JP3428077B2 - 光学装置の駆動方法 - Google Patents

光学装置の駆動方法

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JP3428077B2
JP3428077B2 JP17231593A JP17231593A JP3428077B2 JP 3428077 B2 JP3428077 B2 JP 3428077B2 JP 17231593 A JP17231593 A JP 17231593A JP 17231593 A JP17231593 A JP 17231593A JP 3428077 B2 JP3428077 B2 JP 3428077B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、液晶、プラズマ、EL
(エレクトロルミネッセンス)等の如く画素が離散的な
ディスプレイや、撮像画素が離散的なCCD(電荷結合
素子)により代表される固体撮像素子に好適な光学装置
の駆動方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】液晶、プラズマ、EL等の如くモザイク
状、ドット状等の離散的な画素配列を持った表示素子に
対して、NTSC方式等で線順次走査の画素表示を行う
際、本来アナログ信号であるべき輝度信号が粗くサンプ
リングされて水平方向の位置情報が欠落してしまう。ま
た、垂直方向の画素分解能が走査線数だけ実装できない
場合、走査線の情報を欠落するか、あるいは同一画素上
に上書きするために、輝度信号等の位置分解能(即ち、
ディスプレイの解像度)を低下させていた。
【0003】例えば、NTSC方式で駆動するTFT(T
hin-Film-Transistor)−TN(Twisted Nematic) 液晶ビ
ューファインダーにおいて、NTSC方式では、1フレ
ーム(つまり、ビューファインダーが表示する一枚の
絵)は、偶数本目の走査線と奇数本目の走査線からそれ
ぞれ成る二つのフィールドで形成され、フレーム周波数
は30Hz(つまり、フィールド周波数は60Hz)である。現
状のTFTビューファインダーは、NTSC方式の走査
線数 525本を実装できないため、奇数フィールドと偶数
フィールドを同一画素に書き込む等の方法をとってい
る。このため、垂直分解能がNTSC方式の原理よりも
低下しているのが現状である。
【0004】また、画素サイズが大きく、さらにブラッ
クマトリックス等の非表示画素部分のつなぎ目の存在に
より、離散的画素配列のモザイク状の画面が目立ち、画
面の質感を低下させていた。
【0005】上記の現象は、CCDによる撮像において
も同様に生じる。即ち、CCDを構成している撮像画像
が離散的なために、被写体の画像情報が構成画素ピッチ
でサンプリングされてしまうため、水平及び垂直の空間
分離能を低下させていた。
【0006】そこで、ウォブリング技術を採用して、絵
素ずらし素子を導入し、奇数フィールドと偶数フィール
ドの画像を空間的にずらすことにより、垂直分解能を向
上させる方法が提案されている。これは、水平方向にも
適用され、水平分解能の向上も可能である。
【0007】
【発明に至る経過】しかし、これまで提案されているウ
ォブリング素子では、応答速度が遅く、ビデオレートで
は駆動できないため、実用的ではなく、また、デバイス
の構成条件も不十分であった。
【0008】このウォブリングにおいていは、上記した
奇数フィールドと偶数フィールドの画像を空間的にずら
すために、例えば表示素子と観察位置との間の光路中
に、カイラルスメクチック液晶を用いた位相変調素子と
複屈折媒体(水晶板)とを順次配置することが考えられ
る。この場合、前者の素子を上記フィールドの同期信号
とタイミングをとってパルス駆動し、その液晶ダイレク
タの位置(コーン角)を変化させることにより、入射光
の偏光面を選択的に変化させ、複屈折媒体による複屈折
作用で出射光の光軸を選択的にずらすことができる。
【0009】こうした位相変調素子において、図10に示
した如き正及び負の矩形電圧を各フィールド毎にVP
−VP →VP と交互に印加して駆動すれば、パルス駆動
の場合に見かけのコーン角の安定性に欠ける液晶ではコ
ーン角を広げることができ、ウォブリングにとって効果
的ではある。
【0010】しかしながら、このような矩形波駆動で
は、各フィールドにおいて高電圧のDC(直流電圧)が
印加され続けるため、電気化学的な安定性に欠け、その
スイッチング特性が劣化することがある。しかも、消費
電力の増大と共に、液晶セルの絶縁性が低い場合は特に
耐圧や信頼性に問題が生じ易い。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、液晶
素子の低電圧駆動を可能にし、電気化学的な安定性を向
上させ、かつ、液晶の見かけのコーン角を26〜64度(好
ましくは36〜54度、最適には45度±5度)に調整してウ
ォブリング効果を良好にすることのできる駆動方法を提
供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、高解像
度化されるべき表示素子と観察位置との間、又は被写体
と撮像素子との間の光路中に、強誘電性液晶(FLC)
と反強誘電性液晶(AFLC)と電傾効果を示すスメク
チック液晶(SmA)とから選ばれた少なくとも1種の
液晶が対向電極間に注入されている位相変調光学素子と
しての電気光学素子(例えば、光学的に透明な電極と配
向膜とをこの順に設けた光学的に透明な基体の複数個が
前記電極及び前記配向膜の側で互いに所定の間隙を隔て
て対向配置され、この間隙内に上記液晶が注入されてい
る液晶セル)と、複屈折媒体とを順次配置してなるウォ
ブリング素子からなる光学装置を駆動するに際し、前記
電気光学素子に対するパルス印加によって前記表示素子
又は前記撮像素子を一次元又は二次元にウォブリングす
る、光学装置の駆動方法において、少なくとも2つの正
のパルス印加と、これに後続する少なくとも2つの負の
パルス印加とを繰り返し、これらのパルス印加における
同極性のパルスのうち、第1のパルスの絶対値を第2の
パルスの絶対値よりも大きくし、 前記第1のパルスによ
って液晶を高速応答させ、前記第2のパルスによって
晶の見かけのコーン角を26度〜64度の範囲に保持す
ることを特徴とする、光学装置の駆動方法に係るもので
ある。
【0013】本発明の方法においては、上記した第1の
パルスのパルス幅を第2のパルスのパルス幅よりも短く
することが望ましい。
【0014】また、上記した第1のパルスによって液晶
を高速応答させ、第2のパルスによって液晶の見かけの
コーン角を26度〜64度(好ましくは36度〜54度)の範囲
に保持することがよく、また、このようなパルス駆動
は、メモリー時の見かけのコーン角が26度未満である液
晶を使用するときに効果的である。
【0015】本発明の方法は特に、高解像度化されるべ
き表示素子と観察位置との間、又は被写体と撮像素子と
の間の光路中に、位相変調光学素子としての上記電気光
学素子と複屈折媒体とを順次配置してウォブリング素子
を構成し、前記電気光学素子に対するパルス印加によっ
て前記表示素子又は前記撮像素子を一次元又は二次元に
ウォブリング(特にビデオレートでウォブリング)する
ときに有効である。
【0016】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。
【0017】図1は、本発明に基いて液晶セルを駆動す
るときの駆動波形の代表例を示すものである。
【0018】液晶セルとしてメモリー時の見かけのコー
ン角が26度未満のものは、後述するウォブリング時の望
ましい見かけのコーン角:26度〜64度を満たさないた
め、図10に示した如き矩形波駆動によってコーン角を広
げることができるが、上述した問題が生じることがあ
