JP2009108439A - 伸度差混繊糸の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】発色性、ソフト性、ふくらみ感に優れた布帛を提供し得るポリエステル収縮差混繊糸を工程安定的かつ低コストの製造方法を提供する。
【解決手段】伸度差を有する2種類以上の糸条を同一口金1から吐出して巻き取る紡糸混繊糸の製造方法であって、高伸度糸がポリエステルを鞘部に、ポリスチレンを芯部に配した芯鞘構造を有し、低伸度糸がポリエステル単独糸より成る下記1.及び2.の要件を具備するポリエステル収縮差混繊糸の製造方法。1.ポリスチレンのメルトマスフローレイトMFRが3.5〜10.0g/10分2.高伸度糸中のポリスチレン複合量Cps[wt%]とMFR[g/10分]の比、Cps/MFRが2.0〜3.5
【選択図】図1

Description

本発明は発色性、ソフト性、ふくらみ感に優れた布帛を提供し得るポリエステル収縮差混繊糸を工程安定的かつ低コストで提供する製造方法に関するものである。
ポリエステルは機械的特性をはじめ種々の優れた特性を有しているため、衣料用途、産業用資材用途など様々な分野で利用されている。とりわけ衣料用途では天然繊維をターゲットとした品質の改良が行われてきており、特にふくらみ、ソフト感のある風合いの実現のための手段として熱収縮特性の異なる繊維を混繊する、いわゆる収縮差混繊糸が広く用いられている。
例えば、特許文献1や特許文献2では、自発伸長糸や低収縮糸を別々に製造した後、高収縮糸と後混繊する方法が開示されており、風合いの良好な混繊糸が得られると記されている。しかしながら、これらはいずれも弛緩熱処理や接触式の低張力熱処理により自発伸長糸や低収縮糸を得るものであって、糸加工速度が遅く極低張力で糸が熱処理されるために、断糸や毛羽が多発し易く極めて生産効率の悪いものであった。加えて後混繊による工程数の増加もあり、高コストとなることが避けられないものであった。
一方、混繊糸の製造コストを抑制する方法としては、特許文献3に低収縮糸と高収縮糸を紡糸段階で混繊する紡糸混繊方法が開示されている。該文献によると低収縮成分としてホモポリエチレンテレフタレート、高収縮成分としてイソフタル酸(以下IPAと略す)と2・2ビス{4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}プロパン(以下BHPPと略す)を共重合したポリエステルを同一口金から吐出する混繊紡糸を行い、未延伸糸を一旦巻き取った後に延伸し、収縮差混繊糸とする方法が示されている。この方法では紡糸一発で混繊できるため、低収縮糸と高収縮糸を別々に製造した後に混繊する後混繊法に比べて大幅なコストダウンが可能となった。しかし低収縮糸側も高収縮糸側と同じ延伸倍率、すなわち糸の伸度がいずれも30〜45%程度まで高倍率延伸されるため、布帛とした際、ふくらみ感、ソフト感が不充分なものしか得られなかった。こうした課題を改善するには、IPA、BHPPの共重合量を増加させることによって、高収縮糸側の収縮率を向上させ、低収縮糸側との糸長差を強制的に発現させ、ふくらみ感を得ることもできる。しかし、この方法では布帛中で高収縮糸が過度に収縮するために、得られる布帛は目の詰まった粗硬感が強いものとなるのが常であった。
また、特許文献4では配向度差を有する2種類以上の糸条を同時に紡糸した未延伸配向度差紡糸混繊糸を特定の低倍率で延伸する方法が提案されている。この方法を採用すれば、低収縮糸側が乾熱収縮率0%以下である自発伸長糸を含む収縮差混繊糸が得られ、収縮差の拡大によって優れたふくらみ感、ソフト感を有する布帛が得られる。しかしながら、延伸工程の熱セットホットローラー上で自発伸長糸が伸びることによって糸条走行状態が不安定となるため、毛羽やタルミ、断糸が増加し収率低下を誘発する。更には、巻き取ったパッケージ上に自発伸長糸によるループが多数発生するため、パッケージからの糸解舒性が著しく低下する等の問題があった。これは、配向度差のある未延伸糸を同時延伸することにより自発伸長糸を含む収縮差混繊糸を得る方法では避けられない問題であった。
