JP2009102470A - 放射線硬化性組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】
放射線の照射により容易に硬化して厚い塗膜を形成することができ、かつ得られた塗膜は隠蔽性に優れた実用性の高い放射線硬化性組成物を提供すること。
【解決手段】
エチレン性不飽和基を有する化合物と、光重合開始剤と、ホウ珪酸亜鉛ガラスとを含有する放射線硬化性組成物であって、
前記ホウ珪酸亜鉛ガラス中のZnOの含有量が25〜70質量%であることを特徴とする放射線硬化性組成物。
塗膜厚さが500μmのとき、400〜800nmにおける硬化物の透過率が3%以下であることが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、塗膜に隠蔽性を付与する新規な放射線硬化性組成物に関し、詳しくは隠蔽性の高いコーティング剤、接着剤、シール剤、充填剤、塗料、印刷インキの用途に使用される放射線硬化性組成物に関する。
放射線硬化性組成物はコーティング剤、接着剤、シール剤、充填剤、塗料、印刷インキ等の多くの用途に使用されている。これは、「硬化速度が速い為、高い生産性を有し」、「無溶剤の為、地球環境に優しく」、「エネルギー効率が良く、常温硬化ができる為、省エネ効果も高い」放射線硬化性組成物の優れた特性によるものである。
従来から、当分野では重合性不飽和樹脂と光重合開始剤とを含有する系に顔料または隠蔽率が高い染料を含有した着色硬化塗膜の研究開発が行われている。例えば、特許文献1には当該系に光増感色素を含有させることにより、着色と光増感の両方の目的が達成できることが開示されている。特許文献2には顔料と特定の隠蔽率の染料とを併用させる着色硬化塗膜の形成方法が開示されている。特許文献3にはロイコ染料および特定の粉末の使用により、隠蔽した塗膜が形成できる紫外線硬化性組成物が開示されている。また、特許文献4にはフッ化マグネシウムまたはフッ化カルシウムの微粒子を配合した低屈折率のコーティング膜を与える組成物が開示されている。さらに、特許文献5には体質顔料を用いることにより、低光沢の硬化塗膜が得られる光硬化性塗料組成物が開示されている。
特開昭52−135341号公報 特開昭52−152436号公報 特開平02−296875号公報 特開平03−006265号公報 特開2005−246299号公報
しかしながら、特許文献1に開示されるような着色硬化塗膜の形成方法では、光硬化速度は速くなるものの、隠蔽性が不十分という問題がある。また、特許文献2〜5に開示されるような塗料組成物では、隠蔽性の付与や低光沢の硬化塗膜が得られるように配合された顔料によって光の透過性が妨げられ、光硬化性が悪くなり塗膜が硬化しないという問題がある。また、仮に塗膜表面が硬化しても、十分な厚みの硬化物を得られないという問題がある。
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、放射線の照射により容易に硬化して厚い塗膜を形成することができ、かつ得られた塗膜は隠蔽性に優れた実用性の高い放射線硬化性組成物を提供することにある。
なお、本明細書において隠蔽性とは基材の模様や色彩を覆い隠す性質をいう。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、エチレン性不飽和基を有する化合物、光重合開始剤およびホウ珪酸亜鉛ガラスを含有する組成物において、特定のホウ珪酸亜鉛ガラスを用いた場合に、硬化性および隠蔽性が優れることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
1.エチレン性不飽和基を有する化合物と、光重合開始剤と、ホウ珪酸亜鉛ガラスとを含有する放射線硬化性組成物であって、前記ホウ珪酸亜鉛ガラス中のZnOの含有量が25〜70質量%であることを特徴とする放射線硬化性組成物。
2.塗膜厚さが500μmのとき、400〜800nmにおける硬化物の透過率が3%以下であることを特徴とする上記1に記載の放射線硬化性組成物。
3.上記エチレン性不飽和基を有する化合物が、(メタ)アクリロイル基を少なくとも2個有する化合物である上記1又は2に記載の放射線硬化性組成物。
4.上記光重合開始剤が、380〜600nmの可視光感光性を有する光重合開始剤であることを特徴とする上記1〜3のいずれか1項に記載の放射線硬化性組成物。