る。そこで、メモリーを用いない駆動において、図1に
示す如き駆動波形を考案した。即ち、パルス印加での液
晶ダイレクタの位置(見かけのコーン角)を低電圧のD
C電圧で保持するのである。
【0019】換言すれば、高速応答のために各フィール
ドの先頭に高電圧のパルスPを与え、これによって一度
応答した液晶ダイレクタの位置(コーン角)をそれに続
く低電圧のDC電圧により維持するのである。図1中、
PWは先頭パルスPのパルス幅、VP はパルス印加電
圧、DCWはDC印加の幅、VDCはDC印加電圧であ
る。さらに、1フィールド毎に印加電圧の極性を反転さ
せるため、各印加電圧はVP から−VP へ、VDCから−
DCへと切り換える。
【0020】そして、先頭印加パルスPの電圧VP を20
V、パルス幅PWを1msに固定して、コーン角を維持す
るために必要なDC印加電圧を検討した。その結果を図
2、更にはそのスケールを拡大して図3に示す(この結
果は、逆極性の電圧印加でも同様)。約 1.5V以上のD
C印加電圧により、コーン角を47〜49度の近傍に制御で
きることがわかった。また 1.5V以下の電圧で、小さな
コーン角も制御できることを示している。例えば、1V
の印加でコーン角45度±5度を保つことができる。
【0021】このように、本発明に基づく高電圧の先頭
パルスPと低電圧のDC電圧との組み合わせによって、
次の (1)、(2) に示す顕著な効果を得ることができる。
【0022】(1) 第1のパルスPで高速化が図れ、第2
のパルスDCで見かけのコーン角を調整できるため、従
来よりも全体として低電圧で駆動でき、電気化学的な安
定性を改善でき、経時劣化を防ぐことが可能となる。 (2) 第2のパルスDCで見かけのコーン角を45度±5度
に調整できるため、後記に詳述するウォブリング効果の
低下を抑制できる。
【0023】次に、本発明に使用可能な具体的な液晶セ
ル(強誘電性液晶スイッチング素子)をその作製方法に
基いて説明する。
【0024】〔1〕強誘電性液晶スイッチング素子 セルの構成は図11に示す通りである。即ち、透明ガラス
基板20、21上に透明電極(例えば 100Ω/□のITO:
インジウムにスズをドープしたIndium tin oxide)13、
14を付け、さらにその上に、液晶配向膜として有機系の
配向膜22、23を形成した。
【0025】この有機系配向膜としては、日本合成ゴム
社製のポリイミド系配向膜JALS246を用いた。こ
のポリイミド系の配向膜の形成では、溶剤に希釈したポ
リイミド溶液をスピンキャスト法により基板材料に塗布
し、 200℃、1時間で熱処理することにより薄膜(10〜
150nm)を形成した。さらに、ラビングによる配向を行う
場合には、上記のようにして形成したガラス基板上のポ
リイミド薄膜を、ベルベット布を巻付けたローラーを押
し付け、回転させながら、並進移動させることにより、
ポリイミド分子の配向を促した。
【0026】このようにして作製した配向膜付きの基板
を、その配向処理方向が対向面で反平行となるように組
み、そのスペーサとして、目的ギャップ長に応じたガラ
スビーズ(真糸球:直径 0.8〜3.0 μm(触媒化成
製))24を用いた。スペーサは、透明基板の大きさによ
り、小さい面積の場合は周囲を接着するシール材(UV
硬化型の接着材(フォトレック:セキスイ化学(株)
製))25中に例えば 0.3wt%程度分散させることによ
り、基板間のギャップを制御した。基板面積が大きい場
合には、上記真糸球を基板上に平均密度で 100個/mm2
散布したのち、ギャップをとり、セルの周囲に液晶の注
入孔を確保して上記シール材でセル周囲を接着した。
【0027】その後、メルク社製の強誘電性液晶ZLI
−3774を等方相温度あるいはカイラルネマチック相
温度の流動性を示す状態で減圧下で注入した。液晶注入
後、徐冷し、注入孔周囲のガラス基板上の液晶を除去し
たのち、エポキシ系の接着剤で封止し、強誘電性液晶素
子を作製した。用いる強誘電性液晶はチッソ(株)製、
メルク(株)製、BDH、あるいは例えば下記の強誘電
性液晶化合物又は非カイラル液晶からなる組成物でも可
能であるが、その制限はなく、また、その相系列の制限
も必要とせず、必要なのは使用温度範囲でカイラルスメ
クチック液晶相をとることである。
【0028】ここで用いたカイラルスメクチック液晶素
子の液晶層構造は、配向処理方向の組み合せにより、反
平行でブックシェルフ構造、平行でシェブロン構造ある
いは疑似ブックシェルフ構造を有していることがX線構
造解析により明確となった。
【0029】
【化1】
【0030】
【化2】
【0031】
【化3】
【0032】
【化4】
【0033】
【化5】
【0034】更に、カイラルスメクチック液晶以外で
も、スイッチングスピードが高速で有れば、例えば、下
記の反強誘電性液晶(AFLC)や電傾効果を示すスメ
クチックA相でも適用可能である。本発明で使用できる
液晶は、ビデオレートで駆動可能な強誘電性液晶、反強
誘電性液晶、あるいは電傾効果を有するスメクチックA
液晶のスイッチ状態において、少なくとも2つの状態が
存在し、そのうち少なくとも2つの状態の異常光軸が26
〜64度の角をなすカイラルスメクチック液晶素子で偏光
面を回転できるように光学配置できるものである。
【0035】<反強誘電性液晶>反強誘電性液晶は、C
handani らにより1988年に見出されたものであって、次
の3点を特徴としている。 (1)反強誘電状態と2つの強誘電状態の3安定状態間
のスイッチングを利用する。 (2)明確なしきい値特性を示し、マルチプレクス駆動
した時のコントラストを高くとれる。 (3)プラスとマイナスのヒステリシスを交互に使い、
内部分極の発生が抑えられるため、焼き付き現象が起こ
りにくい。
【0036】この反強誘電性液晶材料の特徴としては、
強誘電性液晶と異なり、カイラル液晶がその組成物のほ
とんどであるということ(自発分極が大きく、強誘電性
液晶のほぼ10倍)、不斉炭素に関する置換基はCH
3 基、CF3 基、C2 5 基をもつ化合物は容易に反強
誘電性を示し、コア構造が拡張する。例えば、チッソ社
製のCS−4000がある。
【0037】<電傾効果を示すスメクチック液晶>電傾
効果とは、カイラル分子によって構成されるスメクチッ
クA相において、温度を一定としたときに電場によって
配向ベクトルの傾き角が誘起される現象である。スメク
チックA相において、配向ベクトルはスメクチック層の
法線方向を向き、長軸回りに自由回転しているが、層に
沿った電場を印加することによって自由回転が阻害さ
れ、電場方向の分極Pが誘起される。
【0038】分極Pと傾き角θの線形結合をP=kθと
仮定すれば、 P=(ε⊥* −ε⊥0)εO Ε 従って、θ=(ε⊥* −ε⊥0)εO Ε/k のように、印加電場Eに比例した傾き角が生じる。ここ
で、ε⊥* とε⊥0は光学活性物質のラセミ体の誘電
率、εO は真空の誘電率である。このことから、カイラ
ル液晶のラセミ体のそれぞれの誘電率の差が大きいほ
ど、大きな電傾効果を現す。
【0039】そして、上記の強誘電性液晶等の液晶はい
ずれも、電界の作用に対して液晶ダイレクタの方向が変
化し易く、応答速度が非常に速い(例えば、立ち上がり
及び立ち下がり時間ともにμsec オーダーであって、ツ
イストネマチック液晶の特に立ち下がり時間に比べては
るかに速い)ので、ビデオレートでの駆動が十分可能と
なる。
【0040】次に、本発明に基づく上記の駆動法につい
て更に詳細に説明する。〔2〕ウォブリングの新駆動法 ここでは、液晶配向膜としてJALS246を用い、セ
ルとしてアンチパラレルに組んだセルを用い、1.76μm
のセルギャップにメルク社製の強誘電性液晶ZLI−3
774を注入した。
【0041】このセルでは、メモリー時の見かけのコー
ン角は10.8度であった。ウォブリング動作では、見かけ
のコーン角θ=26〜64度、好ましくはθ=36〜54度の条
件を満たさないため、図1で述べたようなセルの駆動法
