JP2009108628A - 舗装体の表面処理材、骨材離脱防止用水性樹脂分散体及び舗装体の施工方法 - Google Patents

舗装体の表面処理材、骨材離脱防止用水性樹脂分散体及び舗装体の施工方法 Download PDF

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賢 大道
Takeshi Kosasa
剛 小佐々
Mitsuru Doi
満 土井
Shin Shimazaki
伸 嶋崎
Ryuichi Fujita
龍一 藤田
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Abstract

【課題】ポーラスアスファルト舗装等における骨材の舗装体からの剥がれ防止技術を提供する。
【解決手段】水性樹脂の分散体として、分子中に少なくとも1個のカルボニル基を有するカルボニル基含有エチレン性不飽和単量体を含む単量体組成物を重合して得られる水溶性高分子を保護コロイドに用いて、エチレン性不飽和単量体を乳化重合して得られる水性樹脂分散体に、pH7未満の条件下、分子中に少なくとも2個のヒドラジド基を有するヒドラジド基含有化合物を添加して得られる物質を、排水性アスファルト層30の上面の表層40に表面処理材として使用することで、骨材の飛散を効果的に防止する。
【選択図】図1

Description

本発明は路面等の舗装体の表面処理材に関し、特に排水性トップコート工法、ニート工法等の工法に適用して有用な技術に関するものである。
従来、排水性舗装としてのポーラスアスファルト舗装では、その骨材飛散が大きな問題となっている。かかる骨材飛散防止対策としては、例えば、排水性トップコート工法が採用されている。かかる排水性トップコート工法は、排水性舗装の表面にある種の特殊な樹脂を表面処理材として散布して強固な被膜を形成させ、排水機能を維持したまま、骨材飛散を防止するものである。
また、骨材の飛散防止という観点からは、アスファルト舗装体等の舗装表面に、表面処理材としてある種の特殊な樹脂でセラミック等の骨材を飛散しないように接着し、車両のタイヤ等と路面の摩擦抵抗をあげてスリップ等の事故を減らすために採用されるニート工法も挙げられる。
かかる排水性トップコート工法に関しては、例えば、特許文献1に記載の如く、道路基盤層上のアスファルト層上等に積層された多孔の排水性アスファルト混合物層に対して、その表層部に、メタクリレート樹脂又は/及びアクリレート樹脂の未硬化剤を主剤とする液状混合物を所定塗布量で塗布することが開示されている。
また、特許文献2に、舗装表面を薄い皮膜で覆い、機能性材料を接着して機能を付加するとともに、舗装体を補強して開粒度型の舗装における空隙づまりの問題を解決すべく、ポリエポキシ化合物等からなる水系樹脂液を使用することが記載されている。
一方、特許文献3には、例えば、線路の飛石防止用固着剤、路面標示用塗料等に使用できる水性樹脂分散体として、分子中に少なくとも1個のカルボニル基を有するカルボニル基含有エチレン性不飽和単量体を含む単量体組成物を重合して得られる水溶性高分子(A)を保護コロイドに用いて、エチレン性不飽和単量体を乳化重合して得られる水性樹脂分散体(B)に、pH7未満の条件下、分子中に少なくとも2個のヒドラジド基を有するヒドラジド基含有化合物を添加して得られる物質が開示されている。
特許第2913865号公報 特開2000−328505号公報 特開2006−348219号公報
上記の如く、ポーラスアスファルト等の舗装体からの骨材離脱による骨材飛散防止対策としては、排水性トップコート工法が広く採用されているが、しかし、幾つかの問題が指摘されている。例えば、排水性トップコートで使用される飛散防止用の樹脂の散布には、大型機械を必要とし、小面積の施工等には不向きである点、あるいは、施工には熟練技術者が必要である等の点が指摘がされていた。
また、ニート工法では、例えば、スリップ防止のために骨材を路面表面に接着しているが、しかし、かかる骨材が剥がれた場合には、その剥がれた骨材が飛散すると共に、逆に剥がれた骨材が路面に落ちてスリップを助長することとなり、問題となることが指摘されている。
本発明の目的は、ポーラスアスファルト舗装等における骨材の舗装体からの剥がれ防止等を図る技術を提供することにある。
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
すなわち、本発明者は、上記観点からの技術開発を行うなか、表面処理材としての樹脂に、水性樹脂の分散体として、分子中に少なくとも1個のカルボニル基を有するカルボニル基含有エチレン性不飽和単量体を含む単量体組成物を重合して得られる水溶性高分子(A)を保護コロイドに用いて、エチレン性不飽和単量体を乳化重合して得られる水性樹脂分散体(B)に、pH7未満の条件下、分子中に少なくとも2個のヒドラジド基を有するヒドラジド基含有化合物を添加して得られる物質を使用することにより、上記問題点が解決できることを見出した。
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
