JP2008191026A - タービン系の放射線線量率低減方法及び装置 - Google Patents

タービン系の放射線線量率低減方法及び装置 Download PDF

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Seiji Yamamoto
誠二 山本
Kazuo Murakami
一男 村上
Osamu Shibazaki
理 柴崎
Tadashi Yotsuyanagi
端 四柳
Hidehiro Urata
英浩 浦田
Junichi Takagi
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Abstract

【課題】タービン系の放射線線量率を低減できること。
【解決手段】沸騰水型原子炉11へ流れる冷却材中における酸素原子の同位元素の割合を減少させて、放射性窒素N−16の標的核となる酸素原子O−16の含有量を減少させ、例えば、酸素原子O−16及びO−18の含有量を減少させて、酸素原子O−17の存在比を高め、また、酸素原子O−16及びO−17の含有量を減少させて、酸素原子O−17の存在比を高めるものである。
【選択図】 図1

Description

本発明は、沸騰水型原子力発電プラントにおけるタービン系の放射線線量率を低減するタービン系の放射線線量率低減方法及び装置に関する。
沸騰水型原子力発電プラントでは、原子炉内での核反応により、原子炉水(冷却材)中の水の酸素原子O18(以下O−18とも記す)及びO16(以下O−16とも記す)から、高エネルギーのガンマ線を放出する放射性炭素15C(以下C−15とも記す)及び放射性窒素16N(以下N−16とも記す)が以下のように生成される。
[化1]
18O(n、α)15
16O(n、p)16
それぞれの半減期は、放射性炭素C−15が2.49秒、放射性窒素N−16が7.13秒である。これらの放射性炭素C−15及び放射性窒素N−16は、冷却材中で放射線分解物質と反応することにより、炭素化合物または窒素化合物となって蒸気相へ移行し、タービン系へ導かれていく。そして、これらの放射性炭素C−15、放射性窒素N−16が高エネルギーのガンマ線を放出するために、放射線線量率を低減させる目的で、原子力発電プラントのタービン系は厚い遮へい体で覆われている。
一方、原子炉構造材の応力腐食割れ防止を目的として、冷却材中に水素が注入されている。この水素注入では、放射性窒素N−16の化学形態が変化して揮発性となり、蒸気相へ移行しやすくなって、タービン系では通常の水質に比較して5倍程度、放射能濃度が上昇する傾向となる。この弊害を考慮して、原子力発電プラントによっては注入する水素量を制限しているものもある。
この水素注入の弊害を払拭するために貴金属を原子炉構造材に付着させて、少量の水素注入で応力腐食割れ感受性の腐食電位を低下させる方法が、いくつかのプラントで実施されている。しかし、この方法は、水素を注入しない場合に比較して放射線線量率が低下するものではなく、水素を注入しない場合と同程度の放射線線量率を維持するものであり、タービン系の放射線線量率が高いことには変わりない。
タービン系の放射線線量率の低減対策は、主に、放射性窒素N−16の主蒸気系への移行をいかに低減させるかが重視されてきた。水素を注入しない通常の水質では、主蒸気系へ移行する放射性窒素の化学形態は、揮発性の高い一酸化窒素(NO)またはアンモニア(NH)が主であるとされており、この生成を抑制するために、冷却材の水質をコントロールする提案が検討されている(特許文献1参照)。
また、放射性炭素C−15は、水素注入時においてタービン系への移行量の増加が認められていないが、高エネルギーのガンマ線を放出することから、原子炉圧力容器の出口では放射線線量率の数十%をしめる可能性がある。この放射性炭素C−15の積極的な低減策について、冷却材のpHをコントロールすることにより、二酸化炭素の解離度を変化させて可溶性の炭酸イオンに変化させ、放射性炭素C−15のタービン系への移行量を低下させる提案がなされている(特許文献2参照)。