より簡略な工程でふくらみ、ソフト感を提供し得る原糸を製造する方法としては、特許文献5に自発伸長糸を利用して紡糸混繊糸を製造する方法が開示されている。これによると、高伸度糸側のフィラメントを芯鞘構造とし、芯部にポリエステルよりも伸長粘度の温度依存性が高いポリマーを配することで自発伸長糸を成し、低伸度糸と口金混繊することにより収縮差混繊糸としている。しかるにこの方法では、芯部に用いるポリマーの溶融粘度と流量のバランスが悪く、紡糸に際して口金孔詰まりや紡糸パック内の泡抜け性が不良となり細糸が発生し易いほか、芯鞘複合異常や吐出斑によって毛羽や断糸が頻発するため、工程安定性に欠け、工業的に収率の満足するものではなかった。更に高次加工においては、製糸段階にて発生した毛羽やループに起因して、解舒不良や加工糸切れが誘発され、高次通過性にも劣るものであった。
特開平4−352836号公報(特許請求の範囲) 特開平2−293410号公報(特許請求の範囲) 特開平2−19528号公報(特許請求の範囲) 特開平11−222745号公報(特許請求の範囲) 特開2001−3234号公報(特許請求の範囲)
本発明は上記の課題が解決され、発色性、ソフト性、ふくらみ感に優れた布帛を提供し得るポリエステル収縮差混繊糸を工程安定的かつ低コストで提供する製造方法に関するものである。
本発明の課題は、伸度差を有する2種類以上の糸条を同一口金から吐出して巻き取る紡糸混繊糸の製造方法であって、高伸度糸がポリエステルを鞘部に、ポリスチレンを芯部に配した芯鞘構造を有し、低伸度糸がポリエステル単独糸より成る(1)〜(2)の要件を具備することを特徴とするポリエステル収縮差混繊糸の製造方法。
(1)ポリスチレンのメルトマスフローレイト(MFR)が3.5〜10.0g/10分
(2)高伸度糸中のポリスチレン複合量Cps(wt%)とMFR(g/10分)の比、Cps/MFRが2.0〜3.5
本発明によれば、従来技術では成し得なかった優れた工程通過性と低コスト性を具備し、発色性、ソフト性、ふくらみ感に優れた布帛を提供できるポリエステル収縮差混繊糸の製造方法を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明でいう高伸度糸の鞘部および低伸度糸に用いるポリエステルとは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレンテレフタレート(PPT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等が挙げられるが、PETが最も汎用的であり好ましい。また、ジオール成分および酸成分の一部が各々15mol%以下の範囲で他の共重合可能な成分で置換されたものであってもよい。共重合成分がポリエチレングリコール(PEG)の場合は、共重合比は10wt%以下であることが好ましい。また、これらは他ポリマー、艶消剤、難燃剤、帯電防止剤、顔料などの添加物を含有していても良い。例えば、カチオン可染性や高発色性、鮮明性が求められる用途では、金属スルホネート基を有する構成単位を共重合した改質ポリエステルを用いると有効であり、加えて易染性が求められる場合にはPEGを共重合すると好ましい染色特性が得られる。
