JP3271384B2 - 位相制御素子用の液晶配向膜の形成方法 - Google Patents

位相制御素子用の液晶配向膜の形成方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、液晶、プラズマ、EL
(エレクトロルミネッセンス)等の如く画素が離散的な
ディスプレイや、撮像画素が離散的なCCD(電荷結合
素子)により代表される固体撮像素子等のウォブリング
(絵素ずらし)に好適な位相制御素子用の液晶配向膜の
形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】液晶、プラズマ、EL等の如くモザイク
状、ドット状等の離散的な画素配列を持った表示素子に
対して、NTSC方式等で線順次走査の画素表示を行う
際、本来アナログ信号であるべき輝度信号が粗くサンプ
リングされて水平方向の位置情報が欠落してしまう。ま
た、垂直方向の画素分解能が走査線数だけ実装できない
場合、走査線の情報を欠落するか、あるいは同一画素上
に上書きするために、輝度信号等の位置分解能(即ち、
ディスプレイの解像度)を低下させていた。
【0003】例えば、NTSC方式で駆動するTFT(T
hin-Film-Transistor)−TN(Twisted Nematic)の液晶
ビューファインダーにおいて、NTSC方式では、1フ
レーム(つまり、ビューファインダーが表示する一枚の
絵)は、偶数本目の走査線と奇数本目の走査線からそれ
ぞれ成る二つのフィールドで形成され、フレーム周波数
は30Hz(つまり、フィールド周波数は60Hz)である。現
状のTFTビューファインダーは、NTSC方式の走査
線数 525本を実装できないため、奇数フィールドと偶数
フィールドを同一画素に書き込む等の方法をとってい
る。このため、垂直分解能がNTSC方式の原理よりも
低下しているのが現状である。
【0004】また、画素サイズが大きく、さらにブラッ
クマトリックス等の非表示画素部分のつなぎ目の存在に
より、離散的画素配列のモザイク状の画面が目立ち、画
面の質感を低下させていた。
【0005】上記の現象は、CCDによる撮像において
も同様に生じる。即ち、CCDを構成している撮像画素
が離散的なために、被写体の画像情報が構成画素ピッチ
でサンプリングされてしまうため、水平及び垂直の空間
分解能を低下させていた。
【0006】そこで、ウォブリング技術を採用して、絵
素ずらし素子を導入し、奇数フィールドと偶数フィール
ドの画像を空間的にずらすことにより、垂直分解能を向
上させる方法が提案されている。これは、水平方向にも
適用され、水平分解能の向上も可能である。
【0007】こうした絵素ずらし素子は、液晶素子が位
相制御素子として用いられることが知られている。即
ち、この液晶素子を水晶板等の複屈折媒体と組み合わせ
て、ウォブリングされるべき表示素子等の光路中に配
し、印加電圧の切り換えによって液晶素子への入射光の
位相を変調して偏光面を回転させ、この回転の有無によ
って液晶素子からの出射光を複屈折媒体の複屈折効果で
光軸を選択的に所定方向(ウォブリング方向)へずらす
ようにしている。
【0008】この場合、液晶素子においては、理想的に
は位相を素子内全域で可視光全波長領域に於いて 180度
ずらせば良いが、液晶媒体が複屈折率波長分散性を持つ
ため、例えば 400〜700nm の全領域において直線偏光を
得るのは困難である。従って、人間の視覚特性を考慮し
て、He−Ne光源を用いた場合に位相差が約 260nm生
じるように設計するのが好ましい。
【0009】しかし、液晶素子の位相差は、液晶媒体の
複屈折率(更にはセルギャップ)に依存する(これにつ
いては後で改めて詳述する)ので、位相差の素子内及び
経時的ばらつきがあると、位相制御性が劣化してしま
う。この原因として、液晶配向膜が不安定であると、液
晶のプレチルト角が変化し、配向膜の表面状態が変化
し、液晶配向が変化する、等の問題が生じ、これらは位
相制御特性を大きく変化させてしまう。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は、特に上記
したウォブリング素子用として非常に有効であって、膜
安定性が良好で均一に形成可能であり、位相制御特性を
大きく向上させ得る液晶配向膜を見出し、本発明を案出
するに至ったのである。
【0011】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、光学的
に透明である対向電極間に、強誘電性液晶と反強誘電性
液晶と電傾効果を示すスメクチック液晶とから選ばれた
少なくとも1種からなる液晶が充填されている位相制御
素子において前記電極上に形成され、ポリイミドからな
っている位相制御素子用の液晶配向膜の形成方法であっ
て、少なくとも前記電極上に赤外線(特に近赤外線)を
照射する工程と、この光照射面をポリイミド前駆体で被
覆する工程と、このポリイミド前駆体を熱処理してイミ
ド化する工程とを有する、液晶配向膜の形成方法に係る
ものである。この方法によって、ポリイミド膜を均一膜
厚に形成することが可能となる。
【0012】本発明の方法で得られた液晶配向膜は、ポ
リイミドを主体とするものであって、配向膜分子のCH
伸縮に帰属される赤外吸収ピークを2830cm-1以上に少な
くとも1つもち、かつ、前記配向膜分子のカルボニル基
に帰属される赤外吸収ピークを1600cm-1から1800cm-1
範囲内にもつことが望ましい。
【0013】また、光学的に透明である対向電極間に、
強誘電性液晶と反強誘電性液晶と電傾効果を示すスメク
チック液晶とから選ばれた少なくとも1種からなる液晶
が充填されており、前記電極上にポリイミドからなる液
晶配向膜が形成されている位相制御素子であって、ウォ
ブリング又は高解像度化されるべき光学素子の光路中
(特に表示素子と観察位置との間、又は被写体と撮像素
子との間の光路中)に、複屈折媒体と組み合わされて配
置され、前記表示素子又は前記撮像素子等の光学素子を
一次元又は二次元にウォブリングするのに使用される位
相制御素子において、上記の液晶配向膜を本発明の方法
で形成するのが望ましい。
