JP2009111004A - 絶縁ゲート型電界効果トランジスタおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ゲート絶縁膜の信頼性を向上させることが可能な絶縁ゲート型電界効果トランジスタおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】MISFET1は、n+SiC基板10と、n+SiC基板10上に形成されたn−SiC層20と、n−SiC層20において、n+SiC基板10側の主面である第1の主面20Aとは反対側の主面である第2の主面20Bを含むように形成されたpウェル21と、pウェル21内に第2の主面20Bを含ように形成され、n−SiC層20よりも高濃度のn型の不純物を含むn+ソース領域22と、第2の主面20Bに接触するようにn−SiC層20上に形成され、ダイヤモンドライクカーボンからなるゲート絶縁膜30と、ゲート絶縁膜30上に形成されたゲート電極40とを備えている。
【選択図】図1
【解決手段】MISFET1は、n+SiC基板10と、n+SiC基板10上に形成されたn−SiC層20と、n−SiC層20において、n+SiC基板10側の主面である第1の主面20Aとは反対側の主面である第2の主面20Bを含むように形成されたpウェル21と、pウェル21内に第2の主面20Bを含ように形成され、n−SiC層20よりも高濃度のn型の不純物を含むn+ソース領域22と、第2の主面20Bに接触するようにn−SiC層20上に形成され、ダイヤモンドライクカーボンからなるゲート絶縁膜30と、ゲート絶縁膜30上に形成されたゲート電極40とを備えている。
【選択図】図1
Description
本発明は絶縁ゲート型電界効果トランジスタおよびその製造方法に関し、より特定的には、ゲート絶縁膜の信頼性を向上させることが可能な絶縁ゲート型電界効果トランジスタおよびその製造方法に関する。
近年、電界効果トランジスタ(Field Effect Transistor;FET)が使用される装置の高性能化に伴い、FETに対しては耐圧の向上、低損失化とともに、信頼性の向上が求められている。FETの一種である絶縁ゲート型電界効果トランジスタ(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor;MISFET)においては、ゲート絶縁膜の信頼性が、その信頼性に大きな影響を及ぼす。MISFETのゲート絶縁膜としては、代表的には、酸化膜が採用される(MOSFET;Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor;酸化膜電界効果トランジスタ)。そして、酸化膜が採用されたゲート絶縁膜の信頼性向上に関しては多くの検討がなされ、種々の提案がなされている(たとえば特許文献1および2参照)。
特開2006−269924号公報
特開2005−340685号公報
しかしながら、ゲート絶縁膜として酸化膜が採用されている場合、半導体層の格子欠陥に起因して、逆バイアス時にリーク電流が発生したり、耐圧が低下したりする場合があるという問題があった。特に、高い信頼性が要求される用途においては、従来の対策は必ずしも十分とはいえず、ゲート絶縁膜のさらなる信頼性向上が求められていた。
そこで、本発明の目的は、ゲート絶縁膜の信頼性を向上させることが可能な絶縁ゲート型電界効果トランジスタおよびその製造方法を提供することである。
本発明に従った絶縁ゲート型電界効果トランジスタは、基板と、半導体層と、第2導電型領域と、高濃度第1導電型領域と、絶縁膜と、電極とを備えている。半導体層は、基板上に形成された、第1導電型の層である。第2導電型領域は、上記半導体層において、基板側の主面である第1の主面とは反対側の主面である第2の主面を含むように形成された、上記第1導電型とは導電型の異なる第2導電型の領域である。高濃度第1導電型領域は、第2導電型領域内に上記第2の主面を含ように形成され、上記半導体層よりも高濃度の第1導電型の不純物を含む領域である。絶縁膜は、上記第2の主面に接触するように半導体層上に形成され、ダイヤモンドライクカーボンからなっている。電極は、上記絶縁膜上に形成されている。
本発明の絶縁ゲート型電界効果トランジスタにおいては、ゲート絶縁膜として機能する絶縁膜の素材として、ダイヤモンドライクカーボン(Diamond Like Carbon;DLC)が採用されている。DLCは絶縁性に優れ、かつ平坦に成膜することが比較的容易である。そのため、ゲート絶縁膜として機能する絶縁膜の素材としてDLCを採用することにより、従来の絶縁ゲート型電界効果トランジスタに比べて、半導体層の格子欠陥に起因した逆バイアス時のリーク電流の発生を抑制するとともに、所望の耐圧をより確実に確保することができる。その結果、本発明の絶縁ゲート型電界効果トランジスタによれば、ゲート絶縁膜の信頼性を向上させることが可能な絶縁ゲート型電界効果トランジスタを提供することができる。
上記絶縁ゲート型電界効果トランジスタにおいて好ましくは、絶縁膜を構成するダイヤモンドライクカーボンは、50原子%以上65原子%以下の水素を含んでいる。
50原子%以上65原子%以下の水素を含有するDLCに対して光を照射することにより、DLCの誘電率を調整することができる。したがって、上記構成によれば、たとえば絶縁膜の厚みを変化させることなく、絶縁膜に光を照射することにより、絶縁膜の誘電率を変化させ、絶縁ゲート型電界効果トランジスタの閾値電圧を調整することができる。ここで、DLCが含有する水素が50原子%未満である場合、あるいは65原子%を超える場合、光を照射することによる誘電率の変化が生じにくくなる。そのため、水素の含有量は50原子%以上65原子%以下とする必要がある。