また、高伸度糸に用いるポリエステルが内部粒子形成剤を含んでいると、形成された内部粒子が繊維内部で光を乱反射し、シルク様の美しい光沢が得られ好ましい。内部粒子形成剤としては酢酸ナトリウム、酢酸カルシウム等のアルカリ金属あるいはアルカリ土類金属の弱酸塩が挙げられるが、酢酸カルシウムが最も好ましく、内部粒子形成剤の含有量はポリエステルに対し0.01〜0.10wt%であることが好ましい。なお、本発明で言う内部粒子とは、添加された内部粒子形成剤とポリエステルまたはそれに含まれるオリゴマーや不純物が複合体を形成し、ポリエステル中に析出した微粒子のことを言うものである。そして形成される内部粒子の大きさは、ポリエステルを溶融状態で顕微鏡観察した時、平均径として0.01〜5μm程度であることが好ましい。
本発明では、まず紡糸混繊法により伸度差混繊糸とすることが工程の簡略化、低コスト化の点から最も重要であるが、本発明で伸度差混繊糸とは、繊維の伸度が異なる2種類以上の糸条群からなる混繊糸のことを意味する。本発明では、伸度差混繊糸は2群あるいはそれ以上多数の糸条群からなる混繊糸であるが、2群でも充分な効果を奏するので2群で以下説明する。3群以上の場合は、最も伸度の高い糸条と最も伸度の低い糸条で置き換えて考えればよい。
紡糸混繊法により伸度差混繊糸を得る方法としては、高伸度糸として芯部にポリスチレン、鞘部にポリエステルを配した芯鞘複合糸とし、低伸度糸としてポリエステル単独糸を用いることが重要である。ポリエステルにポリスチレンを複合することによって、ポリエステルの伸度を飛躍的に増加させられるのである。また、芯ポリマーとして採用するポリスチレンは、ポリエステルに比べ耐熱性に劣るため、ポリスチレンが繊維表面に露出しないよう芯鞘複合糸とすることが重要である。形態としては同心円でも偏心でも良いが、同心円の方が複合安定性の点から好ましい。なお、ポリスチレンを芯鞘複合糸でなくポリエステルとのポリマーブレンド糸としても高伸度化効果は得られるが、ポリスチレンの低耐熱性により、延伸や糸加工時に融着が発生したり、染色した際のくすみとして布帛欠点になる等の問題が発生してしまう他、ブレンド斑による物性斑を生じやすく好ましくない。
ここで、本発明で使用するポリスチレンのメルトマスフローレート(MFR)は3.5〜10.0g/10分とすることが重要である。MFRが3.5g/10分以上の流動性の高いポリスチレンを使用することで、紡糸時の口金孔詰まりや複合異常、吐出斑といった問題を回避でき、毛羽や断糸の少ない異収縮混繊糸を工程安定的に製造することが可能となる。また、MFRを10.0g/10分以下とすることで、ポリエステルと複合した際の伸度アップ効果を保ち、かつ良好な延伸性を得ることが可能となる。より好ましいMFRの範囲は4.0〜9.0である。更に、ポリスチレンの複合量は、高伸度糸中のポリスチレン複合量Cps(wt%)をポリスチレンのMFR(g/10分)で割返した数値にして、2.0〜3.5であることが重要である。該数値を2.0以上とすることにより、鞘成分であるポリエステルに対して十分な伸度アップ効果を与えることができ、布帛とした際に優れたソフト感、ふくらみ感を発揮できる異収縮混繊糸と成すことが可能となる。一方で上限は3.5以下とすることが重要である。これはポリエステルに比べてポリスチレンの剛直性の高いこと、引張強度が低いことに由来する。ポリスチレンの複合量を過度に増加させると高伸度糸の曲げ剛性が増加するため、粗剛感が増してソフト風合いが損なわれるのに加え、引張強度の低いポリスチレン成分が延伸時の張力に耐えきれず、高伸度糸中で部分断裂するため、毛羽や断糸が著しく悪化する。よって、該数値は2.0〜3.5とすることが重要であり、より好ましくは2.3〜3.0である。特に断面形状を三葉型や星型などの異形とする場合は2.5〜2.8とすると、アルカリ減量により鞘部ポリエステルが部分除去された後も、ポリスチレンが繊維表面に露出するのを抑制できるため、品質トラブルを回避することができ好ましい。
