JP2009107889A - ガラス流路、ガラス製造装置、およびガラス製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】通常、中央付近の流速が大きくなる傾向があるガラス製造装置のガラス流路において、その流速や温度分布を平均化することにより、脈理や失透の発生を低減させ、成形条件の選定が非常に難しい近年の高屈折ガラスあるいは低温軟化ガラスのガラス成形体を、簡単かつ高品質に得るための流路を提供する。さらに、従来のガラスにおいても、簡単かつ短距離での制御を可能とし、装置の小型化が可能な流路を提供する。
【解決手段】溶融ガラス槽に接続され、溶融ガラスを流出させる流路であって、前記流路内にガラス流抵抗部材が配置されており、前記ガラス流抵抗部材は、溶融ガラスの流出方向に垂直な前記流路の断面において前記流路の内壁から重心に向かう放射方向に配置されていることを特徴とする前記流路。
【選択図】図1
【解決手段】溶融ガラス槽に接続され、溶融ガラスを流出させる流路であって、前記流路内にガラス流抵抗部材が配置されており、前記ガラス流抵抗部材は、溶融ガラスの流出方向に垂直な前記流路の断面において前記流路の内壁から重心に向かう放射方向に配置されていることを特徴とする前記流路。
【選択図】図1
Description
本発明は、所定量のガラス成形体製造する技術に関し、特に光学ガラス成形体を製造する技術に関する。
近年、デジタルカメラやプロジェクタなどの光学機器の分野においては、小型化、軽量化が要求され、それに伴い、使用レンズ枚数を減らすことができる非球面レンズの需要が増加している。
通常、光学系を構成するレンズには一般に球面レンズと非球面レンズがある。多くの球面レンズは、ガラス材料をリヒートプレス成形して得られたガラス成形品を研削研磨することによって製造される。一方、非球面レンズは、加熱軟化したプリフォームを、高精度な成形面をもつ金型でプレス成形し、金型の高精度な成形面の形状をプリフォーム材に転写して得る方法、すなわち、精密プレス成形によって製造されることが主流となっている。
精密プレス成形用プリフォームとしては、球形、楕円球又は扁平状ガラス成形体(ガラスゴブ)が使用されることが多いが、これらは、原料ガラスを坩堝等の溶融装置で溶融した後、溶融装置に連結されたノズル等から成形型上に流出させ、板状ガラスや棒状ガラス等に成形し、それらをさらに冷間加工することにより製造することができる。また、近年では、ノズル等の流路から流出する溶融ガラスを、シャーにより切断して、或いは表面張力を利用して分離し、例えばガスを噴出する多孔質型上に流下(滴下)させ、浮上成形させることにより、適当な大きさ及び形状のガラスゴブに調整する技術が用いられる。ただし前者ではシャーによる切断の痕跡がガラスゴブに残ることがあるため、近年ではもっぱら後者が用いられることが多い。
上記のいずれの手段においても、流路からガラスを流出させる場合、そのガラス流の温度、流出量を制御するため、或いは成形の際に生じる脈理、失透等の不良発生を防ぐため、その流路については様々な形状が考案されてきた。近年、高屈折率化等に代表される光学ガラスの改良に伴う液相温度の高温化や粘性の低粘性化、あるいは低温軟化に伴う粘性の低粘性化に対応すべく様々な手法が考案されてきたが、十分には対応し切れていないのが現状である。
特許文献1には、流路本体の径よりも流出口の径を大きくすることにより、例えば流路末端の溶融ガラス流出口をテーパー状に開くことにより、溶融ガラス流を流路流出口により長い時間滞留させ、ガラスの流下のタイミングを遅延制御することができるノズルが記載されている。