上記絶縁ゲート型電界効果トランジスタにおいて好ましくは、上記基板の半導体層が形成されている側の主面とは反対側の主面上に形成された第2の電極をさらに備えている。そして、第2の電極には、基板を露出させる貫通孔が形成されている。
絶縁ゲート型電界効果トランジスタにおいては、たとえばドレイン電極など、基板の半導体層が形成されている側の主面とは反対側の主面上に、第2の電極が必要となる場合がある。この場合、上述のように、当該第2の電極に貫通孔が形成されていることにより、貫通孔を通して絶縁膜に光を照射することができる。そのため、上記第2の電極が形成された後、たとえば絶縁ゲート型電界効果トランジスタの完成後に、貫通孔を通して絶縁膜に光を照射することにより、閾値電圧を制御することが可能となる。その結果、上記構成によれば、高い歩留まりを確保しつつ製造可能な絶縁ゲート型電界効果トランジスタを提供することができる。
上記絶縁ゲート型電界効果トランジスタにおいて好ましくは、絶縁膜と接触する第2の主面は水素終端されている。
半導体層の表面である第2の主面が水素終端されることにより、表面に存在する原子の不安定な結合手が低減される。そのため、第2の主面におけるエネルギー状態が安定し、絶縁ゲート型電界効果トランジスタの信頼性が一層向上する。
上記絶縁ゲート型電界効果トランジスタにおいて好ましくは、上記半導体層を構成する半導体は、バンドギャップが珪素よりも大きいワイドバンドギャップ半導体である。
上記半導体層を構成する半導体にワイドバンドギャップ半導体を採用することにより、絶縁ゲート型電界効果トランジスタの耐圧を向上させるとともに、オン抵抗を低減して低損失化することが可能となる。なお、ワイドバンドギャップ半導体としては、たとえば炭化珪素(SiC)、窒化ガリウム(GaN)、窒化アルミニウム(AlN)、ダイヤモンドなどが挙げられる。
上記絶縁ゲート型電界効果トランジスタにおいて好ましくは、上記半導体層を構成する半導体は、炭化珪素である。
ワイドバンドギャップ半導体の中でも、炭化珪素(SiC)、特に六方晶SiCは、製造の容易性と特性とのバランスから、上記半導体層を構成する半導体材料として好適である。
本発明に従った絶縁ゲート型電界効果トランジスタの製造方法は、基板を準備する工程と、半導体層を形成する工程と、第2導電型領域を形成する工程と、高濃度第1導電型領域を形成する工程と、絶縁膜を形成する工程と、電極を形成する工程とを備えている。
半導体層を形成する工程では、基板上に第1導電型の半導体層が形成される。第2導電型領域を形成する工程では、上記半導体層において、基板側の主面である第1の主面とは反対側の主面である第2の主面を含むように、第1導電型とは導電型の異なる第2導電型の第2導電型領域が形成される。高濃度第1導電型領域を形成する工程では、第2導電型領域内の第2の主面を含む領域に、半導体層よりも高濃度の第1導電型の不純物を含む高濃度第1導電型領域が形成される。絶縁膜を形成する工程では、半導体層上に、第2の主面に接触するようにダイヤモンドライクカーボンからなる絶縁膜が形成される。電極を形成する工程では、絶縁膜上に電極が形成される。
本発明の絶縁ゲート型電界効果トランジスタの製造方法では、絶縁膜を形成する工程において、半導体層上にダイヤモンドライクカーボン(DLC)からなる絶縁膜が形成される。上述のように、DLCは絶縁性に優れ、かつ平坦に成膜することが比較的容易である。そのため、上記工程を採用することにより、半導体層の格子欠陥に起因した逆バイアス時のリーク電流の発生を抑制するとともに、所望の耐圧を確実に確保可能な絶縁膜(ゲート絶縁膜)を備えた絶縁ゲート型電界効果トランジスタを製造することができる。その結果、本発明の絶縁ゲート型電界効果トランジスタの製造方法によれば、ゲート絶縁膜の信頼性が向上した絶縁ゲート型電界効果トランジスタを製造することができる。
上記絶縁ゲート型電界効果トランジスタの製造方法において好ましくは、絶縁膜を形成する工程では、絶縁膜を構成するダイヤモンドライクカーボンに水素が導入される。
これにより、後工程において絶縁膜に光を照射することで、絶縁膜の誘電率を変化させ、絶縁ゲート型電界効果トランジスタの閾値電圧を調整することができる。なお、絶縁膜を形成する工程においてDLCに導入される水素の割合は、50原子%以上65原子%以下であることが望ましい。
上記絶縁ゲート型電界効果トランジスタの製造方法において好ましくは、基板の半導体層が形成されている側の主面とは反対側の主面上に、基板を露出させる貫通孔を有する第2の電極を形成する工程と、貫通孔を通して絶縁膜に対して光を照射する工程とをさらに備えている。
これにより、ドレイン電極などの上記第2の電極が形成された後、たとえば絶縁ゲート型電界効果トランジスタの完成後に、閾値電圧を制御することが可能となる。その結果、上記プロセスによれば、絶縁ゲート型電界効果トランジスタを高い歩留まりを確保しつつ製造することができる。
上記絶縁ゲート型電界効果トランジスタの製造方法において好ましくは、絶縁膜と接触する第2の主面を水素終端する工程をさらに備えている。
第2の主面が水素終端されることにより、第2の主面におけるエネルギー状態を安定させることができる。その結果、一層信頼性が向上した絶縁ゲート型電界効果トランジスタを製造することができる。
上記絶縁ゲート型電界効果トランジスタの製造方法において好ましくは、半導体層を形成する工程では、バンドギャップが珪素よりも大きいワイドバンドギャップ半導体からなる半導体層が形成される。
