JP2009109318A - タービン系の線量低減方法および原子力発電プラント - Google Patents
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Abstract
【課題】原子炉圧力容器内で生成された放射性窒素のタービン系への移行を低減するタービン系の線量低減方法およびその方法を適用する原子力発電プラントを提供する。
【解決手段】本発明に係るタービン系の線量低減方法は、原子力発電プラントにおける原子炉圧力容器1内を流れる冷却水中に、冷却水中に存在する窒素化合物と反応し塩を生成する1以上の薬剤を給水系3および原子炉再循環系4に設けられた注入点25a、25bから注入することで、原子炉圧力容器1内で発生した放射性窒素のタービン系への移行を低減させるものである。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明に係るタービン系の線量低減方法は、原子力発電プラントにおける原子炉圧力容器1内を流れる冷却水中に、冷却水中に存在する窒素化合物と反応し塩を生成する1以上の薬剤を給水系3および原子炉再循環系4に設けられた注入点25a、25bから注入することで、原子炉圧力容器1内で発生した放射性窒素のタービン系への移行を低減させるものである。
【選択図】 図1
Description
本発明は、原子力発電プラントにおけるタービン系の線量低減技術に係り、特に、原子炉圧力容器内で生成された放射性窒素のタービン系への移行を低減するタービン系の線量低減方法および原子力発電プラントに関する。
原子力発電の方法の一つに、沸騰水型原子炉(BWR)を用いた発電方法がある。このBWRは、軽水を原子炉冷却水および原子炉減速材として利用し、この軽水を原子炉圧力容器内の炉心にて核反応により生じる熱で沸騰させて、直接蒸気を発生させタービン発電機に導き電気を得る発電用原子炉である。
BWRの原子炉圧力容器内では、冷却水(炉水)である軽水が炉心通過時に中性子照射されることにより、窒素の放射性同位体(16N)が生成される。この16Nの化学形態であって揮発性が高く移行しやすい窒素化合物の一部であるアンモニア(NH3)やNOなどの酸化数の低い窒素酸化物は、炉内の水中に停滞せず、発生した蒸気と共に蒸気配管を通過してタービン系に移行する。タービン系に移行した放射性窒素化合物は、6.129MeVの高いエネルギの放射線を発生するため、タービン系における線量増加の要因となる。
これに対し、亜硝酸イオンや硝酸イオンなどの酸化数の高い形態である窒素化合物は、不揮発性であるため炉内の水中に留まりやすく、タービン系に移行しにくい。
従来、タービン系に移行する放射性窒素量の低減技術として、触媒を用いてアンモニアなどを低減させ、放射性窒素化合物をタービン系に移行させない方法が提案されている(例えば特許文献1参照)。
また、放射性窒素の16Nは、半減期が7.13秒と短いため、窒素またはその化合物を主蒸気配管で吸着させ、減衰させることでタービン系に移行する放射性窒素を低減させる技術が提案されている(例えば特許文献2参照)。
さらに、アンモニアを酸化分解させる酸化分解装置を原子炉圧力容器出口の主蒸気配管に設けることによりアンモニアを除去する技術(例えば特許文献3参照)や、冷却水にアンモニアを形成させるような薬剤を添加すると同時に、原子炉圧力容器出口の主蒸気配管にアンモニアを除去する装置を備えることで放射性窒素を低減させる技術も提案されている(例えば特許文献4参照)。
特開平02−240597号公報
特開2001−147291号公報
特開2005−257626号公報
特開平08−313664号公報
従来、原子力発電プラントの原子炉圧力容器やその内部の構造物の構造材料の粒界応力腐食割れを防止するため、炉水に水素を注入することで応力腐食割れの原因となる炉水中の溶存酸素を低減させることが試みられている。
従来の特許文献1に開示された技術は、触媒を用いて揮発性であるアンモニアなどを低減させるものであったが、炉水に水素を注入した環境では原子炉圧力容器内は還元雰囲気となるため、触媒を用いて窒素化合物を酸化させ不揮発性とさせるのは困難であった。
