JP2009111144A - プリント配線板 - Google Patents

Abstract

【課題】 本発明のプリント配線板は、車両用に搭載されるプリント配線板に水分が浸入した際に、回路の短絡による発火を防止する構造を提案することを目的とする。
【解決手段】 本発明のプリント配線板１は、グランドの部品が配設されるグランド部１０５と、弱電の部品が配設される弱電部１０７と、高電位の部品が配設される高電位部１０９と、グランド部１０５及び弱電部１０７の間に形成されるスリット１０１と、弱電部１０７及び高電位部１０９の間に形成されるスリット１０３とを備える。
【選択図】 図１

Description

本発明は、車両に搭載されるプリント配線板に関し、より詳細には、自動二輪車の電子制御ユニット（ＥＣＵ）に搭載されるプリント配線板に関するものである。

従来の車両用のプリント配線板（プリント基板）は、車両が雨等の悪天候時にも運転され、水分の浸入によりショートして発火するおそれがあるため、防水や排水に関して、種々の提案がなされていた。

特許文献１は、防水に関するもので、車両用のモータ駆動用大電流回路ユニットのハウジング内に収容された電子基板等に水等が付着することを防ぐために、カバーによりケース部の上方の開口部を覆うように蓋をして、振動溶着によって両者を接合し、この接合によって、ケース部とカバーとを一体としてハウジングを構成することにより、大電流回路ユニット用ハウジングの内部への水等の浸入を防止するものである。

一方、特許文献２は、排水に関するもので、モータ駆動用大電流回路一体型油圧制御装置において、油圧ユニット用ハウジングに通路溝を設けて、これを通気と水抜きのための経路の一部とするものである。
特開２０００−１６８５３１号公報 特開２００１−１２４００５号公報

特許文献１に記載のものでは、車両は長期間にわたって動作するため、振動等によってハウジングの密閉が不十分になって水分が浸入するおそれがある。さらに、特許文献２に記載のものでは、ハウジングからの排水を容易にする構造が記載されているのみである。

一般に、従来の自動二輪車用のＥＣＵユニット内部には、プリント配線板が配設され、外部コネクタ端子部がプリント配線板に直接接合されている。このような構造において、なんらかの故障によって、水などの異物がＥＣＵユニット内部に浸入した場合には、プリント配線板の電気的絶縁性能が低下し火災が発生する可能性があるが、特許文献１や２では、プリント配線板への水滴等の付着による絶縁性能の低下に関しては何ら検討されていなかった。

したがって、本発明のプリント配線板は、車両用に搭載されるプリント配線板に水分が浸入した際に、回路の短絡による発火を防止する構造を提案することを目的とする。

本発明のプリント配線板は、上記課題を解決するために、第１の発明は、プリント配線板であって、前記プリント配線板に設けられる複数の領域と、前記複数の領域の間に形成される隙間と、を備えることを特徴とするプリント配線板である。第２の発明は、前記プリント配線板において、前記プリント配線板の部品を、電位毎に分けて前記複数の領域に配設することを特徴とするプリント配線板である。

第３の発明は、前記プリント配線板において、前記複数の領域は、グランドの部品が配設されるグランド部と、弱電の部品が配設される弱電部と、高電位の部品が配設される高電位部とから構成されることを特徴とするプリント配線板である。第４の発明は、前記プリント配線板において、前記グランド部と前記弱電部との間に前記隙間が位置し、前記弱電部と前記高電位部との間に前記隙間が位置することを特徴とするプリント配線板である。

第５の発明は、前記プリント配線板において、前記グランド部と前記高電位部とは、前記弱電部を介して離隔されることを特徴とするプリント配線板である。第６の発明は、前記プリント配線板において、前記隙間はスリットであることを特徴とするプリント配線板である。第７の発明は、前記プリント配線板において、前記隙間は幅広底部を備えることを特徴とするプリント配線板である。第８の発明は、第７の発明のプリント配線板において、前記幅広底部は、楕円形、円形、菱形、三角形、多角形の何れかであることを特徴とするプリント配線板である。第９の発明は、前記プリント配線板において、前記隙間の途中に幅広部を備えることを特徴とするプリント配線板である。