また、放射性窒素N−16のタービン系への低減については、この放射性窒素N−16の半減期が7.13秒と短いことから、原子炉内での蒸気の保持時間を増加することにより、放射性窒素N−16の減衰を利用して、タービン系へ移行する放射能を低減する提案がなされている(特許文献3参照)。
特開2004−77320号公報 特開平4−158296号公報 特開平4−278496号公報
タービン系の放射線線量率を低減させる検討は、水素注入時の注入量を制御することに着目して実施されてきた。また、そのとき対象となる放射性核種は放射性窒素N−16であった。その対策として現在実施されている事例は、前述の如く、貴金属を用いるなどによって水素注入の効果を向上させ、水素注入量を低減させることで、タービン系の放射線線量率の上昇を抑制する方法である。しかし、これは水素注入を実施しない場合よりも放射線線量率を低下させるものではない。
また、特許文献3のような放射性窒素N−16を減衰させる方法では、放射性窒素N−16の半減期が7.13秒であり、蒸気の移行速度を考慮すると、タービン系の放射線線量率低減は未だ十分なものとはなっていないと考えられる。
また、沸騰水型原子力発電プラントのタービン系は、放射線線量率が高くなることから、コンクリートや鉄板など多量の遮へい体材料を用いてタービン建屋を構築する必要があり、建屋設備が重厚になり、また、運転時のパトロール員の被ばくが懸念されるなどの課題がある。
本発明の目的は、上述の事情を考慮してなされたものであり、タービン系の放射線線量率を低減できるタービン系の放射線線量率低減方法及び装置を提供することにある。
本発明に係るタービン系の放射線線量率低減方法は、沸騰水型原子炉内へ流れる冷却材中における酸素原子の同位元素の割合を変化させて、放射性窒素N−16の標的核となる酸素原子O−16の含有量を減少させることを特徴とするものである。
本発明に係るタービン系の放射線線量率低減装置は、沸騰水型原子力発電プラントにおけるタービン系へ導かれる蒸気の放射線線量率を測定する放射線線量率測定手段と、原子炉へ導かれる冷却材に、当該冷却材中の放射性炭素が炭酸ガスになることを阻止する炭酸ガス化阻止材を注入する炭酸ガス化阻止材注入手段と、前記放射線線量率測定手段にて測定された放射線線量率に基づき、前記炭酸ガス化阻止材注入手段から注入する炭酸ガス化阻止材量を制御して、前記タービン系へ導かれる蒸気の放射線線量率を目標値以下に調整する制御手段と、を有することを特徴とするものである。
本発明に係るタービン系の放射線線量率低減装置は、沸騰水型原子力発電プラントにおける原子炉内で短半減期の放射性核種が核反応により生成され、この放射性核種のタービン系への移行を低減するために、前記原子炉を構成する原子炉圧力容器に、当該原子炉圧力容器内で蒸気と共に移動する前記放射性核種の滞在時間を増加させる滞在時間増加手段が設置されたことを特徴とするものである。
本発明に係るタービン系の放射線線量率低減方法によれば、沸騰水型原子炉内へ流れる冷却材中における酸素原子O−16の含有量を減少させることから、この酸素原子O−16が、原子炉内で中性子と核反応することにより生成される放射性窒素N−16を減少できる。この放射性窒素N−16が高エネルギーのガンマ線を放出するので、この放射性窒素N−16の減少により、原子炉内で発生した蒸気が導かれるタービン系の放射線線量率を低減することができる。
また、本発明に係るタービン系の放射線線量率低減装置によれば、原子炉へ導かれる冷却材に、炭酸ガス化阻止材注入手段から冷却材中の放射性炭素が炭酸ガスになることを阻止する炭酸ガス化阻止材が注入されることから、冷却材中の放射性炭素は、大部分が炭酸イオンの化学形態または炭化水素化合物の化学形態となり、炭酸ガスの化学形態で蒸気と共にタービン系へ移行する移行量を減少できる。この結果、特に高エネルギーのガンマ線を放出する放射性炭素を低減することで、タービン系の放射線線量率を低減できる。
更に、本発明に係るタービン系の放射線線量率低減装置によれば、原子炉圧力容器内に、当該原子炉圧力容器内で蒸気と共に移動する放射性核種の滞在時間を増加させる滞在時間増加手段が設置されたことから、炭酸ガスの化学形態となった短半減期の放射性核種を原子炉圧力容器内に滞在させる滞在時間が増加するので、この間に短半減期の放射性核種を減衰させることができる。この結果、タービン系へ移行する短半減期の放射性核種の移行量が減少して、タービン系の放射性線量率を低減することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面に基づき説明する。但し、本発明は、これらの実施の形態に限定されるものではない。
