JP2009109910A - 導電性弾性層の表面処理液及び表面処理方法、表面処理された導電性部材 - Google Patents
導電性弾性層の表面処理液及び表面処理方法、表面処理された導電性部材 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2009109910A JP2009109910A JP2007284258A JP2007284258A JP2009109910A JP 2009109910 A JP2009109910 A JP 2009109910A JP 2007284258 A JP2007284258 A JP 2007284258A JP 2007284258 A JP2007284258 A JP 2007284258A JP 2009109910 A JP2009109910 A JP 2009109910A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- conductive
- surface treatment
- mass
- elastic layer
- treatment liquid
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Images
Landscapes
- Coating Of Shaped Articles Made Of Macromolecular Substances (AREA)
- Laminated Bodies (AREA)
- Paints Or Removers (AREA)
- Conductive Materials (AREA)
- Electrophotography Configuration And Component (AREA)
- Rolls And Other Rotary Bodies (AREA)
- Application Of Or Painting With Fluid Materials (AREA)
Abstract
【解決手段】多イソシアネート化合物が分散及び/または溶解した媒体中に、カーボンナノチューブが分散している表面処理液を、ゴム、樹脂及び熱可塑性エラストマーからなる群から選択される1種以上の弾性材料を用いて形成した導電性弾性層の外表面に塗布した後、加熱硬化処理を行い、コーティング層を形成している。
【選択図】図1
Description
また、特許文献1〜3のカーボンナノチューブ分散液は、いずれも導電性部材の耐久性劣化を防止するものではなく、導電性部材のコーティング層として必要な特性を備えたものではない。
このように導電性部材の耐久性劣化を有効に防止しながら、導電性を適切な範囲に保ち、かつ、帯電特性及び使用性能に優れた導電性部材の表面処理が要望されている。
多イソシアネート化合物が分散及び/または溶解した媒体中に、カーボンナノチューブが分散していることを特徴とする表面処理液を提供している。
以下、各成分について詳述する。
また、部分的にカーボンナノチューブの構造を有する炭素材料も使用することができる。さらに、両側に穴のあいたカーボンナノチューブはもちろん、カーボンナノチューブの片側が閉じた形をしたカーボンナノホーン、その頭部に穴があいたコップ型のナノカーボン物質なども用いることができる。
なかでも直径10〜20nm、長さ0.1〜10μmの多層構造のものを用いることが好ましい。また、アスペクト比は10以上であるものが好ましい。
この程度の大きさのカーボンナノチューブは、表面処理液中で均一に分散しやすく、かつ、カーボンナノチューブが互いに接触しやすいので、均一な導電性を有するコーティング層を形成しやすい。
また、後述する水を主体とする媒体に分散させるため、カーボンナノチューブには酸化処理による表面処理が施されていてもよい。
これは、表面処理液中にカーボンナノチューブが0.1質量%未満であると形成されたコーティング層におけるカーボンナノチューブの含有量が少なくなり、コーティング層に十分な導電性を付与できないからであり、1.5質量%を超えると表面処理液中でカーボンナノチューブが絡まって固まりが生じやすくなり、電気抵抗値の不均一が生じるおそれがあるからである。
これは、全固形分中0.5質量%未満であるとコーティング層におけるカーボンナノチューブの含有量が少なく、コーティング層に十分な導電性を付与できないからであり、5.0質量%を超えるとカーボンナノチューブの配合量が過剰量となり、カーボンナノチューブが絡まって固まりが生じやすくなり、電気抵抗値の不均一が生じるおそれがあるからである。全固形分中にカーボンナノチューブは、1.0質量%以上3.0質量%以下とするのがさらに好ましい。
このようにカーボンナノチューブは極めて導電性に優れるので少量の配合で所望の電気抵抗値を得ることができ、さらに電気抵抗値の電圧依存性及び抵抗ムラを小さくすることができる。
前記「多イソシアネート化合物」は、脂肪族及び/または脂環族ジイソシアネートあるいはこれより誘導されるポリイソシアネートであり、加熱により水及びそれ自体と反応して硬化物を生成するものである。
