JP2009106210A - 食用油及び食用油の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 必須脂肪酸のバランスを良くして食用油の栄養バランスを良くするとともに、酸化安定性及び保存安定性を向上させる。
【解決手段】 数種類の原料種子を混合し、この混合した種子を搾油して食用油Sとする食用油Sの製造方法において、原料種子として、エゴマ種子E,ゴマ種子G及びナタネ種子Nのうち少なくとも2種類の種子を選択し、これら選択した種子を、搾油後の食用油Sの成分のうちリノール酸とα−リノレン酸との組成比率が、リノール酸:α−リノレン酸=(0.5〜5):1となるように各種子の混合比を求め、その後、混合した。
【選択図】図1
【解決手段】 数種類の原料種子を混合し、この混合した種子を搾油して食用油Sとする食用油Sの製造方法において、原料種子として、エゴマ種子E,ゴマ種子G及びナタネ種子Nのうち少なくとも2種類の種子を選択し、これら選択した種子を、搾油後の食用油Sの成分のうちリノール酸とα−リノレン酸との組成比率が、リノール酸:α−リノレン酸=(0.5〜5):1となるように各種子の混合比を求め、その後、混合した。
【選択図】図1
Description
本発明は、エゴマ種子,ゴマ種子,ナタネ種子のうち少なくとも2種類の種子を原料とする食用油及び食用油の製造方法に係り、特に、栄養成分のバランスが良い食用油及び食用油の製造方法に関する。
一般に、リノール酸やα−リノレン酸等の必須脂肪酸は、人間の体内で合成できないため、食品から摂取しなければならない。ところが、料理品から必須脂肪酸を摂取しようとすると過剰になり、特に、栄養成分ではリノール酸が過剰に摂取されることになる。リノール酸は代謝の中でアラキドン酸に変化し、このアラキドン酸がアレルギーの原因になっていることから、摂取量を抑えることが望ましい。そこで、必須脂肪酸を、適度な量を摂取でき且つバランス良く摂取できる食品の開発が望まれている。近年、必須脂肪酸を含む食用油が注目されているが、例えばリノレン酸等の多価不飽和脂肪酸を多く含む食用油は、酸化安定性及び保存安定性に乏しい。このことから、必須脂肪酸をバランス良く摂取できるとともに、酸化安定性及び保存安定性を向上させた食用油の開発が望まれている。
従来、必須脂肪酸、特にα−リノレン酸を含有した食用油の製造方法としては、例えば、特許文献1(特開2000−316473号公報)に掲載されたものが知られている。
これは、α−リノレン酸を多く含有しているアマニ種子,エゴマ種子,シソ種子,月見草種子,ボラージ種子のうち1種以上の種子に、ゴマ種子を混合して搾油し、その後、精製処理して食用油を製造している。ゴマ種子の配合率を10%〜80%とし、食用油のα−リノレン酸含量が15%〜55%になるようにしている。α−リノレン酸含量を15%〜55%とすることにより、α−リノレン酸を適度な量摂取できる。また、ゴマ種子の配合率を10%〜80%とすることにより、食用油の酸化安定性及び保存安定性が向上されている。
これは、α−リノレン酸を多く含有しているアマニ種子,エゴマ種子,シソ種子,月見草種子,ボラージ種子のうち1種以上の種子に、ゴマ種子を混合して搾油し、その後、精製処理して食用油を製造している。ゴマ種子の配合率を10%〜80%とし、食用油のα−リノレン酸含量が15%〜55%になるようにしている。α−リノレン酸含量を15%〜55%とすることにより、α−リノレン酸を適度な量摂取できる。また、ゴマ種子の配合率を10%〜80%とすることにより、食用油の酸化安定性及び保存安定性が向上されている。
しかしながら、従来の食用油の製造方法においては、α−リノレン酸の含量を多くしてはいるが、リノール酸の含量を考慮していないため、必須脂肪酸のバランスが偏り、食用油の栄養バランスが悪いという問題があった。
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたもので、必須脂肪酸のバランスを良くして食用油の栄養バランスを良くするとともに、酸化安定性及び保存安定性を向上させた食用油及び食用油の製造方法を提供することを目的とする。