[A]第1の実施の形態(図1)
図1は、本発明に係るタービン系の放射線線量率低減方法における一実施形態を適用する沸騰水型原子力発電プラントを概略して示す系統図である。
沸騰水型原子力発電プラント10では、沸騰水型原子炉11を構成する原子炉圧力容器12内に炉心13が収容されている。原子炉圧力容器12内には、炉心13の上方に、炉心13にて発生した蒸気中の水分を分離する気水分離器14が配設されている。更に、原子炉圧力容器12内には、気水分離器14の上方に、この気水分離器14から導入された蒸気を乾燥させる蒸気乾燥器15が配設されている。この蒸気乾燥器15にて乾燥された乾燥蒸気は、原子炉圧力容器12に形成された主蒸気ノズル16から主蒸気系17を経てタービン系18へ導かれる。
タービン系18で仕事をした蒸気は、図示しない復水器で復水となり、給水系19を経て原子炉圧力容器12内へ冷却材として注入される。原子炉圧力容器12内の冷却材は、再循環系20に取り込まれて昇圧され、原子炉圧力容器12内のジェットポンプ21によって炉心13の下部へ導かれる。
なお、図1においてはジェットポンプを適用した原子力発電プラントの例で示したが、インターナルポンプを適用した場合においても同様である。
ところで、原子炉11の原子炉圧力容器12内へ流れる冷却材は、酸素原子の同位元素の割合が変化されて、放射性窒素N−16の標的核となる酸素原子O−16の含有量が低減されている。即ち、上記冷却材は、酸素原子O−16及びO−18の含有量が減少されて、酸素原子17O(以下O−17とも記す)の存在比(存在率)が高められ、これにより後述のごとく、放射性窒素N−16及び放射性炭素C−15による高エネルギーのガンマ線の放出が低減される。または、冷却材は、酸素原子O−16及びO−17の含有量が減少されて、酸素原子O−18の存在比が高められ、これにより後述のごとく、長半減期の放射性核種14C(以下C−14とも記す)の生成が低減される。
詳説すると、高エネルギーのガンマ線を放出する放射性窒素N−16は、原子炉において冷却材中のHOの酸素を標的核として以下の反応により生成される。
[化2]
16O(n,p)16
この冷却材中の水には、酸素原子O−16の他に、安定な同位元素として酸素原子17O(以下O−17とも記す)、O−18が存在する。これらの酸素原子O−17、O−18の存在比を高めた冷却材を用いることにより放射性窒素N−16の生成を低減させることが可能となる。
冷却材中の酸素原子O−16を低減することにより、冷却材中で酸素原子O−17及びO−18の存在率が増加して、これらを標的核とした放射性核種14C、15Cが以下の核反応により生成される。
[化3]
17O(n,α)14C 半減期T1/2=5730year・ Beta崩壊
18O(n,α)15C 半減期T1/2=2.49sec. 5.299MeV
放射性炭素C−14は、放出エネルギーがベータ崩壊により発生するエネルギーであるため低いが、半減期が長い。また、放射性炭素C−15は、放出エネルギーが5.299MeVと高く、放射性窒素N−16と同一レベルであるが、半減期が2.49秒と短い特徴を持つ。それぞれの特徴を利用するために、冷却材中で酸素原子O−17とO−18の存在率を高めることにより、放射性窒素N−16のタービン系18への移行量を減少させて、タービン系18の放射線線量率を低減させることが可能となる。
図2は、図1の原子炉へ供給される各種冷却材について、原子炉11にて発生した蒸気が主蒸気系17へ移行してからの当該蒸気の放射線線量率の変化を示すグラフである。図2中の実線Aが、酸素原子O−17を90%含む冷却材の場合、一点鎖線Bが、酸素原子O−18を90%含む冷却材の場合、破線Cが、通常水質の冷却材の場合、二点鎖線Dが、水素注入した水質の冷却材の場合をそれぞれ示す。
