JPH0720432A - ウォブリング素子に使用する位相制御素子用の基体、及び光学装置 - Google Patents

ウォブリング素子に使用する位相制御素子用の基体、及び光学装置

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JPH0720432A
JPH0720432A JP5191941A JP19194193A JPH0720432A JP H0720432 A JPH0720432 A JP H0720432A JP 5191941 A JP5191941 A JP 5191941A JP 19194193 A JP19194193 A JP 19194193A JP H0720432 A JPH0720432 A JP H0720432A
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liquid crystal
substrate
wobbling
birefringence
phase control
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Application number
JP5191941A
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English (en)
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Shichiyou Hide
史朝 秀
Keiichi Nito
敬一 仁藤
Akio Yasuda
章夫 安田
Eriko Matsui
恵理子 松居
Hidehiko Takanashi
英彦 高梨
Nobue Kataoka
延江 片岡
Eiho You
映保 楊
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Original Assignee
Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 光学的に透明な対向電極13−14間に、強誘電
性液晶と反強誘電性液晶と電傾効果を示すスメクチック
液晶とから選ばれた少なくとも1種からなる液晶15が充
填されている位相制御素子3と、複屈折媒体4とからな
るウォブリング素子7において前記対向電極の少なくと
も一方の電極を支持する光学的に透明な基板であって、
複屈折量が4nm以下である、ウォブリング素子に使用す
る位相制御素子用基板20又は21。 【効果】 位相制御素子の位相制御特性を維持しなが
ら、基板による光学的異方性を容易に低減させ、複屈折
媒体による本来の複屈折効果を良好に保持して高解像度
化を実現することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、液晶、プラズマ、EL
(エレクトロルミネッセンス)等の如く画素が離散的な
ディスプレイや、撮像画素が離散的なCCD(電荷結合
素子)により代表される固体撮像素子等のウォブリング
(絵素ずらし)素子に使用する位相制御素子用の基体、
及び光学装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】液晶、プラズマ、EL等の如くモザイク
状、ドット状等の離散的な画素配列を持った表示素子に
対して、NTSC方式等で線順次走査の画素表示を行う
際、本来アナログ信号であるべき輝度信号が粗くサンプ
リングされて水平方向の位置情報が欠落してしまう。ま
た、垂直方向の画素分解能が走査線数だけ実装できない
場合、走査線の情報を欠落するか、あるいは同一画素上
に上書きするために、輝度信号等の位置分解能(即ち、
ディスプレイの解像度)を低下させていた。
【0003】例えば、NTSC方式で駆動するTFT(T
hin-Film-Transistor)−TN(Twisted Nematic)の液晶
ビューファインダーにおいて、NTSC方式では、1フ
レーム(つまり、ビューファインダーが表示する一枚の
絵)は、偶数本目の走査線と奇数本目の走査線からそれ
ぞれ成る二つのフィールドで形成され、フレーム周波数
は30Hz(つまり、フィールド周波数は60Hz)である。現
状のTFTビューファインダーは、NTSC方式の走査
線数 525本を実装できないため、奇数フィールドと偶数
フィールドを同一画素に書き込む等の方法をとってい
る。このため、垂直分解能がNTSC方式の原理よりも
低下しているのが現状である。
【0004】また、画素サイズが大きく、さらにブラッ
クマトリックス等の非表示画素部分のつなぎ目の存在に
より、離散的画素配列のモザイク状の画面が目立ち、画
面の質感を低下させていた。
【0005】上記の現象は、CCDによる撮像において
も同様に生じる。即ち、CCDを構成している撮像画素
が離散的なために、被写体の画像情報が構成画素ピッチ
でサンプリングされてしまうため、水平及び垂直の空間
分解能を低下させていた。
【0006】そこで、ウォブリング技術を採用して、絵
素ずらし素子を導入し、奇数フィールドと偶数フィール
ドの画像を空間的にずらすことにより、垂直分解能を向
上させる方法が提案されている。これは、水平方向にも
適用され、水平分解能の向上も可能である。
【0007】こうした絵素ずらし素子は液晶素子が位相
制御素子として用いられることが知られている。即ち、
この液晶素子を水晶板等の複屈折媒体(光学的異方体)
と組み合わせて、ウォブリングされるべき表示素子等の
光路中に配し、印加電圧の切り換えによって液晶素子へ
の入射光の位相を変調して偏光面を回転させ、この回転
の有無によって液晶素子からの出射光を複屈折媒体の複
屈折効果で光軸を選択的に所定方向(ウォブリング方
向)へずらすようにしている。
【0008】このようなウォブリング動作において、後
でも詳述するように、表示素子からの光は、液晶素子が
状態1のときにはこの液晶素子をそのまま通過し、複屈
折媒体に入射してne の屈折率の軸に沿って屈折され、
光軸がずらされて複屈折媒体から出射する。他方、液晶
素子が状態2のときには、偏光面が約90度回転されるた
めに、複屈折媒体に入射した光は屈折率no の軸に沿っ
て屈折されることなくそのまま出射する。つまり、位相
制御素子としての液晶素子に入射する光は、液晶素子の
