JP2018188550A - 食器洗浄機用抗菌洗浄剤組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
(A)ジオクチルジメチルアンモニウム塩 0.01〜2質量%。
(B)アルカリ剤 5〜50質量%。
(C)キレート剤 5〜30質量%。
(D)スケール防止剤 0.1〜10質量%。
一般的に知られているピンクスライムは、浴室や水周り等湿気の多い環境に発生しやすく、その構成菌としては、酵母のRhodotorula属細菌、細菌のMethylobacterium属細菌が検出されており、これまでのピンクスライム対策としては、これらの構成菌を抑制する抗菌剤を用いることが主流であった。
しかしながら、食器洗浄機庫内の環境は、60℃以上のアルカリ洗浄液という過酷なもので、本発明者は、上述の菌は庫内で生存することができないことを見出した。そして、食器洗浄機庫内に発生しているピンクスライムを採取し、単離した菌を同定した結果、グラム陽性桿菌のGordonia属細菌であることを特定することができた。そこで、本発明者は、そのGordonia属細菌のなかでも最も相同性の高いGordonia paraffinivorans菌を食器洗浄機庫内のピンクスライム生成菌として、さらに鋭意研究を重ね、その抗菌活性が高い抗菌洗浄剤を開発し、本発明に到達するに至った。
(A)ジオクチルジメチルアンモニウム塩 0.01〜2質量%。
(B)アルカリ剤 5〜50質量%。
(C)キレート剤 5〜30質量%。
(D)スケール防止剤 0.1〜10質量%。
上記(A)成分であるジオクチルジメチルアンモニウム塩は、下記の一般式(1)で表される。
つぎに、上記(B)成分であるアルカリ剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化アルカリ金属塩、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム等の珪酸塩、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の炭酸塩、アルカノールアミン等があげられる。なかでも、貯蔵安定性とコスト面から水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化アルカリ金属塩が好ましく用いられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
上記洗浄剤組成物に用いられる(C)成分であるキレート剤は、リン系および無リン系のいずれも用いることができる。上記リン系のキレート剤としては、リン酸アルカリ金属塩があげられ、上記リン酸としては、オルソリン酸、ポリリン酸、ピロリン酸、メタリン酸、ヘキサメタリン酸等があげられる。そして、これらのリン酸と化合させるアルカリ金属としては、ナトリウム、カリウム等があげられる。特に、上記リン酸アルカリ金属塩のなかでもトリポリリン酸ナトリウムが好適である。上記無リン系のキレート剤としては、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸、イミノ二酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、N−ヒドロキシエチルエチレンジアミン酢酸、エチレンジアミンテトラプロピオン酢酸、メチルグリシンジ酢酸(MGDA)、トリエチレンテトラアミンヘキサ酢酸、エチレングリコールジエーテルジアミン四酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、シクロヘキサン−1,2−ジアミン四酢酸、ジエンコル酸、ジカルボキシメチルグルタル酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ酢酸、エチレンジアミンジコハク酸(EDDS)、L−グルタミン酸ジ酢酸(GLDA)、3−ヒドロキシ−2,2'−イミノジコハク酸(HIDS)、L−アスパラギン酸−N,N−ジ酢酸(ASDA)、ヘプトグルコン酸(GH−NA)、タウリン−N,N−ジ酢酸、グルコン酸、クエン酸およびこれらのナトリウム塩,カリウム塩等の水溶性アルカリ金属塩、エタノールアミン塩、アンモニウム塩等があげられる。そして、上記無リン系のキレート剤のなかでも、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸、L−グルタミン酸ジ酢酸、メチルグリシンジ酢酸およびこれらのナトリウム塩,カリウム塩等の水溶性アルカリ金属塩、エタノールアミン塩、アンモニウム塩が好ましく、特に、洗浄力およびコスト面からナトリウム塩が好ましく用いられる。これらは、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