【0014】本発明の方法で得られた上記の液晶配向膜
はポリイミド(特に、分子の平均重合度は50以上である
のが好ましい。)からなっているために、非常に安定な
膜であり、経時的にも変化し難く、その表面状態を維持
し、また均一膜厚に形成可能であるので、液晶のプレチ
ルト角及び配向性を保持し、位相制御特性、特にウォブ
リングされるべき表示素子等の解像度を向上させる上で
極めて有効な配向膜である。
【0015】
【0016】液晶配向膜としては、CH(炭化水素基)
を有するポリビニルアルコールも考えられるが、ポリビ
ニルアルコールは製膜工程が容易であるものの、安定性
が悪いことが判明している。これに対して、CHとカル
ボニル基を有することを特徴とする本発明によるポリイ
ミド配向膜は安定性が良好であり、更に均一な膜厚を得
ることが可能となり、表面性も一層向上した。
【0017】ウォブリング素子用の位相制御素子では、
配向膜の安定性とプレチルト角の空間的均一性が要求さ
れ、極めて厳しい基準を満たさなくてはならない。
【0018】本発明による液晶配向膜は、そうした要求
を十二分に満たすことができ、特に、基板に対する液晶
分子のプレチルト角の液晶素子内での偏差、経時変化、
及び−30℃〜70℃以内においての変動が50%以内であ
り、また、素子内の膜厚の偏差も50%以内である。
【0019】また、本発明に用いる強誘電性液晶等の液
晶はいずれも、電界の作用に対して液晶ダイレクタの方
向が変化し易く、応答速度が非常に速い(例えば、立ち
上がり及び立ち下がり時間ともにμsec オーダーであっ
て、ツイストネマチック液晶の特に立ち下がり時間に比
べてはるかに速い)ので、ビデオレートでの駆動が十分
可能となる。
【0020】なお、高解像度化されるべき表示素子又は
撮像素子等の光学素子は、離散的画素から構成されるツ
イストネマチック液晶、強誘電性液晶又は反強誘電性液
晶等の液晶表示素子、発光ダイオード等の自発光型表示
素子又はCCD等であってよい。
【0021】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。
【0022】まず、図1について、本実施例によるウォ
ブリング用の位相制御素子としての液晶セル3を説明す
る。即ち、透明ガラス基板20、21上に透明電極(例えば
100Ω/□のITO)13、14が設けられ、さらにその上
に、液晶配向膜として本発明によるポリイミド膜22、23
が形成されている。このポリイミド配向膜は、後述する
方法で製膜され、所定のラビング処理が施されている。
【0023】このような配向膜付きの基板は、その配向
処理方向が対向面で例えば反平行となるように組まれ、
そのスペーサとして、目的ギャップ長に応じたガラスビ
ーズ(真糸球:直径 0.8〜3.0μm(触媒化成工業
製))24が用いられる。スペーサは、透明基板の大きさ
により、小さい面積の場合は周囲を接着するシール材
(UV硬化型の接着材(例えばフォトレック:セキスイ
化学(株)製))25中に例えば0.3wt%程度分散させる
ことにより、基板間のギャップが制御されている。基板
面積が大きい場合には、上記真糸球を基板上に平均密度
で 100個/mm2散布したのち、ギャップをとり、セルの
周囲に液晶の注入孔を確保して上記シール材でセル周囲
が接着される。
【0024】その後、強誘電性液晶(例えばチッソ
(株)製のCS−1014)が等方相温度あるいはカイ
ラルネマチック相温度の流動性を示す状態で減圧下で注
入される。液晶注入後、徐冷され、注入孔周囲のガラス
基板上の液晶が除去されたのち、エポキシ系の接着剤で
封止され、強誘電性液晶素子が作製される。用いる強誘
電性液晶はチッソ(株)製、メルク(株)製、BDH社
製、あるいは他の公知の強誘電性液晶化合物又はそれら
を含む非カイラル液晶からなる組成物でも可能である
が、その制限はなく、また、その相系列の制限も必要と
せず、必要なのは使用温度範囲でカイラルスメクチック
液晶相をとることである。
【0025】ここで用いるカイラルスメクチック液晶素
子の液晶層構造は、配向処理方向の組み合せにより、反
平行でブックシェルフ構造、平行でシェブロン構造ある
いは疑似ブックシェルフ構造を有している。
【0026】上記したポリイミド配向膜22、23は、図2
に示す如き赤外スペクトルを示すことが望ましい。
【0027】即ち、配向膜分子のCH伸縮に帰属される
赤外吸収ピークを2830cm-1以上に少なくとも1つもち、
かつ、前記配向膜分子のカルボニル基に帰属される赤外
吸収ピークを1600cm-1から1800cm-1の範囲内にもってい
る。
【0028】ここでは、ポリアミド酸RN−721(日
産化学工業(株)製)から得られるポリイミドの赤外ス
ペクトルを示した。赤外スペクトルの測定は次の手法で
行った。通常の方法でポリイミド膜をガラス基板上に製
膜し、この膜をカッターナイフを用いて基板から取り除
き、粉末にした。ポリイミドの粉とKBr(臭化カリウ
ム)の粉を混ぜ合わせ、型に入れ、圧力を加え、錠剤を
作製した。ポリイミドの量はKBrに対して微量である
が、KBrは赤外で透明なので、この錠剤の試料で測定
を行うことにより、微量のポリイミドでも赤外スペクト
ルが得られる。KBrはナカライテスク株式会社製の赤
外吸収測定用特製試薬を用いた。
【0029】こうしたポリイミド液晶配向膜は平均重合
度50以上のポリイミドからなっていて、非常に安定な膜
であり、経時的にも変化し難く、その表面状態を維持す
る。このため、液晶のプレチルト角及び配向性を保持
し、位相制御特製、特に後述するウォブリングされるべ
き表示素子等の解像度を大幅に向上させることができ
る。
【0030】本実施例の如き位相制御素子には、ポリイ
ミド以外にも、ポリビニルアルコール等のCHを含む材
料が液晶配向膜に使用することも考えられるが、位相制
御素子特有の安定性、均一性条件を満たすには、カルボ
ニル基を含むポリイミドが適していることが分かったの
である。
【0031】図3には、このポリイミド配向膜の製膜及
びラビング処理を含む液晶セル3の作製工程を示す。
【0032】ポリイミドを製膜するには、ポリイミド前
駆体であるポリアミド酸を基板上に塗布し、それをイミ