印加電圧の切り換えで2つのスイッチング状態をとり、
偏光面が互いに約90度回転されていて、光路はずれてい
ないが、複屈折媒体を通過した光は光軸がずらされるの
である。
【0009】従って、液晶素子は2つのスイッチング状
態を正確に再現でき、複屈折媒体によって光軸を目的と
する長さ分ずらすことが必要となる。しかしながら、上
記の液晶素子の基板として、光学的異方性の高い水晶や
方解石を用いた場合、上記の目的を持った複屈折媒体に
入射する前に既に光軸がずれてしまい、本来の光軸のず
れを再現することが困難となり、解像度が向上し難いこ
とが判明した。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
した液晶素子の如き位相制御素子の位相制御特性を維持
しながら、基体による光学的異方性を容易に低減させ、
複屈折媒体による本来の複屈折効果を良好に保持して高
解像度化を実現することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、光学的
に透明な対向電極間に、強誘電性液晶と反強誘電性液晶
と電傾効果を示すスメクチック液晶とから選ばれた少な
くとも1種からなる液晶が充填されている位相制御素子
と、複屈折媒体とからなるウォブリング素子において前
記対向電極の少なくとも一方の電極を支持する光学的に
透明な基体であって、複屈折量が4nm以下である、ウォ
ブリング素子に使用する位相制御素子用の基体に係るも
のである。
【0012】また、本発明は、光学的に透明な対向電極
間に、強誘電性液晶と反強誘電性液晶と電傾効果を示す
スメクチック液晶とから選ばれた少なくとも1種からな
る液晶が充填されている位相制御素子であって、複屈折
媒体と組み合わせることによってウォブリング素子を構
成し、前記対向電極と、前記対向電極上に設けられた液
晶配向膜と、前記対向電極の少なくとも一方を支持する
光学的に透明な基体との各複屈折量の合計(即ち、液
晶、偏光板、複屈折媒体を除いた構成部分の各複屈折量
の合計量)が4nm以下である位相制御素子からなる光学
装置も提供するものである。
【0013】本発明において、上記の「光学装置」と
は、位相制御素子のみを意味することは勿論、この位相
制御素子を有するウォブリング素子、更にはこのウォブ
リング素子を組み込んだ光学システム(例えば表示装置
や撮像装置)も包含するものである。
【0014】本発明によれば、上記の位相制御素子用の
基体として、複屈折量が4nm以下の基体を用いているの
で、この基体の複屈折量は、ウォブリング素子(絵素ず
らし素子)を構成している液晶、複屈折媒体、偏光板等
の構成部分の複屈折量と比較して十分に低く、これによ
って既述した位相制御素子での基体による光軸のずれを
大幅に減少させ、複屈折媒体による本来の複屈折効果を
良好に保持することができる。
【0015】これと同時に、位相制御素子を組み立てる
ときに、基体の遅相軸を確認しないで組み立てても常に
基体の複屈折量の変動(偏差)を小さく抑えることがで
き、位相制御素子としての複屈折量は常に低い値に容易
に安定させることができることになる。従って、位相制
御素子の組み立ての歩留りをはじめ、複屈折媒体との組
み合わせによるウォブリング素子の設計を再現性よく行
え、位相制御素子としての位相制御特性を維持しなが
ら、ウォブリングによる高解像度化を常に実現できる。
【0016】これに反し、既述した水晶や方解石の如き
結晶は、光学的異方性(即ち、複屈折量)の大きい材質
であり、位相制御素子の基体に使用した場合には、基体
による複屈折によって複屈折媒体による複屈折効果が劣
化し易い。
【0017】しかも、位相制御素子の組み立て時に、特
に対向する基体の遅相軸が揃ってしまう場合には、更に
複屈折量が大きくなり(換言すれば、遅相軸を考慮しな
いで組み立てたときの複屈折量のばらつき又は偏差が大
きくなり)、ウォブリング特性自体が素子間で変動し易
く、解像度の悪いものや画面の色付きが生じ易い等、高
解像度化効果や高画質化が得られない。
【0018】また、本発明では、上記の基体だけでな
く、基体と対向電極と液晶配向膜との各複屈折量の合計
も4nm以下(特には 1.0nm以下)としているので、位相
制御素子の複屈折による光軸のずれを一層効果的に減少
させ、ウォブリングを一層良好に行うことができる。
【0019】即ち、基体と共に、対向電極や液晶配向膜
についても複屈折量を小さく抑えているために、位相制
御素子の複屈折を可能な限り小さくすることができるこ
とになり、上記した効果を一層顕著にすることができ
る。
【0020】本発明による位相制御素子の基体として好
適な材質は、複屈折量が4nm以下(特には 1.0nm以下)
の非晶質、特にガラス、更には弗化カルシウム等であ
る。特にガラスが好ましく、このようなガラスとして
は、ソーダガラス、低アルカリ・ホウケイ酸ガラス、無
アルカリ・ホウケイ酸ガラス、無アルカリ・アルミノケ
イ酸ガラス、石英ガラス等がある。具体的には、下記の
ものが使用可能である。
【0021】ソーダガラス(Asahi AS) 低アルカリ・ホウケイ酸ガラス(Asahi AX) ホウケイ酸ガラス(Hoya NA45) アルミノケイ酸ガラス(Hoya NA40) アルミノ・ホウケイ酸ガラス(Corning 1724) 石英ガラス(溶融石英)(Corning 7940) 石英ガラス(合成石英)(Asahi AQ)
【0022】また、本発明による位相制御素子に設ける
対向電極は、ITO(インジウムにスズをドープしたIn
dium tin oxide)等で形成するのがよい。この対向電極
上に設ける液晶配向膜は、SiO斜方蒸着膜、ポリイミ
ド膜等からなっていてよい。これらの対向電極及び液晶
配向膜の複屈折量は、上記したように基体の複屈折量と
の合計が4nm以下(特に 1.0nm以下)となるような小さ
いものである。
【0023】本発明による位相制御素子に用いる上記の
強誘電性液晶等の液晶はいずれも、電界の作用に対して
液晶ダイレクタの方向が変化し易く、応答速度が非常に
速い(例えば、立ち上がり及び立ち下がり時間ともにμ
sec オーダーであって、ツイストネマチック液晶の特に
立ち下がり時間に比べてはるかに速い)ので、ビデオレ
ートでの駆動が十分可能となる。
【0024】なお、本発明において、ウォブリング(高