このような目的を達成するため、本発明の食用油は、エゴマ油,ゴマ油及びナタネ油のうち少なくとも2種類の油を、油の成分のうちリノール酸とα−リノレン酸との組成比率が、リノール酸:α−リノレン酸=(0.5〜5):1となるように混合してなる構成としている。
厚生労働省は、「2005年度版日本人の食事摂取基準」の中で、n−6系脂肪酸の食事摂取基準と、n−3系脂肪酸の食事摂取基準とを、男女別,年齢別に目安量及び目標量を記載している。ここでいうn−6系脂肪酸とは、リノール酸のことを指し、n−3系脂肪酸とは、α−リノレン酸のことを指す。n−6系脂肪酸の成人の摂取目標量は、1日あたり男女共に10g未満と記載されている。また、n−3系脂肪酸の成人の摂取目標量は、男女,年齢毎に異なるが、1日あたり2.0g〜2.9g以上と記載されている。これにより、n−6系脂肪酸とn−3系脂肪酸との関係は、n−6系脂肪酸/n−3系脂肪酸<5となることが望ましいといえる。本発明では、リノール酸とα−リノレン酸との組成比率を、リノール酸:α−リノレン酸=(0.5〜5):1としたので、上記の関係となり、そのため、必須脂肪酸のバランスが良くなり、食用油の栄養バランスが良くなる。
そして、必要に応じ、上記組成比率を、リノール酸:α−リノレン酸=(1〜4):1とした構成としている。これにより、必須脂肪酸のバランスがより良好となり、より一層食用油の栄養バランスが良くなる。
また、上記目的を達成するための本発明の食用油の製造方法は、数種類の原料種子を混合し、該混合した種子を搾油して食用油とする食用油の製造方法において、上記原料種子として、エゴマ種子,ゴマ種子及びナタネ種子のうち少なくとも2種類の種子を選択し、搾油後の食用油の成分のうちリノール酸とα−リノレン酸との組成比率が、リノール酸:α−リノレン酸=(0.5〜5):1となるように該選択した各種子の混合比を求め、その後、該選択した種子を混合する構成としている。
これにより、食用油を製造するときは、エゴマ種子,ゴマ種子及びナタネ種子のうち少なくとも2種類の種子を選択し、選択した種子を所定比率で混合する。所定比率は、搾油後の食用油の成分のうちリノール酸とα−リノレン酸との組成比率が、リノール酸:α−リノレン酸=(0.5〜5):1となるように各種子の混合比を求める。そして、混合した種子を、例えば、エキスペラー装置等の圧搾機で搾油して食用油を製造する。この場合、各種子を夫々搾油してから混合した場合と比較して、一度の搾油で良いので製造が容易になる。また、種子を混合してから搾油しているので、搾油後に油を調合したり攪拌したりする必要がなく、この点でも、製造が容易になる。更に、混合した種子を圧搾機で同時に圧搾するので、搾油された食用油は、栄養成分が均一に混合されるようになる。
そして、また、必要に応じ、上記選択した種子の搾油後の食用油を濾過することが望ましい。これにより、搾油後の食用油をより高品質に精製することができる。尚、精製方法は、脱酸,水洗,脱色,脱臭等の工程で行なっても良い。
そして、また、必要に応じ、上記選択した種子の搾油後の食用油を濾過することが望ましい。これにより、搾油後の食用油をより高品質に精製することができる。尚、精製方法は、脱酸,水洗,脱色,脱臭等の工程で行なっても良い。
そして、必要に応じ、上記組成比率を、リノール酸:α−リノレン酸=(1〜4):1とした構成としている。これにより、必須脂肪酸のバランスがより良好となり、より一層食用油の栄養バランスを良くした食用油を製造することができる。
また、必要に応じ、上記混合比を、各種子の搾油率に基づいて補正をして求める構成としている。種子の成熟度や保存状態あるいは搾油条件によって、種子ごとに搾油率が異なるが、搾油率に基づいて補正するので、単に各種子に含まれる成分の組成比率から求めたみかけの混合比に比較して、搾油率を考慮した真の混合比になり、確実に所望の組成比率の食用油を得ることができるようになる。即ち、食用油の栄養成分をより正確な比率にして種子を混合することができる。