すなわち、本願発明は、水性樹脂の分散体として、分子中に少なくとも1個のカルボニル基を有するカルボニル基含有エチレン性不飽和単量体を含む単量体組成物を重合して得られる水溶性高分子(A)を保護コロイドに用いて、エチレン性不飽和単量体を乳化重合して得られる水性樹脂分散体(B)に、pH7未満の条件下、分子中に少なくとも2個のヒドラジド基を有するヒドラジド基含有化合物を添加して得られる物質を表面処理材として使用するもので、強い接着力を確保して骨材等の剥がれ飛散を防止し、また水等で適宜散布条件に合わせて表面処理材の粘度等の調整を自由に行い、且つ大型機械を使用することなく熟練技術者でなくても容易に取り扱って、さらに施工期間の短縮を図ることができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
本発明は、排水性舗装であるポーラスアスファルト舗装等の舗装体表面に特定の表面処理材を散布することで、舗装体表面側の骨材を強力に舗装体側に接着して、骨材の剥がれ、飛散を抑制、防止する技術である。表面処理材として使用する樹脂には、水、水溶液等で希釈等が自由に行え、粘度調整が容易で、施工性が向上する水性樹脂の分散体を用いる。
かかる水性樹脂の分散体としては、例えば、分子中に少なくとも1個のカルボニル基を有するカルボニル基含有エチレン性不飽和単量体を含む単量体組成物を重合して得られる水溶性高分子(A)を保護コロイドに用いて、エチレン性不飽和単量体を乳化重合して得られる水性樹脂分散体(B)に、pH7未満の条件下、分子中に少なくとも2個のヒドラジド基を有するヒドラジド基含有化合物を添加して得られる物質を使用する。
かかる物質は、(A)に占めるカルボニル基含有エチレン性不飽和単量体の固形分量が30〜100重量%のものが使用できる。さらに、水溶性高分子(A)の重量平均分子量が10000〜300000であるものが好適に使用できる。さらには、水性樹脂分散体(b)に占める水溶性高分子(A)の固形分分量が、5〜50重量%であるものを好適に使用できる。このように形成された水性樹脂分散体(B)には、上記のヒドラジド基含有化合物は、水性樹脂分散体(B)に含まれるカルボニル基1モルに対して、ヒドラジド基が0.1〜1.2モルとなるように添加されているものである。
かかる上記記載の(A)、(B)を含む水性樹脂の分散体としては、例えば、昭和高分子株式会社製のポリゾール OLZ−1670として特定することができ、架橋反応によるゲル化システムを応用した(メタ)アクリル酸エステル共重合体を主成分とする水系ゲル化バインダを使用することができる。架橋剤には、KBX−0533を使用すればよい。
因みに、ポリゾール OLZ−1670の特性は、外観が乳白色エマルジョンで、不揮発分(%)が35.5〜37.5で、粘度(mPa・s)が2000〜7000、pHが5.0〜6.0、Tg(℃)計算値が−10、MFT(℃)は0である。架橋剤のKBX−0533は、外観が無色透明で、不揮発分(%)が5〜4、粘度(mPa・s)が約1、pHが約6である。測定条件は、不揮発分(105℃×1hr)、粘度(23℃、BH型粘度系、10rpm)で行った。
さらには、かかる記載の水性樹脂分散体の一例は、日進化成株式会社から商品名ポーラスコート・ライトとして2液性の形で市販される予定で、入手することもできる。
水溶性高分子(A)は、分子中に少なくとも1個のカルボニル基を有するカルボニル基含有エチレン性不飽和単量体を含む単量体組成物をラジカル重合して得られるものである。ラジカル重合反応は、好ましくは60〜130℃、より好ましくは70〜90℃の温度で行われる。この重合で得られる水溶性高分子(A)の重量平均分子量は、次工程の乳化重合においてより安定な水性樹脂分散体(B)を得る観点から、10,000〜300,000であることが好ましく、30,000〜200,000であることがさらに好ましい。水溶性高分子(A)の分子量を調整する際は、連鎖移動剤を用いてもかまわない。このような連鎖移動剤としては、例えば、n−ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン、n−ブチルメルカプタン、2−エチルヘキシルチオグリコレート、β−メルカプトプロピオン酸等が挙げられる。
水溶性高分子(A)の重合に使用するカルボニル基含有エチレン性不飽和単量体としては、例えば、アクロレイン、ジアセトンアクリルアミド、ジアセトンメタクリルアミド、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソブチルケトン、アクリルオキシアルキルプロパナール類、メタクリルオキシアルキルプロパナール類、ジアセトンアクリレート、ジアセトンメタクリレート、アセトニトリルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレートアセチルアセテート、ブタンジオールアクリレートアセチルアセテート等が挙げられ、これらを単独でまたは二種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、他のエチレン性不飽和単量体との反応性に富み、さらに架橋剤であるヒドラジド基との反応性も良好であるジアセトンアクリルアミド、ジアセトンメタクリルアミドが好ましい。ただし、ここでいうカルボニル基含有エチレン性不飽和単量体には、カルボン酸やエステル類の持つカルボニル基を有するエチレン性不飽和単量体は含まれない。
ここで、最終的に得られる水性樹脂分散体の架橋速度および耐水性をより向上させる観点から、前記の如く、水溶性高分子(A)に占めるカルボニル基含有エチレン性不飽和単量体の固形分量は、30〜100重量%であることが好ましく、40〜80重量%であることがさらに好ましい。