解像度化)されるべき光学素子としては、表示素子又は
撮像素子等があるが、これらは、離散的画素から構成さ
れるツイストネマチック液晶、強誘電性液晶又は反強誘
電性液晶等の液晶表示素子、発光ダイオード等の自発光
型表示素子又はCCD等であってよい。
【0025】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。
【0026】まず、図1について、本実施例によるウォ
ブリング用の位相制御素子としての液晶セル3を説明す
る。即ち、本発明に基づく複屈折量4nm以下のガラス
(例えばソーダガラス)等からなる透明基板20、21上に
透明電極(例えば 100Ω/□のITO)13、14が設けら
れ、さらにその上に、液晶配向膜としてSiO斜方蒸着
膜又はポリイミド膜22、23が形成されている。SiO斜
方蒸着膜の形成方法は、真空蒸着装置内に、SiO蒸着
源から鉛直上に基板を配し、鉛直の線と基板法線のなす
角を85度として設置した。SiOを基板温度 170℃で真
空蒸着後、 300℃、1時間の焼成を行った。
【0027】このような配向膜付きの基板は、その配向
処理方向が対向面で例えば反平行となるように組まれ、
そのスペーサとして、目的ギャップ長に応じたガラスビ
ーズ(真糸球:直径 0.8〜3.0 μm(触媒化成製))24
が用いられる。スペーサは、透明基板の大きさにより、
小さい面積の場合は周囲を接着するシール材(UV硬化
型の接着材(例えばフォトレック:セキスイ化学(株)
製))25中に例えば 0.3wt%程度分散させることによ
り、基板間のギャップが制御されている。基板面積が大
きい場合には、上記真糸球を基板上に平均密度で 100個
/mm2 散布したのち、ギャップをとり、セルの周囲に液
晶の注入孔を確保して上記シール材でセル周囲が接着さ
れる。
【0028】その後、強誘電性液晶(例えばチッソ
(株)製のCS−1014)が等方相温度あるいはカイ
ラルネマチック相温度の流動性を示す状態で減圧下で注
入される。液晶注入後、徐冷され、注入孔周囲のガラス
基板上の液晶が除去されたのち、エポキシ系の接着剤で
封止され、強誘電性液晶素子が作製される。用いる強誘
電性液晶はチッソ(株)製、メルク(株)製、BDH社
製、あるいは他の公知の強誘電性液晶化合物又は非カイ
ラル液晶からなる組成物でも可能であるが、その制限は
なく、また、その相系列の制限も必要とせず、必要なの
は使用温度範囲でカイラルスメクチック液晶相をとるこ
とである。
【0029】ここで用いるカイラルスメクチック液晶素
子の液晶層構造は、配向処理方向の組み合せにより、反
平行でブックシェルフ構造、平行でシェブロン構造ある
いは疑似ブックシェルフ構造を有している。
【0030】上記のように、透明基板20、21として、複
屈折量が4nm以下と非常に小さいソーダガラス等の基板
を用いることが特徴的である。即ち、こうした基板は、
基板以外の構成部分(液晶15をはじめ、後記の複屈折媒
体、偏光板等)よりも複屈折量が十分に低いので、位相
制御素子としての液晶セル3において基板による光軸の
ずれを大幅に減少させ、複屈折媒体による本来の複屈折
効果を良好に保持することができる。
【0031】しかも、液晶セル3を組み立てるときに、
基板20、21の遅相軸を確認しないで組み立てても常に基
板の複屈折量の偏差を小さく抑えることができるから、
液晶セル3の複屈折量は常に小さい値に容易に安定させ
ることができることになる。従って、液晶セルの組み立
ての歩留りをはじめ、複屈折媒体との組み合わせによる
ウォブリング素子の設計を再現性よく行え、位相制御素
子としての位相制御特性を維持しながら、ウォブリング
による高解像度化を常に実現できる。
【0032】また、上記の基板20、21だけでなく、これ
らの基板20、21と対向電極13、14と液晶配向膜22、23と
の各複屈折量の合計も4nm以下としているので、液晶セ
ル3の複屈折による光軸のずれを一層効果的に減少さ
せ、ウォブリングを一層良好に行うことができる。
【0033】換言すれば、液晶セル3が後記の複屈折媒
体と組み合わせてウォブリング素子を構成する場合、液
晶15、偏光板及び複屈折媒体(偏光面の異なる光の光軸
又は光路をずらすための水晶板等の光学的異方体)を除
く構成部分(即ち、基板20、21と対向電極13、14と液晶
配向膜22、23)の各複屈折量の合計を非常に小さくして
いるため、ウォブリング素子として位相制御素子の位相
制御性と複屈折媒体の複屈折効果とを両立させ、目的と
するウォブリングを常に正確に行うことができるのであ
る。
【0034】次に、本例において使用する液晶15は、カ
イラルスメクチック強誘電性液晶が好適であるが、これ
以外にも、スイッチングスピードが高速であれば、例え
ば、下記の反強誘電性液晶(AFLC)や電傾効果を示
すスメクチックA相でも適用可能である。
【0035】<反強誘電性液晶>反強誘電性液晶は、C
handani らにより1988年に見出されたものであって、次
の3点を特徴としている。 (1)反強誘電状態と2つの強誘電状態の3安定状態間
のスイッチングを利用する。 (2)明確なしきい値特性を示し、マルチプレクス駆動
した時のコントラストを高くとれる。 (3)プラスとマイナスのヒステリシスを交互に使い、
内部分極の発生が抑えられるため、焼き付き現象が起こ
りにくい。
【0036】この反強誘電性液晶材料の特徴としては、
強誘電性液晶と異なり、カイラル液晶がその組成物のほ
とんどであるということ(自発分極が大きく、強誘電性
液晶のほぼ10倍)、不斉炭素に関する置換基はCH
3 基、CF3 基、C2 5 基をもつ化合物は容易に反強
誘電性を示し、コア構造が拡張する。例えば、チッソ社
製のCS−4000がある。
【0037】<電傾効果を示すスメクチック液晶>電傾
効果とは、カイラル分子によって構成されるスメクチッ
クA相において、温度を一定としたときに電場によって
配向ベクトルの傾き角が誘起される現象である。スメク
チックA相において、配向ベクトルはスメクチック層の
法線方向を向き、長軸回りに自由回転しているが、層に
沿った電場を印加することによって自由回転が阻害さ
れ、電場方向の分極Pが誘起される。
【0038】分極Pと傾き角θの線形結合をP=kθと
仮定すれば、 P=(ε⊥* −ε⊥0)εO Ε 従って、θ=(ε⊥* −ε⊥0)εO Ε/kのように、
