JP4444612B2 - コレステリック液晶積層フィルム、およびその製造方法 - Google Patents

コレステリック液晶積層フィルム、およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、例えば投影スクリーン等に用いることが可能な、コレステリック液晶積層フィルム、およびその製造方法に関するものである。
コレステリック液晶構造を有する層は、コレステリック液晶の円偏光二色性、および波長選択反射性から、光学機能層等として用いられており、コレステリック液晶を用いて外光等の反射を抑える投影スクリーン(特許文献1参照)も提案されている。
従来、業務用や家庭用として、プロジェクタから光を投影スクリーンに投影し、画像等を投影するプロジェクションシステムに用いられる投影スクリーンは、一般的に透明媒体に保持された透明または半透明の多孔質の微粒子と、その背後に配置された反射材料とを有するものである。この従来の投影システムでは、投影スクリーン上に投射される投影機からの投射光(映像光)の強度差によって映像の濃淡が作り出されており、例えば、黒地に白の絵を映し出すような場合には、投射光が投影スクリーンに当たる部分が白、それ以外の部分が黒となり、このような白黒の明るさの差により映像の濃淡が作り出されている。この場合、良好な映像表示を実現するためには、白表示の部分をより明るくし、黒表示の部分をより暗くして、コントラスト差を大きくする必要がある。
しかしながら、上述した従来の投影スクリーンでは、外光や照明光などの環境光を映像光との区別なく反射してしまうので、白表示の部分及び黒表示の部分の両方が明るくなり、白黒の明るさの差が小さくなってしまう。このため、上述した従来の投影スクリーンでは、部屋を暗くするための手段や環境などを用いて外光や照明光などの環境光の影響を抑えない限り、良好な映像表示を実現することが困難であるという問題があった。
そこで、このような問題を解決するために、上述したように、コレステリック液晶を用いて外光等の反射を抑える投影スクリーンが提案されている。しかしながら、コレステリック液晶の表面は、鏡面であるため、投影された光を鏡面反射してしまうことから、実用化には至っていない。
また、他の方法として特許文献2には、拡散性を有する多層反射性偏光材などを反射性偏光要素として用いる投影スクリーンであって、多層反射性偏光材などの偏光分離機能により環境光の一部を反射させないようにするとともに、多層反射性偏光材を構成する屈折率の異なる材料の界面反射、又は、多層反射性偏光材とは別に設けられた拡散要素により、反射光に散乱効果を与えるものが記載されている。また、コレステリック反射性偏光材などを反射性偏光要素として用いる投影スクリーンであって、この反射性偏光要素と拡散要素とを組み合わせて用い、コレステリック反射性偏光材などの偏光分離機能により環境光の一部を反射させないようにするとともに、コレステリック反射性偏光材とは別に設けられた拡散要素により反射光に散乱効果を与えるものも記載されている。
しかしながら、上記特許文献2に記載された前者のものは、あくまでも多層反射性偏光材などの直線偏光要素(スリーエム社製のDBEFなど)を前提とするものであるので、投影システムなどでに組み込んで用いる際には、直線偏光を出射する液晶プロジェクターなどの投影機との間で偏光面を一致させる必要があり、両者の偏光面が一致しない場合には良好な映像表示を実現することができないという問題があった。
また、上記特許文献2に記載された後者のものでは、反射性偏光要素としてコレステリック反射性偏光材などの円偏光要素が用いられているものの、反射性偏光要素の観察者側に設けられた拡散要素により反射光に散乱効果を与えるものであるので、反射性偏光要素により与えられる偏光分離機能が損なわれてしまい、映像の視認性を十分に向上させることができないという問題があった。
すなわち、反射性偏光要素の観察者側に拡散要素が設けられているので、反射性偏光要素に入射する前に光が拡散要素を透過し、その偏光状態が乱されてしまう(これを「消偏」という)。ここで、拡散要素を透過する光には環境光(外光など)と映像光の2種類があるが、環境光の偏光状態が拡散要素により乱された場合には、反射性偏光要素で本来透過されるべき光が消偏によって反射性偏光要素で反射される成分に変換されてしまい、不要な光として反射性偏光要素で反射されてしまう。また、映像光の偏光状態が拡散要素により乱された場合には、反射性偏光要素で本来反射されるべき光が消偏によって反射性偏光要素で反射されない成分に変換されてしまい、反射性偏光要素を透過してしまう。このような2つの現象により、本来の偏光分離機能が損なわれてしまい、映像の視認性を十分に向上させることができないという問題があった。
またさらに、上記発明においては、ギラつき防止をするために、ギラつき防止層を形成する必要があり、このギラつき防止層によっても偏光分離機能が低下するという問題があった。
特開平5−107660号公報 特表2002−540445号公報
以上のことから、入射した光を拡散して反射し、明るい環境のもとでも、特定の波長の光を明度高く反射することが可能な積層フィルム、およびその製造方法の提供が望まれている。
本発明は、基材と、上記基材上に形成され、かつ特定の偏光成分の光を選択的に拡散して反射するコレステリック液晶構造を有する偏光選択反射層とを有するコレステリック液晶積層フィルムであって、上記基材が、上記偏光選択反射層のコレステリック液晶構造を、複数の異なる配向状態とする配向調整手段を有することを特徴とするコレステリック液晶積層フィルムを提供する。
一般的に、コレステリック液晶からなる層を形成した場合、コレステリック液晶分子の配向の方向が一定となることから表面が鏡面状態となり、入射した光は一方向にのみ反射されることとなる。しかしながら、本発明によれば、上記基材の配向調整手段によって、上記コレステリック液晶構造を有する偏光選択反射層が複数の異なる配向状態を有することから、偏光選択反射層の表面が鏡面とはならず、入射した光を拡散して反射することが可能となるのである。また、上記偏光選択反射層としてコレステリック液晶構造を有する層が用いられていることから、コレステリック液晶の円偏光二色性、および波長選択反射性によって、特定の偏光成分の光を選択的に反射することが可能なコレステリック液晶積層フィルムとすることができる。
上記発明においては、上記配向調整手段が、親水性領域と疎水性領域とからなる親疎水パターンであることが好ましい。コレステリック液晶構造の配向方向は、親水性領域と疎水性領域とでは異なるものであることから、上記親疎水パターンによって偏光選択反射層が拡散反射性を有するものとすることが可能となるからである。
上記発明においては、上記基材が、パターン状に形成された親水性または疎水性を有するパターン層を有し、上記親疎水パターンが、上記パターン層の有無によって形成されたものとすることができる。基材が、上記パターン層を有することにより、そのパターン層の水との接触角と、パターン層が形成されていない領域の水との接触角とを異なるものとすることができ、容易に上記親疎水パターンを形成することが可能となるからである。
この際、上記パターン層が、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により分解除去される分解除去型層であってもよい。この場合、上記分解除去型層にエネルギーを照射することにより、上記光触媒処理層中の光触媒の作用によって、分解除去型層を除去することが可能となり、容易に目的とするパターン状に分解除去型層を形成することができ、上記親疎水パターンとして用いることが可能となるからである。
また、本発明においては、上記基材が、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により水との接触角が低下する濡れ性変化型層を有し、上記親疎水パターンが、上記濡れ性変化型層の濡れ性が変化した領域および濡れ性が未変化の領域によって形成されたものであってもよい。これにより、エネルギーをパターン状に照射することによって、容易に濡れ性変化型層上に親疎水パターンを形成することが可能となるからである。
この際、上記濡れ性変化型層が、少なくとも光触媒およびバインダを含有する光触媒含有層とすることができる。これにより、光触媒含有層自体に含有される光触媒の作用によって、光触媒含有層表面の濡れ性を変化させることが可能となるからである。
また、上記濡れ性変化型層が、少なくとも光触媒を含有する光触媒処理層上に形成された濡れ性変化用層とすることもできる。これにより、濡れ性変化用層の濡れ性を、光触媒処理層中に含有される光触媒の作用によって容易に変化させることができるからである。
上記発明においては、上記偏光選択反射層が、コレステリック液晶構造を有する複数のコレステリック液晶層を有しており、上記コレステリック液晶層間に、上記パターン層または上記濡れ性変化層が形成されていてもよい。これにより、各コレステリック液晶層が、入射した光を拡散して反射する性質を良好に有するものとすることができるからである。
本発明は、上記いずれかのコレステリック液晶積層フィルムを用いることを特徴とする投影スクリーンを提供する。
本発明によれば、上記コレステリック液晶層フィルムの円偏光二色性、波長選択性、および光を拡散して反射する性質から、投影機器から照射された光を効率的に反射することが可能であり、かつ明るい環境下でも、明度の高い投影スクリーンとすることができる。
この際、上記偏光選択反射層は、上記偏光選択反射層の最大反射強度に対して半分以上の反射強度を有する波長域が、可視光域の一部のみであることが好ましい。これにより、投影スクリーンが可視光域の特定の波長の光を選択反射することが可能となる。また、上記特定の波長域を投影機等からの光に合わせることで、映像光のみを効率的に反射し、外光や照明光等については、コレステリック液晶構造により反射される光の量を低減することができ、より明るい環境下でも明度の高い投影スクリーンとすることが可能となるからである。
またさらに、上記偏光選択反射層は、上記偏光選択反射層に対して光が垂直に入射する場合を基準にして、選択反射中心波長が430nm〜460nm、540nm〜570nm、および580nm〜620nmの範囲に存在する光を選択的に反射することが好ましい。これにより、例えば液晶プロジェクタ等から照射された三原色の波長域の光を反射することができ、良好なカラー表示が可能な投影スクリーンとすることができるからである。
また、本発明は、基材と、上記基材上に形成され、かつ特定の偏光成分の光を選択的に拡散して反射するコレステリック液晶構造を有する偏光選択反射層とを有するコレステリック液晶積層フィルムの製造方法であって、
上記基材に、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により、親水性領域と疎水性領域とからなる親疎水パターンを形成する親疎水パターン形成工程と、
上記親疎水パターン上に上記偏光選択反射層を形成する偏光選択反射層形成工程と
を有することを特徴とするコレステリック液晶積層フィルムの製造方法を提供する。
本発明によれば、上記親疎水パターン形成工程によって、親疎水パターンを形成することから、その親疎水パターン上に形成された偏光選択反射層のコレステリック液晶構造の表面が鏡面とはならず、入射した光を拡散して反射することが可能なコレステリック液晶積層フィルムを製造することができる。また、上記偏光選択反射層としてコレステリック液晶構造を有する層が用いられていることから、コレステリック液晶の円偏光二色性、および波長選択反射性によって、特定の偏光成分の光を選択的に反射することが可能なコレステリック液晶積層フィルムを製造することができる。
上記発明においては、上記基材が、少なくとも光触媒を含有する光触媒処理層と、上記光触媒処理層上に形成され、かつエネルギー照射に伴う光触媒の作用により分解除去される分解除去用層とを有し、上記親疎水パターン形成工程が、上記分解除去用層にパターン状にエネルギーを照射することにより行われるものとすることができる。この場合、上記親疎水パターン形成工程により、上記分解除去用層をパターン状に分解除去することができ、分解除去用層と光触媒処理層との濡れ性の違いによる親疎水パターンを容易に形成することができるからである。
また上記発明においては、上記基材が、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により分解除去される分解除去層を有し、上記親疎水パターン形成工程が、光触媒を含有する光触媒処理層および基体を有する光触媒処理層側基板の上記光触媒処理層と、上記分解除去層とを対向して配置した後、所定の方向からエネルギーをパターン状に照射することにより行われるものとすることができる。この場合、上記親疎水パターン形成工程により、上記分解除去層をパターン状に分解除去することができ、分解除去層と支持体等との濡れ性の違いによる親疎水パターンを容易に形成することができるからである。
またさらに、上記発明においては、上記基材が、少なくとも光触媒およびバインダを含有し、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により水との接触角が低下する光触媒含有層を有し、上記親疎水パターン形成工程が、上記光触媒含有層にパターン状にエネルギーを照射することにより行われるものとすることができる。この場合、上記親疎水パターン形成工程によって、上記光触媒含有層上のエネルギー照射部を親水性領域、エネルギー未照射部を疎水性領域とした親疎水パターンを容易に形成することができるからである。
上記発明においてはまた、上記基材が、少なくとも光触媒を含有する光触媒処理層と、上記光触媒処理層上に形成され、かつエネルギー照射に伴う光触媒の作用により水との接触角が低下する濡れ性変化用層とを有し、上記親疎水パターン形成工程が、上記濡れ性変化用層にパターン状にエネルギーを照射することにより行われるものとすることができる。この場合、上記親疎水パターン形成工程によって、上記濡れ性変化用層上のエネルギー照射部を親水性領域、エネルギー未照射部を疎水性領域とした親疎水パターンを容易に形成することができるからである。
またさらに、本発明によれば、上記基材が、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により水との接触角が低下する濡れ性変化層とを有し、上記親疎水パターン形成工程が、光触媒を含有する光触媒処理層および基体を有する光触媒処理層側基板の上記光触媒処理層と、上記濡れ性変化層とを対向して配置した後、所定の方向からエネルギーをパターン状に照射することにより行われるものとすることができる。この場合、上記親疎水パターン形成工程によって、上記濡れ性変化層上のエネルギー照射部を親水性領域、エネルギー未照射部を疎水性領域とした親疎水パターンを容易に形成することができるからである。