一方、低伸度糸としては、ホモポリエステルを採用することも可能であるが、IPAやBHPP、5−ナトリウムスルホイソフタル酸(SSIA)等を共重合した高収縮ポリエステルとすると、延伸後の収縮率差が一層大きくなり布帛にした際、ふくらみ感、ソフト感がさらに向上し好ましい。また、PPTやPBTを用いるとさらにストレッチ性が加わるため好ましい。
伸度度差混繊糸において、高伸度糸と低伸度糸の伸度差が大きい方が、延伸後に低収縮糸と高収縮糸の収縮率差が大きくなり、布帛にした際ふくらみ感、ソフト感が増すため好ましい。高伸度糸と低伸度糸の伸度差は延伸上がりにおいて10%以上、好ましくは15%以上である。一方で高伸度糸と低伸度糸の伸度差が過度に大きいと、延伸後のリラックス巻き取りにおいて収縮率差に起因したタルミやループが発生し易くなるため、伸度差は50%以下、より好ましくは40%以下であると極めて品質、品位の高い収縮差混繊糸を得やすい。
次に、本発明の収縮差混繊糸の好ましい製造方法について述べる。
本発明の収縮差混繊糸は、公知のいずれの溶融紡糸方法においても製造可能であるが、繊維長手方向での品質安定性、生産安定性を考慮すると、直接紡糸延伸法(以下、DSD法と称する)による生産が最も優れている。なお、延伸は一段延伸でも、多段延伸でも良く、紡糸と延伸を同時に行って巻き取るDSD法でも、未延伸糸とを一旦巻き取った後に延伸する2工程法でも良い。
本発明の収縮差混繊糸を製糸するにあたり、紡糸速度は2500〜4000m/分が好ましい。紡糸速度が2500m/分以上であれば、糸の繊維構造を十分発達させられるために延伸段階での断糸を低減できる。また、4000m/分以下であれば、紡糸過張力による糸道ガイド等との擦過、糸摩耗を抑制できるため、毛羽の少ない高品位の製品が得られるほか、糸摩耗起因の断糸を抑制でき生産収率を高めることができる。ここで言う紡糸速度とは、口金より紡出された糸条が初めてタッチするロールの周速度のことを指し、つまりは第1引き取りロールの周速度を指す(ワインダーでの巻き取り速度ではない)。
また、高伸度糸と低伸度糸の紡糸ドラフト率の比、つまり[高伸度糸の紡糸ドラフト率DR(H)]/[低伸度糸の紡糸ドラフト率:DR(L)]の値が0.8〜2.0とすると優れた製糸安定性を得やすく好ましい。より好ましい範囲は0.9〜1.5である。ここで言う紡糸ドラフト率とは、第1ロールの周速度(m/分)を各糸条成分の口金吐出線速度(m/分)で割り返した値であり、例えば吐出線速度が10m/分の高伸度糸と、15m/分の低伸度糸を周速度3000m/分の第1ロールで引き取ったとすると、DR(H)=300、DR(L)=200となり、高伸度糸と低伸度糸の紡糸ドラフト比DR(H)/DR(L)=1.5となる。
このようにして紡出された未延伸伸度差混繊糸を低収縮糸と高収縮糸の収縮率差が大きい、布帛のふくらみ感、ソフト感を向上させた収縮差混繊糸(延伸糸)とするためには、以下の方法にて延伸すると優れた風合いと工程安定性を両立でき好ましい。すなわち、低収縮糸(高伸度糸)の収縮率を充分に低下させ、低伸度糸(高収縮糸)の収縮応力、強伸度特性を高いレベルで調和させるにためは、延伸倍率は低伸度糸の残留伸度が30〜40%となる倍率に設定すると好ましい。延伸温度、熱セット温度は、高伸度糸、低伸度糸の鞘成分に用いるポリエステル種や、延伸機の種類に応じて適宜設定可能であるが、とりわけ延伸温度を85〜110℃、より好ましくは90〜105℃とすると糸斑の少ない製品を得やすく、熱セット温度は110〜140℃、より好ましくは115〜135℃とすると、配向非晶分子鎖の固定が十分にでき低収縮化を図ることができるうえ、糸条走行状態が安定して断糸の少ない高品質の製品を高収率で得やすい。ここで言う延伸温度とは延伸前の予熱ロールの温度を意味し、熱セット温度とは延伸完了後に繊維構造を熱固定させるための熱ロール、熱板などの加熱付与体の温度を意味する。
