JP2009097445A - 有段自動変速機の変速制御装置 - Google Patents

有段自動変速機の変速制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】有段自動変速機の変速動作に際して吸入空気量を減量しての内燃機関のトルクダウンを実施する場合におけるエンドショックの発生を好適に抑制することのできる有段変速機の変速制御装置を提供する。
【解決手段】電子制御ユニット30は、有段自動変速機20のパワー・オン・アップシフトに際して、吸入空気量を減量しての内燃機関10のトルクダウンを実施する。そして電子制御ユニット30は、このトルクダウンに際して、吸入空気量の減量によるトルクダウンが実際に開始された時期を検出し、内燃機関10のトルクダウンからの復帰を実施する時期を、そのトルクダウン開始時期の検出結果に応じて修正する。これにより、吸気系の応答遅れのためにトルクダウン開始時期が想定とは異なってしまった場合にも、適切な時期にトルクダウンからの復帰を行うことができるようにした。
【選択図】図1

Description

本発明は、有段自動変速機の変速動作に際して、吸入空気量を減量しての内燃機関のトルクダウンを実施する有段自動変速機の変速制御装置に関する。
自動車などに搭載される有段自動変速機は、遊星歯車機構と複数個の摩擦係合機構(クラッチ、ブレーキ)とを備え、油圧制御を通じて摩擦係合機構の係合を選択的に切り換えることで、複数個の変速段のうちのいずれかが達成されるように構成されている。また従来、例えば特許文献1〜4に見られるように、こうした有段自動変速機の変速動作に際して内燃機関のトルクを変更するように、有段自動変速機と内燃機関との協調制御を行う変速制御装置が種々提案されている。こうして有段自動変速機の変速動作に際して機関トルクを適宜に調整すると、有段自動変速機の各メンバやこれらを制動する摩擦係合機構のエネルギ吸収分を制御することができ、短時間で、しかも変速ショックを抑えて変速動作を完了することができる。
一般にパワー・オン・アップシフト、すなわちアクセルが踏み込まれた状態でアップシシフトを行なうときの内燃機関のトルク調整は、変速のための回転速度変化が有段自動変速機の回転メンバに生じている期間、いわゆるイナーシャ相において、内燃機関のトルクダウンを実施するように行われる。
従来、こうした変速動作時の内燃機関のトルクダウンは、点火時期の遅角化を通じて行われていた。しかしながら、近年には、変速時間の短縮についての要求の高まりや、機関システムの都合による点火系のトルクダウン余裕代の縮小などのため、点火時期の遅角化のみでは、必要なトルクダウン量を確保することが困難となっている。そのため、特許文献5に見られるように、有段自動変速機の変速動作に際しての内燃機関のトルクダウンを吸入空気量の減量により実施する変速制御装置が提案されている。
特開2002−106377号公報 特開平6−129273号公報 特開2006−46209号公報 特開2000−142182号公報 特開平3−157560号公報
このように有段自動変速機の変速動作に際しての内燃機関のトルクダウンを吸入空気量の減量により実施するようにすれば、点火時期の遅角化だけでは十分なトルクダウン量を確保し得ない場合にも、好適に変速を完了することが可能となる。しかしながら、こうした吸入空気量の減量によっての内燃機関のトルクダウンには、以下のような問題があり、未だ改善の余地がある。
すなわち、スロットルバルブの開度調整を通じての吸気系トルクダウンでは、点火遅角による場合に比して応答遅れが著しく大きく、制御性が低くなっている。例えば点火遅角によれば、数十マイクロ秒以内に必要なトルクダウンが可能であるのに対して、吸入空気量の減量による場合には、トルクダウンの要求から実施までに、状況によっては、数百ミリ秒もの時間を要してしまう。そのため、変速終了時のトルクダウンからの復帰の指令に対しての実際のトルク復帰タイミングのずれが大きくなり、変速終了後のトルク変動によるショック、いわゆるエンドショックが発生し易くなっている。
本発明は、こうした実状に鑑みてなされたものであって、その解決しようとする課題は、有段自動変速機の変速動作に際して吸入空気量を減量しての内燃機関のトルクダウンを実施する場合におけるエンドショックの発生を好適に抑制することのできる変速制御装置を提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段、及びその作用効果を記載する。
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、有段自動変速機の変速動作に際して、吸入空気量を減量しての内燃機関のトルクダウンを実施する変速制御装置において、前記吸入空気量の減量によるトルクダウン開始時期を検出する開始時期検出手段と、そのトルクダウン開始時期の検出結果に応じてトルクダウン復帰時期を修正する復帰時期修正手段と、を備えることをその要旨としている。
上記構成では、吸入空気量の減量によるトルクダウン開始時期が検出され、更にそのトルクダウン開始時期の検出結果に応じてトルクダウン復帰時期が修正されるようになる。吸入空気量の調整による内燃機関のトルクダウンやそのトルクダウンからの復帰には、大きい応答遅れがあるため、トルクダウンの開始時期が想定から大きくずれてしまうことがある。そしてトルクダウン開始時期にずれがあれば、エンドショックの発生を回避可能な最適なトルクダウン復帰時期にも、ずれが生じてしまうようになる。その点、上記構成では、吸入空気量の減量によるトルクダウン開始時期の検出結果に応じてトルクダウン復帰時期が修正されるため、トルクダウン開始時期が想定とは異なっていても、適切な時期にトルクダウンからの復帰を行うことができるようになる。したがって、有段自動変速機の変速動作に際して吸入空気量を減量しての内燃機関のトルクダウンを実施する場合におけるエンドショックの発生を好適に抑制することができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の有段自動変速機の変速制御装置において、前記開始時期検出手段は、前記吸入空気量の減量が行われていないとしたときの機関トルクの目標値である目標基準トルクと、前記吸入空気量の検出値から推定される機関トルクの推定値である推定トルクとの差分に基づいて前記トルクダウン開始時期の検出を行うことをその要旨としている。
上記構成では、吸入空気量の減量が行われていないとしたときの機関トルクの目標値である目標基準トルクと、吸入空気量の検出値から推定される機関トルクの推定値である推定トルクとの差分に基づいてトルクダウン開始時期の検出が行われるようになる。吸入空気量の減量によるトルクダウン中における、上記目標基準トルクと推定トルクとの差分は、吸入空気量の減量によって達成されたトルクダウンの大きさを表わすものとなる。そのため、上記構成によれば、トルクダウンの実質的な開始時期を容易且つ的確に検出することができるようになる。
請求項3に記載の発明では、請求項2に記載の有段自動変速機の変速制御装置において、前記開始時期検出手段は、前記差分が規定の判定値以上となったときに前記トルクダウンが開始されたと判定することで、前記トルクダウン開始時期の検出を行うことをその要旨としている。
上記構成では、差分が規定の判定値以上となったときにトルクダウンが開始されたと判定することで、トルクダウン開始時期の検出が行われるようになる。請求項2での目標基準トルクと推定トルクとの差分に基づくトルクダウン開始時期の検出は、例えばこうした態様で行うことができる。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の有段自動変速機の変速制御装置において、前記開始時期検出手段は、前記目標基準トルクと前記推定トルクとの定常偏差に応じて前記判定値を調整することをその要旨としている。
上記構成では、目標基準トルクと前記推定トルクとの定常偏差に応じて、上記目標基準トルクと推定トルクとの差分に基づくトルクダウン開始時期の判定に使用される判定値が調整されるようになる。上記目標基準トルクと上記推定トルクとはそれぞれ別のパラメータから算出されているため、トルクダウンが行われておらず、本来であれば、両値が一致する筈のときにも、それら2つのトルクの間に恒常的なずれ、すなわち定常偏差が生じていることがある。上記構成では、上記のような判定値の調整により、そうした定常偏差を見込んだ上で、目標基準トルクと推定トルクとの差分に基づくトルクダウン開始時期の検出が行われるようになるため、定常偏差の如何に拘わらず、適正にその検出を行うことができる。
請求項5に記載の発明は、請求項3又は4に記載の有段自動変速機の変速制御装置において、前記開始時期検出手段は、前記吸入空気量の変更に応じた機関トルクの変化の応答速度が高い機関運転条件にあるとき程、前記判定値を大きく設定することをその要旨としている。
上記構成では、吸入空気量の変更に応じた機関トルクの変化の応答速度が高い機関運転条件にあるとき程、上記目標基準トルクと推定トルクとの差分に基づくトルクダウン開始時期の判定に使用する判定値が大きく設定されるようになる。吸入空気量の変更に応じた機関トルクの変化の応答速度が高い機関運転条件にあるとき程、トルクダウンに際しての機関トルクの低下速度は高くなる。そのため、上記の如く判定値を設定することで、トルクダウン開始時期の検出を的確に行うことができるようになる。
請求項6に記載の発明は、請求項3〜5のいずれか1項に記載の有段自動変速機の変速制御装置において、前記開始時期検出手段は、前記トルクダウンの要求量が大きいとき程、前記判定値を大きく設定することをその要旨としている。
上記構成では、トルクダウンの要求量が大きいとき程、上記目標基準トルクと推定トルクとの差分に基づくトルクダウン開始時期の判定に使用する判定値が大きく設定されるようになる。トルクダウンの要求量が大きいとき程、トルクダウン中の目標基準トルクと推定トルクとの差分は大きくされる。そのため、上記の如く判定値を設定することで、トルクダウン開始時期の検出を的確に行うことができるようになる。
請求項7に記載の発明は、請求項3又は4に記載の有段自動変速機の変速制御装置において、前記開始時期検出手段は、前記吸入空気量の変更に応じた機関トルクの変化の応答速度が高い機関運転条件にあるほど大きい値に設定される係数を、前記トルクダウンの要求量に乗算した値に基づいて前記判定値を設定することをその要旨としている。