また、特許文献2、3および4に開示された技術によって、主蒸気配管上において吸着や酸化分解などの手段を用いてアンモニアなどの放射性窒素化合物を低減させるためには、この窒素化合物と吸着物や触媒とが十分な接触面積を有する必要がある。しかし、そのためには蒸気流路である主蒸気配管を十分狭くする必要があり、発電効率低下につながる恐れがあった。
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、直接サイクル型の原子炉圧力容器で生成する放射性窒素化合物を原子炉圧力容器内に留めることで、タービン建屋における線量低減が可能なタービン系の線量低減方法およびその方法を適用する原子力発電プラントを提供することを目的とする。
本発明に係るタービン系の線量低減方法は、上述した課題を解決するために、原子炉圧力容器内を流れる冷却水中に、前記冷却水中に存在する窒素化合物と反応し塩を生成する1以上の薬剤を注入し、前記窒素化合物のタービン系への移行を低減することを特徴とするものである。
また、本発明に係る原子力発電プラントは、上述した課題を解決するために、沸騰水型原子炉を構成する原子炉圧力容器に接続された給水系および原子炉再循環系の少なくとも一箇所に、前記原子炉圧力容器内を流れる冷却水中に存在する窒素化合物と反応し塩を生成する1以上の薬剤を注入する薬剤注入装置を接続したことを特徴とするものである。
本発明に係るタービン系の線量低減方法および原子力発電プラントは、直接サイクル型の原子炉圧力容器で生成する放射性窒素化合物を冷却水の循環系統内に留めることで、タービン系における線量を低減することができる。
本発明に係るタービン系の線量低減方法および原子力発電プラントの実施形態を添付図面に基づいて説明する。
[第1の実施形態]
図1は、本発明に係るタービン系の線量低減方法を適用する原子力発電プラントの第1実施形態を示す概略的な構成図である。本実施形態においては、この線量低減方法を、直接サイクル型原子炉である沸騰水型原子炉(BWR)に適用した例を説明する。
図1は、本発明に係るタービン系の線量低減方法を適用する原子力発電プラントの第1実施形態を示す概略的な構成図である。本実施形態においては、この線量低減方法を、直接サイクル型原子炉である沸騰水型原子炉(BWR)に適用した例を説明する。
BWRは、炉心10で発生した熱を除去する原子炉冷却水が原子炉圧力容器1内で沸騰した状態で炉外へ取り出され、その蒸気で直接タービンを回して発電する構成となっている。図1は、このBWRのうち、冷却水(炉水)の循環系統である原子炉圧力容器1、主蒸気系2、給水系3、原子炉再循環系4および原子炉冷却材浄化系5について示したものである。
原子炉圧力容器1は、中央に収容された炉心10で放射性物質を含む気水混合流を発生させ、主蒸気配管11で接続されたタービン建屋12に蒸気を供給する。炉心10の上部には、気水分離器13が設けられており、炉心10で発生した気水混合流をタービン建屋12に送る蒸気と、再び炉心10へ循環させる水とに分離する。気水分離器13で分離された蒸気は、蒸気乾燥器14に案内され湿気を除かれ、原子炉圧力容器1上部の図示しない主蒸気ノズルから主蒸気系2の主蒸気配管11を通流経路としてタービン建屋12に導かれる。
給水系3は、図示しないタービン復水器からの原子炉給水(復水)を原子炉圧力容器1内に導くための給水配管18や弁などから構成されている。
原子炉再循環系4は、一次冷却水を原子炉圧力容器1のダウンカマ16から再循環系配管17を介して再循環ポンプ15に導き昇圧させ、原子炉圧力容器1の図示しないジェットポンプの駆動水として再び原子炉圧力容器1内に導くように構成されている。この原子炉再循環系4は、再循環ポンプ15の速度を制御して炉心10への冷却水供給流量を変化させることにより、炉心10における発生蒸気量を制御する。