ド化することにより、製膜が容易になる。但し、ポリア
ミド酸溶液の、基板に対する濡れ性が悪い場合は、ポリ
アミド酸の塗布の直前に基板に赤外線を照射することに
より、濡れ性が極めて良好になり、均一なポリイミド膜
が容易かつ低コストに得られる。これは、ポリイミド膜
を均一な膜厚に形成する上で極めて有利となるものであ
る。
【0033】即ち、図3に示した工程において注目すべ
きことは、ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸(又
はポリアミック酸)を透明電極上にスピンコートする前
に、赤外線(特に近赤外線)を照射していることであ
る。
【0034】この光照射によって導電膜の表面が活性化
され、この表面活性化により、導電膜に対するポリアミ
ド酸の濡れ性又は吸着性が一層良好になり、塗布斑の無
い均一膜厚の塗膜が確実かつ容易に得られることが見出
された。但し、ポリイミド膜の製膜条件(例えば湿度)
によっては、近赤外線照射を行わなくても、均一膜厚が
得られることが確認されている。
【0035】この赤外線照射においては、特に、分光分
布の 0.5〜6.0 μm(更には、 0.5〜3.0 μm)の範囲
内にある成分が10mW/cm2 以上(更には、50mW/cm2
上)のエネルギーで到達するように、少なくとも前記電
極上に1〜3分間の光照射を行うことが望ましい。
【0036】また、ポリアミド酸の塗布は、スピンコー
ト法によって行うのが生産性の観点から有利である。そ
して、上記の赤外光照射の直後にスピンコートを行うの
が望ましい。このように、光照射の直後に上記の塗布を
行うことにより、塗布面の活性化状態が十分に保たれて
良好な濡れ性を示しているうちに塗布がなされるため、
より好結果が得られるものと考えられる。
【0037】これに反し、ポリイミド膜の膜厚に空間的
ばらつき(膜厚不均一)がある場合、つまり膜表面の表
面粗度が高いと、液晶の配向状態に空間的なばらつきが
生じるので、位相制御特性が劣化し、好ましくない。し
かし、本発明に基づくポリイミド膜は、特にその製膜時
にポリアミド酸の濡れ性を向上させるときには、膜厚を
確実に均一化し、液晶の配向性、プレチルト角の空間的
均一性が向上するのである。なお、このポリイミド配向
膜の膜厚は 400nm以下にすることにより、光の干渉を防
ぐことが可能となる。
【0038】こうして、本発明に基づく上記のポリイミ
ド液晶配向膜は、配向膜の安定性と同時にプレチルト角
の空間的均一性とを同時に実現し、位相制御素子に要求
される厳しい基準を満たすことができるものとなる。
【0039】なお、液晶配向膜としてSiO斜方蒸着膜
が知られているが、本発明に基づく上記の配向膜はポリ
イミド膜にラビング処理を施したラビング膜であるた
め、製造工程が安価であり、また配向特性が優れている
ために工業的利用価値が高い。
【0040】また、液晶素子内のセルギャップを均一に
すると、位相差の空間的偏差を減少させ、素子全領域内
において指定した位相差を出す基準を満たすことがで
き、これも位相制御特性を向上させる上で望ましい。特
に、強誘電性液晶を用いた素子は通常、10μm以下の、
TN液晶(ツイストネマチック液晶)に比べて小さいセ
ルギャップが要求されるが、このセルギャップを確保す
ることが望ましい。
【0041】なお、本発明によるポリイミド液晶配向膜
は、ポリアミド酸のイミド化によって得られるが、この
イミド化の一般的な反応スキームを下記式に示す。ポリ
アミド酸が熱処理工程で脱水閉環し、ポリイミド
なる。
【0042】
【化1】
【0043】ここで、上記式中のR1 、R2 で表した部
分の構造は、生成するポリイミドの特性に大きく影響す
るため、液晶配向膜として液晶素子の要求特性や製造プ
ロセスに見合う構造を選択することが必要である。例え
ば下記表1に示すような構造を有する材料が挙げられ
る。
【0044】
【化2】 表1
【0045】本発明によるポリイミド液晶配向膜はカイ
ラルスメクチック強誘電性液晶(FLC)に対して好適
であるが、これ以外にも、スイッチングスピードが高速
であれば、例えば、下記の反強誘電性液晶(AFLC)
や電傾効果を示すスメクチックA相でも適用可能であ
る。
【0046】<反強誘電性液晶>反強誘電性液晶は、C
handani らにより1988年に見出されたものであって、次
の3点を特徴としている。 (1)反強誘電状態と2つの強誘電状態の3安定状態間
のスイッチングを利用する。 (2)明確なしきい値特性を示し、マルチプレクス駆動
した時のコントラストを高くとれる。 (3)プラスとマイナスのヒステリシスを交互に使い、
内部分極の発生が抑えられるため、焼き付き現象が起こ
りにくい。
【0047】この反強誘電性液晶材料の特徴としては、
強誘電性液晶と異なり、カイラル液晶がその組成物のほ
とんどであるということ(自発分極が大きく、強誘電性
液晶のほぼ10倍)、不斉炭素に関する置換基はCH
3 基、CF3 基、C2 5 基をもつ化合物は容易に反強
誘電性を示し、コア構造が拡張する。例えば、チッソ社
製のCS−4000がある。
【0048】<電傾効果を示すスメクチック液晶>電傾
効果とは、カイラル分子によって構成されるスメクチッ
クA相において、温度を一定としたときに電場によって
配向ベクトルの傾き角が誘起される現象である。スメク
チックA相において、配向ベクトルはスメクチック層の
法線方向を向き、長軸回りに自由回転しているが、層に
沿った電場を印加することによって自由回転が阻害さ
れ、電場方向の分極Pが誘起される。
【0049】分極Pと傾き角θの線形結合をP=kθと
仮定すれば、 P=(ε⊥* −ε⊥0)εO Ε 従って、θ=(ε⊥* −ε⊥0)εO Ε/kのように、
印加電場Eに比例した傾き角が生じる。ここで、ε⊥*
とε⊥0は光学活性物質のラセミ体の誘電率、εO は真
空の誘電率である。このことから、カイラル液晶のラセ
ミ体のそれぞれの誘電率の差が大きいほど、大きな電傾
効果を現す。
【0050】次に、本発明に基づく上記のポリイミド液
晶配向膜、及びこれを用いた液晶素子によるウォブリン
グについて具体例を挙げて説明する。