5.上記ホウ珪酸亜鉛ガラスの含有量が、上記エチレン性不飽和基を有する化合物100質量部に対して、5〜400質量部であることを特徴とする上記1〜4のいずれか1項に記載の放射線硬化性組成物。
なお、本明細書においては、アクリロイル基またはメタクリロイル基を(メタ)アクリロイル基と表し、アクリレートまたはメタクリレートを(メタ)アクリレートと表す。
本発明にかかる放射線硬化性組成物は、以上のように、エチレン性不飽和基を有する化合物、光重合開始剤および特定のホウ珪酸亜鉛ガラスを含有する。そのため、放射線の照射により容易に硬化して塗膜を形成することができ、かつ得られた塗膜は隠蔽性に優れるという効果を奏する。また、上記構成によれば、当該放射線硬化性組成物は、優れた硬化厚みを得ることができる。
本発明の一実施形態について説明すると以下の通りであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
本発明にかかる放射線硬化性組成物(以下、単に「組成物」ともいう)は、(A)エチレン性不飽和基を有する化合物、(B)光重合開始剤および(C)ホウ珪酸亜鉛ガラスを含む組成物である。ここで、本発明にかかる組成物の各構成成分について、具体的に説明する。
(A)エチレン性不飽和基を有する化合物
本発明にかかる組成物には、エチレン性不飽和基を有する化合物(以下、単に「不飽和化合物」ともいう)が含有される。不飽和化合物は硬化性樹脂であり、種々の化合物を使用することができる。
(A)成分の具体例である単官能不飽和化合物としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、i−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、i−ノニル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート及びn−ラウリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート及びポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール共重合体のモノ(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート;グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
また、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド及びN−メトキシブチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド誘導体;N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム等のN−ビニル化合物等が挙げられる。
多官能不飽和化合物としては、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのEO変性ジ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレートモノマー;ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリオレフィン(メタ)アクリレートおよびエポキシ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレートオリゴマーが挙げられる。これら不飽和化合物は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明では、上記例示した不飽和化合物のうち、(メタ)アクリロイル基を少なくとも2個有する化合物を組成物に含有させることが好ましい。このような(メタ)アクリレートを用いることにより、硬化性に優れた組成物とすることができる。
(B)光重合開始剤
本発明で用いられる放射線硬化性組成物の光重合開始剤は200nm以上の電磁波で重合開始するものであれば、全て適用することができる。光重合開始剤の具体例としては、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、カンファーキノン、4,4’−ジメトキシベンジル、ベンジル、ベンゾフェノン、ミヒラーズケトンなどの水素引き抜き型化合物、ベンゾインエチルエーテル、ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイドなどの光開裂型化合物が挙げられるが、これらに限定するものではない。
