JP2009103756A - 液晶素子、空間光変調素子、光路偏向素子、および画像投射装置 - Google Patents

液晶素子、空間光変調素子、光路偏向素子、および画像投射装置 Download PDF

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敬信 逢坂
Toshiaki Tokita
才明 鴇田
Hiroshi Fujimura
浩 藤村
洋平 ▲高▼野
Yohei Takano
Masanori Kobayashi
正典 小林
Toshimichi Hagitani
利道 萩谷
Yumi Matsuki
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Abstract

【課題】液晶を用いた画像表示装置において、光学的異方性を避けるためと、高速応答のために、液晶を基板に対して垂直若しくはそれに近い配向にする必要がある。液晶には強い光、波長の短い光があたることが多いので、従来のポリイミドの配向膜では劣化が生じ寿命が短くなる。配向膜を無機化したいが、SiO斜方蒸着を液晶配向膜とした場合、液晶として特性の優れる誘電率異方性が正のものを使うと水平配向になってしまう。金属アルコラートを用いて垂直配向にする技術はあるが工程が複雑になっている。
【解決手段】液晶を挟む2枚の基板の内、少なくとも一方の基板側の液晶配向膜を金属にすることにより、基板の間に封入する液晶は、誘電率異方性(Δε)が正のものを用いていながら、基板に対して垂直若しくはほぼ垂直に配向させることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、液晶ディスプレイ、プロジェクタなどに用いられる液晶素子、画像表示装置に関する。
パーソナルコンピュータ用の液晶ディスプレイ、液晶テレビ、液晶プロジェクタ等の液晶を用いて、光の偏光の制御を、明暗(光強度の大小)の制御に用い、画像表示を行う装置が普及している。これらの液晶を用いた画像表示装置において、液晶は対向する二枚の基板の間に狭持されており、また、液晶配向膜により、配向させられている。液晶の配向とは、液晶分子の長軸が一方向に平均的に揃うことを意味する。ここでいう平均とは時間的空間的に、の意味である。
液晶配向膜は、ガラス基板の上、或いは、半導体基板の上に形成される。現在液晶配向膜には、有機材料であるポリイミドが代表的である(例えば特許文献1 参照。)。基板の上にスピンコート或いは印刷といった手法により、液体状の配向膜を塗布し、それを乾燥、焼成の工程を経て、薄膜とする。この時点では、薄膜はまだ液晶を配向させる機能を有しない。薄膜は、その後、ラビングされ、その表面に方向性を持たせられる。この方向に沿って液晶(分子)は配向する。ラビングはローラに布を巻きつけて、そのローラを回転させながら、ローラをポリイミド薄膜に押し付け、薄膜全面を擦るものである。
ポリイミドの配向膜の面に対して、液晶分子はその分子長軸を平行に、或いは、少し傾いた状態で配向する(プレチルト)。このプレチルトに関して、数十度の大きな角度を持たせることは、材料特性、ラビングの手法的に困難である。
液晶分子は、複数の原子が棒状或いは鎖状に結合したものであり、その長い方向を長軸と称する。
上記のディスプレイ、テレビ、プロジェクタ等の液晶を用いた画像表示装置の普及と共に、画質に対する要求も高まっている。画質といっても幾つかの指標があり、その一つに、例えば、コントラスト比がある。これは簡単に、画面全面に白を表示させ、その強度を測り、次に黒を表示させて、その強度を測り、単純にその比(黒/白)を取ったものである。白表示黒表示の順序は逆転しても良い。ここで、強度とは、照度或いは輝度である。この比が高いほど、コントラスト比は高く、画質として好ましい。広い範囲の階調再現が可能であり、階調表現が豊かになるためである。
また、画面全面の単純な白と黒との比でなく、画像表示の全領域(一般的に長方形)を面積的に均等に16分割(4×4)して、白と黒とを交互に表示させ、所謂チェッカーパターンとして、それらの白と黒との平均値を取るANSIコントラスト比がある(ANSI:American National Standards Institute)。画像表示装置には、光源の特性、用いる光学素子の影響により、光の強度に空間的な分布が生じる。このため、画面全面が同じ強度であることはなく、例えば、画面の中央と四隅とでは、強度に差が生じるということである。上記の単なる画面全面の白と黒との比では、この分布を正確に表すことができない。しかし、ANSIコントラスト比であれば、この分布を含めた評価が可能になる。
いずれのコントラスト比にしても白と黒との比が大きいほど、高コントラストであり、高画質であり、好まれる。