【0051】具体例1 本発明に基づくポリイミドの液晶配向膜と、比較のため
のポリビニルアルコールの液晶配向膜とをそれぞれ、以
下に述べるようにしてテスト基板上に製膜し、ラビング
処理後、セルギャップを 1.6μmに調製し、対応する反
平行テストセルをそれぞれ作製した。膜厚は各配向膜と
も約50nmであった。この例では、ポリイミド膜及びポリ
ビニルアルコール膜の膜厚を米国Tencor Instruments社
製のalpha-step200 表面形状測定装置で測定した。ま
た、用いたテストセル基板は、寸法40mm×25mm×2.5mm
のガラス板であり、その片面にはパターニングされない
透明電極ITOを被着した。
【0052】上記のポリイミド液晶配向膜の材料には、
日産化学工業株式会社製のポリアミド酸:サンエバーR
N−721(0621)を用いた。このポリアミド酸
に、同社製の21型シンナーを混ぜ、最終の膜厚が50nm
になるように調製した。このポリアミド酸混合液を基板
上に 0.5ml垂らし、毎分1000回転で4秒間、更にこれに
続けて毎分3500回転で30秒間、スピンコートを行った。
その後、溶媒除去のために80℃で15分、ポリアミド酸の
イミド化のために 240℃で60分の熱処理を行った。これ
により、ポリイミド膜が得られた。この赤外スペクトル
は図2に示した通りであり、その測定法も既述した。
【0053】他方、上記のポリビニルアルコールは、和
光純薬工業株式会社製の和光一級試薬(n=1500〜180
0)を用いた。ポリビニルアルコールは水溶性なので、
純水に溶かし、最終の膜厚が50nmになるように濃度を調
製した。このポリビニルアルコール/水混合液を基板上
に 0.5ml垂らし、毎分1000回転で4秒間、さらにこれに
続けて毎分3500回転で30秒間、スピンコートを行った。
その後、60℃で30分、 180℃で30分の熱処理を行った。
【0054】上記において、ポリアミド酸混合液のガラ
ス基板に対する濡れ性が不十分であり、膜厚が厚い箇所
や膜厚が薄い箇所、及び濡れなかったために基板の透明
電極が露出している箇所、等が生じる場合があること
が、目視及び表面形状測定により明らかになった。従っ
て、上述した手法に従い、スピンコート直前にガラス基
板に対して近赤外線を90秒間照射した。この近赤外線照
射には、岩崎電気社製のR100/110V 250WRH赤外線ラン
プを使用した。
【0055】この近赤外線照射の直後に、上記したポリ
アミド酸溶液を同様にスピンコートした結果、ポリアミ
ド酸の濡れ性が大きく向上した。そして、上記したと同
様にイミド化して得られたポリイミド膜の表面形状測定
から、近赤外線を照射した基板上のポリイミド膜は膜厚
がほぼ均一であるが、近赤外線を照射しない基板上のポ
リイミド膜は均一になり難かった。測定結果を下記の表
2にまとめた(但し、ポリイミド膜の製膜中は湿度を60
%に保持したとき)。
【0056】
【0057】次に、上記のように製膜されたポリイミド
膜及びポリビニルアルコール膜に対し、液晶分子を一定
方向に配向させるためにラビング処理を行った。即ち、
ローラーにバフ材としてベンベルグCFやレーヨンを巻
付け、真空チャックした基板を押し込み量 0.1〜0.2mm
、ステージ速度 150mm/分、ローラー回転速度95rpmの
条件で2回ラビングを行った。
【0058】そして、スペーサ(真絲球、触媒化成株式
会社製)を 0.3wt%含んだ紫外線硬化型接着剤(フォト
レック:積水ファインケミカル株式会社製)を用いて、
配向膜のラビング方向が互いに反平行となるように、上
記のラビング処理された各2枚のガラス基板を対向させ
た。この場合、セルギャップが 1.6μmとなるようにテ
ストセルを組み、紫外線照射によって接着剤を硬化させ
た。
【0059】このテストセルにチッソ社製の強誘電性液
晶:CS−1014を真空注入し、注入口を閉塞してセ
ルを完成させた。
【0060】こうして作製されたFLC液晶セルを後述
するウォブリング(絵素ずらし)用の液晶素子として用
い、液晶表示素子の解像度を測定した。また、各種配向
膜の安定性を比較するため、液晶注入直後に解像度を測
定した後、温度24℃、湿度60%に保たれている恒温槽に
30日間保管し、再び解像度測定を行った。なお、ここで
の解像度評価は、NTSCの解像度評価用パターン(ビ
デオシグナルパターンジェネレータ:ソニー社製MTS
G−1000)からの信号をビデオ入力し、白黒のライ
ンの解像性を観測により判別した。結果をまとめて下記
の表3に示した。
【0061】
【0062】この結果から次のことが明らかである。ま
ず、絵素ずらし素子が無い状態での解像度が 240本であ
るので、ポリビニルアルコール配向膜を有する素子は、
当初は高解像度させる効果をもつものの、配向膜の不安
定性のために経時的に解像度が劣化することが分かる。
これに対し、ポリイミド膜では、特に近赤外線照射によ
り膜厚の均一性が向上したものは、経時的に安定してお
り、高解像度が保持されることが明らかである。また、
近赤外線照射を行わない場合でも、ポリイミド膜は、経
時的に安定しているために、ポリビニルアルコール膜よ
りも経時的にみて解像度がむしろ良くなっている。
【0063】具体例2 上記の表2に示したポリイミド膜の膜厚データは、ポリ
アミド酸を基板上に塗布して製膜する際の湿度を60%と
した場合のものであった。ところが、この湿度を20%と
して具体例1と同様に製膜した場合には、下記の表4に
示すように、近赤外線照射の有無に関係なくほぼ均一な
膜が作製できることが分かった。
【0064】
【0065】従って、製膜中の湿度によっては、近赤外
線を照射しないでもほぼ均一な膜を作製できることは、
有利である。
【0066】次に、本発明による液晶素子を用いたウォ
ブリング(絵素ずらし)について説明する。図4及び図
5は、ウォブリング素子を組み込んだ光学装置の一例を
概略的に示すものである。
【0067】この例は、本発明を液晶光学表示装置1に
適用したものであって、同一光路中に光の進行方向に沿
って順次配置された液晶表示素子(LCD)2と、位相
変調光学素子(位相制御素子)としての強誘電性液晶素
子(FLC)3と、水晶板等の透明基板からなる複屈折