印加電場Eに比例した傾き角が生じる。ここで、ε⊥*
とε⊥0は光学活性物質のラセミ体の誘電率、εO は真
空の誘電率である。このことから、カイラル液晶のラセ
ミ体のそれぞれの誘電率の差が大きいほど、大きな電傾
効果を現す。
【0039】次に本発明に基づく上記の透明基板、及び
これを用いた液晶素子によるウォブリングについて具体
例を挙げて説明する。
【0040】具体例1 上記したようにして液晶セルを作製した。この際、基板
として、ソーダガラス基板、弗化カルシウム基板及び水
晶基板の3種類を使用した。ソーダガラス基板はAsahi
ASを使用し、公知の方法に従って作製した。各基板
の複屈折量は、オーク製作所製のADR−60XY複屈
折測定装置を用いて測定し、下記の表1にそれぞれ示し
た。
【0041】また、各基板には、液晶駆動のために通常
の手段により、ITO透明電極をパターニングせずに片
面に被着させた。これらの基板に、通常の手段により、
液晶配向膜であるSiOを基板の遅相軸に沿って斜方蒸
着させ、 1.6μmのセルギャップに調製して反平行セル
を作製した。そして、強誘電性液晶であるチッソ社製の
CS−1014を真空注入し、各種基板について多数の
液晶素子を完成した。
【0042】そして、これらの液晶素子を絵素ずらし素
子内に装着し、各絵素ずらし素子の高解像度化効果を観
察し、結果を下記の表1に示した。なお、ここでの解像
度評価は、NTSCの解像度評価用パターン(ビデオシ
グナルパターンジェネレータ:ソニー社製MTSG−1
000)からの信号をビデオ入力し、白黒のラインの解
像性を観測により判別した。
【0043】なお、下記の表1においては、基板2枚
(基板1、基板2)の複屈折量及びその遅相軸と共に、
強誘電性液晶(CS−1014)と基板2枚と透明電極
と液晶配向膜とによって構成される強誘電性液晶素子の
複屈折量も併せて示した。但し、ここで示した遅相軸デ
ータは、90度をSiO配向膜の基板面内においての蒸着
方向とし、この方向に沿って液晶分子は配向すると期待
されるので、画素ずらし素子全体の遅相軸は約90度であ
る、と期待できる。表1では、高解像度化する液晶ディ
スプレイがRGBトリオ画素の単板である場合について
検討した。画素ずらし効果により、高解像度化すべき元
の液晶表示素子の 240TV本からどれだけ高解像度化さ
れたかを確認した。また、画素ずらし素子を用いること
により生ずる画面の色付きの有無も検討した。
【0044】
【0045】
【0046】
【0047】この結果から、次のように、基板の複屈折
量は絵素ずらし素子の高解像度効果に大きく影響を及ぼ
しているのがわかる。
【0048】(1) 水晶基板は複屈折量が高く、元の液晶
表示素子の高解像化を図っても、解像度はそれ程向上せ
ず、しかも画面に色付きが生じるため、実際には使用で
きない可能性が極めて高い。この例では、水晶基板のセ
ルの50%が画面に色付きを生じ、高解像度化素子として
使用できない。従って、水晶及びそれと同等な複屈折量
を有する基板を使用するのは、避けるべきである。
【0049】(2) 弗化カルシウム結晶基板及びガラス基
板の場合は水晶基板に比べて一般的に複屈折量が4nm以
下と低いため、高解像度効果がみられ、画面の色付きは
無い。但し、画素ずらし素子による高解像度化の程度を
高めた場合、ガラス基板の方が複屈折量が1nm以下と小
さいため、高解像度化の効果が良好になるものと期待さ
れる。
【0050】なお、実際には、各種基板上には透明電極
(ITO)が被着されていて、更にその上に液晶配向膜
があるので、正確には、基板及び基板上にある透明電極
等の複屈折量の合計が解像度に影響を与えている。従っ
て、この複屈折量の合計を4nm以下とするのが望まし
い。また、この複屈折量については、主として基板の厚
みによってもコントロールすることができる。
【0051】また、表1の結果について、強誘電性液晶
素子自体の複屈折量は、基板の複屈折量が4nmを超えて
大きくなるに従って、ばらつきが大きくなることが分か
る。これは、基板の複屈折量が大きいために、その遅相
軸を考慮せずに素子を組み立てたときに、複数個作製し
た素子間では、対向基板の遅相軸が揃うときには複屈折
量が増大し、遅相軸が揃わないときには複屈折量がキャ
ンセルし合うからである。
【0052】これに対し、本発明に基いて複屈折量が4
nm以下、特に1nm以下の基板を用いて素子を組み立てる
ときは、その遅相軸の向きに拘らず、常に基板の複屈折
量を小さく抑えることができるため、複数の素子間での
複屈折量のばらつきが小さくなっている。
【0053】上述した例では、カイラルスメクチック液
晶素子3は、図2に明示するように透明ガラス基板20、
21を用いて作製したが、さらにコスト、容積、重量を低
減させるため、図3〜図4のように透明基板の一方20を
水晶板4に置き換え、この水晶板に透明電極13、配向膜
22を付け、カイラルスメクチック液晶素子3との一体化
も可能である。この場合も、ガラス基板21や、ガラス基
板21、透明電極及び配向膜の合計複屈折量は1nm以下で
ある(以下、同様)。そして、屈折率の整合により反射
を抑制し、光の透過率をも向上できる。図4では、更
に、表示素子2側に反射板を設け、表示性能を向上させ
ている。
【0054】次に、本発明による液晶素子を用いたウォ
ブリング(絵素ずらし)について説明する。図5及び図
6は、ウォブリング素子を組み込んだ光学装置の一例を
概略的に示すものである。
【0055】この例は、本発明を液晶光学表示装置1に
適用したものであって、同一光路中に光の進行方向に沿
って順次配置された液晶表示素子(LCD)2と、位相
変調光学素子(位相制御素子)としての強誘電性液晶素
子(FLC)3と、水晶板等の透明基板からなる複屈折
媒体4との組み合わせによって構成されている。ここ
で、理解容易のために、各構成素子は、液晶表示素子L
CDの1つの構成表示画素5に対応した区画についてそ
れぞれ示されており、また、液晶配向膜等は図示省略し
ている(以下、同様)。
【0056】上記のLCD2の画素5は全体としてモザ
イク状等の離散的な画素配列からなっており、また、使
用される液晶はTN(ツイストネマチック)、STN
(超ツイストネマチック)、SH(スーパーホメオトロ
ピック)、更にはFLC等からなっている。このLCD