これに対して、液晶分子長軸を配向膜に対して垂直にする、垂直配向(Vertical Alignment)が好ましい。これは、入射する光が直線偏光であった場合、その電場の振動方向に対して、液晶分子長軸が垂直になり、光学的異方性が生じないことにより、漏れ光が生じないためである。ここで完全に垂直でなくともよく、少し傾いていても良い(垂直に近い配向)。
また、液晶を垂直、或いはそれに近い配向にするほうが、印加した電界の極性の反転に追随しやすい利点がある。即ち、高速応答が可能となる。これにより画像表示装置に動画を表示させたときに、高画質が可能となる。
以上の述べてきたように、液晶を用いた画像表示装置において、液晶の垂直、もしくはそれに近い配向を保証することは一つの課題である。
また、別の課題がある。プロジェクタなどの強い光にポリイミドの配向膜が長時間曝されると、光に含まれる紫外線、あるいは光の吸収により発生する熱により、ポリイミドが劣化する。これにより液晶配向性が損なわれ、充分な画像表示が行えなくなる。
これに対して、配向膜を無機化する方法が有利である(特許文献2 参照。)。一例として、二酸化珪素(SiO)を材料として、斜方蒸着法により、斜方蒸着膜を基板に付け、これを液晶配向膜として用いる。SiOの斜方蒸着膜が液晶配向膜として用いられることは古くから知られている。また材料として、一酸化珪素(SiO)も用いられる。蒸着方法としては、真空蒸着、スパッタリングが用いられる。SiOを材料に用いた場合、蒸着中に、酸素が欠損して、蒸着膜はSiO(x<2)となる。しかし以下では、SiOを材料として作製した斜方蒸着膜に関してはSiOと表すことにする。
特許文献2では、基板上に斜方蒸着膜などの無機配向膜を設け、さらにその無機膜の上に有機の薄膜を設ける。液晶の配向不良が生じ難いと主張されている。しかし、液晶の配向性は改善したとしても、有機材料であるため、プロジェクタ内の強い光に当れば劣化が予想される。
無機材料のなかでも、特に安定であるSiOを用いれば、耐光性は向上する。SiOが耐熱性に優れ、紫外線の吸収も僅かなためである。
プロジェクタの場合、ポリイミドの配向膜では数千時間の耐光性が、SiO斜方蒸着膜などに無機化することにより耐光性が数万〜数十万時間に向上すると言われている。したがって、液晶配向膜を無機化すれば、寿命は一桁以上向上の効果が得られる。
特許文献3によれば、基板上に無機斜方蒸着膜を垂直配向用の液晶配向膜として用い、前記斜方蒸着膜の表面水酸基を金属アルコラートで化学反応処理している。しかし、金属アルコラートで化学反応処理した斜方蒸着膜は、有機溶剤で超音波洗浄し、乾燥させる必要がある。即ち斜方蒸着膜を基板に付けた後、表面処理、洗浄、乾燥の3工程必要になる。また、垂直配向に用いられている液晶材料は、誘電率異方性が負のもの(Merck社 MLC -6610)である。
金属は一般に熱に強く、金属を配向膜に用いた場合も同様の耐久性が得られるものと考えられる。液晶配向膜ではないが、金属薄膜を反射膜等に用いる光学素子は、プロジェクタ装置内に多々用いられ、高い耐光性を示している。
斜方蒸着法によれば、基板に対して傾いたSiO柱状の構造体が形成され、この形状の効果により液晶は垂直、或いはそれに近い配向をすると言われている。ベタのSiO膜では、特定の方向に分子長軸が向いた液晶配向は得られない。即ち、無配向である。柱状の構造体は、カラム(Column)構造とも呼ばれる。この構造体の大きさは、数百ナノメートル以下である。基板の上に、無数の柱状構造体が集合して、薄膜を形成する。基板の傾き角により、形成される柱状構造体の形状、その基板に対する傾きが変ってくる。
SiO斜方蒸着を液晶配向膜とした場合、垂直配向に用いられる液晶は誘電率異方性(Δε)が負のものである。誘電率異方性が正の液晶材料も当然存在する。しかしながら、これらの液晶分子は、上記の斜方蒸着膜では水平配向となる。液晶材料の中には、異方性が正の材料の中に、諸特性に優れるものもあり、Δεが正の液晶材料を垂直配向させることが課題となる。ただし、Δεが負の液晶材料も垂直配向できることが好ましい。
また別の無機材料を用いた液晶配向膜として、陽極酸化による多孔性アルミナがある。これは、基板にアルミの薄膜を形成したものと、主として貴金属からなる電極とを向かい合わせ、アルミの薄膜を陽極に、貴金属の電極を陰極として、両者を酸性の水溶液に入れ、電流を流すものである。これにより、アルミの薄膜は陽極酸化され、非常に多数の孔が形成される。作製条件により、この無数の孔のサイズ、孔の配列の仕方を制御できる。このようにして作製した膜は液晶配向膜として用いることができる。孔のサイズは数百ナノメートル以下である。
このとき用いる液晶は、垂直配向であれば、やはり誘電率異方性が負のものである。誘電率異方性が正の液晶を垂直配向させることが課題となる。
特開2005−55739号公報 特開2003−165175号公報 特開2006−47613号公報
本発明は、金属薄膜、無機斜方蒸着膜と、完全に無機材料のみとすることで、有機材料を用いた場合と比較して、高耐光性を持たせることを目的とする。
