JP2009097624A - 変速機の作動油供給装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】作動油の温度を効率よく上昇させてオイルポンプの早期暖機を図ることが可能な変速機の作動油供給装置を提供する。
【解決手段】変速機のケース内に設けられたオイルポンプ12にてオイルパン22から作動油を汲み上げ、オイルポンプ12から吐出される作動油を変速機内の供給対象4、5、28へ導く作動油供給装置21において、ケース内に配置されてオイルポンプ12の外面の少なくとも一部を覆う断熱材と、オイルポンプ12の冷間時に、オイルポンプ12から吐出されてリリーフ弁33、34から余剰油として排出される作動油を、リリーフ路33a、34aからリターン路35を介してオイルポンプ12の吸込側に戻すようにする。
【選択図】図3

Description

本発明は、車両の動力伝達系等に組み込まれる変速機の作動油供給装置に関する。
車両の変速機に適用される作動油供給装置として、変速機のケース内に油圧源としてのオイルポンプを収容し、ケース底のオイルパンに蓄えられた作動油をそのオイルポンプで汲み上げてトルクコンバータ、クラッチ、ブレーキといった各種の油圧機器に供給するとともに、変速機内の各部の潤滑箇所に潤滑油としても供給する装置が存在する。この種の作動油供給装置では、油温が低い冷間時に作動油の粘度が高くなり、作動油の撹拌抵抗、配管部品の管路抵抗、あるいは変速機内の摺動部分の引き摺り抵抗等が増大して変速機の伝達効率が低下し、機関の燃料消費率が悪化する。そこで、冷間時の作動油温度を早期に上昇させるために、トルクコンバータのハウジングを断熱用のカバーで覆った変速機が提案されている(特許文献1参照)。その他に、本発明に関連する先行技術文献として特許文献2及び3が存在する。
特開2004−162828号公報 特開2002−147585号公報 特開2005−226802号公報
しかしながら、トルクコンバータ等の油圧機器を断熱材により覆ったとしても、その内部で暖められた作動油をオイルパンに戻せば熱が分散し、オイルポンプの暖機が妨げられるおそれがある。冷間時におけるオイルポンプの損失トルクは変速機全体の損失トルクの3〜5割にも達することがある。従って、オイルポンプの早期暖機を図ることは効率改善に大きな効果が期待できる。
そこで、本発明は作動油の温度を効率よく上昇させてオイルポンプの早期暖機を図ることが可能な変速機の作動油供給装置を提供することを目的とする。
本発明の変速機の作動油供給装置は、変速機のケース内に設けられたオイルポンプにてオイルパンから作動油を汲み上げ、該オイルポンプから吐出される作動油を変速機内の供給対象へ導く作動油供給装置において、前記ケース内に配置されて前記オイルポンプの外面の少なくとも一部を覆う断熱材と、前記オイルポンプの冷間時に、該オイルポンプから吐出された作動油の少なくとも一部を、前記オイルパンを迂回して前記オイルポンプの吸込側に戻す作動油再導入手段とを備えたものである(請求項1)。
本発明の作動油供給装置によれば、断熱材によりオイルポンプが断熱化されることにより、冷間時におけるオイルポンプからの熱の発散が抑制される。加えて、冷間時にはオイルポンプから吐出された作動油の一部がオイルパンを迂回してオイルポンプの吸込側に戻されるため、作動油に与えられた熱の発散も抑えることができる。これにより、オイルポンプの早期暖機を図ることができる。
本発明の作動油供給装置の一形態において、前記作動油再導入手段は、前記オイルポンプの吐出側に設けられて該オイルポンプから前記供給対象に向かって送り出される作動油の圧力又は流量を制限する調整弁と、前記調整弁から余剰油として排出される作動油を、前記オイルパンを迂回して前記オイルポンプの吸込側に戻すように設けられた前記作動油再導入路とを備えてもよい(請求項2)。冷間時には作動油の粘度が高くて供給対象における作動油の漏れが少ないため、その供給対象が必要とする作動油の流量も暖機完了時のそれと比較して少ない。従って、冷間時には、調整弁から余剰油として排出される作動油の流量が増加する。その余剰油を、オイルパンを経由することなく作動油再導入路からオイルポンプの吸込側に戻すことにより、オイルポンプから吐出された作動油の熱をオイルポンプの吸込側で効率良く回収してオイルポンプの早期暖機を図ることができる。暖機の進行により供給対象からの作動油の漏れが増加すれば、それに伴って調整弁から余剰油として排出される作動油の流量が減少する。これにより、調整弁から作動油再導入路を介してオイルポンプの吸込側に戻される作動油の流量が減少し、オイルポンプの過熱が抑えられる。
前記調整弁としては、前記オイルポンプから吐出された作動油の最高圧力を制限するリリーフ弁が設けられてもよい(請求項3)。オイルポンプの吐出側には回路の保護のためにこの種のリリーフ弁が設けられることが通例であり、そのリリーフ弁から余剰油として排出される作動油は供給対象にて必要とされる作動油の流量を反映して冷間時には多く、暖機が進行するに従って徐々に減少する。そこで、このリリーフ弁を作動油再導入手段の一部として機能させ、そこから排出される作動油を作動油再導入路を介してオイルポンプの吸込側に戻すようにすれば、本発明によるオイルポンプの暖機促進効果を比較的容易かつ確実に実現することができる。