前記多イソシアネート化合物となる脂肪族及び/または脂環族ジイソシアネートとしては、2,4一トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、へキサメチレンジイソシアネート、1,4−シクロへキシレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’一ビフェニレンジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、3,3’−ジクロロ−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、1,5−テトラヒドロナフタレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートが挙げられる。
またそれぞれ多イソシアネート化合物のイソシアヌレート体、ビュレット体、アダクト体、アロファネート体等の変性体などが挙げられる。表面処理の耐久性に優れるという理由により、へキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体等が好ましく用いられる。
多イソシアネート化合物は、表面処理液の塗布・硬化工程の作業性及び均一なコーティングを行う観点から、前記表面処理液中に15質量%以上50質量%以下、さらに20質量%以上40質量%以下の割合で含有されていることが好ましい。
さらに、多イソシアネート化合物は、表面処理液の全固形分中80質量%以上99.9質量%未満の配合量とされていることが好ましい。さらに好ましくは92.0質量%以上99.0質量%以下である。
「イソシアネート基がブロック化されている」とは、イソシアネート基と可逆的に反応し得る化合物と反応している状態であってイソシアネート基の反応性が不活性化されている状態であることを意味する。イソシアネート基をブロック化するためのブロック化剤としては、フェノール類、ε−カプロラクタム類、β−ジケトン類,オキシム類等が挙げられるが、処理液の品質安定性と解離度のバランスが優れるという理由によりβ−ジケトン類、オキシム類、ε−カプロラクタム類が好ましい。
「水を主体とする媒体」とは、水を主成分とする溶媒であり、溶媒全質量中の水の質量が50質量%以上100重量%以下であるものを言う。好ましくは60質量%以上、さらには80質量%以上であるのが良い。水以外の溶媒として、エステル類、ケトン類、アルコール類、グリコール類、グリコールエステル類等を混合しても構わない。
(1)多イソシアネート化合物を含まない媒体にカーボンナノチューブを分散させてカーボンナノチューブ分散液を調製する。
(2)(1)とは別に、多イソシアネート化合物を媒体に分散及び/または溶解させた液を調製する。
(3)その後、(1)と(2)を混合する。
(1)のように予め多イソシアネート化合物を含まない媒体にカーボンナノチューブを配合しておく方が、多イソシアネート化合物を含む媒体に直接配合するよりも、カーボンナノチューブを均一分散させやすいという利点がある。
前記親水性基としては、ポリエーテル、カルボン酸塩、スルホン酸塩等が挙げられるが、特に、表面処理液の安定性に優れるという理由により、カルボン酸のアンモニウム塩が好ましい。
前記表面処理液は、種々の材質の導電性部材に対して用いることができるが、特に弾性材料を用いて形成される導電性部材の導電性弾性層に対して好適に用いられる。
前記加熱硬化処理の温度は、多イソシアネート化合物の種類にもよるが、130℃以上200℃以下、好ましくは140℃以上170℃以下であるのが良い。前記範囲としているのは、130℃より低いと多イソシアネート化合物が硬化しにくくなったり、ブロック化された多イソシアネート化合物を使用する場合にブロック剤が解離しにくくなったりするためである。一方、200℃より高いと、導電性弾性層が劣化するおそれがあるため好ましくない。
前記コーティング層は、多イソシアネート化合物の硬化物中にカーボンナノチューブが分散されてなることを特徴とする導電性部材を提供している。
なお、前記導電性部材のコーティング層は、前述した表面処理方法以外の方法により形成することもできる。
なお、前記導電性部材において、コーティング層の厚さは1μm以上50μm以下、好ましくは5μm以上30μm以下であるのが良い。前記範囲としているのは、1μmより薄いと耐久性が悪くなるためであり、50μmより厚いと亀裂を発生することがあるためである。
エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム(X−IIR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、アクリルゴム、イソブチレンとp−メチルスチレンの共重合体を臭素化したゴムである臭素化イソブチレン−p−メチルスチレン共重合体(BIMS)、フッ素ゴム、シリコーンゴム、クロロプレンゴム(CR)、天然ゴム(NR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム(IR)、エチレンプロピレンゴム、水素化ニトリルゴム(HNBR)またはクロロスルフォン化ポリエチレンゴム等のゴム;