を考案したことは上述した通りである。
【0042】ここで、コーン角の測定に際しては、2つ
のスイッチ状態における液晶ダイレクタのなす角を測定
するものであり、具体的には、液晶セルを偏光子が直交
した偏光顕微鏡下で観察し、消光位(回転して暗くなる
位置)でのステージの回転角から求めた。
【0043】図1に示した代表的駆動波形とその光学的
応答波形とコーン角変化において、スイッチングは各フ
ィールド毎に反転するものであり、2フィールドで1フ
レームが構成される。1フレームは30Hz、即ち、33.3ms
である。ここで、高速応答のために各フィールドの先頭
に高電圧のパルスPを与え、一度応答した液晶ダイレク
タの位置(コーン角)をそれに続くDC電圧により維持
することが重要であるが、この点では、DC電圧を1フ
ィールドの途中でオフしてよいし、或いは、図12に示す
ように波形を変形(即ち、DC電圧を少し高めで1フィ
ールドの途中でオフ)してもよい。
【0044】(1)20V、1msパルスの場合のコーン角
のDC電圧依存性 先頭印加パルスPの電圧を20V、パルス幅PWを1msに
固定して、コーン角を維持するために必要なDC印加電
圧を検討した。その結果を図2、図3に示す。これによ
れば、約 1.5V以上のDC印加電圧によりコーン角を47
〜49度近傍に制御でき、また 1.5V以下の電圧で小さな
コーン角も制御でき、例えば1V印加でコーン角45度±
5度を保つことができることは既に述べた。
【0045】(2)DC電圧 1.5Vの場合のコーン角、
コントラストのパルス印加電圧依存性 先頭印加パルス幅PWを1msに、さらにDC印加電圧を
1.5Vに固定して、先頭パルス印加電圧VP のコーン
角、応答時間へ与える効果について検討した。その結果
を図4に示す。コーン角は47度近傍で一定であるが、コ
ントラストは若干変動した。
【0046】応答時間の逆数(1/τ)とパルス印加電
圧VP の関係は直線関係を示し(図5)、1/τ∝V、
即ち、τ=η/PS ・Vの関係式に示されるように、ダ
イポールとの直接的相互作用による応答過程である。図
中、τ0−10、τ0−90は、トランスミッタンスが0→
10、0→90に変化するまでの時間を示すが、これらは共
に同様の挙動を示した。
【0047】(3)パルス印加電圧20V、DC電圧 1.5
Vの場合のコーン角、コントラストのパルス幅依存性 パルス印加電圧VP を20V、DC電圧を 1.5Vに固定し
て、先頭パルス幅PWのコーン角、応答時間へ与える効
果について検討した。その結果を図6に示す。コーン角
は47度近傍で一定であるが、コントラストは若干変動し
た。
【0048】応答時間とパルス幅の関係を見ると、図
7、及びそのスケールを拡大した図8によれば、τ0−
10、τ0−90も共に同様の挙動を示した。但し、パルス
幅を1000μsから短くすると、50μsまではほぼ一定の
応答時間を示すが、50μsよりも短くなると、急激に応
答時間が遅くなる。これは、20Vのパルス電圧では約50
μsの間にダイレクタが十分に変化しているためであ
り、50μs以上のパルス幅があれば良いことがわかっ
た。
【0049】次に、応答時間の逆数(1/τ)あるいは
最小パルス幅(ダイレクタのスイッチングに十分な最小
値)の逆数とパルス印加電圧の関係は直線関係を示し
(図9)、ダイポールとの直接的相互作用による応答過
程であることがわかる。いずれも同様の挙動を示した。
【0050】以上の結果を要約すると、 〔1〕先頭パルスPの役割は、速やかにコーン角を変化
させることにある。 〔2〕引き続くDC電圧はしきい値以上(約 1.5V以
上)の電圧であれば、ダイレクタの方位を維持し、コー
ン角を一定にすることができる。しきい値以下では、ダ
イレクタの方位を任意の角度で制御できる。
【0051】即ち、先頭パルスPの電圧VP は高めであ
ってそのパルス幅PWは短めが良く、かつ、それに続く
DC電圧はしきい値電圧を僅かに越えた電圧が好適と考
えられる。これにより、全体の印加電圧を下げることが
でき、電気化学的な安定性を改善することができる。
【0052】上記した液晶セルのスイッチングは各フィ
ールド毎に反転するものであり、Nフィールドで1フレ
ームを構成する場合にも適用できる。さらに、この駆動
法は、表示素子、撮像素子を問わず、カイラルスメクチ
ック液晶絵素ずらし素子として用いることができる。
【0053】特に、ウォブリング(絵素ずらし)では、
立ち上がりと立ち下がりの応答時間がフィールド時間の
1/3以下で、かつ、立ち上がり時間と立ち下がり時間
との比が互いに2倍を越えないものが好ましい。
【0054】この点、ネマチック液晶を用いた場合は、
高速のものでも電界印加時の立ち上がり時間は比較的短
いが、オフ時の立ち下がり時間は長いために、フィール
ド内でのスイッチングが十分でなく、有効な絵素ずらし
効果が得られない。
【0055】ツイストネマチックの絵素ずらし素子で
は、透過率変化0〜90%での立ち上がり+立ち下がり時
間は最小で15msec 程度(室温)であり、NTSCの
2:1線飛越走査方式(1フィールド当たり1/60秒
(16.7ms))でもかなり実現が困難であり、さらにフ
レーム数が同じで4:1線飛越走査方式を適用すれば、
1フィールド当たり1/120 秒(8.3ms)であり、全く
追従できなくなる。この点、強誘電性液晶素子を用いた
絵素ずらし法は、そのスイッチング時間がTN液晶より
も短いため、有効であることがわかる。ちなみに、強誘
電性液晶素子の立ち上がり+立ち下がり時間はμsec オ
ーダーから、最も遅いものでも数ms以下である。
【0056】下記の表には、各種液晶の応答時間を比較
して示すが、本発明に使用可能な液晶の応答速度は著し
く早い。
【0057】次に、上記した液晶セル3をウォブリング
素子として組み込んだ光学装置を説明する。
【0058】図13及び図14は、本発明を液晶光学表示装
置1に適用したものであって、同一光路中に光の進行方
向に沿って順次配置された液晶表示素子(LCD)2
と、位相変調光学素子としての上記強誘電性液晶素子
(FLC)3と、水晶板等の透明基板からなる複屈折媒
体4との組み合わせによって構成されている。ここで、
理解容易のために、各構成素子は、液晶表示素子LCD
の1つの構成表示画素5に対応した区画についてそれぞ
れ示されている(以下、同様)。
【0059】上記のLCD2の画素5は全体としてモザ
イク状等の離散的な画素配列からなっており、また、使
用される液晶はTN(ツイストネマチック)、STN
(超ツイストネマチック)、SH(スーパーホメオトロ
ピック)、更にはFLC等からなっている。このLCD
2は、図示省略したが、公知の如くにパネル自身に偏光
板を有し、出力光6は直線偏光を有している。
【0060】そして、この直線偏光6に対し、上記のF
LC3と複屈折媒体4とで構成されるウォブリング素子
(絵素ずらし素子)7によって平行方向又は垂直方向に
絵素ずらしが行われる。
【0061】このためには、FLC素子3の一つの異常
光軸8を表示画素5の偏光面9と平行あるいは垂直とな
るように配置し、更に、等価的に一軸性の光学軸(一軸
的な光学異方性)を有する透明基板4の異常光軸10のX
−Y面(入射側)への射影成分を偏光面9に対し、平行
(Y方向)あるいは垂直(X方向)に配置している。
【0062】FLC素子3に用いる液晶は、ビデオレー
トで高速スイッチング可能なものであって、カイラルス
メクチック液晶等が挙げられ、また、複屈折媒体4には
水晶板等が使用可能である。但し、後述するように、F
LCに代えて反強誘電性液晶(AFLC)や、電傾効果
を示すスメクチック液晶(例えばスメクチックA)も有
効であり、また、水晶板以外の複屈折素子も勿論使用可
能である。
【0063】次に、この表示装置1におけるウォブリン
グ動作を概略的に説明する。
【0064】まず、図13のように、強誘電性液晶素子3