上記洗浄剤組成物に用いられる(D)成分のスケール防止剤は、有機リン系スケール防止剤、およびグリシン系スケール防止剤が好ましく用いられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
抗菌活性値は下記の式(2)で示され、1以上の値を示すものであることが好ましく、より好ましくは2〜3の範囲である。
〔式〕
抗菌活性値=Log(接触菌数−生存菌数) …(2)
ここで、固形状とは、水分により原料を溶解し、過飽和状態にすることにより洗浄剤組成物を固まらせたものをいい、固形状の水分量としては、液体状より少なく、粉体状より多い。このような固形状は、原料の種類にもよるが、およそ固形分が55〜75質量%で残りが水分という組成により形成される。これに対し、粉体状の洗浄剤組成物は、ほとんど含水分がない。
・A−1:ジオクチルジメチルアンモニウムクロライド(純分80%)(Bardac LF−80、ロンザジャパン社製)
・B−1:水酸化ナトリウム(純分99%)(トーソーパール、東ソー社製)
・B−2:水酸化カリウム(純分48%)(48%液体苛性カリ、旭硝子社製)
・B−3:珪酸カリウム(純分38%)(A珪酸カリ、日本化学工業社製)
・B−4:モノエタノールアミン(純分90%)(モノエタノールアミン90、日本触媒社製)
・B−5:炭酸ナトリウム(純分99%)(ライトソーダ灰、トクヤマ社製)
・B−6:無水メタ珪酸ナトリウム(純分96%)(無水メタ珪酸ナトリウム、日本化学工業社製)
・C−1:ニトリロ三酢酸三ナトリウム(純分92%)(クレワットPC−C3、ナガセケムテックス社製)
・C−2:トリポリリン酸ナトリウム(純分98%)(トリポリリン酸ソーダ、日本化学工業社製)
・D−1:1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸(純分60%)(Dequest 2010、イタルマッチジャパン社製)
・D−2:ジヒドロキシエチルグリシンナトリウム(純分50%)(キレストG−50、キレスト社製)
・硫酸ナトリウム(純分100%)(中性無水芒硝、日本化学工業社製)
・ジデシルジメチルアンモニウムクロライド(DDAC)(純分80%)(Bardac 2280、ロンザジャパン社製)
・次亜塩素酸ナトリウム(純分12%)(次亜塩素酸ソーダ、南海化学社製)
後記の表1に示す組成(各表の数値の単位は「質量%」である)の洗浄剤組成物を調製し、その洗浄剤組成物の形態を示すとともに、洗浄性、低泡性、再付着防止性、スケール防止性、抗菌性、貯蔵安定性について試験を行い、これらの評価を後記の表1に併せて示す。なお、各項目の試験方法、評価方法は、下記に示す通りである。
〈試験方法〉
調製された洗浄剤組成物をイオン交換水で下記の洗浄剤濃度になるよう希釈して、洗浄液を作製した。この洗浄液を、業務用の食器洗浄機(SD104GS、日本洗浄機社製)の洗浄タンクにセットし、下記の運転条件で被洗浄物である磁器皿を10枚一組として洗浄し、その洗浄性を下記の基準に従い評価した。なお、汚れとして、油脂(牛脂)汚れ、およびタンパク質(卵黄)汚れの2種類を用意し、それぞれの汚れに対し洗浄評価を行った。
*運転条件
洗浄剤濃度 :0.2質量%
洗浄温度 :60℃
すすぎ温度 :80℃
すすぎ水量 :2.2L
洗浄コース :標準洗浄サイクル(洗浄:50秒、すすぎ:10秒)
水道水の硬度:(CaCO3として)60mg/L
油脂汚れ :直径25cmの磁器皿に、精製牛脂を4g/枚になるように付着させたものを用いた。
タンパク質汚れ:直径25cmの磁器皿に鶏卵の卵黄を4g/枚になるように付着させ、室温(約23±2℃)で1時間乾燥させ、洗浄直前に30分間40℃のお湯にて浸漬したものを用いた。
〈評価基準〉
油脂汚れについては、オイルレッド液を洗浄後の磁器皿に塗布し、タンパク質汚れについては、そのまま目視にて以下のように汚れ除去具合を判定した。なお、オイルレッド液にはアゾ色素が含まれており、油脂を赤く染める。
◎:非常によい(90%以上の汚れ除去)。
○:よい(70%以上で90%未満の汚れ除去)。
△:可(50%以上で70%未満の汚れ除去)。
×:悪い(50%未満の汚れ除去)。
〈試験方法〉
調製された洗浄剤組成物と充分にかき混ぜた鶏卵(全卵)30gとを業務用の自動食器洗浄機(SD104GS、日本洗浄機社製)に投入し、下記の運転条件で運転した。そして、洗浄液の泡立ち(起泡)を目視により下記の評価基準で評価した。
*運転条件
洗浄剤濃度 :0.2質量%
洗浄温度 :60℃
すすぎ温度 :80℃
すすぎ水量 :2.2L
洗浄コース :標準洗浄サイクル(洗浄:50秒、すすぎ:10秒)
水道水の硬度:(CaCO3として)60mg/L
タンパク質汚れ:鶏卵(全卵)30g
〈評価基準〉
◎:運転時に泡が液面から50mm未満で、かつ運転終了後速やかに泡が消える。