特許文献2には、溶融ガラスが溶融装置から流れ始めて、パイプを通過し、流出口から流出する際に、内部に絞りを加えることにより流速分布を一様にさせ、成分が揮発した変質ガラスの滞留を抑え、脈理の発生を防ぐ方法が記載されている。また、絞りによる流量低下を防止するために、絞り部の温度を絞り部以外よりも高温に制御することが記載されている。
特許文献3には、流路の内部に抵抗部材を設けて流路断面の中央を流れるガラス流の流速を低減させ、取得できるガラスゴブの最大重量を増加させる方法が記載されている。
削除
しかし、上記従来の方法は以下のような問題点を有していた。
一般的には、溶融ガラスを、流路を介して溶融槽から流出させ、成形型にて成形する場合には、溶融槽から流出口まで漸次低下させた温度制御を行い、成形に適した温度まで溶融ガラス温度を下げる必要がある。ここで、例えば流出後に、ガラス成分の揮発に由来する脈理が発生することがあるが、この場合には流路制御温度を下げることで対応しなければならない。流路外壁からの放熱によって、ノズル内のガラスの温度は内壁面近傍が低く、流路断面重心付近が高くなる。ガラスは温度が低いほど粘性は高くなるため、流路断面におけるガラスの流速分布は内壁面近傍では低く、流路断面重心付近では高い値を示す。
流路中のガラス流の温度を適正な値とするために、流路壁の温度をフィードバックして制御した場合、流路壁での測定温度は内壁面近傍のガラス温度をほぼ正確に表しているものの、ガラス流中心温度(すなわち流路内の流路断面重心付近を通過するガラス流の温度)とは乖離した低い温度を示す。そのため、液相温度が高いガラスでは、ガラス流中心が揮発を生じない温度に制御しようとすると、流路内壁近傍のガラス温度は結晶を成長する温度、いわゆる失透温度まで低下してしまい、失透の発生を招くことがある。
特許文献1に記載される流路では、流出口がテーパー状に開き内径が大きくなっているため、内壁面とガラス流中心との温度差および流速差が増大し、上述の傾向がより顕著となる。
特許文献2のような絞りを有する流路を使用した場合、ガラス流の流出速度分布の一様化の効果はあるが、流路断面重心付近の高温のガラス流を取り出すことになるため、流出時に揮発由来の脈理を防止することは困難である。揮発を抑えようと制御温度を下げると、直ちに失透発生・成長を生じやすく、これにより絞り部の流路を塞いでしまい、流出そのものが停止しやすい。実施例では、絞りによる流量低下を抑制するために、絞り部の温度を絞り部以外よりも高温に設定しており、近年の高屈折率ガラスの製造に適した方法ではないことが明らかである。
特許文献3に記載される流路は、内部の中央に設けた抵抗部材によって中央部の溶融ガラスの流下速度を遅延させており、流出速度の速度分布の一様化は成されるものの、熱容量の小さい貴金属を主成分とする小さな抵抗部材では、直ちに高温のガラス流中心温度になってしまう。そのため、ガラス流中心温度を下げる効果は得られず、揮発由来の脈理の抑制効果はない。また、特許文献3中の図3のように支持部材を用いて抵抗部材を固定する必要があり、白金等の貴金属を主成分とするガラス流出用流路として加工するのは極めて困難である。また、特許文献3の請求項4にはルツボ底部に複数の流路が設けられ、当該複数の流路の各々の先端部は、互いに連結されることにより一つの流路口を構成していることを特徴としているが、複数流路の各々の中心で高温のガラス流が発生し、流下するガラス流中心温度を低下させる効果は得られない。これらのような複雑な構造を適用すると、ガラスの温度、粘度、濡れ、密度及び液圧に適応するための構造の変更が極めて困難なため、流速や温度分布も複雑化するため、その点においても、より単純な構造が求められていた。