のスイッチ状態が状態1の場合、表示素子2側から照射
される光6の偏光面9と強誘電性液晶素子3の異常光軸
8が平行のため、透過光11は偏光面を維持したまま複屈
折を有する水晶板4に照射される。水晶板4では、入射
偏光面内に水晶の異常光軸10を含むため、Y軸方向に偏
光している光は水晶板4の異常光軸10の傾いている方向
へ屈折し、再び空気層へ12として出るとき光軸と平行に
なり、入射光の光軸とのずれがY方向に生じる。
【0065】一方、図14のように、強誘電性液晶素子3
のスイッチ状態が状態2の場合、偏光面9と異常光軸8
が約45度の角をなしているため、透過光11は異常光軸の
向きに回転し、直線偏光(Y軸方向)→楕円偏光→円偏
光→楕円偏光→直線偏光(X軸方向)と強誘電性液晶素
子3内を変化し、偏光面は初期状態から90度回転し、水
晶板4に照射される。水晶板4では、入射偏光面内に水
晶の異常光軸10を含まないため、光11は屈折しないでそ
のままの光軸を維持し、再び空気層へ出射光12として出
る。
【0066】このように、FLC3のスイッチ状態、即
ち、状態1と状態2での水晶板4による屈折の有無で光
軸をずらし、この光軸のずれを絵素ずらしの動作原理と
して用いることができる。
【0067】なお、ウォブリング動作にとって、液晶の
偏光面を90度回転させるためには位相を 180度ずらせば
良い。複屈折率(ne −no )、セルギャップdと位相
差δの間には以下の関係がある。 δ=2πd(ne −no )/λ
【0068】ここで、δ=πとすればよい。このために
は、セルギャップdを d=λ/2(ne −no ) とすれば良いことになる。しかし実際には、液晶分子の
基板とのなす角α(プレチルト角)は0度でないため
に、ne は小さくなり、ギャップ長dをさらに長くとら
なければならない。
【0069】ここで、常光no は入射角に依存せず、液
晶分子短軸方向の屈折率n⊥に等しい。即ち、no =n
⊥である。
【0070】具体的にはne はプレチルト角αの関数で
あり、
【数1】
【0071】dは次のようにプレチルト角αに依存す
る。 d=λ/2〔ne (α)−no
【0072】即ち、配向膜の種類によりαを求め、上記
関係式をもとに最適ギャップdを計算できる。従って、
配向膜はSiO等の様な無機系配向膜、あるいはポリイ
ミド、ポリアミド、ポリビニルアルコール(PVA)な
どの有機系配向膜の種類を問わず使用できる。
【0073】さらに、プレチルト角αが90度では、上記
式によりギャップ長dは無限大となってしまうため、0
〜89度のプレチルト角が必要である。但し、プレチルト
角を45度を超えて制御するのは難しいため、実用的には
0〜45度のプレチルト角が好ましい。
【0074】ここで、FLC3における上記スイッチ状
態を決める液晶のコーン角について説明する。強誘電性
液晶(反強誘電性液晶でも同様)では、電界印加による
液晶ダイレクタのスイッチング挙動としては、「液晶辞
典」(培風館発行)のP150に記載されている南部−ゴ
ールドストーンモードに従って液晶分子が仮想的なコー
ン上を動く。さらに、電傾効果を有するスメクチックA
液晶(同液晶辞典のP145)では、同液晶辞典のP119 に
記載されているソフトモードを利用した場合でも、コー
ン角に類似した各液晶組成物に固有のコーン角を有して
いる。
【0075】即ち、図15に示すようなITO(インジウ
ムにスズをドープしたIndium tin oxide) からなる透明
電極13−14間に挟まれた液晶15のコーンモデルを考え
る。コーンの開き角をコーン角θrと呼び、このコーン
角の透明電極の付いたガラス基板への投影を見かけのコ
ーン角θと呼ぶ。光学的にはこの見かけのコーン角θに
ついて考えれば良い。このコーン角は、以下に示すよう
に温度依存性を示すために、有効なウォブリング効果を
得るために例えば25℃でコーン角45度を得ていても、そ
の環境温度により低温側ではコーン角が大きく、高温側
ではコーン角が小さいという現象がある。
【0076】そこで、コーン角を調整するには、コーン
角の異なる複数の液晶をブレンドすることができる。
【0077】上記の複屈折媒体4については、入射され
た光の偏光方向により光軸のずれを与えるため、等価的
に一軸性の異常光軸10が図13のようにZ軸と同一面上に
存在し、かつ、軸に対して平行でない素子を用いる。
【0078】例えば水晶板での光学軸のずれLを下記の
式により計算する。図16のように、複屈折透明媒体4の
異常光軸10がウォブリング光学系の光軸となす角をβと
し、水晶板4の厚みをdとする。ここで、水晶板4の常
光の屈折率no と異常光の屈折率ne は、ne =1.5533
6 、no =1.54425 である。ここでは、 0.7インチ、1
0.3万画素のアクティブマトリックスTN液晶ディスプ
レイを垂直方向に高解像度化するために、L=24.5μm
のずれを与える値としてβ=45度、d=4.17mmとした。
【0079】
【数2】
【0080】ここで、光軸のずれLを発現させるのに効
果的なβの範囲は10〜80度であった。この光学軸のずれ
は、後述する構成画素ピッチにより異なる。
【0081】次に、本発明に基づく液晶光学装置を構成
する各素子の具体的な組み合わせ例のスイッチ状態を図
17に示す。ここで組み合わせる液晶表示素子2として
は、アクティブマトリックスTN液晶、STN液晶表示
素子、強誘電性液晶表示素子、反強誘電性液晶表示素
子、SH表示素子等、その種類を問わない。ここではそ
の一例として、TN液晶との組み合わせ例を示す。
【0082】図18に示すノーマリーホワイトのTN液晶
表示素子の場合、TN液晶に電界が印加されない状態で
光源からの光が透過するものである。ここでは、バック
ライト17−偏光板18−TN液晶2−偏光板19の組み合わ
せ、或いは、反射板−偏光板18−TN液晶2−偏光板19
の組み合わせが従来と同様のTN液晶表示素子を示す。
そして、TN液晶素子2、強誘電性液晶素子3にはそれ
ぞれ、透明電極がその両面に配置してあるのは言うまで
もない。
【0083】この場合、電界強度が増大するにつれてT
N液晶2のねじれが解除され、徐々に偏光板を通して光
がもれ、階調表示が実現されるが、いずれの透過光も強
誘電性液晶素子3の前で偏光板19により同一の直線偏光
になるため、上述した動作原理に従って絵素ずらしを行
うことができる。
【0084】図19に示すノーマリーブラックのTN液晶
表示素子の場合、TN液晶に電界が印加された状態で光
が透過するモードであり、電界強度が減少するにつれて
TN液晶2のねじれが徐々に復帰し、徐々に暗くなり、
階調表示が実現されるが、いずれの透過光も強誘電性液
晶素子3の前で偏光板19により同一の直線偏光になるた
め、上述した動作原理に従って絵素ずらしを行うことが
できる。
【0085】このように、どのようなタイプの液晶表示
素子でも、表示素子から出てくる光がほぼ直線偏光であ
れば、本発明を適用できることが明確である。
【0086】上述した例は、偏光を有する表示素子につ
いてのものであるが、本発明は無偏光の表示素子にも勿
論適用できる。
【0087】図20に示すように、表示画素5からの光の
偏光度が小さい場合、偏光にするために、表示素子2と
絵素ずらし素子7を結ぶ光路中に偏光板19を挿入すれば
良い。光学的配置条件は上述の液晶表示素子の場合と同
様である。
【0088】ここで使用可能な無偏光ディスプレイ2と
しては、プラズマディスプレイ、LEDディスプレイ等
の自発光型表示素子がある。
【0089】上述した如く、本発明に基いて、ビデオレ
ートで駆動可能なカイラルスメクチック液晶をはじめと
した位相変調素子(強誘電性液晶、反強誘電性液晶、あ
るいは電傾効果を有するスメクチックA液晶)3を用い
たウォブリング素子7を離散的な画素から構成される液
晶、プラズマ、LED等のディスプレイと観測者の網膜
とを結ぶ光路中に配置し、ウォブリング(絵素ずらし)
を行うことができる。
