JP2009112551A - 食品加工機器の殺菌方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】有機物存在条件下での有効成分濃度の低下を抑え、高い殺菌効果が長時間に亘り持続される殺菌液を適用することで、食品加工機器のより高い衛生状態が維持できる殺菌方法を提供する。
【解決手段】(A)次亜塩素酸及び/又はその塩50〜600ppm、(B)イソシアヌル酸及び/又はその塩50〜2000ppm、並びに水を含み、pHが5〜7、有効塩素濃度が50〜500ppmである、pH緩衝能を有する殺菌液を、食品加工機器の食品接触部に適用して食品加工機器を殺菌する。
【選択図】なし

Description

本発明は、食品加工機器の殺菌方法及びそれに用いる殺菌液に関する。
ソフトクリームマシンやシェイクマシン等の乳製品加工機器は、その製造(生産)の合間に洗浄・殺菌作業を設けて、付着した乳系残渣や微生物を除去し、機器の衛生状態を維持している。取り外し可能な部品は、取り外して中性洗剤等で手洗いされるが、機器本体は、手洗いするのが難しいため、所謂、定置洗浄(Cleaning in Place)方式を採っている。そのCIP工程は、水や温水で除去し易い残渣を取り除く予洗工程、次いで中性洗剤やアルカリ性洗剤等を用いた洗浄工程で汚れを除去して、殺菌剤を用いた殺菌工程の3工程を含むシステムが多く見られる。このシステム中の殺菌工程には、次亜塩素酸ソーダや塩素化イソシアヌル酸化合物を主成分とした殺菌剤が従来から使用されている。
店舗等でみられるソフトクリームマシンやシェイクマシン等の小型食品加工機器は、通常、先ず、手作業で殺菌液を調製することが行われる。バケツ等のプラスチック容器等を調製槽として、その中に手作業で殺菌剤を水や温水に一定割合で希釈して殺菌液を調製する。その殺菌液をソフトクリームマシンやシェイクマシン等の内部に投入し、被殺菌面に接液させて殺菌することが一般的である。洗浄工程に供される洗浄液も中性洗剤等を用いて同様に調製される。作業効率上、洗浄液と殺菌液の調製は同時に行われることも多く、この場合は、殺菌液は調製されてから暫く放置されることとなる。その間、手洗い中の部品からの汚れやその他の有機物が少量混入することは多々ある。このような状態に最も懸念されるのが、殺菌液の有効成分である有効塩素濃度低下による殺菌不足である。
また、先の洗浄工程での残渣除去が完全でない場合は、殺菌工程中に少量の乳系汚れが含まれることとなり、先述同様、殺菌液の有効塩素濃度低下による殺菌不足が懸念される。
つまり、調製された殺菌液が、これらの有機物存在下の状況にあっても高い殺菌効果が長時間に亘り持続されることで、より高い衛生状態が維持できる食品加工機器の殺菌方法が望まれていた。
特許文献1では、食品や食器製造設備の殺菌に、中性付近に調整された次亜塩素酸塩水溶液を用いることを提案している。
特開平8-164189号公報
特許文献1では、有効成分の持続性については着眼されておらず、上記した有機物が混入するような食品加工機器の洗浄環境には最適な対応が成されていないため、経時的な有効成分濃度低下が起こり、殺菌不足を引起す懸念が残るものである。
他方、ジクロロイソシアヌル酸塩を水に溶かして、中性領域にて次亜塩素酸及び/又はその塩を得る方法も広く知られているが、有機物が混入するような食品加工機器の洗浄環境では経時的な有効成分濃度低下の懸念が生じ、十分な殺菌効果持続が得られない。
したがって、本発明の目的は、有機物存在条件下での有効成分濃度の低下を抑え、高い殺菌効果が長時間に亘り持続される殺菌液を適用することで、食品加工機器のより高い衛生状態が維持できる殺菌方法を提供することにある。
本発明は、(A)次亜塩素酸及び/又はその塩50〜600ppm、(B)イソシアヌル酸及び/又はその塩50〜2000ppm、並びに水を含み、pHが5〜7、有効塩素濃度が50〜500ppmである、pH緩衝能を有する殺菌液を、食品加工機器の食品接触部に適用する、食品加工機器の殺菌方法に関する。