上記の形態において、前記変速機には、前記供給対象としてトルクコンバータが設けられ、前記トルクコンバータの下流には当該トルクコンバータから排出された作動油を冷却するためのオイルクーラが設けられてもよい。この場合、前記作動油再導入手段は、前記トルクコンバータと前記オイルクーラとの間に設けられ、前記オイルクーラの上流側圧力が所定圧を超えると開いて当該オイルクーラの上流側の作動油を逃がすクーラバイパス弁を有し、前記作動油再導入路は、前記クーラバイパス弁から排出される作動油も前記オイルパンを迂回して前記オイルポンプの吸込側に戻すように設けられてもよい(請求項4)。冷間時にはオイルクーラの管路抵抗が増加してオイルクーラの上流側の圧力が上昇する。その圧力上昇に伴ってクーラバイパス弁が開くように当該クーラバイパス弁の動作特性を設定することにより、トルクコンバータの早期の発熱によって暖められた作動油をオイルポンプの吸込側へと戻してオイルポンプの暖機を促進することができる。
調整弁としてリリーフ弁が設けられた形態においては、前記オイルポンプから吐出された作動油が前記変速機の潤滑箇所にも導かれることにより当該潤滑箇所も前記供給対象として設定されてもよい。この場合、前記作動油再導入手段は、前記リリーフ弁を通過した作動油の一部を逃がすことにより前記潤滑箇所に導かれる作動油の流量を制限する流量制御弁を有し、前記作動油再導入路は、前記流量制御弁から余剰油として排出される作動油も前記オイルパンを迂回して前記オイルポンプの吸込側に戻すように設けられ、前記流量制御弁の動作特性が前記作動油温度の上昇に伴って前記余剰油の流量を減少させるように設定されてもよい(請求項5)。この形態によれば、冷間時には流量制御弁から余剰油として排出される作動油の流量が増加し、それに伴って潤滑箇所に供給される作動油の流量が減少して、低温時の引き摺り抵抗が低減される。冷間時に、流量制御弁からオイルポンプの吸込側に戻される作動油の流量が増加することにより、より多くの熱をオイルポンプの吸込側で回収してオイルポンプの暖機をさらに促進することができる。作動油の温度が上昇するに伴って潤滑箇所に供給される作動油の流量が徐々に増加するため、必要な流量の作動油を潤滑箇所に確実に供給しつつ、オイルポンプの吸込側に戻される作動油の流量を減少させてオイルポンプの過熱を防止することができる。
さらに、上記の形態においては、前記オイルクーラを通過した作動油が前記潤滑箇所に導かれるように構成され、前記流量制御弁は前記オイルクーラの下流に配置されてもよい(請求項6)。この形態によれば、冷間時にはオイルクーラから流出した作動油の一部を流量制御弁から余剰油として排出させることにより、潤滑箇所に供給される作動油の流量を減少させつつ、オイルポンプの吸込側に戻される作動油の流量を増加させてオイルポンプの暖機を促進することができる。オイルクーラが車両の内燃機関の冷却水を利用して作動油を冷却する構成の場合には、暖機過程において、作動油に先行して冷却水の温度が上昇し、その冷却水の熱により、オイルクーラに導かれた作動油が暖められることがある。この場合には、オイルクーラの通過時に暖められた作動油の熱をオイルポンプの吸込側で回収してオイルポンプの暖機をさらに促進することができる。
トルクコンバータとオイルクーラとの間にクーラバイパス弁が設けられる形態において、前記オイルクーラが車両の内燃機関の冷却水を利用して作動油を冷却するように構成されている場合、前記作動油再導入手段は、前記オイルクーラの下流側に設けられ、前記オイルクーラから流出する方向の作動油の流れを許容し、前記オイルクーラへ逆流する方向の流れは阻止する逆止弁を有し、前記作動油再導入路は、前記逆止弁から排出される作動油も、前記オイルパンを迂回して前記オイルポンプの吸込側に戻すように設けられてもよい(請求項7)。この形態によれば、冷間時において、オイルクーラの管路抵抗が大きくて上流側の圧力が上昇する段階では、クーラバイパス弁が開いてトルクコンバータで早期に暖められた作動油がオイルポンプの吸込側に戻される。作動油及びオイルクーラの温度が適度に上昇した段階では、オイルクーラを通過した作動油の圧力で逆止弁が開き、その逆止弁を通過した作動油がオイルポンプの吸込側に戻される。従って、オイルクーラの通過時に内燃機関の冷却水の熱で暖められた作動油をオイルポンプの吸込側に戻してさらなる暖機促進を図ることができる。
調整弁としてリリーフ弁が設けられている形態においては、当該リリーフ弁が、前記断熱材によって前記オイルポンプからの放熱が抑制される断熱範囲に配置されてもよい(請求項8)。リリーフ弁を断熱範囲に配置すれば、オイルポンプの吐出側からリリーフ弁を介してオイルポンプの吸込側に戻る作動油の流路の全てを断熱範囲に含めることが可能となり、その流路間での熱の発散を抑えて暖機促進効果を高めることができる。
本発明の作動油供給装置の一形態において、前記オイルポンプの吐出側には、該オイルポンプから前記供給対象に向かって送り出される作動油の最高圧力を制限するリリーフ弁が設けられ、前記オイルポンプから前記リリーフ弁に向かって送り出される作動油の流量を制限する流量制御弁が前記調整弁として設けられ、前記作動油再導入路は、前記流量制御弁から余剰油として排出される作動油を、前記オイルパンを迂回して前記オイルポンプの吸込側に戻すように設けられ、前記流量制御弁の動作特性が前記作動油温度の上昇に伴って前記余剰油の流量を減少させるように設定されてもよい(請求項9)。
本形態によれば、オイルポンプからリリーフ弁へと送り出される作動油の流量を流量制御弁によって制限し、その流量制御弁から余剰油として排出される作動油を、オイルパンを経由することなく作動油再導入路を介してオイルポンプの吸込側へと戻すことができる。これにより、リリーフ弁には、供給対象にて必要とされる流量の作動油を送り出せば足り、余剰な作動油は流量制御弁からオイルポンプの吸込側に戻すことができる。その結果、リリーフ弁からオイルポンプの吸込側へと作動油を戻す流路を省略しても熱の発散を抑えることが可能となる。このため、作動油をオイルポンプの吸込側に戻すための回路構成を簡素化して、回路の小型化を図ることができる。