また、上記水溶性高分子(A)を重合する際、本発明の効果を損なわない範囲で、上記カルボニル基含有エチレン性不飽和単量体以外の単量体を併用することができる。このような単量体としては、少なくとも1個の重合可能なビニル基を有し、上記カルボニル基含有不飽和単量体と共重合可能なものであれば特に限定されるものではなく、例えば、直鎖状、分岐鎖状もしくは環状のアルキル鎖を有する(メタ)アクリル酸エステル類、芳香族ビニル化合物(スチレン、α−メチルスチレン、エチルビニルベンゼン等)、複素環式ビニル化合物(ビニルピロリドン等)、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、グリコールジ(メタ)アクリレート、アルキルアミノ(メタ)アクリレート、ビニルエステル類(蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、アルカン酸ビニル等)、モノオレフィン類(エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等)、共役ジオレフィン類(ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等)、α,β−不飽和モノあるいはジカルボン酸(アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸等)、カルボキシル基含有ビニル化合物、シアン化ビニル化合物(アクリロニトリル、メタクリロニトリル等)、アミド基もしくは置換アミド基含有α,β−エチレン性不飽和化合物((メタ)アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等)、スルホン酸基含有α,β−エチレン性不飽和化合物(スルホン酸アリル、p−スチレンスルホン酸ナトリウム等)が挙げられる。より具体的には、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、メチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、アクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミドが挙げられる。これらの中でも、アクリルアミド、メタクリルアミドをカルボニル基含有エチレン性不飽和単量体と併用することで、速乾性をより向上させることができる。
また、ラジカル重合時の媒体としては、水単独、水溶性溶媒もしくは親水性溶剤と水との混合物、または水溶性溶剤もしくは親水性溶剤単独等が挙げられる。水溶性溶剤または親水性溶剤を多く用いる場合は、溶液重合終了後、官能基を中和することで水溶性高分子(A)が得られる。水溶性または親水性溶剤としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、アミルアルコール、イソアミルアルコール、エチレングリコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられ、これらを1種単独でまたは2種以上の混合物として用いることができる。重合開始剤としては、過硫酸カリウムや過硫酸アンモニウムに代表される過硫酸塩系開始剤、アゾ系開始剤、有機過酸化物類、過酸化水素等の公知の水溶性触媒、または2,2−アゾビス−イソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキシド等の油溶性触媒を用いて行われる。なお、必要に応じて還元剤を使用してもよい。
また、本発明における水性樹脂分散体(B)は、上記水溶性高分子(A)を保護コロイドに用いて、エチレン性不飽和単量体を乳化重合することで得られる。乳化重合反応は、好ましくは50〜90℃、より好ましくは60〜85℃の温度で行われる。なお、水性樹脂分散体(B)を乳化重合する際、必要に応じて連鎖移動剤を使用してもよい。このような連鎖移動剤としては、例えば、n−ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン、n−ブチルメルカプタン、2−エチルヘキシルチオグリコレ―ト、β−メルカプトプロピオン酸等が挙げられる。
水性樹脂分散体(B)の乳化重合に使用するエチレン性不飽和単量体としては、少なくとも1個の重合可能なビニル基を有するものであれば特に限定されるものではなく、例えば、直鎖状、分岐鎖状もしくは環状のアルキル鎖を有する(メタ)アクリル酸エステル類、芳香族ビニル化合物(スチレン、α−メチルスチレン、エチルビニルベンゼン等)、複素環式ビニル化合物(ビニルピロリドン等)、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、グリコールジ(メタ)アクリレート、アルキルアミノ(メタ)アクリレート、ビニルエステル類(蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、アルカン酸ビニル等)、モノオレフィン類(エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等)、共役ジオレフィン類(ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等)、α,β−不飽和モノあるいはジカルボン酸(アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸等)、カルボキシル基含有ビニル化合物、シアン化ビニル化合物(アクリロニトリル、メタクリロニトリル等)、アミド基もしくは置換アミド基含有α,β−エチレン性不飽和化合物((メタ)アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等)、スルホン酸基含有α,β−エチレン性不飽和化合物(スルホン酸アリル、p−スチレンスルホン酸ナトリウム等)が挙げられ、これらを1種単独でまたは2種以上の混合物として用いることができる。