原子炉冷却材浄化系5は、冷却水(炉水)の水質維持を主目的としており、原子炉再循環系4の再循環系配管17から一次冷却水を連続的に少流量ずつ取り出し、ろ過脱塩塔等からなる原子炉冷却材浄化系機器21で腐食生成物等の除去を行った後、冷却材浄化系配管20、給水系3の給水配管18を経て原子炉圧力容器1に戻す構成となっている。
なお、インターナルポンプを有する原子炉においては上述した再循環系配管を有していないため、上述した原子炉冷却材浄化系5は直接原子炉圧力容器1から導かれる構成となっている。
このようなBWRの原子炉圧力容器1内では、冷却水(炉水)である軽水が炉心10通過時に中性子照射されることにより窒素の放射性同位体16Nが生成される。この16Nの化学形態であって揮発性が高く移行しやすい窒素化合物の一部であるアンモニア(NH3)やNOなどの酸化数の低い窒素化合物は、炉内の水中に停滞せず、発生した蒸気と共に主蒸気配管11を通過してタービン建屋12に設けられるタービン系に移行する。タービン系の線量増加はBWR内の作業員等の被ばくの原因となるため、放射性窒素化合物はタービン系に移行しないように何らかの対処をする必要がある。
本実施形態では、このようなBWRの原子炉再循環系4の再循環系配管17および/または給水系3の給水配管18に薬剤注入装置25から薬剤を注入する注入点25a、25bを設け、この注入点25a、25bから冷却水(炉水)および/または給水に薬剤を投入し放射性窒素化合物と反応させ、不揮発性の物質である塩を生成させる。このようにタービン系へ移行する冷却水中の揮発性物質を低減させることでタービン系の線量増加を回避することが可能となる。
注入点25a、25bから注入される薬剤は、アンモニアなどの放射性窒素化合物と塩を生成するものであって、1または数種類の薬剤からなる。数種類の薬剤を用いる場合には、冷却水中に存在する種々の窒素化合物に対応する薬剤をそれぞれ注入することで、より確実に窒素化合物の塩を生成させ、タービン系への移行量を低減させることができる。
この薬剤は、例えばアルカリ土類金属やマグネシウム、リン酸を含む単体または化合物からなり、また、原子炉環境で気化、熱分解を起こさないものが用いられる。
薬剤にマグネシウムを含む化合物を用いる場合には、予め同位体濃縮された24Mgを用いる。天然に存在するマグネシウムの同位体には、24Mg、25Mg、26Mgがあるが、炉心10において中性子線で照射されることで質量数が一つずつ増え、質量数が27の27Mgとなると放射性同位体となり線量増加の原因となる。よって線量低減を図るためには質量数の低い24Mgを用いるのが適当である。
また、原子力発電プラントには水質に関する運転基準が設けられており、導電率、不純物イオン濃度などがこの水質基準値を超えない程度に薬剤注入量が制御される。
次に、本実施形態におけるBWRの作用について説明する。
本実施形態におけるタービン系の線量低減方法は、BWRの定常運転中に継続して連続的、または断続的に薬剤の注入を行うことができる。また、定常運転中以外にも、起動時、中間停止時、停止時または定期検査時において薬剤の注入を行うことも可能である。
ダウンカマ16から昇圧された冷却水(炉水)が通流する原子炉再循環系4の再循環系配管17上では、注入点25aから薬剤が注入される。また、原子炉圧力容器1内に導かれる原子炉給水(復水)および原子炉冷却材浄化系5から合流する冷却水が通流する給水系3の給水配管18上に設けられた注入点25bからも、同様に薬剤が注入される。
注入された薬剤は、冷却水および給水とともに炉内を循環し、炉心10において冷却水が中性子線で照射されることにより発生した窒素(16N)化合物と反応し塩を生成する。
生成した塩は、原子炉圧力容器1内において安定に存在する液体、固体、コロイド状などの不揮発性の形態である。この生成された塩が水中に留まる形態である場合、炉内の流れに乗って上部気相中に放出された場合であっても気水分離器13および蒸気乾燥器14で分離された水分と共に炉水内に戻る。生成された塩が固体またはイオンの形態であれば、原子炉冷却材浄化系5の原子炉冷却材浄化系機器21であるろ過脱塩塔に設けられたフィルタやイオン交換樹脂などで除去することが可能である。また、原子炉冷却材浄化系5で除去できない形態であったとしても、放射性窒素16Nは半減期が短いため、原子炉圧力容器1内で減衰する。