上記の形態においては、前記流量制御弁が、前記断熱材によって前記オイルポンプからの放熱が抑制される断熱範囲に配置されてもよい(請求項10)。これにより、オイルポンプの吐出側から流量制御弁を介してオイルポンプの吸込側に戻る作動油の流路の全てを断熱範囲に含めることが可能となり、その流路間での熱の発散を抑えて暖機促進効果をさらに高めることができる。
さらに、前記流量制御弁は、ばねの力で弁体を駆動して前記余剰油の流量を変化させるように構成され、前記ばねは、前記作動油温度の上昇に伴って前記余剰油の流量が減少するようにばね定数が変化する材質にて形成されてもよい(請求項11)。この場合には、作動油温度の上昇に伴ってばね定数が変化するため、暖機の進行に伴ってオイルポンプの吸込側に戻される作動油の流量が強制的に減少する。従って、オイルポンプの過熱を確実に防止することができる。
前記流量制御弁は電磁弁としてもよく、その場合、前記作動油再導入手段は、前記供給対象が必要とする作動油の流量を前記オイルポンプの吐出口における作動油温度に基づいて算出し、前記オイルポンプから吐出される作動油の流量から前記供給対象が必要とする流量を減算した流量の作動油が余剰油として前記流量制御弁から排出されるように当該流量制御弁の動作を制御する流量制御手段をさらに備えてもよい(請求項12)。この形態によれば、流量制御手段にて流量制御弁の動作を制御することにより、オイルポンプからリリーフ弁に送り出される作動油の流量を、供給対象にて必要とされる作動油流量と略一致させることが可能となる。これにより、リリーフ弁からの余剰油の排出を殆どなくし、リリーフ弁からオイルポンプの吸込側に作動油を戻す流路が省略されても暖機促進効果が損なわれない。オイルポンプの吐出口における作動油温度に基づいて流量制御弁の動作を制御することにより、オイルポンプの暖機を正確に管理することが可能となる。
以上に説明したように、本発明の作動油供給装置においては、断熱材によりオイルポンプが断熱化されて冷間時におけるオイルポンプからの熱の発散が抑制されるとともに、冷間時にはオイルポンプから吐出された作動油の一部がオイルパンを迂回してオイルポンプの吸込側に戻されるため、作動油に与えられた熱の発散も抑えることができる。これにより、オイルポンプの早期暖機を図ることができる。
[第1の形態]
図1は、本発明の第1の形態に係る作動油供給装置が適用された変速機の一例を示している。変速機1は、車両の原動機(ここでは一例として内燃機関とする。)から出力された動力を駆動輪に伝達するための動力伝達系に組み込まれる。変速機1はケース2を有している。ケース2は、トランスアクスルハウジング2aと、トランスアクスルケース2bと、トランスアクスルリヤカバー2cとをボルト2dで相互に結合したアッセンブリ構造を備えている。トランスアクスルハウジング2aは内燃機関のクランクケース(不図示)と接続される。ケース2の底には作動油を蓄えるオイルパンが設けられているが、図1では図示を省略した。
ケース2の内部には、トルクコンバータ4と、前進後退切替機構5と、CVT変速機構6とが設けられている。トルクコンバータ4は、内燃機関のクランク軸3から入力された回転運動のトルクを増幅する。トルクコンバータ4の構成は公知のそれと同様でよい。前進後退切替機構5は、フォワードクラッチ5aとリバースブレーキ5bとを油圧によって選択的に動作させることにより、遊星歯車機構5cの作動状態を切り替えてトルクコンバータ4からCVT機構6に伝達される回転の方向を変化させる。CVT機構6は、プライマリープーリ6a及びセカンダリプーリ(不図示)のそれぞれのプーリ幅を変化させることにより、ベルト6bの巻き掛け位置を変化させてプーリ間の変速比を無段階に変化させるベルト式CVT機構である。CVT機構6以降にはディファレンシャル機構等が設けられるが、それらの図示は省略した。
トランスアクスルハウジング2aとトランスアクスルケース2bとの間には仕切板10が設けられている。仕切板10は、ボルト11を利用してトランスアクスルケース2bに固定されており、ケース2の構成部品として機能する。仕切板10のトルクコンバータ4と対向する表面には、本形態の作動油供給装置の油圧源として、オイルポンプ12が取り付けられている。オイルポンプ12は、ケース2のオイルパンに蓄えられた作動油を汲み上げて変速機1内の各部に圧送する。オイルポンプ12は、一例として、ポンプボディ13の内部に収容されたピニオン14をクランク軸3からの動力で回転させて作動油を圧送する歯車ポンプである。
図2はオイルポンプ12の周囲を簡略化して示した拡大図である。ポンプボディ13は、ハウジング15とエンドプレート16とを組み合わせた構成を有している。ハウジング15には、ピニオン14を収容するポンプ室15aが形成されている。エンドプレート16は、そのポンプ室15aを閉じるようにしてハウジング15と組み合わされている。
ポンプボディ13の外面は断熱ケース17にて覆われている。断熱ケース17は、断熱材としての断熱プレート18と断熱キャップ19とを組み合わせた構成を有している。断熱プレート18は、ポンプボディ13と仕切板10との間に挟み込まれるように設けられ、断熱キャップ19はハウジング15を外側から覆い隠すように設けられている。断熱キャップ19、ハウジング15、エンドプレート16及び断熱ケース17はボルト20によって仕切板10に共締めされている。仕切板10へ取り付けられた状態において断熱キャップ19の端部は断熱プレート18と全周に亘って密着する。それにより、ポンプボディ13は、その外面の全面に亘って断熱ケース17にて覆われる。従って、オイルポンプ12が断熱化され、冷間時におけるオイルポンプ12からの熱の発散を抑えてその暖機を促進することができる。断熱ケース17の保温作用により、オイルポンプ12の運転停止後の温度低下を抑え、次回の運転開始時におけるオイルポンプ12の伝達効率を向上させることもできる。なお、ポンプ室15aに対する作動油の吸込口及び吐出口は、外部からの配管接続が可能となるように断熱ケース17にて覆われることなく露出している。