また、本発明は、(A)次亜塩素酸及び/又はその塩〔以下、(A)成分という〕50〜600ppm、(B)イソシアヌル酸及び/又はその塩〔以下、(B)成分という〕50〜2000ppm、並びに水を含み、pH(20℃)が5〜7、有効塩素濃度が50〜500ppmであり、pH緩衝能を有する、食品加工機器用の殺菌液に関する。
本発明によれば、有機物存在条件下での有効成分濃度の低下を抑え、高い殺菌効果が長時間に亘り持続される殺菌液を適用することで、食品加工機器のより高い衛生状態が維持できる殺菌方法が提供される。
<(A)成分>
(A)成分は、殺菌効果を発現する成分であり、具体的には、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム、次亜塩素酸カリウム、次亜塩素酸リチウム等が挙げられる。これらの中で好ましいのは、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウムが好適で、中でも次亜塩素酸ナトリウムが最も好適である。
<(B)成分>
(B)成分は、乳系汚れ等の有機物存在下に於いて、有効成分、つまり(A)次亜塩素酸及び/又はその塩の有効濃度を持続させるための成分であり、具体的には、イソシアヌル酸及びイソシアヌル酸ナトリウム、イソシアヌル酸カリウム等が挙げられる。
<殺菌液>
本発明の殺菌液は、(A)成分、(B)成分並びに水を含み、pHが5〜7、有効塩素濃度が50〜500ppmであり、pH緩衝能を有するものである。
本発明の殺菌液は、(A)成分を50〜600ppmの濃度で含有し、50〜300ppmが好ましく、70〜250ppmがさらに好ましい。また、(A)成分の濃度を満たした上で、本発明の殺菌液は、有効塩素濃度が50〜500ppm、好ましくは50〜250ppmである。有効塩素濃度は、JIS K−0101ヨウ素法により測定できる。
また、本発明の殺菌液は、(B)成分を50〜2000ppmの濃度で含有し、50〜1000ppmが好ましく、70〜500ppmがさらに好ましい。
乳系汚れ等の有機物存在下に於いて、(A)成分の有効濃度を持続させるための(B)成分の作用をより効果的にするためには、pH設定が非常に重要な役割を担っていることが判った。この観点から、本発明では、pHが5〜7の殺菌液を用いる。pHは5.5〜6.5がさらに好ましい。この領域を維持していると(B)成分が(A)成分を安定化する作用が相乗的に発現され、殺菌効果の持続性に優れた殺菌液が得られる。なお、pHは20℃又は使用時の温度におけるものである。
加えて、食品加工機器の洗浄、殺菌においては、殺菌液への有機物の混入や洗浄工程からの洗浄剤成分持ち込み、或いは、洗浄工程では除去し切れなかった乳系汚れの持ち込み等の影響にも耐えるように、pH緩衝能を有する必要性がある。
pH緩衝能とは、pHが変動するような要因、例えばアルカリ性成分や酸性成分が混入した場合でも、pHの変動を抑え設定pHを維持する性能のことである。本発明では、殺菌液(pH5〜7のもの)にNaOH又はHClを添加していき、pH5〜7の範囲を維持できるNaOH及び/又はHClのモル濃度(外比)が、0.4mM以上、さらに0.5mM以上であることが好ましい。
本発明では、このようなpH緩衝能を得るために、殺菌液に(C)2〜4個のカルボキシル基を有するポリカルボン酸及び/又はその塩〔以下、(C)成分という〕を含有させることが有効である。具体的には、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、クエン酸、酒石酸、グルタル酸、アジピン酸、リンゴ酸、マロン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスコルビン酸、及びそれらの塩が挙げられ、中でもコハク酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、及びそれらの塩が好適である。殺菌液中の(C)成分の好ましい濃度としては50〜1000ppmであり、50〜800ppmがさらに好ましく、70〜500ppmが最も好ましい。
