JP2009105135A - 電子機器冷却装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】圧縮機の異常が発生した場合でも運転を継続可能にした電子機器冷却装置を提供する。
【解決手段】複数台が並列に接続された圧縮機及び凝縮器を有する熱源機と、熱源機から延びる冷媒配管に接続されると共に、ファン付きの電子機器を収容したキャビネットの開口を閉塞するリアドアに配設された蒸発器と、により冷凍サイクルを構成し、電子機器に付設したファンで送風される空気をリアドアの蒸発器で冷却して室内に戻すと共に、圧縮機の異常を監視し、圧縮機の異常検出時には、異常を報知すると共に、異常検出しない圧縮機が存在するか否かを判定し、存在する場合は、異常検出しない圧縮機の運転により熱源器の運転を継続するようにした。
【選択図】図4

Description

キャビネットに収容された電子機器に付設したファンで送風される空気を冷却する電子機器冷却装置に関する。
従来より、キャビネットに収容された電子機器に付設したファンで送風される空気を冷却水で冷却して室内に戻す電子機器冷却装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。一般に、この電子機器冷却装置はコンピュータルームに設置され、コンピュータルームに設置されるサーバやネットワーク機器を冷却する。
米国特許出願公開第2006/0232945号明細書
しかし、従来の電子機器冷却装置は、当該装置の圧縮機に異常が生じると、オールオフ状態となり、運転を停止する。この場合、所定の復帰操作が行われない限り、運転を開始することができなくなってしまう。この種の冷却装置で冷却する電子機器は24時間体制で稼働するものがあり、また、コンピュータルームは無人の時間が長いため、運転停止の時間は極力短くすることが要望される。
そこで、本発明の目的は、圧縮機の異常が発生した場合でも運転を継続可能にした電子機器冷却装置を提供することにある。
上述した課題を解決するため、本発明は、複数台が並列に接続された圧縮機及び凝縮器を有する熱源機と、前記熱源機から延びる冷媒配管に接続されると共に、ファン付きの電子機器を収容したキャビネットの開口を閉塞するリアドアに配設された蒸発器と、により冷凍サイクルを構成し、前記電子機器に付設したファンで送風される空気を前記リアドアの蒸発器で冷却して室内に戻すと共に、前記圧縮機の異常検出手段を備え、異常検出時には、該異常をリモートコントローラに表示すると共に、異常検出していない圧縮機が存在する時には、該圧縮機の運転により熱源機の運転を継続する制御手段を備えたことを特徴とする。
この発明によれば、圧縮機の異常検出時には、該異常をリモートコントローラに表示すると共に、異常検出していない圧縮機が存在する時には、該圧縮機の運転により熱源機の運転を継続するので、圧縮機の異常検出時でも熱源器の運転を継続することができる。
上記構成において、前記制御手段は、異常検出していない圧縮機に能力可変型の圧縮機がある場合、異常検出した圧縮機の出力分を補うように前記能力可変型の圧縮機を運転することが好ましい。
上記構成において、前記制御手段は、異常検出していない圧縮機が能力一定型の圧縮機の場合、冷却負荷を超えないように前記能力一定型の圧縮機を間欠的に運転することが好ましい。
本発明は、圧縮機の異常検出時には、該異常をリモートコントローラに表示すると共に、異常検出していない圧縮機が存在する時には、該圧縮機の運転により熱源機の運転を継続するので、圧縮機の異常検出時でも熱源器の運転を継続することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳述する。
図1は本発明の一実施形態に係る電子機器冷却システムを示す図である。