上記構成では、トルクダウンの要求量が大きいとき程、或いは吸入空気量の変更に応じた機関トルクの変化の応答速度が高い機関運転条件にあるとき程、判定値が大きい値に設定される。上記のように吸入空気量の変更に応じた機関トルクの変化の応答速度が高い機関運転条件にあるとき程、トルクダウンに際しての機関トルクの低下速度は高くなる。またトルクダウンの要求量が大きいとき程、トルクダウン中の目標基準トルクと推定トルクとの差分は大きくされる。そのため、トルクダウン開始時期の検出を的確に行うことができるようになる。
請求項8に記載の発明は、請求項1〜7のいずれか1項に記載の有段自動変速機の変速制御装置において、前記復帰時期修正手段は、前記トルクダウンが要求されたときから前記検出された前記トルクダウン開始時期までの時間を測定するとともに、機関回転速度及び機関負荷に基づいて算出された前記時間の理論値と同時間の測定値との差を求め、その差に応じて前記トルクダウン復帰時期を修正することをその要旨としている。
上記構成では、トルクダウンが要求されたときから、検出されたトルクダウン開始時期までの時間が測定される。そしてそうした時間の測定値と、機関回転速度及び機関負荷に基づいて算出された同時間の理論値との差に応じてトルクダウン復帰時期が修正されるようになる。トルクダウン開始時期が想定からずれていれば、そのずれに応じて、最適なトルクダウン復帰時期もずれることになる。ここで上記時間の理論値と測定値との差は、トルクダウン開始時期の想定とのずれに相当する。したがって、上記構成によれば、トルクダウン開始時期の想定とのずれに応じて、トルクダウン復帰時期が修正されるようになり、トルクダウン復帰時期を適切に設定することができるようになる。
請求項9に記載の発明は、請求項1〜8のいずれか1項に記載の有段自動変速機の変速制御装置において、変速終了時にエンドショックが発生し易い状況となっているか否かを判定するエンドショック発生可能性判定手段と、そのエンドショック発生可能性判定手段により変速終了時にエンドショックが発生し易い状況となっていると判定されたときに、次回以降の前記トルクダウン復帰時期の修正度合が大きくなるように同トルクダウン復帰時期の修正量を補正する補正手段と、を備えることをその要旨としている。
上記構成では、今回の変速動作の終了時にエンドショックが発生し易い状況となっていると判定されたときには、次回以降の変速動作におけるトルクダウン復帰時期の修正度合が大きくなるように、トルクダウン復帰時期の修正量が補正されるようになる。そのため、トルクダウン復帰時期の修正が不十分で、変速終了時にエンドショックが発生し易い状況となってしまっていても、次回以降の変速動作時には、トルクダウン復帰時期の修正不足を解消して、エンドショックの発生が抑制されるようになる。
請求項10に記載の発明は、請求項1〜8のいずれか1項に記載の有段自動変速機の変速制御装置において、変速終了後のエンドショックの発生の有無を検出するエンドショック検出手段と、そのエンドショック検出手段により前記エンドショックの発生有りが検出されたときに、次回以降の前記トルクダウン復帰時期の修正度合が大きくなるように同トルクダウン復帰時期の修正量を補正する補正手段と、を備えることをその要旨としている。
上記構成では、今回の変速動作の終了後にエンドショックの発生が実際に検出されたときには、次回以降の変速動作におけるトルクダウン復帰時期の修正度合が大きくなるように、トルクダウン復帰時期の修正量が補正されるようになる。そのため、トルクダウン復帰時期の修正が不十分で、エンドショックが発生してしまったとしても、次回以降の変速動作時には、トルクダウン復帰時期の修正不足を解消してエンドショックの発生が抑制されるようになる。
請求項11に記載の発明は、請求項1〜8のいずれか1項に記載の有段自動変速機の変速制御装置において、変速終了時にエンドショックが発生し易い状況となっているか否かを判定するエンドショック発生可能性判定手段と、変速終了後のエンドショックの発生の有無を検出するエンドショック検出手段と、前記エンドショック発生可能性判定手段により変速終了時にエンドショックが発生し易い状況となっていると判定されたとき、及び前記エンドショック検出手段により前記エンドショックの発生有りが検出されたときの双方において、次回以降の前記トルクダウン復帰時期の修正度合が大きくなるように同トルクダウン復帰時期の修正量を補正する補正手段と、を備えることをその要旨としている。
上記構成では、今回の変速動作の終了時にエンドショックが発生し易い状況となっていると判定されたとき、及び今回の変速動作の終了後にエンドショックの発生が実際に検出されたときには、次回以降の変速動作におけるトルクダウン復帰時期の修正度合が大きくなるように、トルクダウン復帰時期の修正量が補正されるようになる。そのため、トルクダウン復帰時期の修正が不十分で、エンドショックが発生し易い状況になってしまったり、実際にエンドショックが発生したりしても、次回以降の変速動作時には、トルクダウン復帰時期の修正不足を解消してエンドショックの発生が抑制されるようになる。
請求項12に記載の発明は、請求項11に記載の有段自動変速機の変速制御装置において、前記補正手段は、前記エンドショック検出手段により前記エンドショックの発生有りが検出されたときには、前記エンドショック検出手段により前記エンドショックの発生有りが検出されず、且つ前記エンドショック発生可能性判定手段により変速終了時にエンドショックが発生し易い状況となっていると判定されたときに比して、前記次回以降の前記トルクダウン復帰時期の修正度合を大きくすることをその要旨としている。
上記構成では、エンドショックの発生有りが検出されずに、単に変速終了時にエンドショックが発生し易い状況となっていると判定されただけのときには、実際にエンドショックの発生有りが検出されたときに比して、次回以降のトルクダウン復帰時期の修正度合を大きくするようにしている。そのため、実際にエンドショックが発生してしまったときには、単にその発生の可能性が有ることが推定されただけのときに比して、次回以降のトルクダウン復帰時期が大きく修正されるようになり、エンドショック発生を好適に抑制することができるようになる。
請求項13に記載の発明は、請求項11又は12に記載の有段自動変速機の変速制御装置において、前記エンドショック検出手段は、前記エンドショック発生可能性判定手段により変速終了時にエンドショックが発生し易い状況となっていると判定され、且つ変速終了後の変速機入力軸の回転速度の揺らぎの度合が大きいときに前記エンドショックの発生有りを検出することをその要旨としている。
上記構成では、変速終了時にエンドショックが発生し易い状況となっていると判定され、且つ変速終了後の変速機入力軸の回転速度の揺らぎの度合が大きいときにエンドショックの発生有りが検出されるようになる。そのため、トルクダウン復帰時期の修正不足によるエンドショックの発生に起因する変速終了後の変速機入力軸の回転速度の揺らぎと、それ以外の要因による変速終了後の変速機入力軸の回転速度の揺らぎと、を明確に区別して、エンドショックの発生有りを的確に検出することができるようになる。
請求項14に記載の発明は、請求項9、11〜13のいずれか1項に記載の有段自動変速機の変速制御装置において、前記エンドショック発生可能性判定手段は、変速終了時における前記目標基準トルクと前記推定トルクとの差分に基づいて、変速終了時にエンドショックが発生し易い状況となっているか否かを判定することをその要旨としている。
上記構成では、変速終了時における目標基準トルクと推定トルクとの差分に基づいて、変速終了時にエンドショックが発生し易い状況となっているか否かが、すなわちエンドショック発生の可能性の有無が判定されるようになる。トルクダウン復帰時期の修正が不十分で、変速終了回転同期タイミング迄にトルクダウンからの復帰が未だ十分なされていないときには、変速終了時の上記差分は大きくなったままとなる。そのため、上記差分に基づくことで、変速終了時にエンドショックが発生し易い状況となっているか否かを好適に判定することができるようになる。
請求項15に記載の発明は、請求項14に記載の有段自動変速機の変速制御装置において、前記補正手段は、前記変速終了時における前記目標基準トルクと前記推定トルクとの差分が大きいときほど、前記トルクダウン復帰時期の修正度合が大きくなるように同トルクダウン復帰時期の修正量を補正することをその要旨としている。
上記構成では、変速終了時における目標基準トルクと推定トルクとの差分が大きいときほど、トルクダウン復帰時期の修正度合が大きくなるように修正量Tcが補正されるようになる。変速終了時における目標基準トルクと推定トルクとの差分が大きいときほど、エンドショックが発生し易い状況にあると考えられる。そのため、上記差分が大きいときほど、トルクダウン復帰時期の修正度合を大きくすることで、次回以降の変速動作時のエンドショックの発生を好適に抑制することができるようになる。
請求項16に記載の発明は、請求項10〜12のいずれか1項に記載の有段自動変速機の変速制御装置において、前記エンドショック検出手段は、変速終了後の変速機入力軸の回転速度の揺らぎを測定し、その揺らぎの度合に基づいて前記エンドショックの発生の有無を検出することをその要旨としている。
上記構成では、変速終了後の変速機入力軸の回転速度の揺らぎが測定され、その揺らぎの度合に基づいてエンドショックの発生の有無が検出されるようになる。エンドショックが発生すれば、変速終了後の変速機入力軸の回転速度に大きい揺らぎが発生することから、その揺らぎの度合に基づくことで好適にエンドショック発生の有無を検出することができるようになる。
以下、本発明に係る有段自動変速機の変速制御装置を具体化した一実施形態を、図1〜図12を参照して詳細に説明する。以下では、車両に搭載される変速制御装置に本発明を適用した場合について説明する。もっとも、本発明は、内燃機関の出力軸の回転を変速して出力する有段自動変速機の変速動作に際して、吸入空気量を減量しての内燃機関のトルクダウンを実施する変速制御装置であれば、車両に搭載されるもの以外にもその適用が可能である。
図1は、本実施の形態の有段自動変速機の変速制御装置の全体構成を示している。
同図に示すように、内燃機関10の吸気通路11には、吸気通路11内を流れる空気の流量を、ひいては内燃機関10の吸入空気量を検出するエアフローメータ12が設置され、その下流には、吸入空気量を調整するためのスロットルバルブ13が設置されている。内燃機関10の燃焼室14には、吸気通路11を通じて導入された空気と、インジェクタ15から噴射供給された燃料との混合気が導入され、点火プラグ16による火花着火を通じてその内部で燃焼される。基本的にインジェクタ15からの燃料噴射の量は、エアフローメータ12により検出された吸入空気量に基づいて、混合気中の空気と燃料との比率が一定の値に維持されるように制御されている。よって内燃機関10の出力軸であるクランクシャフト17のトルク(機関トルク)は、概ね吸入空気量に応じて変化されるようになっている。