上記半導体層を構成する半導体にワイドバンドギャップ半導体を採用することにより、高耐圧かつ低損失な絶縁ゲート型電界効果トランジスタを製造することができる。
上記絶縁ゲート型電界効果トランジスタの製造方法において好ましくは、半導体層を形成する工程では、炭化珪素からなる半導体層が形成される。
ワイドバンドギャップ半導体の中でも、炭化珪素(SiC)、特に六方晶SiCは、製造の容易性と特性とのバランスから、上記半導体層を構成する半導体材料として好適である。
以上の説明から明らかなように、本発明の絶縁ゲート型電界効果トランジスタおよびその製造方法によれば、ゲート絶縁膜の信頼性を向上させることが可能な絶縁ゲート型電界効果トランジスタおよびその製造方法を提供することができる。
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰返さない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の一実施の形態である実施の形態1における絶縁ゲート型電界効果トランジスタ(MISFET)の構成を示す概略断面図である。図1を参照して、実施の形態1におけるMISFETについて説明する。
図1は、本発明の一実施の形態である実施の形態1における絶縁ゲート型電界効果トランジスタ(MISFET)の構成を示す概略断面図である。図1を参照して、実施の形態1におけるMISFETについて説明する。
図1を参照して、実施の形態1におけるMISFET1は、ワイドバンドギャップ半導体であるSiCからなり、導電型がn型(第1導電型)の基板であるn+SiC基板10と、導電型がn型(第1導電型)の半導体層としてのn−SiC層20と、導電型がp型(第2導電型)の第2導電型領域としての一対のpウェル21と、導電型がn型(第1導電型)の高濃度第1導電型領域としてのn+ソース領域22とを備えている。n+SiC基板10は、六方晶SiCからなり、高濃度のn型不純物(導電型がn型である不純物)を含んでいる。n−SiC層20は、n+SiC基板10の一方の主面上に形成され、n型不純物を含むことにより導電型がn型となっている。n−SiC層20に含まれるn型不純物は、たとえばN(窒素)であり、n+SiC基板10に含まれるn型不純物よりも低い濃度で含まれている。
一対のpウェル21は、n−SiC層20において、n+SiC基板10側の主面である第1の主面20Aとは反対側の主面である第2の主面20Bを含むように互いに分離して形成され、p型不純物(導電型がp型である不純物)を含むことにより、導電型がp型(第2導電型)となっている。pウェル21に含まれるp型不純物は、たとえばアルミニウム(Al)、硼素(B)などであり、n+SiC基板10に含まれるn型不純物よりも低い濃度で含まれている。
n+ソース領域22は、第2の主面20Bを含み、かつpウェル21に取り囲まれるように、一対のpウェル21のそれぞれの内部に形成されている。n+ソース領域22は、n型不純物、たとえばP、Asなどをn−SiC層20に含まれるn型不純物よりも高い濃度で含んでいる。
さらに、図1を参照して、MISFET1は、絶縁膜としてのゲート絶縁膜30と、電極としてのゲート電極40と、一対のソースコンタクト電極80と、層間絶縁膜50と、ソース電極60と、第2の電極としてのドレイン電極70とを備えている。
ゲート絶縁膜30は、第2の主面20Bに接触し、一方のn+ソース領域22の上部表面から他方のn+ソース領域22の上部表面にまで延在するようにn−SiC層20の第2の主面20B上に形成され、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)からなっている。また、ゲート絶縁膜30を構成するDLCは、50原子%以上65原子%以下の水素を含んでいる。ここで、ゲート−ソース間の絶縁を十分に確保する観点から、ゲート絶縁膜30の厚みは20nm以上であることが好ましい。一方、ゲート電圧によりFETのオン/オフ動作を容易に行なうことを可能とする観点から、ゲート絶縁膜30の厚みは100nm以下であることが好ましい。また、ゲート絶縁膜30を構成するDLCに含まれる水素の濃度は、たとえばERDA(Elastic Recoil Detection Analysis;弾性反跳粒子検出)、EELS(Electron Energy−Loss Spectroscopy;電子エネルギー損失分光)、SIMS(Secondary Ion Mass Spectrometry;2次イオン質量分析)などの方法により測定することができる。
ゲート電極40は、一方のn+ソース領域22上から他方のn+ソース領域22上にまで延在するように、ゲート絶縁膜30に接触して配置されている。また、ゲート電極40は、Al、ポリシリコンなどの導電体からなっている。
ソースコンタクト電極80は、一対のn+ソース領域22上のそれぞれから、ゲート絶縁膜30から離れる向きに延在するとともに、第2の主面20Bに接触して配置されている。また、ソースコンタクト電極80は、たとえばNiSi(ニッケルシリサイド)など、n+ソース領域22とオーミックコンタクト可能な材料からなっている。
層間絶縁膜50は、第2の主面20B上においてゲート電極40を取り囲み、かつ一方のpウェル21上から他方のpウェル21上にまで延在するように形成され、たとえば絶縁体である二酸化珪素(SiO2)からなっている。