さらに、低収縮糸が沸騰水収縮率>乾熱収縮率であると、精練から次工程である中間セット(乾熱緊張処理)で低収縮糸が伸びることを意味し、布帛拘束中でも高収縮糸との糸長差を発現しやすく好ましい。低収縮糸がこの特性を有することにより、乾熱収縮率≦0%の自発伸長糸でなくとも自発伸長糸同等の効果を得ることができるのである。
本発明では糸断面形状は、収縮差混繊糸の鞘糸となる低収縮糸、すなわち高伸度側の糸を三葉断面とするとシルク様の優雅な光沢が得られ好ましい。また六葉断面などの多葉形とするとドライタッチが得られるほか、扁平断面とするとソフト感や深色性効果、遮像性効果が向上する。
本発明により得られる収縮差混繊糸の低収縮糸と高収縮糸の混繊割合は、布帛中での収縮挙動のバランスを考慮すると繊度比率で10/90〜90/10とすることが好ましい。より好ましくは30/70〜70/30である。
単糸繊度範囲については、延伸後の高伸度糸(低収縮糸)は0.5〜3.0dtex、低伸度糸(高収縮糸)は2.0〜6.0dtexとすればパウダータッチでしかも張り腰のある布帛が得られる。
また、本発明による得られる収縮差混繊糸は集束性の点からエア交絡や撚糸が施されていることが好ましい。収縮差混繊糸の交絡度は3〜15とすると、糸に自由度があるため布帛の加工工程でふくらみ感が発現しやすい。通常、後混繊では糸の集束性を得るためには交絡度は50程度の高度の交絡が必要であるが、本発明では紡糸混繊であるため集束性が良好であり、低交絡度でも十分な集束性が得られるのである。エア交絡は紡糸過程で巻き取りまでの間で施すと工程省略となり好ましい。ただし、高度の交絡を施す場合は延伸後行うことも可能である。
延伸装置としては公知のものが使用できる。少なくとも1対のホットローラーを有する延伸機を使用すれば、さらに工程が安定化する。ここでいう1対のホットローラーとは、延伸前の予熱のための第1ホットローラー(1HR)と延伸後の熱セットのための第2ホットローラー(2HR)のことをいうものとする。これに、コールドドローローラー(DR)、多段延伸のためのホットローラーが付属していても差し支えない。なお、予熱および/または熱セットに熱板を使用することも可能であるが、熱板/糸条の擦過により糸切れが発生したり、熱板と糸条のスティックスリップにより糸斑が発生しやすくなるのであるため、ホットローラーを使用することが好ましい。
なお、熱セットのためのホットローラーは梨地表面、鏡面の双方が採用可能であるが、梨地表面であると、延伸時の糸揺れが小さくなり、糸斑がさらに抑制され、また延伸時の糸切れも減少し、鏡面表面であると高収縮糸の収縮応力が向上し、好ましい。
本発明の繊維はブラウス等の薄地用途、スーツ、ジャケット、パンツ、コート等の中厚地用途に好適に用いることができる。
以下、実施例を用いて本発明を詳細に説明する。なお、実施例中の測定方法は以下の方法を用いた。
(1)極限粘度[η]
極限粘度[η]は、次の定義式に基づいて求められる値である。
Figure 2009108439
定義式のηrは、純度98%以上のO−クロロフェノールで溶解したポリエステルの希釈溶液の25℃での粘度を、同一温度で測定した上記溶剤自体の粘度で割った値であり、相対粘度と定義されているものである。また、cは上記溶液100ml中のグラム単位による溶質重量値である。
(2)強度、伸度
JIS L1013(1999)に従い、オリエンテック製テンシロンUCT−100にて測定した。
(3)沸騰水収縮率(BWS)
BWS(%)=[(L−L)/L)]×100
:延伸糸をかせ取りし初荷重0.09cN/dtex(0.10gf/d)下で測定したかせの原長
:Lを測定したかせを実質的に荷重フリーの状態で沸騰水中で15分間処理し、風乾後初荷重0.09cN/dtex(0.10gf/d)下でのかせ長