更に、必要に応じ、上記原料種子として、ナタネ種子を選択し、ナタネ種子の混合比率が25%〜80%となるように混合する構成としている。ナタネ種子はオレイン酸を多く含んだ種子である。オレイン酸は、酸化しにくい性質を持つ一価不飽和脂肪酸であるので、ナタネ種子を25%〜80%混合させることにより、食用油に含まれるオレイン酸の比率を高くして、酸化しやすい脂肪酸であるリノール酸及びα−リノレン酸の食用油に含まれる比率を適度に抑えることができ、そのため、食用油の酸化安定性及び保存安定性を向上させることができる。
更にまた、必要に応じ、上記原料種子の混合前に、上記原料種子を焙煎する構成としている。これにより、食用油に香ばしいフレーバーを付与することができる。また、種子中の油脂の粘度が下がり、流動性が向上するため、搾油率を向上させることができる。
本発明の食用油は、リノール酸とα−リノレン酸との組成比率を、リノール酸:α−リノレン酸=(0.5〜5):1としたので、厚生労働省が推奨する組成比率となり、そのため、必須脂肪酸のバランスが良くなり、食用油の栄養バランスが良くなる。
また、本発明の食用油の製造方法によれば、エゴマ種子,ゴマ種子及びナタネ種子のうち少なくとも2種類の種子を選択し、選択した種子を各種子の混合比を求めて混合し、その後、搾油して食用油を製造する。このように製造すると、各種子を夫々搾油してから混合した場合と比較して、油を調合したり攪拌したりする必要がなく、搾油も一度で良いので製造が容易になる。また、ナタネ種子を25%〜80%混合させた場合、ナタネ種子に多く含まれるオレイン酸によって、食用油の酸化安定性及び保存安定性を向上させることができる。
また、本発明の食用油の製造方法によれば、エゴマ種子,ゴマ種子及びナタネ種子のうち少なくとも2種類の種子を選択し、選択した種子を各種子の混合比を求めて混合し、その後、搾油して食用油を製造する。このように製造すると、各種子を夫々搾油してから混合した場合と比較して、油を調合したり攪拌したりする必要がなく、搾油も一度で良いので製造が容易になる。また、ナタネ種子を25%〜80%混合させた場合、ナタネ種子に多く含まれるオレイン酸によって、食用油の酸化安定性及び保存安定性を向上させることができる。
以下、添付図面に基づいて本発明の実施の形態に係る食用油及び食用油の製造方法を説明する。本発明の実施の形態に係る食用油は、本発明の食用油の製造方法によって製造されるので、本発明の食用油の製造方法において説明する。
図1には、本発明の実施の形態に係る食用油Sの製造方法を示している。本製造方法は、数種類の原料種子を焙煎する焙煎工程1と、焙煎した種子を混合する混合工程10と、混合した種子を搾油する搾油工程20と、搾油した食用油を精製する精製工程30とを備えてなる。
原料種子として、エゴマ種子E,ゴマ種子G及びナタネ種子Nのうち少なくとも2種類の種子を選択する。実施の形態では、3種類の種子E,G,Nを選択する。
原料種子として、エゴマ種子E,ゴマ種子G及びナタネ種子Nのうち少なくとも2種類の種子を選択する。実施の形態では、3種類の種子E,G,Nを選択する。
焙煎工程1は、図1に示すように、選択した種子E,G,Nを直接若しくは間接に加熱処理する。加熱温度は60℃〜180℃で加熱処理する。実施の形態では、120℃〜140℃で30分間加熱している。
混合工程10は、図1に示すように、エゴマ種子E,ゴマ種子G及びナタネ種子Nの3種類の種子を、搾油後の食用油Sの成分のうちリノール酸とα−リノレン酸との組成比率が、リノール酸:α−リノレン酸=(0.5〜5):1となるように各種子の混合比を求め、その後、混合する。望ましくは、リノール酸:α−リノレン酸=(1〜4):1となるように混合する。このとき、ナタネ種子Nの混合比率が25%〜80%となるように混合する。また、この混合工程10では、選択した種子を、上記の組成比率となるように混合するために、混合する前に、各原料種子E,G,Nの脂肪酸組成及び搾油率を測定し、この測定結果を基に、原料種子の混合比を求めている。
次に、混合工程10における種子の混合比の求め方について詳しく説明する。