ソース電極60は、第2の主面20B上において、層間絶縁膜50を取り囲み、かつn+ソース領域22およびソースコンタクト電極80の上部表面上にまで延在している。また、ソース電極60は、Alなどの導電体からなり、ソースコンタクト電極80を介してn+ソース領域22と電気的に接続されている。
ドレイン電極70は、n+SiC基板10においてn−SiC層20が形成される側とは反対側の主面に接触して形成されている。このドレイン電極70は、たとえばNiSiなど、n+SiC基板10とオーミックコンタクト可能な材料からなっており、n+SiC基板10と電気的に接続されている。
すなわち、実施の形態1における絶縁ゲート型電界効果トランジスタとしてのMISFET1は、n+SiC基板10と、n+SiC基板10上に形成されたn−SiC層20と、n−SiC層20において、n+SiC基板10側の主面である第1の主面20Aとは反対側の主面である第2の主面20Bを含むように形成されたpウェル21と、pウェル21内に第2の主面20Bを含ように形成され、n−SiC層20よりも高濃度のn型の不純物を含む高濃度第1導電型領域としてのn+ソース領域22と、第2の主面20Bに接触するようにn−SiC層20上に形成され、ダイヤモンドライクカーボンからなる絶縁膜としてのゲート絶縁膜30と、ゲート絶縁膜30上に形成されたゲート電極40とを備えている。
次に、MISFET1の動作について説明する。図1を参照して、ゲート電極40の電圧が0Vの状態すなわちオフ状態では、ゲート絶縁膜30の直下に位置するpウェル21とn−SiC層20との間が逆バイアスとなり、非導通状態となる。一方、ゲート電極40に正の電圧を印加していくと、pウェル21のゲート絶縁膜30と接触する付近であるチャネル領域において、反転層が形成される。その結果、n+ソース領域22とn−SiC層20とが電気的に接続され、ソース電極60とドレイン電極70との間に電流が流れる。
ここで、実施の形態1におけるMISFET1においては、ゲート絶縁膜30の素材として、絶縁性に優れ、かつ平坦に成膜することが比較的容易なDLCが採用されている。そのため、n−SiC層20の格子欠陥に起因した逆バイアス時のリーク電流の発生を抑制するとともに、所望の耐圧をより確実に確保することが可能となっている。その結果、MISFET1は、ゲート絶縁膜30の信頼性が向上した絶縁ゲート型電界効果トランジスタとなっている。
また、MISFET1のゲート絶縁膜30を構成するDLCは、50原子%以上65原子%以下の水素を含んでいる。そのため、ゲート絶縁膜30に光を照射することにより、ゲート絶縁膜30の誘電率を変化させ、閾値電圧を調整することが可能となっている。
さらに、MISFET1のゲート絶縁膜30と接触する第2の主面20Bは、水素終端されている。そのため、MISFET1は、第2の主面20Bに存在する原子の不安定な結合手が低減され、信頼性の高い絶縁ゲート型電界効果トランジスタとなっている。なお、第2の主面20Bが水素終端されていることは、たとえばERDAで測定することにより確認することができる。
次に、本発明に従った絶縁ゲート型電界効果トランジスタの製造方法の一実施の形態である実施の形態1における絶縁ゲート型電界効果トランジスタの製造方法について説明する。図2は、実施の形態1における絶縁ゲート型電界効果トランジスタの製造方法の概略を示すフローチャートである。また、図3〜図11は、実施の形態1における絶縁ゲート型電界効果トランジスタの製造方法を説明するための概略断面図である。
図2を参照して、実施の形態1における絶縁ゲート型電界効果トランジスタの製造方法においては、まず、工程(S10)として基板準備工程が実施される。この工程(S10)では、第1導電型の基板が準備される。具体的には、図3を参照して、たとえば六方晶SiCからなり、n型不純物を含むことにより導電型がn型であるn+SiC基板10が準備される。
次に、図2を参照して、工程(S20)としてエピタキシャル成長工程が実施される。この工程(S20)では、n+SiC基板10上に第1導電型の半導体層が形成される。具体的には、図3を参照して、エピタキシャル成長によりn+SiC基板10上にn−SiC層20が形成される。エピタキシャル成長は、たとえば原料ガスとしてSiH4(シラン)とC3H8(プロパン)との混合ガスを採用して実施することができる。このとき、n型不純物として、たとえば窒素を導入する。これにより、n+SiC基板10に含まれるn型不純物よりも低い濃度のn型不純物を含むn−SiC層20を形成することができる。
次に、図2を参照して、工程(S30)としてpウェル形成工程が実施される。この工程(S30)では、n−SiC層20において、n+SiC基板10側の主面である第1の主面20Aとは反対側の主面である第2の主面20Bを含むように、第2導電型の第2導電型領域が形成される。具体的には、図4を参照して、まず、第2の主面20B上にレジストが塗布された後、露光および現像が行なわれ、所望の第2導電型領域としてのpウェル21の形状に応じた領域以外の領域に開口を有するレジスト膜が形成される。次に、たとえば蒸着法により第2の主面20B上にタングステン(W)膜91が形成された後、上記レジスト膜上のタングステン膜91がレジスト膜とともに除去される(リフトオフ)。これにより、所望のpウェル21の形状に応じた領域に開口を有するタングステン膜91が、第2の主面20B上に形成される。そして、このタングステン膜91をマスクとして用いて、Al、Bなどのp型不純物がイオン注入によりn−SiC層20に導入される。これにより、第2導電型領域としてのpウェル21が形成される。