また、本発明は、斜方蒸着膜を基板に付けた後、金属薄膜を付けるだけで良いようにし、従来の3工程から1工程に簡素化することを目的とする。
また、本発明は、誘電率異方性が正の液晶材料を垂直配向させることを目的とする。
請求項1に記載の発明では、片面に無機材料からなる液晶配向膜が形成された2枚の基板を、前記液晶配向膜を内側に対向させて配置し、前記2枚の基板の間に液晶を封入した液晶素子であって、前記液晶配向膜の少なくとも一方が金属の薄膜であり、前記液晶が前記基板に対して垂直若しくはそれに近い配向をする液晶であることを特徴とする。
請求項2に記載の発明では、片面に無機材料からなる液晶配向膜が形成された2枚の基板を、前記液晶配向膜を内側に対向させて配置し、前記2枚の基板の間に液晶を封入した液晶素子であって、前記液晶配向膜の少なくとも一方が、千ナノメートル以下の構造体からなる無機の薄膜と、金属の薄膜の二層からなり、前記液晶が前記基板に対して垂直若しくはそれに近い配向をする液晶であることを特徴とする。
請求項3に記載の発明では、請求項1または2に記載の液晶素子を用いる空間光変調素子を特徴とする。
請求項4に記載の発明では、請求項1または2に記載の液晶素子を用いる光路偏向素子を特徴とする。
請求項5に記載の発明では、請求項1または2に記載の液晶素子を少なくとも1つ用いる画像投射装置を特徴とする。
本発明によれば、液晶配向膜に無機材料、金属を用いるため、耐光性の向上が可能となるとともに、金属薄膜であることにより、誘電率異方性が正の液晶材料を垂直配向させることができる。
図1は本発明の1つの実施例を模式的に示す図である。同図(a)は断面図、同図(b)は斜視図をそれぞれ示す。理解を容易にするため、部分的に極端に拡大して示してある。
同図において符号11は基板、12は液晶配向膜、12’は金属の液晶配向膜、13は液晶層をそれぞれ示す。
液晶素子は、一対の基板11、11、およびそれに挟持された液晶層13からなり、二枚の基板には、液晶配向膜が設けられている。この液晶配向膜のうち、いずれか一方が金属であることが特徴である(同図では液晶配向膜12’が金属の場合を示している)。
このようにすることで、特性の優れた液晶である誘電異方性Δεが正の液晶を用いて垂直配向をさせることができる。さらに、他方の液晶配向膜を無機材料で形成することにより、液晶装置全体としての耐光性を高めることができる。
金属膜は単元素からなるものでも、二つ以上の元素からなるもの、合金等であっても構わない。
基板11、11の材料は、ガラス基板、樹脂等の可視光に対して透明な材料、或いは、Si等の半導体材料である。
基板の厚みは数mm以下であり、液晶配向膜の厚みは数nmから数百nmであり、液晶層の厚み数μmから数十μmである。同図(b)において、縦と横の大きさは数mm×数mm、或いは数cm×数cmの大きさであり、基板、配向膜、液晶層の厚み方向より一桁程度大きいものである。同図においては厚みを誇張して描いてある。
また同図において、液晶分子を楕円(体)状に表し、この分子が、配向膜に対して垂直になっている様子を示している。しかし、実際の液晶分子は、原子が連なったものであり、楕円体は、その包絡線で近似したものである。また、液晶層の厚みに液晶分子が二つ、三つしかないように描いてある。しかし、実際には、液晶層の厚み数μm〜数10μmに対して、液晶分子の大きさは数Åないし数十Åである。液晶分子が隙間無く、直線状に並んだとして、分子の数は数千から数十万となる。
図2は液晶分子を模式的に示す図である。同図(a)は液晶分子を楕円体で近似した図、同図(b)はプレチルトを表す図である。
同図(a)において、実際の液晶分子は、水素、炭素、酸素などの軽元素が直線状に並んだもの、分子によっては、折れ曲がり、ジグザグを有し、またベンゼン環等を含むことも多々ある。しかし、模式的には、楕円体で近似する場合が多い。この、楕円体の長軸を分子長軸と称する。
同図(b)において、直交座標xyzを考え、xy面を配向膜、或いは基板面とし、z軸方向が液晶層の厚み方向となるように定める。
分子長軸がz軸に平行であれば、液晶は垂直配向である。しかし、z軸から分子長軸が傾いている場合、プレチルトしているという。そのxy面からの角度をプレチルト角(°)と呼ぶ。
本発明において、「垂直、或いはそれに近い配向」という表現は、プレチルト角が90°、或いは90°に近いときを指すものとする。実用的にはおよそ85°までの範囲で用いることが好ましいが、許容範囲としては70°以上である。これより角度が小さくなると、垂直配向に期待される液晶の特性が十分発揮できなくなる。
本実施例では、液晶材料に室温付近或いは動作時の環境温度でネマチック相の液晶を用いる場合を想定しているがこれに限られるものではない。強誘電性液晶であっても構わない。強誘電性液晶の場合、同じく室温付近、或いは素子、装置の動作時の環境温度で、スメクチックA相、スメクチックC相の液晶であってもよい。ここで動作時の環境温度とは、例えば、照明光が液晶素子に当り、素子の温度が上昇した場合、40℃〜60°等となり、室温よりも高い温度を指す。