より具体的には、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、スチレンが挙げられる。これらの中でも、乳化重合時の重合安定性、最終的に得られる水性樹脂分散体の速乾性をより向上させる観点から、メチルメタクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレートを用いることが好ましい。
乳化重合時の安定性、得られる水性樹脂分散体(B)の安定性、最終的に得られる水性樹脂分散体の耐水性および架橋速度(速乾性)等を考慮すると、水溶性樹脂分散体(B)に占める水溶性高分子(A)の固形分量は、5〜50重量%であることが好ましく、10〜30重量%であることがより好ましい。
また、水性樹脂分散体(B)を乳化重合する際、重合安定性等の問題が生じた場合には、本発明の効果を損なわない範囲で、市販のアニオン性、カチオン性、ノニオン性、反応性乳化剤を併用してもよい。必要に応じて、架橋性エチレン性不飽和単量体を用いてもよい。このような架橋性エチレン性不飽和単量体としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリート等のエポキシ基含有エチレン性不飽和単量体、γ―メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の加水分解性アルコキシシリル基含有エチレン性不飽和単量体、ジビニルベンゼンやジアリルフタレート等の多官能ビニル化合物等が挙げられる。
乳化重合する際に用いる重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド等の水溶性アゾ系開始剤、クメンヒドロパーオキシド等の有機過酸化物類、過酸化水素等が挙げられ、これらを1種単独でまたは2種以上の混合物として用いることができる。また、必要に応じて、還元剤を使用することもできる。このような還元剤としては、アスコルビン酸、酒石酸、クエン酸、ホルムアルデヒドスルホキシラート金属塩等の還元性有機化合物、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム等の還元性無機化合物等が挙げられる。
このようにして得られた水性樹脂分散体(B)に、pH7未満の条件下で、分子中に少なくとも2個のヒドラジド基を有するヒドラジド基含有化合物を添加することが必要である。カルボニル基とヒドラジド基の架橋反応は、pHが酸性サイドで容易に進行するが、pHが7以上、特にpHが8以上では架橋反応速度が急激に低下するため、十分な速乾性が得られない。最終的に得られる水性樹脂分散体の速乾性とポットライフとのバランスを考慮すると、分子中に少なくとも2個のヒドラジド基を有するヒドラジド基含有化合物は、pH2〜6の条件下で添加されることが好ましい。水性樹脂分散体(B)のpH調整は、酸または塩基を添加することで行うことができる。ここで使用する酸としては、酢酸、乳酸、塩酸、燐酸、硫酸等が挙げられ、塩基としては、トリエチルアミン、アンモニア、ジエタノールアミン等のアミン化合物、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属水酸化物が挙げられる。最終的に得られる水溶性樹脂分散体の耐水性を考慮すると、酸、塩基ともに揮発性のものが好ましい。さらに、必要に応じて、増粘剤、消泡剤、顔料、分散剤、防腐剤、可塑剤、成膜助剤等を添加することができる。
水性樹脂分散体(B)に添加されるヒドラジド基含有化合物としては、ポリヒドラジド化合物、ポリセミカルバジド化合物等が挙げられる。より具体的には、蓚酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、グルタン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド等の飽和脂肪酸カルボン酸ジヒドラジド、イタコン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等のジカルボン酸ジヒドラジド類、クエン酸トリヒドラジド等のトリカルボン酸トリヒドラジド類等が挙げられる。これらの中でも、架橋体の耐水性をより向上させる観点から、アジピン酸ジヒドラジドが好ましい。このヒドラジド基含有化合物は、最終的に得られる水性樹脂分散体速乾性および耐水性をより向上させる観点から、水性樹脂分散体(B)に含まれるカルボニル基1モルに対して、ヒドラジド基が0.1〜1.2モルとなるように添加することが好ましく、0.6〜1.0モルとなるように添加することがさらに好ましい。
かかる構成の特定の樹脂をバインダとして本発明にかかる表面処理材に用いることで、舗装体表面の骨材の離脱による剥がれ飛散を、従来よりも効果的に防止することができる。また施工に際しても、水等で適宜散布条件に合わせて表面処理材の粘度等の調整が自由に行え、種々の施工条件の要請に臨機応変に対応できる。また、施工に際しては、路面を一時交通遮断することとなるが、かかる交通遮断の時間的制約も、その乾燥が早いために、従来より施工時の規制時間の短縮を図ることができる。さらには、散布に際しては、大型機械を使用することなく熟練技術者でなくても容易に取り扱える容易さも得られる。