この電子機器冷却システム1は、コンピュータルーム2に配設される複数の電子機器3(図2参照)を冷却するシステムである。このコンピュータルーム2は、二重床に構成され、この二重床の上にサーバラック10が床置きされる。
図2はサーバラック10を示す図である。サーバラック10は、前面及び後面が開口したキャビネット11を備え、このキャビネット11内に上下に間隔を空けて仕切り板(不図示)が配設され、各仕切り板に電子機器3がその背面をキャビネット11後面に向けて配置されることによって、キャビネット11内に複数の電子機器3が上下に段積み配置される。また、このキャビネット11後面には、後面開口を閉塞自在に開閉するリアドア12が設けられ、このリアドア12は、通気自在に構成されると共に、その内部に電子機器冷却ユニット20が構成される。また、サーバラック10の底にはキャスタ13が設けられ、サーバラック10を容易に移動可能にしている。
上記電子機器3は、サーバやネットワーク機器であり、一般に、この種の電子機器は冷却用のファン4を付設したファン付き電子機器であり、機器内の温度が所定温度を超えるとファン4を駆動し、機器内に外気を導入して機器背面から排出する強制空冷機能を備えている。このため、電子機器3をその背面をキャビネット背面に向けて配置することで、図2に冷却風の流れを破線矢印で示すように、電子機器3に付設したファン4により室内空気がキャビネット前面開口から吸い込まれ、電子機器3を冷却してリアドア12を通過して室内に戻る。また、このリアドア12を開けることによって、キャビネット11内の電子機器3へのアクセスが容易になる。
電子機器冷却ユニット20は、サーバラック10のリアドア12と一体に構成され、複数(本例では3台)のサーバラック10に設けられた電子機器冷却ユニット20が、一台の熱源機30(図1参照)から延びるメイン冷媒配管31(図1参照)に並列に接続される。すなわち、この複数(3台)の電子機器冷却ユニット20と、これらユニット20が配管接続される熱源機30とによって電子機器冷却装置40が構成される。なお、図1に示す例では、コンピュータルーム2に12台のサーバラック10を配置し、3台のサーバラック10内の電子機器冷却ユニット20を一台の熱源機30に各々接続した一系統の電子機器冷却装置40を4系統配設した場合を示している。
電子機器冷却ユニット20は、熱源機30と配管接続されることによって冷凍サイクルを行う冷凍回路を構成するユニットであり、図2に示すように、蒸発器21を備え、電子機器3から排出された空気がリアドア12内の蒸発器21を流通した際に、蒸発器21によってこの空気を冷却して室内に戻す。この蒸発器21は、リアドア12の上下に渡って延在し、上下略中間部を境に上側蒸発部22と下側蒸発部23とに分割され、キャビネット11上半分の電子機器3の冷却を上側蒸発部22が受け持ち、下半分の電子機器3の冷却を下側蒸発部23が受け持つように構成される。
図3は電子機器冷却装置40の回路構成を示す図である。この図に示すように、電子機器冷却ユニット20は、熱源機30から延びるメイン冷媒配管31を構成するメイン液管31A及びメインガス管31Bに対し、フレキシブル液管25及びフレキシブルガス管26を介して並列に接続される。フレキシブル液管25及びフレキシブルガス管26は、柔軟性及び冷媒不透過性を有するフレキシブルチューブが適用され、フレキシブル液管25は比較的小径のチューブが適用され、フレキシブルガス管26は比較的大径のチューブが適用される。
熱源機30から延びるメイン液管31A及びメインガス管31Bには、フレキシブル液管及びフレキシブルガス管接続用の複数(本例では5個)の接続ポートP1A〜P5A及びP1B〜P5Bが各々設けられる。本構成では、これら接続ポートP1A〜P5A及びP1B〜P5Bのうちの3組に、フレキシブル液管25及びフレキシブルガス管26の一端が接続されることによって3台の電子機器冷却ユニット20(蒸発器21)が接続され、残り2組の接続ポートP4A、P5A、P4B及びP5Bは、電子機器冷却ユニット20或いは熱源機30増設時に使用される増設用接続ポートとして使用される。すなわち、残り2組の接続ポートP4A、P5A、P4B及びP5Bは、サーバラック10増設時に追加される電子機器冷却ユニット20を接続する接続ポート或いは増設する熱源機30を接続する接続ポートとして使用される。