本発明によれば、コレステリック液晶構造を有する偏光選択反射層の表面が鏡面とはならず、入射した光を拡散して反射することが可能となる。また、コレステリック液晶の円偏光二色性、および波長選択反射性によって、特定の偏光成分の光を選択的に反射することが可能なコレステリック液晶積層フィルムとすることができる。
本発明は、特定の波長の光を明度が高く反射することが可能なコレステリック液晶積層フィルム、そのコレステリック液晶積層フィルムの製造方法、およびそれを用いた投影スクリーンに関するものである。
以下、それぞれについて詳しく説明する。
A.コレステリック液晶積層フィルム
まず、本発明のコレステリック液晶積層フィルムについて説明する。本発明のコレステリック液晶積層フィルムは、基材と、上記基材上に形成され、かつ特定の偏光成分の光を選択的に拡散して反射するコレステリック液晶構造を有する偏光選択反射層とを有するコレステリック液晶積層フィルムであって、上記基材が、上記偏光選択反射層のコレステリック液晶構造を、複数の異なる配向状態とする配向調整手段を有するものである。
本発明のコレステリック液晶積層フィルムは、例えば図1に示すように、コレステリック液晶構造の配向状態を調整する配向調整手段を有する基材1と、その基材1上に形成されたコレステリック液晶構造を有する偏光選択反射層2とを有するものである。
本発明においては、上記偏光選択反射層が、コレステリック液晶構造を有している。このコレステリック液晶の液晶分子の物理的な分子配列としては、液晶分子のダイレクターが層の厚さ方向に連続的に回転してなる螺旋構造をとっており、このような液晶分子の物理的な分子配列に基づいて、一方向の円偏光成分と、これと逆回りの円偏光成分とを分離する偏光分離特性を有している。すなわち、偏光選択反射層において、螺旋軸に沿って入射した無偏光状態の光は、2つの偏光状態の光(右円偏光及び左円偏光)に分離され、一方は透過され、残りは反射される。この現象は、円偏光二色性として知られ、液晶分子の螺旋構造における螺旋巻き方向を適宜選択すると、この螺旋巻き方向と同一の旋光方向を有する円偏光成分が選択的に反射される。
またこの場合の最大旋光光散乱は、次式(1)の波長λで生じる。
λ=nav・p … (1)
ここで、pは液晶分子の螺旋構造における螺旋ピッチ長(液晶分子の分子螺旋の1ピッチ当たりの長さ)、navは螺旋軸に直交する平面内での平均屈折率である。
また、このときの反射光の波長バンド幅△λは次式(2)で表される。ここで、△nは複屈折値である。
△λ=△n・p … (2)
すなわち、例えば図1に示すように、投影スクリーンの観察者側から入射する無偏光状態の光(選択反射波長域内の右円偏光11R及び左円偏光11L、選択反射波長域外の右円偏光12R及び左円偏光12L)は、上述したような偏光分離特性に従って、選択反射中心波長λを中心とした波長バンド幅△λの範囲(選択反射波長域)に属する一方の円偏光成分(例えば選択反射波長域内の右円偏光11R)が反射光13として反射され、その他の光(例えば選択反射波長域内の左円偏光11L、選択反射波長域外の右円偏光12R及び左円偏光12L)が透過される。
したがって、本発明によれば、偏光選択反射層を照射される光と同じ側の偏光の特定波長を反射させる層とすることにより、照射された光を効率よく反射することができる。
ここで、通常の基材上に形成されたコレステリック液晶構造を有する層は、例えば図2(a)に示すように、上記コレステリック液晶分子5の螺旋軸Lが基材1平面に対して、垂直となるように規則的に配列することから、表面が鏡面状態となり、入射した光を一定の方向にのみ反射することとなる。
一方、本発明においては、基材がコレステリック液晶構造を、複数の異なる配向状態とする配向調整手段を有している。ここで、異なる配向状態とは、例えば図2(b)に示すように、偏光選択反射層2を構成するコレステリック液晶分子5の螺旋軸Lが基材1と平行となるような配向状態aと、コレステリック液晶分子5の螺旋軸Lが基材1と垂直となるような配向状態bとのように、コレステリック液晶分子5の螺旋軸Lの方向が異なる配向状態をいうこととする。本発明によれば、基材が上記配向調整手段を有していることから、偏光選択反射層のコレステリック液晶構造が複数の異なる配向状態を有することとなり、偏光選択反射層に入射した光が、そのコレステリック液晶構造の螺旋軸の方向のバラつきによって、拡散して反射されることとなるのである。
またこの場合、偏光選択反射層自体が拡散反射性を有することから、偏光分離機能を損なうことなく、拡散反射をすることができる。
以下、本発明に用いられる各構成ごとに、詳しく説明する。
1.基材
まず、本発明に用いられる基材について説明する。本発明に用いられる基材は、後述する偏光選択反射層が上に形成されるものであり、偏光選択反射層のコレステリック液晶構造を、複数の異なる配向状態とする配向調整手段を有するものである。本発明においては、偏光選択反射層の配向調整手段を有していれば、その種類等は特に限定されるものではなく、例えば図3(a)に示すように、上記配向調整手段が、基材1の表面の凹凸であって、その表面の凹凸により、偏光選択反射層2中のコレステリック液晶分子5の螺旋軸Lの方向を調整するものであってもよい。また、配向調整手段が、基材のラビングの方向やラビングの有無等であって、これらにより偏光選択反射層中のコレステリック液晶構造の配向状態を調整するものであってもよい。
本発明においては特に、例えば図3(b)に示すように、配向調整手段が基材1表面に形成された親水性領域aと疎水性領域bとからなる親疎水パターンであって、その親疎水パターンにより、偏光選択反射層2中のコレステリック液晶分子5の螺旋軸Lの方向を調整するものであることが好ましい。この場合、基材の親水性領域a上に形成されたコレステリック液晶分子5の螺旋軸は、基材1平面に対して垂直に配列しようとするが、疎水性領域bにおいては、コレステリック液晶分子5が、基材1平面に対して平行に配向することとなり、疎水性領域bの周囲の親水性領域aのコレステリック液晶分子5の螺旋軸Lも傾くこととなる。このようなコレステリック液晶分子の螺旋軸の方向にバラつきによって、偏光選択反射層に入射した光を拡散して反射することが可能となる。この方法によれば、上記親疎水パターンの形成が容易であり、またコレステリック液晶構造中の配向の制御が容易となる、という利点を有する。
以下、このような親水性領域および疎水性領域からなる親疎水パターンが形成された基材について説明する。本発明において、親水性領域とは、水との接触角が小さい領域をいうこととし、疎水性領域とは、水との接触角が大きい領域をいうこととする。なお、本発明においては、親水性領域として用いられる領域の水との接触角と、その親水性領域に隣接する疎水性領域として用いられる領域の水との接触角との差が、1°以上あることが好ましい。これらの領域の水との接触角の差が1°以下である場合には、親水性領域および疎水性領域として用いることが困難となるからである。
本発明においては、上記疎水性領域の水との接触角が、20°以上、中でも30°以上であることが好ましい。これにより、後述する偏光選択反射層を基材上に形成した際に、コレステリック液晶構造を有する液晶分子の螺旋軸の向きを、親水性領域の液晶分子の螺旋軸の向きと異なるものとすることができるからである。
また、本発明においては、親水性領域の水との接触角が10°以下、中でも1°以下であることが好ましい。これにより、コレステリック液晶構造を有する液晶分子の螺旋軸を、基材と垂直とすることが可能となるからである。
なお、ここでいう水との接触角は、水との接触角を接触角測定器(協和界面科学(株)製CA−Z型)を用いて測定(マイクロシリンジから液滴を滴下して30秒後)し、その結果から、もしくはその結果をグラフにして得たものである。
また、上記親疎水パターンの形状としては、後述する偏光選択反射層中のコレステリック液晶分子の螺旋軸の方向にバラつきが生じ、入射した光が散乱して反射されるようなものであれば、特に限定されるものではなく、例えば図4(a)に示すように、親水性領域aと、疎水性領域bがストライプ状に形成されているものであってもよく、また例えば図4(b)に示すように、親水性領域a内に、円状の疎水性領域bが形成されているものであってもよい。また、例えば図4(c)に示すように、親水性領域a内に、疎水性領域bがジグザグ状に形成されたもの等であってもよい。また、図4で示した親水性領域と疎水性領域とを反対にしたような形状等とすることもできる。
なお、上記親疎水パターンを例えば図4(a)に示すように、ストライプ状に形成した場合、図4(a)のx方向の断面において、コレステリック液晶分子の螺旋軸の向きは、図3(b)に示したように、バラつきが生じることとなる。一方、図4(a)のy方向の断面においては、コレステリック液晶分子の螺旋軸の向きが、図3(a)に示したように一定方向となる。これは、y方向においては、親水性領域の間に疎水性領域が入らないため、螺旋軸の向きが乱されることなく、一定方向に整列して配向した状態となるのである。したがって、例えば図4(a)に示すようなストライプ状の親疎水パターンを有するコレステリック液晶積層フィルムにおいては、x方向およびy方向で視野角が異なることとなり、x方向では視野角が広く、y方向では視野角の狭いものとすることができる、という利点を有する。
ここで、本発明においては、上述したような親水性領域および疎水性領域からなる親疎水パターンを有する基材であり、上記偏光選択反射層が形成可能であれば、その親疎水パターンの形成方法や基材の材料等については特に限定されるものではない。
本発明に用いられる基材として具体的には、基材自体の表面が、例えばプラズマ照射等の処理によって濡れ性が変化され、親水性領域または疎水性領域が形成された基材(以下、第1実施態様とする。)や、パターン状に形成された親水性または疎水性を有するパターン層を有する基材(以下、第2実施態様とする。)、または、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により水との接触角が低下する濡れ性変化型層を有する基材(以下、第3実施態様とする。)等とすることができる。
以下、本発明に用いられる基材を、上記の各実施態様ごとに、詳しく説明する。
(1)第1実施態様
まず、本発明に用いられる基材の第1実施態様について説明する。本発明に用いられる基材の第1実施態様は、例えば基材自体の表面が、例えばプラズマ照射等の処理によって濡れ性が変化し、親水性領域または疎水性領域が形成されたものである。
上記親疎水パターンを形成する方法としては、基材の表面を化学的、または物理的に変化させて濡れ性を変化させることが可能な方法であれば、特に限定されるものではなく、一般的にプラスチック基材を親水化処理または疎水化処理する際に用いられる方法等を用いることができる。このような方法として具体的には、大気圧プラズマや、減圧プラズマ、真空紫外光、レーザー等を目的とするパターン状に照射する方法等が挙げられる。
また、本実施態様に用いられる基材としては、例えばプラズマ照射等の処理によって、表面の濡れ性が変化するものであれば、特にその種類等は限定されるものではないが、中でも可視光領域の波長の光を吸収するもの、すなわち400nm〜700nmの範囲内の光を吸収するものであることが好ましい。これにより、後述する偏光選択反射層が反射する特定の波長以外の波長の光が入射した場合に、反射を防止することができるからである。
このような可視光領域の波長を吸収する基材としては、例えば黒い顔料を練りこんだプラスチックフィルム等とすることができる。また、透明なプラスチックフィルム等の上に、光吸収層が形成されたものであってもよく、この光吸収層は上記偏光選択反射層が形成される側の反対側に形成されるものである。
本実施態様に用いられる基材として具体的には、例えばポリカーボネート系高分子、ポリアリレートやポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系高分子、ポリイミド系高分子、ポリスルホン系高分子、ポリエーテルスルホン系高分子、ポリスチレン系高分子、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系高分子、ポリビニルアルコール系高分子、酢酸セルロース系高分子、ポリ塩化ビニル系高分子、ポリメチルメタクリレート系高分子等の熱可塑性ポリマー等からなるフィルム等が挙げられる。
ここで、本実施態様に用いられる基材の膜厚としては、コレステリック液晶積層フィルムの用途や種類等により適宜選択されるものであるが、通常20μm〜5000μm程度とされる。
(2)第2実施態様
次に、本発明に用いられる基材の第2実施態様について説明する。本発明に用いられる基材の第2実施態様は、パターン状に形成された親水性または疎水性を有するパターン層を有するものである。
本実施態様の基材は、例えば図5に示すように、プラスチックフィルム等の支持体11と、その支持体11上に、パターン状に形成された親水性または疎水性を有するパターン層12とを有するものとすることができる。ここで、上記の親水性または疎水性を有するとは、パターン層が形成されていない領域の濡れ性と比較して親水性を有する、またはパターン層が形成されていない領域と比較して疎水性を有することをいうこととする。これにより、例えば支持体上に親水性を有するパターン層を形成した場合、支持体上を疎水性領域、パターン層上を親水性領域とすること等ができる。また逆に、疎水性を有するパターン層を用いた場合、支持体上を親水性領域、パターン層上を疎水性領域とすること等ができる。
ここで、上記支持体としては、第1実施態様で説明した材料と同様のものを用いることが可能である。
上記パターン層の形成方法としては、パターン層を、パターン状に形成することが可能であれば、特に限定されるものではなく、例えば(a)親水性または疎水性を有する材料を、支持体上に印刷法等によってパターン状に形成する方法や、(b)上記支持体の全面に親水性または疎水性を有する材料を用いて層を形成し、その後エッチングやエネルギー照射による分解等によってパターン状に形成する方法等が挙げられる。
上記(a)の場合、パターン層を形成する親水性または疎水性を有する材料を必要に応じて他の添加剤等とともに溶剤中に分散させて塗布液を調整し、支持体上に例えばオフセット印刷法やスクリーン印刷法等の一般的な印刷法や、インクジェット法やディスペンサー等を用いたノズル吐出法等によって塗布することにより、パターン層を形成することができる。
上記パターン層に用いられる親水性を有する材料として、例えば有機親水性高分子樹脂や界面活性剤等の親水性化合物等とすることができる。また、疎水性を有する材料としては、例えばフッ素系やシリコーン系等の疎水性化合物等とすることができる。