これらの光重合開始剤の中では、380〜600nmの可視光感光性を有する光重合開始剤を用いることが好ましい。本発明にかかる組成物に含まれるホウ珪酸亜鉛ガラスは、波長の短い紫外線を透過させにくいため、上記のような可視光感光性を有する光重合開始剤を使用することにより、組成物の硬化性を高めることができる。380〜600nmの可視光感光性を有する光重合開始剤としては、例えば、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4’−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、カンファーキノン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、4,4’−ビスエチルアミノベンゾフェノン、ミヒラーズケトン等を挙げることができる。
本発明にかかる組成物における光重合開始剤の含有量は、エチレン性不飽和基を有する化合物100質量部に対し0.1〜15質量部が好ましく、0.5〜10質量部であることがより好ましい。光重合開始剤の含有量が0.1質量部未満のときは、開裂あるいは水素引き抜きに必要な所定の電磁波を照射しても十分に硬化を行うことが出来ず、配合量が15質量部を超えるときにはそれ以上の硬化性が得られないのに加え、放射線硬化性組成物の硬化物強度の低下を招くことになる。なお、本発明では、上記例示したような光重合開始剤を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
(C)ホウ珪酸亜鉛ガラス
本発明にかかる組成物には、ホウ珪酸亜鉛ガラスが含まれる。本発明で用いられるホウ珪酸亜鉛ガラスの組成は、少なくともSiO2、B23を含むホウ珪酸ガラスの一成分にZnOを配合したもので、ZnOの含有量はガラス成分100質量%に対して25〜70質量%であり、30〜65質量%であることがより好ましく、30〜60質量%であることが特に好ましい。ZnOの含有量が70質量%を超えると混合物を溶解してガラス化した際に、ガラス中に取り込まれない過剰のZnOが析出し、均一なガラスを得ることは難しい。また、25質量%未満では組成物の硬化物が十分な隠蔽性を得ることができない。ホウ珪酸亜鉛ガラスに含まれるSiO2、B23、ZnO以外の成分は特に限定されるものではないが、Al23、Na2O、MgO、CaO等を含んでも良い。
本発明に用いられるホウ珪酸亜鉛ガラスの粒径は特に限定されないが、平均粒径が0.5〜20μmのものが好ましく、1〜10μmのものがより好ましい。ホウ珪酸亜鉛ガラスの平均粒径が当該範囲であれば、ガラスの沈降が軽減され、保存安定性に優れた組成物を得ることができる。また、得られた組成物は硬化性および隠蔽性に優れる。
なお、前記平均粒径はレーザー回折式粒度分布測定器を用いて体積基準によって評価した値である。
本発明にかかる組成物におけるホウ珪酸亜鉛ガラスの好ましい含有量は、エチレン性不飽和基を有する化合物100質量部に対し5〜400質量部が好ましく、8〜300質量部であることがより好ましい。ホウ珪酸亜鉛ガラスの含有量が5質量部より少ない場合は、組成物の硬化物が十分な隠蔽性を発現することができず、400質量部よりも多い場合は、開裂あるいは水素引き抜きに必要な所定の電磁波を照射しても十分に硬化を行うことが出来ず、また硬化物の強度低下を招くことになる。
本発明の放射線硬化性組成物は、エチレン性不飽和基を有する化合物、光重合開始剤および特定のホウ珪酸亜鉛ガラスを含有し、かつ塗膜厚さが500μmのとき、400〜800nmにおける硬化物の透過率が3%以下であることが好ましい。この透過率は2%以下、特に1%以下(通常0%以上)であることがより好ましい。この透過率が3%以下であれば、優れた隠蔽性と硬化性を併せて有することができる。
本発明の放射線硬化性組成物には、所望の成分として、増感剤、有機系および無機系の増粘剤、染料および顔料の着色剤、ヒンダードフェノール等の酸化防止剤、安定剤、過酸化物等の熱重合開始剤、シランカップリング剤、可塑剤、粘着性付与剤等を配合することができる。