(4)製品収率
3kg巻の異収縮混繊糸の延伸糸製品を製造するに際し、次式により与えられる収率を3段階にて評価した。合格レベルは○以上である。
(製品収率)=(3kg異収縮混繊延伸糸の製品収量)/(原料ポリマー使用量)
○○:98%以上
○ :95%以上98%未満
× :95%未満
(5)高次通過性
上記(4)項にて得られた収縮差混繊糸に撚り係数2600のS撚りを施し、1kg巻の撚糸とした際の満管率を、以下の3段階にて評価した。
○○:95%以上
○ :90%以上95%未満
× :90%未満
(6)布帛評価
上記(5)項にて得られた撚糸を経糸および緯糸に用い平織りを製織し、98℃で精練を施した。その後180℃で中間セットを行い、常法により10%のアルカリ減量を施した後染色、最終セットを行った。得られた布帛について、ふくらみ感、ソフト感、染色均一性の各々に関し1〜4点の各4段階(点数の高い方が高品質)で官能評価し、総合得点(最高点は12点)を下記の3段階で格付けした。
○○:11点以上
○ :8点以上10点以下
× :7点以下
(7)メルトマスフローレイト(MFR)
ポリスチレンのMFR(g/10分)は、JIS K 7210(1999)に従い測定した。
実施例1
低伸度糸としてIPA7.0mol%およびBHPP4.0mol%を共重合させた極限粘度0.66の酸化チタンを含有しない共重合PET(高収縮PET)を用い、高伸度糸として酢酸カルシウム0.05wt%を内部粒子形成剤として含み、酸化チタンを含まない極限粘度0.63のホモPET(ブライトPET)とMFRが5.5g/10分のポリスチレン(東洋スチレン社製“トーヨースチロール”H−45)を用いた。高収縮PET、ブライトPET、ポリスチレンを、それぞれエクストルーダーを用いて285℃、290℃、250℃にて溶融後、ポンプによる計量を行い、各々、絶対濾過径15μmのステンレス製不織布フィルターを用いて濾過を行った後、紡糸温度290℃にていずれも丸孔の同一口金から吐出させた。この時、共重合PETは単独糸として、ポリスチレンとブライトPETは芯鞘糸として高配向側、低配向側とも同一繊度、同一フィラメント数(50dtex−18フィラメントずつ)の紡糸混繊糸とし、紡糸ドラフト比は1.0とした。また、高伸度側は芯/鞘=ポリスチレン(13wt%)/ブライトPET(87wt%)の芯鞘複合糸と、つまりはCps=13とした。口金から吐出された糸条は図1に示す直接紡糸延伸装置を用い、風温25℃の風を吹き付けて冷却、油剤を付与後、周速度3000m/分、温度95℃の第1ホットネルソンローラー(1HNR)を介し、周速度5400m/分、温度118℃の第2ホットネルソンローラー(2HNR)との間で1.8倍に延伸、熱セット後、インターレース交絡を付与してから5373m/分で巻き取った。得られた収縮差混繊糸は安定的に製糸でき、表1に示す通り優れた製品収率を示した。また、この混繊糸は高次通過性が極めて良く、得られた布帛はふくらみ感、ソフト感、反発感に優れ、さらに染色斑も発生しなせず、更にはシルク様の優雅な光沢を示すものであった。
実施例2、3
MFRが4.0g/10分のポリスチレン(“トーヨースチロール”G320C)を用い、Cpsを各々10、13とした以外は実施例1と同様にて収縮差混繊糸を得た。この混繊糸は表1に示す通り製品収率、工程通過性、布帛風合い共に実施例1と同等のものが得られた。
実施例4、5
MFRが9.0g/10分のポリスチレン(“トーヨースチロール”G210C)を用い、Cpsを各々20、30とした以外は実施例1と同様に製糸して収縮差混繊糸を得た。この混繊糸は布帛風合いのソフト性において実施例1に一歩譲るものであったが、製品収率、工程通過性に優れるものが得られた。
実施例6