さらに洗浄性や適度な泡立ち、濡れ性を付与する目的で(D)成分として、界面活性剤を殺菌剤に配合することも可能である。(D)成分としては、両性界面活性剤、陽イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤及び非イオン界面活性剤から選ばれる1種以上の界面活性剤が挙げられ、陰イオン界面活性剤及び非イオン界面活性剤から選ばれる1種以上が好ましい。界面活性剤は単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
両性界面活性剤としては、アルキルジメチルアミンオキシド等のアミンオキシド、アルキルジメチルアミノ脂肪酸ベタイン、アルキルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリウムベタイン等のベタインなどが挙げられる。なかでも、炭素数8〜18のアルキル基を有するアルキルジメチルアミンオキシドが好ましい。
また、陽イオン界面活性剤としては、第1級アミン塩、第2級アミン塩、第3級アミン塩、第4級アンモニウム塩が挙げられるが、このうち第4級アンモニウム塩がより好ましい。第4級アンモニウム塩としては、4つの置換基の少なくとも1つが総炭素数8〜28のアルキル又はアルケニル基であり、残余がベンジル基、炭素数1〜5のアルキル基及び炭素数1〜5のヒドロキシアルキル基から選ばれる基である化合物が挙げられる。総炭素数8〜28のアルキル又はアルケニル基は、この炭素数の範囲で、アルコキシル基、アルケニルオキシ基、アルカノイルアミノ基、アルケノイルアミノ基、アルカノイルオキシ基又はアルケノイルオキシ基で置換されていてもよい。
また、陰イオン界面活性剤及び非イオン界面活性剤は汚れに対する浸透性向上や泡立ち性向上のために配合することが好ましい。陰イオン界面活性剤としては、高級脂肪酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルコールスルホン酸塩、αオレフィンスルホン酸塩、硫酸化脂肪酸塩、スルホン化脂肪酸塩、リン酸エステル塩、脂肪酸エステルの硫酸エステル塩、脂肪酸エステルのスルホン酸エステル塩、高級アルコールエーテルの硫酸エステル塩、高級アルコールエーテルのスルホン酸エステル塩、高級アルコールエーテル置換の酢酸塩、脂肪酸とアミノ酸の縮合物、脂肪酸アミドのアルキロール化硫酸エステル塩、脂肪酸アミドのアルキル化スルホン酸塩、スルホコハク酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルフェノールスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルベンゾイミダゾールスルホン酸塩、アミドエーテルカルボン酸又はその塩、エーテルカルボン酸又はその塩、N−アシル−N−メチルタウリン又はその塩、アミドエーテル硫酸又はその塩、N−アシルグルタミン酸又はその塩、N−アミドエチル−N−ヒドロキシエチル酢酸又はその塩、アシルオキシエタンスルホン酸又はその塩、N−アシル−β−アラニン又はその塩、N−アシル−N−カルボキシエチルタウリン又はその塩、N−アシル−N−カルボキシエチルグリシン又はその塩、及びアルキル又はアルケニルアミノカルボニルメチル硫酸又はその塩等が挙げられる。陰イオン界面活性剤としては、炭素数8〜22のアルキル基又はアルケニル基を有するものが、中でも好ましい。
また、非イオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレン(以下、POEと記す)アルキルエーテル、POEアルキルフェニルエーテル、ポリオキシプロピレン・POE(ブロック又はランダム)アルキルエーテル、POEアリールフェニルエーテル、POEスチレン化フェニルエーテル、POEトリベンジルフェニルエーテル等の1価アルコール誘導体型非イオン性界面活性剤;(ポリ)グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、アルキルポリグリコシド等の多価アルコール誘導体型非イオン性界面活性剤等が挙げられる。非イオン界面活性剤としては、炭素数8〜18のアルキル基又はアルケニル基を有する1価アルコール誘導体型非イオン性界面活性剤が好ましく、なかでもエチレンオキサイドの平均付加モル数が3〜50のPOEアルキルエーテルが好ましい。