媒体4との組み合わせによって構成されている。ここ
で、理解容易のために、各構成素子は、液晶表示素子L
CDの1つの構成表示画素5に対応した区画についてそ
れぞれ示されており、また、ポリイミド液晶配向膜等は
図示省略している(以下、同様)。
【0068】上記のLCD2の画素5は全体としてモザ
イク状等の離散的な画素配列からなっており、また、使
用される液晶はTN(ツイストネマチック)、STN
(超ツイストネマチック)、SH(スーパーホメオトロ
ピック)、更にはFLC等からなっている。このLCD
2は、図示省略したが、公知の如くにパネル自身に偏光
板を有し、出力光6は直線偏光を有している。
【0069】そして、この直線偏光6に対し、上記のF
LC3と複屈折媒体4とで構成されるウォブリング素子
(絵素ずらし素子)7によって平行方向又は垂直方向に
絵素ずらしが行われる。
【0070】このためには、FLC素子3の一つの異常
光軸8を表示画素5の偏光面9と平行あるいは垂直とな
るように配置し、更に、等価的に一軸性の光学軸(一軸
的な光学異方性)を有する透明基板4の異常光軸10のX
−Y面(入射側)への射影成分を偏光面9に対し、平行
(Y方向)あるいは垂直(X方向)に配置している。
【0071】FLC素子3に用いる液晶は、ビデオレー
トで高速スイッチング可能なものであって、カイラルス
メクチック液晶等が挙げられ、また、複屈折媒体4には
水晶板等が使用可能である。但し、FLCに代えて反強
誘電性液晶(AFLC)や、電傾効果を示すスメクチッ
ク液晶(例えばスメクチックA)も有効であり、また、
水晶板以外の複屈折素子も勿論使用可能である。
【0072】次に、この表示装置1におけるウォブリン
グ動作を概略的に説明する。
【0073】まず、図4のように、強誘電性液晶素子3
のスイッチ状態が状態1の場合、表示素子2側から照射
される光6の偏光面9と強誘電性液晶素子3の異常光軸
8が平行のため、透過光11は偏光面を維持したまま複屈
折を有する水晶板4に照射される。水晶板4では、入射
偏光面内に水晶の異常光軸10を含むため、Y軸方向に偏
光している光は水晶板4の異常光軸10の傾いている方向
へ屈折し、再び空気層へ12として出るとき光軸と平行に
なり、入射光の光軸とのずれがY方向に生じる。
【0074】一方、図5のように、強誘電性液晶素子3
のスイッチ状態が状態2の場合、偏光面9と異常光軸8
が約45度の角をなしているため、透過光11は異常光軸の
向きに回転し、直線偏光(Y軸方向)→楕円偏光→円偏
光→楕円偏光→直線偏光(X軸方向)と強誘電性液晶素
子3内を変化し、偏光面は初期状態から90度回転し、水
晶板4に照射される。水晶板4では、入射偏光面内に水
晶の異常光軸10を含まないため、光11は屈折しないでそ
のままの光軸を維持し、再び空気層へ出射光12として出
る。
【0075】このように、FLC3のスイッチ状態、即
ち、状態1と状態2での水晶板4による屈折の有無で光
軸をずらし、この光軸のずれを絵素ずらしの動作原理と
して用いることができる。
【0076】ここで、FLC3における上記スイッチ状
態を決める液晶のコーン角について説明する。強誘電性
液晶(反強誘電性液晶でも同様)では、電界印加による
液晶ダイレクタのスイッチング挙動としては、「液晶辞
典」(培風館発行)のP150に記載されている南部−ゴ
ールドストーンモードに従って液晶分子が仮想的なコー
ン上を動く。さらに、電傾効果を有するスメクチックA
液晶(同液晶辞典のP145)では、同液晶辞典のP119 に
記載されているソフトモードを利用した場合でも、コー
ン角に類似した各液晶組成物に固有のコーン角を有して
いる。
【0077】即ち、図6に示すようなITO(インジウ
ムにスズをドープしたIndium tin oxide) からなる透明
電極13−14間に挟まれた液晶15のコーンモデルを考え
る。コーンの開き角をコーン角θrと呼び、このコーン
角の透明電極の付いたガラス基板への投影を見かけのコ
ーン角θと呼ぶ。光学的にはこの見かけのコーン角θに
ついて考えれば良い。
【0078】図7に示すノーマリーホワイトのTN液晶
表示素子の場合、TN液晶に電界が印加されない状態で
光源からの光が透過するものである。ここでは、バック
ライト17−偏光板18−TN液晶2−偏光板19の組み合わ
せ、或いは、反射板−偏光板18−TN液晶2−偏光板19
の組み合わせが従来と同様のTN液晶表示素子を示す。
そして、TN液晶素子2、強誘電性液晶素子3にはそれ
ぞれ、透明電極がその両面に配置してあるのは言うまで
もない。
【0079】この場合、電界強度が増大するにつれてT
N液晶2のねじれが解除され、徐々に偏光板を通して光
がもれ、階調表示が実現されるが、いずれの透過光も強
誘電性液晶素子3の前で偏光板19により同一の直線偏光
になるため、上述した動作原理に従って絵素ずらしを行
うことができる。
【0080】図8に示すノーマリーブラックのTN液晶
表示素子の場合、TN液晶に電界が印加された状態で光
が透過するモードであり、電界強度が減少するにつれて
TN液晶2のねじれが徐々に復帰し、徐々に暗くなり、
階調表示が実現されるが、いずれの透過光も強誘電性液
晶素子3の前で偏光板19により同一の直線偏光になるた
め、上述した動作原理に従って絵素ずらしを行うことが
できる。
【0081】このように、どのようなタイプの液晶表示
素子でも、表示素子から出てくる光がほぼ直線偏光であ
れば、本発明を適用できることが明確である。
【0082】上述した例は、偏光を有する表示素子につ
いてのものであるが、本発明は無偏光の表示素子にも勿
論適用できる。
【0083】図9に示すように、表示画素5からの光の
偏光度が小さい場合、偏光にするために、表示素子2と
絵素ずらし素子7を結ぶ光路中に偏光板19を挿入すれば
良い。光学的配置条件は上述の液晶表示素子の場合と同
様である。
【0084】ここで使用可能な無偏光ディスプレイ2と
しては、プラズマディスプレイ、LEDディスプレイ等
の自発光型表示素子がある。
【0085】上述した如く、本発明に基いて、ビデオレ
ートで駆動可能なカイラルスメクチック液晶をはじめと
した位相変調素子(強誘電性液晶、反強誘電性液晶、あ