排水性舗装は、例えば、図1(a)示すように、路盤10の上に、アスファルトコンクリート層からなる基層20が積層され、基層20の上に排水性アスファルト層30が積層された路面構造等のように構成されている。さらに、排水性アスファルト層30の上に、本発明に係る表面処理材を用いた表層40が積層されている。
かかる表層40は、詳細には、図2に示すように、排水性アスファルト層30の表面側を表層40ならびに骨材50で覆って、排水性アスファルト層30から骨材60が離脱して剥がれ、飛散されないように固着している。骨材50は、舗装体表面のすべり抵抗性を付与さすために使用している。かかる表層40は、排水性アスファルト層30の表面に硬化膜を形成し、排水性アスファルト層30間に形成された間隙70を埋めることがない。そのため、降水時等には、路面表面に降った雨は、表面処理材に覆われた骨材60間の間隙70に入り込み、路面に雨水が溜まることなく、路面の効果的な排水が行われる。
また、図1(b)のように、排水性アスファルト層30の下に、アスファルトコンクリート層からなる基層20設けることなく、路盤10に直接積層する構成も考えられる。かかる構成を採用することにより、路面に降水した雨水を路盤10側に透水させることができる。
かかる排水性アスファルト舗装では、骨材60の離脱を防止する表層40には、表面処理材として、従来は、MMA樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂が使用されていた。
例えば、MMA樹脂は、排水性トップコート舗装で主に使用されている表面処理材であるが、しかし、アスファルトコンクリート舗設直後の温度が高い状態では、硬化不良を起こすため、アスファルトコンクリート舗設後に十分に温度が低下した状態でなければ散布することができない。通常は、図3に示すように、母体であるアスファルトコンクリート(アスコンと略称する場合もある)舗設翌日以降に表層40の施工を行っていた。
因みに、図3には、従来の排水性トップコート工法の抱える問題点と、本発明にかかる課題検討のコンセプトを、表形式で示した。
上記のように、表層40をアスファルトコンクリートの舗設後の翌日以降に施工する場合には、再度、交通遮断等の規制を行わなければならず、道路交通を用いた流通における大きな経済的、時間的損失等の影響がある。
一方、エポキシ樹脂についてはエマルジョン化することで、その作業性の向上を図った骨材飛散防止工法が開発され、実際にも適用されている。しかし、エポキシ樹脂は、基本的には、硬化に際して熱が必要で、舗装体の温度が低い場合には、その適用が図れなかった。
さらには、比較的に取り扱いが容易な1液性のウレタン樹脂では、その多くは、有機溶剤を含有しているため、その使用は舗装体への施工の周囲環境、全体環境への影響が懸念される。
そこで、本発明者は、舗装体の表面処理材として使用される樹脂ではなくても、その他の用途で使われる種々の樹脂を試験して、その適正が舗装体の上記改善に用いられるかどうか検証することが必要と考えた。その結果、図4にその概略性状を示した(メタ)アクリル酸エステル類の乳化重合物に硬化剤としてヒジドラド基含有水溶液を用いたエマルジョン(以後MMA樹脂エマルジョンと略す)が、極めて有効であることを初めて見いだした。
かかるMMA樹脂エマルジョンは、有機溶剤を使用することなく、水(水溶液)で粘度の調節が自在に可能であり、極めて作業性を向上させ得る。さらには、無臭であるため、施工環境の周囲への影響もない。
尚、図5には、樹脂の乾燥性と耐水性との観点からみた各種樹脂と本発明に係わる表面処理材で使用するMMA樹脂エマルジョンとの比較を示した。
試料の作成は、締め固め度、締め固め温度を変化させ、さらに表面処理材を用いた表層の有無で、3種の試験方法を比較した。試験方法は、例えば、ねじれ試験、ラベリング試験、カンタブロ試験を用いた。因みに、ねじれ試験は第25回日本道路会議(報文番号09206)で報告されている試験方法を採用した。また、ラベリング試験、カンタブロ試験も、それぞれ舗装調査・試験法便覧(社団法人 日本道路協会発刊)で規格されている試験方法を採用した。
ねじれ試験で使用した試料は、前述の如く、締固め温度ならびに締固め度を変化させ30cm×30cm×5cm角に形成したものを用いた。ラベリング試験では15cm×40cm×5cm角の供試体を、カンタブロ試験では直径10.16cm、高さ6.35cmの円柱状の供試体を締固め温度ならびに締固め度を変化させ作成した。かかる各試験方法に基づく評価試験の結果を、図6に示した。結果は、図6に示すように、ラベリング試験、カンタブロ試験では、測定誤差が大きく評価することができなかった。そこで、ねじれ試験を採用することが、本発明に係る表面処理材の有効性の確認評価には最適と判断した。
以降、試験はねじれ試験を用いて行うこととした。例えば、適正な散布量を試算するために、後記する実施例1でその詳細を述べる図7を、上記ねじれ試験により求めた。また、骨材の飛散予防の効果については、図8に示すように、やはりねじれ試験を用いて行った。
骨材の飛散予防防止効果については、図8に示すように、表面処理材によるトップコート無し、すなわち表層40の無い状態と、MMA樹脂エマルジョンを表面処理材に使用した本発明に係わる場合と、さらに参照としてポーラスアスファルト舗装用高耐久型ポリマー改質アスファルト(締め固め度100%、以下高耐久型と称す)とで、飛散骨材の沈下量を測定した。