2は、図示省略したが、公知の如くにパネル自身に偏光
板を有し、出力光6は直線偏光を有している。
【0057】そして、この直線偏光6に対し、上記のF
LC3と複屈折媒体4とで構成されるウォブリング素子
(絵素ずらし素子)7によって平行方向又は垂直方向に
絵素ずらしが行われる。
【0058】このためには、FLC素子3の一つの異常
光軸8を表示画素5の偏光面9と平行あるいは垂直とな
るように配置し、更に、等価的に一軸性の光学軸(一軸
的な光学異方性)を有する透明基板4の異常光軸10のX
−Y面(入射側)への射影成分を偏光面9に対し、平行
(Y方向)あるいは垂直(X方向)に配置している。
【0059】FLC素子3に用いる液晶は、ビデオレー
トで高速スイッチング可能なものであって、カイラルス
メクチック液晶等が挙げられ、また、複屈折媒体4には
水晶板等が使用可能である。但し、FLCに代えて反強
誘電性液晶(AFLC)や、電傾効果を示すスメクチッ
ク液晶(例えばスメクチックA)も有効であり、また、
水晶板以外の複屈折素子も勿論使用可能である。
【0060】次に、この表示装置1におけるウォブリン
グ動作を概略的に説明する。
【0061】まず、図5のように、強誘電性液晶素子3
のスイッチ状態が状態1の場合、表示素子2側から照射
される光6の偏光面9と強誘電性液晶素子3の異常光軸
8が平行のため、透過光11は偏光面を維持したまま複屈
折を有する水晶板4に照射される。水晶板4では、入射
偏光面内に水晶の異常光軸10を含むため、Y軸方向に偏
光している光は水晶板4の異常光軸10の傾いている方向
へ屈折し、再び空気層へ12として出るとき光軸と平行に
なり、入射光の光軸とのずれがY方向に生じる。
【0062】一方、図6のように、強誘電性液晶素子3
のスイッチ状態が状態2の場合、偏光面9と異常光軸8
が約45度の角をなしているため、透過光11は異常光軸の
向きに回転し、直線偏光(Y軸方向)→楕円偏光→円偏
光→楕円偏光→直線偏光(X軸方向)と強誘電性液晶素
子3内を変化し、偏光面は初期状態から90度回転し、水
晶板4に照射される。水晶板4では、入射偏光面内に水
晶の異常光軸10を含まないため、光11は屈折しないでそ
のままの光軸を維持し、再び空気層へ出射光12として出
る。
【0063】このように、FLC3のスイッチ状態、即
ち、状態1と状態2での水晶板4による屈折の有無で光
軸をずらし、この光軸のずれを絵素ずらしの動作原理と
して用いることができる。
【0064】ここで、FLC3における上記スイッチ状
態を決める液晶のコーン角について説明する。強誘電性
液晶(反強誘電性液晶でも同様)では、電界印加による
液晶ダイレクタのスイッチング挙動としては、「液晶辞
典」(培風館発行)のP150に記載されている南部−ゴ
ールドストーンモードに従って液晶分子が仮想的なコー
ン上を動く。さらに、電傾効果を有するスメクチックA
液晶(同液晶辞典のP145)では、同液晶辞典のP119 に
記載されているソフトモードを利用した場合でも、コー
ン角に類似した各液晶組成物に固有のコーン角を有して
いる。
【0065】即ち、図7に示すようなITO(インジウ
ムにスズをドープしたIndium tin oxide) からなる透明
電極13−14間に挟まれた液晶15のコーンモデルを考え
る。コーンの開き角をコーン角θrと呼び、このコーン
角の透明電極の付いたガラス基板への投影を見かけのコ
ーン角θと呼ぶ。光学的にはこの見かけのコーン角θに
ついて考えれば良い。
【0066】図8に示すノーマリーホワイトのTN液晶
表示素子の場合、TN液晶に電界が印加されない状態で
光源からの光が透過するものである。ここでは、バック
ライト17−偏光板18−TN液晶2−偏光板19の組み合わ
せ、或いは、反射板−偏光板18−TN液晶2−偏光板19
の組み合わせが従来と同様のTN液晶表示素子を示す。
そして、TN液晶素子2、強誘電性液晶素子3にはそれ
ぞれ、透明電極がその両面に配置してあるのは言うまで
もない。
【0067】この場合、電界強度が増大するにつれてT
N液晶2のねじれが解除され、徐々に偏光板を通して光
がもれ、階調表示が実現されるが、いずれの透過光も強
誘電性液晶素子3の前で偏光板19により同一の直線偏光
になるため、上述した動作原理に従って絵素ずらしを行
うことができる。
【0068】図9に示すノーマリーブラックのTN液晶
表示素子の場合、TN液晶に電界が印加された状態で光
が透過するモードであり、電界強度が減少するにつれて
TN液晶2のねじれが徐々に復帰し、徐々に暗くなり、
階調表示が実現されるが、いずれの透過光も強誘電性液
晶素子3の前で偏光板19により同一の直線偏光になるた
め、上述した動作原理に従って絵素ずらしを行うことが
できる。
【0069】このように、どのようなタイプの液晶表示
素子でも、表示素子から出てくる光がほぼ直線偏光であ
れば、本発明を適用できることが明確である。
【0070】上述した例は、偏光を有する表示素子につ
いてのものであるが、本発明は無偏光の表示素子にも勿
論適用できる。
【0071】図10に示すように、表示画素5からの光の
偏光度が小さい場合、偏光にするために、表示素子2と
絵素ずらし素子7を結ぶ光路中に偏光板19を挿入すれば
良い。光学的配置条件は上述の液晶表示素子の場合と同
様である。
【0072】ここで使用可能な無偏光ディスプレイ2と
しては、プラズマディスプレイ、LEDディスプレイ等
の自発光型表示素子がある。
【0073】上述した如く、本発明に基いて、ビデオレ
ートで駆動可能なカイラルスメクチック液晶をはじめと
した位相変調素子(強誘電性液晶、反強誘電性液晶、あ
るいは電傾効果を有するスメクチックA液晶)3を用い
たウォブリング素子7を離散的な画素から構成される液
晶、プラズマ、LED等のディスプレイと観測者の網膜
とを結ぶ光路中に配置し、ウォブリング(絵素ずらし)
を行うことができるが、ここで、位相変調素子3として
は下記の〔1〕、複屈折媒体としては下記の〔2〕が挙
げられる。
【0074】〔1〕ビデオレートで駆動可能な強誘電性
液晶、反強誘電性液晶あるいは電傾効果を有するスメク
チックA液晶のスイッチ状態において、少なくとも2つ
の状態が存在し、そのうち少なくとも2つの状態の異常
光軸が26〜64度の角をなすカイラルスメクチック液晶素
子で偏光面を回転できるように光学配置した素子。