次に、図2を参照して、工程(S40)としてn+領域形成工程が実施される。この工程(S40)では、pウェル21内の第2の主面20Bを含む領域に、n−SiC層20よりも高濃度の第1導電型の不純物を含む高濃度第1導電型領域が形成される。具体的には、図5を参照して、まず、工程(S30)においてマスクとして使用された上記タングステン膜91が除去される。そして、第2の主面20B上にレジストが塗布された後、露光および現像が行なわれ、所望の高濃度第1導電型領域としてのn+ソース領域22の形状に応じた領域以外の領域に開口を有するレジスト膜が形成される。次に、たとえば蒸着法により第2の主面20B上にタングステン(W)膜91が形成された後、上記レジスト膜上のタングステン膜91がレジスト膜とともに除去される(リフトオフ)。これにより、所望のn+ソース領域22の形状に応じた領域に開口を有するタングステン膜91が、第2の主面20B上に形成される。そして、このタングステン膜91をマスクとして用いて、リン(P)などのn型不純物がイオン注入によりn−SiC層20に導入される。これにより、高濃度第1導電型領域としてのn+ソース領域22が形成される。
次に、図2を参照して、工程(S50)としてソースコンタクト電極形成工程が実施される。この工程(S50)では、上記第2の主面20Bに接触して配置され、n+ソース領域22とオーミックコンタクトするソースコンタクト電極となるべき膜が形成される。具体的には、図6を参照して、まず、工程(S40)においてマスクとして使用された上記タングステン膜91が除去される。そして、第2の主面20B上にレジストが塗布された後、露光および現像が行なわれ、所望のソースコンタクト電極80(図1参照)の形状に応じた領域に開口を有するレジスト膜92が形成される。次に、たとえば蒸着法により第2の主面20B上にニッケル(Ni)膜85が形成された後、上記レジスト膜92上のNi膜85がレジスト膜92とともに除去される(リフトオフ)。これにより、図7に示すように、ソースコンタクト電極80となるべきNi膜85が上記第2の主面20Bに接触して形成される。
次に、図2を参照して、工程(S60)としてドレイン電極形成工程が実施される。この工程(S60)では、n+SiC基板10とオーミックコンタクト可能な材料からなる第2の電極としてのドレイン電極70(図1参照)となるべき膜が形成される。具体的には、図7を参照して、たとえば蒸着法により、n+SiC基板10においてn−SiC層20が形成される側とは反対側の主面上にニッケル(Ni)膜85が形成される。
次に、図2を参照して、工程(S70)として、合金化工程が実施される。この工程(S70)では、上記工程(S50)および(S60)において形成されたNi膜85が加熱されることにより、Ni膜85が合金化されてソースコンタクト電極およびドレイン電極が完成する。具体的には、図7を参照して、工程(S50)および(S60)において形成されたNi膜85が、たとえば1000℃程度に加熱されることにより、Ni膜85がシリサイド化される。これにより、NiSiからなるソースコンタクト電極80およびドレイン電極70が完成する(図8参照)。
次に、図2を参照して、工程(S80)として、水素終端工程が実施される。この工程(S80)では、後工程において形成される絶縁膜としてのゲート絶縁膜30(図1参照)と接触すべき第2の主面20Bが水素終端される。具体的には、図7を参照して、第2の主面20Bを水素プラズマに曝す水素プラズマ処理が実施される。この水素プラズマ処理は、たとえば、圧力0.1Pa以上10000Pa以下の水素雰囲気に制御された減圧槽内に上記工程(S10)〜(S70)が実施されたn+SiC基板10が挿入され、当該減圧槽内に100W以上10kW以下の電力で1MHz以上10GHz以下の周波数の電圧が印加され、1秒以上100秒以下の時間、n+SiC基板10が800℃以上1600℃以下の温度になるように保持されることにより実施される。
次に、図2を参照して、工程(S90)として、DLC絶縁膜形成工程が実施される。この工程(S90)では、n−SiC層20上に、第2の主面20Bに接するようにダイヤモンドライクカーボンからなる絶縁膜が形成される。具体的には、図8を参照して、まず、ソースコンタクト電極80が形成されたn−SiC層20の第2の主面20B上に、レジストが塗布された後、露光および現像が行なわれ、所望の絶縁膜としてのゲート絶縁膜30(図1参照)の形状に応じた領域に開口を有するレジスト膜92が形成される。次に、レジスト膜92が形成された第2の主面20B上に、水素を含有するDLC膜35が成膜される。
ここで、DLC膜35の成膜方法としては、たとえば熱、プラズマ等を利用した各種のCVD(Chemical Vapor Deposition;化学蒸着)法、スパッタリング法、EB(Electron Beam;電子ビーム)蒸着法、アークイオンプレーティング法(フィルタードアーク法)など種々の成膜方法を採用することができる。特に、CVD法は、水素を含有するDLC膜35の形成が容易であることから、好適である。CVD法としては、たとえば平行平板式プラズマCVD法を採用することができる。