断熱プレート18及び断熱キャップ19のそれぞれは、ポンプボディ13からの放熱を抑える断熱材として機能するものであればよい。例えば、ポンプボディ13の素材よりも熱伝導率が低い材料にて断熱プレート18及び断熱キャップ19を形成してもよい。断熱プレート18及び断熱キャップ19のそれぞれの内面とポンプボディ13の外面との間に適宜の隙間を設けることにより、空気による断熱層を形成してもよい。さらに、ポンプボディ13の外面に、断熱材からなる被覆層を形成することによりポンプボディ13を断熱化してもよい。
図3は作動油供給装置21の構成を示す回路図である。図3では、図中のハッチング領域Zは断熱材によってオイルポンプ12からの放熱が抑制されている範囲(以下、これを断熱範囲と呼ぶ。)を示している。図2の構成においては、断熱ケース17の内部が断熱範囲Zに相当する。作動油供給装置21において、オイルパン22に蓄えられた作動油はフィルタ23を介してオイルポンプ12に汲み上げられ、加圧されて主管路24に吐出される。主管路24に吐出された作動油は、第1分配路25を介して前進後退切替機構5(具体的にはクラッチ5a及びブレーキ5b)に、第2分配路26を介してトルクコンバータ4に、第3分配路27を介して変速機1の各部の潤滑箇所28にそれぞれ分配される。トルクコンバータ4から排出される作動油はリターン路29を介してオイルクーラ30に導かれ、そのオイルクーラ30で冷却されてオイルパン22に戻される。つまり、図3の例では、トルクコンバータ4、前進後退切替機構5、潤滑箇所28が作動油の供給対象として示されている。但し、作動油の供給対象はこれに限らず、例えばCVT変速機構6も供給対象として設定されてもよい。その他にも、変速機1内の各種の機器、摺動部等を作動油の供給対象として設定することができる。
オイルクーラ30は、車両の内燃機関の冷却水と熱交換することにより作動油を冷却する公知のものと同様でよい。主管路24は、オリフィス31を介してリターン路29と接続されている。リターン路29に対する主管路24の接続位置とオイルクーラ30との間には逆止弁32が接続されている。逆止弁32は、オイルクーラ30の上流側の圧力が所定の設定圧(クラッキング圧)を超えると開いてリターン路29の作動油の一部を逃がすクーラバイパス弁として機能する。逆止弁32から排出された作動油はオイルパン22に戻される。前進後退切替機構5及び潤滑箇所28の漏れ油もオイルパン22に戻される。
主管路24には第1リリーフ弁33及び第2リリーフ弁34が設けられている。第1リリーフ弁33及び第2リリーフ弁34は、それぞれの入口側に導かれる作動油の圧力が設定圧(リリーフ圧)を超えたとき、主管路24からリリーフ路33a、34aに作動油を余剰油として排出することにより、主管路24の作動油の最高圧力をリリーフ圧以下に制限する。リリーフ弁33、34は、いずれも主管路24から取り出されるパイロット圧とそのパイロット圧に抗するばねの反発力とを利用して弁体の位置を変化させる構成でよい。第1リリーフ弁33は第1分配路25と第2分配路26との間に設置され、第2リリーフ弁34は第2分配路26と第3分配路27との間に設置されている。第1リリーフ弁33のリリーフ圧は第2リリーフ弁34のそれよりも高く設定されている。リリーフ弁33、34のリリーフ路33a、34aはリターン路35に接続され、そのリターン路35は断熱範囲Zに引き込まれてオイルポンプ12の吸込口とフィルタ23との間に接続されている。これにより、リリーフ弁33、34が調整弁として機能し、リリーフ路33a、34aとリターン路35とが作動油再導入路として機能し、これらの組み合わせによって作動油再導入手段が実現される。
次に、作動油供給装置21の作用を説明する。変速機1の冷間時には、オイルパン22に蓄えられている作動油の粘度が高く、作動油の供給対象であるクラッチ5a等の機器からの作動油の漏れは少ない。よって、これらの機器が必要とする作動油の流量も少なく、リリーフ弁33、34からリリーフ路33a、34aに余剰油として排出される作動油の流量が相対的に増加する。リリーフ路33a、34aに排出された作動油は、オイルパン22を迂回して、リターン路35からオイルポンプ12の吸込側に戻される。そのため、リリーフ弁33、34から排出された作動油の熱がオイルパン22に逃げるおそれはない。リターン路35からオイルポンプ12に作動油が戻されることにより、リターン路35からオイルパン22に作動油を戻した場合と比較して、オイルパン22からオイルポンプ12に汲み上げられる作動油の流量が減少する。このため、オイルパン22に蓄えられた冷たい作動油の汲み上げによるオイルポンプ12の冷却作用も抑制される。よって、作動油温度が早期に上昇してオイルポンプ12の暖機が促進される。オイルパン22からの作動油の汲み上げ量が減少することにより、オイルポンプ12の吸込側における負圧の発生、あるいはキャビテーションの発生を防止することができ、さらにはオイルパン22からオイルポンプ12へのエアの吸込みも抑えることができる。
一方、暖機が進行すると、クラッチ5a等の機器からの作動油の漏れが増加してこれらの機器が必要とする作動油の流量も増加する。その結果、リリーフ弁33、34のリリーフ路33a、34aからリターン路35を介してオイルポンプ12の吸込側に戻される作動油の流量が減少し、その流量の低下を補うようにオイルパン22から汲み上げられる作動油の流量が増加する。オイルパン22からの作動油の汲み上げ量が増加することにより、オイルポンプ12が冷却されてその過熱が防止される。本形態によれば、オイルパン22から汲み上げられる作動油の流量が作動油の温度上昇に伴って自然に変化するため、制御装置を利用したリリーフ弁33、34等の動作制御を必須としない。よって、構成を簡素化できる利点がある。