スチレン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、アミド系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー等の熱可塑性エラストマー;
ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンエチルアクリレート樹脂、エチレンビニルアセテート樹脂、エチレン−メタクリル酸樹脂、アイオノマー樹脂または塩素化ポリエチレン等のオレフィン系樹脂等の樹脂;
を用いることができ、これらを単独、あるいは、2種以上組合わせたものを用いることができる。
特に、ゴムのような弾性・柔軟性と樹脂のような良好な成形性・リサイクル性を併せ持ち、優れた機械的物性及び加工仕上がりを有することから、EPDM、NBR等のゴム、スチレン系熱可塑性エラストマー、及びオレフィン系樹脂を含む熱可塑性エラストマー組成物から形成した弾性材料としていることが好ましい。
イオン性導電付与剤としては、特に、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体あるいは/およびエチレンオキサイド−プロピレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル共重合体に金属塩が含まれているものを好適に用いることができる。
また、導電性弾性層表面からの添加剤等の遊離、ブリード、ブルーミングや感光体汚染性などの接触物への移行などを起こさない範囲で、ステアリン酸、ラウリン酸などの脂肪酸、綿実油、トール油、アスファルト物質、パラフィンワックスなどの軟化剤を配合しても良い。これにより導電性弾性層の硬度や柔軟性を適度に調整することができる。
さらには、必要に応じて加硫剤、加硫促進剤、発泡剤、老化防止剤、可塑剤等の各種添加剤を配合することもできる。加硫剤としては、例えば硫黄、有機含有硫黄化合物、過酸化物、樹脂架橋剤なども使用可能である。
図1は、本発明の実施形態にかかる導電性ローラ10を示す。
導電性ローラ10は、導電性熱可塑性エラストマー組成物により成形された円筒形状の導電性弾性層11の中空部に円柱形状の芯金(シャフト)12を圧入して取り付け、導電性弾性層11の表面にコーティング層13を備えたローラ部14を形成している。
コーティング層13は、多イソシアネート化合物の硬化物中にカーボンナノチューブが均一分散されてなる。
[表面処理液の調製]
本実施形態の表面処理液は、カーボンナノチューブを水に分散させたカーボンナノチューブ分散液(A)と、多イソシアネート化合物を水に分散及び/または溶解させた液(B)を個別に調製したのち、両者を混合することにより得ている。
前記カーボンナノチューブの酸化処理は、粉末状のカーボンナノチューブにプラズマ処理等を施すことにより行うことができる。
カーボンナノチューブの製造方法としては、アーク放電法、レーザー蒸発法、気相成長法、二酸化炭素の接触水素還元法、CVD法、一酸化炭素を高温高圧化で鉄触媒と共に反応させて気相で成長させるHiPco法などが挙げられる。なかでも気相成長法、CVD法により製造することが好ましい。
脂肪族及び/または脂環族ジイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート等を用いており、例えば、カルボン酸のアンモニウム塩が導入されたヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体を分散剤等を配合して水に分散させた多イソシアネート分散液を用いることができる。
このようにして得られた表面処理液には、カーボンナノチューブが0.3質量%以上1.2質量%以下、多イソシアネート化合物が20質量%以上40質量%以下の割合で含まれる。
本実施形態では、前記配合順序で表面処理液を調製したが、カーボンナノチューブ及び多イソシアネート化合物が媒体中に均一に存在すれば前記配合順序に限定されない。
以下に、本実施形態で用いた導電性弾性層11について説明する。
なお、本実施形態で説明する導電性弾性層11の組成は、一例であり、下記構成のものに限定されない。
前記導電性弾性層を形成する導電性熱可塑性エラストマー組成物は、オレフィン系樹脂とスチレン系熱可塑性エラストマーと混合物中に、EPDMを樹脂架橋剤により動的架橋して分散させた熱可塑性エラストマー組成物からなるベースポリマーの(A)成分と、EO−PO−AGE共重合体に金属陽イオンとフルオロ基およびスルホニル基を有する陰イオンとからなる金属塩が含まれているイオン導電性導電剤からなる(B)成分と、エチレン−アクリル酸エステル−無水マレイン酸共重合体からなる(C)成分と、ポリエステル系熱可塑性エラストマーからなる(D)成分とを含む。ここで、イオン導電性導電剤からなる(B)成分におけるEO−PO−AGE共重合体は動的架橋されていてもよい。
