水で20Lに希釈した。これは、1.8mg/mLのおよその薬物濃度を有する溶液を提供した。
(実施例2:メタンスルホン酸を使用するアミオダロン処方物の調製)
100mLビーカーに、30mLの蒸留脱イオン水を加えた。これに、0.1gのアミオダロン塩酸塩を加えた。この混合物を熱水浴中で45〜60℃にした。この混合物は、メタンスルホン酸および水酸化ナトリウム(必要な場合)で、3〜4.5のpHに調整されたpHであった。(この時点で、ブドウ糖、マンニトールおよびグリセロールのような浸透圧剤が、必要に応じて、所望であれば、加えられ、そして溶解するまで混合される)。次いで、この溶液を蒸留脱イオン水で50mLに希釈した。アミオダロン塩酸塩の最終濃度は、約2mg/mLであった。
(処方物溶解度)
上記のように調製された処方物は、ガラス中1年にわたって冷却または凍結した場合、薬物濃度、pHおよび視覚的粒子に関して安定であることが見出された。これらの処方物はまた、非経口生成物についてのUSP粒子限界を合格した。
特定の実施形態が例示され、そして記載されるが、本発明の精神から有意に逸脱することなく、多くの改変が思い浮かび、そして保護の範囲は、添付の特許請求の範囲の範囲によってのみ限定される。

Claims (1)

  1. 明細書に記載の発明。
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