酸素原子O−17を90%含む冷却材を用いることにより、放射性炭素C−14が主に生成されて、原子炉11から主蒸気系17へ移行する蒸気の放射線線量率は、図2の実線Aに示すように、通常水質の冷却材を用いた場合(図2の破線C)に比べて1/10程度となる。また、酸素原子O−17を50%含む冷却材を用いた場合には、図示しないが、主蒸気系17へ移行する蒸気の放射線線量率は、通常水質の冷却材を用いた場合の1/5程度となる。このように、放射性炭素C−14は、放出エネルギーが低いので、原子力発電プラントの全領域にわたって放射線線量率の低減に利用可能となる。
一方、酸素原子O−18を90%含む冷却材を用いることにより、放射性炭素C−15が主に生成されて、原子炉11から主蒸気系17へ移行する蒸気の放射線線量率は、図2の一点鎖線Bに示すように、原子炉11から移行して約40秒経過後において、通常水質の冷却材を用いた場合(図2の破線C)に比べて1/3程度となる。また、酸素原子O−18を50%含む冷却材を用いた場合には、図示しないが、主蒸気系17へ移行する蒸気の放射線線量率は、原子炉11から移行して約60秒経過後において、通常水質の冷却材(図2の破線C)を用いた場合よりも低くなる。このように、放射性炭素C−15は、半減期が短いので、原子炉11から離れた部位の放射線線量率低減に効果があり、特に、原子炉11から離れた部位で遮蔽しにくい箇所がある場合に有益である。
実際には、冷却材中において、酸素原子O−17の存在比が高い冷却材と、酸素原子O−18の存在比が高い冷却材とを適宜混合させて、原子炉11にて発生する蒸気の放射線線量率を通常水質の冷却材の場合に比べて低下させ、且つ、半減期の長い放射性炭素C−14の存在を減少させている。
従って、本実施の形態によれば、次の効果(1)を奏する。
(1)沸騰水型原子炉11内へ流れる冷却材中における酸素原子O−16の含有量を減少させることから、この酸素原子O−16が、原子炉11内で中性子と核反応することにより生成される放射性窒素N−16を減少できる。この放射性窒素N−16が高エネルギーのガンマ線を放出するので、この放射性窒素N−16の減少により、原子炉11内で発生した蒸気が導かれるタービン系17の放射線線量率を低減することができる。
[B]第2の実施の形態(図3〜図5)
図3は、本発明に係るタービン系の放射線線量率低減装置における一実施形態を示す系統図である。この第2の実施の形態において、前記第1の実施の形態と同様な部分は、同一の符号を付して説明を簡略化し、または省略する。
本実施の形態のタービン系の放射線線量率低減装置30は、主蒸気系17への放射性核種(例えば放射性炭素C−14、C−15)の移行を低減するものであり、放射線線量率測定装置としての放射線モニタ31、薬剤注入手段としての薬液注入系32、水素注入手段としての水素注入系33、及び制御手段としての制御装置34を有して構成される。これらの薬液注入系32及び水素注入系33は、炭酸ガス化阻止材注入手段として機能し、後述の如く薬液注入系32が冷却材に注入する薬液と、水素注入系33が冷却材に注入する水素が炭酸ガス化阻止材である。
薬液注入系32は、注入ポンプ35の起動により薬液タンク36内の薬液を、原子炉11へ導かれる冷却材、例えば再循環系(インターナルポンプであっては残留熱除去系等の循環系)20を流れる冷却材中へ注入して、冷却材のpHをアルカリ側に調整するものである。冷却材をアルカリ側にpH調整することで、冷却材中の酸素原子O−17、O−18から核反応によりそれぞれ生成される放射性炭素C−14、C−15の化学形態は炭酸イオンとなり、冷却材に溶解して、主蒸気系17への移行が低減される。
つまり、タービン系18への放射性炭素C−14または放射性炭素C−15の移行の形態は、気体である炭酸ガスCOであり、これを下記化学式のごとく、溶解性(不揮発性)である炭酸イオン(HCO やCO 2−)に解離して冷却材に溶解させることにより、主蒸気系17への移行を低減させる方法である。炭酸ガスの解離は溶液のpHに依存し、アルカリ側で溶解が増加する。
[化4]
CO +HO → HCO + H (pH高で右に移行)
HCO → CO 2− + H (pH高で右に移行)
冷却材のpHをアルカリ側にコントロールすることにより、放射性炭素C−14及びC−15は冷却材中に炭酸イオンの形態で溶解し、主蒸気系17へ移行しにくくなって、タービン系18の放射線線量率が低減することになる。