こうした内燃機関10のクランクシャフト17は、トルクコンバータ18を介して有段自動変速機20の入力軸(変速機入力軸)に接続されている。この有段自動変速機20は、遊星歯車機構と複数個の摩擦係合機構(クラッチ、ブレーキ)とを備え、油圧回路21の組み替えによる油圧制御を通じて摩擦係合機構の係合を選択的に切り換えることで、複数個の変速段のうちのいずれかが達成されるように構成されている。そして有段自動変速機20は、車両の走行条件に適した変速段を設定して、内燃機関10の出力軸の回転を変速してその出力軸である変速機出力軸から駆動輪側に出力するようにしている。
以上のような内燃機関10及び有段自動変速機20の制御は、電子制御ユニット30により行われる。電子制御ユニット30は、機関制御や変速機制御のための各種の演算処理を実施する中央演算処理装置(CPU)、制御用のプログラムやデータが記憶されたリードオンリーメモリ(ROM)、CPUの演算結果を一時記憶するランダムアクセスメモリ(RAM)、及び外部との信号の入出力を行う入/出力ポート(I/O)を備えて構成されている。こうした電子制御ユニット30の入力ポートには、エアフローメータ12を始め、内燃機関10や有段自動変速機20の動作を検出するための各種のセンサが接続されている。こうしたセンサとしては、例えばスロットルバルブ13の開度を検出するスロットルセンサ31、クランクシャフト17の回転速度、すなわち機関回転速度を検出するNEセンサ32、アクセル操作量を検出するアクセルセンサ33、車速を検出する車速センサ34、変速機入力軸の回転速度を検出するNTセンサ35、車両の加速度を検出する加速度センサ36などがある。
一方、電子制御ユニット30の出力ポートには、上記スロットルバルブ13、インジェクタ15、点火プラグ16等が接続されており、上記センサの検出結果に基づいてこれらに指令信号を出力することで、内燃機関10の制御を行っている。また電子制御ユニット30の出力ポートには、有段自動変速機20の油圧回路21に設けられた各種のコントロールソレノイドが接続されており、これらに対する指令信号の出力を通じて有段自動変速機20の変速段の切替制御を行っている。
次に、こうした本実施の形態の変速制御装置におけるパワー・オン・アップシフト、すなわちアクセルが踏み込まれた状態でアップシシフトを行なうときの基本的な変速動作について説明する。図2は、変速動作中のアップシフト要求指令、トルクダウン開始指令、トルクダウン復帰指令、変速機入力軸の回転速度、機関トルク、及び変速機出力軸の実トルク、の推移をそれぞれ示している。
まず時刻t0においてアップシフト実行指令が「ON」とされると、電子制御ユニット30は、有段自動変速機20の油圧回路21に、上段への変速段の切り替えを指令する。これにより、有段自動変速機20では、変速のための摩擦係合機構の係合状態の切り替えが行われるようになる。
ただし、こうした有段自動変速機20の摩擦係合機構の係合状態の切り替えが開始される迄には、油圧回路21のサーボ系の応答遅れのため、ある程度の時間(例えば0.5秒程度)を要する。時刻t1において、こうした応答遅れ期間が終り、摩擦係合機構の係合状態の切り替えが開始されると、有段自動変速機20の回転メンバに変速のための回転速度変化が生じる、いわゆるイナーシャ相に移行する。
イナーシャ相に移行した時刻t1には、トルクダウン開始指令が「ON」とされ、吸入空気量の低減のためのスロットル開度の調整が開始される。そしてこれにより、内燃機関10のトルクダウンが開始されるようになる。
その後、摩擦係合機構の係合摩擦により、有段自動変速機20の回転メンバの回転同期がなされる。そして時刻t2には、トルクダウン復帰指令が「ON」とされ、スロットル開度が戻される。これにより、上記回転メンバの回転同期が終了する変速終了回転同期タイミングである時刻t3迄に、内燃機関10がトルクダウンから復帰するように、機関トルクが増大される。
さて本実施の形態では、こうした一連の変速動作を、同図に示される4つの期間(フェーズ)に分け、各フェーズにおいて後述するような各処理を行うことで、変速終了後のエンドショックの発生を抑制するようにしている。
(フェーズ1):アップシフト要求からトルクダウンの開始指令迄の期間(時刻t0〜t1)
このフェーズ1では、アクセル操作量に基づいて設定される目標基準トルクtetrと、エアフローメータによる吸入空気量の検出値から推定される推定トルクtefwdとの定常偏差delteの算出が行われる。なお目標基準トルクtetrは、吸入空気量の減量が行われていないとしたときの機関トルクの目標値となっている。またこのフェーズ1では、機関回転速度と機関負荷とに基づいて、トルクダウン開始指令がなされてからトルクダウンが実際に開始されるまでの時間(トルクダウン応答遅れ時間)の理論値である理論遅れ時間T1_idealが算出される。更に、こうしたフェーズ1の終了時、すなわちトルクダウンの開始指令時には、そのときの目標基準トルクtetrと推定トルクtefwdとの差分に基づいて、トルクダウン開始の判定に使用されるトルクダウン開始判定値aの算出が行なわれる。
(フェーズ2):トルクダウン開始指令からトルクダウンが実際に開始される迄の期間(時刻t1〜t2)
このフェーズ2では、上記偏差delteとトルクダウン開始判定値aとの比較によるトルクダウンの開始判定を行うとともに、上記トルクダウン応答遅れ時間の実測が行われる。またこのフェーズ2には、そうしたトルクダウン応答遅れ時間の実測値である実遅れ時間T1_real に基づいてトルクダウン復帰時期の修正量Tcの算出が行われ、トルクダウン復帰時期が決定される。
(フェーズ3):トルクダウンの開始から変速終了回転同期タイミング迄の期間(時刻t2〜t3)
このフェーズ3では、フェーズ2にて決定されたトルクダウン復帰時期より、内燃機関10のトルクダウンからの復帰が開始される。またこのフェーズ3には、上記変速終了回転同期時期における目標基準トルクtetrと推定トルクtefwdとの差分に基づいて、エンドショック発生の可能性の有無が、すなわち変速終了時にエンドショックが発生し易い状況となっているか否かが判定される。
(フェーズ4):変速動作完了後の期間(時刻t3〜)
内燃機関10のトルクダウンからの復帰が完了し、変速動作が完了すると、その後の変速機入力軸の回転速度の揺らぎ度合の測定が行われ、その測定結果に基づいてエンドショックの発生の有無が判定される。なお、このフェーズ4でのエンドショック発生の有無、及び上記フェーズ3でのエンドショック発生の可能性の有無の判定結果は、次回以降のトルクダウン復帰時期の決定に反映されるようになっている。
続いて以上の各フェーズにおける処理の詳細を説明する。以下では、まずフェーズ1において実行される3つの処理、すなわち定常偏差delteの算出に係る処理、トルクダウン開始判定値aの算出に係る処理、及び理論遅れ時間T1_idealの算出に係る処理の詳細を順に説明する。
(定常偏差delteの算出)
上述したように、本実施の形態では、目標基準トルクtetrと推定トルクtefwdとの差分に基づいてトルクダウン開始時期を検出するようにしている。なお本来であれば、目標基準トルクtetrと推定トルクtefwdとは、トルクダウンの実施中以外は、一致する筈である。ただし実際には、目標基準トルクtetrと推定トルクtefwdと間に定常偏差が存在していることがある。そこで本実施の形態では、フェーズ1において、こうした定常偏差delteを求めるようにしている。
図3は、こうした定常偏差delteの算出を行うための「定常偏差算出ルーチン」のフローチャートを示している。本ルーチンの処理は、フェーズ1の間、電子制御ユニット30により周期的に繰り返し実行されるものとなっている。
本ルーチンが開始されると、電子制御ユニット30はまず、ステップS10において、アップシフト実行指令が「ON」であるか否かを確認する。そしてアップシフト実行指令が「OFF」であれば(S10:NO)、そのまま今回の本ルーチンの処理を終了する。
一方、アップシフト実行指令が「ON」であれば(S10:YES)、電子制御ユニット30は、ステップS20において、そのときの目標基準トルクtetrと推定トルクtefwdと差(tetr−tefwd)を取って、これを定常偏差delteとして算出する。続いて電子制御ユニット30は、ステップS30において、トルクダウン開始指令が「ON」であるか否かを確認する。ここで電子制御ユニット30は、トルクダウン開始指令が「ON」であれば(S30:YES)、ステップS40においてそのときの定常偏差delteを、後の処理で使用する最終的な定常偏差の値として記憶保持し、「OFF」であれば(S30:NO)、そのまま今回の本ルーチンの処理を終了する。すなわち、ここでは、トルクダウン開始指令が出された時点における目標基準トルクtetrと推定トルクtefwdと差が、それらの定常偏差delteとして求められている。
なおフェーズ1においては、目標基準トルクtetrと推定トルクtefwdと差(tetr−tefwd)の最大値が求められてもいる。そしてその最大値が規定の判定レベルを超えるときには、後述する、次回以降のトルクダウン復帰時期に対する、エンショショック発生の可能性の有無、及びエンドショック発生の有無の判定結果の反映を行わないようにしている。
(トルクダウン開始判定値aの算出)
上記のように本実施の形態では、目標基準トルクtetrと推定トルクtefwdと差分とトルクダウン開始判定値aとの比較により、トルクダウン開始時期を検出するようにしている。ここでのトルクダウン開始判定値aは、上記定常偏差delteに基づき算出されるウィンドウwindowと、トルクダウン要求量tedwreqと機関運転条件とに基づき算出されるアームarmとの2つの値により決定される。
図4は、こうしたトルクダウン開始判定値aの算出を行うための「トルクダウン開始判定値算出ルーチン」のフローチャートを示している。本ルーチンの処理は、フェーズ1の間、電子制御ユニット30により周期的に繰り返し実行されるものとなっている。
さて本ルーチンが開始されると、電子制御ユニット30はまずステップS100において、直前にトルクダウン開始指令が「OFF」から「ON」に切り替えられたか否かを確認する。ここで電子制御ユニット30は、そうしたトルクダウン開始指令の切り替え直後でなければ(S100:NO)、そのまま今回の本ルーチンの処理を終了する。
一方、直前にトルクダウン開始指令が「OFF」から「ON」に切り替えられたのであれば、電子制御ユニット30は、ステップS110において、上記定常偏差delteに基づいてウィンドウwindowを算出する。このときのウィンドウwindowの算出は、図5に示すような演算マップを用いて行われる。同図に示すように、ウィンドウwindowは、定常偏差delteの値が大きい程、大きい値に設定される。