【0090】次に、本発明に基づく上述の液晶光学装置
の駆動法を更に具体的に説明する。
【0091】液晶表示素子の高解像度化の駆動法と動作 NTSCの2:1線飛越走査方式では、2フィールドで
完全な一つの画面(1フレーム)ができる。そして、第
1(奇数)フィールドと第2(偶数)フィールドでは、
垂直方向の位置情報に関して互いに補間しあっており、
1秒間のフィールド枚数を多くして解像度を維持する方
法である。しかし、液晶表示素子の如く、特に垂直画素
数が少ない場合に、奇数フィールドと偶数フィールドを
同一走査線上に上書きしてしまうために、本来有してい
る解像度を低下させている。
【0092】ここでは、奇数フィールドと偶数フィール
ドで同期をとって絵素ずらしを行い、高速な映像の置き
換えによる残像効果を応用して、垂直方向の高解像度化
を図った。以下に、その絵素ずらしのシフト量について
述べる。実際には、液晶には点順次あるいは線順次走査
があり、時系列的に走査されるが、ここでの説明では原
理が理解し易いように同時刻で取り扱う。
【0093】モノクロマチック表示素子、3板式カラー
表示素子或いはカラーシーケンシャル表示素子の場合:
1つのスイッチング素子が1絵素に相当するので、単純
に1絵素の絵素ずらし方向の重心点間距離(構成表示画
素間の中心間距離)の半分の長さの光軸の絵素ずらし方
向へのシフトにより、高解像度化され、同時に画素間の
非表示部位(例えばブラックマトリックス)が目立たな
くなる。しかし、シフトは絵素の重心点間距離の正確に
半分でなくてもよい。
【0094】即ち、図21に示すように、ブラックマトリ
ックス部と構成画素部の口径の大きさの違いにより、そ
の有効なシフト量が異なる。ブラックマトリックス部が
構成画素口径と同じか大きい場合、高解像度化を行いた
い方向の構成画素ピッチの半分の長さのシフト(a)が
最適であるが、その許容度は画素位置のシフトが認識さ
れる構成画素口径の半分が必要である。さらに、ブラッ
クマトリックス部が構成画素口径よりも小さい場合、最
低限、ブラックマトリックス部の長さのシフトが有効と
なる(b、c)。
【0095】絵素ずらし方向の長さ成分に対して、ブラ
ックマトリックス部の長さをLB 、構成画素口径をLA
とすると、画素ピッチはLP =LA +LB となり、絵素
ずらし量Lは、 Min(LB 、LA /2)≦ L ≦ Max(LP −LB 、L
P −LA /2) で表される。
【0096】この式をLP とLA を用いて表せば、 Min(LP −LA 、LA /2)≦ L ≦ Max(LA 、L
P −LA /2) となる。なお、上記の各式におけるMin(x、y)、Max
(x、y)はそれぞれ、x、yの内の小さい値、大きい
値を与える関数とする。
【0097】ここでの例のように、垂直方向に絵素ずら
しを行えば、図22のように垂直方向が高解像度化され
る。同様にして、水平方向に絵素ずらしを行えば、水平
方向が高解像度化される(図23)。更に、斜め方向に絵
素ずらしを行えば、垂直及び水平方向が高解像度化され
る(図24)。
【0098】カラーフィルタを有するカラー液晶表示素
子の場合:通常のカラー表示素子では、R、G、Bカラ
ーフィルタのトリオにより1絵素を構成している。R、
G、Bの配置法は、インライン配列(図25)、デルタ配
列(図26)等があるが、ここでの光軸のシフト量は絵素
ずらし方向の最近接RGBトリオ面積重心間距離の1/
2の長さにすれば良い。
【0099】このような絵素ずらし素子の絵素ずらし方
向は、垂直方向だけでなく、水平方向或いは斜め方向も
含む2次元の絵素ずらしにより、ずらした方向の解像度
を向上させることができる。更に、絵素ずらし範囲は、
絵素ずらし方向の長さ成分に対する構成画素口径LA
RGBの画素トリオのものとし、ブラックマトリックス
部の長さをLB とすることにより、上記したモノクロマ
チック表示素子と同様の条件とすることができる。
【0100】絵素ずらし動作における駆動電極分割数の
範囲:上述したような、高解像度化されるべき素子は、
原理的には、1画素当たりの各々のスイッチングに同期
させた絵素ずらしを必要とする。この場合には、点順次
走査の場合はTFT(Thin Film Transistor) のマトリ
ックスのように画素数分の絵素ずらし素子が必要とな
る。さらに、線順次走査の場合は、水平走査線の数の電
極分割が必要であることになる。
【0101】従って、高解像度化したい表示素子の水平
走査線数をNとした場合、線順次走査の時は透明電極を
垂直方向に1/N分割するのが理想的である。しかし、
高解像度化のためには、コスト的に同等の絵素ずらし素
子が必要となってしまう。そこで、本発明者は、ヒュー
マンファクタによりこの電極分割上限を低下させ、コス
トダウンを行えると考え、次に示す実験を行った。
【0102】上記のTFTカラー液晶表示素子と組み合
わせ、垂直同期信号に同期させて強誘電性液晶素子のス
イッチングのタイミングをとったところ、時系列データ
を考慮しないで、パネル全面のFLC素子のスイッチン
グを行っても、パネル垂直方向の約1/4が 240TV本
から 370TV本へと高解像度化された。
【0103】なお、ここでの解像度評価は、NTSCの
解像度評価用パターン(ビデオシグナルパターンジェネ
レータ:ソニー社製MTSG−1000)からの信号を
ビデオ入力し、白黒のラインの解像性を観測により判別
した(以下、同様)。
【0104】ここでの実験から、1/4程度までの垂直
方向の分割でも高解像度化が有効であることが判った。
即ち、高解像度化のためには、水平走査線数Nの表示素
子と組み合わせる絵素ずらし素子は垂直方向にN分割〜
1分割すれば良いが、パネル全面の高解像度化を行うた
めには、N分割〜3分割が好ましい。さらに、電極加工
精度、コスト等を考慮すれば、N/2或いは(N+1)
/2のうちのいずれかの整数分割以下が好ましい。
【0105】5分割電極構成によるFLC絵素ずらし素
子の高解像度化の具体例:図27に分割電極の組み合わせ
例を示す。この分割電極はガラス基板上に透明電極(I
TO)13、14を形成し、電極を5分割するようにエッチ
ングした。ITO電極間距離(エッチング部分)を10μ
mとした。この電極間距離はセルギャップよりも大きい
(更には、非表示部位よりは短い)ことが電極間電位差
による絶縁破壊防止、即ち、耐圧等の点で必要である。
ここでは、セルギャップは1μm〜3.0μmとした。分
割電極の組み合わせは、片側をコモン電極としてもよ
く、また、両側を分割電極としてもよいことは容易に判
る。
【0106】さらに、配向膜としてはSiO配向膜を用
い、セル組み立て方法及び液晶注入方法は単極セルの場
合と同様である。液晶配向方向については絵素ずらし方
向を考慮して設定した。
【0107】絵素ずらし素子の同期信号について:飛越
走査法(インターレース) 動画像、例えば映画では毎秒24こま、テレビでは毎秒25
枚または30枚の画像を送っている。しかし、毎秒24枚か
ら30枚ではフリッカー妨害が大きく、使用に絶えない。
このため、映画では1こまを2回ずつ照射し、毎秒48こ
まの繰り返しを行い、テレビでは飛越走査法を用いて伝
送帯域幅を増加しないで毎秒の繰り返し回数を増やして
いる。日本国内標準では2:1線飛越走査法を使用して
いる。
【0108】即ち、図28に示すように、a点から開始し
た走査はN/2回の水平走査でb点に達して、垂直帰線
期間にc点に移り、さらにN/2回の水平走査でd点に
達し、垂直基線期間に再びa点に戻る。dからbに至る
期間を第1(奇数)フィールドといい、bからdに至る
期間を第2(偶数)フィールドという。2:1線飛越走
査方式では2フィールドで完全な一つの画面(1フレー
ム)ができる。この他、3:1、5:1線飛越走査方式
などがある。
【0109】NTSC方式等の線順次走査の画面表示を
行う際に、現在のCRTではアナログ的なためにその解
像度においては問題が少ないが、液晶、プラズマ、EL