低伸度糸として酸化チタンを0.5wt%含有し極限粘度0.65のホモPET(セミダルPET)を用いた以外は、実施例1と同様に製糸して異収縮混繊糸を得た。製品収率、高次通過性は極めて良好であり、得られた布帛は、ふくらみ感で実施例1に一歩譲るものの、曇りガラス様の落ち着いた光沢を有し染色均一性に優れるものが得られた。
実施例7
低伸度糸のポリマーとしてSSIAを2mol%、ポリエチレングリコールを1wt%を共重合し酸化チタンを0.1wt%含む共重合PETを用い、高伸度糸の鞘部ポリマーとしてSSIAを5mol%共重合し、酸化チタンを0.3wt%含む改質PETを用いた以外は、実施例1と同様に製糸して異収縮差混繊糸を得た。この混繊糸は収率、高次通過性で実施例1に一歩譲るものの、得られた布帛は優れた発色性、鮮明性を示し、風合いも良好であった。
実施例8、9
口金を変更し高伸度糸と低伸度糸の紡糸ドラフト倍率を変更した以外は、実施例1と同様にして製糸して異収縮差混繊糸を得た。これらには、微少なループ見られ製品収率面、高次通過性において実施例1に一歩譲るものであったが、得られた布帛はソフト性、ふくらみ感に優れていた。
比較例1
ポリスチレンのMFRを3.1g/10分(“トーヨースチロール”H840)、Cpsを10とした以外は実施例1と同様にして製糸した。ポリスチレンの低流動性に起因した芯鞘複合斑が多発し紡糸段階での断糸が多発したほか、毛羽に起因した解舒不良が発生し高次通過性が低い結果となった。
比較例2
ポリスチレンのMFRが11.0g/10分(“トーヨースチロール”H700)、Cpsを40とした以外は実施例1と同様にして製糸した。紡糸段階で芯鞘糸の毛羽(単糸切れ)が頻発して製品収率が低下した上、毛羽による解舒性不良が発生し高次通過性が劣り、得られた布帛は粗剛感が強く、ソフト感に劣るものであった。
比較例3、4
ポリスチレンのCpsを各々10、20とした以外は実施例1と同様にして製糸し、いずれも製品収率、高次通過性ともに良好な異収縮混繊糸が得られた。しかしながら、布帛風合い評価においては、比較例3は収縮差が小さく、ふくらみ感、ソフト感に乏しいものであり、比較例4は粗剛感が強く、ソフト性が著しく劣るものとなった。
比較例5
口金およびパック構造を変え、高伸度糸を芯鞘複合ではなくポリマーブレンドタイプとした以外は実施例1と同様にして製糸した。このブレンド糸は実施例1に比べ毛羽が増え、高次加工での解舒性不良が発生したほか、得られた布帛にはソフト感に欠け、染色斑が見られる品質の劣るものであった。
Figure 2009108439
製糸工程(直接紡糸延伸法)の一例を示す。
符号の説明
1 口金
2 糸条冷却送風装置
3 油剤付与装置
4 インターレース交絡装置
5 第1ホットロール
6 第2ホットロール
7 コンタクトロール
8 パッケージ
9 低伸度糸(高収縮糸)の糸条
10 高伸度糸(低収縮糸)の糸条
11 高伸度糸と低伸度糸の混繊糸条

Claims (2)

  1. 伸度差を有する2種類以上の糸条を同一口金から吐出して巻き取る紡糸混繊糸の製造方法であって、高伸度糸がポリエステルを鞘部に、ポリスチレンを芯部に配した芯鞘構造を有し、かつ低伸度糸がポリエステル単独糸より成る(1)、(2)の要件を具備することを特徴とするポリエステル収縮差混繊糸の製造方法。
    (1)ポリスチレンのメルトマスフローレイト(MFR)が3.5〜10.0g/10分
    (2)高伸度糸中のポリスチレン複合量Cps(wt%)とMFR(g/10分)の比、Cps/MFRが2.0〜3.5
  2. 高伸度糸の紡糸ドラフト率DR(H)と、低伸度糸の紡糸ドラフト率DR(L)の比、DR(H)/DR(L)が0.8〜2.0であることを特徴とする請求項1記載のポリエステル収縮差混繊糸の製造方法。
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