【0075】〔2〕入射された光の偏光方向により光軸
のずれを与える透明基板であり、具体的には(a)ウォ
ブリング方向に等価的に一軸性の異常光軸の成分を有す
るように配置したもの(b)光が透過する基板対向面が
平行でない基板であり、見かけの異常光軸が両平面に垂
直な平面に平行あるいは垂直である素子。
【0076】上記したウォブリング動作にとって、液晶
の偏光面を90度回転させるためには位相を 180度ずらせ
ば良い。複屈折率(ne −no )、セルギャップdと位
相差δの間には以下の関係がある。 δ=2πd(ne −no )/λ
【0077】ここで、δ=πとすればよい。このために
は、セルギャップdを d=λ/2(ne −no ) とすれば良いことになる。しかし実際には、液晶分子の
基板とのなす角α(プレチルト角)は0度でないため
に、ne は小さくなり、ギャップ長dをさらに長くとら
なければならない。
【0078】ここで、常光no は入射角に依存せず、液
晶分子短軸方向の屈折率n⊥に等しい。即ち、no =n
⊥である。
【0079】具体的にはne はプレチルト角αの関数で
あり、
【数1】
【0080】dは次のようにプレチルト角αに依存す
る。 d=λ/2〔ne (α)−no
【0081】即ち、配向膜の種類によりαを求め、上記
関係式をもとに最適ギャップdを計算できる。従って、
配向膜はSiO等の様な無機系配向膜、あるいはポリイ
ミド、ポリアミド、ポリビニルアルコール(PVA)な
どの有機系配向膜の種類を問わず使用できる。
【0082】さらに、プレチルト角αが90度では、上記
式によりギャップ長dは無限大となってしまうため、0
〜89度のプレチルト角が必要である。但し、プレチルト
角を45度を超えて制御するのは難しいため、実用的には
0〜45度のプレチルト角が好ましい。
【0083】ウォブリング(絵素ずらし)では、立ち上
がりと立ち下がりの応答時間がフィールド時間の1/3
以下で、かつ、立ち上がり時間と立ち下がり時間との比
が互いに2倍を越えないものが好ましい。
【0084】この点、ネマチック液晶を用いた場合は、
高速のものでも電界印加時の立ち上がり時間は比較的短
いが、オフ時の立ち下がり時間は長いために、フィール
ド内でのスイッチングが十分でなく、有効な絵素ずらし
効果が得られない。ツイストネマチックの絵素ずらし素
子では、透過率変化0〜90%での立ち上がり+立ち下が
り時間は最小で15msec 程度(室温)であり、NTSC
の2:1線飛越走査方式(1フィールド当たり1/60秒
(16.7ms))でもかなり実現が困難であり、さらにフ
レーム数が同じで4:1線飛越走査方式を適用すれば、
1フィールド当たり1/120 秒(8.3ms)であり、全く
追従できなくなる。
【0085】これに対し、強誘電性液晶素子を用いた絵
素ずらし法は、そのスイッチング時間がTN液晶よりも
短いため、有効であることがわかる。ちなみに、強誘電
性液晶素子の立ち上がり+立ち下がり時間はμsec オー
ダーから、最も遅いものでも数ms以下である。
【0086】下記の表2には、各種液晶の応答時間を比
較して示すが、本発明に使用可能な液晶の応答速度は著
しく早い。
【0087】上記した高解像度化技術(ウォブリング技
術)は直視型、反射型、投射型等、様式を問わずに使用
できる。このうち、図11〜図12に投射型ディスプレイの
二例をそれぞれ示した。
【0088】図11の例では、ハロゲンランプ17からの光
をコールドフィルタ43を通してバックライトとして表示
素子2に導き、上述したウォブリング処理後にレンズ系
44からスクリーン45へと画像が投影される。
【0089】図12はミラー型ディスプレイを示し、光源
17からの光をフィルタ46を通し、各ダイクロイックミラ
ー47によって所定の波長光(R、G、B)にそれぞれ分
離し、コンデンサーレンズ48から各ウォブリング素子に
入射され、ここでウォブリングされた後、再び合成され
てスクリーン45上に投影される。
【0090】上述した高解像度化技術は、ディスプレイ
として応用するため、可視光の波長範囲で使用する。
【0091】本発明は、上述した表示素子2に限らず、
離散的な画素から構成されるCCD等の撮像素子と被写
体とを結ぶ光路中に上述したウォブリング素子7を配置
する場合にも適用される。
【0092】本発明を図12及び図13に示した撮像装置71
に適用する場合も、上述した表示装置において述べた各
種の条件及び原理、説明が同様にして採用されることが
望ましい。以下においては、上述した表示装置について
の内容と同様のものは特に繰り返して説明しないが、そ
れに比べて、撮像装置に特有のものを主として説明する
こととする。
【0093】撮像素子、例えばCCDを用いるとき、上
記した例では、強誘電性液晶素子3は水晶板4とは別の
基板を用いて作製するが、さらにコスト、容積、重量を
低減させるため、図13〜図15にそれぞれ例示するよう
に、水晶基板4に透明電極、配向膜(いずれも図示省
略)を付け、強誘電性液晶素子3と一体化した絵素ずら
し素子をCCD全面の保護ガラス基板60を介して配する
か(図13)、或いはこれを省略して水晶板側を接着し、
保護すること(図14)ができる。図15は、CCD53と水
晶板4を一体化し、FLC素子3は上述した例と同様に
構成したものである。これらの場合も、基板21や、基板
21、電極及び配向膜の合計複屈折量は1nm以下である。
【0094】そして、被写体と撮像素子53とを結ぶ光路
中に、被写体−偏光子−FLC素子−複屈折基板−撮像
素子の順序で配置される。この場合、レンズ系、アイリ
ス及び波長制限フィルタは、被写体と撮像素子とを結ぶ
光路中のどこに配してもよい。
【0095】図16、図17に示すように、強誘電性液晶素
子3のスイッチ状態が状態1の場合、被写体50の側から
の照射光成分aは、レンズ51、絞り52を通った後、偏光
板19により絵素ずらし方向に偏光される。光の偏光面と
強誘電性液晶素子3の異常光軸8が平行のため、透過光
は偏光面を維持したまま複屈折を有する水晶板4に照射
される。水晶板4では、入射偏光面内に水晶の異常光軸
を含むため、Y軸方向に偏光している光は水晶板の異常
光軸の傾いている方向へ屈折し、再び空気層へ出るとき
光軸と平行になり、入射光の光軸とのずれが生じ、CC
D撮像素子53の各絵素に照射される。