等の如く画素が離散的なディスプレイについては、離散
的画素配列のためにかなりの水平方向の位置情報が欠落
したり、走査線の情報を欠落するか、あるいは輝度信号
の位置分解能を低下させる(即ち、ディスプレイの解像
度を低下させる)ことについては、既述した通りであ
る。
【0110】ここで、絵素ずらし(ウォブリング)のタ
イミングをとる具体的方法を示す。テレビ信号は、図29
に示すように各フィールドの輝度信号と垂直同期パル
ス、水平同期パルス、色信号、色同期パルスから構成さ
れている。ここでは、奇数フィールド(第1フィール
ド)及び偶数フィールド(第2フィールド)の垂直同期
パルスを検出し、ここからFLCドライバに同期信号を
送り、続いて、ドライバ内で各チャンネル毎にディレイ
を与えたドライブ波形をFLCセルに送れば良い。
【0111】分割FLC素子とFLCドライブ回路とビ
デオ信号処理系との同期について:図30に、電極の構成
とドライブ回路、ビデオ信号処理系の接続と同期方法に
ついて示した。即ち、ビデオ信号処理装置40によって、
奇数フィールド(第1フィールド)及び偶数フィールド
(第2フィールド)の各同期パルスとRGB信号を表示
素子2に供給すると同時に、各フィールドの垂直同期パ
ルスを検出してFLCドライバ41に同期信号を送り、続
いて、ドライバ41内で各チャンネル毎にディレイを与え
たドライブ波形をFLCセル3に送る。
【0112】駆動波形は図31のようにし、全面ITOの
側をコモン電極とし、5分割電極側をCh1〜Ch5に
分けて、図示したようにパルス駆動した。即ち、検出し
た垂直同期信号を基準とし、1フィールドの時間を5分
割し、各チャンネルでシーケンシャルに遅れを与えた。
従って、TN液晶表示素子2の駆動とFLC素子3の駆
動は同期していることが重要である。
【0113】さらに、絵素ずらしの方向を変える具体的
方法を説明する。表示素子2の垂直方向を高解像度化す
る場合(図32)と、垂直、水平方向を高解像度化する方
法(図33)を示す。この結果、各目的とした方向の高解
像度化が確認できた。
【0114】上記の5分割FLC素子において、ドライ
ブ条件、光学的配置、絵素ずらし量を考慮して高解像度
化の検討を行ったところ、 0.7インチ、10.3万画素のア
クティブマトリックスTN液晶ディスプレイにおいてパ
ネル全面に亘って 240TV本から 370TV本以上へと高
解像度化し、更に、非表示部位であるブラックマトリッ
クスが目立たなくなり、高解像度でかつ滑らかな画面が
達成できた。
【0115】その他の構造上の改善:上述した例では、
カイラルスメクチック液晶素子3は、図34に明示するよ
うに透明ガラス基板20、21を用いて作製したが、さらに
コスト、容積、重量を低減させるため、図35〜図36のよ
うに透明基板の一方20を水晶板4に置き換え、この水晶
板に透明電極13、配向膜22を付け、カイラルスメクチッ
ク液晶素子3との一体化も可能である。そして、屈折率
の整合により反射を抑制し、光の透過率をも向上でき
る。図36では、更に、表示素子2側に反射板42を設け、
表示性能を向上させている。
【0116】これらの高解像度化技術は直視型、反射
型、投射型等、様式を問わずに使用できる。このうち、
図37〜図39に投射型ディスプレイの三例をそれぞれ示し
た。
【0117】図37の例では、ハロゲンランプ17からの光
をコールドフィルタ43を通してバックライトとして表示
素子2に導き、上述したウォブリング処理後にレンズ系
44からスクリーン45へと画像が投影される。
【0118】図38はミラー型ディスプレイを示し、光源
17からの光をフィルタ46を通し、各ダイクロイックミラ
ー47によって所定の波長光(R、G、B)にそれぞれ分
離し、コンデンサーレンズ48から各ウォブリング素子に
入射され、ここでウォブリングされた後、再び合成され
てスクリーン45上に投影される。
【0119】図39は、プリズム型ディスプレイを示し、
各波長光がダイクロイックプリズム48を介して合成され
ること以外は、図38のものと基本的には同様である。
【0120】上述した高解像度化技術は、ディスプレイ
として応用するため、可視光の波長範囲で使用する。
【0121】撮像素子への適用 本発明は、上述した表示素子2に限らず、離散的な画素
から構成されるCCD等の撮像素子と被写体とを結ぶ光
路中に上述したウォブリング素子7を配置する場合にも
適用される。
【0122】本発明を図40及び図41に示した撮像装置71
に適用する場合も、上述した表示装置において述べた各
種の条件及び原理、説明が同様にして採用されることが
望ましい。以下においては、上述した表示装置について
の内容と同様のものは特に繰り返して説明しないが、そ
れに比べて、撮像装置に特有のものを主として説明する
こととする。
【0123】撮像素子、例えばCCDを用いるとき、例
えば1/3インチCCDを水平方向、垂直方向あるいは
水平及び垂直方向に同時に高解像度化するため、β=45
度として水晶板の厚さdを調整することにより、絵素ず
らしの量を調節した。1/3インチCCDの水平方向の
ピッチが6.35μm、垂直方向のピッチが 7.4μmである
ので、各方向への高解像度化のための絵素ずらし量は、
各ピッチの約1/2の3.18μm、 3.7μmとすれば良
い。更に、斜め方向の絵素ずらしの場合は水平、垂直方
向成分を各辺とした長方形の対角線の長さのシフトが必
要となり、この時は、4.88μmとすれば良い。
【0124】例えば、L=3.7 μmのずれを与えるた
め、β=45度、d=0.63mmとした。ここで、光軸のずれ
Lを発現させるのに効果的なβの範囲は10〜80度であっ
た。
【0125】撮像素子を使用する際、被写体と撮像素子
4を結ぶ光路中に、被写体−偏光子−FLC素子−複屈
折基板−撮像素子の順序で配置される。この場合、レン
ズ系、アイリス、波長制限フィルタは被写体と撮像素子
を結ぶ光路中のどこに配してもよい。
【0126】図40、図41に示すように、強誘電性液晶素
子3のスイッチ状態が状態1の場合、被写体50の側から
の照射光成分aは、レンズ51、絞り52を通った後、偏光
板19により絵素ずらし方向に偏光される。光の偏光面と
強誘電性液晶素子3の異常光軸8が平行のため、透過光
は偏光面を維持したまま複屈折を有する水晶板4に照射
される。水晶板4では、入射偏光面内に水晶の異常光軸
を含むため、Y軸方向に偏光している光は水晶板の異常
光軸の傾いている方向へ屈折し、再び空気層へ出るとき
光軸と平行になり、入射光の光軸とのずれが生じ、CC
D撮像素子53の各絵素に照射される。
【0127】一方、強誘電性液晶素子3のスイッチ状態
が状態2の場合、偏光面と異常光軸8が約45度の角をな
しているため、透過光は異常光軸の向きに回転し、直線
偏光(Y軸方向)→楕円偏光→円偏光→楕円偏光→直線
偏光(X軸方向)と強誘電性液晶素子内を変化し、偏光
面は初期状態から90度回転し、水晶板4に照射される。
水晶板4では、入射偏光面内に水晶の異常光軸を含まな
いため、屈折しないでそのままの光軸を維持し、再び空
気層へ出て、CCD撮像素子53の各絵素に照射される。
即ち、被写体のa’部分を撮像することになる。この状
態1と状態2の光軸のずれを絵素ずらしの動作原理とし
て用いることができる。
【0128】図42には、具体的な配置例を示した。ビデ
オカメラ、スチルビデオカメラ等の光学系の場合、外界
からの入射光は概ね偏光していないので、外界(被写
体)と強誘電性スイッチング素子の間に偏光板を入れる
ことを特徴とし、レンズ、絞りに対しての位置関係を問
わない。その他の光学配置は、被写体−レンズ−絞り−
偏光板−強誘電性スイッチング素子−一軸的な光学異方
性を有する透明基板−撮像素子の順である。ここで組み
合わせる撮像素子としては、CCD、MOS型素子等、
その種類を問わない。
【0129】こうした撮像素子は、表示素子とは異な
り、受光素子であるために、被写体の空間解像度(空間