イオン導電性導電剤からなる(B)成分は、導電性熱可塑性エラストマー組成物において体積分率で20〜40%の割合で含んでいる。イオン導電性導電剤(B)の配合量はベースポリマー(A)100質量部に対し3〜25質量部としている。前記金属塩はイオン導電性導電剤の(B)成分全体を100質量部とすると、10〜25質量部の割合で配合している。エチレン−アクリル酸エステル−無水マレイン酸共重合体(C)の配合量は、イオン導電性導電剤の(B)成分100質量部に対し3〜30質量部、ベースポリマーの(A)成分100質量部に対し0.5〜5質量部、ポリエステル系熱可塑性エラストマー(D)成分100質量部に対し10〜40質量部としている。
まず、EPDMは予めペレットにしておき、該ペレット状のEPDM、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系樹脂、架橋剤、軟化剤を、温度200℃で混練し、ベースポリマーの(A)成分としての熱可塑性エラストマー組成物のペレットを作製する。
前述の方法で調製した表面処理液を入れた浸漬槽に、芯金12とその外周に導電性弾性層11を備えた導電性ローラを浸漬(ディッピング)した後、5mm/secで引き上げて、導電性弾性層11の表面に表面処理液を塗布する。
ついで、表面処理液が塗布された導電性ローラを130℃以上200℃以下の温度に設定したオーブン内で15〜60分間加熱して表面処理液中の多イソシアネート化合物を加熱硬化させ、導電性弾性層11の外周を覆う表面にコーティング層13を形成している。
なお、表面処理液において、多イソシアネート化合物としてブロック化されたものを用いた場合には、加熱硬化処理の後、さらに温度70〜90℃、湿度25〜50%の環境下で2〜4時間加湿処理を行っている。該加湿処理により、ブロック化されているため未反応のまま残存しているイソシアネート基を水と反応させて、不活性化している。
コーティング層13の厚さは、5μm以上30μm以下である。
また、前記表面処理方法は、水を溶媒としているため、作業環境が著しく改善され、環境にも優しい導電性ローラ10とすることができる。
[導電性弾性層を備えた導電性ローラの作製]
表1に記載の配合からなる導電性熱可塑性エラストマー組成物を用いてチューブ状の押出成形物を作製し、これを芯金(シャフト)にはめ込んで、コーティング層を形成する基材となる導電性弾性層を備えた導電性ローラを作製した。
ベースポリマー(A)として、スチレン系熱可塑性エラストマー(SEEPS)とポリプロピレン樹脂(PP)の混合物中に、EPDMを樹脂架橋剤により動的架橋して分散させている熱可塑性エラストマー組成物を用いた。
まず、EPDMは予めペレットにしておき、該ペレット状のEPDM、スチレン系熱可塑性エラストマー(SEEPS)、ポリプロピレン樹脂(PP)、架橋剤、軟化剤を前記表1に記載の割合で配合し、タンブラーにてドライブレンドを行ってから2軸押出機(アイペック製「HTM38」)にて回転数200rpm、温度200℃で混練し、熱可塑性エラストマー組成物のペレットを作製した。
得られたチューブの中空部に直径6mmの芯金を挿入し、外径12mmとなるように研磨、カットして、導電性ローラを得た。
なお、導電性弾性層を備えた表面処理前の導電性ローラは、後述する方法で測定した印加電圧500Vにおけるローラ抵抗値が1×106Ωであった。
なお、EPDMについては100%油展EPDMを用いたが、油展EPDMの伸展油は表中の軟化剤の配合量に算入し、EPDMの欄にはゴム成分のみの値で記載している。すなわち、表1において、EPDM100質量部、軟化剤174質量部であるので、軟化剤174質量部のうち油展EPDM由来の伸展油が100質量部であり、残りの74質量部が下記の市販の軟化剤である。
・EPDM;住友化学(株)製「エスプレン670F(商品名)」(パラフィンオイル100%油展)
・SEEPS;水素添加スチレン系熱可塑性エラストマー((株)クラレ製「セプトン4077(商品名)」)
・PP ;ポリプロピレン樹脂(日本ポリケム(株)製「ノバテックPP(商品名)」)
・架橋剤;ハロゲン化アルキルフェノール樹脂架橋剤(田岡化学工業(株)製「タッキロール250−III(商品名)」)
・軟化剤;パラフィン系オイル(出光興産(株)製「ダイアナプロセスオイルPW−38
0(商品名)」)
・炭酸カルシウム ;白石カルシウム(株)製「BF300(商品名)」
・カーボンブラック;東海カーボン(株)製「シースト3(商品名)」
・相溶化剤;エチレン−アクリル酸エステル−無水マレイン酸共重合体(アルケマ(株)製「ボンダインLX4110(商品名)」)
・導電剤;EO−PO−AGE共重合体(日本ゼオン(株)製「ZSN8030(商品名)」):トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(三光化学(株)製)=9:1(質量比)
・TPEE:ポリエステル系熱可塑性エラストマー(東レ・デュポン(株)製「ハイトレル3078(商品名)」)
(実施例1〜6)
カーボンナノチューブ分散液(CNT分散液)は予め水にカーボンナノチューブが分散した下記に示す市販品を用いた。
多イソシアネート化合物を含む主剤、水を配合する場合は水と主剤を混合したのち、添加剤を混合し、その後CNT分散液を配合して、スターラーで攪拌混合して、表面処理液を調製した。