○:運転時に泡が液面から50mm未満で、かつ運転終了後1分経過以内に泡が消える。
△:運転時に泡が液面から50mm以上であるが、運転終了後1分経過以内に泡が消える。
×:運転時の泡の高さにかかわらず、運転終了後1分経過後も泡が消えずに残っている。
××:運転直後に、ポンプが泡をかんで、運転困難となる。
〈試験方法〉
調製された洗浄剤組成物とともにオイルレッド液で着色したサラダ油30gを業務用の自動食器洗浄機(SD104GS、日本洗浄機社製)に投入し、下記の運転条件で運転して、メラミン製の清浄皿への汚れの付着の程度を以下の基準で目視判定した。
*運転条件
洗浄剤濃度 :0.2質量%
洗浄温度 :60℃
すすぎ温度 :80℃
すすぎ水量 :2.2L
洗浄コース :標準洗浄サイクル(洗浄:50秒、すすぎ:10秒)
水道水の硬度:(CaCO3として)60mg/L
〈評価基準〉
◎:清浄皿に汚れが全く付着していなかった。
○:清浄皿に汚れがほとんど付着していなかった。
△:清浄皿に汚れが付着していた。
×:清浄皿に汚れがかなり付着していた。
〈試験方法〉
洗浄剤組成物を人工硬水(総硬度:150mg/L)を用いて0.2質量%に希釈して、試験液を作製した。この試験液を、容量100mLの比色管に50mLを注ぎ、インキュベーター(IS800、ヤマト科学社製)により60℃で4時間保持した後、試験液および比色管を目視で観察し、下記の基準に従いスケール発生抑制の程度を評価した。なお、スケールには、試験液に浮遊するものと、比色管底部および側部に付着するものとがあるが、いずれも評価対象とした。
〈評価基準〉
◎:非常によい(スケールの発生がなかった)。
○:よい(スケールの発生がほとんどなかった)。
△:可(スケールの発生があった)。
×:悪い(スケール付着が著しかった)。
〈試験方法〉
ピンクスライム生成菌の細菌モデルとして、Gordonia paraffinivorans菌(NBRC108238)を用い、下記の方法によって、抗菌力を評価した。すなわち、まず、各供試組成物を50ppm(CaCO3として)の硬水で0.2質量%に希釈した。つぎに、細菌数が105 個となるように調整した菌液1mLを滅菌水で希釈した供試組成物試験液99mLに混合して細菌を接触させた。接触温度は50℃、60分間後、接触液1mLを取り出して9mL薬剤不活化リン酸バッファーに加え、同様の操作を行って段階的に希釈した後、SCDLP寒天培地「ダイゴ」(日本製薬社製)にて混釈培養し、生存菌数を測定した。そして、下記の式(2)で求められる接触菌数と生存菌数の常用対数値の差を抗菌活性値とし、下記4段階の評価基準により評価した。
〔式〕
抗菌活性値=Log(接触菌数−生存菌数) …(2)
〈評価基準〉
◎:非常に抗菌力に優れる(抗菌活性値が2以上)。
○:抗菌力に優れる(抗菌活性値が1以上2未満)。
△:やや抗菌力に劣る(抗菌活性値が0.5以上1未満)。
×:抗菌力に劣る(抗菌活性値が0.5未満)。
なお、◎および○を実用性があるものと評価した。
〈試験方法〉
調製された洗浄剤組成物を100mLのガラス瓶に入れ、恒温槽(SLI−4S、須中理化工業社製)により40℃の雰囲気下に置き、その状態で1カ月保管した。また、同様に、調製された洗浄剤組成物を100mLのガラス瓶に入れ、インキュベーター(MTH−2400、SANYO社製)により−5℃から5℃にプログラムコントロールされた雰囲気下に置き、その状態で1カ月保管した。そして、これらの外観を目視によりそれぞれ観察し、下記の評価基準に基づいて評価した。
〈評価基準〉
◎:非常によい(1カ月後、濁り・分離・析出・変色等の外観変化は全くなかった)。
○:よい(1カ月後、濁り・分離・析出・変色等の外観変化がわずかにみられた)。
△:可(2週間後、濁り・分離・析出・変色等の外観変化がわずかにみられた)。
×:悪い(配合直後に、濁り・分離・析出・変色等の外観変化があった)。
また、本発明の実施例品は、Gordonia paraffinivorans菌の他に、食中毒の原因菌に対しても抑制する効果が得られるものであった。
Claims (3)
- 下記の(A)〜(D)成分を、洗浄剤組成物全体に対し下記の割合で含有するとともに、抗菌活性を示すことを特徴とする食器洗浄機用抗菌洗浄剤組成物。
(A)ジオクチルジメチルアンモニウム塩 0.01〜2質量%。
(B)アルカリ剤 5〜50質量%。
(C)キレート剤 5〜30質量%。
(D)スケール防止剤 0.1〜10質量%。 - 上記(D)スケール防止剤が、有機リン系スケール防止剤およびグリシン系スケール防止剤の少なくとも一方である請求項1に記載の食器洗浄機用抗菌洗浄剤組成物。
- Gordonia属細菌に対する抗菌活性を示す請求項1または2に記載の食器洗浄機用抗菌洗浄剤組成物。
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