より具体的には、たとえば圧力0.1Pa以上10Pa以下に制御された減圧槽内に上記工程(S10)〜(S80)が実施されたn+SiC基板10が挿入され、当該減圧槽内に10sccm以上500sccm以下のメタン(CH4)および水素(H2)が原料ガスとして導入されるとともに、100W以上3000W以下の電力が1MHz以上20MHz以下の周波数で印加され、10秒以上100秒以下の時間、n+SiC基板10が300℃以上500℃以下の温度になるように保持される。これにより、第2の主面20B上に、DLCからなるDLC膜35が成膜される。原料ガスとしては、メタンに代えて、たとえばアセチレン(C2H2)、プロパン(C3H8)などを採用することができる。なお、工程(S90)において平行平板式プラズマCVD法を採用することにより、工程(S90)と同様の装置を用いて原料ガスを水素ガスに変更すれば、工程(S80)を実施することができる。
その後、上記レジスト膜92上のDLC膜35がレジスト膜92とともに除去される(リフトオフ)。これにより、図9に示すように、50原子%以上65原子%以下の水素を含むDLCからなるゲート絶縁膜30が、一方のn+ソース領域22の上部表面から他方のn+ソース領域22の上部表面にまで延在するようにn−SiC層20の第2の主面20B上に接触して形成される。
次に、図2を参照して、工程(S100)として、ゲート電極形成工程が実施される。この工程(S100)では、ゲート絶縁膜30上に電極としてのゲート電極が形成される。具体的には、図10を参照して、まず、ゲート絶縁膜30およびソースコンタクト電極80が形成されたn−SiC層20の第2の主面20B上に、レジストが塗布された後、露光および現像が行なわれ、所望のゲート電極40(図1参照)の形状に応じた領域に開口を有するレジスト膜92が形成される。次に、たとえば蒸着法により第2の主面20B上にアルミニウムからなるアルミニウム膜45が形成された後、上記レジスト膜92上のアルミニウム膜45がレジスト膜92とともに除去される(リフトオフ)。これにより、図11に示すように、アルミニウムからなるゲート電極40がゲート絶縁膜30上に接触して形成される。
次に、図2を参照して、工程(S110)として、層間絶縁膜形成工程が実施される。この工程(S110)では、第2の主面20B上においてゲート電極40を取り囲み、かつ一方のpウェル21上から他方のpウェル21上にまで延在するように形成され、たとえば絶縁体であるSiO2からなる層間絶縁膜が形成される。具体的には、図11および図1を参照して、ゲート絶縁膜30、ゲート電極40およびソースコンタクト電極80が形成されたn−SiC層20の第2の主面20B上に、レジストが塗布された後、露光および現像が行なわれ、所望の層間絶縁膜50の形状に応じた領域に開口を有するレジスト膜92が形成される。次に、たとえば蒸着法により第2の主面20B上にSiO2膜が形成された後、上記レジスト膜92上のSiO2膜がレジスト膜92とともに除去される(リフトオフ)。これにより、図1に示すように、ゲート電極40を取り囲む層間絶縁膜50が形成される。
次に、図2を参照して、工程(S120)として、ソース電極形成工程が実施される。この工程(S120)では、ソースコンタクト電極80を介してn+ソース領域22と電気的に接続されるソース電極が形成される。具体的には、図1を参照して、ゲート絶縁膜30、ゲート電極40、層間絶縁膜50およびソースコンタクト電極80が形成されたn−SiC層20の第2の主面20B上に、たとえば導電体であるAlが蒸着される。これにより、第2の主面20B上において、層間絶縁膜50を取り囲み、かつn+ソース領域22およびソースコンタクト電極80の上部表面上にまで延在するソース電極60が形成される。
以上の工程(S10)〜(S120)が実施された後、パッシベーション処理等が実施されることにより、図1に示す実施の形態1におけるMISFET1が完成する。
上記実施の形態1における絶縁ゲート型電界効果トランジスタの製造方法では、工程(S90)において、DLCからなるゲート絶縁膜30が形成されるため、ゲート絶縁膜30の信頼性が向上したMISFET1を製造することができる。また、上記絶縁ゲート型電界効果トランジスタの製造方法では、工程(S90)において、ゲート絶縁膜30を構成するDLCに水素が導入されるため、後工程、たとえばMISFET1の完成後に、ゲート絶縁膜30に光を照射することで、ゲート絶縁膜30の誘電率を変化させ、MISFET1の閾値電圧を調整することができる。さらに、上記絶縁ゲート型電界効果トランジスタの製造方法では、工程(S80)において、ゲート絶縁膜30と接触する第2の主面20Bが水素終端されているため、第2の主面におけるエネルギー状態を安定させることが可能となり、一層信頼性が向上したMISFET1を製造することができる。
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2について説明する。図12は、本発明の一実施の形態である実施の形態2における絶縁ゲート型電界効果トランジスタの構造を示す概略断面図である。
次に、本発明の実施の形態2について説明する。図12は、本発明の一実施の形態である実施の形態2における絶縁ゲート型電界効果トランジスタの構造を示す概略断面図である。
図12を参照して、実施の形態2におけるMISFET1と、図1に基づいて説明した実施の形態1におけるMISFET1とは、基本的に同様の構成を有し、同様に動作するとともに同様の効果を奏する。しかし、実施の形態2におけるMISFET1は、ドレイン電極70の構造において、実施の形態1におけるMISFET1とは異なっている。
すなわち、図12を参照して、実施の形態2におけるMISFET1においては、ドレイン電極70に、n+SiC基板10を露出させる貫通孔70Aが形成されている。これにより、貫通孔70Aを通してゲート絶縁膜30に光99を照射することができる。そのため、MISFET1は、貫通孔を通してゲート絶縁膜30に光を照射することにより、閾値電圧を制御することが可能となっている。その結果、実施の形態2のMISFET1は、高い歩留まりを確保しつつ製造可能な絶縁ゲート型電界効果トランジスタとなっている。