また、上記(b)の場合、まず、パターン層を形成する親水性または疎水性を有する材料を、必要に応じて他の添加剤とともに溶剤中に分散させて塗布液を調整し、支持体の全面に層を形成する。その後、不要な部分を除去することにより、目的とするパターン状に形成されたパターン層とすることができる。ここで、上記パターンの形成は、不要な部分を除去することが可能であれば、特にその方法は限定されるものではない。例えば、親水性または疎水性を有する材料と、感光性を有する樹脂を用いて、一般的なフォトリソグラフィー法等によって、パターンを形成するものであってもよい。
本実施態様においては、特に上記パターン層が、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により分解除去される分解除去型層とすることが好ましい。これにより、多数の工程を必要とせず容易に高精細なパターンを形成することが可能となるからである。
このようなエネルギー照射に伴う光触媒の作用により分解除去される分解除去型層として具体的には、少なくとも光触媒を含有する光触媒処理層上に形成され、かつエネルギー照射に伴う光触媒の作用により分解除去される分解除去用層、または光触媒を含有する光触媒処理層および基体を有する光触媒処理層側基板の上記光触媒処理層と対向して配置された後、所定の方向からエネルギーが照射されることにより分解除去される分解除去層を用いることができる。以下、上記分解除去用層、および分解除去層について詳しく説明する。
(分解除去用層)
まず、本実施態様に用いることができる上記分解除去用層について説明する。上記分解除去用層は、少なくとも光触媒を含有する光触媒処理層上に形成され、かつエネルギー照射に伴う光触媒の作用により分解除去される層である。この場合、例えば図6(a)に示すように、支持体11上に、少なくとも光触媒を含有する光触媒処理層13と、その光触媒処理層13上に分解除去用層14を形成する。次に、その分解除去用層14にフォトマスク15等を用いて、パターン状にエネルギー16を照射する。これにより、光触媒処理層13中の光触媒が励起され、この光触媒の作用によって分解除去用層14が分解除去されることから、目的とするパターン状に分解除去用層14を形成することができるのである(図6(b))。
なお、この場合、分解除去用層の濡れ性と分解除去用層が除去されて露出した光触媒処理層の濡れ性は異なるものとされる。この分解除去用層と光触媒処理層とからなる親疎水パターンによって、後述する偏光選択反射層に用いられるコレステリック液晶分子の螺旋軸の向きをバラつきのあるものとすることができるからである。以下、分解除去用層をパターン層として用いる際の、各構成について詳しく説明する。
a.分解除去用層
まず、本実施態様にパターン層として用いることができる分解除去用層について説明する。上記分解除去用層は、後述する光触媒処理層上に形成され、エネルギー照射された際に、その光触媒処理層中の光触媒の作用によって分解除去される層であって、光触媒処理層と濡れ性が異なるものであれば、特に限定されるものではなく、光触媒処理層と比較して親水性であってもよく、また疎水性であってもよい。
上記分解除去用層は、エネルギー照射した部分が光触媒の作用により分解除去されることから、現像工程や洗浄工程を行うことなく分解除去用層のある部分と無い部分からなるパターン、すなわち親疎水パターンを形成することができる。
なお、この分解除去用層は、エネルギー照射による光触媒の作用により酸化分解され、気化等されることから、現像・洗浄工程等の特別な後処理なしに除去されるものであるが、分解除去用層の材質によっては、洗浄工程等を行ってもよい。
本実施態様の分解除去用層に用いることができる、例えば疎水性を有する膜としては、具体的にはフッ素系や炭化水素系の疎水性を有する樹脂等による膜を挙げることができる。これらのフッ素系や炭化水素系の樹脂は、疎水性を有するものであれば、特に限定されるものではなく、これらの樹脂を溶媒に溶解させ、例としてスピンコート法等の一般的な成膜方法により形成することが可能である。また、本実施態様に用いられる分解除去用層としては、機能性薄膜、すなわち、自己組織化単分子膜、ラングミュア−ブロケット膜、および交互吸着膜等を用いることにより、欠陥のない膜を形成することが可能であることから、このような成膜方法を用いることがより好ましいといえる。
ここで、本実施態様に用いられる自己組織化単分子膜、ラングミュア−ブロケット膜、および交互吸着膜については、特開2003−195029号公報等に記載されているものと同様のものを用いることが可能であるので、ここでの詳しい説明は省略する。
b.光触媒処理層
次に、上記分解除去用層の分解除去に用いられる光触媒処理層について説明する。本実施態様に用いられる光触媒処理層は、少なくとも光触媒を含有する層であれば、特に限定されるものではなく、光触媒とバインダとから構成されているものであってもよく、光触媒単体で製膜されたものであってもよい。
このような光触媒処理層における、後述するような二酸化チタンに代表される光触媒の作用機構は、必ずしも明確なものではないが、エネルギーの照射によって生成したキャリアが、近傍の化合物との直接反応、あるいは、酸素、水の存在下で生じた活性酸素種によって、有機物の化学構造に変化を及ぼすものと考えられている。本実施態様においては、このキャリアが光触媒処理層上で分解除去用層中の化合物に作用を及ぼすものであると思われる。
本実施態様で用いられる光触媒としては、光半導体として知られる例えば二酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、酸化タングステン(WO)、酸化ビスマス(Bi)、および酸化鉄(Fe)を挙げることができ、これらから選択して1種または2種以上を混合して用いることができる。
本実施態様においては、特に二酸化チタンが、バンドギャップエネルギーが高く、化学的に安定で毒性もなく、入手も容易であることから好適に使用される。二酸化チタンには、アナターゼ型とルチル型があり本発明ではいずれも使用することができるが、アナターゼ型の二酸化チタンが好ましい。アナターゼ型二酸化チタンは励起波長が380nm以下にある。
このようなアナターゼ型二酸化チタンとしては、例えば、塩酸解膠型のアナターゼ型チタニアゾル(石原産業(株)製STS−02(平均粒径7nm)、石原産業(株)製ST−K01)、硝酸解膠型のアナターゼ型チタニアゾル(日産化学(株)製TA−15(平均粒径12nm))等を挙げることができる。
光触媒の粒径は小さいほど光触媒反応が効果的に起こるので好ましく、平均粒径が50nm以下が好ましく、20nm以下の光触媒を使用するのが特に好ましい。
なお、本実施態様に用いられる光触媒処理層の詳しい形成方法等については、特開2000−249821号公報と同様のものとすることができるので、ここでの詳しい説明は省略する。
c.エネルギーの照射
次に、上記分解除去用層へのエネルギーの照射について説明する。
本実施態様においては、上記分解除去用層表面に、所定の方向からエネルギーをパターン照射することにより、上記分解除去用層が上記光触媒処理層中の光触媒の作用により、分解除去される。
なお、本実施態様でいうエネルギー照射(露光)とは、分解除去用層を分解除去させることが可能ないかなるエネルギー線の照射をも含む概念であり、可視光の照射に限定されるものではない。
通常このようなエネルギー照射に用いる光の波長は、400nm以下の範囲、好ましくは380nm以下の範囲から設定される。これは、上述したように光触媒処理層に用いられる好ましい光触媒が二酸化チタンであり、この二酸化チタンにより光触媒作用を活性化させるエネルギーとして、上述した波長の光が好ましいからである。
このようなエネルギー照射に用いることができる光源としては、水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、エキシマランプ、その他種々の光源を挙げることができる。
上述したような光源を用い、フォトマスクを介したパターン照射により行う方法の他、エキシマ、YAG等のレーザを用いてパターン状に描画照射する方法を用いることも可能である。
また、エネルギー照射に際してのエネルギーの照射量は、分解除去用層が光触媒処理層中の光触媒の作用により分解除去されるのに必要な照射量とする。
この際、光触媒処理層を加熱しながらエネルギー照射することにより、感度を上昇させることが可能となり、効率的な濡れ性の変化を行うことができる点で好ましい。具体的には30℃〜80℃の範囲内で加熱することが好ましい。
本実施態様におけるエネルギー照射方向は、上述したように、基材が透明である場合は、基材側および光触媒処理層側のいずれの方向からフォトマスクを介したパターンエネルギー照射もしくはレーザの描画照射を行っても良い。
上述したようなエネルギー照射によって、分解除去用層を、光触媒処理層上にパターン状に形成されたパターン層とすることができる。
(分解除去層)
次に、本実施態様に用いられる分解除去層について説明する。本実施態様に用いられる分解除去層は、光触媒を含有する光触媒処理層および基体を有する光触媒処理層側基板の上記光触媒処理層と対向して配置された後、所定の方向からエネルギーが照射されることにより分解除去される層である。このような分解除去層を用いた場合のパターン層の形成方法の一例を図7を用いて説明する。まず、図7(a)に示すように、支持体11と、その支持体11上に分解除去層14を形成する。また、基体17と、その基体17上に形成された少なくとも光触媒を含有する光触媒処理層13とを有する光触媒処理層側基板18を準備する(図7(a))。この光触媒処理層側基板18の光触媒処理層13と、上記分解除去層14とを、所定の間隙を置いて配置し、その後、例えばフォトマスク15等を用いてエネルギー16を照射する(図7(a))。これにより、光触媒処理層中13に含有される光触媒の作用により、分解除去層14が分解除去されることとなる。
ここで、上記分解除去層の濡れ性と上記支持体の濡れ性は異なるものとされる。この分解除去層と支持体との濡れ性の差によって、後述する偏光選択反射層に用いられるコレステリック液晶分子の螺旋軸の向きをバラつきのあるものとすることができるからである。以下、分解除去層をパターン層として用いる際の、各構成について詳しく説明する。
a.分解除去層
まず、上記分解除去層について説明する。上記分解除去層は、後述する光触媒処理層側基板を用いてエネルギー照射されることにより、分解除去される層であり、分解除去されて露出する支持体等と濡れ性が異なるものであれば、特に限定されるものではない。
この際用いられる支持体としては、上述した第1実施態様で説明したものと同様のものを用いることが可能であるので、ここでの説明は省略する。また、分解除去層の材料や形成方法等については、上述した分解除去用層と同様であるので、ここでの説明は省略する。
b.光触媒処理層側基板
次に、上記分解除去層をパターン状に形成する際に用いられる光触媒処理層側基板について説明する。本実施態様に用いられる光触媒処理層側基板は、少なくとも光触媒処理層と基体とを有するものであり、通常は基体上に所定の方法で形成された薄膜状の光触媒処理層が形成されてなるものである。また、この光触媒処理層側基板には、パターン状に形成された光触媒処理層側遮光部やプライマー層が形成されたものも用いることができる。以下、この光触媒処理層側基板の各構成について説明する。
(i)光触媒処理層
本実施態様に用いられる光触媒処理層は、光触媒処理層中の光触媒が、上述した分解除去層を分解することが可能な構成であれば、特に限定されるものではなく、光触媒とバインダとから構成されているものであってもよく、光触媒単体で製膜されたものであってもよい。また、その表面の特性は、特に親液性であっても撥液性であってもよい。また、分解除去層を分解除去するために照射されるエネルギーが、光触媒処理層側基板側から照射される場合には、上記光触媒処理層は、エネルギーを透過させることが可能な層であることが好ましい。
なお、光触媒処理層側基板に用いられる光触媒処理層については、上述した分解除去用層のパターン形成に用いられる光触媒処理層と同様のものを用いることが可能であるので、ここでの説明は省略する。
ここで、上記光触媒処理層は、例えば図7(a)に示すように、基体17の全面に形成されるものであってもよいが、例えば図8に示すように、基体17上にパターン状に形成されるものであってもよい。このように光触媒処理層をパターン状に形成することにより、後述するエネルギーの照射の際に、フォトマスク等を用いる必要がなく、全面に照射することにより、分解除去層をパターン状に分解除去することが可能となるからである。この光触媒処理層のパターニング方法は、特に限定されるものではないが、例えばフォトリソグラフィー法等により行うことが可能である。
(ii)基体
次に、光触媒処理層側基板に用いられる基体について説明する。図7に示すように、光触媒処理層側基板18は、少なくとも基体17とこの基体17上に形成された光触媒処理層13とを有するものである。
この際、用いられる基体を構成する材料は、後述するエネルギー照射の際のエネルギーの照射方向や、フォトマスクの位置等により適宜選択される。
すなわち、例えば後述するように光触媒処理層側基板に光触媒処理層側遮光部を予め所定のパターンで形成しておき、この光触媒処理層側遮光部を用いて分解除去層を分解除去する場合や、上記支持体がエネルギーを透過させない材料である場合等には、光触媒処理層側基板側からエネルギーを照射する必要がある。このような場合、基体はエネルギーを透過させるものであることが必要となる。
また本実施態様に用いられる基体は、可撓性を有するもの、例えば樹脂製フィルム等であってもよいし、可撓性を有さないもの、例えばガラス基板等であってもよい。これは、後述するエネルギーの照射方法等により適宜選択されるものである。
このように、本実施態様に用いられる光触媒処理層側基板における基体は特にその材料を限定されるものではないが、本実施態様においては、この光触媒処理層側基板は、繰り返し用いられるものであることから、所定の強度を有し、かつその表面が光触媒処理層との密着性が良好である材料が好適に用いられる。
具体的には、ガラス、セラミック、金属、プラスチック等を挙げることができる。
なお、基体表面と光触媒処理層との密着性を向上させるために、基体上にアンカー層を形成するようにしてもよい。このようなアンカー層としては、例えば、シラン系、チタン系のカップリング剤等を挙げることができる。
(iii)光触媒処理層側遮光部
本実施態様に用いられる光触媒処理層側基板には、パターン状に形成された光触媒処理層側遮光部が形成されたものを用いても良い。このように光触媒処理層側遮光部を有する光触媒処理層側基板を用いることにより、エネルギー照射に際して、フォトマスクを用いたり、レーザ光による描画照射を行う必要がない。したがって、光触媒処理層側基板とフォトマスクとの位置合わせが不要であることから、簡便な工程とすることが可能であり、また描画照射に必要な高価な装置も不必要であることから、コスト的に有利となるという利点を有する。