フレキシブル液管25の他端は、電子機器冷却ユニット20の液管接続部PINに接続される。この液管接続部PINから延びる冷媒配管27は2つに分岐し、一方の分岐管27Aは膨張弁28Aを介して上側蒸発部22の入口に接続され、他方の分岐管27Bは膨張弁28Bを介して下側蒸発部23の入口に接続される。
各蒸発部22、23の出口は1本の合流冷媒配管(ガス管)29に配管接続され、この合流冷媒配管29の端部に設けたガス管接続部POUTにフレキシブルガス管26が接続される。これによって、電子機器冷却ユニット20内の各蒸発部22、23に冷媒を選択的に流通可能に冷媒配管が接続される。
このように、フレキシブル液管25及びフレキシブルガス管26を介して電子機器冷却ユニット20の蒸発器21を接続したため、この蒸発器21が内蔵されるリアドア12を開閉した際に上記フレキシブル配管25、26が撓んでリアドア12の開閉を妨げない。また、これら配管を接続したままでもサーバラック10の位置の微調整が可能である。
ここで、メイン液管31A及びメインガス管31Bは、図1に示すように、コンピュータルーム2の上床2Aと下床2Bとの間の床下空間内を引き回され、このメイン液管31A及びメインガス管31Bの接続ポートP1A〜P5A及びP1B〜P5Bにつながるフレキシブル液管25及びフレキシブルガス管26は、上床2Aの開口穴2C(図2参照)を通ってリアドア12内の蒸発器21につながる。このため、図2に示すように、フレキシブル液管25及びフレキシブルガス管26が蒸発器21から下方に延びた後に床下空間内で緩やかに曲がるように引き回され、これらフレキシブル配管25、26の長さに余裕を持たせておくことによってリアドア12開閉時にフレキシブル配管25、26だけがリアドア12の動きに合わせて移動する。従って、リアドア12開閉時に他の配管に力が作用することがなく、他の配管、例えば、メイン液管31A及びメインガス管31Bに鋼管を適用することが可能である。
この電子機器冷却ユニット20には、蒸発器21の下方に電装ユニット51と、この電装ユニット51につながるリモートコントローラ52が設けられている。この電装ユニット51は、上側蒸発部22の入口冷媒温度L1及び出口冷媒温度G1と、下側蒸発部23の入口冷媒温度L2及び出口冷媒温度G2とを、4つの温度センサ(冷媒温度検出手段)29A〜29Dを介して各々検出し、各蒸発部22、23の出入り口温度差(L1−G1、L2−G2)に基づいて適正な過熱度になるように各々の膨張弁28A、28Bの制御を行うと共に、熱源機30と通信する機能を備えている。
また、この電子機器冷却ユニット20には、図2に示すように、上側蒸発部22及び下側蒸発部23の上流側に各々配置され、上側及び下側に収容される電子機器3から排出される空気の温度(排熱温度)TX1、TX2を検出する排熱温度センサ(排熱温度検出手段)29E、29Fを備え、これらセンサ29E、29Fの出力が電装ユニット51に入力される。
リモートコントローラ52は、コンピュータルーム2のサーバラック10の側面或いは背面などに配置され、リアドア12内の電装ユニット51に有線或いは無線で接続される。このリモートコントローラ52には、図示は省略するが、室内温度センサ、操作ボタン、表示部、ブザー(報音部)などが設けられ、このリモートコントローラの操作に従って、電子機器冷却装置40の運転開始/停止、設定温度T0の変更、各種エラーメッセージの報知(表示及びブザー音出力)などが行われる。ここで、設定温度T0は、電子機器冷却ユニット20の目標温度であり、通常、コンピュータルーム2の室内目標温度が設定される。そして、この電子機器冷却装置40においては、キャビネット11の前面側開口から入る空気、或いは、蒸発器21を通過した空気の温度が、該設定温度T0になるように各部の制御が実行される。