また、液晶性化合物、キュアラブル液晶、ジアゾ化合物を含む液晶、液晶ポリマ、ポリマ分散液晶などであっても構わない。
以下に具体例を示す。
ガラス基板を、超純水で中性洗剤を薄めた水溶液中で、超音波洗浄する。その後充分に超純水で水洗したあと、乾燥させる。ガラス基板はコーニング社EAGLE2000を用いた。基板のサイズは52×68×0.5mmである。この洗浄したガラス基板にスパッタリング装置(HITACHI E-1030suptter)により白金−パラジウムPt−Pd(組成比80:20)の薄膜を付けた。この基板一枚に、Pt−Pd膜を付けた面に、直径50μmのギャップ剤(ビーズ)が多数に入った接着剤を基板両端に帯状に塗布した。接着剤は熱硬化型である。塗布した直後に80℃に加熱したオーブンで30分乾燥させた。次に、Pt−Pd膜を付けたもう一枚の基板の、薄膜の有る面を、先の乾燥済の接着剤に付け、基板二枚を貼り合わせた。これを以降でセルと呼ぶことにする。またセルと素子とは同じものを指すとする。その後、セルギャップを均一にするために荷重をかけて、150℃に加熱した、オーブンで約2時間加熱した。基板の間には50μmの隙間(ギャップ)があり、この間に液晶を注入する。液晶注入は110℃に加熱したホットプレート上にセルを置き、暫く放置、セルが暖まった後、毛管法により液晶を注入する。液晶は室温前後ではネマチック相のものを用いた。また、誘電率異方性が正のものを用いた(Merck社 E-44)。液晶注入時は、温度が高いため、等方相である。セル全体に液晶が入った後、ホットプレートの電源を切り、徐々に冷却した。
図3は液晶セルの模式図である。同図(a)は液晶層を示す図。同図(b)はセルの側面図をそれぞれ示す。各部材の大きさ、厚みは誇張して示してある。
同図において符号31は基板、32は配向膜、33は液晶層、34はギャップ材、35は接着剤をそれぞれ示す。
二枚の基板31、31が、球状のギャップ材34が入った接着剤35を介して対向させられている。ギャップ材34入りの接着剤35は基板31、31の両側部に設けられている。上の例で、ギャップ材34の直径は50μmである。ただし、50μmは一例であり、これに限定されるものでなく、これ以上でもこれ以下でもよい。基板31、31の内面側には液晶配向膜32、32が設けられている。このギャップに液晶を毛管法により注入し、液晶層33を形成する。
図4は本実施例の液晶素子の偏光顕微鏡による像を示す図である。同図(a)は実際の像の写真、同図(b)はその説明図である。
室温までセルの温度が下がった後、偏光顕微鏡で、液晶層の確認を行った。観察は、偏光顕微鏡のポーラライザとアナライザとがクロスニコルになる配置で行った。同図にオルソスコープ像とコノスコープ像を示す。オルソスコープ像では、液晶の配向欠陥は見られず、均一な配向をしている。またコノスコープ像では、十字のアイソジャイアが観察され、垂直配向していることが確認できた。それぞれの結果から欠陥が無く液晶配向性が均一であること、十字のアイソジャイアが観察され垂直配向であることが分る。
本実施例により、誘電率異方性が正の液晶材料を用いて垂直配向をさせられることが確認できた。
Pt−Pdの膜厚を0.6nm、1.2nm、1.8nm(上記スパッタリング装置付属の膜厚計で測定)と変え、セルを作製したが、液晶配向性に変化は見られず、いずれも垂直配向であった。Pt−Pdは金属であるが故、膜厚が厚くなるほど、褐色の着色があり、また反射率も増大する。透過型の液晶素子として用いる場合膜厚はできる限り薄いほうが望ましい。半透過型液晶素子の場合は所望の反射率が得られるように膜厚を調整する。また反射型の液晶素子の場合、反射率が100%に近づくような膜厚で膜を付けるのが好ましい。ここで、透過型、半透過型、反射型液晶素子は、本液晶セルを適用したものを指す。
また比較として、Pt−Pdの薄膜を設けない同種のガラス基板からなる液晶セル、つまり配向膜の無い液晶セルを作成した。この液晶セルでは、垂直液晶は得られなかった。液晶層全面にシュリーレン模様が現れるのみであった。
さらに比較として、SiOの斜方蒸着膜を配向膜として用いた液晶セルを作製した。
図5は斜方蒸着膜を作製する斜方蒸着法を説明する基本構成図である。各構成の大きさ、距離等は誇張して示してある。
同図において符号51は真空槽、52は真空ポンプ、53は蒸発源、54は基板、55はスリット、56は蒸気、57は基板傾き角、58は水平線をそれぞれ示す。