なお、本形態では2つのリリーフ弁33、34のそれぞれから排出される作動油をオイルポンプ12の吸込側に戻しているが、いずれか一方のリリーフ弁から排出される作動油のみをオイルポンプ12の吸込側に戻してもよい。例えば、第1リリーフ弁33から排出される作動油の流量が第2リリーフ弁34のそれよりも遥かに大きい場合には、第1リリーフ弁33のリリーフ路33aのみをリターン路35と接続してもよい。リリーフ弁の個数は2つに限定されず、1つ又は3つ以上でもよい。
[第2の形態]
図4は本発明の第2の形態に係る作動油供給装置21Aを示す回路図である。図4において、図3と共通する部分には同一符号を付し、それらの説明は省略する。本形態の作動油供給装置21Aにおいては、逆止弁32のドレン路32aがリターン路35を介してオイルポンプ12の吸込側に接続されている点で第1の形態の作動油供給装置21と相違する。これにより、ドレン路32aも作動油再導入路の一部として機能する。作動油供給装置21Aの他の構成は第1の形態の作動油供給装置21と同様である。
トルクコンバータ4は変速機1内で最も発熱量が大きい機器の一つであり、オイルクーラ30の上流側のリターン路29にはそのトルクコンバータ4で早期に暖められた作動油が導かれる。一方、冷間時においては、オイルクーラ30の管路抵抗が大きくなり、その上流側に接続されているリターン路29の圧力が上昇する。逆止弁32のクラッキング圧をその冷間時の圧力上昇で開くように設定することにより、トルクコンバータ4にて早期に暖められた作動油を逆止弁32からドレン路32aに排出し、オイルパン22を迂回してリターン路35からオイルポンプ12の吸込側に戻すことができる。これにより、第1の形態と比較して作動油温度を迅速に上昇させてオイルポンプ12のさらなる暖機促進を図ることができる。
図5は第2の形態の変形例に係る作動油供給装置21Cを示している。図5の作動油供給装置21Bは、オイルクーラ30から排出された作動油を各部の潤滑箇所28に導く点で図4の作動油供給装置21Aと相違する。その他の構成は図4の作動油供給装置21Aと同一であり、図5において共通の参照符号を付してそれらの説明は省略する。なお、第1の形態においても、オイルクーラ30から排出された作動油を潤滑箇所28に導くようにしてもよい。
[第3の形態]
図6は本発明の第3の形態に係る作動油供給装置21Cを示す回路図である。図6において、図4と共通する部分には同一符号を付し、それらの説明は省略する。本形態の作動油供給装置21Cは、主管路24の先端、すなわち第3分配路27の分岐位置よりもさらに下流に流量制御弁36が接続され、その出口側流路36aがリターン路35を介してオイルポンプ12の吸込側と接続されている点で第2の形態の作動油供給装置21Aと相違する。これにより、リリーフ弁33、34に加えて流量制御弁36も調整弁として機能し、その出口側流路36aが作動油再導入路の一部として機能する。
流量制御弁36は、主管路24から取り出されるパイロット圧と、ソレノイドコイル36sが発生する電磁力とを利用して弁体の位置を変化させる電磁制御弁の一種である。流量制御弁36を通過する作動油の流量(以下、通過流量と呼ぶことがある。)は、ソレノイドコイル36sへ与える励磁電流を制御ユニット37にて制御することにより連続的に調整可能である。制御ユニット37はコンピュータユニットとして構成され、例えば、図7に示したように作動油温度が上昇するほど通過流量が減少するように励磁電流を制御する。作動油温度は温度センサで検出し、あるいは作動油温度に相関する物理量から推定すればよい。なお、主管路24の先端に流量制御弁36を設けたことに伴って、主管路24とリターン路29との接続経路は、第3分配路27を経由するように変更されている。
本形態の作動油供給装置21Cによれば、冷間時には流量制御弁36の開度が増加し、流量制御弁36を通過してリターン路35に戻される作動油の流量が大きくなる。これにより、オイルポンプ12の吐出側からオイルパン22を迂回してオイルポンプ12の吸込側に戻される作動油流量が第2の形態と比してさらに増加し、オイルポンプ12の暖機をさらに促進することができる。また、主管路24から潤滑箇所28に分配される作動油の流量が減少するため、潤滑箇所28における低温時の引き摺り抵抗が低減される。暖機が進行すれば流量制御弁36の開度が減少して潤滑箇所28に分配される作動油の流量が増加する。そのため、必要な流量の作動油を潤滑箇所28に確実に供給することができ、また、オイルポンプ12の過熱を防止することができる。
なお、図8に示したように、オイルクーラ30の下流側に潤滑箇所28が接続された作動油供給装置21Dに対しては、オイルクーラ30の下流側の流路38を分岐してその一方を流量制御弁36の入口側に接続すればよい。作動油供給装置21Dのその他の構成は図6の作動油供給装置21Cと同一であり、図8において共通の参照符号を付してそれらの説明は省略する。冷間状態からの始動時には作動油よりも内燃機関の冷却水が早く暖められることがあり、その場合には、リターン路29の作動油の一部が逆止弁32からリターン路35に排出されると同時に、オイルクーラ30に流入した作動油が冷却水から熱を受けてその温度が上昇することがある。図8の作動油供給装置21Dによれば、冷却水にて暖められた作動油を流量制御弁36からリターン路35を介してオイルポンプ12の吸込側に戻すことができるので、暖機促進効果をさらに高めることができる。
[第4の形態]