先ず、予め各種子の脂肪酸組成及び搾油率を測定しておく。脂肪酸組成の測定は、溶剤抽出及びアルカリ鹸化等の処理で得た脂肪酸を、内部標準物質として添加したヘプタデカン酸と共にメチルエステル化の後に、ガスクロマトグラフ分析装置を用いて分離定量する周知の方法で行う。搾油率の測定は、小型の搾油試験機を用いる重量法,製造工程での予備搾油による重量法、あるいは種子および搾油残渣の含油量を化学溶剤で抽出して差分を求める溶剤抽出法等の周知の方法で行う。尚、脂肪酸組成及び搾油率の測定は、上記に記載された直接測定法に限らず、赤外光、近赤外光などの分光学的手法を用いた間接測定法で行なっても良い。
各原料種子E,G,Nの測定結果を以下の表に示す。尚、この表中の数値は、実施の形態に係る原料種子を測定したものであるので、測定するエゴマ種子E,ゴマ種子G及びナタネ種子Nによって数値が変動することがある。表中、18:2ω6はリノール酸であり、18:3ω3はα−リノレン酸、18:1ω9はオレイン酸である。
先ず、予め各種子の脂肪酸組成及び搾油率を測定しておく。脂肪酸組成の測定は、溶剤抽出及びアルカリ鹸化等の処理で得た脂肪酸を、内部標準物質として添加したヘプタデカン酸と共にメチルエステル化の後に、ガスクロマトグラフ分析装置を用いて分離定量する周知の方法で行う。搾油率の測定は、小型の搾油試験機を用いる重量法,製造工程での予備搾油による重量法、あるいは種子および搾油残渣の含油量を化学溶剤で抽出して差分を求める溶剤抽出法等の周知の方法で行う。尚、脂肪酸組成及び搾油率の測定は、上記に記載された直接測定法に限らず、赤外光、近赤外光などの分光学的手法を用いた間接測定法で行なっても良い。
各原料種子E,G,Nの測定結果を以下の表に示す。尚、この表中の数値は、実施の形態に係る原料種子を測定したものであるので、測定するエゴマ種子E,ゴマ種子G及びナタネ種子Nによって数値が変動することがある。表中、18:2ω6はリノール酸であり、18:3ω3はα−リノレン酸、18:1ω9はオレイン酸である。
この測定結果から、エゴマ種子E,ゴマ種子G及びナタネ種子Nの混合比を求める。例えば、以下の方法で求める。
ここで、混合後の重量100重量%に対して、エゴマ種子Eを(A×100)重量%,ゴマ種子Gを(B×100)重量%,ナタネ種子Nを(C×100)重量%とする。これにより、A+B+C=1の数式が成り立つ。
ここで、混合後の重量100重量%に対して、エゴマ種子Eを(A×100)重量%,ゴマ種子Gを(B×100)重量%,ナタネ種子Nを(C×100)重量%とする。これにより、A+B+C=1の数式が成り立つ。
先ず、目的とする食用油Sのリノール酸とα−リノレン酸との相対比δを決定する。相対比δはリノール酸/α−リノレン酸の値であるので、0.5〜5の範囲内で任意に決定する。実施の形態ではδ=1.00としている。食用油Sのリノール酸組成比率は、エゴマ種子Eのリノール酸組成比率×Aと、ゴマ種子Gのリノール酸組成比率×Bと、ナタネ種子Nのリノール酸組成比率×Cとの和であり、食用油Sのα−リノレン酸組成比率は、エゴマ種子Eのα−リノレン酸組成比率×Aと、ゴマ種子Gのα−リノレン酸組成比率×Bと、ナタネ種子Nのα−リノレン酸組成比率×Cとの和であるので、表中の数値を基に相対比δを求めると、δ=(16.31×A+46.66×B+19.09×C)/(61.77×A+0.40×B+7.30×C)の数式が成り立つ。即ち、1.00=(16.31×A+46.66×B+19.09×C)/(61.77×A+0.40×B+7.30×C)となる。
次に、リノール酸とα−リノレン酸との相対比δの決定に続いて、ナタネ種子Nの混合比Cを決定する。混合比Cは、25%〜80%の範囲内で任意に決定する。実施の形態では、58%、即ち、C=0.58としている。
以上のことから、A+B+0.58=1.00と、1.00=(16.31×A+46.66×B+11.0722)/(61.77×A+0.40×B+4.2340)との2式が成り立つので、この連立方程式を解くと、A=0.29(小数点3桁以降四捨五入),B=0.13(小数点3桁以降四捨五入)が求まる。