このような光触媒処理層側遮光部を有する光触媒処理層側基板は、光触媒処理層側遮光部の形成位置により、下記の二つの形態とすることができる。
一つが、例えば図9に示すように、基体17上に光触媒処理層側遮光部19を形成し、この光触媒処理層側遮光部19上に光触媒処理層13を形成して、光触媒処理層側基板とする形体である。もう一つは、例えば図10に示すように、基体17上に光触媒処理層13を形成し、その上に光触媒処理層側遮光部19を形成して光触媒処理層側基板とする形体である。
いずれの形体においても、フォトマスクを用いる場合と比較すると、光触媒処理層側遮光部が、上記光触媒処理層と分解除去層との配置部分の近傍に配置されることになるので、基体内等におけるエネルギーの散乱の影響を少なくすることができることから、エネルギーのパターン照射を極めて正確に行うことが可能となる。
さらに、上記光触媒処理層上に光触媒処理層側遮光部を形成する形態においては、光触媒処理層と分解除去層とを所定の位置に配置する際に、この光触媒処理層側遮光部の膜厚をこの間隙の幅と一致させておくことにより、上記光触媒処理層側遮光部を上記間隙を一定のものとするためのスペーサとしても用いることができるという利点を有する。
すなわち、所定の間隙をおいて上記光触媒処理層と分解除去層とを対向させた状態で配置する際に、上記光触媒処理層側遮光部と分解除去層とを密着させた状態で配置することにより、所定の間隙を正確とすることが可能となり、そしてこの状態で光触媒処理層側基板からエネルギーを照射することにより、分解除去層を精度よく分解除去することが可能となるのである。
このよう光触媒処理層側遮光部の形成方法は、特に限定されるものではなく、光触媒処理層側遮光部の形成面の特性や、必要とするエネルギーに対する遮蔽性等に応じて適宜選択されて用いられる。
例えば、スパッタリング法、真空蒸着法等により厚み1000〜2000Å程度のクロム等の金属薄膜を形成し、この薄膜をパターニングすることにより形成されてもよい。このパターニングの方法としては、スパッタ等の通常のパターニング方法を用いることができる。
また、樹脂バインダ中にカーボン微粒子、金属酸化物、無機顔料、有機顔料等の遮光性粒子を含有させた層をパターン状に形成する方法であってもよい。用いられる樹脂バインダとしては、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ゼラチン、カゼイン、セルロース等の樹脂を1種または2種以上混合したものや、感光性樹脂、さらにはO/Wエマルジョン型の樹脂組成物、例えば、反応性シリコーンをエマルジョン化したもの等を用いることができる。このような樹脂製遮光部の厚みとしては、0.5〜10μmの範囲内で設定することができる。このよう樹脂製遮光部のパターニングの方法は、フォトリソ法、印刷法等一般的に用いられている方法を用いることができる。
なお、上記説明においては、光触媒処理層側遮光部の形成位置として、基体と光触媒処理層との間、および光触媒処理層表面の二つの場合について説明したが、その他、基体の光触媒処理層が形成されていない側の表面に光触媒処理層側遮光部を形成する態様も採ることが可能である。この態様においては、例えばフォトマスクをこの表面に着脱可能な程度に密着させる場合等が考えられ、親疎水パターンを小ロットで変更するような場合に好適に用いることができる。
(iv)プライマー層
次に、本実施態様の光触媒処理層側基板に用いられるプライマー層について説明する。本実施態様において、上述したように基体上に光触媒処理層側遮光部をパターン状に形成して、その上に光触媒処理層を形成して光触媒処理層側基板とする場合においては、上記光触媒処理層側遮光部と光触媒処理層との間にプライマー層を形成してもよい。
このプライマー層の作用・機能は必ずしも明確なものではないが、光触媒処理層側遮光部と光触媒処理層との間にプライマー層を形成することにより、プライマー層は光触媒の作用による分解除去層の分解除去を阻害する要因となる光触媒処理層側遮光部および光触媒処理層側遮光部間に存在する開口部からの不純物、特に、光触媒処理層側遮光部をパターニングする際に生じる残渣や、金属、金属イオン等の不純物の拡散を防止する機能を示すものと考えられる。したがって、プライマー層を形成することにより、高感度で分解除去層の分解除去の処理が進行し、その結果、高解像度のパターンを得ることが可能となるのである。
なお、本実施態様においてプライマー層は、光触媒処理層側遮光部のみならず光触媒処理層側遮光部間に形成された開口部に存在する不純物が光触媒の作用に影響することを防止するものであるので、プライマー層は開口部を含めた光触媒処理層側遮光部全面にわたって形成されていることが好ましい。
本実施態様におけるプライマー層は、光触媒処理層側基板の光触媒処理層側遮光部と光触媒処理層とが接触しないようにプライマー層が形成された構造であれば特に限定されるものではない。
このプライマー層を構成する材料としては、特に限定されるものではないが、光触媒の作用により分解されにくい無機材料が好ましい。具体的には無定形シリカを挙げることができる。このような無定形シリカを用いる場合には、この無定形シリカの前駆体は、一般式SiXで示され、Xはハロゲン、メトキシ基、エトキシ基、またはアセチル基等であるケイ素化合物であり、それらの加水分解物であるシラノール、または平均分子量3000以下のポリシロキサンが好ましい。
また、プライマー層の膜厚は、0.001μmから1μmの範囲内であることが好ましく、特に0.001μmから0.1μmの範囲内であることが好ましい。
c.エネルギー照射
次に、上記分解除去層にパターン状にエネルギー照射を行い、パターン状に形成されたパターン層を形成する際のエネルギー照射について説明する。上記分解除去層に光触媒処理層側基板を用いてエネルギー照射する際には、上記光触媒処理層と上記分解除去層とを光触媒の作用が及ぶように所定の間隔をおいて配置する必要があり、本実施態様においては、上述した光触媒処理層および分解除去層を200μm以下の間隙をおいて配置した後、所定の方向からエネルギーを照射することが好ましい。この際、光触媒処理層および分解除去層を密着させてもよい。
本実施態様において上記間隙は、パターン精度が極めて良好であり、光触媒の感度も高く、したがって分解除去層の分解除去の効率が良好である点を考慮すると特に0.2μm〜10μmの範囲内、好ましくは1μm〜5μmの範囲内とすることが好ましい。このような間隙の範囲は、特に間隙を高い精度で制御することが可能である分解除去層に対して特に有効である。
一方、例えば300mm×300mm以上といった大面積の分解除去層に対して処理を行う場合は、接触することなく、かつ上述したような微細な間隙を光触媒処理層側基板と分解除去層との間に形成することは極めて困難である。したがって、分解除去層が比較的大面積である場合は、上記間隙は、10〜100μmの範囲内、特に50〜75μmの範囲内とすることが好ましい。間隙をこのような範囲内とすることにより、パターンがぼやける等のパターン精度の低下の問題や、光触媒の感度が悪化して分解除去の効率が悪化する等の問題が生じることなく、さらに分解除去層の分解除去にムラが発生しないといった効果を有するからである。
このように比較的大面積の分解除去層をエネルギー照射する際には、エネルギー照射装置内の光触媒処理層側基板とパターン形成体用基板との位置決め装置における間隙の設定を、10μm〜200μmの範囲内、特に25μm〜75μmの範囲内に設定することが好ましい。設定値をこのような範囲内とすることにより、パターン精度の大幅な低下や光触媒の感度の大幅な悪化を招くことなく、かつ光触媒処理層側基板とパターン形成体用基板とが接触することなく配置することが可能となるからである。
このように光触媒処理層と分解除去層表面とを所定の間隔で離して配置することにより、酸素と水および光触媒作用により生じた活性酸素種が脱着しやすくなる。すなわち、上記範囲より光触媒処理層と分解除去層との間隔を狭くした場合は、上記活性酸素種の脱着がしにくくなり、結果的に分解除去速度を遅くしてしまう可能性があることから好ましくない。また、上記範囲より間隔を離して配置した場合は、生じた活性酸素種が分解除去層に届き難くなり、この場合も分解除去の速度を遅くしてしまう可能性があることから好ましくない。
本実施態様においては、このような配置状態は、少なくともエネルギー照射の間だけ維持されればよい。
このような極めて狭い間隙を均一に形成して光触媒処理層と分解除去層とを配置する方法としては、例えばスペーサを用いる方法を挙げることができる。そして、このようにスペーサを用いることにより、均一な間隙を形成することができると共に、このスペーサが接触する部分は、光触媒の作用が分解除去層表面に及ばないことから、このスペーサを上述した親疎水パターンと同様のパターンを有するものとすることにより、分解除去層に所定の親疎水パターンを形成することが可能となる。
本実施態様においては、このようなスペーサを一つの部材として形成してもよいが、工程の簡略化等のため、上記光触媒処理層側基板の欄で説明したように、光触媒処理層側基板の光触媒処理層表面に形成することが好ましい。なお、上記光触媒処理層側基板における説明においては、光触媒処理層側遮光部として説明したが、本実施態様においては、このようなスペーサは分解除去層表面に光触媒の作用が及ばないように表面を保護する作用を有すればよいものであることから、特に照射されるエネルギーを遮蔽する機能を有さない材料で形成されたものであってもよい。
なお、この際照射されるエネルギーや照射方法については、上述した分解除去用層のエネルギー照射の項で説明したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
ここで、上記エネルギーの照射終了後、上記光触媒処理層側基板は取り外され、分解除去層がパターン状に形成されたパターン層が得られることとなる。
(3)第3実施態様
次に、本発明に用いられる基材の第3実施態様について説明する。本発明に用いられる基材の第3実施態様は、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により水との接触角が低下する濡れ性変化型層を有するものである。
本実施態様によれば、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により水との接触角が低下する濡れ性変化型層を用いることから、エネルギーをパターン状に照射することにより、容易に濡れ性変化型層の表面の濡れ性をパターン状に変化させることができる。したがって、エネルギーが照射された領域を親水性性領域、エネルギーが未照射の領域を疎水性領域とした親疎水パターンとすることができる。
本実施態様に用いられる濡れ性変化型層は、上記エネルギー照射に伴う光触媒の作用により濡れ性が低下するように濡れ性が変化する層であれば、特に限定されるものではない。このような濡れ性変化型層として、具体的には、少なくとも光触媒およびバインダを含有する光触媒含有層や、少なくとも光触媒を含有する光触媒処理層上に形成された濡れ性変化用層、または光触媒を含有する光触媒処理層および基体を有する光触媒処理層側基板の上記光触媒処理層と対向して配置された後、所定の方向からエネルギーが照射されることにより、水との接触角が低下するように濡れ性が変化する濡れ性変化層とすることができる。なお、本実施態様に用いられる基材は、上述した第1実施態様で説明した基材と同様の材料を用いた支持体上に、濡れ性変化型層が形成されたものであってもよく、また濡れ性変化型層のみからなるものであってもよい。以下、これらの各層について、それぞれ説明する。
(光触媒含有層)
まず、本実施態様に用いることができる光触媒含有層について説明する。本実施態様に用いることができる光触媒含有層は、少なくとも光触媒およびバインダを含有する層であり、エネルギー照射部分の濡れ性が液体の接触角の低下する方向に変化する層である。このような光触媒含有層にエネルギーをパターン状に照射することにより、光触媒含有層自体に含まれる光触媒がバインダに作用し、表面の濡れ性を変化させることができる。
このような光触媒含有層における濡れ性の変化は、バインダ自体に光触媒が作用することにより行われる場合(第1の形態)と、エネルギー照射による光触媒の作用により分解され、これにより光触媒含有層上の濡れ性を変化させることができる分解物質を光触媒含有層に含有させることにより変化させる場合(第2の形態)と、これらを組み合わせることにより行う場合(第3の形態)の三つ形態に分けることができる。上記第1の形態および第3の形態において用いられるバインダは、光触媒の作用により光触媒含有層上の濡れ性を変化させることができる機能を有する必要があり、上記第2の形態では、このような機能は特に必要ない。
このような光触媒含有層に用いられる光触媒およびバインダや、光触媒含有層の形成方法等は、特開2000−249821号公報に記載されているものと同様であるので、ここでの詳しい説明は省略する。
また、上記光触媒含有層に、親水性領域および疎水性領域からなる親疎水パターンを形成する際に照射されるエネルギーの種類や照射方法等については、上述した第1実施態様の分解除去用層で説明したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
(濡れ性変化用層)
次に、本実施態様に用いることができる濡れ性変化用層について説明する。本実施態様に用いることができる濡れ性変化用層は、少なくとも光触媒を含有する光触媒処理層上に形成され、かつエネルギー照射に伴う光触媒の作用により濡れ性が変化する層である。この場合、上記濡れ性変化用層が光触媒処理層上に形成されていることから、この光触媒処理層中に含有される光触媒の作用により濡れ性変化用層の表面の濡れ性を変化させることができる。
このような濡れ性変化用層は、上述した光触媒含有層のバインダと同様のものを用いることが可能であるので、ここでの説明は省略する。また、上記光触媒処理層およびエネルギーの照射方法等については、上述した第1実施態様の分解除去用層で説明したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
(濡れ性変化層)
次に、本実施態様に用いることができる濡れ性変化層について説明する。本実施態様に用いることが可能な濡れ性変化層は、光触媒を含有する光触媒処理層および基体を有する光触媒処理層側基板の上記光触媒処理層と対向して配置された後、所定の方向からエネルギーが照射されることにより、水との接触角が低下するように濡れ性が変化する層である。この場合、光触媒処理層側基板を用いて濡れ性変化層にエネルギー照射することにより、光触媒処理層中の光触媒の作用によって、濡れ性変化層の濡れ性を変化させることができるのである。