本発明では、通常、中央付近の流速が大きくなる傾向があるガラス流路において、流路断面におけるガラス流の温度分布と流速を平均化することにより、脈理や失透の発生を低減させる。そして、その結果として、成形条件の選定が非常に難しい近年の高屈折ガラスあるいは低温軟化ガラスのガラス成形体を、簡単かつ高品質に得るための流路を提供するものである。さらに、従来のガラスにおいても、簡単かつ短距離での制御を可能とし、装置の小型化が可能な流路を提供することを目的とする。
本発明者は、溶融ガラスの流路内にガラス流抵抗部材を配置し、前記ガラス流抵抗部材を、溶融ガラスの流出方向に垂直な前記流路の断面において前記流路の内壁から重心に向かう放射方向に配置することにより、温度・流速分布を平均化させることに加え、所望の温度・流速分布が得られ、結果として脈理等の不利益を抑えることができることを見出し、上記課題を解決するに至った。
具体的には本発明は以下の構成を有する。
具体的には本発明は以下の構成を有する。
(構成1)
溶融ガラス槽に接続され、溶融ガラスを流出させる流路であって、
前記流路内にガラス流抵抗部材が配置されており、
前記ガラス流抵抗部材は、溶融ガラスの流出方向に垂直な前記流路の断面において前記流路の内壁から重心に向かう放射方向に配置されていることを特徴とする前記流路。
(構成2)
前記ガラス流抵抗部材は、板状部材であり、前記板状部材の溶融ガラスの流出方向に垂直な前記流路の断面に現われる形状が前記板状部材の厚みとなることを特徴とする構成1に記載の前記流路。
(構成3)
前記ガラス流抵抗部材は、螺旋状の板状部材であることを特徴とする構成2に記載の前記流路。
(構成4)
溶融ガラスの流出方向に垂直な流路の断面において、流路断面形状の面積をS1[mm2]、前記板状部材の断面積の総和をS2[mm2]とするとき、S2/S1の値が0.2〜99.5%であることを特徴とする構成1〜4のいずれかに記載の前記流路。
(構成5)
ガラス原料を溶融槽にて溶融し、溶融槽に接続されたノズルを介して溶融ガラス流を成形型へ流出させガラス成形体を成形することを含むガラス成形体の製造方法であって、溶融ガラスを、構成1〜4のいずれかの流路を通過させることにより、溶融ガラスの流出方向に垂直な前記流路断面における、流路内の溶融ガラスの温度分布を平均化させる工程を含む前記製造方法。
(構成6)
ガラス原料を溶融槽にて溶融し、溶融槽に接続されたノズルを介して溶融ガラス流を成形型へ流出させガラス成形体を成形することを含むガラス成形体の製造方法であって、溶融ガラスを、構成1〜4のいずれかの流路を通過させることにより、溶融ガラスの流出方向に垂直な前記流路断面における、流路内の溶融ガラスの流速分布を平均化させる工程を含む前記製造方法。
溶融ガラス槽に接続され、溶融ガラスを流出させる流路であって、
前記流路内にガラス流抵抗部材が配置されており、
前記ガラス流抵抗部材は、溶融ガラスの流出方向に垂直な前記流路の断面において前記流路の内壁から重心に向かう放射方向に配置されていることを特徴とする前記流路。
(構成2)
前記ガラス流抵抗部材は、板状部材であり、前記板状部材の溶融ガラスの流出方向に垂直な前記流路の断面に現われる形状が前記板状部材の厚みとなることを特徴とする構成1に記載の前記流路。
(構成3)
前記ガラス流抵抗部材は、螺旋状の板状部材であることを特徴とする構成2に記載の前記流路。
(構成4)
溶融ガラスの流出方向に垂直な流路の断面において、流路断面形状の面積をS1[mm2]、前記板状部材の断面積の総和をS2[mm2]とするとき、S2/S1の値が0.2〜99.5%であることを特徴とする構成1〜4のいずれかに記載の前記流路。
(構成5)
ガラス原料を溶融槽にて溶融し、溶融槽に接続されたノズルを介して溶融ガラス流を成形型へ流出させガラス成形体を成形することを含むガラス成形体の製造方法であって、溶融ガラスを、構成1〜4のいずれかの流路を通過させることにより、溶融ガラスの流出方向に垂直な前記流路断面における、流路内の溶融ガラスの温度分布を平均化させる工程を含む前記製造方法。