続いて電子制御ユニット30は、図4のステップS120において、アームarmを算出する。ここでのアームarmの算出は、下式(1)に基づいて行われる。下式において「tedwreq」は、そのときのトルクダウン要求量を示している。また下式における「α」は、そのときの機関運転条件(機関回転速度、機関負荷)に基づいて設定される、「T1想定tefwd到達率」と呼ばれる係数であり、その値は、「0」〜「1」までの値を取る。具体的には、T1想定tefwd到達率αは、機関回転速度及び機関負荷に基づく演算マップを用いて算出され、吸入空気量の変更に応じた機関トルクの変化の応答速度が高い機関運転条件にあるときほど大きい値、すなわち「1」に近い値に設定される。例えば機関回転速度が高い程、上記応答速度は高くなるため、T1想定tefwd到達率αの値は大きく設定されるようになっている。

arm=tedwreq×α …(1)

そして電子制御ユニット30は、続くステップS130において、上記アームarmと上記ウィンドウwindowとを加算した値(=arm+window)を、トルクダウン開始判定値aとして算出して、本ルーチンの処理を終了する。
(理論遅れ時間T1_idealの算出)
またフェーズ1では、トルクダウン開始指令がなされてからトルクダウンが実際に開始されるまでの時間(トルクダウン応答遅れ時間)の理論値である理論遅れ時間T1_idealが算出される。本実施の形態では、実験やシミュレーションにより、上記時間を機関運転条件毎に予め求めておき、その結果を演算マップとして電子制御ユニット30のROMに記憶しておくことで、理論遅れ時間T1_idealの算出を行うようにしている。なお本実施の形態では、そうした理論遅れ時間T1_idealの算出用の演算マップを機関回転速度域毎にそれぞれ用意しておき、現在の機関回転速度に対応した機関回転速度域の演算マップを用いて理論遅れ時間T1_idealの算出を行うようにしている。図6は、ある機関回転速度域についての、そうした演算マップの一例を示している。
図7は、理論遅れ時間T1_idealの算出を行うための「理論遅れ時間算出ルーチン」のフローチャートを示している。本ルーチンの処理は、フェーズ1の間、電子制御ユニット30により周期的に繰り返し実行されるものとなっている。
さて本ルーチンが開始されると、電子制御ユニット30はまず、ステップS200において、直前にトルクダウン開始指令が「OFF」から「ON」に切り替えられたか否かを確認する。ここでそうしたトルクダウン開始指令の切り替えがなされていなければ(S200:NO)、電子制御ユニット30はそのまま今回の本ルーチンの処理を終了する。一方、トルクダウン開始指令が「ON」に切り替えられた直後であれば(S200:YES)、電子制御ユニット30は、ステップS210において、上記のような演算マップを用いて、機関回転速度及び機関負荷に基づいて理論遅れ時間T1_idealを算出し、その後、今回の本ルーチンの処理を終了する。
(実遅れ時間T1_real の測定及びトルクダウン復帰時期の修正量Tcの算出)
次に、フェーズ2において実行されるトルクダウン応答遅れ時間の測定、及びその測定結果に基づくトルクダウン復帰時期の修正量Tcの算出に係る処理の詳細を説明する。
トルクダウン開始指令が「ON」とされると、トルクダウン量が要求量に達する迄、吸入空気量の減量による内燃機関10のトルクダウンが実行される。ここで上記のように、目標基準トルクtetrは、そうしたトルクダウンのための吸入空気量の減量が行われていないとしたときの機関トルクの目標値を示すものとなっている。そのため、吸入空気量の検出値に基いて算出された実際のトルクの推定値である推定トルクtefwdとこの目標基準トルクtetrとの差分は、内燃機関10のトルクダウンに従って増大するようになる。
本実施の形態の変速制御装置では、こうした目標基準トルクtetrと推定トルクtefwdとの差分に基づいて実際のトルクダウン開始時期を検出するようにしている。具体的には、そうした差分が、フェーズ1において算出されたトルクダウン開始判定値a(=arm+window)を上回ったときに、トルクダウンが開始されたものと判定することで、トルクダウン開始時期を検出するようにしている。
そして本実施の形態では、トルクダウン開始要求が「ON」とされたときから、その検出されたトルクダウン開始時期までの時間(実遅れ時間T1_real )を測定するようにしている。そして先に算出された理論遅れ時間T1_idealと、その測定された実遅れ時間T1_real との差分に基づいて、トルクダウン復帰時期の修正量Tcを算出するようにしている。
本実施の形態でのトルクダウン復帰時期の修正量Tcの算出は、下式(2)に基づいて行われる。下式における「gT_cS」は、以前の変速時におけるエンドショック発生の可能性の有無に応じて設定されるゲインであり、「gT_cB」は、以前の変速時におけるエンドショック発生の有無に応じて設定されるゲインである。なお詳細は後述するが、本実施の形態では、これらゲインgT_cS、gT_cBによる修正量Tcの補正を通じて、上記補正手段による次回以降のトルクダウン復帰時期の修正度合が大きくなるような修正量の補正が行われるようになっている。

Tc=gT_cS×gT_cB×(T1_real −T1_ideal) …(2)

なお上式(2)にて算出された修正量Tcによるトルクダウン復帰時期の修正は、以下の態様で行われる。すなわち、電子制御ユニット30のROMには、予め実験やシミュレーション等により求められた各機関運転条件(機関回転速度、機関負荷)でのトルクダウン復帰時期の最適値が、演算マップとして記憶されている。電子制御ユニット30は、この演算マップを用いて、そのときの機関回転速度及び機関負荷におけるトルクダウン復帰時期の基本値を算出する。そして電子制御ユニット30は、その算出された基本値から上式(2)で得られた修正量Tcを減算したものを、最終的なトルクダウン復帰時期として設定する。
ここで上記ゲインgT_cS,gT_cBを無視すれば、トルクダウン復帰時期の修正量Tcは、トルクダウンの開始要求から実際のトルクダウン開始までの時間の理論値(理論遅れ時間T1_ideal)と実測値(実遅れ時間T1_real )とのずれと同量に設定される。すなわち、本実施の形態では、基本的には、トルクダウンの開始要求から実際のトルクダウン開始までの時間のずれの分だけ、トルクダウン復帰時期をずらすようにしている。なお、こうした態様でトルクダウン復帰時期の修正を行うのは、トルクダウンの開始時期が想定よりも早ければ、最適なトルクダウンの復帰時期も想定よりその分早くなり、逆にトルクダウンの開始時期が想定よりも遅ければ、最適なトルクダウンの復帰時期も想定よりその分遅くなる、と考えられるからである。
なお本実施の形態では、上式(2)において理論遅れ時間T1_idealと実遅れ時間T1_real との差分に応じて設定される修正量Tcによってトルクダウン復帰時期を修正することで、上記復帰時期修正手段によるトルクダウン開始時期の検出結果に応じたトルクダウン復帰時期の修正が行われるようになっている。
図8は、こうしたn実遅れ時間T1_real の測定及びトルクダウン復帰時期の修正量Tcの算出を行うための「実遅れ時間測定及びトルクダウン復帰時期修正量算出ルーチン」のフローチャートを示している。本ルーチンの処理は、電子制御ユニット30によって、フェーズ2の開始と共に実行されるものとなっている。
さて本ルーチンが開始されると、電子制御ユニット30はまずステップS300において、トルクダウン開始指令が「ON」であるか否かを確認する。ここでトルクダウン開始指令が「OFF」であれば(S300:NO)、電子制御ユニット30はそのまま本ルーチンの処理を終了する。
一方、トルクダウン開始指令が「ON」であれば(S300:YES)、電子制御ユニット30は、ステップS310において、実遅れ時間T1_real の測定用のカウンタのカウントを開始する。
続いて電子制御ユニット30は、ステップS320において、目標基準トルクtetrと推定トルクtefwdとの差分(tetr−tefwd)が、上記トルクダウン開始判定値a(=arm+window)よりも小さいか否かを確認する。この時点で既に上記差分がトルクダウン開始判定値a以上であれば(S320:NO)、電子制御ユニット30はそのまま本ルーチンの処理を終了する。
一方、このときの上記差分(tetr−tefwd)がトルクダウン開始判定値a(=arm−window)よりも小さければ(S320:YES)、電子制御ユニット30は以後、その差分がトルクダウン開始判定値a(=arm+window)を上回る(S330:YES)迄、上記カウンタのカウントアップを一定の周期毎に実行する。
その後、上記差分がトルクダウン開始判定値a(=arm+window)を上回ると(S330:YES)、電子制御ユニット30はステップS340において、そのときのカウンタの値を、実遅れ時間T1_real として記憶する。そして電子制御ユニットとともに、ステップS350において、上式(2)に基づいてトルクダウン復帰時期の修正量Tcの算出を行い、今回の本ルーチンの処理を終了する。
なお本実施の形態では、上記実遅れ時間測定及びトルクダウン復帰時期修正量算出ルーチンのステップS320の処理を通じて、上記開始時期検出手段による、吸入空気量の減量によるトルクダウン開始時期の検出が行われるようになっている。
(エンドショック発生の可能性の推定、及びゲインgT_cSの算出)
次にフェーズ3において実行されるエンドショック発生の可能性の推定、及びゲインgT_cSの算出に係る処理の詳細を説明する。
図9には、エンドショックの発生時及び非発生時のそれぞれにおける変速動作前後の変速機入力軸の回転速度、内燃機関の目標基準トルクtetr、推定トルクtefwd及び変速機出力軸の実トルクの推移が例示されている。同図に実線で示される状況では、トルクダウン復帰時期が適切に設定されており、変速終了回転同期タイミングである時刻t4には、内燃機関10のトルクダウンからの復帰がほぼ完了されている。そのため、このときには、エンドショックは発生せず、変速終了後の変速機入力軸の回転速度及び変速機出力軸の実トルクは安定した状態とされている。一方、同図に破線にて示される状況では、トルクダウン復帰時期が適切な時期から遅れて設定されており、エンドショックが発生している。そのため、このときの変速終了後の変速機入力軸の回転速度及び変速機出力軸の実トルクには、大きい変動(揺らぎ)が発生している。