図9は本発明の第4の形態に係る作動油供給装置21Eを示す回路図である。図9において、図4と共通する部分には同一符号を付し、それらの説明は省略する。本形態の作動油供給装置21Eは、オイルクーラ30の下流側の流路38に逆止弁40が接続され、その逆止弁40のドレン路40aがリターン路35を介してオイルポンプ12の吸込側と接続されている点で第2の形態の作動油供給装置21Aと相違する。その他の構成は作動油供給装置21Aと同一である。逆止弁40は流路38の圧力が所定のクラッキング圧を超えると開放されて流路38からリターン路35へ向かう作動油の流れを許容し、逆方向の流れは阻止する。ドレン路40aは作動油再導入路の一部として機能する。
本形態の作動油供給装置21Eによれば、冷間時においてリリーフ弁33、34及び逆止弁32から排出された作動油がオイルパン22を迂回してオイルポンプ12の吸込側に戻されることにより暖機が促進される。また、オイルクーラ30を通過する作動油も、オイルパン22を迂回してオイルポンプ12の吸込側に戻されるため、内燃機関の冷却水で作動油が暖められている間は、その熱がオイルポンプ12の吸込側で回収されて暖機促進効果が高まる。オイルクーラ30に導かれる作動油の温度が冷却水の温度よりも上昇すれば、オイルクーラ30で冷やされた作動油がオイルポンプ12の吸込側に戻されてオイルポンプ12の過熱が防止される。
[第5の形態]
図10は本発明の第5の形態に係る作動油供給装置21Fを示す回路図である。図10において、図9と共通する部分には同一符号を付し、それらの説明は省略する。本形態の作動油供給装置21Fは、第1リリーフ弁33が断熱範囲Z、すなわち断熱ケース17の内部に配置されている点で第4の形態の作動油供給装置21Eと相違する。その他の構成は作動油供給装置21Eと同様である。
本形態によれば、オイルポンプ12の吐出側から第1リリーフ弁33を介してオイルポンプ12の吸込側に戻る作動油の流路の全てが断熱範囲Zに含まれるため、その流路間での熱の発散を抑えて暖機促進効果を高めることができる。また、第1リリーフ弁33を断熱ケース17内に収容すれば、オイルポンプ12と第1リリーフ弁33との距離を短縮し、それにより、第1リリーフ弁33の動作に対する主管路24の作動油圧力の応答性を向上させることができる。さらに、主管路24は回路内でも比較的その断面積が大きいため、その一部を断熱ケース17内に配置することにより、回路の小型化を図ることもできる。
なお、第2リリーフ弁34も断熱ケース17内に配置してもよい。上述した第1〜第3の形態の作動油供給装置においても、断熱ケース17内に第1リリーフ弁33を配置してもよく、さらに第2リリーフ弁34も断熱ケース17内に配置してもよい。
[第6の形態]
図11は本発明の第6の形態に係る作動油供給装置21Gを示す回路図である。図11において、図9と共通する部分には同一符号を付し、それらの説明は省略する。本形態の作動油供給装置21Gは、作動油を主管路24からオイルポンプ12の吸込側に戻すための流量制御弁36Aが断熱範囲Z、すなわち断熱ケース17の内部に配置され、それにより、主管路24から流量制御弁36Aを介してオイルポンプ12の吸込側へ作動油を戻す流路42の全体が断熱ケース17内に収められている点で第4の形態の作動油供給装置21Eと相違する。また、第1リリーフ弁33及び第2リリーフ弁34からそれぞれ排出される作動油はオイルパン22へと戻される。すなわち、本形態では流量制御弁36Aを調整弁として機能させ、流路42を作動油再導入路として機能させるものであり、リリーフ弁33、34は作動油再導入手段として利用されていない。その他の構成は作動油供給装置21Eと同様である。流量制御弁36Aは、ソレノイドコイル36sが発生する電磁力とこれに抗するばね36bの反発力とを利用して弁体の位置を全閉位置と全開位置との間で連続的に変化させる電磁比例制御弁の一種である。本形態では、ばね36bの力で弁体が全閉位置に向かって押し付けられる一方で、ソレノイドコイル36sの電磁力により弁体が全開位置に向かって駆動されるように流量制御弁36Aが構成されている。制御ユニット37による流量制御弁36Aの通過流量の制御は、図7の例と同様に温度が上昇するほど通過流量を減少させるものとすればよい。
本形態によれば、冷間時は流量制御弁36Aの開度が大きくなり、暖機が進行するに従って流量制御弁36Aの開度が減少するため、第3の形態と同様に、暖機促進を図りつつ、オイルポンプ12の過熱も抑えることができる。しかも、オイルポンプ12の吐出側から流量制御弁36Aを介してオイルポンプ12の吸込側に戻る作動油の流路42の全てが断熱範囲Zに含まれるため、その流路間での熱の発散を抑えて暖機促進効果をさらに高めることができる。主管路24からの流路42の分岐位置が第1リリーフ弁33の上流に位置しているので、冷間時には、前進後退切替機構5のクラッチ5a等の機器が必要とする流量を超える余剰の作動油を流量制御弁36Aからオイルポンプ12の吸込側に戻すことにより、リリーフ弁33、34のリリーフ路33a、34aには作動油が殆ど排出されない。このため、リリーフ弁33、34からオイルパン22に作動油を排出する構成であっても熱の発散は殆ど発生しない。そして、リリーフ弁33、34からオイルポンプ12の吸込側へ作動油を戻す構成を省略することにより、作動油をオイルポンプ12の吸込側に戻すための回路構成を簡素化でき、回路の小型化を図ることもできる。
なお、本形態の作動油供給装置21Gにおいては、流量制御弁36Aのばね36bを、温度上昇に伴ってばね定数が漸次増加する材質にて構成してもよい。例えば、形状記憶合金にてばね36bを構成することにより、ばね36bのばね定数を温度に応じて変化させることができる。この場合、断熱範囲Z内の温度の上昇に伴ってばね36bの反発力が次第に増加して流量制御弁36Aの開度が強制的に減少する。このため、オイルポンプ12の過熱を確実に防止することができる。流量制御弁36Aの通過流量を、ばね36bの反発力の変化という機械的な要素によって実現することができるため、そのばね36bの反発力によって定まる通過流量を、ソレノイドコイル36sの励磁電流の変化によってさらに調整するといった制御を行うことが可能となり、通過流量(すなわち、オイルポンプ12の吸込側に戻す作動油の流量)の制御性が向上する。