(比較例1〜4)
CNT分散液の代わりに、比較例1,2,4では導電性カーボン分散液を配合し、比較例3ではイオン性導電付与剤を配合して、表面処理液を調製した。
・主剤1;イソシアネート(親水性基含有ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体、ブロック化されていない)(住化バイエルウレタン(株)製「バイヒジュール3100(商品名)」)
・主剤2;ブロック化イソシアネート:日本ポリウレタン工業(株)製「AQB102(商品名)」
・主剤3;ブロック化イソシアネート(オキシムでブロック化された親水性基含有トリレンジイソシアネート):三井化学(株)製「タケネートWB‐700(商品名)」
・添加剤1(湿潤剤);共栄社化学(株)製「ポリフローKL−510(商品名)」
・添加剤2(消泡剤);日信化学工業(株)製「サーフィノール104E(商品名)」
・添加剤3(分散剤);花王(株)製「ペレックスOT−P(商品名)」
・水;精製水
・カーボンナノチューブ(CNT)分散液1;(株)ジェムコ製「CNF−T/水 5%分散液」(酸化処理タイプ、カーボンナノチューブ5質量%含有、分散溶媒:水系、配合されているカーボンナノチューブ粉末の体積抵抗値4.0×10−2Ω・cm、直径10〜20nm、長さ0.1〜10μm)
・カーボンナノチューブ(CNT)分散液2;(株)ジェムコ製「CNF−T/水 3%分散液」(界面活性剤使用タイプ、カーボンナノチューブ3質量%含有、分散溶媒:水系、配合されているカーボンナノチューブ粉末の体積抵抗値4.0×10−2Ω・cm、直径10〜20nm、長さ0.1〜10μm)
・導電性カーボン分散液;ライオン(株)製「ライオンペーストW−311N(商品名)」(カーボンブラック16.5質量%分散液)
・イオン導電性付与剤;日本カートリット(株)製「PEL−20A(商品名)」
得られた導電性ローラのコーティング層の厚みは10〜20μmであった。
なお、加熱処理は150℃に設定したオーブン中で行い、加湿処理は表2,3に記載の温湿度に調整した恒温恒湿室に放置して行った。
温度23℃、相対湿度55%雰囲気下で、図2に示すように、芯金12を通した導電性ローラ10のローラ部14をφ30のアルミドラム15上に当接搭載し、電源16の+側に接続した内部抵抗r(100Ω〜10kΩ)の導線の先端をアルミドラム15の一端面に接続すると共に電源16の−側に接続した導線の先端を芯金12の一端面に接続して通電を行った。芯金12の両端部に450gずつの荷重をかけ、芯金12とアルミドラム15間に100Vあるいは500Vの電圧をかけながらアルミドラム15を40rpmで回転させることで間接的に導電性ローラ10を回転させた。このとき周方向に36回抵抗測定を行い、その平均値を求めると共に、最大値と最小値の差異から抵抗ムラを求めた。内部抵抗の値は、ローラの抵抗値のレベルに合わせ、測定値の有効数字が極力大きくなるように調節した。
図2の装置で、印加電圧をEとすると、ローラ抵抗値RはR=r×E/V−rとなるが、今回−rの項は微小とみなし、R=r×E/Vとし、内部抵抗rにかかる検出電圧Vよりローラ抵抗値Rを算出した。表中には、ローラ抵抗値の平均値の常用対数値(log10R)で示している。
さらに、100Vにおけるローラ抵抗値と500Vにおけるのローラ抵抗値の差(100Vのロール抵抗−500Vのロール抵抗)を求めた。
ローラ抵抗値の抵抗ムラは小さいほど良く、100V、500Vの各電圧において、それぞれ1.5以下であれば問題がないレベルである。
また、100Vにおけるローラ抵抗値と500Vにおけるローラ抵抗値の差も小さいほど良く、1.0以下であれば問題ないレベルである。
図3に示す構造の市販のプリンター((株)沖データ製「C5900dn(商品名)」)の付属トナーカートリッジ(マゼンダ)40内の帯電ローラ31を、各実施例および比較例の導電性ローラに組み替えて装着し、温度23℃、相対湿度55%の条件下で20000枚通紙して印刷(絵出し)試験を行った。
通紙耐久性試験後の導電性ローラについて、初期のローラ抵抗及び抵抗ムラと同様の方法で、ローラ抵抗及び抵抗ムラ(100V、500V)を測定した。
また、20000枚印刷後の20001枚目に得られた印刷物について、印刷濃度、印刷ムラ、白抜け、画像の鮮明さ等を目視にて確認した。
感光体ドラム32が図中矢印Xの方向に回転し、帯電ローラ31によって感光体ドラム32が帯電される。その後、レーザー37が感光体ドラム32の非画線部を露光して除電され、画線部に相当する部分が帯電した状態になる。次に、現像ローラ33により供給されたトナー(図示せず)が感光体ドラム32の帯電画線部に付着してトナー像が形成され、該トナー像は転写ローラ30に電界が印加されることにより、図中矢印Y方向に搬送される紙34に転写される。
図3に示すトナーカートリッジの帯電ローラ31として実施例及び比較例の導電性ローラを組み込み、温度50℃、湿度55%にて30日間保管した。その後、帯電ローラ31と感光体ドラム32が貼り付いているか否かを観察したのち、印刷(絵出し)試験を行い、得られた印刷物について、印刷濃度、印刷ムラ、白抜け、画像の鮮明さ等を目視にて観察した。