このような濡れ性変化層は、上述した濡れ性変化用層と同様のものを用いることが可能であるので、ここでの説明は省略する。また、上記光触媒処理層側基板やエネルギーの照射方法、光触媒処理層側基板と濡れ性変化層との配置等については、上述した第2実施態様の分解除去層の項で説明したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
2.偏光選択反射層
次に、本発明のコレステリック液晶積層フィルムに用いられる偏光選択反射層について説明する。本発明のコレステリック液晶積層フィルムに用いられる偏光選択反射層は、上述した基材上に形成され、かつ特定の偏光成分の光を選択的に拡散して反射するコレステリック液晶構造を有するものである。本発明に用いられる偏光選択反射層は、上述したように、上記基材の配向調整手段によって、コレステリック液晶分子の螺旋軸の方向にバラつきを有するものである。これにより、入射した光を鏡面反射することなく、拡散して反射することとなる。
ここで、上記のような偏光選択反射層は、目的とする波長の光を選択的に反射するものであれば、その反射波長域は特に限定されず、コレステリック液晶積層フィルムの種類や用途によって適宜選択されるものである。本発明においては、例えば目的とする波長域の光を選択的に反射するコレステリック液晶層を単層で形成し、特定の波長域の光のみを反射するものとしてもよく、また可視光域全体をカバーする反射波長域を有するコレステリック液晶層を単層で形成し、可視光域全体の光を反射するものとしてもよい。また、例えば特定の波長域の光を選択的に反射するコレステリック液晶層を、複数層積層し、それぞれの波長域の光を反射するものとしてもよい。
上記コレステリック液晶層を積層する場合、各コレステリック液晶層のコレステリック液晶分子の螺旋軸の向きにバラつきを付与するために、例えば図11に示すように、支持体11と濡れ性変化層20とを有する基材1上に形成された偏光選択反射層2が、複数のコレステリック液晶層21と、その各コレステリック液晶層21間に、親疎水パターンが形成された濡れ性変化層20とを有するもの等であってもよい。またこの場合、コレステリック液晶層間に形成される層は、上述した配向調整手段を有する層であれば、特に限定されるものではなく、例えばパターン層等であってもよい。これにより、上記配向調整手段によって、その上に形成されたコレステリック液晶層が、拡散反射性を有するものとすることができるからである。なおこの場合、上記配向調整手段を有する層は、照射されるエネルギーを透過させる材料によって形成されることとなる。また、必要に応じて適宜光触媒処理層等、必要な層が形成されていてもよい。
本発明において、上記偏光選択反射層(偏光選択反射層が複数のコレステリック液晶層からなる場合には各層)は、特定の偏光を100%反射するような膜厚とすることが好ましい。上記偏光選択反射層の偏光に対する反射率は、コレステリック液晶層の膜厚に依存するものであり、選択的に反射される特定の偏光成分の光(例えば右円偏光)に対して100%未満の反射率であれば、特定の光を効率的に反射することができないからである。上記反射率を100%とするためには、通常4ピッチ〜8ピッチとすることが好ましく、具体的には、上記コレステリック液晶層の材料の種類や特定の偏光の波長にもよるが、通常1μm〜10μmとされる。上記膜厚より薄い場合には、反射率が低くなり、コレステリック液晶積層フィルムに照射された光を効率よく反射することが困難となり、また上記膜厚より厚い場合には、コレステリック液晶構造制御が困難となる場合や、ムラが生じること等があるからである。
ここで、上述したコレステリック液晶層の材料としては、カイラルネマチック液晶や、コレステリック液晶を用いることができ、コレステリック規則性を有する材料であれば、特に限定されるものではないが、中でも分子の両末端に重合性官能基を有する重合性液晶材料であることが好ましい。これにより、硬化後、光学的に安定したコレステリック液晶積層フィルムを得ることができるからである。また、上記重合性液晶材料が、ネマチック規則性もしくはスメクチック規則性を呈する場合には、重合性カイラル剤を用いてもよい。以下、本発明のコレステリック液晶層に用いられる材料および偏光選択反射層の形成方法についてそれぞれ説明する。
(1)重合性液晶材料
このような重合性官能基を有する重合性液晶材料の一例としては、例えば下記の一般式(1)で表される化合物(I)を挙げることができる。化合物(I)としては、一般式(1)に包含される化合物の2種を混合して使用することも可能である。またさらに、上記化合物(I)と下記の一般式(2)〜(12)で表わされる化合物(II)とで構成されるものであってもよい。
化合物(I)としては、一般式(1)に包含される化合物の2種を混合して使用することができる。
Figure 0004444612
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化合物(I)を表わす一般式(1)において、R1及びR2はそれぞれ水素又はメチル基を示すが、液晶相を示す温度範囲の広さからR1及びR2は共に水素であることが好ましい。Xは水素、塩素、臭素、ヨウ素、炭素数1〜4のアルキル基、メトキシ基、シアノ基、ニトロ基のいずれであっても差し支えないが、塩素又はメチル基であることが好ましい。また、化合物(I)の分子鎖両端の(メタ)アクリロイロキシ基と、芳香環とのスペーサであるアルキレン基の鎖長を示すa及びbは、それぞれ個別に2〜12の範囲で任意の整数を取り得るが、4〜10の範囲であることが好ましく、6〜9の範囲であることがさらに好ましい。a=b=0である一般式(1)の化合物は、安定性に乏しく、加水分解を受けやすい上に、化合物自体の結晶性が高い。また、a及びbがそれぞれ13以上である一般式(1)の化合物は、アイソトロピック転移温度(TI)が低い。この理由から、これらの化合物はどちらも液晶性を示す温度範囲が狭く好ましくない。
上述した例では、重合性液晶モノマーの例を挙げたが、本発明においては、重合性液晶オリゴマーや重合性液晶高分子等を用いることも可能である。このような重合性液晶オリゴマーや重合性液晶高分子としては、従来提案されているものを適宜選択して用いることが可能である。
(2)カイラル剤
本発明においては、ネマチック液晶にカイラル剤を加えた、コレステリック規則性を有するカイラルネマチック液晶を、好適に使用することもできる。
本発明に用いられるカイラル剤とは、光学活性な部位を有する低分子化合物であり、分子量1500以下の化合物を意味する。カイラル剤は主として、例えば化合物(I)や、必要に応じて用いられる化合物(II)に示されるような重合性液晶材料が発現する正の一軸ネマチック規則性に螺旋ピッチを誘起させる目的で用いられる。この目的が達成される限り、重合性液晶材料、例えば化合物(I)と、もしくは化合物(I)および化合物(II)の混合物と、溶液状態あるいは溶融状態において相溶し、上記ネマチック規則性をとりうる重合性液晶材料の液晶性を損なうことなく、これに所望の螺旋ピッチを誘起できるものであれば、下記に示すカイラル剤としての低分子化合物の種類は特に限定されないが、分子の両末端に重合性官能基があることが耐熱性のよい光学素子を得る上で好ましい。液晶に螺旋ピッチを誘起させるために使用するカイラル剤は、少なくとも分子中に何らかのキラリティーを有していることが必須である。従って、本発明で使用可能なカイラル剤としては、例えば1つあるいは2つ以上の不斉炭素を有する化合物、キラルなアミン、キラルなスルフォキシド等のようにヘテロ原子上に不斉点がある化合物、あるいはクムレン、ビナフトール等の軸不斉を持つ化合物が例示できる。さらに具体的には、市販のカイラルネマチック液晶、例えば、Merck社製S−811等が挙げられる。
しかし、選択したカイラル剤の性質によっては、化合物(I)と、もしくは化合物(I)および化合物(II)の混合物として例示されるような重合性液晶材料が形成するネマチック規則性の破壊、配向性の低下、あるいは該化合物が非重合性の場合には、液晶性組成物の硬化性の低下、硬化フィルムの信頼性の低下を招くおそれがある。さらに、光学活性な部位を有するカイラル剤の多量使用は、組成物のコストアップを招く。従って、短ピッチのコレステリック規則性を有する円偏光制御光学素子を製造する場合には、本発明に用いられる重合性液晶材料に含有させる光学活性な部位を有するカイラル剤には、螺旋ピッチを誘発する効果の大きなカイラル剤を選択することが好ましく、具体的には一般式(13)、(14)、又は(15)で表されるような分子内に軸不斉を有する低分子化合物(III)の使用が好ましい。
Figure 0004444612
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カイラル剤(III)を表わす一般式(13)又は(14)において、R4は水素又はメチル基を示す。Yは上記に示す式(i)〜(xxiv)の任意の一つであるが、なかでも、式(i),(ii),(iii),(v)及び(vii)の何れか一つであることが好ましい。また、アルキレン基の鎖長を示すd及びeは、それぞれ個別に2〜12の範囲で任意の整数をとり得るが、4〜10の範囲であることが好ましく、6〜9の範囲であることがさらに好ましい。d又はeの値が0又は1である一般式(13)又は(14)の化合物は、安定性に欠け、加水分解を受けやすく、結晶性も高い。一方、d又はeの値が13以上である化合物は融点(Tm)が低い。これらの化合物は液晶性を示す化合物(I)と、もしくは化合物(I)および化合物(II)の混合物との相溶性が低下し、濃度によっては相分離等が起きるおそれがある。
本発明の重合性液晶材料に配合されるカイラル剤の量は、螺旋ピッチ誘起能力や最終的に得られる円偏光制御光学素子のコレステリック性を考慮して最適値が決められる。具体的には、用いる重合性液晶材料により大きく異なるものではあるが、重合性液晶材料の合計量100重量部当り、0.01〜60重量部、好ましくは0.1〜40重量部、さらに好ましくは0.5〜30重量部、最も好ましくは1〜20重量部の範囲で選ばれる。この配合量が上記範囲よりも少ない場合は、重合性液晶材料に充分なコレステリック性を付与できない場合があり、上記範囲を超える場合は、分子の配向が阻害され、活性放射線によって硬化させる際に悪影響を及ぼす危惧がある。
本発明においては、このようなカイラル剤としては、特に重合性を有することが必須ではない。しかしながら、得られる光学機能層の熱安定性等を考慮すると、上述した重合性液晶材料と重合し、コレステリック規則性を固定化することが可能な重合性のカイラル剤を用いることが好ましい。
(3)その他
また、本発明に用いられるコレステリック液晶層には、上記重合性液晶材料、カイラル剤の他に、必要に応じて、光重合開始剤、増感剤、レベリング剤等、一般的なコレステリック液晶層に用いられる材料を適宜用いてもよい。
本発明に用いられる光重合開始剤としては、例えばベンジル(ビベンゾイルともいう)や、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4′−メチルジフェニルサルファイド、ベンジルメチルケタール、ジメチルアミノメチルベンゾエート、2−n−ブトキシエチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、3,3′−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、メチロベンゾイルフォーメート、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントンなどを挙げることができる。なお、光重合開始剤の他に増感剤を、本発明の目的が損なわれない範囲で添加することも可能である。
ここで、本発明に用いられる光重合開始剤の添加量は、0.01〜20重量%、好ましくは0.1〜10重量%、より好ましくは0.5〜5重量%の範囲であることが好ましい。
(4)偏光選択反射層の形成
本発明においては、上記各材料を混合した組成物を、上述した基材上に塗布し、配向させて硬化することにより、上記コレステリック液晶層を得ることができる。
基材上に組成物を塗布する方法としては、上記各材料を混合した組成物をそのまま塗布してもよいが、粘性や配向性を調整する等の面から、有機溶媒に溶解させて用いることが好ましい。この際、用いられる溶媒は、上述した基材を侵食しないものであれば特に限定されるものではないが、例えば、アセトン、酢酸−3−メトキシブチル、ジグライム、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、塩化メチレン、メチルエチルケトン等を用いることができる。この場合、上記組成物は通常、5重量%〜50重量%、中でも10重量%〜30重量%に希釈して用いられる。
また、上記組成物を塗布する方法としては、一般的に用いられている方法を用いることが可能であり、例えばロールコート法、グラビアコート法、バーコート法、スライドコート法、ダイコート法、スリットコート法、浸漬法等により行うことができる。また、上記基材がプラスチックフィルムである場合には、ロールツーロールのフィルムコーティングであってもよい。
続いて、上記組成物をコレステリック液晶構造が発現する所定の温度に保持し、上記組成物を配向させる。なお、本発明において最終的に得られるべき偏光選択反射層のコレステリック液晶構造は、プラーナー配向状態ではなく、コレステリック液晶分子の螺旋軸の方向にバラつきのある配向であるが、この場合でも、配向処理は必要となる。すなわち、コレステリック液晶構造の液晶分子のダイレクターを基材上で一定方向に揃えるような配向処理は必要とされないが、コレステリック液晶構造中に複数の螺旋軸構造領域を形成させるような配向処理は必要となるからである。
配向処理の方法としては、上記組成物をコレステリック液晶構造が発現する所定の温度に保持することによって行うことができ、これによりコレステリック液晶は液晶相を呈し、液晶分子自体の自己集積作用により、液晶分子のダイレクターが層の厚さ方向に連続的に回転してなる螺旋構造が形成される。そして、このような液晶相の状態で発現したコレステリック液晶構造は、後述するような手法でコレステリック液晶を硬化させることにより、固定化することができるのである。
なお、このような配向処理工程は、基材上に塗布された液晶性組成物に溶媒が含有されている場合には、通常、溶媒を除去するための乾燥処理とともに行われる。なお、溶媒を除去するためには、40〜120℃、好ましくは60〜100℃の乾燥温度が適しており、乾燥時間(加熱時間)はコレステリック液晶構造が発現し、実質上溶媒が除去されればよく、例えば、15〜600秒が好ましく、さらに好ましくは30〜180秒である。なお、乾燥後に配向状態が不十分であることが分かった場合には、適宜加熱時間を延長するようにするとよい。なお、このような乾燥処理において減圧乾燥の手法を用いる場合には、配向処理のために別途加熱処理を行うことが好ましい。