第１０の発明は、第９の発明のプリント配線板において、前記幅広部は、楕円形、円形、菱形、三角形、多角形の何れかであることを特徴とするプリント配線板である。第１１の発明は、前記プリント配線板において、前記隙間の周囲にレジスト壁を備えることを特徴とするプリント配線板である。第１２の発明は、前記プリント配線板において、前記隙間の周囲に絶縁被膜を備えることを特徴とするプリント配線板である。第１３の発明は、前記プリント配線板において、前記隙間は、スロットであることを特徴とするプリント配線板である。

本発明のプリント配線板によれば、製品の信頼性及び安全性が向上するだけでなく、スリット等の隙間を形成するだけなので、追加の製造コストは極めて低いか、場合によって追加の製造コストは無視できるものとなる。

本発明のプリント配線板は、電位差の高い場所など、絶縁性能が要求される部位にスリット等の隙間部を形成することで、水などの滞留を妨げ、火災などの重篤な失陥に至ることの防止する。以下、本発明のプリント配線板に関する各実施形態を図１乃至図３を参照して説明する。なお、各実施形態において、同一部分には同一符号を付し説明を省略する。

［第１の実施形態］
本発明のプリント配線板に係る第１の実施形態を図１を用いて説明する。図１において、プリント配線板１００の矩形状外周部１００ａの右側辺から、その辺に対して垂直な方向に直線状のスリット（切り込み、溝）１０１、１０３が形成される。

プリント配線板１００の外周部１００ａ、スリット１０１によって囲まれる第１領域は、グランド部１０５であり、グランド部１０５に形成されるコネクタ端子取付孔１０５ａには、グランド電位用コネクタ端子が取り付けられる。グランド部１０５に実装されるグランド電位の部品には、グランド部１０５の基板に形成されたパターン（図示しない）を通じて通電される。

スリット１０１、プリント配線板１００の外周部１００ａ、スリット１０３によって囲まれる第２領域は、弱電部（信号部）１０７であり、弱電部１０７に形成されるコネクタ端子取付孔１０７ａには、弱電用コネクタ端子が取り付けられる。弱電部１０７に実装されるＩＣ、μＣ等の弱電部品には、弱電部１０７の基板に形成されたパターン（図示しない）を通じて通電される。

スリット１０３、プリント配線板１００の外周部１００ａによって囲まれる第３領域は、高電圧部１０９であり、高電圧部１０９に形成されるコネクタ端子取付孔１０９ａには、高電圧用コネクタ端子が取り付けられる。高電圧部１０９に実装されるバルブリレー、モーターリレー等の高電圧部品には、高電圧部１０９の基板に形成されたパターン（図示しない）を通じて通電される。このように、グランド部１０５と高電圧部１０９とを直接接しないように離隔して配置することにより、スリット１０１、１０３による絶縁効果をさらに向上させる。

さらに、隣接する領域間に配設される部品の電位差を減少させることにより、ショートによる発火の可能性を低減することもできる。また、スリットにより、プリント配線板上に水の滞留を防ぎ、ショートによる発火の可能性をさらに低減することができる。

なお、各スリットにレジスト壁を形成してもよく、各スリットに、シリコン等の絶縁物を塗布して、絶縁被膜を形成してもよい。さらに、スリットの幅は、プリント配線板材料が親水性である場合には幅狭とし、疎水性である場合は幅広にすることもできる。スリットの幅は、表面張力により水が架橋しない程度の幅であればよい。

［第２の実施形態］
本発明のプリント配線板に係る第２の実施形態を図２を用いて説明する。図２において、プリント配線板１００’は、スリット１０１、１０３の底部に、楕円形に切り欠いた幅広底部１０１ａ、１０３ａをそれぞれ形成する。なお、幅広底部１０１ａ、１０３ａは、楕円形としたが、これに限定されず、円形、菱形、三角形、多角形等でもよい。第２の実施形態では、幅広底部１０１ａ、１０３ａにより、スリット１０１、１０３が形成されていない底部左側の領域から水滴等がスリットの周囲の領域に浸入することを防止できる。