ここで変速終了同期タイミングである時刻t4における目標基準トルクtetrと推定トルクtefwdとに着目すると、エンドショックの非発生時には、この時点では、既に内燃機関10のトルクダウンからの復帰がほぼ完了しており、目標基準トルクtetrと推定トルクtefwdとの差分は十分小さくなっている。一方、エンドショックの発生時には、この時刻t4には、未だ内燃機関10のトルクダウンからの復帰が十分なされておらず、目標基準トルクtetrと推定トルクtefwdとの差分は未だが大きいままとなっている。したがって、変速終了回転同期タイミングでの目標基準トルクtetrと推定トルクtefwdとの差分が十分縮小されていなければ、エンドショック発生の可能性が有ると、換言すれば、変速終了時にエンドショックが発生し易い状況となっていると判断することができる。
そこで本実施の形態の変速制御装置では、変速終了回転同期タイミングにおいて、そのときの上述の定常偏差delte分を除いた目標基準トルクtetrと推定トルクtefwdとの差分を確認する。そしてその差分が、規定のエンドショック発生可能性判定値bよりも大きいときには、変速終了時にエンドショック発生が発生し易い状況となっていると、すなわちエンドショック発生の可能性有りと判定するようにしている。こうしてエンドショックの可能性有りと判定されたときには、今回の変速動作における上記修正量Tcによるトルクダウン復帰時期の修正が不十分であったと考えられる。したがって、このときには、次回以降の変速動作におけるトルクダウン復帰時期の修正度合が大きくなるように修正量Tcを補正することで、次回以降の変速動作時のエンドショックの発生を回避乃至は抑制するようにしている。
本実施の形態では、こうしたエンドショック発生の可能性の推定結果に応じた修正量Tcの補正を、その修正量Tcの算出に使用する上式(2)におけるゲインgT_cSの値を操作することで行うようにしている。このゲインgT_cSは、「1」以上の値を取り、前回の変速動作においてエンドショック発生の可能性有りと判定されたときには、その値が「1」よりも大きい値に設定されるようになっている。また前回の変速動作における変速終了回転同期タイミングにおける定常偏差delte分を除いた目標基準トルクtetrと推定トルクtefwdとの差分が、上記エンドショック発生可能性判定値を超えて大きくなる程、ゲインgT_cSが大きい値に設定されるようになっている。
ただし、本実施の形態では、フェーズ1における目標基準トルクtetrと推定トルクtefwdと差(tetr−tefwd)の最大値が規定の判定レベルを超えるときには、たとえエンドショック発生の可能性有りと判定されていても、上記ゲインgT_cSの設定は行わないようにしている。すなわち、トルクダウンの開始前から目標基準トルクtetrと推定トルクtefwdとの差分が大きいときには、変速終了時の同差分が大きくとも、それが、トルクダウン復帰時期の修正不足に依るものかどうかは不確かと考えられる。よって本実施の形態では、そうした状況では、エンドショック発生の可能性の推定結果に応じた修正量Tcの補正を行わないようにしている。
図10は、こうしたエンドショック発生の可能性の推定、及びゲインgT_cSの算出を行うための「エンドショック発生可能性推定及びゲインgT_cS算出ルーチン」のフローチャートを示している。本ルーチンの処理は、フェーズ3において、電子制御ユニット30により周期的に繰り返し実行されるようになっている。
さて本ルーチンの処理が開始されると、電子制御ユニット30はまず、ステップS400において、変速終了時、すなわち変速終了回転同期タイミングであるか否かを確認する。ここで変速終了回転同期タイミングでなければ(S400:NO)、電子制御ユニット30はそのまま今回の本ルーチンの処理を終了する。
一方、電子制御ユニット30は、変速終了回転同期タイミングであれば(S400:YES)、ステップS410において、そのときの定常偏差delteを除いた目標基準トルクtetrと推定トルクtefwdとの差分(=tetr−tefwd−delte)を算出する。そしてその差分が、上記エンドショック発生可能性判定値bを上回っているか否かを確認する。
ここで上記差分がエンドショック発生可能性判定値以下であれば(S410:NO)、電子制御ユニット30は、ゲインgT_cSの値をそれまでの値に維持したまま、本ルーチンの処理を終了する。一方、電子制御ユニット30は、上記差分がエンドショック発生可能性判定値を超えていれば(S410:YES)、その差分の大きさに応じてゲインgT_cSの値を更新して本ルーチンの処理を終了する。ここで更新されたゲインgT_cSの値は、次回以降の変速動作時におけるトルクダウン復帰時期の修正量Tcの算出に用いられることになる。
なお本実施の形態では、上記エンドショック発生可能性推定及びゲインgT_cS算出ルーチンにおけるステップS410の処理を通じて、上記エンドショック発生可能性判定手段による変速終了時にエンドショックが発生し易い状況となっているか否かの判定が行われるようになっている。
(エンドショック発生の検出、及びゲインgT_cBの算出)
続いてフェーズ4に実行されるエンドショック発生の検出、及びゲインgT_cBの算出に係る処理の詳細を説明する。
先の図9に示したように、トルクダウン復帰時期が適切な時期から遅れ、エンドショックが発生すると、変速終了後の変速機入力軸の回転速度に大きい変動(揺らぎ)が発生する。そこで本実施の形態の変速制御装置では、変速終了後における変速機入力軸の回転速度の揺らぎの発生の有無を確認することで、エンドショックが発生したか否かを検出するようにしている。
こうしたエンドショック発生の検出は、具体的には、図11に示される態様で行われる。エンドショック発生検出に際してはまず、変速終了後において、回転速度の揺らぎが全く発生しないと仮定したときの変速機入力軸の回転速度NTの予想した仮想NT線を求める。より厳密には、この仮想NT線は、回転速度の揺らぎが全く発生しないと仮定したときの、変速終了後における変速機入力軸の回転速度NTと時間との関係式を一次関数として表したものである。この仮想NT線は、今回の変速動作の開始時、すなわちアップシフト実行指令の「ON」時からの車両の加速度と、変速終了回転同期タイミングにおける変速機入力軸の回転速度とから求められる。より詳しくは、仮想NT線は、同図11に破線にて示されるような直線として求められる。そして、この仮想NT線から、回転速度の揺らぎが無いときの、現時点での変速機入力軸の回転速度の予想値である仮想NTを求めるようにしている。
変速終了の直後には、多かれ、少なかれ、変速機入力軸の回転速度にアンダーシュートが発生する。そこで変速終了後の仮想NTと実際の変速機入力軸の回転速度(実NT)との差から、変速機入力軸の回転速度のアンダーシュート量(=仮想NT−実NT)を求めるようにしている。そしてそのアンダーシュート量が規定の判定値βを上回っている期間の長さを測定する。このアンダーシュート期間の長さの測定は、仮想NTに対する実NTのアンダーシュート量が上記判定値βを上回った時点より、カウントアップの開始されるアンダーシュートカウンタAの値に基づいて行われる。このアンダーシュートカウンタAのカウントアップは、仮想NTに対する実NTのアンダーシュート量が上記判定値β以下となるまで、一定の周期で継続される。そしてこの間に、アンダーシュートカウンタAの値が規定の判定値γを上回ると、エンドショック発生時に見られる規模の大きい変速機入力軸の回転速度のアンダーシュートが発生したことを示すアンダーシュートフラグがセットされるようになっている。
一方、変速機入力軸の回転速度は、こうした変速終了後のアンダーシュートが収まると、今度は、オーバーシュートに転じるようになる。そこでここでは、上記アンダーシュートの場合と同様にして、そうしたオーバーシュートの期間の長さを測定するようにしている。すなわち、このオーバーシュート期間の長さの測定は、仮想NTに対する実NTのオーバーシュート量(=実NT−仮想NT)が上記判定値βを上回った時点より、カウントアップの開始されるオーバーシュートカウンタBの値に基づいて確認される。このオーバーシュートカウンタBのカウントアップは、仮想NTに対する実NTのオーバーシュート量が上記判定値β以下となるまで、一定の周期で継続される。そしてこの間に、オーバーシュートカウンタBの値が規定の判定値γを上回ると、エンドショック発生時に見られる規模の大きい変速機入力軸の回転速度のオーバーシュートが発生したことを示すオーバーシュートフラグがセットされるようになっている。
そして本実施の形態の変速制御装置では、上記フェーズ3において変速終了時にエンドショックが発生し易い状況にあるとの判定がなされていること、及び測定の開始からの経過時間が規定時間に達する迄に、上記アンダーシュートフラグ及びオーバーシュートフラグが双方共にセットされていること、の2つの条件が成立しているか否かを確認する。そして上記2つの条件が共に成立していれば、今回の変速動作に伴いエンドショックが発生したものと判定するようにしている。ここでエンドショックの発生が検出された場合には、今回の変速動作における上記修正量Tcによるトルクダウン復帰時期の修正が不十分であったものとし、次回以降の変速動作におけるトルクダウン復帰時期の修正度合が大きくなるように修正量Tcを補正するようにしている。
本実施の形態では、こうしたエンドショック発生の検出結果に応じた修正量Tcの補正を、その修正量Tcの算出に使用する上式(2)におけるゲインgT_cBの値を操作することで行うようにしている。このゲインgT_cBは、「1」以上の値を取り、前回の変速動作においてエンドショックの発生有りが検出されたときには、その値が「1」よりも大きい値に設定されるようになっている。なお、こうしたゲインgT_cBによる上記修正量Tcの修正度合は、エンドショック発生の可能性有りが推定されたときの上記ゲインgT_cSによる修正量Tcの修正度合よりも大きくされている。すなわち、本実施の形態では、エンドショックの発生有りが実際に検出されたときには、エンドショックの発生有りが検出されずに、単にエンドショックが発生し易い状況にあるとの判定のみがなされたときに比して、次回以降のトルクダウン復帰時期の修正度合は大きくされている。
図12は、以上のようなエンドショック発生の検出を行うための「エンドショック発生検出ルーチン」のフローチャートを示している。本ルーチンの処理は、本ルーチンの処理は、フェーズ4の開始と共に、電子制御ユニット30により実行されるものとなっている。
さて本ルーチンが開始されると、電子制御ユニット30はまずステップS500において、変速終了回転同期タイミングであるか否かを確認する。ここで電子制御ユニット30は、変速終了回転同期タイミングでなければ(S500:NO)、そのまま本ルーチンの処理を終了する。