熱源機30は、室外に設置され、概略的には、冷媒を圧縮する圧縮機32、オイルセパレータ33、四方弁34、熱源側熱交換器(凝縮器)35、膨張弁36及びレシーバタンク37の順に配管接続され、このレシーバタンク37にメイン液管31Aが接続されると共に、圧縮機32入口につながる低圧側配管41にアキュムレータ38を介してメインガス管31Bが接続される。
圧縮機32は、定速運転用のAC圧縮機(能力一定型の圧縮機)32Aと、周波数可変運転用のインバータ圧縮機(能力可変型の圧縮機)32Bとを有し、これらは並列に接続され、冷却の負荷に応じてこれら圧縮機32A、32Bの運転のオンオフ制御及び圧縮機32Bの運転周波数を可変制御することによって熱源機30全体の冷却能力が可能に構成される。
より具体的に説明すると、各圧縮機32A、32Bの吐出側には、逆止弁42A、42Bが各々設けられ、各逆止弁42A、42Bの下流で合流する高圧側配管42にオイルセパレータ33、逆止弁43、四方弁34、熱源側熱交換器35、膨張弁36及びレシーバタンク37が順に接続される。また、各圧縮機32A、32Bの吸込側につながる低圧側配管41は、アキュムレータ38の下流でつながり、このアキュムレータ38の上流で四方弁34につながり、この四方弁34を介してメインガス管31Bにつながる。なお、この四方弁34の切換は行われず、図3の状態に固定される。
また、高圧側配管42には、膨張弁36と並列に逆止弁44が接続され、この逆止弁44により熱源側熱交換器35からレシーバタンク37への流れを許容すると共に逆方向の流れを禁止する。また、上記逆止弁42A、42Bとオイルセパレータ33の間には、冷媒戻し管45が接続され、この冷媒戻し管45の先端は圧縮機32A、32Bの吸込側に接続される。この冷媒戻し管45には開閉弁46が設けられ、この開閉弁46を開けることによって圧縮機32A、32Bから吐出された冷媒の一部を圧縮機32A、32Bの吸込側に戻すことができ、圧縮機32A、32Bの吐出能力を低減することができる。
なお、高圧側配管42は、液側サービスバルブ47を介してメイン液管31Aに接続され、低圧側配管41は、ガス側サービスバルブ48を介してメインガス管31Bに接続される。また、オイルセパレータ33によって分離されたオイルは、オイル戻し管49を通って圧縮機32A、32Bの吸込側に戻される。また、一方の圧縮機32A、32Bの高圧側と他方の圧縮機32B、32Aの低圧側とはオイル戻し管32C、32Dで互いに接続され、各圧縮機32A、32B内のオイル量が適正に調整される。また、各圧縮機32A、32Bの吐出側には高圧スイッチ5A、5Bが各々設けられ、高圧スイッチ5、6により圧縮機32A、32Bの吐出圧が許容範囲の上限を超えた場合に各圧縮機32A、32Bの運転が停止される。
また、熱源機30は、電装ユニット61を有し、この電装ユニット61は、内外通信線62を介して当該熱源機30に接続される電子機器冷却ユニット20の電装ユニット51と通信可能に接続される。この電装ユニット61は、各電子機器冷却ユニット20の電装ユニット51との間で制御信号や運転信号を送受信すると共に、電子機器冷却ユニット20側に設けられたリモートコントローラ52の操作を入力し、これらによって電子機器冷却装置40の各部の制御を行う。
この電子機器冷却装置40にあっては、熱源機30の電装ユニット51の制御の下、圧縮機32A、32Bが運転される。この場合、電装ユニット51は、図示せぬ温度センサで検出した室外温度T2とリモートコントローラ52で検出した室内温度T1との差の温度(差温)などに基づき、各圧縮機32A、32Bの運転のオン/オフ及び運転周波数を制御すると共に、熱源側熱交換器35の出入り口温度を図示せぬ温度センサにより検出し、この出入り口温度差が適正範囲になるように膨張弁36の弁開度を制御する。