(構成6)
ガラス原料を溶融槽にて溶融し、溶融槽に接続されたノズルを介して溶融ガラス流を成形型へ流出させガラス成形体を成形することを含むガラス成形体の製造方法であって、溶融ガラスを、構成1〜4のいずれかの流路を通過させることにより、溶融ガラスの流出方向に垂直な前記流路断面における、流路内の溶融ガラスの流速分布を平均化させる工程を含む前記製造方法。
以下、本発明の流路について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
本発明において「流路」とは、溶融ガラスを溶融及び/又は保持する溶融槽に接続され、溶融ガラスを型(例えば成形型)に流出させる際の、ガラス流が通過する流路全体及び流出口を含む概念である。つまり、いわゆるパイプ、オリフィス、ノズルを包括する概念である。また、「流路断面」とは流路内の溶融ガラスが流れる空間形状の断面をいい、「流路の断面」とは流路を構成する部材と溶融ガラスが流れる空間形状の断面をいう。
通常、流路の温度制御は流路も種々の方法により行われるが、流路を流れる溶融ガラスの温度分布は、流路断面重心(流路断面が略円形の場合は、流路断面中心)付近が最も高く、そのため流速も大きい。本発明者は、溶融ガラスの流路内にガラス流抵抗部材を配置し、前記ガラス流抵抗部材を、溶融ガラスの流出方向に垂直な前記流路の断面において前記流路の内壁から重心に向かう放射方向に配置することにより、かかる温度分布及び流速の位置によるギャップを緩和しようとするものである。
図1は本発明の流路を表す一例である。図1の流路の断面図に示すように、ガラス流抵抗部材1は流路2の内壁に接し、流路の重心に向かう放射方向に配置されている。流路の断面において、流路断面形状に相似な大小二つの形状の外郭線で囲まれた細い帯状の領域では、流路断面の重心に向かうほど、前記帯状の領域に対するガラス流抵抗部材の断面積比が大となる。従ってガラス流は流路の断面重心付近ほど、ガラス流抵抗部材によるガラス流速低下の効果が大きくなり、その結果流路断面におけるガラス流速分布が平均化されることとなる。また、ガラスの熱はガラス流抵抗部材を伝導し、流路外壁から外界に放熱されるので、流路断面におけるガラス流の熱分布が平均化される事となる。
ガラス流出方向に垂直な流路の断面において、配置されるガラス流抵抗部材の数は1でも良いし、複数あっても良いが、上記の効果は複数あるとより高い効果を得られる。ガラス流抵抗部材の設置法は特に限定されるものではなく、溶接により設置しても良いし、例えば流路内壁に溝を設ける等の加工を施すことにより、はめ込み式にすることもできる。
ガラス流出方向に垂直な流路の断面において、配置されるガラス流抵抗部材の数は1でも良いし、複数あっても良いが、上記の効果は複数あるとより高い効果を得られる。ガラス流抵抗部材の設置法は特に限定されるものではなく、溶接により設置しても良いし、例えば流路内壁に溝を設ける等の加工を施すことにより、はめ込み式にすることもできる。
ガラス流抵抗部材1の材質は特に限定されるものではないが、溶融ガラス流の熱的負荷及び圧力負荷に耐えうるだけの耐熱性と強度を併せ持つことが必要である。従って、公知の白金合金、強化材を分散させた強化白金合金、又は濡れ性を向上させた金含有強化白金合金を使用することが好ましい。
なおガラス流抵抗部材は、流路内壁と接していることが好ましい。ガラス流抵抗部材と流路内壁との間に隙間があると、ガラス流抵抗部材を伝導する溶融ガラスの熱を外界に放熱させる効果が得られにくいからである。