次に、上述した配向処理工程において配向させた、コレステリック液晶層中の液晶分子を、硬化処理工程によりコレステリック液晶層を硬化させ、液晶相の状態で発現したコレステリック液晶構造を固定化する。
ここで、硬化処理工程で用いられる方法としては、(1)液晶性組成物中の溶媒を乾燥させる方法、(2)加熱により液晶性組成物中の液晶分子を重合させる方法、(3)放射線の照射により液晶性組成物中の液晶分子を重合させる方法、及び(4)それらの方法を組み合わせた方法を用いることができる。
このうち、上記(1)の方法は、コレステリック液晶層の材料である液晶性組成物に含有されるネマチック規則性を示す重合性の液晶材料として液晶ポリマーを用いた場合に適した方法である。この方法では、液晶ポリマーを有機溶媒などの溶媒に溶解させた状態で基材に塗布することとなるが、この場合には、乾燥処理により溶媒を除去するだけで、コレステリック規則性を有する固体化したコレステリック液晶層が形成される。なお、溶媒の種類や乾燥条件などについては、上述した塗布工程及び配向処理工程で述べたものを用いることができる。
上記(2)の方法は、加熱により液晶性組成物中の液晶分子を熱重合させてコレステリック液晶層を硬化させる方法である。この方法では、加熱(焼成)温度によって液晶分子の結合状態が変化するので、加熱時にコレステリック液晶層の面内で温度ムラがあると、膜硬度などの物性や光学的な特性にムラが生じる。ここで、膜硬度の分布を±10%以内にするためには、加熱温度の分布も±5%以内に抑えることが好ましく、より好ましくは±2%以内に抑えることが好ましい。
なお、基材上に形成されたコレステリック液晶層を加熱する方法としては、加熱温度の均一性が得られれば特に限定はなく、ホットプレート上に密着して保持したり、ホットプレートとの間にわずかな気層を設けてホットプレートと平行になるように保持する方法を用いることができる。また、オーブンのような特定の空間全体を加熱する装置内に静置したり当該装置内を通過させる方法でもよい。なお、フィルムコーターなどを用いる場合には、乾燥ゾーンを長くして加熱時間を十分にとることができるようにすることが好ましい。
加熱温度としては一般に、100℃以上の高温が必要となるが、基材の耐熱性から150℃程度までとすることが好ましい。ただし、耐熱性に特化したフィルムなどを基材の材料として用いれば、150℃以上の高温での加熱も可能である。
上記(3)の方法は、放射線の照射により液晶性組成物中の液晶分子を光重合させてコレステリック液晶層を硬化させる方法である。この方法では、放射線として、電子線や紫外線などを条件に応じて適宜用いることができる。通常は、装置の容易性などの観点から紫外線が好ましく用いられ、その波長は250〜400nmである。ここで、紫外線を用いる場合には、液晶性組成物に上述したように光重合開始剤が添加されていることが好ましい。なお、液晶性組成物に添加される光重合開始剤の添加量は、0.01〜20重量%、好ましくは0.1〜10重量%、より好ましくは0.5〜5重量%の範囲であることが好ましい。
以上のような一連の工程(塗布工程、配向処理工程及び硬化処理工程)を行うことにより、単層のコレステリック液晶層からなる偏光選択反射層を備えたコレステリック液晶積層フィルムを製造することができるが、上述した一連の工程を繰り返すことにより、複数層のコレステリック液晶層からなる偏光選択反射層を備えたコレステリック液晶積層フィルムを製造することが可能である。ここで、光の拡散性を有するコレステリック液晶層上に、さらにコレステリック液晶層を塗布した場合、下層の配向状態が継続されることから、配向制御をする層を間に設ける必要は特にないが、例えば易接着層等の他の層を形成してもよい。また、上述したように、コレステリック液晶層間に、上記パターン層や濡れ性変化型層を形成してもよい。
3.コレステリック液晶積層フィルム
次に、本発明のコレステリック液晶積層フィルムについて説明する。本発明のコレステリック液晶積層フィルムは、上述した配向調整手段を有する基材上に、上述した偏光選択反射層が形成されたものであれば、特に限定されるものではない。
ここで、本発明のコレステリック液晶積層フィルムは、例えば後述する投影スクリーンや、液晶表示装置のディスプレイ等に用いられる拡散反射部材等に用いることができる。
B.投影スクリーン
次に、本発明の投影スクリーンについて説明する。本発明の投影スクリーンは、上述したコレステリック液晶積層フィルムを用いたものであれば、特に限定されるものではなく、必要に応じて適宜、傷つき防止層や、低反射層、紫外線防止層等を設けたものであってもよい。本発明の投影スクリーンは、例えば図12に示すように、例えばプロジェクタ等の投影機21から投影された光を反射するものである。
本発明においては、上記コレステリック液晶積層フィルムを用いることから、上記偏光選択反射層がコレステリック液晶構造の有する偏光分離特性により特定の偏光成分の光(例えば右円偏光)のみを選択的に反射するので、偏光特性のない外光や照明光などの環境光を偏光選択反射層で約50%しか反射しないようにすることができる。このため、白表示などの明表示の部分の明るさが同じ場合でも、黒表示などの暗表示の部分の明るさを略半分にして、映像のコントラストを略2倍にすることができる。なおこのとき、投射された映像光が、偏光選択反射層で選択的に反射される光の偏光成分と同一の偏光成分の光(例えば右円偏光)を主として含むようにすれば、投射された映像光を偏光選択反射層で略100%反射することができ、映像光を効率的に反射することができる。
また、偏光選択反射層においては、コレステリック液晶構造の螺旋軸の方向がばらついたりしているので、映像光が鏡面反射でなく拡散反射され、映像が視認しやすくなる。なおこのとき、偏光選択反射層は、コレステリック液晶構造の構造的な不均一性により、選択的に反射される光を拡散させるので、特定の偏光成分の光(例えば選択反射波長域内の右円偏光)を拡散させながら反射する一方で、その他の光(例えば選択反射波長域内の左円偏光、選択反射波長域外の右円偏光及び左円偏光)については拡散させずに透過させることができる。このため、偏光選択反射層を透過する環境光や映像光について、上述したような「消偏」の問題は起こらず、偏光選択反射層の本来の偏光分離機能を維持しつつ、映像の視認性を向上させることができる。
以上のように、本発明によれば、外光や照明光などの環境光の影響をコレステリック液晶構造の有する偏光分離特性により抑えて映像のコントラストを高める一方で、コレステリック液晶構造内に含まれるコレステリック液晶分子の螺旋軸の方向バラつきにより、映像の視認性を低下させることなく映像光の反射光に散乱効果を与えることができ、明るい環境光の下でも映像を鮮明に表示することができる。
ここで、本発明の投影スクリーンに用いられる上記偏光選択反射層は、上記偏光選択反射層の最大反射強度に対して半分以上の反射強度を有する波長域が、可視光域(例えば400nm〜700nmの波長域)の一部のみであることが好ましい。これにより、可視光域の特定の波長の光を選択反射することが可能となる。上述したように、コレステリック液晶は、特定の波長のみの光を、強く反射することから、この特定の波長以外の波長の光は基材等にほぼ吸収されることとなる。したがって、外光や照明光等が投影スクリーンに入射した場合に、コレステリック液晶構造により強く反射される光の波長の領域を可視光のうちの一部とすることにより、外光や照明光の反射を低減させることができ、より明るい環境下でも明度の高い投影スクリーンとすることが可能となるからである。上記偏光選択反射層を構成するコレステリック液晶の反射する波長域は、コレステリック液晶の螺旋ピッチの長さにより決定される。
また、本発明に用いられる偏光選択反射層は、投影機等の光源から照射される波長の光を反射することが可能であれば、1種類の螺旋ピッチ長からなるものであってもよいが、例えば赤色(R)及び緑色(G)の波長域が一つの螺旋ピッチ長での選択反射波長域の波長バンド幅に含まれる場合には、これらの波長の螺旋ピッチ長と、青色(B)の螺旋ピッチ長とを有するものであることが好ましく、特に赤色(R)、青色(B)、緑色(G)のそれぞれの波長の螺旋ピッチ長を有するものであることが好ましい。これは、通常投影機から射出される光は、赤色(R)、青色(B)、緑色(G)からなるものであり、この三原色によりカラー表示を実現しているからである。
本発明においては、上記の波長として具体的には、投影機の種類にもよるが、青色(B)の430nm〜460nm、緑色(G)の540nm〜570nm、赤色(R)の580nm〜620nmの波長を選択的に反射するものであることが好ましい。これにより、装置の設計や光源の種類などによって波長に差があってもカラー表示をすることが可能であり、良好な白色も表現可能な投影スクリーンとすることができるからである。このような複数の螺旋ピッチ長を有する偏光選択反射層は、各螺旋ピッチ長を有するコレステリック液晶構造を有するコレステリック液晶層を積層することにより構成することができる。なおこの際、上述したように、各コレステリック液晶層の間に、上記濡れ性変化型層や上記パターン層等が形成されているものであってもよい。これにより、上記各コレステリック液晶層のコレステリック液晶分子の螺旋軸の方向にバラつきを付与することができ、良好な拡散反射性を有するものとすることができるからである。
なお、本発明においては、上記投影スクリーンに像を射出する機器は、上記投影スクリーンに光の濃淡により画像を映し出すことが可能なものであれば、特に限定されるものではなく、例えば光源の前にフィルム等を配置することによって画像を形成する映写機のようなものであってもよい。本発明においては中でも、CRT方式等の自発光タイプ、液晶方式、DLP方式等のライトバルブタイプの投影機を用いることが好ましく、特に射出される光を円偏光に偏光させることが好ましい。例えば液晶方式の投影機であれば、射出させる直線偏光を円偏光に変換する位相差版を通過させることによって、ほとんど光量の損失がなく、円偏光に変換することが可能となる。この際、用いられる位相差板としては、1/4波長を有するものであることが好ましく、具体的には視感度が最も高い550nmに合せて、137.5nmであるものを用いることが好ましい。さらに、射出されるRGB全ての波長に適用させることから、広帯域1/4波長位相差板であることが特に好ましい。また、また材料の複屈折の制御による単体の位相差板、または1/4波長位相差板と1/2波長位相差板を組み合わせたものを用いてもよい。ここで、上記位相差板は、投影機内部に組み込まれているものであってもよく、また外付けで射出口に装着させるものであってもよい。
また、CRT方式およびDLP方式の投影機は、射出光が偏光制御されていないことから、光学素子を介して直線偏光にし、位相差板を配置することが好ましい。この場合、投影機自体の光量は半減するが、コントラスト向上効果を得ることが可能となる。
また、本発明においては上記投影スクリーンが使用される室内の照明や外光は、上記投影スクリーンが反射する円偏光と反対の円偏光とされることが好ましい。これにより、外光や照明等が投影スクリーンに入射した場合であっても、投影スクリーンがその光を反射することなく、吸収されることから、明るい環境でも明度が高いものとすることができるからである。この際、上記照明や外光を制御する方法としては、吸収型の円偏光板や、円偏光分離層、直線偏光分離層を用いる反射型の円偏光板等を用いることができる。
C.コレステリック液晶積層フィルムの製造方法
次に、本発明のコレステリック液晶積層フィルムの製造方法について説明する。本発明のコレステリック液晶積層フィルムの製造方法は、基材と、上記基材上に形成され、かつ特定の偏光成分の光を選択的に拡散して反射するコレステリック液晶構造を有する偏光選択反射層とを有するコレステリック液晶積層フィルムの製造方法であって、上記基材に、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により、親水性領域と疎水性領域とからなる親疎水パターンを形成する親疎水パターン形成工程と、上記親疎水パターン上に上記偏光選択反射層を形成する偏光選択反射層形成工程とを有することを特徴とするものである。
本発明によれば、上記親疎水パターン形成工程をエネルギー照射に伴う光触媒の作用によって行うことから、特別な装置や多数の工程が必要なく、容易に基材上に上記親疎水パターンを形成することができる。また、基材上に形成された親疎水パターン上にコレステリック液晶構造を有する偏光選択反射層を形成することから、偏光選択反射層のコレステリック液晶構造の表面が鏡面とはならず、入射した光を拡散して反射することが可能なコレステリック液晶積層フィルムを製造することができるのである。また、上記偏光選択反射層としてコレステリック液晶構造を有する層が用いられていることから、コレステリック液晶の円偏光二色性、および波長選択反射性によって、特定の偏光成分の光を選択的に反射することが可能なコレステリック液晶積層フィルムを製造することが可能である。
本発明のコレステリック液晶積層フィルムには、上記親疎水パターン形成工程の違いにより、5つの実施態様がある。
以下、それぞれの実施態様ごとにわけて説明する。
1.第1実施態様
まず、本発明のコレステリック液晶積層フィルムの製造方法の第1実施態様について説明する。本発明のコレステリック液晶積層フィルムの製造方法の第1実施態様は、基材と、上記基材上に形成され、かつ特定の偏光成分の光を選択的に拡散して反射するコレステリック液晶構造を有する偏光選択反射層とを有するコレステリック液晶積層フィルムの製造方法であって、上記基材に、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により、親水性領域と疎水性領域とからなる親疎水パターンを形成する親疎水パターン形成工程と、上記親疎水パターン上に上記偏光選択反射層を形成する偏光選択反射層形成工程とを有することを特徴とするものであり、上記基材が、少なくとも光触媒を含有する光触媒処理層と、上記光触媒処理層上に形成され、かつエネルギー照射に伴う光触媒の作用により分解除去される分解除去用層とを有し、上記親疎水パターン形成工程が、上記分解除去用層にパターン状にエネルギーを照射することにより行われるものである。