この場合、圧縮機32A、32Bから吐出された高温高圧冷媒は、熱源側熱交換器35で凝縮されて液化された後、熱源機30から延びるメイン液管31Aを通ってコンピュータルーム2内の電子機器冷却ユニット20に供給される。
各電子機器冷却ユニット20では、メイン液管31Aを流れる液冷媒がフレキシブル液管25を通って冷媒配管27を流れ、ここで二系統に分流されて、一方が膨張弁28Aを通って上側蒸発部22を流れると共に、他方が膨張弁28Bを通って下側蒸発部23を流れ、各蒸発部22、23で蒸発してガス化し、各蒸発部22、23での冷媒蒸発熱により各蒸発部22、23を通過する空気が冷却される。
そして、各蒸発部22、23でガス化した冷媒は、合流冷媒配管29で合流した後にフレキシブルガス管26を通ってメインガス管31Bに流れ、熱源機30に戻る。以上のようにして冷凍サイクルが行われる。
ところで、コンピュータルーム2で稼働する電子機器3には24時間体制で稼働するものがあり、無人の時間が長い。このため、圧縮機32に異常が発生した場合に電子機器冷却装置40の運転を強制停止すると、メンテナンス作業者が来るまでに時間がかかってしまうおそれがあり、停止時間が長くなってしまう場合がある。
そこで、本実施形態では、圧縮機32A、32Bの異常検出時にバックアップ運転を行うバックアップ制御を行うようにしている。
図4はバックアップ制御を示すフローチャートである。この制御は、熱源機30の電装ユニット61が圧縮機32の異常を検出した場合に実行する制御である。前提として、電装ユニット61は、圧縮機32A、32Bに異常が生じてないか否かを継続的に監視する異常検出手段として機能しており、具体的には、圧縮機32A、32Bの駆動電流値が各々予め定めた許容範囲内か否かを監視する第1監視処理、圧縮機32A、32Bの吐出温度が各々予め定めた許容範囲内にあるか否かを監視する第2監視処理、高圧スイッチ5A、5Bにより圧縮機32A,32Bの吐出圧が許容範囲を超える高圧値になっていないか否かを監視する第3監視処理などを行っている。そして、第1監視処理では、いずれかの圧縮機32A、32Bの駆動電流値が許容範囲外になった場合に圧縮機異常が生じたと検出し、第2監視処理では、いずれかの圧縮機32A、32Bが吐出圧が許容範囲外となった場合に圧縮機異常が生じたと検出し、第3監視処理では、いずれかの高圧スイッチ5A、5Bにより吐出圧が高圧になったことが検出された場合に圧縮機異常が生じたと検出する。上記監視により圧縮機異常が検出された場合に、以下の制御が実行される。
図4に示すように、電装ユニット61は、まず、圧縮機異常を報知する処理を行う(ステップS1)。具体的には、圧縮機異常の検出結果に応じて予め定めたエラーメッセージ(エラーコードなど)を、リモートコントローラ52に表示すると共に、リモートコントローラ52のブザー(報音部)を駆動して異常が生じた旨を報知する。なお、異常が検出された圧縮機32については、異常が検出された時点で直ちにその運転が停止される。
続いて、電装ユニット61は、異常を検出していない圧縮機があるか否かを判定する(ステップS2)。ここで、本実施形態では、能力一定型の圧縮機32Aと、能力可変型の圧縮機32Bとを有しているため、いずれか一方の圧縮機のみの異常が検出された場合には、異常を検出していない圧縮機が存在する。
ここで、圧縮機32A、32B両方の異常が検出された場合には(ステップS2:NO)、両方の圧縮機32A、32Bの運転を停止し、電装ユニット61は、電子機器冷却装置40が全停止状態に制御する(ステップS3)。
一方、異常を検出していない圧縮機がある場合には(ステップS2:YES)、電装ユニット61は、異常を検出していない圧縮機によるバックアップ運転を開始する(ステップS4)。すなわち、電装ユニット61は異常を検出していない圧縮機の運転により熱源器30の運転を継続する運転手段としても機能する。