蒸発源53は蒸発材料であり、一般的に使われるのは、一酸化珪素SiO、二酸化珪素SiOである。またAl、ZrO等の酸化物、CaF、MgF等の弗化物であってもよい。これらの材料は、粉体、顆粒、ペレット、円盤状のターゲットなど種々の形体に加工成形され用いられる。一般的に、これらの材料のうち、低融点のものは抵抗加熱で、高融点のものは電子線加熱で、加熱される。上記材料は、高融点のタングステンW、モリブデンMo等の金属製のボート、また、冷却機構に付けられた銅製Cuの坩堝等の容器に入れ、加熱され、蒸発される。材料は蒸気56となり、飛散する。飛散の様子を同図の数本の矢印で示す。蒸気56は広がりを持って飛散し、基板に到達する。同図中のスリット55は蒸気56の広がりを制限するために用いている。膜を蒸着させる基板54は、水平線58に対して、傾けて設置する。この傾き角をθで表すことにする。
この基板の傾きは、ステッピングモータなどにより、高精度に制御できるものを用いる。θは0°から90°の範囲で動く。θ=0°ではベタな膜となり、θ=90°で膜はほとんど蒸着しない。基板を適度に傾け、θを0°から90°に向けて角度を大きくすることにより、基板に到達する蒸気と、基板の法線との成す角が大きくなる。これが斜方蒸着膜を形成する構成である。
ここでは基本的な構成のみを示したが、実際には膜質を向上させるために、種々の工夫がなされる。例えば、基板を加熱するハロゲンランプヒータ、基板の回転機構、スリット或いは基板のスライド機構などである。また、ここでは真空蒸着法を説明したが、スパッタリング法でも同様の斜方蒸着が可能である。
図6は斜方蒸着膜を示す模式的な図である。同図(a)は膜を誇張した断面図、同図(b)は平面図である。
同図において符号61は基板、62は構造体(カラム)をそれぞれ示す。
同図(a)において、基板61上に柱状の構造体(カラム)62が多数形成されている様子を描いたものである。
柱状構造体62の高さは、基板61に対して誇張して描いてある。柱状構造体62の高さは所謂膜厚に相当する。配向膜としては、柱状構造体の高さは、数十nmから数百nmである。大きくても1000nm以下が好ましい。これを大きくするほど作成に時間がかかるので経済的に好ましくない。一般的に100nm前後が適当である。また柱状構造体62の幅(直径)は、数nm〜数十nmである。高さ、幅とにも多少の分布を有する。例えば、高さ100nmに対して±数nm、幅20nmに対して±数nmである。特に高さの分布は液晶配向性の良し悪しに影響を与えるため、この分布を小さくするほうが好ましい。またこの柱状構造体62は、基板61に対して傾いている。ただし、この傾きと上記の基板61の蒸着時の傾きとは必ずしも対応するものでない。同図(b)において、柱状構造体62の上面は、近似的に円、楕円で表されるが、厳密には複雑な形状をしている。また大きさも揃っておらず、分布を有する。例えば直径20nmに対して±数nmである。ここで直径は、上記断面での幅と同じである。柱状構造体62は自己組織化的に、密に成長する。また柱状構造体62の配列に規則性は見られない。柱状構造体62の集合を斜方蒸着膜と呼ぶことにする。
図7は斜方蒸着膜上の液晶の配向を示す模式図である。同図(a)は斜方蒸着膜上に、誘電率異方性が負の液晶が、プレチルト角を有して配向した様子を示す図、同図(b)は斜方蒸着膜上に、誘電率異方性が正の液晶が、水平に配向した様子を示す図、同図(c)は液晶分子がプレチルトを有さず、ほぼ垂直に配向した様子を示す図である。各図は柱状構造体の大きさに対して、液晶分子の大きさを誇張して描いてある。図中の破線は図2に示したXY平面を示す。紙面はXZ平面もしくはYZ平面を表すものとする。
同図において符号71は基板、72は柱状構造体、73、73’は液晶分子をそれぞれ示す。
同図(b)において、液晶分子が円形に見えるのは、楕円体状の液晶分子を分子長軸から見ているためである。液晶分子の誘電率異方性の正負により、配向性に垂直と水平の差が生じることは良く知られている。ただし、斜方蒸着膜は同じ条件で作製し、同質のものであるとする。
次に比較例を説明する。
上記説明してきた斜方蒸着膜を実際に作製した。ガラス基板はコーニング社EAGLE2000を用いた。基板のサイズは52×68×0.5mmである。ガラス基板を、超純水で中性洗剤を薄めた水溶液中で、超音波洗浄する。その後、充分に超純水で水洗したあと、乾燥させる。この洗浄した基板に、斜方蒸着膜を作製した。真空蒸着装置は昭和真空社製のSEC−16Cを用いた。基板の傾き角θは40°とした。材料は顆粒状(〜1mm)のSiOを用いた。SiOを電子線で加熱、蒸発させた。蒸着中の真空度は約5×10−3Paである。また蒸着中は、酸素の欠損が起るため、酸素ガスを約10sccm流した。一般に、SiO膜を作製すると、酸素欠損が起り厳密にはSiO(x<2)となる。しかし、ここではSiOと記すことにする。膜厚の設定値は100nmとした。
作製した斜方蒸着膜の付いたガラス基板二枚を用いて、上記で説明した液晶セル作製の方法により、図3に示した液晶セルを作製した。液晶には、誘電率異方性が正のもの(Merck E-44)を用いた。液晶配向性をポーラライザとアナライザをクロスニコルにした偏光顕微鏡で、オルソスコープ像とコノスコープ像とで確認した。オルソスコープ像では、液晶配向は均一に見えた。しかし、コノスコープ像は観察できなかった。また偏光顕微鏡下で、液晶セルを回転させると45°ごとに明暗を繰り返し、水平配向であることを確認した。