ガラス流抵抗部材1は板状部材であることが好ましく、前記板状部材の溶融ガラスの流出方向に垂直な前記流路の断面に現われる形状が前記板状部材の厚みとなることが好ましい。板状部材がガラス流出方向に配置されることで、板状部材1の最上流側の厚み部分がガラス流の抵抗となるのと同時に、ガラス流抵抗部材の表面もガラス流の抵抗となり、さらにガラス流がガラス流抵抗部材1に接する時間が長くなり、ガラス流の熱を奪いやすくなるためである。
また、ガラス流抵抗部材1を構成する板状部材は螺旋状の板状部材であってもよく、この場合、ガラス流抵抗部材1の表面部分がガラス流に対しての抵抗となる効果がより大きくなると共に、ガラス流を撹拌し、ガラス流の温度分布をより均一化させやすくなる。
溶融ガラスの流出方向に垂直な流路の断面におけるガラス流抵抗部材1の厚み形状は特に制限されず、正方形、台形、長方形であってよい。
流路の断面においてガラス流抵抗部材が有する面積が小さい場合は、ガラス流の温度分布、流速分布を平均化する効果が得られにくく、面積が必要以上に大きい場合はガラス流の流れが悪くなるため失透を生じさせやすくなる。従って、溶融ガラスの流出方向に垂直な流路の断面において、流路断面形状の面積をS1[mm2]、前記板状部材の断面積の総和をS2[mm2]とするとき、S2/S1の値の下限値は0.2%以上であることが好ましく、0.5%以上であることがより好ましく、0.7%以上であることが最も好ましい。また、S2/S1の値の上限値は99.5%以下であることが好ましく、99%以下であることがより好ましく、98.5以下であることが最も好ましい。
ガラス流抵抗部材1の設置位置は特に限定するものではないが、各位置は、ガラスの熱伝導率、熱容量、流路径、流量、所望の温度/温度分布等を勘案しながら決定される。流路の全長にも当然に依存するが、あまり上流過ぎると流速分布を一旦平均化させても、新たな流速分布を生じやすくなり、本発明において期待される効果が得にくくなる。したがって、好ましくは流路の全長に対して、下流側50%、より好ましくは下流側45%、最も好ましくは下流側40%までの範囲に、前記ガラス流抵抗部材1を有することが好ましい。
本発明の流路は、流路自体及び/又は外部からの付加手段による加熱及び/又は冷却を妨げるものではない。流路自体の加熱としては、流路に直接通電させることによる公知の加熱方法が使用できるし、外部からの付加手段としてはガスバーナー、電熱式ヒーター、赤外線放射、高周波加熱などの公知の手法を適宜使用してよい。さらに、ガラス流出口付近をリングバーナー等で覆い、保温することにより、失透、脈理等の不良をいっそう抑えることができる。
本発明の流路を公知のガラス製造装置に適用することにより、脈理等の無い高い品質の光学ガラス成形体を得ることができる。
本発明の流路を使用したガラスの成形手段は特に制限されるものではない。光学ガラスの成形としては、成形型にガラス流として連続的に流出させ、板状或いは棒状ガラス等に連続成形してもよいし、シャー又は表面張力によりガラスゴブを分離し、多孔質型上にて浮上成形させることによりガラスゴブを成形するものでもよい。
本発明の流路の材質は、通常、ガラスの溶融工程に使用される材質を使用することができ、例えば白金、強化白金、金、強化金、ロジウム、その他貴金属及びそれらの合金、或いは石英が使用できる。また、公知の手法によりメッキされた材質、例えば内面を金メッキ、あるいはSiCなどのセラミックを成膜した白金を使用しても良い。
本発明は、流路の内部構造を規定するものであるから、流路流出口付近の雰囲気を適宜変更しても良い。例えば窒素雰囲気、アルゴン等の不活性ガス雰囲気にしてもよい。また場合によっては、加熱雰囲気にて流路流出口を覆ってもよい。
以下、本発明の具体的な実施例を示す
(実施例1)
本実施例においては、光学ガラスを白金坩堝にて溶融させ、坩堝に接続された流路を介して溶融ガラスをその末端の流出口から流出させ、ガスを噴出するステンレス製多孔質成形型上にて浮上成形させ、精密プレス成形用プリフォームとして使用するためのガラスゴブを取得した。