結果は、図8にも示すように、トップコート無しの場合には、飛散骨材量が極めて多く90分程度で測定不能の状態になった。一方、MMA樹脂エマルジョンを施した本発明に係る場合には、120分後の飛散骨材の沈下量は約3mmまで減少しており、本発明にかかるMMA樹脂エマルジョンを表面処理材として使用することの有効性が確認された。また、かかるMMA樹脂エマルジョンを使用する本発明に係る表面処理材の使用は、参照として示した高耐久型にほぼ匹敵する飛散骨材の沈下量を示し、高耐久型に比べても遜色ないことが判明した。
このように、MMA樹脂エマルジョンを表面処理材として使用することにより、密度が不足しやすく、骨材飛散が生じやすいコールドジョイント部等の骨材飛散抵抗性を向上させ得ることが確認された。本発明に用いた水性樹脂の分散体の混合液は、低粘度であり、且つ、その粘度調整が水または水溶液で行えるため極めて容易に取り扱える。このようにして極めて簡単に調整できる表面処理材は、例えば、ジョウロのような簡易な散水器を用いることができ、特段に専門的な知識も必要とせずに施工できる特長がある。
さらには、乾燥性が良好で、無臭であるため、施工周辺等の環境への影響も心配がない。且つ、舗設直後の施工が行えるため、表面処理材施工に基づき別途の交通遮断等の規制は必要なく、舗装の一連の規制範囲内で養生を終了させることができる。
MMA樹脂エマルジョンを表面処理材として使用した場合の施工手順は、例えば、図9に示すようになる。すなわち、ステップS10で、下地のアスファルトコンクリートの施工を開始する前に、表面処理材が付着してはいけない箇所等にガムテープ等でマスキングする。ステップS20で、二次転圧後、路面温度が70℃以下に下がっていることを確認する。ステップS30で、表面処理材として使用する2液性のMMA樹脂エマルジョンの主材と、硬化剤とを、予め設定しておいた所定割合で混合する。かかる混合液は、使用時間があるため、混合後20分以内で使い切るようにする。
次に、ステップS40で、表面処理材を散布機で散布する。かかる散布に際しては、適用箇所に応じて、例えば0.4kg/m2以上、1.0kg/m2以下の割合で散布すればよい。ステップS50で、表面処理材の散布後、直ちに骨材を0.3kg/m2以上、0.5kg/m2以下の割合で散布する。ステップS60で、表面処理材を散布した箇所のタックが消失するまで養生を行う。ステップS70でマスキングの除去を行い、ステップS80で路面温度が50℃を下回っていることを確認して、規制解除を行い通行可能とすればよい。
MMA樹脂エマルジョンの散布については、散布前と散布後のすべり抵抗性(BPN)、現場透水量(ml/15sec)は、図10(a)に示すようになる。また、散布に際しては、表面処理材としてのMMA樹脂エマルジョンは、図10(b)に示すような標準使用量の骨材と併用するようにすればよい。かかる散布に際しては、例えば、小規模施工範囲と、中規模以上の施工範囲とに分けて、図10(c)に示す散布機を適宜に選択して使用すればよい。
MMA樹脂エマルジョンの標準仕様(樹脂0.5kg/m2、骨材0.3kg/m2)時の振子式すべり抵抗試験器による測定結果を、図11に示した。Dryは乾燥状態で、Wetは湿潤状態を示している。車道においては、湿潤状態で60以上が必要とされているが、骨材を散布した供試体は湿潤状態においても60以上を示している。
以上は、本発明に係る表面処理材を、排水性トップコート工法に関連して説明したが、例えば、前記したように、ニート工法でも同様に使用できる。例えば、ニート工法は、図12(a)に示すように、路盤10の上に積層したアスファルトコンクリート層からなる基層20の表面に、エポキシ樹脂やMMA樹脂などの熱硬化性樹脂41aからなる表層41を設け、かかる表層41により骨材51を舗装体表面から離脱して剥がれないようにして表面に固着された骨材51によるスリップ等を防止する目的で行う工法である。
また、かかるニート工法では、図12(b)に示すように、路盤10の上に密粒度アスファルト層31を設け、その密粒度アスファルト層31上に表層41を設け、舗装体表面に骨材51を固着させ、市販の舗装着色用塗料42aを塗布し、骨材51に任意の着色を行う方法も有る。ただ、図12(c)に示したように、ニート工法では接着面積の少ない骨材52が必ず生じ、交通に供用すると、接着面積が少ない故に、脱落を生じ、これが浮き石となって、単車などのスリップ事故を生じる場合がある。また、先述の市販の舗装着色用塗料42aを塗布して表層42を形成しても、この骨材51の離脱を防止することはできない。
かかる表層42を形成するために用いられる表面処理材として、表層40を構成するために用いたものを使用することができる。すなわち、例えば、MMA樹脂エマルジョンを使用することができる。より広くは、例えば、分子中に少なくとも1個のカルボニル基を有するカルボニル基含有エチレン性不飽和単量体を含む単量体組成物を重合して得られる水溶性高分子(A)を保護コロイドに用いて、エチレン性不飽和単量体を乳化重合して得られる水性樹脂分散体(B)に、pH7未満の条件下、分子中に少なくとも2個のヒドラジド基を有するヒドラジド基含有化合物を添加して得られる物質が使用できる。