実施例1で、同じ誘電率異方性が正の液晶(Merck E-44)は垂直配向している。液晶配向膜に金属の薄膜を用いることで、効果が得られたことが分る。
図8は二層からなる液晶配向膜の例を示す模式図である。同図(a)は側面図、同図(b)は二層の配向膜の詳細図である。
同図において符号81は基板、82は液晶配向膜、82’は二層の液晶配向膜、83は液晶層をそれぞれ示す。
液晶配向膜82’が、千ナノメートル以下、好ましくは数百ナノメートル以下の構造体の集合からなる無機の薄膜と金属の薄膜の二層からなる。千ナノメートル以下の構造体の集合とは、例えば柱状構造体のことである。この無機の薄膜の上に、金属の膜を付ける。同図(a)では、基板の一方に、この二層からなる液晶配向膜82’があり、もう一方が、単層の液晶配向膜82である例を示している。二層からなる液晶配向膜82’で液晶分子はプレチルトのついた配向をしており、単層の液晶配向膜82では、ほぼ垂直に近い配向をしている様子を描いている。本図においては、基板81に対して液晶配向膜や液晶分子は誇張して描いてある。同図(b)では、二層からなる液晶配向膜82’近傍を拡大したものである。斜方蒸着膜の上に、金属の薄膜を付けると、その表面は、斜方蒸着膜の表面凹凸(これは、柱状構造体の凹凸である)を継承する。この微小な凹凸により、液晶にプレチルトが生じると考えられる。図1およびそれを具体化した図4では、液晶分子はほぼ垂直配向である。これは、金属の薄膜が極めて平坦であり、凹凸が無いためと考えられる。
図8では一方の基板に関してのみ、液晶配向膜が二層となっているが、対向する基板の双方の液晶配向膜を二層構成にしても構わない。
また上記千ナノメートル以下の構造体としては、上記の柱状構造でなくとも、陽極酸化アルミナのような、円柱状の孔のあいたものであっても構わない。
ガラス基板の上にSiOの斜方蒸着膜を付け、その上にPt−Pdの金属膜を付けた。本例では、ガラス基板に、コーニング社の7059を用いた。基板の大きさは52×68×1mmである。ガラス基板は、超純水で中性洗剤を薄めた水溶液中で、超音波洗浄した。その後充分に超純水で水洗したあと、乾燥させた。斜方蒸着膜の作製方法は上記で説明した通りである。ここでは、基板の傾き角は60°である。成膜中に酸素ガスを流す条件は同じく約10sccmである。斜方蒸着膜の設定膜厚は100nmである。次に、斜方蒸着膜のついたガラス基板に、上記のスパッタ装置によりPt−Pdの金属膜をつけた。Pt−Pdの膜厚は、装置に付属の膜厚計で0.6nmである。このPt−PdとSiO斜方蒸着膜のついたガラス基板を上記の方法により液晶セルとした。
液晶は誘電率異方性が正のもの(Merck社E-8)を用いた。上記と同様に偏光顕微鏡で液晶配向性を観察した。
図9は本実施例の液晶素子の偏光顕微鏡による像を示す図である。同図(a)は実際の像の写真、同図(b)はその説明図である。
同図に示すように、オルソスコープ像から、液晶配向性は均一であることが分る。また、コノスコープ像では十字のアイソジャイアが観察されている。しかし、十字の中心は、視野の円の中心からはやや左下にずれていることが分る。これは図4と比較しても明らかである。即ち、液晶分子がプレチルトしていることが分る。
この液晶材料も、配向膜がSiO斜方蒸着膜(θ=60°)の場合、水平配向する。
SiO斜方蒸着膜にPt−Pdの金属膜をつけることにより、プレチルトの有る液晶配向が可能となる。
本実施例のように、斜方蒸着膜と金属の配向膜を用いることにより液晶素子の耐光性が増す。誘電率異方性が正の液晶を垂直に近い配向をさせることができる。また垂直配向にするための処理工程が、金属膜をつける一工程のみになり、工数が削減できた。
Pt−Pd以外の金属を数種試した。それらの材料は銀Ag、アルミニウムAl、タングステンW、チタンTiである。Pt−Pdと同じく、スパッタリングにより成膜した。ただし、装置はULVAC社製のSBH−2306Rを用いた。ガラス基板はコーニング社の7059である。サイズは52×68×1mmである。上記と同様の基板洗浄をした後、SiOの斜方蒸着膜を上記と同様の方法で、ガラス基板上に付けた。θ=40°と60°の二種とした。
その上にAg、Al、W、Tiのいずれかの金属膜を厚みが数nmとなるように付けた。このSiO斜方蒸着膜上に金属膜のついたガラス基板二枚を用いて、上記と同様の方法で液晶セルを作製した。液晶材料は誘電率異方性が正のもの(Merck社のE-8)である。
Ag、Al、W、TiのうちAgのみにθ=40°でプレチルトのついた垂直に近い配向が、θ=60°で垂直配向が得られた。Al、W、Tでは、転傾、或いはシュリーレンパターンといった液晶の配向欠陥が多く現れた。均一な液晶配向は見られなかった。