本発明のコレステリック液晶積層フィルムの製造方法は、例えば図13に示すように、支持体11と、その支持体11上に形成された光触媒処理層13と、その光触媒処理層13上に形成された分解除去用層14とを有する基材1を準備する(図13(a))。その分解除去用層14に所定の方向から、例えばフォトマスク15等を用いて、パターン状にエネルギー16を照射する親疎水パターン形成工程を行う(図13(b))。これにより、光触媒処理層13中に含有される光触媒の作用によって、エネルギー照射された部分の分解除去用層14がパターン状に分解除去され、光触媒処理層13が露出することとなり(図13(c))、分解除去用層14が残存する領域と、光触媒処理層13が露出した領域との濡れ性の差による親疎水パターンが形成されることとなるのである。続いて、この親疎水パターン上に、コレステリック液晶構造を有する偏光選択反射層2を形成する偏光選択反射層形成工程を行うことにより、コレステリック液晶積層フィルムが形成される(図13(d))。本実施態様によれば、分解除去用層の有無による親疎水パターンによって、偏光選択反射層形成工程により形成される偏光選択反射層のコレステリック液晶構造の表面が鏡面とはならず、入射した光を拡散して反射することが可能なコレステリック液晶積層フィルムを製造することができるのである。
以下、上記各工程について説明する。
(親疎水パターン形成工程)
本実施態様における親疎水パターン形成工程は、少なくとも光触媒を含有する光触媒処理層と、上記光触媒処理層上に形成され、かつエネルギー照射に伴う光触媒の作用により分解除去される分解除去用層とを有する基材に、エネルギー照射を行うことによって親水性領域と疎水性領域とからなる親疎水パターンを形成する工程であり、その親疎水パターンは、親疎水パターンは、分解除去用層が分解除去されて光触媒処理層が露出した領域と、分解除去用層が残存している領域との濡れ性の差により形成されるものである。
本実施態様においては、分解除去用層と光触媒処理層は、濡れ性が異なるものであれば、どちらが親水性であっても疎水性であってもよい。
ここで、本工程に用いられる光触媒処理層や、分解除去用層、エネルギー照射の方法等については、上述した「A.コレステリック液晶積層フィルム」の基材の項における分解除去用層で説明したものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
(偏光選択反射層形成工程)
次に、本実施態様における偏光選択反射層形成工程について説明する。本工程は、上記親疎水パターン形成工程により形成された親疎水パターン上に、コレステリック液晶構造を有する偏光選択反射層を形成する工程である。本実施態様においては、偏光選択反射層が、特定の偏光成分の光を拡散して反射するように形成することが可能であれば、特にその方法は限定されるものではなく、上述した「A.コレステリック液晶積層フィルム」の偏光選択反射層の項で説明した材料や形成方法等を用いることが可能であるので、ここでの説明は省略する。
2.第2実施態様
次に、本発明のコレステリック液晶積層フィルムの製造方法の第2実施態様について説明する。本発明のコレステリック液晶積層フィルムの製造方法の第2実施態様は、基材と、上記基材上に形成され、かつ特定の偏光成分の光を選択的に拡散して反射するコレステリック液晶構造を有する偏光選択反射層とを有するコレステリック液晶積層フィルムの製造方法であって、上記基材に、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により、親水性領域と疎水性領域とからなる親疎水パターンを形成する親疎水パターン形成工程と、上記親疎水パターン上に上記偏光選択反射層を形成する偏光選択反射層形成工程とを有することを特徴とするものであり、上記基材が、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により分解除去される分解除去層を有し、上記親疎水パターン形成工程が、光触媒を含有する光触媒処理層および基体を有する光触媒処理層側基板の上記光触媒処理層と、上記分解除去層とを対向して配置した後、所定の方向からエネルギーをパターン状に照射することにより行われるものである。
本実施態様のコレステリック液晶積層フィルムの製造方法は、例えば図14に示すように、支持体11と、その支持体11上に形成された分解除去層14とを有する基材1を準備する(図14(a))。また、基体17と、その基体17上に形成された光触媒処理層13を有する光触媒処理層側基板18を準備し、この光触媒処理層13と、上記分解除去層14とを対向するように配置して、例えばフォトマスク15等を用い、所定の方向からエネルギー16を照射する親疎水パターン形成工程を行う(図14(b))。これにより、光触媒処理層13中に含有される光触媒の作用によって、エネルギー照射された部分の分解除去層14が分解除去され、支持体11が露出することとなり、分解除去層14が残存する領域と、分解除去層14が除去されて支持体11が露出した領域との濡れ性の差による親疎水パターンが形成されることとなるのである。(図14(c))。次に、この分解除去層14と、支持体11とからなる親疎水パターン上に、コレステリック液晶構造を有する偏光選択反射層2を形成する偏光選択反射層形成工程を行うことにより、コレステリック液晶積層フィルムが形成される(図14(d))。本実施態様によれば、上記分解除去層の有無による親疎水パターンによって、偏光選択反射層形成工程により形成される偏光選択反射層のコレステリック液晶構造の表面が鏡面とはならず、入射した光を拡散して反射することが可能なコレステリック液晶積層フィルムを製造することができるのである。
以下、上記各工程について説明する。
(親疎水パターン形成工程)
本実施態様における親疎水パターン形成工程は、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により分解除去される分解除去層を有する基材に、基体と、その基体上に形成された少なくとも光触媒を含有する光触媒処理層を有する光触媒処理層側基板を用いて、エネルギー照射を行うことによって、基材上に親水性領域と疎水性領域とからなる親疎水パターンを形成する工程であり、その親疎水パターンは、親疎水パターンは、分解除去層が分解除去されて支持体等が露出した領域と、分解除去層が残存している領域との濡れ性の差により形成されるものである。
なお、本工程により分解除去層が分解除去されて露出する部材は、分解除去層と濡れ性が異なるものであれば、上記支持体に限定されるものではなく、また、分解除去層が親水性とされてもよく、疎水性とされてもよい。
なお、本工程に用いられる光触媒処理層側基板や、分解除去層、エネルギー照射の方法等については、上述した「A.コレステリック液晶積層フィルム」の基材の項における分解除去層で説明したものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
(偏光選択反射層形成工程)
次に、本実施態様における偏光選択反射層形成工程について説明する。本工程は、上記親疎水パターン形成工程により形成された分解除去層の親疎水パターン上に、コレステリック液晶構造を有する偏光選択反射層を形成する工程である。本実施態様においては、偏光選択反射層が、特定の偏光成分の光を拡散して反射するように形成することが可能であれば、特にその方法は限定されるものではなく、上述した「A.コレステリック液晶積層フィルム」の偏光選択反射層の項で説明した材料や形成方法等を用いることが可能であるので、ここでの説明は省略する。
3.第3実施態様
次に、本発明のコレステリック液晶積層フィルムの製造方法の第3実施態様について説明する。本発明のコレステリック液晶積層フィルムの製造方法の第3実施態様は、基材と、上記基材上に形成され、かつ特定の偏光成分の光を選択的に拡散して反射するコレステリック液晶構造を有する偏光選択反射層とを有するコレステリック液晶積層フィルムの製造方法であって、上記基材に、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により、親水性領域と疎水性領域とからなる親疎水パターンを形成する親疎水パターン形成工程と、上記親疎水パターン上に上記偏光選択反射層を形成する偏光選択反射層形成工程とを有することを特徴とするものであり、上記基材が、少なくとも光触媒およびバインダを含有し、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により水との接触角が低下する光触媒含有層を有し、上記親疎水パターン形成工程が、上記光触媒含有層にパターン状にエネルギーを照射することにより行われるものである。
本実施態様のコレステリック液晶積層フィルムの製造方法は、例えば図15に示すように、まず、支持体11と、その支持体11上に形成された光触媒含有層21とを有する基材1を準備する。その光触媒含有層21に所定の方向から、例えばフォトマスク15等を用いて、パターン状にエネルギー16を照射する親疎水パターン形成工程を行う(図15(b))。これにより、光触媒含有層21自体に含有される光触媒の作用によって、エネルギー照射された部分の光触媒含有層21の水との接触角が低下する用に濡れ性が変化し、エネルギーが照射された親水性領域22とエネルギー未照射の疎水性領域とからなる親疎水パターンが形成されることとなる(図15(c))。続いてこの親疎水パターン上に、コレステリック液晶構造を有する偏光選択反射層2を形成する偏光選択反射層形成工程を行うことにより、コレステリック液晶積層フィルムが得られる(図15(d))。本実施態様によれば、上記光触媒含有層上に形成された親疎水パターンによって、偏光選択反射層形成工程により形成される偏光選択反射層のコレステリック液晶構造の表面が鏡面とはならず、入射した光を拡散して反射することが可能なコレステリック液晶積層フィルムを製造することができるのである。
以下、上記各工程について説明する。
(親疎水パターン形成工程)
本実施態様における親疎水パターン形成工程は、少なくとも光触媒およびバインダを含有し、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により水との接触角が低下する光触媒含有層に、エネルギーを照射することにより、エネルギー照射領域である親水性領域とエネルギー未照射である疎水性領域とからなる親疎水パターンを形成する工程である。
ここで、本工程に用いられる光触媒含有層や、エネルギー照射の方法等については、上述した「A.コレステリック液晶積層フィルム」の基材の項における光触媒含有層で説明したものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
(偏光選択反射層形成工程)
次に、本実施態様における偏光選択反射層形成工程について説明する。本工程は、上記親疎水パターン形成工程により形成された親疎水パターン上に、コレステリック液晶構造を有する偏光選択反射層を形成する工程である。本実施態様においては、偏光選択反射層が、特定の偏光成分の光を拡散して反射するように形成することが可能であれば、特にその方法は限定されるものではなく、上述した「A.コレステリック液晶積層フィルム」の偏光選択反射層の項で説明した材料や形成方法等を用いることが可能であるので、ここでの説明は省略する。
4.第4実施態様
次に、本発明のコレステリック液晶積層フィルムの製造方法の第4実施態様について説明する。本発明のコレステリック液晶積層フィルムの製造方法の第4実施態様は、基材と、上記基材上に形成され、かつ特定の偏光成分の光を選択的に拡散して反射するコレステリック液晶構造を有する偏光選択反射層とを有するコレステリック液晶積層フィルムの製造方法であって、上記基材に、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により、親水性領域と疎水性領域とからなる親疎水パターンを形成する親疎水パターン形成工程と、上記親疎水パターン上に上記偏光選択反射層を形成する偏光選択反射層形成工程とを有することを特徴とするものであり、上記基材が、少なくとも光触媒を含有する光触媒処理層と、上記光触媒処理層上に形成され、かつエネルギー照射に伴う光触媒の作用により水との接触角が低下する濡れ性変化用層とを有し、上記親疎水パターン形成工程が、上記濡れ性変化用層にパターン状にエネルギーを照射することにより行われるものである。
本実施態様のコレステリック液晶積層フィルムの製造方法は、例えば図16に示すように、まず、支持体11と、その支持体11上に形成された光触媒処理層13と、その光触媒処理層13上に形成された濡れ性変化用層23とを有する基材1を準備する。その濡れ性変化用層23に所定の方向から、例えばフォトマスク15等を用いて、パターン状にエネルギー16を照射する親疎水パターン形成工程を行う(図16(b))。これにより、光触媒処理層13中に含有される光触媒の作用によって、エネルギー照射された部分の濡れ性変化用層23の水との接触角が低下するように濡れ性が変化し、エネルギーが照射された親水性領域22とエネルギー未照射の疎水性領域とからなる親疎水パターンが形成されることとなる(図16(c))。続いてこの親疎水パターン上に、コレステリック液晶構造を有する偏光選択反射層2を形成する偏光選択反射層形成工程を行うことにより、コレステリック液晶積層フィルムが得られる(図16(d))。本実施態様によれば、上記濡れ性変化用層上に形成された親疎水パターンによって、偏光選択反射層形成工程により形成される偏光選択反射層のコレステリック液晶構造の表面が鏡面とはならず、入射した光を拡散して反射することが可能なコレステリック液晶積層フィルムを製造することができるのである。
以下、上記各工程について説明する。
(親疎水パターン形成工程)
本実施態様における親疎水パターン形成工程は、少なくとも光触媒を含有する光触媒処理層と、その光触媒処理層上に形成され、かつエネルギー照射に伴う光触媒の作用により水との接触角が低下する濡れ性変化用層とを有する基材に、エネルギーを照射することにより、エネルギー照射領域である親水性領域とエネルギー未照射である疎水性領域とからなる親疎水パターンを形成する工程である。
なお、本工程に用いられる濡れ性変化用層や、エネルギー照射の方法等については、上述した「A.コレステリック液晶積層フィルム」の基材の項における濡れ性変化用層で説明したものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
(偏光選択反射層形成工程)
次に、本実施態様における偏光選択反射層形成工程について説明する。本工程は、上記親疎水パターン形成工程により形成された親疎水パターン上に、コレステリック液晶構造を有する偏光選択反射層を形成する工程である。本実施態様においては、偏光選択反射層が、特定の偏光成分の光を拡散して反射するように形成することが可能であれば、特にその方法は限定されるものではなく、上述した「A.コレステリック液晶積層フィルム」の偏光選択反射層の項で説明した材料や形成方法等を用いることが可能であるので、ここでの説明は省略する。
5.第5実施態様