以上のことから、A+B+0.58=1.00と、1.00=(16.31×A+46.66×B+11.0722)/(61.77×A+0.40×B+4.2340)との2式が成り立つので、この連立方程式を解くと、A=0.29(小数点3桁以降四捨五入),B=0.13(小数点3桁以降四捨五入)が求まる。
また、上記の混合比で混合し、搾油した食用油Sは、計算上はリノール酸/α−リノレン酸=1.00、即ち、δ=1.00となるが、実際に搾油した食用油Sは、リノール酸/α−リノレン酸≒0.80となる。これは、種子ごとに搾油率が異なることを考慮していないためである。この場合、搾油した食用油Sは、リノール酸とα−リノレン酸とが正確な比率で混合されない場合があるので、各種子E,G,Nの搾油率を考慮して補正を行なう。搾油率は、[(搾油した油の重さ)/(種子の重さ)]×100(重量%)で求められる。
具体的には、例えば、表中の各種子E,G,Nの搾油率を基に、各種子E,G,Nの搾油対比率を求める。このとき、任意で決定したナタネ種子Nの搾油率を基準とすると、ナタネ種子Nの搾油率1.00に対して、エゴマ種子Eの搾油率は1.82(小数点3桁以降四捨五入)となり、ゴマ種子Gの搾油率は1.77(小数点3桁以降四捨五入)となる。この各搾油率で上記の混合比を除すると、A=0.16(小数点3桁以降四捨五入),B=0.07(小数点3桁以降四捨五入),C=0.58となる。このA,B,Cの各値を、A,B,Cの合計値で除すると、A=0.20(小数点3桁以降四捨五入),B=0.09(小数点3桁以降四捨五入),C=0.72(小数点3桁以降四捨五入)となる。尚、ここで求めたA,B,Cの和は、A+B+C=1.01となり、1.00を超えているが、これは、各計算結果の小数点3桁以降を四捨五入しているためである。
この結果、原料種子の混合比は、エゴマ種子:ゴマ種子:ナタネ種子=2.0:0.9:7.2となった。このとき、搾油後の食用油100重量%に対するリノール酸の混合比率は22.96重量%となり、α−リノレン酸の混合比率は22.77重量%となった。即ち、リノール酸とα−リノレン酸との関係は、リノール酸:α−リノレン酸≒1:1となった。また、このときの搾油後の食用油100重量%に対するオレイン酸の混合比率は42.55重量%となり、リノール酸とα−リノレン酸とオレイン酸との関係は、リノール酸:α−リノレン酸:オレイン酸≒1:1:2となった。
搾油工程20は、図1に示すように、混合した種子E,G,Nを、例えば、エキスペラー装置,プレス装置等の圧搾機を用いて、周知の方法で圧搾する。尚、搾油は、圧搾方法に限らず、抽出する方法でも良い。
精製工程30は、図1に示すように、搾油した食用油Sを、濾過または脱酸,水洗,脱色,脱臭等の工程を経て精製する。実施の形態では、濾過している。濾過は、周知の方法で行なう。
このようにして製造された食用油Sは、その栄養成分の組成比率が、リノール酸:α−リノレン酸:オレイン酸≒1:1:2となる。リノール酸とα−リノレン酸との関係は、組成比率が、リノール酸:α−リノレン酸≒1:1となるので、厚生労働省が推奨する組成比率となり、そのため、必須脂肪酸のバランスが良くなり、食用油Sの栄養バランスが良くなる。
また、リノール酸とα−リノレン酸とオレイン酸との関係は、組成比率が、リノール酸:α−リノレン酸:オレイン酸≒1:1:2となり、オレイン酸を約42.5%含有しているので、ナタネ種子を混合しない場合と比較して、食用油Sの酸化安定性及び保存安定性を向上させることができる。
また、リノール酸とα−リノレン酸とオレイン酸との関係は、組成比率が、リノール酸:α−リノレン酸:オレイン酸≒1:1:2となり、オレイン酸を約42.5%含有しているので、ナタネ種子を混合しない場合と比較して、食用油Sの酸化安定性及び保存安定性を向上させることができる。
また、各原料種子E,G,Nを混合してから搾油しているので、各原料種子E,G,Nを夫々搾油してから混合した場合と比較して、一度の搾油で良いので製造が容易になる。また、各種子E,G,Nを混合してから搾油しているので、搾油後に油を調合したり攪拌したりする必要がなく、この点でも、製造が容易になる。更に、混合した種子E,G,Nを圧搾機で同時に圧搾するので、搾油された食用油Sは、栄養成分が均一に混合されるようになる。