分離能)を向上させることができる。ここでは、表示素
子のように順次方式ではなく、同時方式で行えるため、
FLC素子3のスイッチング部はCCD素子全面に同時
に作用してよく、位相変調素子3の空間的な電極分割を
必要としない。即ち、例えばCCD撮像素子の画素も、
離散的なために光軸のずれがない場合には各画素にa、
b、cの位置分解能しかないが、フレームを分割し、ま
ずこのa、b、cの情報を同時方式で蓄積後、転送し、
次のフィールドで強誘電性液晶素子3の絵素ずらしによ
り、a’、b’、c’の位置情報を同時方式で蓄積後、
転送し、最初のフィールドとの再合成を行うことによ
り、垂直分解能が2倍に向上する。
【0130】特に垂直解像度だけでなく、水平解像度も
向上させるためには、1フレームをさらに3フィール
ド、4フィールドとしなければならないが、このために
も強誘電性液晶素子の高速応答性が必要である。ツイス
トネマチックの絵素ずらし素子では、透過率変化0〜90
%での立ち上がり+立ち下がり時間は最小で15msec程度
(室温)でり、NTSCの2:1線飛越走査方式(1フ
ィールド当たり1/60秒((16.7ms))でもかなり実現
が困難であり、さらにフレーム数が同じで4:1線飛越
走査方式を適用すれば、1フィールド当たり1/120 秒
(8.3ms)であり、全く追従できなくなる。この点、強誘
電性液晶素子を用いた絵素ずらし法は、そのスイッチン
グ時間がTN液晶よりも短いため、有効であることがわ
かる。ちなみに、強誘電性液晶素子の立ち上がり+立ち
下がり時間はμsec オーダーから、最も遅いものでも数
ms以下である。
【0131】モノクロマチック撮像素子、3板式カラー
撮像素子の場合:1つのスイッチング素子単位が1絵素
に相当するので、単純に解像度改善方向の1絵素の重心
点間距離の半分の長さの光軸の解像度改善方向へのシフ
トにより、高解像度化される。さらに、その許容範囲は
シフト長の50%〜150 %が適当である。
【0132】カラーフィルタを有する撮像素子の場合:
R、G、Bカラーフィルタのトリオにより1絵素を構成
している。R、G、Bの配置法はデルタ配列、インライ
ン配列等があるが、ここでの光軸のシフト量は解像度改
善方向の最近接R、G、Bトリオ面積重心間距離の1/
2の長さにすれば良い。さらに、その許容範囲はシフト
長の50〜150 %が適当である。
【0133】その他の構造上の改善:上記した例では、
強誘電性液晶素子3は水晶板4とは別の基板を用いて作
製したが、さらにコスト、容積、重量を低減させるた
め、図43にそれぞれ例示するように、水晶基板4に透明
電極、配向膜(いずれも図示省略)を付け、強誘電性液
晶素子3と一体化した絵素ずらし素子をCCD全面の保
護ガラス基板60を介して配するか(A)、或いはこれを
省略して水晶板側を接着し、保護すること(B)ができ
る。同図(C)は、CCD53と水晶板4を一体化し、F
LC素子3は上述した例と同様に構成したものである。
【0134】これらセルのビデオカメラ:ハンディカム
TR−1(ソニー社製)への具体的実装例を説明する
が、まず、それに使用可能な赤外カットフィルタ及びロ
ーパスフィルタについて説明する。
【0135】〔1〕通常の可視光の撮像の場合 CCD撮像素子などの半導体撮像素子は、その感度域が
380〜1200nmにまで広がっている。通常の可視光の画像
を撮像する場合には、本来人間の眼で感知できない近赤
外光域まで撮像してしまうため、画像に対して悪影響を
及ぼす。従って、図48のように赤外カットフィルタ61を
被写体50とCCD53との間に入れる必要がある。
【0136】ここでは、絵素ずらし素子に赤外カットフ
ィルタ(700nm以上の波長をカットする。)61を組み合わ
せる場合の例を示す。さらに、ウォブリング素子に用い
られている水晶板だけでは、高周波成分のカットが不十
分であるため、光学ローパスフィルタが必要である。そ
こで、一般に高画質のCCDビデオカメラに用いられて
いる7点ボケ用の水晶ローパスフィルタ(複数の水晶板
64からなる。)を組み込んだ(図44、図45)。
【0137】このローパスフィルタは、1枚の水晶板中
で入射光をその複屈折を利用して2点ボケにし、さらに
光軸の周りに回転させた他の水晶板の積層により2点像
を4点像に、さらに3枚目の水晶板で7点像としてぼか
し、ローパスフィルタ特性を向上させることができるも
のである。
【0138】即ち、このように入射光をぼかすことによ
り、画像情報の空間周波数の高い成分を除去でき、モア
レ縞及び色偽信号等の問題を回避することができる。但
し、水晶板1枚の場合は、y方向のみ高周波成分をカッ
ト若しくは分散できるが、上記ではx、yの両方向にお
いて高周波成分をカット若しくは分散でき、低周波成分
の感度を保持したまま高周波成分の画像への影響(結像
した画像出力にモアレ縞パターンや色偽信号が生じるこ
と)を一層なくすことができる。
【0139】こうしたローパスフィルタを用いない実装
例を図46に、同ローパスフィルタを用いた実装例を図47
に示した。いずれも、絵素ずらし素子(ウォブリング素
子)7はCCD53の前位に設けられている。
【0140】ローパスフィルタ64を用いる場合、ローパ
スフィルタの第1の異常光軸がウォブリング時の偏光と
30〜60°の角度をなすときは、ローパスフィルタの効果
は得られるが、それ以外ではローパスフィルタ特性がフ
ィールドで変化してしまう。このとき、絵素ずらし素子
7と光学ローパスフィルタとの間にλ/4板(図示せ
ず)を入れることにより、フィールド間でのローパスフ
ィルタ特性の差を低減し、ローパスフィルタ特性を十分
発揮できるようになる。
【0141】図48には、CCDを3つ用いた色分解カメ
ラシステムを示している。但し、CCDドライブ回路、
ウォブリング素子ドライブ回路は省略した。
【0142】〔2〕赤外光の撮像の場合 CCD撮像素子などの半導体撮像素子の近赤外光域を利
用し、本来人間の眼で感知できない近赤外光域のみを撮
像することができる。この場合、敢えて、赤外カットフ
ィルタを入れる必要はない。
【0143】この場合、赤外光だけを撮像するには、可
視光カットフィルタ(760nm以下をカットする。)を被写
体とCCDとの間に入れる必要がある。これにより、被
写体の温度分布等を撮像することができる。このときの
撮像波長は 700〜1200nmにまで及ぶため、絵素ずらし素
子の位相差はその半波長の 350〜600nm が必要である。
【0144】以上、本発明の実施例を説明したが、上述
の実施例は本発明の技術的思想に基いて更に変形が可能
である。
【0145】例えば、上述した液晶素子をはじめ、その
駆動パルスの波形や組み合わせ(同極性のパルスは3又
はそれ以上連続させてもよい。)、各構成部分の構造、
材質や形状、組み立て方法等は種々変更してよい。基板
もガラス板ではなく、他の光学的に透明な材質であれば
よい。液晶についても、種々のものが採用可能である。
【0146】本発明が適用される対象は、上述した表示
装置、撮像装置の如き光学システムと共に、同システム
に組み込み可能なウォブリング素子も包含することは勿
論である。更には、上述の液晶素子はウォブリング以外
のスイッチング素子としても使用可能である。
【0147】
【発明の作用効果】本発明は上述した如く、強誘電性液
晶と反強誘電性液晶と電傾効果を示すスメクチック液晶
とから選ばれた少なくとも1種の液晶が対向電極間に注
入されている電気光学素子と、複屈折媒体とを順次配置
してなるウォブリング素子からなる光学装置を駆動する
に際し、前記電気光学素子に対するパルス印加によって
前記表示素子又は前記撮像素子を一次元又は二次元にウ
ォブリングする、光学装置の駆動方法において、少なく
とも2つの正のパルス印加と、これに後続する少なくと
も2つの負のパルス印加とを繰り返し、これらのパルス
印加における同極性のパルスのうち、第1のパルスの絶