かかる物質としては、(A)に占めるカルボニル基含有エチレン性不飽和単量体の固形分量が30〜100重量%のものが使用できる。さらに、水溶性高分子(A)の重量平均分子量が10000〜300000であるものが好適に使用できる。さらには、水性樹脂分散体(b)に占める水溶性高分子(A)の固形分分量が、5〜50重量%であるものを好適に使用できる。このように形成された水性樹脂分散体(B)には、上記のヒドラジド基含有化合物は、水性樹脂分散体(B)に含まれるカルボニル基1モルに対して、ヒドラジド基が0.1〜1.2モルとなるように添加されているものである。
かかる記載の(A)、(B)を含む水性樹脂の分散体としては、例えば、昭和高分子社製のポリゾール OLZ−1670と呼ばれる、架橋反応によるゲル化システムを応用した(メタ)アクリル酸エステル共重合体を主成分とする水系ゲル化バインダを使用することができる。架橋剤には、KBX−0533を使用すればよい。
(実施例1)
本実施例では、例えば、MMA樹脂エマルジョンを表面処理材として用いた場合の排水性トップコート工法で、表層を形成する場合の表面処理材の適切な散布量を求めた。
表面処理材の散布量は、上記ねじれ試験を用いた図7等の結果からも分かるように、0.5kg/m2以上、0.75kg/m2未満が好ましいと判断した。図7には示していないが、より広くは0.4kg/m2以上でも使用可能であることが分かった。さらに、上限は、安全性をみてより好ましくは0.6kg/m2以下であればよい。しかし、多少のダレがでる場合もあるが、後記するように支障の無い範囲内であれば使用可能であり、その意味では、図7に示していないが、最大散布量を1.0kg/m2以下と見積もることも可能であることが分かった。
散布量が、例えば、0.25kg/m2では、骨材の飛散量が大きく、散布効果が認められなかった。0.5kg/m2散布すれば、骨材の飛散に基づく沈下量は確実に減少することが分かった。
一方、0.75kg/m2散布した場合には、試料の底面側に表面処理材のダレが認められ、過剰散布の状態であることが分かった。さらには、飛散骨材の沈下量も、0.5kg/m2の場合と大差がないため、最適な表面処理材の散布量は、上記の如く、判断した。ただ、ジョウロのような簡易な散水器を用いて樹脂を散布する場合には、散布斑を生じやすく、より多く散布する必要が有る。この場合は0.6kg/m2以上、1.0kg/m2以下の散布量が好ましい。
かかるMMA樹脂エマルジョンを使用した表面処理材の散布に関しては、図13、14に示すような沈降量が測定された。図14は、図13に示すような条件で、MMA樹脂エマルジョン、排水性アスファルト(ブランク)、MMA樹脂系トップコート(商品名ポーラスコート)について、ねじれ沈降量を示したものである。
(実施例2)
本実施例では、例えば、ニート工法で、本発明に係る表面処理材のMMA樹脂エマルジョンを使用した場合について、トップコートとして市販の溶剤系道路着色剤(製品名:ロードカラー)とを用いた場合とを比較した。
すなわち、300mm×300mm×50mmの密粒度アスファルト混合物に、MMA樹脂を1.6kg/m2層厚で表層を形成し、その後に硬質骨材(粒度2.0〜3.3mm、および1.0〜2.0mm)を6.5kg/m2散布した。骨材の散布後、余剰骨材を取り除き試料とした。トップコート材は、カップガンで硬質骨材粒径2.0〜3.3mmの場合は0.5kg/m2、1.0〜2.0mmの場合は2.5kg/m2散布した。
かかる構成の各試料に対して、第26回日本道路会議(報文番号12001)で報告されている、ホイールトラッキング試験機を用いて試料表面に車輪を所定回数通過(トラバース走行)させ、骨材の脱落量の測定を行って、骨材の脱落抵抗性を評価する方法で耐久性を比較した。試験温度は、60℃にて行った。その結果を、図15に示すように、トラバース走行回数0、100、200、400、800、1600、3200、6400、12800、25600回行った場合について、累積骨材の脱落量を求めた。図15に基づいて、図16に示すグラフを作成した。
図16からも明瞭に確認できるように、MMA樹脂エマルジョンを表面処理材に使用した場合には、骨材の脱落量が極めて小さいことが分かる。すなわち、MMA樹脂エマルジョンを表面処理材として使用すると、ニート工法でも、従来のMMA樹脂等を使用した場合に比べて、骨材の脱落を低く抑え、路面表面でのスリップ防止に効果的であることが判明した。硬質骨材粒径が2.0〜3.3mmの場合は、散布量が0.5kg/m2、好ましくは0.4kg/m2以上、0.6kg/m2以下である。硬質骨材粒径が1.0〜2.0mmの場合は0.25kg/m2、好ましくは0.2kg/m2以上、0.4kg/m2以下がよい。
すなわち、ニート工法だけであれば、MMA樹脂エマルジョンの散布量は0.2kg/m2以上、0.6kg/m2以下であり、排水性トップコート工法だけてあれば0.25kg/m2以上、1.0kg/m2以下あればよい。表面処理材としてのMMA樹脂エマルジョンの散布量としては、双方の工法を含めた場合には、0.2kg/m2以上、1.0kg/m2以下、が適正な量となる。
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態、実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態等に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
本発明は、道路等の排水性舗装等における表面処理材の分野で有効に使用することができる。