ここで、このバックアップ運転は、異常を検出していない圧縮機が、能力一定型の圧縮機32Aか能力可変型の圧縮機32Bか否かに応じて異なる。
詳述すると、異常を検出していない圧縮機が能力可変型の圧縮機32Bの場合、電装ユニット61は、異常を検出した能力一定型の圧縮機32Aの運転出力分を補うように、能力可変型の圧縮機32Bを運転する。例えば、能力一定型の圧縮機32AがX[kW]タイプ(Xは固定値)の場合、電装ユニット61は、このX[kW]分増大するように能力可変型の圧縮機32Bを運転する。この場合、電装ユニット61は、圧縮機32Bを単独運転した場合の出力と回転数との対応関係を記述したマップを参照し、マップに存在しない値は補完によって求めたり、ニューロ計算で学習しておくことによって、能力可変型の圧縮機32Bだけで要求された冷却負荷に対応させることができる。なお、冷却負荷は、室温と設定温度T0との差温、或いは、排熱温度と設定温度T0との差温などから定まる要求冷却能力である。これによって、能力冷却負荷に可能な限り対応した能力で熱源器30の運転を継続することができ、冷却負荷がよほど大きくない限りは殆ど能力ダウンさせずに熱源器30の運転を継続することができる。
一方、異常を検出していない圧縮機が能力一定型の圧縮機32Aの場合、電装ユニット61は、この圧縮機32Aの定速運転により熱源器30の運転を継続する。このようにして、圧縮機32Aを定速運転することにより、圧縮機32A、32Bの運転を全停止する場合は電子機器3の冷却が完全停止されるが、このような完全停止を回避することができ、電子機器3の稼働に対する支障を低減することができる。
ここで、この圧縮機32Aの定速運転では、要求された冷却負荷よりも多くなってしまう場合が生じるおそれがあり、かかる場合には、電装ユニット61は、圧縮機32Aの運転を停止し、冷却負荷が圧縮機32Aの出力よりも多いと判断された場合に、圧縮機32Aの運転を再開し、つまり、冷却負荷を超えないように間欠的に運転する。
以上説明したように、本実施形態によれば、圧縮機32A、32Bの異常を監視し、圧縮機の異常検出時には、異常を報知すると共に、異常検出しない圧縮機が存在するか否かを判定し、存在する場合は、異常検出しない圧縮機の運転により熱源器30の運転を継続するので、メンテナンス作業者などが復帰操作を行わなくても、冷却運転を継続することができ、復帰操作があるまで完全停止となる従来のものに比して運転停止の時間を大幅に短くすることができる。
また、異常をリモートコントローラ52に表示することによって管理者にメンテナンスを促すことができる。
しかも、異常検出しない圧縮機が能力可変型の圧縮機32Bの場合には、異常検出した圧縮機32Aを停止させると共に、この圧縮機32Aの出力分を補うように圧縮機32Bを運転するので、冷却負荷に対応した能力で熱源器30の運転を継続することができる。
また、異常検出しない圧縮機が能力一定型の圧縮機32Aの場合には、異常検出した圧縮機32Bを停止させると共に、冷却負荷を超えないように圧縮機32Aを間欠的に運転するので、冷やしすぎを避けつつ熱源器30の運転を継続することができる。
以上、本発明を実施するための最良の形態について述べたが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想に基づいて各種の変形及び変更が可能である。例えば、上述の実施形態では、2台の圧縮機32A、32Bを有する電子機器冷却装置40に本発明を適用する場合について説明したが、これに限らず、3台以上の圧縮機を有する電子機器冷却装置40にも広く適用が可能である。