このタービン系の線量低減方法および原子力発電プラントによれば、16Nの放射性窒素化合物は、薬剤と反応することにより不揮発性の塩を生成し、安定な形態で炉水内に留まるため、主蒸気配管11を通流経路としてタービン建屋12に移行せず、タービン系における線量の増加を回避することができる。
また、放射性窒素化合物は原子炉圧力容器1、原子炉再循環系4および原子炉冷却材浄化系5においてのみ循環するため、従来のようにアンモニアなどを吸着・除去する手段を主蒸気配管11に設ける必要がなく、タービン発電効率の低下を招くことがない。
さらに、薬剤と反応することにより生成された塩は、従来から設けられている設備であるろ過脱塩塔で除去されたり、気水分離器13および蒸気乾燥器14によって再び原子炉圧力容器1内の炉水に戻されたりするため、特段の窒素化合物の除去手段を設ける必要なくタービン系への放射性窒素化合物の移行を回避することができる。
また、マグネシウムを薬剤として用いる場合には、同位体濃縮された24Mgを用いることにより、注入された薬剤が中性子線に照射されることによる線量増加を回避することができる。
なお、図1においては薬剤注入装置25および注入点25a、25bを給水系3および原子炉再循環系4に設けたが、どちらか一方に設けてもよい。また、注入点25a、25bを給水系3および原子炉再循環系4に設けたが、これに限らず他の系である例えば原子炉冷却材浄化系5の出口付近などに設けてもよい。
[第2の実施形態]
図2は、第2実施形態におけるBWRの一実施形態を示す概略的な構成図である。
図2は、第2実施形態におけるBWRの一実施形態を示す概略的な構成図である。
第2実施形態におけるBWRが第1実施形態と異なる点は、原子炉再循環系4および/または給水系3に、水素注入点30a、30bをさらに設けた点である。また、第1実施形態と対応する構成および部分については同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
水素注入点30a、30bは、例えば薬剤の注入点25a、25bの下流側に設けられ、冷却水(炉水)および/または給水への水素の注入が薬剤の注入と併用して行われる構成になっている。
従来、原子炉圧力容器1やその内部の構造物の構造材料の粒界応力腐食割れを防止するため、炉水に水素を注入することで、応力腐食割れの原因となる炉水中の溶存酸素を低減させることが試みられていた。しかし、炉水に水素を注入した環境では原子炉圧力容器1内は還元雰囲気となることから、酸化数の高い酸化窒素、硝酸イオンなどの窒素化合物が還元される。これにより、揮発性の高いアンモニアが生成され、タービン系の線量の増加につながってしまうため、水素の注入量には限界があった。
一方、冷却水(炉水)中には、種々の放射性窒素化合物が存在し、これに対応する薬剤を注入点25a、25bから注入することで、より確実に窒素化合物の塩を生成させ、タービン系への移行量を低減させることができる。しかし、種々の放射性窒素化合物に対応するために複数の薬剤を注入することは、作業性、経済性に欠けるのみならず、それぞれの窒素化合物の濃度も分配されるため塩の生成反応を進みにくくするという問題点があった。
これらの課題を踏まえ、本実施形態では水素注入点30a、30bから予め水素を注入し、種々の窒素化合物の還元を行いアンモニアを意図的に生成させる。窒素化合物からアンモニアを生成することで、アンモニアと塩生成反応を行う薬剤を主な薬剤として注入することができ、使用する薬剤の種類を低減することができる。
アンモニアの塩生成反応に適した薬剤の一例としては、マグネシウム、リン酸などの化合物がある。また、マグネシウム、リン酸を含む薬剤とアンモニアが塩生成反応を行うことにより、リン酸マグネシウムアンモニウムが生成される。
このタービン系の線量低減方法および原子力発電プラントによれば、水素を注入することにより他の窒素化合物を還元させ意図的にアンモニアを生成させることで、アンモニアと塩生成反応を行う薬剤を主に用いることができ薬剤の種類を低減させることができる。