一方、変速終了回転同期タイミングであれば(S500:YES)、電子制御ユニット30は、ステップS510において、測定の開始からの経過時間を計測するためのタイマをスタートさせる。そして電子制御ユニット30は、続くステップS520〜S540において、上述の仮想NT線を算出する。すなわち、電子制御ユニット30は、ステップS520において、変速開始時から現在(変速終了回転同期タイミング)までの変速機入力軸の加速度を求めて記憶し、ステップS530において、現在の変速機入力軸の回転速度NTを記憶する。そして電子制御ユニット30は、ステップS540において、それらの記憶された加速度及び回転速度から仮想NT線を算出する。
仮想NT線を算出すると、電子制御ユニット30は、変速機入力軸の回転速度のアンダーシュート期間、及びオーバーシュート期間の測定を開始する。すなわち、電子制御ユニット30は、ステップS610において、仮想NTに対する実NTのアンダーシュート量(=仮想NT−実NT)が上記判定値βを上回っているか否かを確認する。そして電子制御ユニット30は、上記アンダーシュート量が上記判定値βを上回っている間は(S610:YES)、ステップS620の処理を通じてアンダーシュートカウンタAのカウントアップを一定周期で実行する。ここでそうしたカウントアップの実行中にアンダーシュートカウンタAの値が上記判定値γを上回れば(S630:YES)、電子制御ユニット30はステップS640において、アンダーシュートフラグをセットする。
一方、電子制御ユニット30は、仮想NTに対する実NTのアンダーシュート量が上記判定値β以下であれば(S610:NO)、ステップS650において、仮想NTに対する実NTのオーバーシュート量(=実NT−仮想NT)が上記判定値βを上回っているか否かを確認する。そして電子制御ユニット30は、上記オーバーシュート量が上記判定値βを上回っている間は(S650:YES)、ステップS660の処理を通じてオーバーシュートカウンタBのカウントアップを一定周期で実行する。ここでそうしたカウントアップの実行中にオーバーシュートカウンタBの値が上記判定値γを上回れば(S670:YES)、電子制御ユニット30はステップS680において、オーバーシュートフラグをセットする。
以上のステップS610〜S680の処理は、測定の開始からの経過時間が規定時間に達するか(S600:YES)、ステップS680においてオーバーシュートフラグがセットされるかまで繰り返し実行される。そして、そうした処理の繰り返しから抜けると、電子制御ユニット30は、ステップS700において、アンダーシュートフラグ及びオーバーシュートフラグが双方共にセットされているか否かを確認する。ここで両フラグが共にセットされており(S700:YES)、且つフェーズ3においてエンドショック発生の可能性有りと判定されていれば(S710:YES)、電子制御ユニット30は、ステップS720において、今回の変速動作に伴うエンドショック発生有りを検出する。
こうしてエンドショック発生有りが検出されると、電子制御ユニット30は、上記ゲインgT_cBを「1」よりも大きい値に設定して、次回以降の変速動作におけるトルクダウン復帰時期の修正度合がより大きくなるように修正量Tcを補正する。
ただし、本実施の形態では、フェーズ1における目標基準トルクtetrと推定トルクtefwdと差(tetr−tefwd)の最大値が規定の判定レベルを超えるときには、たとえエンドショック発生有りが検出されたとしても、上記ゲインgT_cBの設定は行わないようにしている。すなわち、トルクダウンの開始前から目標基準トルクtetrと推定トルクtefwdとの差分が大きいときには、変速終了後の変速機入力軸の回転速度の揺らぎの度合が大きくとも、それが、トルクダウン復帰時期の修正不足に依るものかどうかは不確かと考えられる。よって本実施の形態では、そうした状況では、エンドショック発生の検出結果に応じた修正量Tcの補正を行わないようにしている。
なお本実施の形態では、上記エンドショック発生検出ルーチンの処理を通じて、上記エンドショック検出手段による変速終了後のエンドショックの発生の有無の検出が行われるようになっている。
図13に、以上説明した本実施の形態の変速機制御装置の制御態様の一例を示す。同図において時刻t10には、アップシフト実行指令が「ON」とされ、以後、変速動作が開始される。この時刻t10からイナーシャ相に移行する時刻t11までのフェーズ1では、目標基準トルクtetrと推定トルクtefwdとの定常偏差delteが求められ、またトルクダウン応答遅れ時間の理論値である理論遅れ時間T1_idealの算出が行われる。更にフェーズ1の終了時、すなわちトルクダウンの開始指令時には、そのときの目標基準トルクtetrと推定トルクtefwdとの差分に基づいて、トルクダウン開始の判定に使用されるトルクダウン開始判定値aの算出が行なわれる。
イナーシャ相に移行した時刻t11には、トルクダウン開始指令が「ON」とされ、吸入空気量の減量による内燃機関10のトルクダウンが開始される。そしてこの時刻t11からは、トルクダウン応答遅れ時間の実測値である実遅れ時間T1_real の測定が開始される。実遅れ時間T1_real の測定は、上記目標基準トルクtetrと推定トルクtefwdとの差分がトルクダウン開始判定値aを上回ってトルクダウンの開始が検出される時刻t12まで行われる。そしてトルクダウン開始指令が「ON」とされた時刻t11から実質的なトルクダウンの開始が検出された時刻t12迄の時間として、実遅れ時間T1_real が測定される。
一方、こうして測定された実遅れ時間T1_real とその理論値として求められた上記理論遅れ時間T1_idealとの差分によっては、トルクダウン復帰時期の修正量Tcが算出される。同図の例では、実遅れ時間T1_real は理論遅れ時間T1_idealよりも短くなって、すなわち、トルクダウン開始時期が想定よりも早くなっている。この場合、最適なトルクダウン復帰時期は、想定よりも早くなることから、このときのトルクダウン復帰時期は、修正量Tcによる修正により、機関回転速度及び機関負荷に基づき算出されたトルクダウン復帰時期の基本値よりも早い時期に設定される。そのため、変速終了回転同期タイミングである時刻t13には、内燃機関10のトルクダウンからの復帰がほぼ完了するようになり、エンドショックの発生は回避されるようになる。
比較例として同図には、こうしたトルクダウン復帰時期の修正を行わなかったときの変速機入力軸の回転速度、推定トルクtefwd及び変速機出力軸の実トルクの推移が破線にて示されている。この場合、トルクダウン復帰時期が最適な時期よりも遅くなってしまうことから、変速終了回転同期タイミングである時刻t13には、内燃機関10のトルクダウンからの復帰が未だ十分に果せないでいるようになる。そのため、エンドショックが発生し、変速終了後の変速機入力軸の回転速度及び変速機出力軸の実トルクの大きい揺らぎが発生してしまうようになる。
なお、上記トルクダウン復帰時期の修正が不十分で、エンドショックの発生を十分に防止できなかったには、エンドショック発生の可能性有りと判定がなされ、またエンドショック発生有りの検出がなされ、次回以降の変速動作におけるトルクダウン復帰時期の修正度合が増大される。そのため、エンドショックが発生してしまった場合にも、次回以降の変速動作に際しては、その発生が抑制されるように、トルクダウン復帰時期が好適に修正されるようになる。
以上説明した本実施形態の有段自動変速機の変速制御装置によれば、次の効果を奏することができる。
(1)本実施形態では、吸入空気量の減量によるトルクダウン開始時期を検出するとともに、そのトルクダウン開始時期の検出結果に応じてトルクダウン復帰時期を修正するようにしている。吸入空気量の調整による内燃機関のトルクダウンやそのトルクダウンからの復帰には、大きい応答遅れがあるため、トルクダウンの開始時期が想定から大きくずれてしまうことがある。そしてトルクダウン開始時期にずれがあれば、エンドショックの発生を回避可能な最適なトルクダウンからの復帰の時期にも、ずれが生じてしまうようになる。その点、本実施の形態では、吸入空気量の減量によるトルクダウン開始時期の検出結果に応じてトルクダウン復帰時期が修正されるため、トルクダウン開始時期が想定とは異なっていても、適切な時期にトルクダウンからの復帰を行うことができるようになる。したがって、有段自動変速機の変速動作に際して吸入空気量を減量しての内燃機関のトルクダウンを実施する場合におけるエンドショックの発生を好適に抑制することができる。
(2)本実施の形態では、吸入空気量の減量が行われていないとしたときの機関トルクの目標値である目標基準トルクtetrと、吸入空気量の検出値から推定される機関トルクの推定値である推定トルクtefwdとの差分に基づいてトルクダウン開始時期の検出を行うようにしている。より具体的には、上記差分がトルクダウン開始判定値aを上回ったときをトルクダウンの実質的な開始時期であると判定してその検出を行うようにしている。そのため、トルクダウンの実質的な開始時期を容易且つ的確に検出することができるようになる。
(3)本実施の形態では、目標基準トルクtetrと推定トルクtefwdとの定常偏差delteに応じてトルクダウン開始判定値aを調整するようにしている。具体的には、次の態様で、定常偏差delteに応じたトルクダウン開始判定値aの調整を行うようにしている。すなわち、本実施の形態では、上述したようにトルクダウン開始判定値aは、ウィンドウwindowとアームarmとの加算値として算出されているが、そのうちのウィンドウwindowの値を定常偏差delteに応じて設定することで、定常偏差delteに応じたトルクダウン開始判定値aの調整を行うこととしている。ここで、目標基準トルクtetrと推定トルクtefwdとはそれぞれ別のパラメータから算出されているため、トルクダウンが行われておらず、本来であれば、両値が一致する筈のときにも、それら2つのトルクの間に恒常的なずれ、すなわち定常偏差が生じていることがある。本実施の形態では、上記トルクダウン開始判定値aの調整により、そうした定常偏差を見込んだ上で、目標基準トルクtetrと推定トルクtefwdとの差分に基づくトルクダウン開始時期の検出が行われるようになるため、定常偏差の如何に拘わらず、適正にその検出を行うことができる。
(4)本実施の形態では、吸入空気量の変更に応じた機関トルクの変化の応答速度が高い機関運転条件にあるとき程、トルクダウン開始判定値aを大きく設定するようにしている。またトルクダウン要求量tedwreqが大きいとき程、トルクダウン開始判定値aを大きく設定するようにもしている。より具体的には、吸入空気量の変更に応じた機関トルクの変化の応答速度が高い機関運転条件にあるほど大きい値に設定される係数であるT1想定tefwd到達率αを、トルクダウン要求量tedwreqに乗算した値としてアームarmを算出する。そしてその算出されたアームarmに基づいてトルクダウン開始判定値aを設定するようにしている。トルクダウン要求量tedwreqが大きいとき程、トルクダウンによって目標基準トルクtetrと推定トルクtefwdとの差分は大きくされる。また吸入空気量の変更に応じた機関トルクの変化の応答速度が高い機関運転条件にあるとき程、トルクダウンに際しての機関トルクの低下速度は高くなる。よって、上記の如くトルクダウン開始判定値aを設定することで、トルクダウン開始時期の検出を的確に行うことができるようになる。