また、コーティング層の導電剤としてイオン性導電性付与剤を用いた比較例3の導電性ローラは、初期及び通紙耐久試験後のローラ抵抗値及び印刷画像には問題はないものの、保存試験後には感光体への貼り付きがみられ、印刷画像には横スジが多数発生した。
また、保存試験後においても感光体への貼り付きもなく、鮮明な印刷画像が得られた。
このように、実施例1〜6の導電性ローラは、耐久劣化性を有効に防止しながら、長期に渡り良好な帯電特性及び保存性を維持し、印刷特性に極めて優れていた。
11 導電性弾性層
12 芯金(シャフト)
13 コーティング層
14 ローラ部
15 アルミドラム
16 電源
Claims (9)
- 導電性部材の表面にコーティング処理を行う表面処理液であって、
多イソシアネート化合物が分散及び/または溶解した媒体中に、カーボンナノチューブが分散していることを特徴とする表面処理液。 - 前記カーボンナノチューブが0.1質量%以上1.5質量%以下の割合で含まれている請求項1に記載の表面処理液。
- 前記カーボンナノチューブが全固形分中に0.5質量%以上5.0質量%以下の割合で含まれている請求項1または請求項2に記載の表面処理液。
- 前記多イソシアネート化合物のイソシアネート基がブロック化されている請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の表面処理液。
- 前記多イソシアネート化合物に親水性基が導入され、前記媒体は水を50質量%以上含む請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の表面処理液。
- ゴム、樹脂及び熱可塑性エラストマーからなる群から選択される1種以上の弾性材料を用いて形成される導電性弾性層と、該導電性弾性層の表面を覆うコーティング層とを備えた導電性部材であって、
前記コーティング層は、多イソシアネート化合物の硬化物中にカーボンナノチューブが分散されてなることを特徴とする導電性部材。 - 画像形成装置に装着される導電性ローラである請求項6に記載の導電性部材。
- 請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の表面処理液を、ゴム、樹脂及び熱可塑性エラストマーからなる群から選択される1種以上の弾性材料を用いて形成した導電性弾性層の外表面に塗布した後、加熱硬化処理を行い、コーティング層を形成していることを特徴とする導電性弾性層の表面処理方法。
- 前記加熱処理の後、加湿処理を行っている請求項8に記載の導電性弾性層の表面処理方法。
Priority Applications (5)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007284258A JP4343243B2 (ja) | 2007-10-31 | 2007-10-31 | 導電性部材 |
US12/740,307 US20100261002A1 (en) | 2007-10-31 | 2008-10-27 | Surface-treating liquid for conductive elastic layer, method of surface treatment of the same, and surface-treated conductive member |
CN200880114634A CN101842749A (zh) | 2007-10-31 | 2008-10-27 | 导电性弹性层的表面处理液以及表面处理方法、经过表面处理的导电性部件 |
EP08846089A EP2211236A4 (en) | 2007-10-31 | 2008-10-27 | SURFACE TREATMENT LIQUID FOR A CONDUCTIVE ELASTIC LAYER, METHOD FOR SURFACE TREATMENT OF THIS AND SURFACE TREATED CONDUCTIVE LINK |
PCT/JP2008/069470 WO2009057560A1 (ja) | 2007-10-31 | 2008-10-27 | 導電性弾性層の表面処理液及び表面処理方法、表面処理された導電性部材 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007284258A JP4343243B2 (ja) | 2007-10-31 | 2007-10-31 | 導電性部材 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2009109910A true JP2009109910A (ja) | 2009-05-21 |
JP4343243B2 JP4343243B2 (ja) | 2009-10-14 |
Family
ID=40778426
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2007284258A Expired - Fee Related JP4343243B2 (ja) | 2007-10-31 | 2007-10-31 | 導電性部材 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4343243B2 (ja) |