実際、図4に示すように、冷却材のpHをアルカリ側に制御することによって、主蒸気系17へ移行する炭酸ガスの移行量は、pH=8.5の場合が、pH=7の場合に比べて1/10以下となり、この結果、放射性炭素C−14及びC−15のタービン系18の移行量が低減される。
また、水素注入系33は、水素注入コントローラ37の制御により、例えば給水系19を流れる冷却材に水素を注入するものである。冷却材に水素を注入することで、冷却材中の酸素原子O−17、O−18から核反応によりそれぞれ生成される放射性炭素C−14、C−15の化学形態がメタノールなどの炭化水素化合物となり、主蒸気系17への移行量が低減される。
これは、冷却材中の水素濃度を増加させて、この冷却材中の酸素や過酸化水素を低減させることにより炭素の酸化反応が防止され、これにより、放射性炭素C−14及びC−15が、炭酸ガスに比較して蒸気への移行量が少ないメタノールなどの炭化水素化合物の化学形態になるからである。
実際、図5に示すように、水素注入による形態変化によって炭酸ガスの生成量が減少し、炭酸ガスの移行量は、水素注入した冷却材(HWC)の場合が、水素注入しない通常水質の冷却材(NWC)の場合の1/2程度となっている。この結果、放射性炭素C−14、C−15が炭酸ガスの化学形態となってタービン系18へ移行する移行量が低減される。
図3に示すように、放射線モニタ31は、主蒸気系17またはタービン系18(本実施の形態では主蒸気系17)に設置されて、タービン系18へ導かれる蒸気の放射線線量率を測定するものである。この放射線モニタ31による測定信号は、制御装置34へ送信される。
制御装置34は、放射線モニタ31にて測定された蒸気の放射線線量率に基づいて、薬液注入系32、水素注入系33へそれぞれ制御信号38、39を出力し、薬液注入系32から冷却材中へ注入する薬液注入量と、水素注入系33から冷却材中へ注入する水素注入量とをそれぞれ制御する。この制御により、冷却材の水質がオンラインでコントロールされ、放射性炭素C−14、C−15が炭酸ガスの化学形態で主蒸気系17へ移行する移行量が低減されて、タービン系18へ導かれる蒸気の放射性線量率は、目標値以下に自動調整される。
従って、本実施の形態によれば、前記第1の実施の形態の効果(1)と同様な効果を奏するほか、次の効果(2)を奏する。
(2)原子炉11へ導かれる冷却材に薬液注入系32から薬液が注入されて冷却材のpHがアルカリ側に調整され、また、水素注入系33から冷却材中へ水素が注入されることから、冷却材中の放射性炭素C−14及びC−15は、大部分が炭酸イオンの化学形態または炭化水素化合物の化学形態となり、炭酸ガスの化学形態で蒸気と共にタービン系18へ移行する移行量を減少できる。この結果、特に高エネルギーのガンマ線を放出する放射性炭素C−15を低減させることで、タービン系18の放射線線量率を低減できる。
尚、本実施の形態においては、薬液注入系32及び水素注入系33がともに設置されているものを述べたが、これら薬液注入系32と水素注入系33のいずれか一方が設置されているものでもよい。
[C]第3の実施の形態(図6)
図6は、本発明に係るタービン系の放射線線量率低減装置における他の実施形態が適用された原子炉を示す概略断面図である。この第3の実施の形態において、前記第1の実施の形態と同様な部分は、同一の符号を付して説明を簡略化し、または省略する。
本実施の形態のタービン系の放射線線量率低減装置40は、原子炉11内で核反応により生成された短半減期の放射性核種、特に放射性炭素C−15が原子炉圧力容器12内に滞在する時間を増加させて、主蒸気系17への移行量を低減させるための技術である。放射性炭素C−15は、炭酸ガスの化学形態となって、原子炉圧力容器12内で蒸気と共に移動する。従って、タービン系の放射線線量率低減装置40では、原子炉圧力容器12の上部ドーム41の拡張、炉内構造物への捕獲材42の設置、及び原子炉圧力容器12内への障害部材としての邪魔板43の設置が実施されている。これらの上部ドーム41、捕獲材42及び邪魔板43は、放射性核種、特に放射性炭素C−15が原子炉圧力容器12内に滞在する滞在時間を増加させる滞在時間増加手段として機能する。