【0096】一方、強誘電性液晶素子3のスイッチ状態
が状態2の場合、偏光面と異常光軸8が約45度の角をな
しているため、透過光は異常光軸の向きに回転し、直線
偏光(Y軸方向)→楕円偏光→円偏光→楕円偏光→直線
偏光(X軸方向)と強誘電性液晶素子内を変化し、偏光
面は初期状態から90度回転し、水晶板4に照射される。
水晶板4では、入射偏光面内に水晶の異常光軸を含まな
いため、屈折しないでそのままの光軸を維持し、再び空
気層へ出て、CCD撮像素子53の各絵素に照射される。
即ち、被写体のa’部分を撮像することになる。この状
態1と状態2の光軸のずれを絵素ずらしの動作原理とし
て用いることができる。
【0097】ビデオカメラ、スチルビデオカメラ等の光
学系の場合、外界からの入射光は概ね偏光していないの
で、外界(被写体)と強誘電性スイッチング素子の間に
偏光板を入れることを特徴とし、レンズ、絞りに対して
の位置関係を問わない。その他の光学配置は、被写体−
レンズ−絞り−偏光板−強誘電性スイッチング素子−一
軸的な光学異方性を有する透明基板−撮像素子の順であ
る。ここで組み合わせる撮像素子としては、CCD、M
OS型素子等、その種類を問わない。
【0098】こうした撮像素子は、表示素子とは異な
り、受光素子であるために、被写体の空間解像度(空間
分離能)を向上させることができる。ここでは、表示素
子のように順次方式ではなく、同時方式で行えるため、
FLC素子3のスイッチング部はCCD素子全面に同時
に作用してよく、位相変調素子3の空間的な電極分割を
必要としない。
【0099】即ち、例えばCCD撮像素子の画素も、離
散的なために光軸のずれがない場合には各画素にa、
b、cの位置分解能しかないが、フレームを分割し、ま
ずこのa、b、cの情報を同時方式で蓄積後、転送し、
次のフィールドで強誘電性液晶素子3の絵素ずらしによ
り、a’、b’、c’の位置情報を同時方式で蓄積後、
転送し、最初のフィールドとの再合成を行うことによ
り、垂直分解能が2倍に向上する。
【0100】上記したセルのビデオカメラ:ハンディカ
ムTR−1(ソニー社製)への具体的実装例を説明する
が、まず、それに使用可能な赤外カットフィルタ及びロ
ーパスフィルタについて説明する。
【0101】〔1〕通常の可視光の撮像の場合 CCD撮像素子などの半導体撮像素子は、その感度域が
380〜1200nmにまで広がっている。通常の可視光の画像
を撮像する場合には、本来人間の眼で感知できない近赤
外光域まで撮像してしまうため、画像に対して悪影響を
及ぼす。従って、図18のように赤外カットフィルタ61を
被写体50とCCD53との間に入れる必要がある。
【0102】ここでは、絵素ずらし素子に赤外カットフ
ィルタ(700nm以上の波長をカットする。)61を組み合わ
せる場合の例を示す。さらに、ウォブリング素子に用い
られている水晶板だけでは、高周波成分のカットが不十
分であるため、光学ローパスフィルタが必要である。そ
こで、一般に高画質のCCDビデオカメラに用いられて
いる7点ボケ用の水晶ローパスフィルタ(複数の水晶板
64からなる。)を組み込んだ(図18、図19)。
【0103】このローパスフィルタは、1枚の水晶板中
で入射光をその複屈折を利用して2点ボケにし、さらに
光軸の周りに回転させた他の水晶板の積層により2点像
を4点像に、さらに3枚目の水晶板で7点像としてぼか
し、ローパスフィルタ特性を向上させることができるも
のである。
【0104】即ち、このように入射光をぼかすことによ
り、画像情報の空間周波数の高い成分を除去でき、モア
レ縞及び色偽信号等の問題を回避することができる。但
し、水晶板1枚の場合は、y方向のみ高周波成分をカッ
ト若しくは分散できるが、上記ではx、yの両方向にお
いて高周波成分をカット若しくは分散でき、低周波成分
の感度を保持したまま高周波成分の画像への影響(結像
した画像出力にモアレ縞パターンや色偽信号が生じるこ
と)を一層なくすことができる。
【0105】こうしたローパスフィルタを用いない実装
例を図20に、同ローパスフィルタを用いた実装例を図21
に示した。いずれも、絵素ずらし素子(ウォブリング素
子)7はCCD53の前位に設けられている。
【0106】ローパスフィルタ64を用いる場合、ローパ
スフィルタの第1の異常光軸がウォブリング時の偏光と
30〜60°の角度をなすときは、ローパスフィルタの効果
は得られるが、それ以外ではローパスフィルタ特性がフ
ィールドで変化してしまう。このとき、絵素ずらし素子
7と光学ローパスフィルタとの間にλ/4板(図示せ
ず)を入れることにより、フィールド間でのローパスフ
ィルタ特性の差を低減し、ローパスフィルタ特性を十分
発揮できるようになる。
【0107】図22には、CCDを3つ用いた色分解カメ
ラシステムを示している。但し、CCDドライブ回路、
ウォブリング素子ドライブ回路は省略した。
【0108】〔2〕赤外光の撮像の場合 CCD撮像素子などの半導体撮像素子の近赤外光域を利
用し、本来人間の眼で感知できない近赤外光域のみを撮
像することができる。この場合、敢えて、赤外カットフ
ィルタを入れる必要はない。
【0109】この場合、赤外光だけを撮像するには、可
視光カットフィルタ(760nm以下をカットする。)を被写
体とCCDとの間に入れる必要がある。これにより、被
写体の温度分布等を撮像することができる。このときの
撮像波長は 700〜1200nmにまで及ぶため、絵素ずらし素
子の位相差はその半波長の 350〜600nm が必要である。
【0110】以上に述べたように、本発明に基づく位相
制御素子の使用によって、離散的画素からなるディスプ
レイや、離散的受光画素からなる固体撮像素子等に対し
て高速のウォブリング(絵素ずらし)を可能にし、高解
像度化を効率よく達成でき、モザイク状の点描画的画面
等を継ぎ目のない連続的な画面に向上させることができ
る。
【0111】以上、本発明の実施例を説明したが、上述
の実施例は本発明の技術的思想に基いて更に変形が可能
である。
【0112】例えば、上述した液晶素子をはじめ、各構
成部分の構造、材質や形状、形成方法、組み立て方法等
は種々変更してよい。基板もガラス板ではなく、他の光
学的に透明な材質であればよい。液晶についても、種々
のものが採用可能である。配向膜も、ポリイミド膜とし
てよい。
【0113】本発明が適用される対象は、上述した表示