[第7の形態]
次に、本発明の第7の形態に係る作動油供給装置について説明する。本形態は図11に示した第7の形態の作動油供給装置21Gにおいて、制御ユニット37が図12に示す流量制御ルーチンを所定の周期で繰り返し実行することにより、流量制御弁36Aの通過流量を作動油温度に応じて制御するものである。よって、回路構成は図11を流用し、以下では図12の制御手順を説明する。
図12の流量制御ルーチンにおいて、制御ユニット37はまずステップS1でオイルポンプ12から吐出される作動油の温度(以下、吐出油温と呼ぶ。)Toutが基準温度Tout0よりも高いか否か判断する。吐出油温Toutは例えばオイルポンプ12の吐出口に温度センサを設置して検出すればよい。基準温度Tout0は、暖機が目標状態に達したときの吐出油温として予め設定される。ステップS1にて吐出油温Toutが基準油温Tout0以下と判断された場合、制御ユニット37はステップS2に進む。ステップS2において、制御ユニット37は、オイルパン22に蓄えられている作動油の温度Toに基づいて、作動油制御装置21Gの前進後退切替機構5、トルクコンバータ4といった機器類が必要とする作動油の流量(以下、必要流量と呼ぶ。)Qlubを導出する。作動油温度Toは例えばオイルパン22に設けられた温度センサにて検出すればよい。また、作動油温度Toに対応する必要流量Qlubの導出は、予めベンチ適合試験等で取得されたマップデータに基づいて行うことができる。必要流量Qlubは、油温Toが高いほど増加する。
必要油量Qlubの導出後、制御ユニット37はステップS3に進み、内燃機関の回転数(エンジン回転数)、主管路24の作動油の圧力(ライン圧)、オイルポンプ12の流特性に基づいて、オイルポンプ12の吐出流量Qoutを算出する。その算出も、例えば予めベンチ適合試験等で取得されたマップデータに基づいて行うことができる。なお、ここでいうライン圧は主管路24の第1リリーフ弁33よりも上流側の圧力である。ライン圧は圧力センサにて検出することができる。
続くステップS4にて、制御ユニット37は、流量制御弁36Aの通過流量が、吐出流量Qoutと必要流量Qlubとの差(Qout−Qlub)となるように流量制御弁36Aのソレノイドコイル36sに与える励磁電流を制御する。一方、ステップS1にて吐出油温Toutが基準温度Tout0を超えたと判断された場合、制御ユニット37はステップS5に進む。ステップS5において、制御ユニット37は流量制御弁36Aを全閉状態に制御する。その状態は、ソレノイドコイル36sへの通電を停止することにより実現される。ステップS4又はS5にて流量制御弁36Aを制御した後、制御ユニット37は今回の流量制御ルーチンを終了する。以上の処理を実行することにより、制御ユニット37は本発明の流量制御手段として機能する。
本形態によれば、暖機が目標状態に達するまでは主管路24からトルクコンバータ4等の機器類に必要流量の作動油のみが供給され、余剰の作動油の略全量が流量制御弁36Aを介してオイルポンプ12の吸込側に戻される。そして、暖機が目標状態に達すれば流量制御弁36Aが閉じてオイルポンプ12の吐出油の全量が主管路24からトルクコンバータ4等に分配される。よって、オイルポンプ12の早期暖機と作動油流量の最適化との両立を図ることができる。また、流量制御に際してオイルポンプ12の吐出口の温度を参照することにより、オイルポンプ12の暖機を正確に管理することができる。
なお、上述した各形態においては、ポンプボディ13の全体を断熱ケース17にて覆ったが、本発明の作動油供給装置においては、オイルポンプの外面の少なくとも一部が断熱材にて覆われていればよい。例えば、図13に示すように、ポンプボディ13と仕切板10との間に断熱プレート18を設け、ポンプボディ13のハウジング15の外面はトランスアクスルハウジング2a内部に露出させてもよい。トルクコンバータ4は変速機1の構成要素の中でも比較的早期に暖機が進行するため、これを収容するトランスアクスルハウジング2aの内部の雰囲気温度も比較的早期に上昇することがある。その場合、トランスアクスルハウジング2a内に露出している外面からの放熱は少なく、ポンプボディ13からケース2の一部である仕切板10への伝熱を妨げるだけでオイルポンプ12自身の発熱量を効果的に閉じ込めることができる。あるいは、トランスアクスルハウジング2a内の雰囲気温度がオイルポンプ12に先行して上昇すれば、周囲の空気からオイルポンプ12への伝熱が生じてその暖機が促進される。そして、図13の構成によれば、図2の構成と比較して断熱キャップ19が省略されているため、小型軽量化に有利である。
本発明の第1の形態に係る作動油供給装置が適用された変速機の一例を示す断面図。 図1のオイルポンプの周囲を簡略化して示した拡大図。 第1の形態に係る作動油供給装置の構成を示す回路図。 第2の形態に係る作動油供給装置の構成を示す回路図。 第2の形態の変形例に係る作動油供給装置の構成を示す回路図。 第3の形態に係る作動油供給装置の構成を示す回路図。 第3の形態の制御ユニットの制御によって実現される作動油温度と流量制御弁の通過流量との関係を示す図。 第3の形態の変形例に係る作動油供給装置の構成を示す回路図。 第4の形態に係る作動油供給装置の構成を示す回路図。 第5の形態に係る作動油供給装置の構成を示す回路図。 第6の形態に係る作動油供給装置の構成を示す回路図。 第7の形態に係る作動油供給装置の制御ユニットが実行する流量制御ルーチンを示すフローチャート。 断熱材の配置に関する変形例を示す図。