次に、実施の形態に係る原料種子E,G,Nを測定した上記の表中の数値を基に、リノール酸とα−リノレン酸との相対比δの値を変えて、エゴマ種子E,ゴマ種子G及びナタネ種子Nの混合比を求めた。上記と同様に、混合後の重量100重量%に対して、エゴマ種子Eを(A×100)重量%,ゴマ種子Gを(B×100)重量%,ナタネ種子Nを(C×100)重量%として混合した。これにより、A+B+C=1の数式が成り立つ。任意の数値である混合比Cは、58%、即ち、C=0.58とし、上記実施の形態と同様とした。
〔実施例1〕
相対比δの値を、δ=2.00として種子E,Gの混合比A,Bを求めた。これにより、A+B+0.58=1.00と、2.00=(16.31×A+46.66×B+11.0722)/(61.77×A+0.40×B+4.2340)との2式が成り立つので、この連立方程式を解くと、A=0.14(小数点3桁以降四捨五入),B=0.28(小数点3桁以降四捨五入)が求まる。
次に、上記実施の形態と同様に、各種子E,G,Nの搾油率に基づいて補正を行なった。ナタネ種子Nの搾油率1.00に対して、エゴマ種子Eの搾油率は1.82(小数点3桁以降四捨五入)となり、ゴマ種子Gの搾油率は1.77(小数点3桁以降四捨五入)となる。この各搾油率で上記の混合比を除すると、A=0.08(小数点3桁以降四捨五入),B=0.16(小数点3桁以降四捨五入),C=0.58となる。このA,B,Cの各値を、A,B,Cの合計値で除すると、A=0.10(小数点3桁以降四捨五入),B=0.20(小数点3桁以降四捨五入),C=0.71(小数点3桁以降四捨五入)となる。尚、ここで求めたA,B,Cの和は、A+B+C=1.01となり、1.00を超えているが、これは、各計算結果の小数点3桁以降を四捨五入しているためである。
相対比δの値を、δ=2.00として種子E,Gの混合比A,Bを求めた。これにより、A+B+0.58=1.00と、2.00=(16.31×A+46.66×B+11.0722)/(61.77×A+0.40×B+4.2340)との2式が成り立つので、この連立方程式を解くと、A=0.14(小数点3桁以降四捨五入),B=0.28(小数点3桁以降四捨五入)が求まる。
次に、上記実施の形態と同様に、各種子E,G,Nの搾油率に基づいて補正を行なった。ナタネ種子Nの搾油率1.00に対して、エゴマ種子Eの搾油率は1.82(小数点3桁以降四捨五入)となり、ゴマ種子Gの搾油率は1.77(小数点3桁以降四捨五入)となる。この各搾油率で上記の混合比を除すると、A=0.08(小数点3桁以降四捨五入),B=0.16(小数点3桁以降四捨五入),C=0.58となる。このA,B,Cの各値を、A,B,Cの合計値で除すると、A=0.10(小数点3桁以降四捨五入),B=0.20(小数点3桁以降四捨五入),C=0.71(小数点3桁以降四捨五入)となる。尚、ここで求めたA,B,Cの和は、A+B+C=1.01となり、1.00を超えているが、これは、各計算結果の小数点3桁以降を四捨五入しているためである。
この結果、各種子E,G,Nの混合比は、エゴマ種子:ゴマ種子:ナタネ種子=1.0:2.0:7.1となった。このとき、搾油後の食用油100重量%に対するリノール酸の混合比率は26.42重量%となり、α−リノレン酸の混合比率は13.00重量%となった。即ち、リノール酸とα−リノレン酸との関係は、リノール酸:α−リノレン酸≒2:1となった。また、このときの搾油後の食用油100重量%に対するオレイン酸の混合比率は47.49重量%となり、リノール酸とα−リノレン酸とオレイン酸との関係は、リノール酸:α−リノレン酸:オレイン酸≒2:1:3.7となった。
〔実施例2〕