また、上述の実施形態において、キャビネット11内を仕切る仕切り板を上下に間隔を空けて配置する構成に限らず、左右に間隔が空くように縦配置して電子機器3の縦置き配置が可能に構成してもよい。この場合、これら仕切り板を境に蒸発器を上下或いは左右に複数の蒸発部に分割すると共に、各蒸発部に膨張弁を設け、各段の電子機器の放熱に応じて該放熱分を冷却するように各膨張弁を個別に制御してもよく、また、一つの段内で上下或いは左右に複数の蒸発部を設けると共に、各蒸発部に膨張弁を設け、同じ段内でも領域毎に異なる放熱分を冷却するように各膨張弁を個別に制御するようにしてもよい。
また、上述の実施形態では、空冷式の熱源機30を使用する場合について説明したが、これに限らず、図5に示すように、水冷式の熱源機30Xを使用してもよい。水冷式の熱源機30Xを使用する場合は、図示せぬクーリングタワーから延びる水配管101、102とに熱源機30Xを配管接続する構成を採るため、複数の熱源機30Xを重ねて配置でき、熱源機30Xの配置スペースが小さくなる。また、本発明は、熱源機30、30Xから延びるメイン冷媒配管31に空気調和装置を接続し、この空気調和装置によりコンピュータルーム2内の空調を行う電子機器冷却システムにも適用してもよい。
また、熱源機30、30Xは、四方弁を有しない冷房(冷却)サイクル専用機の構成としてもよい。また、上記熱源機30、30Xが備える圧縮機32は、電動機で駆動される形式、いわゆるEHP(電気式ヒートポンプ)形式のものであったが、これに限るものではなく、ガスエンジンの駆動によって圧縮機を駆動させるGHP(ガスヒートポンプ)形式の熱源機としてもよい。
本発明の一実施形態に係る電子機器冷却システムを示す図である。 サーバラックを示す図である。 電子機器冷却装置の回路構成を示す図である。 バックアップ制御を示すフローチャートである。 水冷式の熱源機を用いた電子機器冷却システムを示す図である。
符号の説明
1 電子機器冷却システム
2 コンピュータルーム
3 電子機器
4 ファン
10 サーバラック
11 キャビネット
12 リアドア
20 電子機器冷却ユニット
21 蒸発器
22 上側蒸発部
23 下側蒸発部
25 フレキシブル液管
26 フレキシブルガス管
28A、28B、36 膨張弁
30、30X 熱源機
31 メイン冷媒配管
31A メイン液管
31B メインガス管
32 圧縮機
32A 能力一定型の圧縮機
32B 能力可変型の圧縮機
40 電子機器冷却装置
51 電装ユニット
52 リモートコントローラ
61 電装ユニット(異常検出手段、制御手段)
P1A〜P5A及びP1B〜P5B 接続ポート

Claims (3)

  1. 複数台が並列に接続された圧縮機及び凝縮器を有する熱源機と、
    前記熱源機から延びる冷媒配管に接続されると共に、ファン付きの電子機器を収容したキャビネットの開口を閉塞するリアドアに配設された蒸発器と、
    により冷凍サイクルを構成し、
    前記電子機器に付設したファンで送風される空気を前記リアドアの蒸発器で冷却して室内に戻すと共に、
    前記圧縮機の異常検出手段を備え、
    異常検出時には、該異常をリモートコントローラに表示すると共に、異常検出していない圧縮機が存在する時には、該圧縮機の運転により熱源機の運転を継続する制御手段を備えたことを特徴とする電子機器冷却装置。
  2. 請求項1に記載の電子機器冷却装置において、
    前記制御手段は、異常検出していない圧縮機に能力可変型の圧縮機がある場合、異常検出した圧縮機の出力分を補うように前記能力可変型の圧縮機を運転することを特徴とする電子機器冷却装置。
  3. 請求項1又は2に記載の電子機器冷却装置において、
    前記制御手段は、異常検出していない圧縮機が能力一定型の圧縮機の場合、冷却負荷を超えないように前記能力一定型の圧縮機を間欠的に運転することを特徴とする電子機器冷却装置。
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