次に、本発明のコレステリック液晶積層フィルムの製造方法の第5実施態様について説明する。本発明のコレステリック液晶積層フィルムの製造方法の第5実施態様は、基材と、上記基材上に形成され、かつ特定の偏光成分の光を選択的に拡散して反射するコレステリック液晶構造を有する偏光選択反射層とを有するコレステリック液晶積層フィルムの製造方法であって、上記基材に、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により、親水性領域と疎水性領域とからなる親疎水パターンを形成する親疎水パターン形成工程と、上記親疎水パターン上に上記偏光選択反射層を形成する偏光選択反射層形成工程とを有することを特徴とするものであり、上記基材が、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により水との接触角が低下する濡れ性変化層とを有し、上記親疎水パターン形成工程が、光触媒を含有する光触媒処理層および基体を有する光触媒処理層側基板の上記光触媒処理層と、上記濡れ性変化層とを対向して配置した後、所定の方向からエネルギーをパターン状に照射することにより行われるものである。
本実施態様のコレステリック液晶積層フィルムの製造方法は、例えば図17に示すように、まず、支持体11と、その支持体11上に形成された濡れ性変化層23とを有する基材を準備する(図17(a))。また、基体17と、その基体17上に形成された光触媒処理層13を有する光触媒処理層側基板18を準備し、この光触媒処理層13と、上記濡れ性変化層23とを対向するように配置し、例えばフォトマスク15等を用いて、所定の方向からエネルギー16を照射する親疎水パターン形成工程を行う(図17(b))。これにより、光触媒処理層13中に含有される光触媒の作用によって、エネルギー照射された部分の濡れ性変化層23の水との接触角が低下するように濡れ性が変化し、エネルギーが照射された親水性領域22とエネルギー未照射の疎水性領域とからなる親疎水パターンが形成されることとなる(図17(c))。続いてこの親疎水パターン上に、コレステリック液晶構造を有する偏光選択反射層2を形成する偏光選択反射層形成工程を行うことにより、コレステリック液晶積層フィルムが得られる(図17(d))。本実施態様によれば、上記濡れ性変化層上に形成された親疎水パターンによって、偏光選択反射層形成工程により形成される偏光選択反射層のコレステリック液晶構造の表面が鏡面とはならず、入射した光を拡散して反射することが可能なコレステリック液晶積層フィルムを製造することができるのである。
以下、上記各工程について説明する。
(親疎水パターン形成工程)
本実施態様における親疎水パターン形成工程は、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により水との接触角が低下する濡れ性変化層とを有する基材に、基体と、その基体上に形成された少なくとも光触媒を含有する光触媒処理層を有する光触媒処理層側基板を用いてエネルギーを照射することにより、エネルギー照射領域である親水性領域とエネルギー未照射である疎水性領域とからなる親疎水パターンを形成する工程である。
なお、本工程に用いられる濡れ性変化層や、エネルギー照射の方法等については、上述した「A.コレステリック液晶積層フィルム」の基材の項における濡れ性変化層で説明したものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
(偏光選択反射層形成工程)
次に、本実施態様における偏光選択反射層形成工程について説明する。本工程は、上記親疎水パターン形成工程により形成された親疎水パターン上に、コレステリック液晶構造を有する偏光選択反射層を形成する工程である。本実施態様においては、偏光選択反射層が、特定の偏光成分の光を拡散して反射するように形成することが可能であれば、特にその方法は限定されるものではなく、上述した「A.コレステリック液晶積層フィルム」の偏光選択反射層の項で説明した材料や形成方法等を用いることが可能であるので、ここでの説明は省略する。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
[実施例1]
(基材の調製)
イソプロプルアルコール30gにフルオロアルキルシラン(商品名TSL−8233 GE東芝シリコーン(株))0.4gとテトラメトキシシラン(商品名TSL−8114 GE東芝シリコーン(株))3gと光触媒無機コーティング材(商品名ST−K01)20gとを混合し、100℃で60分間攪拌し、光触媒含有層組成物とした。
ガラス上に上記組成物をスピンコーターにより塗布し、120℃で10分間の加熱処理を行うことにより、厚さ0.1μmの光触媒含有層を形成した。次に、直径20μmの円が100μmで繰り返し配置されているパターンを有するフォトマスクを用いて露光(365nm 500mJ/cm)し、光触媒含有層表面に親液性領域を形成した。このとき、未露光部及び親液性領域と純水との接触角を接触角測定器(協和界面科学(株)製CA−Z型)を用いて測定(マイクロシリンジから液滴を滴下して30秒後)した結果、それぞれ、75°と7°であった。
(偏光選択反射層の形成)
紫外線硬化型のネマチック液晶からなる主剤(94.7重量%)にカイラル剤(5.3重量%)を添加したモノマー混合液晶をシクロヘキサノンに溶解し、440nmに選択反射中心波長を有する第1のコレステリック液晶溶液を調整した。
なお、ネマチック液晶としては、上記の化学式(12)で表される化合物を含む液晶を用いた。また、重合性カイラル剤としては、上記の化学式(15)で表される化合物を用いた。
さらに、第1のコレステリック液晶溶液には、光重合開始剤(Ciba Speciality Chemicals社製)を5重量%添加した。
そして、以上のようにして調整した第1のコレステリック液晶溶液を、上述した基材上にバーコート法により塗布した。
次に、80℃のオーブンで90秒加熱し、配向処理(乾燥処理)を行い、溶媒が除去されたコレステリック液晶層を得た。
その後、コレステリック液晶層に対して365nmの紫外線を50mW/cmで1分間照射し、コレステリック液晶層を硬化させることにより、440nmに選択反射中心波長を有する1層目の部分選択反射層を得た。
続いて、上記部分選択反射層上に、上記基材の調整の際に用いた光触媒含有層組成物を用いて、光触媒含有層を形成し、上記と同様のフォトマスクを用いて露光を行った。この露光によって親疎水パターンが形成された光触媒含有層上に、第2のコレステリック液晶溶液を直接塗布し、配向処理(乾燥処理)及び硬化処理を行った。これにより、550nmに選択反射中心波長を有する2層目の部分選択反射層を得た。なお、第2のコレステリック液晶溶液は、第1のコレステリック液晶溶液と同様の手法により調整されたものであり、ネマチック液晶とカイラル剤との混合比率を制御することにより、550nmに選択反射中心波長を有するようにした。
同様にして、光触媒含有層を形成して露光を行った後、その親疎水パターンを有する光触媒含有層上に第3のコレステリック液晶溶液を直接塗布し、配向処理(乾燥処理)及び硬化処理を行った。これにより、600nmに選択反射中心波長を有する、3層目の部分選択反射層を得た。なお、第3のコレステリック液晶溶液は、第1のコレステリック液晶溶液と同様の手法により調整されたものであり、ネマチック液晶とカイラル剤との混合比率を制御することにより、600nmに選択反射中心波長を有するようにした。
以上により、偏光選択反射層として、青色(B)の波長域の光(440nmに選択反射中心波長を有する光)を選択的に反射する1層目の部分選択反射層と、緑色(G)の波長域の光(550nmに選択反射中心波長を有する光)を選択的に反射する2層目の部分選択反射層と、赤色(R)の波長域の光(600nmに選択反射中心波長を有する光)を選択的に反射する3層目の部分選択反射層とが、基材側から順に積層された投影スクリーンを得た。なお、1層目の部分選択反射層の厚さは3μm、2層目の部分選択反射層の厚さは4μm、3層目の部選択反射層の厚さは5μmとした。なお、このようにして得られた投影スクリーンの偏光選択反射層の各部分選択反射層のコレステリック液晶構造はプラーナー配向状態ではなかった。
[実施例2]
(基材の調製)
(1)光触媒処理層側基板の調整
直径20μmの円が100μmで繰り返し配置されているパターン状にクロム製ブラックマトリックスが形成された石英ガラス基板上に、テイカ(株)製の光触媒用酸化チタンコーティング剤TKC301をコーティングし、350℃で3時間乾燥させ、光触媒処理層側基板を調製した。
(2)濡れ性変化層の形成
次に、フルオロアルキルシランが主成分であるMF-160E(商品名、トーケムプロダクツ(株)製)0.4gに0.1N塩酸水3gを添加し、1時間室温にて攪拌した溶液をガラス基板上にコーティングした後、150℃で10分間乾燥させ、濡れ性変化層を調製した。
(3)露光による親疎水パターンの形成
上記濡れ性変化層と光触媒処理層側基板における光触媒処理層とを、100μmの間隙となるように配置し、光触媒処理層側基板から超高圧水銀ランプにて露光(365nm 1000mJ/cm)し、パターン形成体用基板表面に親疎水パターンを形成した。この際、撥液性領域におけるぬれ標準試薬(40mN/m)に対する接触角は78°であり、親液性領域における接触角は9°であった。
(偏光選択反射層の形成)
続いて、上記親疎水パターン上に、実施例1と同様に偏光選択反射層を形成した。
[比較例]
市販の投影スクリーンとして、布材の表面にビーズ入りの散乱層を形成した投影スクリーン(オーエス社製)を準備した。
[評価]
上記実施例および比較例の投影スクリーンに、DLP方式の投影機を用いてコントラストを測定した。ここで、投影機の出射口には、出射された映像光が円偏光となるように円偏光板を配置した。また、投影機及び投影スクリーンが設置される室内の照明は、天井に設置された蛍光灯(無偏光状態の光を出射するもの)により行い、天井からおよそ50度の角度で投影スクリーン上に照明光が照射されるような関係で配置した。このとき、投影スクリーンの真下での明るさは、照度計(デジタル照度計510−02、横河M&C社製)により測定したところ、200ルクス(lx)であった。なお、投影スクリーンは、床に対して垂直に設置した。また、投影機を投影スクリーンから垂直な方向(床に平行な方向)に約2.5m離れたところに配置した。
この状態で、投影機により投影スクリーン上に映像光(白と黒のエリアがある静止映像)を投射し、映像のコントラストを測定した。具体的には、輝度計(ルミナンスメーターBM−8、トプコン社製)により、投影スクリーンの中央部の白色及び黒色の映像のそれぞれの輝度を測定し、その比をコントラスト(コントラスト=白映像の輝度÷黒映像の輝度)として表した。
次表1に、実施例1、実施例2、および比較例にかかる各投影スクリーンについてのコントラストを示した。
実施例1および実施例2の投影スクリーンについては、良好に映像を認識することができた。また、コントラストは、実施例1および実施例2に係る投影スクリーンの方が、比較例に係る投影スクリーンに比べて約8倍向上した。
Figure 0004444612
本発明のコレステリック液晶積層フィルムの一例を示す説明図である。 本発明に用いられる偏光選択反射層の光学的機能を説明するための説明図である。 本発明に用いられる偏光選択反射層を説明するための説明図である。 本発明に用いられる基材の親疎水パターンを説明するための説明図である。 本発明に用いられる基材の一例を示す概略断面図である。 本発明に用いられる基材を形成する工程の一例を示す説明図である。 本発明に用いられる基材を形成する工程の他の例を示す説明図である。 本発明に用いられる光触媒処理層側基板の一例を示す概略断面図である。 本発明に用いられる光触媒処理層側基板の他の例を示す概略断面図である。 本発明に用いられる光触媒処理層側基板の他の例を示す概略断面図である。 本発明のコレステリック液晶積層フィルムの一例を示す説明図である。 本発明の投影スクリーンの一例を示す概略断面図である。 本発明のコレステリック液晶積層フィルムの製造方法の一例を示す工程図である。 本発明のコレステリック液晶積層フィルムの製造方法の他の例を示す工程図である。 本発明のコレステリック液晶積層フィルムの製造方法の他の例を示す工程図である。 本発明のコレステリック液晶積層フィルムの製造方法の他の例を示す工程図である。 本発明のコレステリック液晶積層フィルムの製造方法の他の例を示す工程図である。
符号の説明
1 … 基材
2 … 偏光選択反射層

Claims (7)

  1. 基材と、前記基材上に形成され、かつ特定の偏光成分の光を選択的に拡散して反射するコレステリック液晶構造を有する偏光選択反射層とを有するコレステリック液晶積層フィルムであって、
    前記基材が、前記偏光選択反射層のコレステリック液晶構造を、複数の異なる配向状態とする配向調整手段を有し、
    前記配向調整手段が、親水性領域と疎水性領域とからなる親疎水パターンであり、前記親疎水パターンが、パターン状に形成された親水性または疎水性を有するパターン層の有無によって形成されたもの、またはエネルギー照射に伴う光触媒の作用により水との接触角が低下する濡れ性変化型層の濡れ性が変化した領域および濡れ性が未変化の領域によって形成されたものであり、
    前記偏光選択反射層が、コレステリック液晶構造を有する複数のコレステリック液晶層が積層されてなり、前記コレステリック液晶層間に、前記パターン層または前記濡れ性変化層が形成されていることを特徴とするコレステリック液晶積層フィルム。
  2. 前記パターン層が、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により分解除去される分解除去型層であることを特徴とする請求項1に記載のコレステリック液晶積層フィルム。
  3. 前記濡れ性変化型層が、少なくとも光触媒およびバインダを含有する光触媒含有層であることを特徴とする請求項1に記載のコレステリック液晶積層フィルム。
  4. 前記濡れ性変化型層が、少なくとも光触媒を含有する光触媒処理層上に形成された濡れ性変化用層であることを特徴とする請求項1に記載のコレステリック液晶積層フィルム。
  5. 請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載のコレステリック液晶積層フィルムを用いることを特徴とする投影スクリーン。
  6. 前記偏光選択反射層は、前記偏光選択反射層の最大反射強度に対して半分以上の反射強度を有する波長域が、可視光域の一部のみであることを特徴とする請求項5に記載の投影スクリーン。
  7. 前記偏光選択反射層は、前記偏光選択反射層に対して光が垂直に入射する場合を基準にして、選択反射中心波長が430nm〜460nm、540nm〜570nm、および580nm〜620nmの範囲に存在する光を選択的に反射することを特徴とする請求項6に記載の投影スクリーン。
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