つまり、原子炉圧力容器の上部ドーム41は、原子炉圧力容器12内での蒸気及び炭酸ガスの滞在時間を増加させるべく、内部空間が拡張して設けられている。例えば、上部ドーム41の内部空間は、通常の上部ドームに比べて容積が50%程度増加して設けられ、これにより、原子炉圧力容器12内での蒸気及び炭酸ガスの滞在時間を2〜3秒程度増加させることが可能となる。
このように、蒸気及び炭酸ガスの滞在時間が2〜3秒程度増加することにより、放射性窒素C−15は、半減期が2.49秒と放射性窒素N−16の半減期7.13秒よりも短いことから、十分に減衰することになる。これにより、原子炉圧力容器12の主蒸気ノズル16での蒸気の放射線線量率は、上部ドームの内部空間が拡張されていない場合に比べて1/2程度に低減される。
また、炭酸ガスを捕獲する捕獲材42は、原子炉圧力容器12の上方に位置する気水分離器14や蒸気乾燥器15等、原子炉圧力容器12上部の蒸気及び炭酸ガスが通過する部位に配置された炉内構造物に取り付けられ、またはコーティングされる。本実施の形態では、捕獲材42は蒸気乾燥器15に設置されている。この捕獲材42は、例えばモレキュラシーブやゼオライト等が好適である。
この場合には、半減期の短い放射性炭素C−15は、炭酸ガスの化学形態となって原子炉圧力容器12内を蒸気と共に移動するとき、捕獲材42によって捕獲または捕捉されることになる。放射性炭素C−15は、半減期が2.49秒と非常に短いことから、捕獲材42に一時的に捕獲された場合にも十分に減衰する。これにより、原子炉圧力容器12の主蒸気ノズル16での蒸気の放射線線量率が低減される。
また、邪魔板43は、原子炉圧力容器12の上方における蒸気通路に設置され、例えば蒸気乾燥器15の上部外周に配置される。この場合、炭酸ガスの化学形態の放射性炭素C−15は、蒸気と共に邪魔板43によってその移動が妨げられ、原子炉圧力容器12内に滞在する時間が増加する。この放射性炭素C−15は、半減期が非常に短いことから、原子炉圧力容器12内での滞在時間が増加することにより十分に減衰する。これにより、原子炉圧力容器12の主蒸気ノズル16における蒸気の放射線線量率が低減される。
従って、本実施の形態によれば、前記第1の実施の形態の効果(1)と同様な効果を奏するほか、次の効果(3)を奏する。
(3)原子炉圧力容器12における上部ドーム41の内部空間が拡張され、また原子炉圧力容器12内の例えば蒸気乾燥器15に炭酸ガスの捕獲材42が設置され、また原子炉圧力容器12内の蒸気通路に邪魔板43が設置されたことから、炭酸ガスの化学形態となった放射性炭素C−15を原子炉圧力容器12内に滞在させる滞在時間が増加するので、半減期の非常に短い放射性炭素C−15をこの間に減衰させることができる。この結果、タービン系18へ移行する放射性炭素C−15の移行量が減少して、タービン系18の放射性線量率を低減することができる。
尚、本実施の形態では、内部空間が拡張された上部ドーム41、蒸気乾燥器15に設置された捕獲材42、蒸気乾燥器15の周囲に設置された邪魔板43の全てが設けられるものを述べたが、これらのうちの少なくとも一つが設けられているものでもよい。
本発明に係るタービン系の放射線線量率低減方法における一実施形態を適用する沸騰水型原子力発電プラントを概略して示す系統図。 図1の原子炉へ供給される各種冷却材について、原子炉にて発生した蒸気が主蒸気系へ移行してからの当該蒸気の放射線線量率の変化を示すグラフ。 本発明に係るタービン系の放射線線量率低減装置における一実施形態を示す系統図。 図1の原子炉へ供給されるpHの異なる冷却材について、原子炉にて発生する炭酸ガスの主蒸気系への移行量を示すグラフ。 図1の原子炉へ供給される水素注入量の異なる冷却材について、原子炉にて発生する炭酸ガスの主蒸気系への移行量を示すグラフ。 本発明に係るタービン系の放射線線量率低減装置における他の実施形態が適用された原子炉を示す概略断面図。
符号の説明
10 沸騰水型原子力発電プラント
11 原子炉
12 原子炉圧力容器
13 炉心
15 蒸気乾燥器(炉内構造物)
17 主蒸気系
18 タービン系
19 給水系
20 再循環系
30 タービン系の放射線線量率低減装置
31 放射線モニタ(放射線線量率測定手段)
32 薬液注入系(薬剤注入手段)