Cited By (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010189621A (ja) * | 2009-01-20 | 2010-09-02 | Taiyo Nippon Sanso Corp | 複合樹脂材料粒子及びその製造方法 |
DE102010028258A1 (de) | 2009-04-28 | 2010-11-11 | Sumitomo Wiring Systems, Ltd., Yokkaichi-shi | Elektrischer Verteilerkasten |
JP2011022286A (ja) * | 2009-07-14 | 2011-02-03 | Bridgestone Corp | 導電性ローラ |
CN102054540A (zh) * | 2009-10-28 | 2011-05-11 | 施乐公司 | 多层电气部件、涂料组合物以及制造电气部件的方法 |
WO2011070813A1 (ja) * | 2009-12-12 | 2011-06-16 | 大陽日酸株式会社 | 複合樹脂材料粒子及びその製造方法 |
EP2515180A4 (en) * | 2009-12-15 | 2015-10-14 | Bridgestone Corp | ELECTROCONDUCTIVE ROLL AND METHOD OF MANUFACTURING THE SAME |
US9183966B2 (en) | 2011-02-07 | 2015-11-10 | Taiyo Nippon Sanso Corporation | Composite resinous particles, method of producing composite resinous particles, composite resin molded body, and method of producing same |
WO2018101294A1 (ja) * | 2016-12-02 | 2018-06-07 | 日産化学工業株式会社 | 導電性炭素材料分散液 |
-
2007
- 2007-10-31 JP JP2007284258A patent/JP4343243B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (15)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010189621A (ja) * | 2009-01-20 | 2010-09-02 | Taiyo Nippon Sanso Corp | 複合樹脂材料粒子及びその製造方法 |
US10435519B2 (en) | 2009-01-20 | 2019-10-08 | Taiyo Nippon Sanso Corporation | Composite resinous material particles and process for producing same |
DE102010028258A1 (de) | 2009-04-28 | 2010-11-11 | Sumitomo Wiring Systems, Ltd., Yokkaichi-shi | Elektrischer Verteilerkasten |
JP2011022286A (ja) * | 2009-07-14 | 2011-02-03 | Bridgestone Corp | 導電性ローラ |
CN102054540A (zh) * | 2009-10-28 | 2011-05-11 | 施乐公司 | 多层电气部件、涂料组合物以及制造电气部件的方法 |
JP2011095257A (ja) * | 2009-10-28 | 2011-05-12 | Xerox Corp | 電気部品 |
EP2511322A1 (en) * | 2009-12-12 | 2012-10-17 | Taiyo Nippon Sanso Corporation | Composite resinous particles and process for producing same |
EP2511322A4 (en) * | 2009-12-12 | 2014-10-01 | Taiyo Nippon Sanso Corp | COMPOSITE RESIN PARTICLES AND MANUFACTURING METHOD THEREFOR |
WO2011070813A1 (ja) * | 2009-12-12 | 2011-06-16 | 大陽日酸株式会社 | 複合樹脂材料粒子及びその製造方法 |
EP2515180A4 (en) * | 2009-12-15 | 2015-10-14 | Bridgestone Corp | ELECTROCONDUCTIVE ROLL AND METHOD OF MANUFACTURING THE SAME |