(D)成分の殺菌剤中の濃度は、10〜10000ppmが好ましく、さらに好ましくは20〜5000ppm、よりさらに好ましくは30〜1000ppm、最も好ましくは50〜500ppmである。
殺菌液には、その他、金属イオン封鎖剤、溶剤、酵素、消泡剤、着色料、香料等、洗浄剤や殺菌剤に常用される成分を配合することも出来る。ここでの金属イオン封鎖剤は、(C)成分以外のものであり、例えば、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ酢酸(HEDTA)、ニトリロトリ酢酸(NTA)、ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)、及びそれらの塩類等のアミノカルボン酸型化合物やリン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸、及びそれらの塩類に挙げられるリン酸縮合化合物、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸(HEDP)、アミノトリ(メチレンホスホン酸)(ATMP)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)(EDTMP)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)(DTPMP)、2−ホスホノ−1,2,4−ブタントリカルボン酸(PBTC)、及びそれらの塩類等の有機ホスホン酸化合物が挙げられる。なお、これらの成分が緩衝能を付与するものであってもよい。
本発明の殺菌液は、(A)成分、(B)成分が所定の濃度となるように水と希釈混合し、必要に応じて(C)成分を添加してpH緩衝能を付与させて得る方法や、(A)成分の供給源となる化合物及び(B)成分の供給源となる化合物を含有する固体状組成物を、水とを混合する方法等により調製することができる。
なかでも、(A)成分の供給源となる化合物及び(B)成分の供給源となる化合物を含有する固体状組成物と水とを混合することにより、殺菌液を調製する工程は、本発明の殺菌方法に組み込むことができる。かかる固体状組成物としては、粉末状、粒状、錠剤状等のものが挙げられ、さらに(C)成分や発泡促進剤などを含有することができる。
(A)成分の供給源となる化合物及び(B)成分の供給源となる化合物として、1つの化合物が(A)成分及び(B)成分両方の供給源となるものを用いることができる。(A)成分及び(B)成分両方の供給源となる化合物としては、塩素化イソシアヌル酸化合物やヒダントイン誘導体が挙げられる。
塩素化イソシアヌル酸化合物としては、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム、ジクロロイソシアヌル酸カリウム、トリクロロイソシアヌル酸等があるが、下記(式1)のように、水中で次亜塩素酸或いはそのイオン型とイソシアヌル酸或いはそのイオン型とに解離されるため、(A)成分と同時に(B)成分を含む殺菌液が得られる。なお、塩素化イソシアヌル酸化合物を用いて殺菌液を調製する場合は、(式1)を適用して、(A)成分と(B)成分とに分離して各成分濃度を算出することができる。
Figure 2009112551
〔式中、3つのXは、Clが3個、若しくは、Naが1個とClが2個、若しくは、Kが1個とClが2個の何れかで、Yはそれぞれに対応してH(水素原子)が3個、若しくは、Naが1個とH(水素原子)が2個、若しくは、Kが1個とH(水素原子)が2個の何れかであり、nは、XがClが3個の場合は3、Clが2個の場合は2の整数である。〕
また、ヒダントイン誘導体としては、ジクロロジメチルヒダントイン等が挙げられる。
(A)成分及び(B)成分両方の供給源となる化合物の中で好ましいのは、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム、ジクロロイソシアヌル酸カリウムであり、中でもジクロロイソシアヌル酸ナトリウムが好適である。
<殺菌方法>