また、種々の窒素化合物を還元してアンモニアを生成させることで窒素化合物の種類を減少させアンモニアの濃度を高めることができるため、塩生成反応の反応速度を上昇させることができる。この結果、放射性窒素化合物のタービン系への移行を効率的に低減することができ、より高い線量低減効果を得ることができる。
さらに、必要な薬剤の種類を減少させることができるため、作業性、経済性も向上させることができる。
[第3の実施形態]
図3は、第3実施形態におけるBWRの一実施形態を示す概略的な構成図である。
図3は、第3実施形態におけるBWRの一実施形態を示す概略的な構成図である。
第3実施形態におけるBWRが第1実施形態と異なる点は、線量率測定手段としての線量率測定装置35を設け、さらに線量率測定装置35における測定結果をもとに薬剤注入量を制御する薬剤注入量制御手段としての薬剤注入量制御システム36を設けたことである。
線量率測定装置35は、例えば主蒸気系2の主蒸気配管11上に設けられ、原子炉圧力容器1からタービン建屋12に供給される蒸気の線量率を測定する。ここで得られたデータは、薬剤注入量制御システム36に送信されるようになっている。薬剤注入量制御システム36は、線量率測定装置35から送信された線量データをもとに、注入点25a、25bから注入される薬剤注入量を制御する。薬剤注入量の制御は、例えば注入点25a、25bに設けられた注入弁(図示せず)の開度を制御することなどにより行われる。
薬剤注入量制御システム36により注入量が制御されることで、タービン系に供給される蒸気の線量率が所定の範囲内の値となるように監視することができる。例えば、所定の範囲を超えた線量率が線量率測定装置35で測定され、これが薬剤注入量制御システム36に送信された場合、薬剤注入量制御システム36は、薬剤注入量が増加されるように制御を行う。これに基づき、注入点25a、25bから注入される薬剤注入量は増加され、原子炉圧力容器1内の窒素化合物と薬剤との塩生成反応をさらに発生させ、この結果蒸気に含まれる線量率を低減させ所定の範囲内に収めることができる。
また、線量率測定装置35で測定された線量率が、所定の範囲内を大きく下回った場合においては、薬剤注入量制御システム36は送信されたデータに基づき薬剤注入量を減少させるように制御することができる。この結果、過剰な薬剤の注入を抑制することもできる。
このタービン系の線量低減方法および原子力発電プラントによれば、主蒸気配管11を通る蒸気の線量率に基づき薬剤注入量を制御することで、薬剤注入量の不足や過剰供給を防止することができ、効果的にタービン系の線量低減を行うことができる。
[第4の実施形態]
図4は、第4実施形態におけるBWRの一実施形態を示す概略的な構成図である。
図4は、第4実施形態におけるBWRの一実施形態を示す概略的な構成図である。
第4実施形態におけるBWRが第1実施形態と異なる点は、冷却水(炉水)の導電率測定手段として導電率測定装置40を設け、さらに導電率測定装置40における測定結果をもとに薬剤注入量を制御する薬剤注入量制御手段として薬剤注入量制御システム36を設けたことである。
BWRなどの原子力発電プラントには水質基準値が設けられており、このうちの一つに導電率がある。導電率は、冷却水(炉水中)の不純物濃度を判定するのに用いられ、この値が水質基準値の範囲内に収まるように管理される。導電率は、炉水中のアンモニア濃度に比例して増加することが知られており、これに伴いアンモニア濃度を所定範囲内に収める必要がある。これに対応するため、本実施形態においては導電率測定手段である導電率測定装置40と、薬剤注入量制御手段である薬剤注入量制御システム36を設けた。
導電率測定装置40は、例えば原子炉冷却材浄化系5の冷却材浄化系配管20上に設けられ、原子炉圧力容器1から原子炉再循環系4を経て取水された冷却水(炉水)の導電率を測定する。ここで得られたデータは、薬剤注入量制御システム36に送信されるようになっている。薬剤注入量制御システム36は、導電率測定装置40から送信された導電率データに基づき、注入点25a、25bから注入される薬剤注入量を制御する。薬剤注入量の制御は、例えば注入点25a、25bに設けられた注入弁(図示せず)の開度を制御することなどにより行われる。