相対比δの値を、δ=4.00として種子E,Gの混合比A,Bを求めた。これにより、A+B+0.58=1.00と、4.00=(16.31×A+46.66×B+11.0722)/(61.77×A+0.40×B+4.2340)との2式が成り立つので、この連立方程式を解くと、A=0.05(小数点3桁以降四捨五入),B=0.37(小数点3桁以降四捨五入)が求まる。
次に、上記実施の形態と同様に、各種子E,G,Nの搾油率に基づいて補正を行なった。ナタネ種子Nの搾油率1.00に対して、エゴマ種子Eの搾油率は1.82(小数点3桁以降四捨五入)となり、ゴマ種子Gの搾油率は1.77(小数点3桁以降四捨五入)となる。この各搾油率で上記の混合比を除すると、A=0.03(小数点3桁以降四捨五入),B=0.21(小数点3桁以降四捨五入),C=0.58となる。このA,B,Cの各値を、A,B,Cの合計値で除すると、A=0.04(小数点3桁以降四捨五入),B=0.26(小数点3桁以降四捨五入),C=0.71(小数点3桁以降四捨五入)となる。尚、ここで求めたA,B,Cの和は、A+B+C=1.01となり、1.00を超えているが、これは、各計算結果の小数点3桁以降を四捨五入しているためである。
相対比δの値を、δ=4.00として種子E,Gの混合比A,Bを求めた。これにより、A+B+0.58=1.00と、4.00=(16.31×A+46.66×B+11.0722)/(61.77×A+0.40×B+4.2340)との2式が成り立つので、この連立方程式を解くと、A=0.05(小数点3桁以降四捨五入),B=0.37(小数点3桁以降四捨五入)が求まる。
次に、上記実施の形態と同様に、各種子E,G,Nの搾油率に基づいて補正を行なった。ナタネ種子Nの搾油率1.00に対して、エゴマ種子Eの搾油率は1.82(小数点3桁以降四捨五入)となり、ゴマ種子Gの搾油率は1.77(小数点3桁以降四捨五入)となる。この各搾油率で上記の混合比を除すると、A=0.03(小数点3桁以降四捨五入),B=0.21(小数点3桁以降四捨五入),C=0.58となる。このA,B,Cの各値を、A,B,Cの合計値で除すると、A=0.04(小数点3桁以降四捨五入),B=0.26(小数点3桁以降四捨五入),C=0.71(小数点3桁以降四捨五入)となる。尚、ここで求めたA,B,Cの和は、A+B+C=1.01となり、1.00を超えているが、これは、各計算結果の小数点3桁以降を四捨五入しているためである。
この結果、各種子E,G,Nの混合比は、エゴマ種子:ゴマ種子:ナタネ種子=0.4:2.6:7.1となった。このとき、搾油後の食用油100重量%に対するリノール酸の混合比率は29.17重量%となり、α−リノレン酸の混合比率は7.44重量%となった。即ち、リノール酸とα−リノレン酸との関係は、リノール酸:α−リノレン酸≒4:1となった。また、このときの搾油後の食用油100重量%に対するオレイン酸の混合比率は49.54重量%となり、リノール酸とα−リノレン酸とオレイン酸との関係は、リノール酸:α−リノレン酸:オレイン酸≒4:1:6.7となった。
尚、上記実施の形態において、原料種子E,G,Nを混合してから搾油したが、必ずしもこれに限定されるものではなく、原料種子を搾油してから混合しても良く、適宜変更して差支えない。
また、上記実施の形態において、焙煎工程1で120℃〜140℃で30分間加熱したが、必ずしもこれに限定されるものではなく、60℃〜180℃で加熱し、加熱温度に対応した加熱時間であれば良く、適宜変更して差支えない。また、焙煎工程1は、特に設けなくても良い。この場合、製造工程が簡易化され、食用油の製造が容易になる。
更に、上記実施の形態において、精製工程30で濾過して精製したが、必ずしもこれに限定されるものではなく、脱酸,水洗,脱色,脱臭等の工程を経て精製しても良く、適宜変更して差支えない。また、精製工程30は、特に設けなくても良い。この場合、製造工程が簡易化され、食用油の製造が容易になる。
また、上記実施の形態において、焙煎工程1で120℃〜140℃で30分間加熱したが、必ずしもこれに限定されるものではなく、60℃〜180℃で加熱し、加熱温度に対応した加熱時間であれば良く、適宜変更して差支えない。また、焙煎工程1は、特に設けなくても良い。この場合、製造工程が簡易化され、食用油の製造が容易になる。