本発明にかかる組成物は、以上のような成分を含有するが、その製造方法は特に限定されるものではない。具体的には、上記の各成分をディスパーあるいはプロペラ攪拌機を有する縦釜で攪拌混合する従来公知の方法を適宜選択して用いて、製造することができる。
本発明にかかる組成物は放射線の照射により、短時間で硬化する。当該放射線としては、紫外線または可視光線等を用いることができる。紫外線または可視光線の光源としては、配合された光重合開始剤が励起される電磁波を含むものであれば良く、工業的には低圧水銀灯、高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ、ハロゲンランプ、およびマイクロ波エネルギーによってランプバルブ内部の発光物質が励起されてプラズマとなり、光エネルギーに転換されるマイクロウェーブ発光方式の無電極ランプなどが挙げられる。当該無電極ランプは、ランプバルブ内の発光物質の種類によってスペクトル出力が異なるが、光重合開始剤が励起される電磁波を含むランプバルブを選択すればよい。
また、上記組成物を硬化させるために照射する放射線の照度、および照射時間は、特に限定されるものではなく、上記組成物自体の硬化性、塗布状態や放射線の照射具合等を考慮して選択すればよい。一般的には、積算光量(照度と照射時間の積)を100〜6000mJ/cm2とすることが好ましい。上記範囲内であれば、組成物を短時間で硬化させることができる。
以下、実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に説明する。なお、各実施例および比較例における性能評価は以下の方法に従った。
○放射線硬化性組成物
放射線硬化性組成物は、ビスフェノールAのEO変性ジアクリレート(東亞合成社製アロニックスM211B)を60℃に加温し、遮光下で所定量の光重合開始剤を配合して攪拌・溶解した後、本発明のホウ珪酸亜鉛ガラスを所定量配合して、400rpmの高速攪拌で30分間分散後、真空脱泡を30分間行った。
○光照射装置および光照射条件
・光源:ウシオ電機社製3.2KWの高圧水銀灯
・積算光量:1200mJ/cm2あるいは2100mJ/cm2に調整した。
光量の測定は、ウシオ電機社製の波長365nmに中心受光を有する受光器UVD−C365および積算光量計UIT−150を用いて行った。
○硬化性の評価用硬化樹脂の作成
・厚さ2mmのポリテトラフルオロエチレン(以下、「PTFE」ともいう。)板を直径10mmの円形に切り抜き、型を作成する。
・ガラス板の上にポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、「PETフィルム」ともいう。)を敷き、その上に上記PTFE型を置く。
・PTFE型に放射線硬化性組成物を流し込み、高圧水銀灯で光照射して硬化した。
○硬化性の評価方法
PTFE型の中の硬化物表面および裏面のタックを確認し、タックがない場合は、硬化と判定した。
○透過率の評価用硬化樹脂の作成
・厚さ500μmのPTFE板を15mm×20mmに切り抜き、型を作成する。
・ガラス板の上にPETフィルムを敷き、その上に上記PTFE型を置く。
・PTFE型に放射線硬化性組成物を流し込み、その上にPETフィルムを被せた。
・更に、その上にガラス板を置き、高圧水銀灯で光照射して硬化した。
○透過率の測定方法
日本分光社製の型式V−550UV/VISのスペクトロフォトメーターを用いて、800〜400nmの電磁波の透過率を測定した。
○隠蔽性の評価方法
黒点(直径5mm)を記した紙の上に、上記硬化物を置き、目視で黒点の輪郭が不明瞭な場合は、隠蔽性○と評価した。
(実施例1〜8)
ビスフェノールAのEO変性ジアクリレート(東亞合成社製アロニックスM211B)100質量部に光重合開始剤として2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド(日本シイベルヘグナー社製 SpeedcureTPO)を4質量部溶解し、表1に記載のホウ珪酸亜鉛ガラスを所定量分散した組成物に1200mJ/cm2あるいは2100mJ/cm2の光量を照射し、500μm厚の試験片を得た。
Figure 2009102470
表中の略号は次の通りであり、組成物欄の数値は質量部を表す。
・不飽和化合物;ビスフェノールAのEO変性ジアクリレート
・開始剤A;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド
・開始剤B;1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン
・ガラス1;ZnO含有量60質量%のホウ珪酸亜鉛ガラス粉末(平均粒径 5μm)
・ガラス2;ZnO含有量60質量%のホウ珪酸亜鉛ガラス粉末(平均粒径 10μm)
・ガラス3;ZnO含有量60質量%のホウ珪酸亜鉛ガラス粉末(平均粒径 3μm)
・ガラス4;ZnO含有量55質量%のホウ珪酸亜鉛ガラス粉末(平均粒径 1μm)
・ガラス5;ZnO含有量45質量%のホウ珪酸亜鉛ガラス粉末(平均粒径 9μm)
・ガラス6;ZnO含有量30質量%のホウ珪酸亜鉛ガラス粉末(平均粒径 7μm)
また、硬化性はタックがないものを○とし、タックがあるものを×で示した。隠蔽性は、紙の黒点の輪郭が不明瞭な場合を隠蔽されているものとして○とし、隠蔽が不十分なものを×で示した。
本発明にかかる特定のホウ珪酸亜鉛ガラスを含有する組成物は、厚み2mmの場合でも速く硬化させることが可能であり、かつ優れた隠蔽性を示した。
(実施例9〜15)
ビスフェノールAのEO変性ジアクリレート(東亞合成社製アロニックスM211B)100質量部に光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(日本シイベルヘグナー社製 Luna200)を4質量部溶解し、表2に記載のホウ珪酸亜鉛ガラスを所定量分散した組成物に1200mJ/cm2あるいは2100mJ/cm2の光量を照射し、500μm厚の試験片を得た。
Figure 2009102470
本発明にかかる組成物における特定のホウ珪酸亜鉛ガラスの含有量を5〜400質量部に変えて評価したところ、硬化性および隠蔽性ともに目的とする組成物が得られた。
(比較例1〜4)
放射線硬化性組成物に一般に使用されている白色顔料チタンホワイト(石原産業社製タイペークR670)、本発明に用いられるホウ珪酸亜鉛ガラス以外のガラスを含有した場合について、硬化性および隠蔽性を評価した。
Figure 2009102470
表中の略号は次の通りであり、組成物欄の数値は質量部を表す。
・ガラス7;ZnO含有量50質量%のリン酸ガラス粉末(平均粒径 10μm)
・ガラス8;ZnO含有量20質量%のホウ珪酸亜鉛ガラス粉末(平均粒径 10μm)
一般的な白色顔料であるチタンホワイトを使用した場合は、隠蔽性はよいものの、硬化性が著しく劣り、2100mJ/cm2の光量でも硬化しなかった(比較例1)。また、ZnOを含有するリン酸ガラスの場合は、硬化性はよいものの、隠蔽性が悪い(比較例2)。さらに、ZnO含有量が20質量%のホウ珪酸亜鉛ガラスの場合も、硬化性はよいものの、隠蔽性が悪く、本発明の目的を達成できない(比較例3)。
本発明の放射線硬化性組成物は、放射線の照射により容易に硬化して厚い塗膜を形成することができ、かつ得られた塗膜は隠蔽性に優れるため、コーティング剤、接着剤、シール剤、充填剤、塗料、印刷インキ等の用途に有用である。
また、塗膜厚さが500μmのとき、400〜800nmにおける硬化物の透過率が3%以下である場合は隠蔽性が高いため、厚い塗膜が必要となる用途に特に有用である。

Claims (5)

  1. エチレン性不飽和基を有する化合物と、光重合開始剤と、ホウ珪酸亜鉛ガラスとを含有する放射線硬化性組成物であって、
    前記ホウ珪酸亜鉛ガラス中のZnOの含有量が25〜70質量%であることを特徴とする放射線硬化性組成物。
  2. 塗膜厚さが500μmのとき、400〜800nmにおける硬化物の透過率が3%以下であることを特徴とする請求項1に記載の放射線硬化性組成物。
  3. 上記エチレン性不飽和基を有する化合物が、(メタ)アクリロイル基を少なくとも2個有する化合物である請求項1又は2に記載の放射線硬化性組成物。
  4. 上記光重合開始剤が、380〜600nmの可視光感光性を有する光重合開始剤であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の放射線硬化性組成物。
  5. 上記ホウ珪酸亜鉛ガラスの含有量が、上記エチレン性不飽和基を有する化合物100質量部に対して、5〜400質量部であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の放射線硬化性組成物。
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