(a)、(b)は、排水性トップコート工法を適用する舗装体の積層構造を模式的に示す断面図である。 排水性舗装における表層のより詳細な概略構成を模式的に示す説明図である。 排水性トップコート工法の抱える問題点と本発明に係わる開発ポイントを表形式で示した説明図である。 本発明に係る表面処理材の性状の一例を表形式で示す説明図である。 排水性トップコート工法における従来と本発明とに係る表面処理材の乾燥性等を表形式で比較して示す説明図である。 本発明に係る表面処理材の評価試験の適正を表形式で示す説明図である。 本発明に係る表面処理材の散布量の違いによるねじれ試験の結果をグラフ形式で示す説明図である。 本発明に係る表面処理材の使用効果をねじれ試験の結果でグラフ形式で示す説明図である。 本発明に係る表面処理材を用いて排水性トップコート工法の処理手順を示す施工フロー図である。 (a)は本発明に係る表面処理材の散布前後の特性比較を、(b)は本発明に係る表面処理材等の標準使用量を、(c)は本発明に係る表面処理材の施工機器を、それぞれ表形式で示す説明図である。 MMA樹脂エマルジョン標準仕様でのすべり抵抗の結果を表形式で示す説明図である。 (a)、(b)はニート工法を適用する舗装体の積層構造を、(c)は舗装体におけるニート工法の問題点を、それぞれ模式的に示す断面図である。 排水性トップコート工法における本発明に係る表面処理材と従来使用例の比較を表形式で示した説明図である。 図13に基づき、本発明に係る表面処理材と、従来使用例の比較をグラフ形式で示す説明図である。 ニート工法における本発明に係る表面処理材と従来使用例の比較を表形式で示す説明図である。 図15に基づき、本発明に係る表面処理材と、従来使用例の比較をグラフ形式で示す説明図である。
符号の説明
10 路盤
20 基層
30 排水性アスファルト層
31 密粒度アスファルト層
40 表層
41 表層
41a 熱硬化性樹脂
42 表層
42a 舗装着色用塗料
50 骨材
51 骨材
52 骨材
60 骨材
70 間隙

Claims (10)

  1. 舗装体からの骨材離脱を防止するために使用する表面処理材であって、
    前記表面処理材は、分子中に少なくとも1個のカルボニル基を有するカルボニル基含有エチレン性不飽和単量体を含む単量体組成物を重合して得られる水溶性高分子を保護コロイドに用いて、エチレン性不飽和単量体を乳化重合して得られる水性樹脂分散体に、pH7未満の条件下、分子中に少なくとも2個のヒドラジド基を有するヒドラジド基含有化合物を添加して得られる水性樹脂分散体を有することを特徴とする舗装体の表面処理材。
  2. 請求項1記載の舗装体の表面処理材において、
    前記水溶性高分子は(メタ)アクリル酸エステル類で、前記ヒドラジド基含有化合物はヒドラジド水溶液であることを特徴とする舗装体の表面処理材。
  3. 請求項1または2記載の舗装体の表面処理材において、
    前記(メタ)アクリル酸エステル類は、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体であることを特徴とする舗装体の表面処理材。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の舗装体の表面処理材において、
    前記舗装体は、車両が通過する道路であることを特徴とする舗装体の表面処理材。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の舗装体の表面処理材において、
    前記舗装体は、排水性トップコート工法が適用されていることを特徴とする舗装体の表面処理材。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の舗装体の表面処理材において、
    前記舗装体は、ニート工法が適用されていることを特徴とする舗装体の表面処理材。
  7. 水性樹脂分散体の使用方法であって、
    前記水性樹脂分散体は、分子中に少なくとも1個のカルボニル基を有するカルボニル基含有エチレン性不飽和単量体を含む単量体組成物を重合して得られる水溶性高分子(A)を保護コロイドに用いて、エチレン性不飽和単量体を乳化重合して得られる水性樹脂分散体(B)に、pH7未満の条件下、分子中に少なくとも2個のヒドラジド基を有するヒドラジド基含有化合物を添加して得られ、
    且つ、前記水性樹脂分散体は、前記水性樹脂分散体を使用しない場合に比べて、前記舗装体からの骨材離脱を防止することを特徴とする骨材離脱防止用水性樹脂分散体。
  8. 舗装体の施工方法であって、
    前記舗装体の表面に、分子中に少なくとも1個のカルボニル基を有するカルボニル基含有エチレン性不飽和単量体を含む単量体組成物を重合して得られる水溶性高分子(A)を保護コロイドに用いて、エチレン性不飽和単量体を乳化重合して得られる水性樹脂分散体(B)に、pH7未満の条件下、分子中に少なくとも2個のヒドラジド基を有するヒドラジド基含有化合物を添加して得られる水性樹脂分散体を使用する工程を有することを特徴とする舗装体の施工方法。
  9. 請求項8記載の舗装体の施工方法において、
    前記水性樹脂分散体は、前記水性樹脂分散体を使用しない場合と比べて、前記舗装体からの骨材離脱を防止していることを特徴とする舗装体の施工方法。
  10. 請求項9記載の舗装体の施工方法において、
    前記舗装体の表面に、前記水性樹脂分散体が0.2kg/m2以上、1.0kg/m2以下の範囲で散布されることを特徴とする舗装体の施工方法。
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