るいは電傾効果を有するスメクチックA液晶)3を用い
たウォブリング素子7を離散的な画素から構成される液
晶、プラズマ、LED等のディスプレイと観測者の網膜
とを結ぶ光路中に配置し、ウォブリング(絵素ずらし)
を行うことができるが、ここで、位相変調素子3として
は下記の〔1〕、複屈折媒体としては下記の〔2〕が挙
げられる。
【0086】〔1〕ビデオレートで駆動可能な強誘電性
液晶、反強誘電性液晶あるいは電傾効果を有するスメク
チックA液晶のスイッチ状態において、少なくとも2つ
の状態が存在し、そのうち少なくとも2つの状態の異常
光軸が26〜64度の角をなすカイラルスメクチック液晶素
子で偏光面を回転できるように光学配置した素子。
【0087】〔2〕入射された光の偏光方向により光軸
のずれを与える透明基板であり、具体的には(a)ウォ
ブリング方向に等価的に一軸性の異常光軸の成分を有す
るように配置したもの(b)光が透過する基板対向面が
平行でない基板であり、見かけの異常光軸が両平面に垂
直な平面に平行あるいは垂直である素子。
【0088】上記したウォブリング動作にとって、液晶
の偏光面を90度回転させるためには位相を 180度ずらせ
ば良い。複屈折率(ne −no )、セルギャップdと位
相差δの間には以下の関係がある。 δ=2πd(ne −no )/λ
【0089】ここで、δ=πとすればよい。このために
は、セルギャップdを d=λ/2(ne −no ) とすれば良いことになる。しかし実際には、液晶分子の
基板とのなす角α(プレチルト角)は0度でないため
に、ne は小さくなり、ギャップ長dをさらに長くとら
なければならない。
【0090】ここで、常光no は入射角に依存せず、液
晶分子短軸方向の屈折率n⊥に等しい。即ち、no =n
⊥である。
【0091】具体的にはne はプレチルト角αの関数で
あり、
【数1】
【0092】dは次のようにプレチルト角αに依存す
る。 d=λ/2〔ne (α)−no
【0093】即ち、配向膜の種類によりαを求め、上記
関係式をもとに最適ギャップdを計算できる。さらに、
プレチルト角αが90度では、上記式によりギャップ長d
は無限大となってしまうため、0〜89度のプレチルト角
が必要である。但し、プレチルト角を45度を超えて制御
するのは難しいため、実用的には0〜45度のプレチルト
角が好ましい。
【0094】ウォブリング(絵素ずらし)では、立ち上
がりと立ち下がりの応答時間がフィールド時間の1/3
以下で、かつ、立ち上がり時間と立ち下がり時間との比
が互いに2倍を越えないものが好ましい。
【0095】この点、ネマチック液晶を用いた場合は、
高速のものでも電界印加時の立ち上がり時間は比較的短
いが、オフ時の立ち下がり時間は長いために、フィール
ド内でのスイッチングが十分でなく、有効な絵素ずらし
効果が得られない。ツイストネマチックの絵素ずらし素
子では、透過率変化0〜90%での立ち上がり+立ち下が
り時間は最小で15msec 程度(室温)であり、NTSC
の2:1線飛越走査方式(1フィールド当たり1/60秒
(16.7ms))でもかなり実現が困難であり、さらにフ
レーム数が同じで4:1線飛越走査方式を適用すれば、
1フィールド当たり1/120 秒(8.3ms)であり、全く
追従できなくなる。
【0096】これに対し、強誘電性液晶素子を用いた絵
素ずらし法は、そのスイッチング時間がTN液晶よりも
短いため、有効であることがわかる。ちなみに、強誘電
性液晶素子の立ち上がり+立ち下がり時間はμsec オー
ダーから、最も遅いものでも数ms以下である。
【0097】下記の表5には、各種液晶の応答時間を比
較して示すが、本発明に使用可能な液晶の応答速度は著
しく早い。
【0098】上記した高解像度化技術(ウォブリング技
術)は直視型、反射型、投射型等、様式を問わずに使用
できる。このうち、図10〜図11に投射型ディスプレイの
二例をそれぞれ示した。
【0099】図10の例では、ハロゲンランプ17からの光
をコールドフィルタ43を通してバックライトとして表示
素子2に導き、上述したウォブリング処理後にレンズ系
44からスクリーン45へと画像が投影される。
【0100】図11はミラー型ディスプレイを示し、光源
17からの光をフィルタ46を通し、各ダイクロイックミラ
ー47によって所定の波長光(R、G、B)にそれぞれ分
離し、コンデンサーレンズ48から各ウォブリング素子に
入射され、ここでウォブリングされた後、再び合成され
てスクリーン45上に投影される。
【0101】上述した高解像度化技術は、ディスプレイ
として応用するため、可視光の波長範囲で使用する。
【0102】本発明は、上述した表示素子2に限らず、
離散的な画素から構成されるCCD等の撮像素子と被写
体とを結ぶ光路中に上述したウォブリング素子7を配置
する場合にも適用される。
【0103】本発明を図12及び図13に示した撮像装置71
に適用する場合も、上述した表示装置において述べた各
種の条件及び原理、説明が同様にして採用されることが
望ましい。以下においては、上述した表示装置について
の内容と同様のものは特に繰り返して説明しないが、そ
れに比べて、撮像装置に特有のものを主として説明する
こととする。
【0104】撮像素子、例えばCCDを用いるとき、被
写体と撮像素子53を結ぶ光路中に、被写体−偏光子−F
LC素子−複屈折基板−撮像素子の順序で配置される。
この場合、レンズ系、アイリス、波長制限フィルタは被
写体と撮像素子を結ぶ光路中のどこに配してもよい。
【0105】図12、図13に示すように、強誘電性液晶素
子3のスイッチ状態が状態1の場合、被写体50の側から
の照射光成分aは、レンズ51、絞り52を通った後、偏光
板19により絵素ずらし方向に偏光される。光の偏光面と
強誘電性液晶素子3の異常光軸8が平行のため、透過光
は偏光面を維持したまま複屈折を有する水晶板4に照射
される。水晶板4では、入射偏光面内に水晶の異常光軸
を含むため、Y軸方向に偏光している光は水晶板の異常
光軸の傾いている方向へ屈折し、再び空気層へ出るとき
光軸と平行になり、入射光の光軸とのずれが生じ、CC
D撮像素子53の各絵素に照射される。
【0106】一方、強誘電性液晶素子3のスイッチ状態