店舗等でみられるソフトクリームマシンやシェイクマシン等の小型食品加工機器のCIP工程は、図1のようなフローに示されるように、先ず水や温水で除去し易い残渣を取り除く予洗工程、次いで中性洗剤やアルカリ性洗剤等を用いて汚れを除去する洗浄工程、場合に応じて水や温水によりすすぎを行う中間のすすぎ工程、殺菌剤を用いた殺菌工程、最終のすすぎ工程を含むものが一般的である。本発明の殺菌方法は、食品加工機器、なかでも小型食品加工機器の洗浄工程、なかでもCIP洗浄工程に組み込むことができる。
ここでの殺菌工程はシステム上、衛生管理をコントロール出来る最後の工程となり非常に重要である。本発明では、この殺菌工程を本発明の殺菌液を用いて行うものであり、食品加工機器の食品接触部に当該殺菌液を適用する。殺菌液は、液温が10〜60℃、さらに15〜50℃、よりさらに20〜45℃の温度範囲で用いることが好ましい。また、殺菌液は、1分〜1時間、さらに5分〜45分の範囲で食品接触部に適用、好ましくは接触させて処理する。食品接触部への適用は、定置洗浄(CIP)方式で行われることが好ましく、洗浄液の十分な接触が達成されれば何れの方法でもよく、浸漬、充填、塗布などのいずれでもよい。また、殺菌液を循環使用することもできる。一般に、食品加工機器のタンクや配管への導入が簡便である。
実施例1〜3及び比較例1〜4
(殺菌液の調製)
表1に示す原料を所定濃度となるように水に溶かして、有効塩素濃度が200ppmの殺菌液を1Lビーカーに調製した。実施例1、比較例1の殺菌液は、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム及びコハク酸を重量比31:30で含有する錠剤を水に添加し、それぞれの濃度が310ppm、300ppmとなるように溶解させ、NaOHでpH調整して得た。この時の(A)成分と(B)成分は、(式1)に示されるように次亜塩素酸(この場合は148ppm)とイソシアヌル酸ナトリウム(この場合は213ppm)となる。実施例2、3、比較例2の殺菌液は、イソシアヌル酸とコハク酸(比較例2では省略)を水に溶かしてから、次亜塩素酸Naを加え、NaOHでpH調整して得た。実施例4の殺菌液は、イソシアヌル酸を水に溶かしてから次亜塩素酸Naを加えて、リン酸を加えNaOHでpH調整して得た。比較例3の殺菌液は、コハク酸を水に溶かしてから、次亜塩素酸Naを加えてNaOHでpH調整して得た。比較例4の殺菌液は、次亜塩素酸Naを水に溶かして得た。表1の殺菌液の残部は水である。
(pH緩衝能)
表1の殺菌液(比較例1、2、4は除く)に、NaOH(1M)を加えてpH=7になる必要量(外比mM)を求める。また、同時にHCl(1M)を加えてpH=5になる必要量(外比mM)を求める。以下基準により判定した。
○:NaOH必要量/HCl必要量ともに0.4mM以上
×:NaOH必要量/HCl必要量ともに0.4mM未満
(安定性試験)
表1の殺菌液を、40℃に設定した湯浴の中に設置して殺菌液温度を40℃とする。次いで、カゼインNa濃度が100ppmとなるように、殺菌液にカゼインNa5重量%水溶液を添加する。この時点から2時間後に殺菌液をサンプリングして、JIS K−0101ヨウ素法にて有効塩素濃度を測定する。カゼインNa添加前を100%とした時の比率計算にて、有効塩素残存率を算出する。
(殺菌性試験)
上記の安定性試験後の殺菌液を10mL正確にサンプリングして、40℃に維持したまま、素早く以下の方法にて殺菌試験を実施した。本試験は、カゼインNa存在下40℃2時間後の殺菌効果について評価したものであり、有機物が混入した場合の殺菌力の持続性の指標となる。
セレウス菌(Bacillus cereus ATCC9139)を、SCD寒天培地(日本製薬(株)製)に前培養し、白金耳で菌をかきとり、1mLの滅菌水に懸濁、65℃、30分間の熱処理後、2回遠心分離洗浄を行ったものをセレウス菌液として殺菌試験に用いた。菌濃度は107cell/mlを目安にして調整し、段階希釈と培地への塗抹により、菌液1mL当りの菌数を求めておく。