なお、貫通孔70Aは、ゲート絶縁膜30に対して効率よく光を照射可能とするため、少なくともゲート絶縁膜30に対向する位置に、ゲート絶縁膜30に沿って形成されることが好ましい。また、ゲート絶縁膜30に対して十分な光を照射可能とするため、貫通孔70Aは、ドレイン電極70の主面の面積に対して3%以上の面積率で形成されていることが好ましい。一方、ドレイン電極70の抵抗の増加を実用上問題のない範囲に抑制するため、貫通孔70Aは、ドレイン電極70の主面の面積に対して50%以下の面積率で形成されていることが好ましい。
次に、実施の形態2における絶縁ゲート型電界効果トランジスタの製造方法について説明する。図13は、本発明の一実施の形態である実施の形態2における絶縁ゲート型電界効果トランジスタの製造方法の概略を示すフローチャートである。また、図14および図15は、実施の形態2における絶縁ゲート型電界効果トランジスタの製造方法を説明するための概略断面図である。
図13を参照して、実施の形態2における絶縁ゲート型電界効果トランジスタの製造方法と、図2に基づいて説明した実施の形態1における絶縁ゲート型電界効果トランジスタの製造方法とは、基本的に同様に実施される。しかし、実施の形態2における絶縁ゲート型電界効果トランジスタの製造方法は、工程(S60)の手順が異なる点および工程(S130)が追加される点において、実施の形態1における絶縁ゲート型電界効果トランジスタの製造方法とは異なっている。
すなわち、実施の形態2における絶縁ゲート型電界効果トランジスタの製造方法においては、図13を参照して、工程(S10)〜(S50)が、実施の形態1の場合と同様に実施される。そして、工程(S60)において、貫通孔を有するドレイン電極が形成される。具体的には、図14を参照して、まず、n+SiC基板10においてn−SiC層20が形成される側とは反対側の主面上にレジストが塗布された後、露光および現像が行なわれ、所望の貫通孔70Aの形状に応じた領域以外の領域に開口を有するレジスト膜92が形成される。次に、たとえば蒸着法により、n+SiC基板10においてレジスト膜92が形成された側の主面上に、ニッケル(Ni)膜85が形成される。その後、上記レジスト膜92上のNi膜85がレジスト膜92とともに除去される(リフトオフ)。これにより、貫通孔70Aを有するNi膜85が形成される。さらに、実施の形態1の場合と同様に工程(S70)が実施されることにより、図15に示すように貫通孔70Aを有するドレイン電極70が形成される。
その後、図13を参照して、工程(S80)〜(S120)が実施された上で、工程(S130)として、光照射工程が実施される。この工程(S130)では、上記貫通孔70Aを通してゲート絶縁膜30に対して光が照射される。具体的には、図12を参照して、貫通孔70Aを通してゲート絶縁膜30に対して、光99が照射される。これにより、ゲート絶縁膜30の誘電率を制御することができる。
以上のように、実施の形態2における絶縁ゲート型電界効果トランジスタの製造方法においては、MISFET1の完成後に、閾値電圧を制御することが可能である。その結果、実施の形態2における絶縁ゲート型電界効果トランジスタの製造方法によれば、MISFET1を高い歩留まりを確保しつつ製造することができる。
なお、工程(S130)においてゲート絶縁膜30に対して照射される光は、SiC基板を透過する必要があるため、波長400nm以下の光であることが好ましい。一方、工程(S130)においてゲート絶縁膜30に対して照射される光は、屈折率変調の効果が必要であるため、波長500nm以下の光であることが好ましい。また、工程(S130)において、屈折率変調の効果を十分に得るため、光は、10W/cm2以上の強度で10分間以上10時間以下の時間照射されることが好ましい。
以下、本発明の実施例1について説明する。本発明の絶縁ゲート型電界効果トランジスタの製造方法により本発明の絶縁ゲート型電界効果トランジスタを試作し、閾値電圧を確認する実験を行なった。実験の手順は以下のとおりである。
まず、直径3インチの六方晶SiCからなる4H−SiC基板を準備し、図2に基づいて説明した上記実施の形態1と同様の方法で、4H−SiC基板全面に、平面形状が一辺1.6mmの正方形形状であるMISFETを作製した。ここで、工程(S80)においては、水素プラズマ処理を10秒程度実施した。また、工程(S90)においては、真空槽(減圧槽)内に工程(S80)までが実施された4H−SiC基板を挿入し、基板温度を200℃、圧力を1.0Paとし、原料ガスであるメタンを100sccmの流量で真空槽内に導入し、約1000Wの電力で13.56MHzの高周波電圧を印加した。真空槽内は、ロータリーポンプおよび油拡散ポンプにより排気して減圧し、オリフィスを用いて圧力を1.0Paに制御した。これにより、DLCからなるゲート絶縁膜30を厚みが60nmとなるように形成した(実施例A)。
一方、上記実施例Aと同様に、4H−SiC基板を準備し、図13に基づいて説明した上記実施の形態2と同様の方法で、4H−SiC基板全面に、平面形状が一辺1.6mmの正方形形状であるMISFETを作製した。工程(S80)および(S90)は、上記実施例Aと同様に実施した。また、工程(S60)においては、ドレイン電極70の主面の面積に対して、面積率で10%の割合で貫通孔70Aを形成した。さらに、工程(S130)においては、貫通孔70Aを通してゲート絶縁膜30に対して波長500nmの光を12分間照射した。(実施例B)。そして、実施例AおよびBについて、閾値電圧を測定した。