本実施例においては、光学ガラスを白金坩堝にて溶融させ、坩堝に接続された流路を介して溶融ガラスをその末端の流出口から流出させ、ガスを噴出するステンレス製多孔質成形型上にて浮上成形させ、精密プレス成形用プリフォームとして使用するためのガラスゴブを取得した。
流路としては前述の図3と同じ形状の強化白金流路を使用した。ここで、流路内径は3mm(断面積7.07mm2)で、流出口は6mmまで拡開している。流路全長、すなわち坩堝の出口から流路末端の流出口までの長さは2mであった。
流路内のガラス流抵抗部材1は、平坦な板状であり、流出口から坩堝へ向かって30mm〜40mmの地点に取り付けられ、ガラス流出方向に垂直な流路の断面に現われる形状は図1のような形状であり、厚さは0.5mmであった。また溶融ガラスの流出方向に垂直な流路の断面において、流路断面形状の面積をS1[mm2]、前記板状部材の断面積の総和をS2[mm2]とするとき、S2/S1の値は一定であり、42%であった。図2はガラス流抵抗部材1がとりつけられた本発明の流路の要部をしめす斜視図(概念図)である。
受け型は、多孔質ステンレスで作られ、その受面から空気を噴出している状態で、溶融ガラスを受けることにより、受け型から浮上した状態で溶融ガラスを受け、ガラスゴブを得た。
使用したガラスは、酸化ホウ素及び酸化ランタンを主成分とする光学ガラスを溶融した。坩堝は約1200℃に保たれ、流路は通電加熱により約1100℃に保たれた。流出口からは、溶融ガラスを液滴状に分離している状態にした。この時の溶融ガラスの流出量は毎分80gであった。
このガラスゴブには、失透及び脈理などの光学欠陥を目視で観察したところ、そのような不良は発見できず、光学素子成形用プリフォームとして使用できる高品質のガラスゴブであった。
1 ガラス流抵抗部材
2 流路
2 流路
Claims (6)
- 溶融ガラス槽に接続され、溶融ガラスを流出させる流路であって、
前記流路内にガラス流抵抗部材が配置されており、
前記ガラス流抵抗部材は、溶融ガラスの流出方向に垂直な前記流路の断面において前記流路の内壁から重心に向かう放射方向に配置されていることを特徴とする前記流路。 - 前記ガラス流抵抗部材は、板状部材であり、前記板状部材の溶融ガラスの流出方向に垂直な前記流路の断面に現われる形状が前記板状部材の厚みとなることを特徴とする請求項1に記載の前記流路。
- 前記ガラス流抵抗部材は、螺旋状の板状部材であることを特徴とする請求項2に記載の前記流路。
- 溶融ガラスの流出方向に垂直な流路の断面において、流路断面形状の面積をS1[mm2]、前記板状部材の断面積の総和をS2[mm2]とするとき、S2/S1の値が0.2〜99.5%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の前記流路。
- ガラス原料を溶融槽にて溶融し、溶融槽に接続されたノズルを介して溶融ガラス流を成形型へ流出させガラス成形体を成形することを含むガラス成形体の製造方法であって、溶融ガラスを、請求項1〜4のいずれかの流路を通過させることにより、溶融ガラスの流出方向に垂直な前記流路断面における、流路内の溶融ガラスの温度分布を平均化させる工程を含む前記製造方法。
- ガラス原料を溶融槽にて溶融し、溶融槽に接続されたノズルを介して溶融ガラス流を成形型へ流出させガラス成形体を成形することを含むガラス成形体の製造方法であって、溶融ガラスを、請求項1〜4のいずれかの流路を通過させることにより、溶融ガラスの流出方向に垂直な前記流路断面における、流路内の溶融ガラスの流速分布を平均化させる工程を含む前記製造方法。
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