25℃に調整済みの上記殺菌液10mLに、このセレウス菌液0.1mLを接種し、懸濁させて10分間作用させた。10分後直ちにその0.1mLを、チオ硫酸ナトリウム1重量%とリン酸塩(リン酸2水素カリウム/リン酸水素2ナトリウム=1/1モル)0.05Mを含む不活化液(pH=6.8±0.2)0.9mLに加えて、殺菌液の効果を止める。さらにそこから0.1mLを滅菌水0.9mLに加える操作を繰り返して段階希釈する。不活化液と段階希釈液をそれぞれSCD寒天培地(直径9cm)に0.1mL塗抹し、37℃、48時間培養を行い、検出されたコロニー数をカウントする。
コロニー数が30〜200の範囲で、且つ希釈回数が少ない希釈段階を優先的に選んで、殺菌液1mL当たりの殺菌後の残菌数(対数)を求める。尚、不活化液を塗抹した培地にコロニー数が検出されない場合は<1を、1から30未満の場合はその数字を用いて残菌数を求める。並行して求めた菌液1mL当たりの菌数から、殺菌液1mLに接種した菌数を求めて殺菌前の菌数(常用対数換算)として、殺菌後の残菌数(常用対数換算)を差し引いた値(常用対数換算、これを表1に示す)を殺菌効果とする。
Figure 2009112551
試験例
ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム310mgを水1mLに溶解させた溶液I(次亜塩素酸濃度として148ppm、イソシアヌル酸ナトリウム濃度として213ppm)と、溶液Iにコハク酸300mg(溶液中の濃度300ppm)を添加した溶液IIについて、NaOH又はHClを添加量を変動させて添加していったときのpHの変動を測定した。その結果を図2のグラフに示す。なお、溶液Iの初期pHは6とした。溶液IIは、初期pHは5.5であった。各pHの測定温度は20℃とした。
図2に示されるように、pHを5〜7に維持しようとする場合、溶液IIはpH5.5を中心にアルカリ(NaOH)を1.2mMまで(pH7まで)、酸(HCl)を1.2mMまで(pH5まで)添加できるのに対して、溶液IはpH6を中心にアルカリ(NaOH)を0.2mMまで(pH7まで)、酸(HCl)を0.3mMまで(pH5まで)しか添加できない。換言すると、溶液IIはアルカリが1mM程度混入した場合でもpH6.3と殆ど変動せず、酸が1mM程度混入した場合でもpH5.1までしか変動しないのに対して、溶液Iはアルカリが1mM程度混入した場合、pH9にまでなり、酸が1mM程度混入した場合、pH4にまでなる。(A)成分と(B)成分を含んでいても、比較例2として示したようにpHが上昇した殺菌液は、汚れ存在下での殺菌性が著しく低下する。このため、溶液IIは、アルカリ存在下(例えばアルカリ洗剤が残存したような場合)では容易にpHが上昇して殺菌性に乏しいものとなることが予想される。よって、本発明に用いる殺菌液として適切なものとはならない。
小型食品加工機器のCIP工程の一例の概略を示すフロー
ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム水溶液(溶液I)と、これにコハク酸を添加した水溶液(溶液II)の緩衝能を示すグラフ

Claims (5)

  1. (A)次亜塩素酸及び/又はその塩50〜600ppm、(B)イソシアヌル酸及び/又はその塩50〜2000ppm、並びに水を含み、pHが5〜7、有効塩素濃度が50〜500ppmである、pH緩衝能を有する殺菌液を、食品加工機器の食品接触部に適用する、食品加工機器の殺菌方法。
  2. 前記殺菌液が、さらに(C)2〜4個のカルボキシル基を有するポリカルボン酸及び/又はその塩50〜1000ppmを含む、請求項1記載の食品加工機器の殺菌方法。
  3. 前記殺菌液が、さらに(D)界面活性剤を含む、請求項1又は2記載の食品加工機器の殺菌方法。
  4. (A)成分の供給源となる化合物及び(B)成分の供給源となる化合物を含有する固体状組成物を、水とを混合することにより、前記殺菌液を調製する工程を含む、請求項1〜3の何れか1項記載の食品加工機器の殺菌方法。
  5. (A)次亜塩素酸及び/又はその塩50〜600ppm、(B)イソシアヌル酸及び/又はその塩50〜2000ppm、並びに水を含み、pH(20℃)が5〜7、有効塩素濃度が50〜500ppmであり、pH緩衝能を有する、食品加工機器用の殺菌液。
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