次に、実験結果について説明する。上記実施例AのMISFETのゲート電圧を1Vとした場合、電流は流れなかった。そして、ゲート電圧を13V、ドレイン電圧を3Vとした場合、12Aの電流が流れた。閾値電圧は3Vであった。
一方、実施例Bについても同様に閾値電圧を測定すると、2.5Vとなっていた。このことから、本発明の絶縁ゲート型電界効果トランジスタによれば、ゲート絶縁膜として機能する絶縁膜に対して光を照射することにより、閾値電圧を制御可能であることが確認された。
なお、上記実施の形態および実施例においては、本発明の絶縁ゲート型電界効果トランジスタの一例として、半導体層がSiCからなる場合について説明したが、本発明の絶縁ゲート型電界効果トランジスタはこれに限られない。本発明の絶縁ゲート型電界効果トランジスタにおける半導体層の素材としては、Siの他、種々のワイドバンドギャップ半導体を採用することができる。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明の絶縁ゲート型電界効果トランジスタおよびその製造方法は、ゲート絶縁膜の信頼性を向上させることが求められる絶縁ゲート型電界効果トランジスタおよびその製造方法に、特に有利に適用され得る。
1 MISFET、10 n+SiC基板、20 n−SiC層、20A 第1の主面、20B 第2の主面、21 Pウェル、22 n+ソース領域、30 ゲート絶縁膜、35 DLC膜、40 ゲート電極、45 アルミニウム膜、50 層間絶縁膜、60 ソース電極、70 ドレイン電極、70A 貫通孔、80 ソースコンタクト電極、85 Ni膜、91 タングステン膜、92 レジスト膜、99 光。
Claims (12)
- 基板と、
前記基板上に形成された第1導電型の半導体層と、
前記半導体層において、前記基板側の主面である第1の主面とは反対側の主面である第2の主面を含むように形成された、前記第1導電型とは導電型の異なる第2導電型の第2導電型領域と、
前記第2導電型領域内に前記第2の主面を含ように形成され、前記半導体層よりも高濃度の前記第1導電型の不純物を含む高濃度第1導電型領域と、
前記第2の主面に接触するように前記半導体層上に形成され、ダイヤモンドライクカーボンからなる絶縁膜と、
前記絶縁膜上に形成された電極とを備えた、絶縁ゲート型電界効果トランジスタ。 - 前記絶縁膜を構成するダイヤモンドライクカーボンは、50原子%以上65原子%以下の水素を含んでいる、請求項1に記載の絶縁ゲート型電界効果トランジスタ。
- 前記基板の前記半導体層が形成されている側の主面とは反対側の主面上に形成された第2の電極をさらに備え、
前記第2の電極には、前記基板を露出させる貫通孔が形成されている、請求項2に記載の絶縁ゲート型電界効果トランジスタ。 - 前記絶縁膜と接触する前記第2の主面は、水素終端されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の絶縁ゲート型電界効果トランジスタ。
- 前記半導体層を構成する半導体は、バンドギャップが珪素よりも大きいワイドバンドギャップ半導体である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の絶縁ゲート型電界効果トランジスタ。
- 前記半導体層を構成する半導体は、炭化珪素である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の絶縁ゲート型電界効果トランジスタ。
- 基板を準備する工程と、
前記基板上に第1導電型の半導体層を形成する工程と、
前記半導体層において、前記基板側の主面である第1の主面とは反対側の主面である第2の主面を含むように、前記第1導電型とは導電型の異なる第2導電型の第2導電型領域を形成する工程と、
前記第2導電型領域内の前記第2の主面を含む領域に、前記半導体層よりも高濃度の前記第1導電型の不純物を含む高濃度第1導電型領域を形成する工程と、
前記半導体層上に、前記第2の主面に接触するようにダイヤモンドライクカーボンからなる絶縁膜を形成する工程と、
前記絶縁膜上に電極を形成する工程とを備えた、絶縁ゲート型電界効果トランジスタの製造方法。 - 前記絶縁膜を形成する工程では、前記絶縁膜を構成するダイヤモンドライクカーボンに水素が導入される、請求項7に記載の絶縁ゲート型電界効果トランジスタの製造方法。
- 前記基板の前記半導体層が形成されている側の主面とは反対側の主面上に、前記基板を露出させる貫通孔を有する第2の電極を形成する工程と、
前記貫通孔を通して前記絶縁膜に対して光を照射する工程とをさらに備えた、請求項8に記載の絶縁ゲート型電界効果トランジスタの製造方法。 - 前記絶縁膜と接触する前記第2の主面を水素終端する工程をさらに備えた、請求項7〜9のいずれか1項に記載の絶縁ゲート型電界効果トランジスタの製造方法。
- 前記半導体層を形成する工程では、バンドギャップが珪素よりも大きいワイドバンドギャップ半導体からなる前記半導体層が形成される、請求項7〜10のいずれか1項に記載の絶縁ゲート型電界効果トランジスタの製造方法。
- 前記半導体層を形成する工程では、炭化珪素からなる前記半導体層が形成される、請求項7〜10のいずれか1項に記載の絶縁ゲート型電界効果トランジスタの製造方法。
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