が状態2の場合、偏光面と異常光軸8が約45度の角をな
しているため、透過光は異常光軸の向きに回転し、直線
偏光(Y軸方向)→楕円偏光→円偏光→楕円偏光→直線
偏光(X軸方向)と強誘電性液晶素子内を変化し、偏光
面は初期状態から90度回転し、水晶板4に照射される。
水晶板4では、入射偏光面内に水晶の異常光軸を含まな
いため、屈折しないでそのままの光軸を維持し、再び空
気層へ出て、CCD撮像素子53の各絵素に照射される。
即ち、被写体のa’部分を撮像することになる。この状
態1と状態2の光軸のずれを絵素ずらしの動作原理とし
て用いることができることは理解されるであろう。
【0107】ビデオカメラ、スチルビデオカメラ等の光
学系の場合、外界からの入射光は概ね偏光していないの
で、外界(被写体)と強誘電性スイッチング素子の間に
偏光板を入れることを特徴とし、レンズ、絞りに対して
の位置関係を問わない。その他の光学配置は、被写体−
レンズ−絞り−偏光板−強誘電性スイッチング素子−一
軸的な光学異方性を有する透明基板−撮像素子の順であ
る。ここで組み合わせる撮像素子としては、CCD、M
OS型素子等、その種類を問わない。
【0108】こうした撮像素子は、表示素子とは異な
り、受光素子であるために、被写体の空間解像度(空間
分離能)を向上させることができる。ここでは、表示素
子のように順次方式ではなく、同時方式で行えるため、
FLC素子3のスイッチング部はCCD素子全面に同時
に作用してよく、位相変調素子3の空間的な電極分割を
必要としない。
【0109】即ち、例えばCCD撮像素子の画素も、離
散的なために光軸のずれがない場合には各画素にa、
b、cの位置分解能しかないが、フレームを分割し、ま
ずこのa、b、cの情報を同時方式で蓄積後、転送し、
次のフィールドで強誘電性液晶素子3の絵素ずらしによ
り、a’、b’、c’の位置情報を同時方式で蓄積後、
転送し、最初のフィールドとの再合成を行うことによ
り、垂直分解能が2倍に向上する。
【0110】上記したセルのビデオカメラ:ハンディカ
ムTR−1(ソニー社製)への具体的実装例を説明する
が、まず、それに使用可能な赤外カットフィルタ及びロ
ーパスフィルタについて説明する。
【0111】〔1〕通常の可視光の撮像の場合 CCD撮像素子などの半導体撮像素子は、その感度域が
380〜1200nmにまで広がっている。通常の可視光の画像
を撮像する場合には、本来人間の眼で感知できない近赤
外光域まで撮像してしまうため、画像に対して悪影響を
及ぼす。従って、図14のように赤外カットフィルタ61を
被写体50とCCD53との間に入れる必要がある。
【0112】ここでは、絵素ずらし素子に赤外カットフ
ィルタ(700nm以上の波長をカットする。)61を組み合わ
せる場合の例を示す。さらに、ウォブリング素子に用い
られている水晶板だけでは、高周波成分のカットが不十
分であるため、光学ローパスフィルタが必要である。そ
こで、一般に高画質のCCDビデオカメラに用いられて
いる7点ボケ用の水晶ローパスフィルタ(複数の水晶板
64からなる。)を組み込んだ(図14、図15)。
【0113】このローパスフィルタは、1枚の水晶板中
で入射光をその複屈折を利用して2点ボケにし、さらに
光軸の周りに回転させた他の水晶板の積層により2点像
を4点像に、さらに3枚目の水晶板で7点像としてぼか
し、ローパスフィルタ特性を向上させることができるも
のである。
【0114】即ち、このように入射光をぼかすことによ
り、画像情報の空間周波数の高い成分を除去でき、モア
レ縞及び色偽信号等の問題を回避することができる。但
し、水晶板1枚の場合は、y方向のみ高周波成分をカッ
ト若しくは分散できるが、上記ではx、yの両方向にお
いて高周波成分をカット若しくは分散でき、低周波成分
の感度を保持したまま高周波成分の画像への影響(結像
した画像出力にモアレ縞パターンや色偽信号が生じるこ
と)を一層なくすことができる。
【0115】こうしたローパスフィルタを用いない実装
例を図16に、同ローパスフィルタを用いた実装例を図17
に示した。いずれも、絵素ずらし素子(ウォブリング素
子)7はCCD53の前位に設けられている。
【0116】ローパスフィルタ64を用いる場合、ローパ
スフィルタの第1の異常光軸がウォブリング時の偏光と
30〜60°の角度をなすときは、ローパスフィルタの効果
は得られるが、それ以外ではローパスフィルタ特性がフ
ィールドで変化してしまう。このとき、絵素ずらし素子
7と光学ローパスフィルタとの間にλ/4板(図示せ
ず)を入れることにより、フィールド間でのローパスフ
ィルタ特性の差を低減し、ローパスフィルタ特性を十分
発揮できるようになる。
【0117】図18には、CCDを3つ用いた色分解カメ
ラシステムを示している。但し、CCDドライブ回路、
ウォブリング素子ドライブ回路は省略した。
【0118】〔2〕赤外光の撮像の場合 CCD撮像素子などの半導体撮像素子の近赤外光域を利
用し、本来人間の眼で感知できない近赤外光域のみを撮
像することができる。この場合、敢えて、赤外カットフ
ィルタを入れる必要はない。
【0119】この場合、赤外光だけを撮像するには、可
視光カットフィルタ(760nm以下をカットする。)を被写
体とCCDとの間に入れる必要がある。これにより、被
写体の温度分布等を撮像することができる。このときの
撮像波長は 700〜1200nmにまで及ぶため、絵素ずらし素
子の位相差はその半波長の 350〜600nm が必要である。
【0120】以上に述べたように、本発明に基づく位相
制御素子の使用によって、離散的画素からなるディスプ
レイや、離散的受光画素からなる固体撮像素子等に対し
て高速のウォブリング(絵素ずらし)を可能にし、高解
像度化を効率よく達成でき、モザイク状の点描画的画面
等を継ぎ目のない連続的な画面に向上させることができ
る。
【0121】以上、本発明の実施例を説明したが、上述
の実施例は本発明の技術的思想に基いて更に変形が可能
である。
【0122】例えば、上述した液晶素子をはじめ、各構
成部分の構造、材質や形状、形成方法、組み立て方法等
は種々変更してよい。基板もガラス板ではなく、他の光