更に、上記実施の形態において、精製工程30で濾過して精製したが、必ずしもこれに限定されるものではなく、脱酸,水洗,脱色,脱臭等の工程を経て精製しても良く、適宜変更して差支えない。また、精製工程30は、特に設けなくても良い。この場合、製造工程が簡易化され、食用油の製造が容易になる。
S 食用油
E エゴマ種子
G ゴマ種子
N ナタネ種子
1 焙煎工程
10 混合工程
20 搾油工程
30 精製工程
E エゴマ種子
G ゴマ種子
N ナタネ種子
1 焙煎工程
10 混合工程
20 搾油工程
30 精製工程
Claims (7)
- エゴマ油,ゴマ油及びナタネ油のうち少なくとも2種類の油を、油の成分のうちリノール酸とα−リノレン酸との組成比率が、リノール酸:α−リノレン酸=(0.5〜5):1となるように混合してなることを特徴とする食用油。
- 上記組成比率を、リノール酸:α−リノレン酸=(1〜4):1としたことを特徴とする請求項1記載の食用油。
- 数種類の原料種子を混合し、該混合した種子を搾油して食用油とする食用油の製造方法において、
上記原料種子として、エゴマ種子,ゴマ種子及びナタネ種子のうち少なくとも2種類の種子を選択し、搾油後の食用油の成分のうちリノール酸とα−リノレン酸との組成比率が、リノール酸:α−リノレン酸=(0.5〜5):1となるように該選択した各種子の混合比を求め、その後、該選択した種子を混合することを特徴とする食用油の製造方法。 - 上記組成比率を、リノール酸:α−リノレン酸=(1〜4):1としたことを特徴とする請求項3記載の食用油の製造方法。
- 上記混合比を、各種子の搾油率に基づいて補正をして求めることを特徴とする請求項3または4記載の食用油の製造方法。
- 上記原料種子として、ナタネ種子を選択し、ナタネ種子の混合比率が25%〜80%となるように混合することを特徴とする請求項3乃至5何れかに記載の食用油の製造方法。
- 上記原料種子の混合前に、上記原料種子を焙煎することを特徴とする請求項3乃至6何れかに記載の食用油の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007282776A JP2009106210A (ja) | 2007-10-31 | 2007-10-31 | 食用油及び食用油の製造方法 |
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JP2009106210A true JP2009106210A (ja) | 2009-05-21 |
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ID=40775454
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JP2007282776A Pending JP2009106210A (ja) | 2007-10-31 | 2007-10-31 | 食用油及び食用油の製造方法 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2009106210A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103416757A (zh) * | 2013-09-06 | 2013-12-04 | 贵州大学 | 苏麻油微胶囊及其制备方法 |
CN112352842A (zh) * | 2020-11-08 | 2021-02-12 | 王瑞雪 | 一种食用油制备方法 |
CN112477241A (zh) * | 2020-11-08 | 2021-03-12 | 王瑞雪 | 一种食用油榨油机 |
-
2007
- 2007-10-31 JP JP2007282776A patent/JP2009106210A/ja active Pending
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