33 水素注入系(水素注入手段)
34 制御装置(制御手段)
40 タービン系の放射線線量率低減装置
41 上部ドーム(滞在時間増加手段)
42 捕獲材(滞在時間増加手段)
43 邪魔板(滞在時間増加手段、障害部材)

Claims (13)

  1. 沸騰水型原子炉内へ流れる冷却材中における酸素原子の同位元素の割合を変化させて、放射性窒素N−16の標的核となる酸素原子O−16の含有量を減少させることを特徴とするタービン系の放射線線量率低減方法。
  2. 前記冷却材は、酸素原子O−16及びO−18の含有量を減少させて、酸素原子O−17の存在比を高めることを特徴とする請求項1に記載のタービン系の放射線線量率低減方法。
  3. 前記冷却材は、酸素原子O−16及びO−17の含有量を減少させて、酸素原子O−18の存在比を高めることを特徴とする請求項1に記載のタービン系の放射線線量率低減方法。
  4. 前記冷却材のpHをアルカリ側に制御して、酸素原子O−17、O−18からそれぞれ生成される放射性炭素C−14、C−15の化学形態を炭酸イオンにし、前記冷却材中に溶解させることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のタービン系の放射線線量率低減方法。
  5. 前記冷却材に水素を注入して、酸素原子O−17、O−18からそれぞれ生成される放射性炭素C−14、C−15の化学形態を、炭化水素化合物にすることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のタービン系の放射線線量率低減方法。
  6. 沸騰水型原子力発電プラントにおけるタービン系へ導かれる蒸気の放射線線量率を測定する放射線線量率測定手段と、
    原子炉へ導かれる冷却材に、当該冷却材中の放射性炭素が炭酸ガスになることを阻止する炭酸ガス化阻止材を注入する炭酸ガス化阻止材注入手段と、
    前記放射線線量率測定手段にて測定された放射線線量率に基づき、前記炭酸ガス化阻止材注入手段から注入する炭酸ガス化阻止材量を制御して、前記タービン系へ導かれる蒸気の放射線線量率を目標値以下に調整する制御手段と、を有することを特徴とするタービン系の放射線線量率低減装置。
  7. 前記炭酸ガス化阻止材注入手段は、原子炉へ導かれる冷却材に、当該冷却材のpHを調整するための薬剤を炭酸ガス化阻止材として注入する薬剤注入手段であることを特徴とする請求項6に記載のタービン系の放射線線量率低減装置。
  8. 前記炭酸ガス化阻止材注入手段は、原子炉へ導かれる冷却材に、炭酸ガス化阻止材としての水素を注入する水素注入手段であることを特徴とする請求項6に記載のタービン系の放射線線量率低減装置。
  9. 前記炭酸ガス化阻止材注入手段は、原子炉へ導かれる冷却材に、当該冷却材のpHを調整するための薬剤を炭酸ガス化阻止材として注入する薬剤注入手段と、
    原子炉へ導かれる冷却材に、炭酸ガス化阻止材としての水素を注入する水素注入手段と、であることを特徴とする請求項6に記載のタービン系の放射線線量率低減装置。
  10. 沸騰水型原子力発電プラントにおける原子炉内で短半減期の放射性核種が核反応により生成され、この放射性核種のタービン系への移行を低減するために、
    前記原子炉を構成する原子炉圧力容器に、当該原子炉圧力容器内で蒸気と共に移動する前記放射性核種の滞在時間を増加させる滞在時間増加手段が設置されたことを特徴とするタービン系の放射線線量率低減装置。
  11. 前記滞在時間増加手段は、内部空間が拡張して構成された原子炉圧力容器の上部ドームであることを特徴とする請求項10に記載のタービン系の放射線線量率低減装置。
  12. 前記滞在時間増加手段は、原子炉圧力容器の上方に位置する炉内構造物に具備されて、放射性核種を捕獲する捕獲材であることを特徴とする請求項10に記載のタービン系の放射線線量率低減装置。
  13. 前記滞在時間増加手段は、原子炉圧力容器内の蒸気通路に配設されて、放射性核種の移動を妨げる障害部材であることを特徴とする請求項10に記載のタービン系の放射線線量率低減装置。
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