学的に透明な材質であればよい。液晶についても、種々
のものが採用可能である。配向膜も、SiO斜方蒸着膜
その他の配向膜は、本発明によるポリイミド配向膜を用
いた液晶素子以外の液晶素子(例えば上述のLCD用)
に使用しても差支えない。
【0123】本発明が適用される対象は、上述した表示
装置、撮像装置の如き光学システムと共に、同システム
に組み込み可能なウォブリング素子も包含することは勿
論である。
【0124】
【発明の作用効果】本発明は上述した如く、光学的に透
明である対向電極間に、強誘電性液晶と反強誘電性液晶
と電傾効果を示すスメクチック液晶とから選ばれた少な
くとも1種からなる液晶が充填されている位相制御素子
において前記電極上に形成されるポリイミド液晶配向膜
を形成するに際し、少なくとも前記電極上に赤外線を照
射し、この光照射面をポリイミド前駆体で被覆し、この
ポリイミド前駆体を熱処理してイミド化しているので、
前記赤外線の照射によって前記電極に対する前記ポリイ
ミド前駆体の濡れ性を向上させ、前記ポリイミド前駆体
の被覆後の熱処理で得られるポリイミド膜の膜厚を均一
にすることができる。このポリイミド液晶配向膜は非常
に安定な膜であり、経時的にも変化し難く、その表面状
態を維持し、また均一膜厚に形成可能であるので、液晶
のプレチルト角及び配向性を保持し、位相制御特性、特
にウォブリングされるべき表示素子等の解像度を向上さ
せることができる。
【0125】そして、上記の強誘電性液晶等の液晶はい
ずれも、電界の作用に対して液晶ダイレクタの方向が変
化し易く、応答速度が非常に早いので、ビデオレートで
の駆動が十分可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例による位相制御素子としての液
晶セルの断面図である。
【図2】同液晶セルに用いるポリイミド液晶配向膜の赤
外スペクトル図である。
【図3】同液晶セルの作製のプロセスフロー図である。
【図4】同液晶セルをウォブリング素子に用いた表示装
置の状態1での概略図である。
【図5】同表示装置の状態2での概略図である。
【図6】同表示装置に用いる強誘電性液晶(FLC)の
コーン角の説明図である。
【図7】同表示装置にノーマリーホワイトのTN液晶表
示素子を用いた場合の概略図である。
【図8】同表示装置にノーマリーブラックのTN液晶表
示素子を用いた場合の概略図である。
【図9】偏光度の小さい表示素子を用いた表示装置の概
略図である。
【図10】上記表示装置を適用したディスプレイの断面図
である。
【図11】ディスプレイへの他の適用例の断面図である。
【図12】上記液晶セルをウォブリング素子に用いた撮像
装置の状態1での概略図である。
【図13】同撮像装置の状態2での概略図である。
【図14】水晶光学ローパスフィルタの実装状態の概略図
である。
【図15】同水晶フィルタ3枚により生じるボケを説明す
る原理図である。
【図16】上記撮像装置の実装例の断面図である。
【図17】他の実装例の断面図である。
【図18】更に他の実装例の断面図である。
【符号の説明】
1・・・(液晶光学)表示装置 2・・・(液晶)表示素子 3・・・強誘電性液晶素子 4・・・複屈折媒体 5・・・表示画素 7・・・ウォブリング素子(絵素ずらし素子) 8、10・・・異常光軸 9・・・偏光方向 13、14・・・透明電極 15・・・液晶 17・・・光源 18、19・・・偏光板 20、21・・・透明基板 22、23・・・配向膜 50・・・被写体 53・・・CCD素子 61・・・赤外カットフィルタ 64・・・光学ローパスフィルタ 71・・・撮像装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松居 恵理子 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソ ニー株式会社 内 (72)発明者 高梨 英彦 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソ ニー株式会社 内 (72)発明者 片岡 延江 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソ ニー株式会社 内 (72)発明者 楊 映保 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソ ニー株式会社 内 (56)参考文献 特開 平4−57020(JP,A) 特開 平2−918(JP,A) 特開 平3−166517(JP,A) 特開 平4−115786(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02F 1/1337 G02F 1/1343 G02F 1/13 101

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光学的に透明である対向電極間に、強誘
    電性液晶と反強誘電性液晶と電傾効果を示すスメクチッ
    ク液晶とから選ばれた少なくとも1種からなる液晶が充
    填されている位相制御素子において前記電極上に形成さ
    れ、ポリイミドからなっている位相制御素子用の液晶配
    向膜の形成方法であって、 少なくとも前記電極上に赤外線を照射する工程と、 この光照射面をポリイミド前駆体で被覆する工程と、 このポリイミド前駆体を熱処理してイミド化する工程と
    を有する、液晶配向膜の形成方法。
  2. 【請求項2】 配向膜分子のCH伸縮に帰属される赤外
    吸収ピークを2830cm-1以上に少なくとも1つもち、か
    つ、前記配向膜分子のカルボニル基に帰属される赤外吸
    収ピークを1600cm-1から1800cm-1の範囲内にもつ液晶配
    向膜を形成する、請求項1に記載した液晶配向膜の形成
    方法。
JP19194093A 1993-07-05 1993-07-05 位相制御素子用の液晶配向膜の形成方法 Expired - Fee Related JP3271384B2 (ja)

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