(5)本実施の形態では、トルクダウンが要求されたとき、すなわちトルクダウン開始指令が「ON」とされたときから、検出されたトルクダウン開始時期までの時間を測定するようにしている。そして機関回転速度及び機関負荷に基づいて算出された同時間の理論値である理論遅れ時間T1_idealと同時間の測定値である実遅れ時間T1_real との差を求め、その差に応じて復帰時期を修正するようにしている。トルクダウン開始時期が想定からずれていれば、そのずれに応じて最適なトルクダウン復帰時期もずれることになる。よってトルクダウン開始時期の想定とのずれに相当する上記理論遅れ時間T1_idealと実遅れ時間T1_real との差に応じてトルクダウン復帰時期を修正すれば、トルクダウン復帰時期を適切に設定することができるようになる。
(6)本実施の形態では、変速終了時にエンドショック発生の可能性の有無を、すなわちエンドショックが発生し易い状況となっているか否かを判定するとともに、エンドショックが発生し易い状況にあると判定されたときには、次回以降のトルクダウン復帰時期の修正度合が大きくなるように修正量Tcを補正するようにしている。そのため、トルクダウン復帰時期の修正が不十分で、エンドショックが発生し易い状況となってしまっても、次回以降の変速動作時には、トルクダウン復帰時期の修正不足を解消して、エンドショックの発生が抑制されるようになる。
(7)本実施の形態では、変速終了後のエンドショックの発生の有無を検出するとともに、エンドショックの発生有りが検出されたときには、次回以降のトルクダウン復帰時期の修正度合が大きくなるように修正量Tcを補正するようにしている。そのため、トルクダウン復帰時期の修正が不十分で、エンドショックが発生してしまったとしても、次回以降の変速動作時には、トルクダウン復帰時期の修正不足を解消してエンドショックの発生が抑制されるようになる。
(8)本実施の形態では、エンドショックの発生有りが検出されずに、単にエンドショックが発生し易い状況にあると判定されただけのときには、実際にエンドショックの発生有りが検出されたときに比して、次回以降のトルクダウン復帰時期の修正度合を大きくするようにしている。そのため、実際にエンドショックが発生してしまったときには、単にその発生の可能性が有ることが推定されただけのときに比して、次回以降のトルクダウン復帰時期が大きく修正されるようになり、エンドショック発生を好適に抑制することができるようになる。
(9)本実施の形態では、変速終了後の変速機入力軸の回転速度の揺らぎを測定し、その揺らぎの度合に基づいてエンドショックの発生の有無を検出するようにしている。エンドショックが発生すれば、変速終了後の変速機入力軸の回転速度に大きい揺らぎが発生することから、その揺らぎの度合に基づくことで好適にエンドショック発生の有無を検出することができるようになる。
(10)本実施の形態では、エンドショックが発生し易い状況にあると判定され、且つ変速終了後の変速機入力軸の回転速度の揺らぎの度合が大きいときにエンドショックの発生有りを検出するようにしている。そのため、トルクダウン復帰時期の修正不足によるエンドショックの発生に起因する変速終了後の変速機入力軸の回転速度の揺らぎと、それ以外の要因による変速終了後の変速機入力軸の回転速度の揺らぎとを明確に区別して、エンドショックの発生有りを的確に検出することができるようになる。
(11)本実施の形態では、変速終了時における目標基準トルクtetrと推定トルクtefwdとの差分に基づいて、エンドショックが発生し易い状況にあるか否かを、すなわちエンドショック発生の可能性の有無を判定するようにしている。トルクダウン復帰時期の修正が不十分で、変速終了回転同期タイミング迄にトルクダウンからの復帰が未だ十分なされていないときには、変速終了時の上記差分は大きくなったままとなる。そのため、上記差分に基づくことで、エンドショックが発生し易い状況にあるか否かを好適に判定することができるようになる。
(12)本実施の形態では、変速終了時における目標基準トルクtetrと推定トルクtefwdとの差分が大きいときほど、トルクダウン復帰時期の修正度合が大きくなるように修正量Tcを補正するようにしている。より具体的には、トルクダウン復帰時期の修正度合が大きくなるように修正量Tcを補正するゲインgT_cSの値を、上記差分が大きいとき程、大きく設定するようにしている。変速終了時における目標基準トルクtetrと推定トルクtefwdとの差分が大きいときほど、エンドショックが発生し易い状況にあると考えられる。そのため、上記差分が大きいときほど、トルクダウン復帰時期の修正度合を大きくすることで、次回以降の変速動作時のエンドショックの発生を好適に抑制することができるようになる。
(13)本実施の形態では、トルクダウンの開始前の目標基準トルクtetrと推定トルクtefwdとの差分が大きいときには、変速終了時にエンドショックが発生し易い状況にあったときの、次回以降の変速動作時におけるトルクダウン復帰時期の修正量Tcの補正は行わないようにしている。そのため、トルクダウンの開始前から目標基準トルクtetrと推定トルクtefwdとの差分が大きく、変速終了時の同差分に基づくエンドショックが発生し易い状況に有るとの判定結果がトルクダウン復帰時期の修正不足によるものかどうかが不確かな状況での、不適切な修正量Tcの補正を防止することができる。
(14)本実施の形態では、トルクダウンの開始前の目標基準トルクtetrと推定トルクtefwdとの差分が大きいときには、変速終了後のエンドショックの発生有りが検出されたときの、次回以降のトルクダウン復帰時期の修正量Tcの補正についても行わないようにしている。そのため、トルクダウンの開始前から目標基準トルクtetrと推定トルクtefwdとの差分が大きく、変速終了後の変速機入力軸の回転速度の揺らぎがトルクダウン復帰時期の修正不足によるものかどうかが不確かな状況での、不適切な修正量Tcの補正を防止することができる。
なお上記実施の形態に係る有段変速機の変速制御装置は、以下のように変更して実施することもできる。
・上記実施の形態では、トルクダウンの開始前の目標基準トルクtetrと推定トルクtefwdとの差分が大きいときには、変速終了時にエンドショックが発生し易い状況にあったときの、次回以降の変速動作時におけるトルクダウン復帰時期の修正量Tcの補正は行わないようにしている。また同様にトルクダウンの開始前の目標基準トルクtetrと推定トルクtefwdとの差分が大きいときには、変速終了後のエンドショックの発生有りが検出されたときの、次回以降のトルクダウン復帰時期の修正量Tcの補正についても行わないようにしている。こうしたトルクダウンの開始前の目標基準トルクtetrと推定トルクtefwdとの差分に基づく修正量Tcの補正の禁止は、その必要が無ければ、省略するようにしても良い。
・上記実施の形態では、変速終了時の目標基準トルクtetrと推定トルクtefwdとの差分からエンドショックが発生し易い状況にあると判定され、且つ変速終了後の変速機入力軸の回転速度の揺らぎの度合が大きいときに、エンドショックの発生有りを検出するようにしていた。もっとも、より簡易にその検出を行いたいのであれば、エンドショックが発生し易い状況にあるか否かの判定結果に拘わらず、変速終了後の変速機入力軸の回転速度の揺らぎの度合が大きいときに、エンドショックの発生有りを検出するようにしても良い。
・上記実施の形態では、エンドショックの発生が実際に検出されたときには、エンドショックの発生が検出されずに、単にエンドショックが発生し易い状況にあるとの判定のみがなされたときに比して、次回以降の変速動作におけるトルクダウン復帰時期の修正度合を大きくするようにしていた。もっとも、処理をより簡単にしたい場合などには、エンドショックの発生有りの検出時にも、エンドショックが発生し易い状況にあると判定されたときにも、一律の態様で、次回以降の変速動作におけるトルクダウン復帰時期の修正量Tcの補正を行うようにしても良い。
・上記実施の形態では、変速終了後にエンドショックの発生有りが検出されたとき、及び変速終了時にエンドショックが発生し易い状況にあるとの判定されたときの双方において、次回以降の変速動作におけるトルクダウン復帰時期の修正度合を大きくするようにしていた。もっとも、処理をより簡単にしたい場合などには、これらの一方又は双方における次回以降の変速動作におけるトルクダウン復帰時期の修正量Tcの補正を行わないようにしても良い。
・上記実施の形態では、変速終了後の変速機入力軸の回転速度の揺らぎを測定し、その揺らぎの度合に基づいてエンドショックの発生の有無を検出するようにしていた。ただし、それ以外の方法で、エンドショック発生の有無を検出することができるのであれば、そうした別の方法を用いてエンドショック発生の有無を検出するようにしても良い。
・上記実施の形態では、変速終了時における目標基準トルクtetrと推定トルクtefwdとの差分が大きいときほど、次回以降の変速動作時におけるトルクダウン復帰時期の修正度合が大きくなるように修正量Tcを補正するようにしていた。もっとも、処理をより簡単にしたい場合などには、変速終了時にエンドショックが発生し易い状況にあると判定されたときには、変速終了時の上記差分の大きさに拘わらず、一律の態様で次回以降の変速動作時におけるトルクダウン復帰時期の修正量Tcの補正を行うようにしても良い。
・上記実施の形態では、変速終了時における目標基準トルクtetrと推定トルクtefwdとの差分に基づいて、変速終了時にエンドショックが発生し易い状況にあるか否かを判定するようにしていた。もっとも、それ以外の方法で、変速終了時にエンドショックが発生し易い状況にあるか否かを判定することが可能であれば、その方法を用いて上記判定を行うようにしても良い。
・上記実施の形態では、トルクダウンが要求されたときから、検出されたトルクダウン開始時期までの時間を測定するとともに、機関回転速度及び機関負荷に基づいて算出された同時間の理論値である理論遅れ時間T1_idealと同時間の測定値である実遅れ時間T1_real との差を求め、その差に応じてトルクダウン復帰時期を修正するようにしていた。すなわち、上記実施の形態では、実際と想定とのトルクダウン開始時期のずれを、理論遅れ時間T1_idealと同時間の測定値である実遅れ時間T1_real との差を取ることで求めるようにしていた。もっとも、エンドショックの発生を抑制は、実際と想定とのトルクダウン開始時期のずれに応じてトルクダウン復帰時期を修正すれば可能であり、そのずれの算出ロジックは上記態様に限らず任意のロジックを採用することができる。