Ag、Pt、Pdは、所謂貴金属に分類される。したがって、これ以外の貴金属として銅Cu、金Au、ロジウムRh、イリジウムIr、ルテニウムRu、オスミウムOsにも、誘電率異方性が正の液晶を垂直、或いはそれに近い配向をさせる効果があると推測する。本発明において、これらの貴金属を用いることを好ましいとする。
図10は液晶を駆動するための電極を付加した構成を示す図である。同図(a)は平面図、同図(b)は断面図である。
同図において符号100は液晶装置、101は基板、102は配向膜、103は液晶層、104はギャップ材、105は接着剤、106は交流電源、107は抵抗膜、108は透明電極をそれぞれ示す。
これまで説明してきた液晶素子は静的であるが、液晶素子に電極を追加することにより、液晶を駆動させる液晶装置を作ることができる。同図は光路偏向素子として用いることのできる液晶装置の基本構成を示している。櫛型の透明電極108が設けられており、これが交流電源106に接続されている。これにより、電界が生じる。その方向は(b)の両矢印で示したように液晶層103に対して水平となる。透明電極108としては、ITO(インジウム−スズ酸化物)、或いはZnO、TiOなどである。透明電極108を櫛型にするのは電界を均一にするためである。また抵抗膜107も、同様に電界を均一にするためのものである。透明電極108は、液晶層103の有効領域にあるため、可視光に対してできる限り無色透明であることが好ましい。しかし、抵抗膜107は、液晶層103の有効領域外に設ければよく、着色があっても良い。材料としてはSi―Cr系のものなどが良い。透明電極108はガラス基板に、例えばITOの膜をスパッタリングにより作製し、その後、櫛型のパターンエッチングにより、形成する。また抵抗膜107はスパッタリングにより作製する。櫛型透明電極108は、例えば、幅が10μmで、ピッチが100μmといったものである。同図では紙面の都合で5本しか描いていないが、幅数cm基板に対しては数百本ある。櫛型透明電極108を作製した後、斜方蒸着膜を形成する。櫛型透明電極108の厚みは例えば数百Å〜1000Åである。これにより段差を解消するために、櫛型透明電極と斜方蒸着膜の間に、別途、段差を緩衝する下地層があってもよい。
このような構成の液晶装置は、光路偏向素子として用いることができる。
同図では、片側の基板にのみ櫛型透明電極108を設けたが、対向する基板の双方に設けても構わない。そのほうがより均一な電界が形成できる。
基板としてガラスを用いた場合、液晶配向膜とは反対の側の面に、反射防止膜を設けることが好ましい。
配向膜が金属、或いは、無機と金属膜からなる液晶素子を光路偏向素子に用いることにより、高い耐光性の光路偏向素子を提供できる。
図11は液晶素子を用いた空間光変調素子を模式的に示す図である。同図(a)は画素配列を示す正面図、同図(b)は側断面図である。
同図において符号110は空間光変調素子として用いることのできる液晶装置、111は基板、111’は基板兼用のカバーガラス、112は液晶配向膜、112’は画素電極、113は液晶分子、118は透明電極をそれぞれ示す。
同図は反射型空間光変調素子の例である。同図(a)において、画素配列は、図の都合で4×6の24画素しか描いていないが、実際には、例えばXGA(Extended Graphic Array)の規格、768×1024画素ある。画素サイズは、正方形の一辺で10μm前後である。同図では、画素間の隙間を画素サイズに対して誇張して描いているが、実際の相対的な隙間はもっと狭い。
同図(b)において、電気回路(図示せず)の形成された半導体基板111の上に、画素が形成されている。同図では省略して3画素のみ描いている。この画素は鏡面を有する。さらにこの画素が配向膜を兼ねる。上記の実施例で示した配向膜を適用したものである。また対向する側には、配向膜、透明電極の設けられたガラス基板111’がある。この間に液晶分子が配向している。透明電極はITO、ZnO、TiOであり、共通電極である。画素はさらに電極を兼ねる。この画素の電極と、共通電極に電圧を印加して、液晶分子の分子長軸の向きを変える(液晶配向状態を変える)。これにより、光の強度調節を行い、明暗、階調の表現を行う。
画素の形成方法を述べる。半導体基板上に形成された金属の薄膜の配向膜、或いはナノメートルサイズの構造体の集合した無機物の薄膜と金属の薄膜の二層からなる液晶配向膜を上記の方法により形成する。この配向膜上に、レジストを塗布し、フォトリソグラフィにより、レジストに画素のバターンを形成し、ドライエッチングにより、レジストの画素のパターンを、液晶配向膜に転写する。金属の薄膜と、半導体基板の電気回路とは電気的に接続されている。
従来の空間光変調素子では、金属の画素配列の上に液晶配向膜を形成している。本発明ではこのどちらかを省略した構成となる。
空間光変調素子は反射型に限られるものではない。透過型であっても構わない。
以上、その配向膜が金属、或いは、無機と金属膜からなる液晶素子を空間光変調素子に用いることにより、高い耐光性の空間光変調素子を提供できる。