［第３の実施形態］
本発明のプリント配線板に係る第３の実施形態を図３を用いて説明する。図３において、プリント配線板１００’’は、スリット１０１、１０３の外周部１０１ａから底部に至る途中に、円形に切り欠いた幅広部１０１ｂ、１０３ｂをそれぞれ形成する。なお、幅広部１０１ｂ、１０３ｂは円形としたが、これに限定されず、楕円形、菱形、三角形、多角形等でもよく、複数設けることも可能である。第３の実施形態では、幅広部１０１ｂ、１０３ｂにより、スリット１０１、１０３を超えて水滴等が各領域に浸入することを防止できる。

なお、上記第１乃至第３の実施形態では、スリットを備えるプリント配線板を説明したが、プリント配線板に設ける隙間としてはスリットに限定されず、例えばスロット（長細孔）とすることもできる。スロットを設けた場合には、プリント配線板１００の外周部１００ａ側で各領域が接続されるが、外周部側には部品が配設されないため短絡等のおそれは低く、むしろ外周部部で各領域が接続されるため、プリント配線板１００の強度を保持することや、共振等を防止できる。

本発明の第１の実施形態に係るプリント配線板の平面図である。 本発明の第２の実施形態に係るプリント配線板の平面図である。 本発明の第３の実施形態に係るプリント配線板の平面図である。

符号の説明

１００ プリント配線板
１００ａ 外周部
１０１ スリット
１０１ａ 幅広底部
１０１ｂ 幅広部
１０３ スリット
１０３ａ 幅広底部
１０３ｂ 幅広部
１０５ グランド部
１０７ 弱電部
１０９ 高電圧部

Claims (13)

1. プリント配線板であって、
   前記プリント配線板に設けられる複数の領域と、
   前記複数の領域の間に形成される隙間と、を備えることを特徴とするプリント配線板。
2. 請求項１に記載のプリント配線板において、前記プリント配線板の部品を、電位毎に分けて前記複数の領域に配設することを特徴とするプリント配線板。
3. 請求項２に記載のプリント配線板において、前記複数の領域は、グランドの部品が配設されるグランド部と、弱電の部品が配設される弱電部と、高電位の部品が配設される高電位部とから構成されることを特徴とするプリント配線板。
4. 請求項３に記載のプリント配線板において、前記グランド部と前記弱電部との間に前記隙間が位置し、前記弱電部と前記高電位部との間に前記隙間が位置することを特徴とするプリント配線板。
5. 請求項４に記載のプリント配線板において、前記グランド部と前記高電位部とは、前記弱電部を介して離隔されることを特徴とするプリント配線板。
6. 請求項１乃至５の何れか一項に記載のプリント配線板において、前記隙間はスリットであることを特徴とするプリント配線板。
7. 請求項１乃至６の何れか一項に記載のプリント配線板において、前記隙間は幅広底部を備えることを特徴とするプリント配線板。
8. 請求項７に記載のプリント配線板において、前記幅広底部は、楕円形、円形、菱形、三角形、多角形の何れかであることを特徴とするプリント配線板。
9. 請求項１乃至８の何れか一項に記載のプリント配線板において、前記隙間の途中に幅広部を備えることを特徴とするプリント配線板。
10. 請求項９に記載のプリント配線板において、前記幅広部は、楕円形、円形、菱形、三角形、多角形の何れかであることを特徴とするプリント配線板。
11. 請求項１乃至１０の何れか一項に記載のプリント配線板において、前記隙間の周囲にレジスト壁を備えることを特徴とするプリント配線板。
12. 請求項１乃至１１の何れか一項に記載のプリント配線板において、前記隙間の周囲に絶縁被膜を備えることを特徴とするプリント配線板。
13. 請求項１乃至１２の何れか一項に記載のプリント配線板において、前記隙間は、スロットであることを特徴とするプリント配線板。

Images