・上記実施の形態では、吸入空気量の変更に応じた機関トルクの変化の応答速度が高い機関運転条件にあるほど大きい値に設定される係数であるT1想定tefwd到達率αを、トルクダウン要求量tedwreqに乗算した値であるアームarmに基づいて、トルクダウン開始判定値aに設定するようにしていた。もっとも、吸入空気量の変更に応じた機関トルクの変化の応答速度が高い機関運転条件にあるほど、或いはトルクダウン要求量tedwreqが大きいときほど、アームarmの値が大きく設定されるのであれば、同様のトルクダウン開始判定値aの設定を行うことができる。よってそうしたアームarmの値の設定が可能であれば、上記アームarmの算出ロジックは、上述のものに限らず、任意の算出ロジックを採用することができる。
・上記実施の形態では、吸入空気量の変更に応じた機関トルクの変化の応答速度が高い機関運転条件にあるとき程、及びトルクダウン要求量tedwreqが大きいとき程、トルクダウン開始判定値aを大きく設定するようにしていた。もっとも、こうしたトルクダウン開始判定値aの設定に係る処理をより簡単にしたい場合などには、吸入空気量の変更に応じた機関トルクの変化の応答速度、及びトルクダウン要求量tedwreqの大きさのいずれか一方、又は双方に関りなく、トルクダウン開始判定値aを設定するようにしても良い。
・上記実施の形態では、目標基準トルクtetrと推定トルクtefwdとの定常偏差delteに応じてトルクダウン開始判定値aを調整するようにしていたが、定常偏差delteが十分に小さい場合のように、そうした調整が不要であれば、これを省略するようにしても良い。
・トルクダウン開始判定値aの設定に係る処理を最小限に留めたい場合には、トルクダウン開始判定値aを定数とするようにしても良い。
・上記実施の形態では、目標基準トルクtetrと推定トルクtefwdとの差分がトルクダウン開始判定値a以上となったときにトルクダウンが開始されたと判定することで、トルクダウン開始時期の検出を行うようにしていた。トルクダウンが実質的に開始された時期を的確に検出することが可能であれば、目標基準トルクtetrと推定トルクtefwdとの差分以外のパラメータを用いてその検出を行うようにしても良い。
・本発明は、内燃機関の出力軸の回転を変速して出力する有段自動変速機の変速動作に際して、吸入空気量を減量しての内燃機関のトルクダウンを実施する変速制御装置であれば、車両に搭載されるもの以外にもその適用が可能である。
本発明に係る有段自動変速機の変速制御装置の一実施形態についてその全体構成を模式的に示す略図。 同実施形態の変速動作中の制御態様を示すタイムチャート。 同実施形態に採用される定常偏差算出ルーチンについてその処理手順を示すフローチャート。 同実施形態に採用されるトルクダウン開始判定値算出ルーチンについてその処理手順を示すフローチャート。 同実施形態に採用されるウィンドウ算出用の演算マップの一例についてそのマップでの定常偏差delteとウィンドウwindowとの関係を示すグラフ。 同実施形態に採用される理論遅れ時間算出用の演算マップの一例についてそのマップでの機関負荷と理論遅れ時間T1_idealとの関係を示すグラフ。 同実施形態に採用される理論遅れ時間算出ルーチンについてその処理手順を示すフローチャート。 同実施形態に採用される実遅れ時間測定及びトルクダウン復帰時期修正量算出ルーチンについてその処理手順を示すフローチャート。 同実施形態におけるエンドショック発生時及び非発生時の変速動作前後の変速機入力軸回転速度、目標基準トルク、推定トルク及び変速機出力軸実トルクの推移を例示するタイムチャート。 同実施形態に採用されるエンドショック発生可能性推定及びゲインgT_cS算出ルーチンについてその処理手順を示すフローチャート。 同実施形態でのエンドショック発生の有無の検出態様を示すタイムチャート。 同実施形態に採用されるエンドショック発生検出ルーチンについてその処理手順を示すフローチャート。 同実施形態の有段自動変速機の変速制御装置についてその制御態様の一例を示すタイムチャート。
符号の説明
10…内燃機関、11…吸気通路、12…エアフローメータ、13…スロットルバルブ、14…燃焼室、15…インジェクタ、16…点火プラグ、17…クランクシャフト、18…トルクコンバータ、20…有段自動変速機、21…油圧回路、30…電子制御ユニット、31…スロットルセンサ、32…NEセンサ、33…アクセルセンサ、34…車速センサ、35…NTセンサ、36…加速度センサ。

Claims (16)

  1. 有段自動変速機の変速動作に際して、吸入空気量を減量しての内燃機関のトルクダウンを実施する変速制御装置において、
    前記吸入空気量の減量によるトルクダウン開始時期を検出する開始時期検出手段と、
    そのトルクダウン開始時期の検出結果に応じてトルクダウン復帰時期を修正する復帰時期修正手段と、
    を備えることを特徴とする有段自動変速機の変速制御装置。
  2. 前記開始時期検出手段は、前記吸入空気量の減量が行われていないとしたときの機関トルクの目標値である目標基準トルクと、前記吸入空気量の検出値から推定される機関トルクの推定値である推定トルクとの差分に基づいて前記トルクダウン開始時期の検出を行う
    請求項1に記載の有段自動変速機の変速制御装置。
  3. 前記開始時期検出手段は、前記差分が規定の判定値以上となったときに前記トルクダウンが開始されたと判定することで、前記トルクダウン開始時期の検出を行う
    請求項2に記載の有段自動変速機の変速制御装置。
  4. 前記開始時期検出手段は、前記目標基準トルクと前記推定トルクとの定常偏差に応じて前記判定値を調整する
    請求項3に記載の有段自動変速機の変速制御装置。
  5. 前記開始時期検出手段は、前記吸入空気量の変更に応じた機関トルクの変化の応答速度が高い機関運転条件にあるとき程、前記判定値を大きく設定する
    請求項3又は4に記載の有段自動変速機の変速制御装置。
  6. 前記開始時期検出手段は、前記トルクダウンの要求量が大きいとき程、前記判定値を大きく設定する
    請求項3〜5のいずれか1項に記載の有段自動変速機の変速制御装置。
  7. 前記開始時期検出手段は、前記吸入空気量の変更に応じた機関トルクの変化の応答速度が高い機関運転条件にあるほど大きい値に設定される係数を、前記トルクダウンの要求量に乗算した値に基づいて前記判定値を設定する
    請求項3又は4に記載の有段自動変速機の変速制御装置。
  8. 前記復帰時期修正手段は、前記トルクダウンが要求されたときから前記検出された前記トルクダウン開始時期までの時間を測定するとともに、機関回転速度及び機関負荷に基づいて算出された前記時間の理論値と同時間の測定値との差を求め、その差に応じて前記トルクダウン復帰時期を修正する
    請求項1〜7のいずれか1項に記載の有段自動変速機の変速制御装置。
  9. 変速終了時にエンドショックが発生し易い状況か否かを判定するエンドショック発生可能性判定手段と、
    そのエンドショック発生可能性判定手段により変速終了時にエンドショックが発生し易い状況となっていると判定されたときに、次回以降の前記トルクダウン復帰時期の修正度合が大きくなるように同トルクダウン復帰時期の修正量を補正する補正手段と、
    を備える請求項1〜8のいずれか1項に記載の有段自動変速機の変速制御装置。
  10. 変速終了後のエンドショックの発生の有無を検出するエンドショック検出手段と、
    そのエンドショック検出手段により前記エンドショックの発生有りが検出されたときに、次回以降の前記トルクダウン復帰時期の修正度合が大きくなるように同トルクダウン復帰時期の修正量を補正する補正手段と、
    を備える請求項1〜8のいずれか1項に記載の有段自動変速機の変速制御装置。
  11. 変速終了時にエンドショックが発生し易い状況となっているか否かを判定するエンドショック発生可能性判定手段と、
    変速終了後のエンドショックの発生の有無を検出するエンドショック検出手段と、
    前記エンドショック発生可能性判定手段により変速終了時にエンドショックが発生し易い状況となっていると判定されたとき、及び前記エンドショック検出手段により前記エンドショックの発生有りが検出されたときの双方において、次回以降の前記トルクダウン復帰時期の修正度合が大きくなるように同トルクダウン復帰時期の修正量を補正する補正手段と、
    を備える請求項1〜8のいずれか1項に記載の有段自動変速機の変速制御装置。
  12. 前記補正手段は、前記エンドショック検出手段により前記エンドショックの発生有りが検出されたときには、前記エンドショック検出手段により前記エンドショックの発生有りが検出されず、且つ前記エンドショック発生可能性判定手段により変速終了時にエンドショックが発生し易い状況となっていると判定されたときに比して、前記次回以降の前記トルクダウン復帰時期の修正度合を大きくする
    請求項11に記載の有段自動変速機の変速制御装置。
  13. 前記エンドショック検出手段は、前記エンドショック発生可能性判定手段により変速終了時にエンドショックが発生し易い状況となっていると判定され、且つ変速終了後の変速機入力軸の回転速度の揺らぎの度合が大きいときに前記エンドショックの発生有りを検出する
    請求項11又は12に記載の有段自動変速機の変速制御装置。
  14. 前記エンドショック発生可能性判定手段は、変速終了時における前記目標基準トルクと前記推定トルクとの差分に基づいて、変速終了時にエンドショックが発生し易い状況となっているか否かを判定する
    請求項9、11〜13のいずれか1項に記載の有段自動変速機の変速制御装置。
  15. 前記補正手段は、前記変速終了時における前記目標基準トルクと前記推定トルクとの差分が大きいときほど、前記トルクダウン復帰時期の修正度合が大きくなるように同トルクダウン復帰時期の修正量を補正する
    請求項14に記載の有段自動変速機の変速制御装置。
  16. 前記エンドショック検出手段は、変速終了後の変速機入力軸の回転速度の揺らぎを測定し、その揺らぎの度合に基づいて前記エンドショックの発生の有無を検出する
    請求項10〜12のいずれか1項に記載の有段自動変速機の変速制御装置。
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