図12は空間光変調素子を用いた画像投射装置の実施例を示す図である。
同図において符号121は光源、122は偏光光学系、123はダイクロイックミラー、124、125、127、128、129は全反射鏡(ミラー)、126はダイクロイックミラー、130、131,132は透過型空間光変調素子、133はクロスプリズム、135は光路偏向素子、136は投射光学系、137はスクリーンをそれぞれ示す。
同図は空間光変調素子を3枚用いた三板式プロジェクタの構成例である。
光学系は光源121、偏光光学系122、第一のダイクロイックミラー123、第一のミラー124、第二のミラー125、第二のダイクロイックミラー126、第三のミラー127、第四のミラー128、第五のミラー129、第一の空間光変調素子132、第二の空間光変調素子131、第三の空間光変調素子130、クロスプリズム133、投射光学系136、光路偏向素子135、スクリーン137である。
光源121を出射した非偏光の白色光は、偏光光学系122により液晶の動作に有効な直線偏光に変換される。この直線偏光は第一のダイクロイックミラー123で1色と2色の光に分けられる(R、G、Bの組み合わせである)。2色に分けられた光は第一のミラー124に向かい、1色に分けられた光は第二のミラー125に向かう(これを第一の光と呼ぶことにする)。第一のミラーにより反射された光は、第二のダイクロイックミラー126に入射し、2色が分離される(これを第二の光と第三の光と呼ぶことにする)。第三のミラー127に向かう光を第三の光、第五のミラー129に向かう光を第2の光と呼ぶことにする。また第一の光は第二のミラー125により反射され第四のミラー128に反射されて、第一の空間光変調素子132に入る。第二の光は第五のミラー129に反射されて第二の空間光変調素子131に入射する。また第三の光は第三のミラー127に反射されて第三の空間光変調素子130に入射する。第一から第三の光は、空間光変調素子の液晶により変調され(あるいは変調されず)クロスプリズム133に入射して色合成され、後続の光学系に向かう。第一から第三の光は、投射光学系136によりスクリーン137に拡大、投射される。
ここで第一から第三の空間光変調素子が、本発明の空間光変調素子である。また空間光変調素子が三つとも、本発明の空間光変調素子である必要は無く、耐光性が最も厳しい青色に対するものだけであってもよい。青色の光は波長が短く、エネルギが高いためである。
また、光路偏向素子135は、本発明の光路偏光素子である。画素を時分割で偏向して高解像度の画像を投射する場合に用いる。しかし、同図の画像投射装置において、光路偏向素子は必ずしも必要ではない。
光路偏向素子を置いた場合、空間光変調素子の画像の切換え速度を高速に行う必要がある。
以上、その配向膜が金属、或いは、無機と金属膜からなる光路偏向素子、或いは空間光変調素子を用いることにより、高い耐光性の画像投射装置を提供できる。
本発明の1つの実施例を模式的に示す図である。 液晶分子を模式的に示す図である。 液晶セルの模式図である。 本実施例の偏光顕微鏡による像を示す図である。 斜方蒸着膜を作製する斜方蒸着法を説明する基本構成図である。 斜方蒸着膜を示す模式的な図である。 斜方蒸着膜上の液晶の配向を示す模式図である。 二層からなる液晶配向膜の例を示す模式図である。 本実施例の偏光顕微鏡による像を示す図である。 液晶を駆動するための電極を付加した構成を示す図である。 液晶素子を用いた空間光変調素子を模式的に示す図である。 空間光変調素子を用いた画像投射装置の実施例を示す図である。
符号の説明
11、31、61、71、81、101、111 基板
12、32、82、102、112 配向膜
13、33、83、103、113 液晶層
62、72 柱状構造体

Claims (5)

  1. 片面に無機材料からなる液晶配向膜が形成された2枚の基板を、前記液晶配向膜を内側に対向させて配置し、前記2枚の基板の間に液晶を封入した液晶素子であって、前記液晶配向膜の少なくとも一方が金属の薄膜であり、前記液晶が前記基板に対して垂直若しくはそれに近い配向をする液晶であることを特徴とする液晶素子。
  2. 片面に無機材料からなる液晶配向膜が形成された2枚の基板を、前記液晶配向膜を内側に対向させて配置し、前記2枚の基板の間に液晶を封入した液晶素子であって、前記液晶配向膜の少なくとも一方が、千ナノメートル以下の構造体からなる無機の薄膜と、金属の薄膜の二層からなり、前記液晶が前記基板に対して垂直若しくはそれに近い配向をする液晶であることを特徴とする液晶素子。
  3. 請求項1または2に記載の液晶素子を用いることを特徴とする空間光変調素子。
  4. 請求項1または2に記載の液晶素子を用いることを特徴とする光路偏向素子。
  5. 請求項1または2に記載の液晶素子を少なくとも1つ用いることを特徴とする画像投射装置。
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