符号の説明
1 変速機
2 ケース
2a トランスアクスルハウジング
4 トルクコンバータ
5 前進後退切替機構
6 CVT変速機構
10 仕切板
12 オイルポンプ
13 ポンプボディ
14 ピニオン
15 ハウジング
16 エンドプレート
17 断熱ケース
18 断熱プレート
19 断熱キャップ
21、21A、21B、21C、21D、21E、21F、21G 作動油供給装置
22 オイルパン
24 主管路
28 潤滑箇所
29 リターン路
30 オイルクーラ
32 逆止弁
32a ドレン路
33 第1リリーフ弁
33a リリーフ路
34 第2リリーフ弁
34a リリーフ路
35 リターン路
36、36A 流量制御弁
36b ばね
36s ソレノイドコイル
37 制御ユニット
38 流路
40 逆止弁
40a ドレン路
42 流路
Z 断熱範囲

Claims (12)

  1. 変速機のケース内に設けられたオイルポンプにてオイルパンから作動油を汲み上げ、該オイルポンプから吐出される作動油を変速機内の供給対象へ導く作動油供給装置において、
    前記ケース内に配置されて前記オイルポンプの外面の少なくとも一部を覆う断熱材と、
    前記オイルポンプの冷間時に、該オイルポンプから吐出された作動油の少なくとも一部を、前記オイルパンを迂回して前記オイルポンプの吸込側に戻す作動油再導入手段と、
    を備えた変速機の作動油供給装置。
  2. 前記作動油再導入手段は、前記オイルポンプの吐出側に設けられて該オイルポンプから前記供給対象に向かって送り出される作動油の圧力又は流量を制限する調整弁と、前記調整弁から余剰油として排出される作動油を、前記オイルパンを迂回して前記オイルポンプの吸込側に戻すように設けられた前記作動油再導入路とを備えている請求項1に記載の作動油供給装置。
  3. 前記調整弁として、前記オイルポンプから吐出された作動油の最高圧力を制限するリリーフ弁が設けられている請求項2に記載の作動油供給装置。
  4. 前記変速機には、前記供給対象としてトルクコンバータが設けられ、前記トルクコンバータの下流には当該トルクコンバータから排出された作動油を冷却するためのオイルクーラが設けられ、前記作動油再導入手段は、前記トルクコンバータと前記オイルクーラとの間に設けられ、前記オイルクーラの上流側圧力が所定圧を超えると開いて当該オイルクーラの上流側の作動油を逃がすクーラバイパス弁を有し、前記作動油再導入路は、前記クーラバイパス弁から排出される作動油も前記オイルパンを迂回して前記オイルポンプの吸込側に戻すように設けられている請求項3に記載の作動油供給装置。
  5. 前記オイルポンプから吐出された作動油が前記変速機の潤滑箇所にも導かれることにより当該潤滑箇所も前記供給対象として設定され、前記作動油再導入手段は、前記リリーフ弁を通過した作動油の一部を逃がすことにより前記潤滑箇所に導かれる作動油の流量を制限する流量制御弁を有し、前記作動油再導入路は、前記流量制御弁から余剰油として排出される作動油も前記オイルパンを迂回して前記オイルポンプの吸込側に戻すように設けられ、前記流量制御弁の動作特性が前記作動油温度の上昇に伴って前記余剰油の流量を減少させるように設定されている請求項3又は4に記載の作動油供給装置。
  6. 前記オイルクーラを通過した作動油が前記潤滑箇所に導かれるように構成され、前記流量制御弁は前記オイルクーラの下流に配置されている請求項5に記載の作動油供給装置。
  7. 前記オイルクーラが車両の内燃機関の冷却水を利用して作動油を冷却するように構成され、前記作動油再導入手段は、前記オイルクーラの下流側に設けられ、前記オイルクーラから流出する方向の作動油の流れを許容し、前記オイルクーラへ逆流する方向の流れは阻止する逆止弁を有し、前記作動油再導入路は、前記逆止弁から排出される作動油も、前記オイルパンを迂回して前記オイルポンプの吸込側に戻すように設けられている請求項4又は5に記載の作動油供給装置。
  8. 前記リリーフ弁が、前記断熱材によって前記オイルポンプからの放熱が抑制される断熱範囲に配置されている請求項3〜7のいずれか一項に記載の作動油供給装置。
  9. 前記オイルポンプの吐出側には、該オイルポンプから前記供給対象に向かって送り出される作動油の最高圧力を制限するリリーフ弁が設けられ、前記オイルポンプから前記リリーフ弁に向かって送り出される作動油の流量を制限する流量制御弁が前記調整弁として設けられ、前記作動油再導入路は、前記流量制御弁から余剰油として排出される作動油を、前記オイルパンを迂回して前記オイルポンプの吸込側に戻すように設けられ、前記流量制御弁の動作特性が前記作動油温度の上昇に伴って前記余剰油の流量を減少させるように設定されている請求項2に記載の作動油供給装置。
  10. 前記流量制御弁が、前記断熱材によって前記オイルポンプからの放熱が抑制される断熱範囲に配置されている請求項9に記載の作動油供給装置。
  11. 前記流量制御弁は、ばねの力で弁体を駆動して前記余剰油の流量を変化させるように構成され、前記ばねは、前記作動油温度の上昇に伴って前記余剰油の流量が減少するようにばね定数が変化する材質にて形成されている請求項9又は10に記載の作動油供給装置。
  12. 前記流量制御弁が電磁弁であり、前記作動油再導入手段は、前記供給対象が必要とする作動油の流量を前記オイルポンプの吐出口における作動油温度に基づいて算出し、前記オイルポンプから吐出される作動油の流量から前記供給対象が必要とする流量を減算した流量の作動油が余剰油として前記流量制御弁から排出されるように当該流量制御弁の動作を制御する流量制御手段をさらに備えた請求項9〜11のいずれか一項に記載の作動油供給装置。
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