導電率測定装置40および薬剤注入量制御システム36により薬剤注入量が制御されることにより、例えば、所定の水質基準値の範囲を超えた導電率が測定され薬剤注入量制御システム36に送信された場合、導電率の上昇の原因となる炉水中のアンモニア濃度を低減させるため、薬剤注入量を増加してアンモニアと塩生成反応を行わせる。この結果、アンモニア濃度の低減に伴い冷却水の導電率を低下させ、所定の範囲内に収めることができる。
このタービン系の線量低減方法および原子力発電プラントによれば、原子炉冷却材浄化系5に取り込まれる冷却水の導電率に基づき薬剤注入量を制御することで、冷却水中のアンモニア濃度の増加を抑制することができ、この結果不純物の判定基準である導電率を低減させることができ、タービン系の線量低減および導電率の低減を効果的に行うことができる。
なお、本実施形態においては導電率を測定しこれに基づき薬剤注入量を制御したが、導電率のみならず、例えば冷却水のpHを測定し、これに基づき薬剤注入量を制御してもよい。
なお、上記第1から第4実施形態は各々特徴点を示したものであり、必要に応じて上記第1から第4実施形態の各々を組合わせて実施することができる。
1 原子炉圧力容器
2 主蒸気系
3 給水系
4 原子炉再循環系
5 原子炉冷却材浄化系
10 炉心
12 タービン建屋
25 薬剤注入装置
25a、25b 注入点
30a、30b 水素注入点
35 線量率測定装置
36 薬剤注入量制御システム
40 導電率測定装置
2 主蒸気系
3 給水系
4 原子炉再循環系
5 原子炉冷却材浄化系
10 炉心
12 タービン建屋
25 薬剤注入装置
25a、25b 注入点
30a、30b 水素注入点
35 線量率測定装置
36 薬剤注入量制御システム
40 導電率測定装置
Claims (12)
- 原子炉圧力容器内を流れる冷却水中に、前記冷却水中に存在する窒素化合物と反応し塩を生成する1以上の薬剤を注入し、前記窒素化合物のタービン系への移行を低減することを特徴とするタービン系の線量低減方法。
- 前記薬剤の注入点は、給水系および原子炉再循環系の少なくとも一箇所であることを特徴とする請求項1記載のタービン系の線量低減方法。
- 前記薬剤の注入時に、原子炉の水質基準値を満たすように注入量を制御することを特徴とする請求項1記載のタービン系の線量低減方法。
- 前記窒素化合物と反応し生成された塩は、前記原子炉圧力容器内において安定に存在する液体、固体、コロイド状などの不揮発性の形態であることを特徴とする請求項1記載のタービン系の線量低減方法。
- 前記薬剤は、前記原子炉圧力容器内において気化、熱分解を起こさないものであることを特徴とする請求項1記載のタービン系の線量低減方法。
- 前記薬剤は、アルカリ土類金属を含むことを特徴とする請求項1記載のタービン系の線量低減方法。
- 前記薬剤は、リン酸およびマグネシウムを含むことを特徴とする請求項1記載のタービン系の線量低減方法。
- 前記薬剤に含まれるマグネシウムは、同位体濃縮された24Mgであることを特徴とする請求項7記載のタービン系の線量低減方法。
- 前記薬剤は、タービン建屋に供給される蒸気の線量率に基づいて注入量が制御されることを特徴とする請求項1記載のタービン系の線量低減方法。
- 前記薬剤は、前記冷却水の導電率に基づいて注入量が制御されることを特徴とする請求項1記載のタービン系の線量低減方法。
- 前記薬剤の注入と共に水素を注入することを特徴とする請求項1から10のいずれか1項記載のタービン系の線量低減方法。
- 沸騰水型原子炉を構成する原子炉圧力容器に接続された給水系および原子炉再循環系の少なくとも一箇所に、前記原子炉圧力容器内を流れる冷却水中に存在する窒素化合物と反応し塩を生成する1以上の薬剤を注入する薬剤注入装置を接続したことを特徴とする原子力発電プラント。
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