装置、撮像装置の如き光学システムと共に、同システム
に組み込み可能な位相制御素子、更にはウォブリング素
子も包含することは勿論である。
【0114】
【発明の作用効果】本発明は上述した如く、位相制御素
子用の基体として、複屈折量が4nm以下の基体を用いて
いるので、この基体の複屈折量は、ウォブリング素子
(絵素ずらし素子)を構成している液晶、複屈折媒体、
偏光板等の構成部分の複屈折量と比較して十分に低く、
これによって位相制御素子での基体による光軸のずれを
大幅に減少させ、複屈折媒体による本来の複屈折効果を
良好に保持することができる。
【0115】これと同時に、位相制御素子を組み立てる
ときに、基体の遅相軸を確認しないで組み立てても常に
基体の複屈折量を小さく抑えることができるから、位相
制御素子としての複屈折量は常に低い値に容易に安定さ
せることができることになる。従って、位相制御素子の
組み立ての歩留りをはじめ、複屈折媒体との組み合わせ
によるウォブリング素子の設計を再現性よく行え、位相
制御素子としての位相制御特性を維持しながら、ウォブ
リングによる高解像度化を常に実現できる。
【0116】また、上記の基体だけでなく、基体と対向
電極と液晶配向膜との各複屈折量の合計も4nm以下とし
ているので、基体と共に、対向電極や液晶配向膜につい
ても複屈折量を小さく抑えているために、位相制御素子
の複屈折を可能な限り小さくすることができることにな
り、上記した効果を一層顕著にすることができる。
【0117】そして、上記の強誘電性液晶等の液晶はい
ずれも、電界の作用に対して液晶ダイレクタの方向が変
化し易く、応答速度が非常に早いので、ビデオレートで
の駆動が十分可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例による位相制御素子としての液
晶セルの断面図である。
【図2】同液晶セルを用いた表示装置の構造例の概略断
面図である。
【図3】同他の構造例の概略断面図である。
【図4】同更に他の構造例の概略断面図である。
【図5】同液晶セルをウォブリング素子に用いた表示装
置の状態1での概略図である。
【図6】同表示装置の状態2での概略図である。
【図7】同表示装置に用いる強誘電性液晶(FLC)の
コーン角の説明図である。
【図8】同表示装置にノーマリーホワイトのTN液晶表
示素子を用いた場合の概略図である。
【図9】同表示装置にノーマリーブラックのTN液晶表
示素子を用いた場合の概略図である。
【図10】偏光度の小さい表示素子を用いた表示装置の概
略図である。
【図11】上記表示装置を適用したディスプレイの断面図
である。
【図12】ディスプレイへの他の適用例の断面図である。
【図13】同液晶セルを用いた撮像装置の構造例の概略断
面図である。
【図14】同他の構造例の概略断面図である。
【図15】同更に他の構造例の概略断面図である。
【図16】上記液晶セルをウォブリング素子に用いた撮像
装置の状態1での概略図である。
【図17】同撮像装置の状態2での概略図である。
【図18】水晶光学ローパスフィルタの実装状態の概略図
である。
【図19】同水晶フィルタ3枚により生じるボケを説明す
る原理図である。
【図20】上記撮像装置の実装例の断面図である。
【図21】他の実装例の断面図である。
【図22】更に他の実装例の断面図である。
【符号の説明】
1・・・(液晶光学)表示装置 2・・・(液晶)表示素子 3・・・強誘電性液晶素子 4・・・複屈折媒体 5・・・表示画素 7・・・ウォブリング素子(絵素ずらし素子) 8、10・・・異常光軸 9・・・偏光方向 13、14・・・透明電極 15・・・液晶 17・・・光源 18、19・・・偏光板 20、21・・・透明基板 22、23・・・配向膜 50・・・被写体 53・・・CCD素子 71・・・撮像装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松居 恵理子 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 (72)発明者 高梨 英彦 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 (72)発明者 片岡 延江 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 (72)発明者 楊 映保 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光学的に透明な対向電極間に、強誘電性
    液晶と反強誘電性液晶と電傾効果を示すスメクチック液
    晶とから選ばれた少なくとも1種からなる液晶が充填さ
    れている位相制御素子と、複屈折媒体とからなるウォブ
    リング素子において前記対向電極の少なくとも一方の電
    極を支持する光学的に透明な基体であって、複屈折量が
    4nm以下である、ウォブリング素子に使用する位相制御
    素子用の基体。
  2. 【請求項2】 光学的に透明な対向電極間に、強誘電性
    液晶と反強誘電性液晶と電傾効果を示すスメクチック液
    晶とから選ばれた少なくとも1種からなる液晶が充填さ
    れている位相制御素子であって、複屈折媒体と組み合わ
    されることによってウォブリング素子を構成し、前記対
    向電極と、前記対向電極上に設けられた液晶配向膜と、
    前記対向電極の少なくとも一方を支持する光学的に透明
    な基体との各複屈折量の合計が4nm以下である位相制御
    素子からなる光学装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003098522A (ja) * 2001-09-25 2003-04-03 Ricoh Co Ltd 光路切替素子、空間光変調器、及び画像表示装置
JP2013083995A (ja) * 2007-01-29 2013-05-09 Nippon Electric Glass Co Ltd ディスプレイ用ガラス基板
WO2014080589A1 (ja) 2012-11-21 2014-05-30 アイシン・エーアイ株式会社 変速機

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