対値を第2のパルスの絶対値よりも大きくし、 前記第1
のパルスによって液晶を高速応答させ、前記第2のパル
スによって 液晶の見かけのコーン角を26度〜64度の
範囲に保持することを特徴としているので、次の(1)
〜(3)に示す顕著な効果を得ることができる。
【0148】(1)第1のパルスで高速化が図れ、第2
のパルスで見かけのコーン角を調整できるため、従来よ
りも全体として低電圧で駆動でき、電気化学的な安定性
を改善でき、経時劣化を防ぐことが可能となる。
【0149】(2)第2のパルスで見かけのコーン角を
45度±5度に調整できるため、ウォブリング効果の低下
を抑制できる。
【0150】(3)そして、上記の強誘電性液晶等の液
晶はいずれも、電界の作用に対して液晶ダイレクタの方
向が変化し易く、応答速度が非常に速いので、ビデオレ
ートでの駆動が十分可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に基づく液晶素子駆動方法を説明する駆
動波形図とその光学的応答と液晶のコーン角変化を示す
図である。
【図2】同液晶素子の液晶のコーン角の電圧依存性を示
すグラフである。
【図3】図2のスケールを拡大して示す同様のグラフで
ある。
【図4】同液晶のコーン角、コントラストのパルス印加
電圧依存性を示すグラフである。
【図5】同液晶の応答時間の逆数のパルス印加電圧依存
性を示すグラフである。
【図6】同液晶のコーン角、コントラストのパルス電圧
依存性を示すグラフである。
【図7】同液晶の応答時間とパルス幅(PW)の関係を
示すグラフである。
【図8】図7のスケールを拡大して示す同様のグラフで
ある。
【図9】同液晶の応答時間の逆数とパルス電圧との関
係、及び最小パルス幅とパルス電圧の関係を示すグラフ
である。
【図10】矩形波駆動による駆動波形図である。
【図11】FLC液晶素子を用いた位相変調素子としての
液晶セルの断面図である。
【図12】本発明基づく液晶素子の他の駆動方法による駆
動波形図である。
【図13】本発明の実施例による表示装置の状態1での概
略図である。
【図14】同表示装置の状態2での概略図である。
【図15】同表示装置に用いる強誘電性液晶(FLC)の
コーン角の説明図である。
【図16】複屈折媒体による光軸のずれの説明図である。
【図17】同表示装置の具体例の各スイッチ状態での概略
図である。
【図18】同表示装置にノーマリーホワイトのTN液晶表
示素子を用いた場合の概略図である。
【図19】同表示装置にノーマリーブラックのTN液晶表
示素子を用いた場合の概略図である。
【図20】偏光度の小さい表示素子を用いた表示装置の概
略図である。
【図21】ウォブリング(絵素ずらし)時のシフト量を各
場合で示す概略図である。
【図22】ウォブリング状態の説明図である。
【図23】他のウォブリング状態の説明図である。
【図24】更に他のウォブリング状態の説明図である。
【図25】RGBインライン配列表示素子のウォブリング
状態の説明図である。
【図26】RGBデルタ配列表示素子のウォブリング状態
の説明図である。
【図27】位相変調素子における分割電極を示す概略斜視
図である。
【図28】インターレース走査法の説明図である。
【図29】テレビの各フィールドでの周期信号の波形図で
ある。
【図30】上記表示装置の各素子間の接続関係を示すブロ
ック図である。
【図31】電極分割型の位相変調素子の駆動波形図であ
る。
【図32】同素子を用いた表示装置の概略図である。
【図33】同素子を用いた他の表示装置の概略図である。
【図34】上記表示装置の構造例の断面図である。
【図35】同他の構造例の断面図である。
【図36】同更に他の構造例の断面図である。
【図37】上記表示装置を適用したディスプレイの断面図
である。
【図38】ディスプレイへの他の適用例の断面図である。
【図39】ディスプレイへの更に他の適用例の断面図であ
る。
【図40】本発明の他の実施例による撮像装置の状態1で
の概略図である。
【図41】同撮像装置の状態2での概略図である。
【図42】同撮像装置の具体例の概略図である。
【図43】上記撮像装置の構造例の断面図である。
【図44】水晶光学ローパスフィルタの実装状態の概略図
である。
【図45】同水晶フィルタ3枚により生じるボケを説明す
る原理図である。
【図46】上記撮像装置の実装例の断面図である。
【図47】他の実装例の断面図である。
【図48】更に他の実装例の断面図である。
【符号の説明】
1・・・(液晶光学)表示装置 2・・・(液晶)表示素子 3・・・強誘電性液晶素子 4・・・複屈折媒体 5・・・表示画素 7・・・ウォブリング素子(絵素ずらし素子) 8、10・・・異常光軸 9・・・偏光方向 13、14・・・透明電極 15・・・液晶 17・・・光源 18、19・・・偏光板 20、21・・・透明基板 22、23・・・配向膜 50・・・被写体 53・・・CCD素子 61・・・赤外カットフィルタ 64・・・光学ローパスフィルタ 71・・・撮像装置 P・・・第1のパルス DC・・・第2のパルス
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松居 恵理子 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソ ニー株式会社 内 (72)発明者 片岡 延江 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソ ニー株式会社 内 (72)発明者 楊 映保 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソ ニー株式会社 内 (72)発明者 秀 史朝 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソ ニー株式会社 内 (56)参考文献 特開 平5−100208(JP,A) 特開 平4−113308(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H04N 5/66 G02F 1/133 G09G 3/36 H04N 5/335

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高解像度化されるべき表示素子と観察位
    置との間、又は被写体と撮像素子との間の光路中に、強
    誘電性液晶と反強誘電性液晶と電傾効果を示すスメクチ
    ック液晶とから選ばれた少なくとも1種の液晶が対向電
    極間に注入されている位相変調光学素子としての電気光
    学素子と、複屈折媒体とを順次配置してなるウォブリン
    グ素子からなる光学装置を駆動するに際し、前記電気光
    学素子に対するパルス印加によって前記表示素子又は前
    記撮像素子を一次元又は二次元にウォブリングする、光
    学装置の駆動方法において、 少なくとも2つの正のパルス印加と、これに後続する少
    なくとも2つの負のパルス印加とを繰り返し、これらの
    パルス印加における同極性のパルスのうち、第1のパル
    スの絶対値を第2のパルスの絶対値よりも大きくし、 前記第1のパルスによって液晶を高速応答させ、前記第
    2のパルスによって 液晶の見かけのコーン角を26度〜
    64度の範囲に保持することを特徴とする、 光学装置の
    駆動方法。
  2. 【請求項2】 前記第1のパルスのパルス幅を前記第2
    のパルスのパルス幅よりも短くする、請求項1に記載し
    た方法。
  3. 【請求項3】 メモリー時の見かけのコーン角が26度
    未満である前記液晶を使用する、請求項1又は2に記載
    した方法。
  4. 【請求項4】 ウォブリングをビデオレートで行う、請
    求項に記載した方法。
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