US9535354B2 (en) | 2009-12-15 | 2017-01-03 | Bridgestone Corporation | Conductive roller and manufacturing method thereof |
US9183966B2 (en) | 2011-02-07 | 2015-11-10 | Taiyo Nippon Sanso Corporation | Composite resinous particles, method of producing composite resinous particles, composite resin molded body, and method of producing same |
WO2018101294A1 (ja) * | 2016-12-02 | 2018-06-07 | 日産化学工業株式会社 | 導電性炭素材料分散液 |
JPWO2018101294A1 (ja) * | 2016-12-02 | 2019-10-24 | 日産化学株式会社 | 導電性炭素材料分散液 |
JP7081493B2 (ja) | 2016-12-02 | 2022-06-07 | 日産化学株式会社 | 導電性炭素材料分散液 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP4343243B2 (ja) | 2009-10-14 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4343243B2 (ja) | 導電性部材 | |
US20100261002A1 (en) | Surface-treating liquid for conductive elastic layer, method of surface treatment of the same, and surface-treated conductive member | |
JP4160613B2 (ja) | 発泡ゴムロール | |
JP4140856B2 (ja) | 導電性ローラ | |
JP4653204B2 (ja) | 導電性ロール | |
JP5146983B2 (ja) | 導電性ゴム部材 | |
JP5146982B2 (ja) | 導電性ゴム部材 | |
JP2009108265A (ja) | 導電性弾性層の表面処理液及び表面処理方法、表面処理された導電性部材 | |
WO2016158813A1 (ja) | 電子写真機器用導電性部材 | |
JP5186128B2 (ja) | 導電性ロール | |
JP2008045029A (ja) | 導電性熱可塑性エラストマー組成物、その製造方法及び成形物 | |
JP2007155769A (ja) | 導電性ゴムローラ | |
JP5623211B2 (ja) | 現像ローラ、現像方法、プロセスカートリッジ及び画像形成装置 | |
JP6343631B2 (ja) | 電子写真機器用導電性ロール | |
JP4422046B2 (ja) | ゴム組成物、導電性ゴムロール及び転写ロール | |
JP2008045031A (ja) | 導電性熱可塑性エラストマー組成物、その製造方法及び成形物 | |
JP2005114950A (ja) | 帯電部材及び画像形成装置 | |
JP3070556B2 (ja) | 導電ロール | |
JP2007199599A (ja) | 帯電ローラ | |
JP4121797B2 (ja) | 導電性熱可塑性エラストマー組成物、導電性熱可塑性エラストマー組成物の製造方法、及び導電性ローラ | |
JPH10177290A (ja) | 導電ロール及びその製造方法 | |
JP3751552B2 (ja) | 導電性弾性層の表面処理方法および及び該導電性弾性層を備えた導電性ローラ | |
JP2006039394A (ja) | 導電性ローラ | |
JP5925584B2 (ja) | 導電性ローラの製造方法 | |
JP5060760B2 (ja) | 導電性ゴムローラー及び画像形成装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20090318 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20090421 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20090603 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20090707 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20090708 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120717 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |