JP2009097442A - スタータ - Google Patents
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Abstract
【課題】クラッチの体格を大きくすることなく、過大な衝撃からスタータの駆動系を保護することができ、且つ、ローラ43およびインナ41の摩耗を抑制できる耐久性に優れたクラッチを提供する。
【解決手段】クラッチは、ピニオンギヤが3000rpm以上の回転数でリングギヤに再噛み合いした時に、ローラ43がインナ41の外周面から浮く様に設定されている。これにより、スタータ回転数が3000rpm以上で惰性回転している場合は、ピニオンギヤがリングギヤに再噛み合いしても、ピニオンギヤは空回りするだけであり、ピニオンギヤとリングギヤとの間に大きな再噛合衝撃は発生しない。また、ピニオンギヤがリングギヤに再噛み合いした後、スタータ回転数が3000rpmまで低下してクラッチが繋がった時点で衝撃が発生するが、この衝撃は、スタータの駆動系を損傷させる程の大きさではない。
【選択図】図4
【解決手段】クラッチは、ピニオンギヤが3000rpm以上の回転数でリングギヤに再噛み合いした時に、ローラ43がインナ41の外周面から浮く様に設定されている。これにより、スタータ回転数が3000rpm以上で惰性回転している場合は、ピニオンギヤがリングギヤに再噛み合いしても、ピニオンギヤは空回りするだけであり、ピニオンギヤとリングギヤとの間に大きな再噛合衝撃は発生しない。また、ピニオンギヤがリングギヤに再噛み合いした後、スタータ回転数が3000rpmまで低下してクラッチが繋がった時点で衝撃が発生するが、この衝撃は、スタータの駆動系を損傷させる程の大きさではない。
【選択図】図4
Description
本発明は、一方向クラッチを備えたスタータに関する。
従来、例えば、電磁スイッチ(電磁石)の吸引力を利用してピニオンギヤをエンジンのリングギヤに噛み合わせた後、モータの駆動トルクをピニオンギヤからリングギヤに伝達してエンジンを始動させる電磁押込み式スタータがある。
この電磁押込み式スタータは、ピニオンギヤがリングギヤに噛み合っている状態で、エンジン回転数がスタータ回転数を上回った時に、エンジンの回転がモータの電機子に伝わらない様に、トルクの伝達を遮断する一方向クラッチを備えている。
しかし、例えば、運転者がキー操作を誤ってスタータを二度掛けした場合、つまり、スタータの惰性回転中にスタータを再起動させると、ピニオンギヤがリングギヤに噛み合った時の衝撃が大きくなるため、スタータの駆動系(例えば、ピニオンギヤ、出力軸等)に損傷を生じる恐れがあった。
この電磁押込み式スタータは、ピニオンギヤがリングギヤに噛み合っている状態で、エンジン回転数がスタータ回転数を上回った時に、エンジンの回転がモータの電機子に伝わらない様に、トルクの伝達を遮断する一方向クラッチを備えている。
しかし、例えば、運転者がキー操作を誤ってスタータを二度掛けした場合、つまり、スタータの惰性回転中にスタータを再起動させると、ピニオンギヤがリングギヤに噛み合った時の衝撃が大きくなるため、スタータの駆動系(例えば、ピニオンギヤ、出力軸等)に損傷を生じる恐れがあった。
これに対し、特許文献1には、エンジン側からスタータに過大なトルクが伝達された時に、ローラがインナに対し滑ることによって伝達トルクを抑制するローラ式クラッチが示されている。このローラ式クラッチは、図7に示す様に、アウタ100の内周に第1のカム面110と第2のカム面120とが形成され、第1のカム面110は、ローラ130の食い込み角度が摩擦角以下になる様に構成され、第2のカム面120は、ローラ130の食い込み角度が摩擦角を超える様に構成されている。なお、摩擦角とは、インナ140の外周面とカム面との間に形成されるくさび状の空間(カム室と呼ぶ)に食い込んだローラ130が、摩擦力によって固定される滑りの無い状態から、滑り出す状態における傾斜角度を言う。
ここで、エンジン始動時、つまり、アウタ100がモータに駆動されて図示矢印方向へ回転すると、ローラ130がスプリング150に付勢されてカム室の狭小方向(カム室の空間が狭くなる方向)に食い込み、第1のカム面110の範囲Eでは、図8に示す様に、伝達トルクがG点まで上昇する。更に、ローラ130が第2のカム面120の範囲Fまで食い込んだ時、即ち、図8に示すアウタ100とインナ140との相対回転角がRを超えると、インナ140に対しローラ130が滑りを生じて、伝達トルクの上昇が抑制される。これにより、エンジン側からスタータに大きな衝撃トルクが加わると、ローラ130が第2のカム面120の範囲まで食い込んで滑りを生じることにより、衝撃トルクが吸収されて、スタータの駆動系を過大な衝撃から保護することができる。
実公昭61−23695号公報
ところが、上記の特許文献1に記載された従来技術では、アウタ100のカム面を二段に形成するため、必然的にカム室が周方向に長くなる。その結果、クラッチに形成できるカム室の数、つまり、ローラ130の配置数が少なくなるため、伝達トルクが小さくなる欠点があった。これを克服するためには、クラッチ全体の外径、即ち、体格を大きくする必要があり、小型化が要求されるスタータへの搭載が困難になる。
また、ローラ130が第2のカム面120の範囲まで食い込んだ場合は、ローラ130とインナ140との間に大きな面圧が掛かった状態で滑りを生じるため、ローラ130およびインナ140(特にインナ140)の表面に生じる摩耗が大きくなり、耐久性の面でも問題があった。
また、ローラ130が第2のカム面120の範囲まで食い込んだ場合は、ローラ130とインナ140との間に大きな面圧が掛かった状態で滑りを生じるため、ローラ130およびインナ140(特にインナ140)の表面に生じる摩耗が大きくなり、耐久性の面でも問題があった。
本発明は、上記事情に基づいて成されたもので、その目的は、クラッチの体格を大きくすることなく、過大な衝撃からスタータの駆動系を保護することができ、且つ、ローラおよびインナの摩耗を抑制できる耐久性に優れたクラッチを提供することにある。
(請求項1の発明)
本発明は、モータの駆動トルクを出力軸に伝達するクラッチを備え、出力軸に支持されたピニオンギヤをエンジンのリングギヤに噛み合わせてエンジンを始動させるスタータであって、クラッチは、内周にカム面が形成されたアウタと、このアウタの内周側に相対回転可能に配置されるインナと、カム面とインナの外周面との間に形成されるくさび状のカム室に配置されるローラと、このローラをカム室の空間が狭くなる狭小方向へ付勢するスプリングとを有し、モータの駆動トルクを受けてアウタが一方向に回転する時に、ローラを介してアウタからインナにトルク伝達され、エンジン回転数がスタータ回転数を上回るオーバラン時には、ローラが空転してインナからアウタへのトルク伝達を遮断するローラ式一方向クラッチであり、スタータの惰性回転中にピニオンギヤがリングギヤに再噛み合いした時のスタータ回転数を再噛合回転数と呼び、スタータの惰性回転中にピニオンギヤがリングギヤに再噛み合いした時に生じる衝撃を再噛合衝撃と呼ぶ時に、再噛合衝撃によりスタータの駆動系に損傷が発生する再噛合回転数以上では、ローラが遠心力によりインナの外周面から浮いていることを特徴とする。
本発明は、モータの駆動トルクを出力軸に伝達するクラッチを備え、出力軸に支持されたピニオンギヤをエンジンのリングギヤに噛み合わせてエンジンを始動させるスタータであって、クラッチは、内周にカム面が形成されたアウタと、このアウタの内周側に相対回転可能に配置されるインナと、カム面とインナの外周面との間に形成されるくさび状のカム室に配置されるローラと、このローラをカム室の空間が狭くなる狭小方向へ付勢するスプリングとを有し、モータの駆動トルクを受けてアウタが一方向に回転する時に、ローラを介してアウタからインナにトルク伝達され、エンジン回転数がスタータ回転数を上回るオーバラン時には、ローラが空転してインナからアウタへのトルク伝達を遮断するローラ式一方向クラッチであり、スタータの惰性回転中にピニオンギヤがリングギヤに再噛み合いした時のスタータ回転数を再噛合回転数と呼び、スタータの惰性回転中にピニオンギヤがリングギヤに再噛み合いした時に生じる衝撃を再噛合衝撃と呼ぶ時に、再噛合衝撃によりスタータの駆動系に損傷が発生する再噛合回転数以上では、ローラが遠心力によりインナの外周面から浮いていることを特徴とする。
上記の構成によれば、再噛合衝撃によりスタータの駆動系に損傷が発生する再噛合回転数以上では、クラッチが切れている(ローラがインナの外周面から浮いている)ので、スタータの惰性回転中に生じる再噛合衝撃からスタータの駆動系を保護することができる。 すなわち、クラッチが繋がった状態(ローラがカム室に食い込んでロックされた状態)でピニオンギヤがリングギヤに再噛み合いした場合、あるいは、ピニオンギヤがリングギヤに再噛み合いした瞬間にクラッチが繋がると、ピニオンギヤとリングギヤとの間で大きな衝撃(再噛合衝撃)が発生する。これに対し、ピニオンギヤがリングギヤに再噛み合いした時にクラッチが切れていると、アウタに対しインナが空回りするので、ピニオンギヤとリングギヤとの間に、スタータの駆動系が損傷を受ける程の大きな衝撃は発生しない。
また、本発明に係るクラッチの設定(再噛合衝撃によりスタータの駆動系に損傷が発生する再噛合回転数以上では、ローラがインナの外周面から遠心分離する設定)は、ローラの質量に対しスプリングの荷重を調整することで可能である。これにより、クラッチの体格を大きくすることなく、再噛合衝撃を低減できるので、スタータの駆動系自体も小型軽量化が可能であり、スタータ全体の小型軽量化に寄与できる。
更に、再噛合衝撃によりスタータの駆動系に損傷が発生する再噛合回転数以上では、ローラがインナの外周面を滑ることはなく、インナの外周面からローラが浮いた状態でトルクの伝達を遮断できるため、ローラおよびインナ(特にインナ)の摩耗を防止できる。
更に、再噛合衝撃によりスタータの駆動系に損傷が発生する再噛合回転数以上では、ローラがインナの外周面を滑ることはなく、インナの外周面からローラが浮いた状態でトルクの伝達を遮断できるため、ローラおよびインナ(特にインナ)の摩耗を防止できる。
(請求項2の発明)
本発明は、モータの駆動トルクを出力軸に伝達するクラッチを備え、出力軸に支持されたピニオンギヤをエンジンのリングギヤに噛み合わせてエンジンを始動させるスタータであって、クラッチは、内周にカム面が形成されたアウタと、このアウタの内周側に相対回転可能に配置されるインナと、カム面とインナの外周面との間に形成されるくさび状のカム室に配置されるローラと、このローラをカム室の空間が狭くなる狭小方向へ付勢するスプリングとを有し、モータの駆動トルクを受けてアウタが一方向に回転する時に、ローラを介してアウタからインナにトルク伝達され、エンジン回転数がスタータ回転数を上回るオーバラン時には、ローラが空転してインナからアウタへのトルク伝達を遮断するローラ式一方向クラッチであり、スタータの惰性回転中にピニオンギヤがリングギヤに再噛み合いした時のスタータ回転数を再噛合回転数と呼び、スタータの惰性回転中にピニオンギヤがリングギヤに再噛み合いした時に生じる衝撃を再噛合衝撃と呼ぶ時に、再噛合衝撃によりリングギヤに損傷が発生する再噛合回転数以上では、ローラが遠心力によりインナの外周面から浮いていることを特徴とする。
本発明は、モータの駆動トルクを出力軸に伝達するクラッチを備え、出力軸に支持されたピニオンギヤをエンジンのリングギヤに噛み合わせてエンジンを始動させるスタータであって、クラッチは、内周にカム面が形成されたアウタと、このアウタの内周側に相対回転可能に配置されるインナと、カム面とインナの外周面との間に形成されるくさび状のカム室に配置されるローラと、このローラをカム室の空間が狭くなる狭小方向へ付勢するスプリングとを有し、モータの駆動トルクを受けてアウタが一方向に回転する時に、ローラを介してアウタからインナにトルク伝達され、エンジン回転数がスタータ回転数を上回るオーバラン時には、ローラが空転してインナからアウタへのトルク伝達を遮断するローラ式一方向クラッチであり、スタータの惰性回転中にピニオンギヤがリングギヤに再噛み合いした時のスタータ回転数を再噛合回転数と呼び、スタータの惰性回転中にピニオンギヤがリングギヤに再噛み合いした時に生じる衝撃を再噛合衝撃と呼ぶ時に、再噛合衝撃によりリングギヤに損傷が発生する再噛合回転数以上では、ローラが遠心力によりインナの外周面から浮いていることを特徴とする。
上記の構成によれば、再噛合衝撃によりリングギヤに損傷が発生する再噛合回転数以上では、クラッチが切れている(ローラがインナの外周面から浮いている)ので、スタータの惰性回転中に生じる再噛合衝撃からリングギヤを保護することができる。
すなわち、クラッチが繋がった状態(ローラがカム室に食い込んでロックされた状態)でピニオンギヤがリングギヤに再噛み合いした場合、あるいは、ピニオンギヤがリングギヤに再噛み合いした瞬間にクラッチが繋がると、ピニオンギヤとリングギヤとの間で大きな衝撃(再噛合衝撃)が発生する。これに対し、ピニオンギヤがリングギヤに再噛み合いした時にクラッチが切れていると、アウタに対しインナが空回りするので、ピニオンギヤとリングギヤとの間に大きな衝撃は発生しない。
すなわち、クラッチが繋がった状態(ローラがカム室に食い込んでロックされた状態)でピニオンギヤがリングギヤに再噛み合いした場合、あるいは、ピニオンギヤがリングギヤに再噛み合いした瞬間にクラッチが繋がると、ピニオンギヤとリングギヤとの間で大きな衝撃(再噛合衝撃)が発生する。これに対し、ピニオンギヤがリングギヤに再噛み合いした時にクラッチが切れていると、アウタに対しインナが空回りするので、ピニオンギヤとリングギヤとの間に大きな衝撃は発生しない。
また、本発明に係るクラッチの設定(再噛合衝撃によりリングギヤに損傷が発生する再噛合回転数以上では、ローラがインナの外周面から遠心分離する設定)は、ローラの質量に対しスプリングの荷重を調整することで可能である。これにより、クラッチの体格を大きくすることなく、再噛合衝撃を低減できるので、スタータの駆動系自体も小型軽量化が可能であり、スタータ全体の小型軽量化に寄与できる。
更に、再噛合衝撃によりリングギヤに損傷が発生する再噛合回転数以上では、ローラがインナの外周面を滑ることはなく、インナの外周面からローラが浮いた状態でトルクの伝達を遮断できるため、ローラおよびインナ(特にインナ)の摩耗を防止できる。
更に、再噛合衝撃によりリングギヤに損傷が発生する再噛合回転数以上では、ローラがインナの外周面を滑ることはなく、インナの外周面からローラが浮いた状態でトルクの伝達を遮断できるため、ローラおよびインナ(特にインナ)の摩耗を防止できる。
(請求項3の発明)
請求項1または2に記載したスタータにおいて、クラッチは、ローラがインナの外周面とカム面の両方に当接している状態で、インナの外周円に対しインナとローラとの接点を通る接線を引き、その接線とスプリングの中心線とが成す角度をセンター角と呼ぶ時に、センター角は、接線に対するカム面の傾斜角より0度以上大きいことを特徴とする。
上記の構成によれば、ローラがインナの外周面から遠心分離した状態では、スプリングがローラを保持する方向が、ローラをインナの外周面から浮かせる方向に働く。これにより、ローラが遠心力で浮いた場合に、スプリングによるローラの保持が容易となり、スタータの駆動系あるいはリングギヤに損傷が発生する再噛合回転数以上での再噛み合いを確実に防止できる。
請求項1または2に記載したスタータにおいて、クラッチは、ローラがインナの外周面とカム面の両方に当接している状態で、インナの外周円に対しインナとローラとの接点を通る接線を引き、その接線とスプリングの中心線とが成す角度をセンター角と呼ぶ時に、センター角は、接線に対するカム面の傾斜角より0度以上大きいことを特徴とする。
上記の構成によれば、ローラがインナの外周面から遠心分離した状態では、スプリングがローラを保持する方向が、ローラをインナの外周面から浮かせる方向に働く。これにより、ローラが遠心力で浮いた場合に、スプリングによるローラの保持が容易となり、スタータの駆動系あるいはリングギヤに損傷が発生する再噛合回転数以上での再噛み合いを確実に防止できる。
(請求項4の発明)
請求項1〜3に記載した何れかのスタータにおいて、インナは、ローラと接触する外周面側の表面層を硬化するために熱処理が行われ、その熱処理層の深さを素材の厚さの1/3〜2/3の範囲とすることを特徴とする。
この場合、インナの素材全体を熱処理するのではなく、インナの表面層のみ素材の厚さの1/3〜2/3の範囲に熱処理が行われる。
つまり、インナの内周側は、少なくとも1/3だけ熱処理されていない状態となる。これにより、ローラと接触するインナの外周面側の表面層のみを硬化させて、内周側は柔軟な構造を持たせることができる。その結果、耐磨耗性と靭性を両立させることが可能であり、耐久性に優れたクラッチを提供できる。なお、素材の表面層を硬化するための熱処理として、例えば、浸炭処理が知られている。
請求項1〜3に記載した何れかのスタータにおいて、インナは、ローラと接触する外周面側の表面層を硬化するために熱処理が行われ、その熱処理層の深さを素材の厚さの1/3〜2/3の範囲とすることを特徴とする。
この場合、インナの素材全体を熱処理するのではなく、インナの表面層のみ素材の厚さの1/3〜2/3の範囲に熱処理が行われる。
つまり、インナの内周側は、少なくとも1/3だけ熱処理されていない状態となる。これにより、ローラと接触するインナの外周面側の表面層のみを硬化させて、内周側は柔軟な構造を持たせることができる。その結果、耐磨耗性と靭性を両立させることが可能であり、耐久性に優れたクラッチを提供できる。なお、素材の表面層を硬化するための熱処理として、例えば、浸炭処理が知られている。
(請求項5の発明)
請求項1〜3に記載した何れかのスタータにおいて、インナは、外周面側と内周面側の表面層を硬化するために熱処理が行われ、その熱処理層の深さを、外周面側および内周面側ともに、素材の厚さの略1/3とすることを特徴とする。
この場合、インナの素材全体を熱処理するのではなく、インナの外周面側と内周面側の表面層のみ、それぞれ素材の厚さの略1/3に熱処理が行われる。
つまり、インナの内部は、略1/3だけ熱処理されていない状態となる。これにより、インナの外周面側と内周面側の表面層のみを硬化させて、内部は柔軟な構造を持たせることができる。その結果、耐磨耗性と靭性を両立させることが可能であり、耐久性に優れたクラッチを提供できる。なお、素材の表面層を硬化するための熱処理として、例えば、浸炭処理が知られている。
請求項1〜3に記載した何れかのスタータにおいて、インナは、外周面側と内周面側の表面層を硬化するために熱処理が行われ、その熱処理層の深さを、外周面側および内周面側ともに、素材の厚さの略1/3とすることを特徴とする。
この場合、インナの素材全体を熱処理するのではなく、インナの外周面側と内周面側の表面層のみ、それぞれ素材の厚さの略1/3に熱処理が行われる。
つまり、インナの内部は、略1/3だけ熱処理されていない状態となる。これにより、インナの外周面側と内周面側の表面層のみを硬化させて、内部は柔軟な構造を持たせることができる。その結果、耐磨耗性と靭性を両立させることが可能であり、耐久性に優れたクラッチを提供できる。なお、素材の表面層を硬化するための熱処理として、例えば、浸炭処理が知られている。
本発明を実施するための最良の形態を以下の実施例により詳細に説明する。
図1はスタータ1の一部を示す断面図である。
本実施例のスタータ1は、図1に示す様に、電機子2aに回転力を発生するモータ2と、電機子2aの回転を減速する減速機3と、この減速機3にクラッチ4を介して連結される出力軸5と、この出力軸5の軸上に支持されるピニオンギヤ6と、バッテリ(図示せず)から電機子2aに通電するためのモータ回路に設けられるメイン接点(後述する)を開閉すると共に、シフトレバー7を介して出力軸5を軸方向に移動させる働きを有する電磁スイッチ8等より構成される。なお、図1に示す出力軸5及び電磁スイッチ8の中心線より上側は、スタータ1の停止状態を表し、中心線より下側は、スタータ1の作動状態を表している。
本実施例のスタータ1は、図1に示す様に、電機子2aに回転力を発生するモータ2と、電機子2aの回転を減速する減速機3と、この減速機3にクラッチ4を介して連結される出力軸5と、この出力軸5の軸上に支持されるピニオンギヤ6と、バッテリ(図示せず)から電機子2aに通電するためのモータ回路に設けられるメイン接点(後述する)を開閉すると共に、シフトレバー7を介して出力軸5を軸方向に移動させる働きを有する電磁スイッチ8等より構成される。なお、図1に示す出力軸5及び電磁スイッチ8の中心線より上側は、スタータ1の停止状態を表し、中心線より下側は、スタータ1の作動状態を表している。
モータ2は、電機子2aの回転を出力する電機子軸2bの一端側(反減速機側)に整流子(図示せず)が設けられ、この整流子の外周に摺接するブラシ(図示せず)を介して電機子2aに通電される周知の整流子電動機である。このモータ2は、スタータハウジング9にセンタケース10を介して組み付けられ、複数本のスルーボルト11をスタータハウジング9に締め付けて固定されている。
減速機3は、電機子軸2bと同軸上で減速できる遊星歯車減速機であり、電機子軸2bに形成される太陽ギヤ12と、この太陽ギヤ12と同心に配置され、且つ、センタケース10に回転規制される環状のインターナルギヤ13と、両ギヤ12、13に噛み合う複数の遊星ギヤ14と、この遊星ギヤ14の公転運動を出力する遊星キャリア15とで構成され、この遊星キャリア15が、以下に説明するクラッチ4のアウタ40と一体に設けられている。
減速機3は、電機子軸2bと同軸上で減速できる遊星歯車減速機であり、電機子軸2bに形成される太陽ギヤ12と、この太陽ギヤ12と同心に配置され、且つ、センタケース10に回転規制される環状のインターナルギヤ13と、両ギヤ12、13に噛み合う複数の遊星ギヤ14と、この遊星ギヤ14の公転運動を出力する遊星キャリア15とで構成され、この遊星キャリア15が、以下に説明するクラッチ4のアウタ40と一体に設けられている。
クラッチ4は、図2に示す様に、内周にカム面40aが形成された円環状のアウタ40と、このアウタ40の内周側に相対回転可能に配置され、且つ、ボールベアリング16(図1参照)を介してセンタケース10に回転自在に支持される円筒状のインナ41と、アウタ40のカム面40aとインナ41の外周面との間に形成される楔状のカム室42に配置されるローラ43と、このローラ43をカム室42の空間が狭くなる狭小方向(図示矢印方向)へ付勢するスプリング44等より構成され、エンジンを始動させる時に、減速機3で増幅されたモータ2の駆動トルクを出力軸5へ伝達し、エンジン回転数がスタータ回転数を上回った時は、アウタ40とインナ41との間でトルクの伝達を遮断する働きを有する。
出力軸5は、電機子軸2bと同軸線上に配置され、一端側がインナ41の内周にヘリカルスプライン結合され、他端側が軸受17を介してスタータハウジング9に回転自在及び摺動自在に支持されている。
ピニオンギヤ6は、軸受17より前方(図1の左方向)へ突き出る出力軸5の先端部にセレーション嵌合して出力軸5と一体に回転可能に設けられ、且つ、ピニオンギヤ6と出力軸5との間に配設されたピニオンスプリング18に付勢されて、出力軸5の先端部に取り付けられたストッパ19に当接している。このピニオンギヤ6は、エンジン始動時にエンジンのリングギヤ20に噛み合って、モータ2の駆動トルクをリングギヤ20に伝達する働きを有する。
ピニオンギヤ6は、軸受17より前方(図1の左方向)へ突き出る出力軸5の先端部にセレーション嵌合して出力軸5と一体に回転可能に設けられ、且つ、ピニオンギヤ6と出力軸5との間に配設されたピニオンスプリング18に付勢されて、出力軸5の先端部に取り付けられたストッパ19に当接している。このピニオンギヤ6は、エンジン始動時にエンジンのリングギヤ20に噛み合って、モータ2の駆動トルクをリングギヤ20に伝達する働きを有する。
電磁スイッチ8は、電磁コイル21への通電により電磁石を形成してプランジャ22を吸引する働きを有し、このプランジャ22の動き(図1の右方向への移動)に連動して、モータ回路のメイン接点を閉操作する。また、電磁コイル21への通電が停止して電磁石の吸引力が消滅すると、リターンスプリング23に蓄えられた反力により、プランジャ22が押し戻されてメイン接点を開操作する。
メイン接点は、モータ回路の高電位側(バッテリ側)に接続されるB固定接点(図示せず)と、モータ回路の低電位側(モータ側)に接続されるM固定接点(図示せず)と、プランジャ22と一体に移動して両固定接点間を断続する可動接点(図示せず)とで形成され、この可動接点が両固定接点に当接して両固定接点間が導通することでメイン接点が閉状態となり、可動接点が両固定接点から離れて両固定接点間の導通が遮断されることでメイン接点が開状態となる。
メイン接点は、モータ回路の高電位側(バッテリ側)に接続されるB固定接点(図示せず)と、モータ回路の低電位側(モータ側)に接続されるM固定接点(図示せず)と、プランジャ22と一体に移動して両固定接点間を断続する可動接点(図示せず)とで形成され、この可動接点が両固定接点に当接して両固定接点間が導通することでメイン接点が閉状態となり、可動接点が両固定接点から離れて両固定接点間の導通が遮断されることでメイン接点が開状態となる。
シフトレバー7は、揺動自在に支持されるレバー支点部7aを有し、このレバー支点部7aより一端側のレバー端部が、電磁スイッチ8に設けられるシフト用ロッド24に連結され、レバー支点部7aより他端側のレバー端部が、出力軸5の外周に嵌合するレバーリング25に連結されている。レバーリング25は、出力軸5に取り付けられる一組のリングワッシャ26により、出力軸5に対し軸方向の動きが規制されている。
シフト用ロッド24は、電磁スイッチ8のプランジャ22にドライブスプリング27と共に組み付けられ、そのドライブスプリング27を介してプランジャ22の動きをシフトレバー7に伝達する働きを有する。
シフト用ロッド24は、電磁スイッチ8のプランジャ22にドライブスプリング27と共に組み付けられ、そのドライブスプリング27を介してプランジャ22の動きをシフトレバー7に伝達する働きを有する。
次に、本発明に係るクラッチ4の設定について詳述する。
本実施例のスタータ1は、例えば、図5(a)に示す様に、ピニオンギヤ6が4000rpm以上でリングギヤ20に再噛み合いした時には、ピニオンギヤ6とリングギヤ20との間に生じる衝撃(再噛合衝撃と呼ぶ)によって駆動系(例えば、ピニオンギヤ6、出力軸5等)に損傷が発生し、ピニオンギヤ6が4000rpmより低い回転数で再噛み合いした時は、再噛合衝撃によって駆動系に損傷が生じない様に強度設計されている。
一方、クラッチ4は、再噛合衝撃からスタータ1の駆動系を保護するために、再噛み合い時のスタータ回転数(ピニオンギヤ6の回転数)が所定回転数以上の時は、図4に示す様に、ローラ43が遠心力によりインナ41の外周面から浮く(遠心分離する)様に構成されている。具体的には、安全率を考慮して、スタータ回転数が3000rpm以上の時は繋がらない、つまり、ローラ43が遠心力によりインナ41の外周面から浮き上がり、スタータ回転数が3000rpmまで低下した時点で繋がる(ローラ43がカム室42に食い込んでアウタ40とインナ41との間にロックされる)様に設定されている。この設定は、ローラ43の質量に対してスプリング44の荷重を調整することで行われる。
本実施例のスタータ1は、例えば、図5(a)に示す様に、ピニオンギヤ6が4000rpm以上でリングギヤ20に再噛み合いした時には、ピニオンギヤ6とリングギヤ20との間に生じる衝撃(再噛合衝撃と呼ぶ)によって駆動系(例えば、ピニオンギヤ6、出力軸5等)に損傷が発生し、ピニオンギヤ6が4000rpmより低い回転数で再噛み合いした時は、再噛合衝撃によって駆動系に損傷が生じない様に強度設計されている。
一方、クラッチ4は、再噛合衝撃からスタータ1の駆動系を保護するために、再噛み合い時のスタータ回転数(ピニオンギヤ6の回転数)が所定回転数以上の時は、図4に示す様に、ローラ43が遠心力によりインナ41の外周面から浮く(遠心分離する)様に構成されている。具体的には、安全率を考慮して、スタータ回転数が3000rpm以上の時は繋がらない、つまり、ローラ43が遠心力によりインナ41の外周面から浮き上がり、スタータ回転数が3000rpmまで低下した時点で繋がる(ローラ43がカム室42に食い込んでアウタ40とインナ41との間にロックされる)様に設定されている。この設定は、ローラ43の質量に対してスプリング44の荷重を調整することで行われる。
また、上記のクラッチ4は、図3に示す様に、ローラ43がインナ41の外周面とアウタ40のカム面40aの両方に当接している状態で、インナ41の中心からローラ43の中心Oを通ってローラ43の外周上まで達する直線A−Aを引き、その直線A−Aがローラ43の外周と交差する点Bを起点に直線A−Aと直角に交差する直線B−B(インナ41とローラ43との接点を通る接線と平行な直線)を引き、その直線B−Bとスプリング44の中心線C−Cとが成す角度をセンター角αと呼ぶ時に、このセンター角αは、直線B−Bに対するカム面40aの傾斜角θより0度以上大きくなる様に構成されている。なお、カム面40aの傾斜角θは、カム面40aと直線B−Bとが成すカム室42の楔角と同意であり、例えば、5度に設定される。
更に、インナ41は、表面層を硬化するために熱処理(例えば、浸炭処理)が行われている。但し、熱処理層の深さ(浸炭深さ)は、図6に示す様に、インナ41を形成する素材の厚さTの略1/3とする。つまり、インナ41の外周面から略1/3までの深さ、および、インナ41の内周面から略1/3までの深さに熱処理層Dが形成され、インナ41の内部は、略1/3だけ熱処理されていない状態となっている。
また、アウタ40に熱処理を行うこともできる。この場合、インナ41と同様に、アウタ40の外周面から略1/3までの深さ、および、アウタ40の内周面から略1/3までの深さに熱処理層Dが形成され、アウタ40の内部は、略1/3だけ熱処理されていない状態となっている。
ローラ43は、例えば、SUJ2鋼を熱処理して使用される。
また、アウタ40に熱処理を行うこともできる。この場合、インナ41と同様に、アウタ40の外周面から略1/3までの深さ、および、アウタ40の内周面から略1/3までの深さに熱処理層Dが形成され、アウタ40の内部は、略1/3だけ熱処理されていない状態となっている。
ローラ43は、例えば、SUJ2鋼を熱処理して使用される。
次に、スタータ1の作動を説明する。
始動スイッチ(図示せず)の閉操作により、電磁スイッチ8の電磁コイル21に通電されてプランジャ22が吸引されると、そのプランジャ22の動きがシフトレバー7を介して出力軸5に伝達される。これにより、出力軸5は、クラッチインナ41の内周をヘリカルスプラインの作用で回転しながら反モータ方向(図1の左方向)へ移動して、ピニオンギヤ6の端面がリングギヤ20の端面に当接した後、ピニオンスプリング18を押し縮めた状態で一旦停止する。
始動スイッチ(図示せず)の閉操作により、電磁スイッチ8の電磁コイル21に通電されてプランジャ22が吸引されると、そのプランジャ22の動きがシフトレバー7を介して出力軸5に伝達される。これにより、出力軸5は、クラッチインナ41の内周をヘリカルスプラインの作用で回転しながら反モータ方向(図1の左方向)へ移動して、ピニオンギヤ6の端面がリングギヤ20の端面に当接した後、ピニオンスプリング18を押し縮めた状態で一旦停止する。
その後、ドライブスプリング27に反力を蓄えながら、プランジャ22が更に移動してメイン接点を閉じると、バッテリからモータ2に給電されて電機子2aに回転力が発生する。この電機子2aの回転力は、減速機3で増幅された後、クラッチ4を介して出力軸5に伝達される。これにより、出力軸5が強制的に回されるため、ピニオンギヤ6がリングギヤ20に噛み合い可能な位置まで回転した時点で、ドライブスプリング27に蓄えられた反力により、出力軸5と共にピニオンギヤ6が押し出されてリングギヤ20に噛み合い、減速機3で増幅されたモータ2の駆動トルクがピニオンギヤ6からリングギヤ20に伝達されて、エンジンをクランキングする。
クランキングからエンジンが完爆した後、始動スイッチが開操作されると、電磁コイル21への通電が停止して電磁石の吸引力が消滅するため、リターンスプリング23の反力でプランジャ22が押し戻される。その結果、メイン接点が開いてバッテリからモータ2への給電が停止されることにより、電機子2aの回転が次第に減速して停止する。
また、プランジャ22が押し戻されると、エンジン始動時とは反対方向にシフトレバー7が揺動することにより、出力軸5が反エンジン方向(図1の右方向)へ押し戻されて、ピニオンギヤ6がリングギヤ20から離脱する。
また、プランジャ22が押し戻されると、エンジン始動時とは反対方向にシフトレバー7が揺動することにより、出力軸5が反エンジン方向(図1の右方向)へ押し戻されて、ピニオンギヤ6がリングギヤ20から離脱する。
(実施例1の効果)
例えば、運転者がキー操作を誤って、スタータ1の惰性回転中にスタータ1を再起動させると、ピニオンギヤ6がリングギヤ20に噛み合った時の衝撃が大きい(通常の噛み合い時と比較して数倍大きい)ため、スタータ1の駆動系に損傷を生じる恐れがある。
これに対し、本実施例のスタータ1は、ピニオンギヤ6が3000rpm以上の回転数でリングギヤ20に再噛み合いした場合に、クラッチ4が繋がらない(ローラ43がインナ41の外周面から浮く)様に構成されているので、再噛合衝撃からスタータ1の駆動系を保護することができる。つまり、スタータ回転数が3000rpm以上の時は、ピニオンギヤ6がリングギヤ20に再噛み合いしても、ローラ43がインナ41の外周面から浮いているため、ピニオンギヤ6は空回りするだけであり、ピニオンギヤ6とリングギヤ20との間に大きな再噛合衝撃は発生しない。また、ピニオンギヤ6がリングギヤ20に再噛み合いした後、スタータ回転数が3000rpmまで低下した時点でクラッチ4が繋がると、図5(b)に示す様に、再噛合衝撃T1が発生するが、この再噛合衝撃T1は、スタータ1の駆動系を損傷させる程の大きさではない。
例えば、運転者がキー操作を誤って、スタータ1の惰性回転中にスタータ1を再起動させると、ピニオンギヤ6がリングギヤ20に噛み合った時の衝撃が大きい(通常の噛み合い時と比較して数倍大きい)ため、スタータ1の駆動系に損傷を生じる恐れがある。
これに対し、本実施例のスタータ1は、ピニオンギヤ6が3000rpm以上の回転数でリングギヤ20に再噛み合いした場合に、クラッチ4が繋がらない(ローラ43がインナ41の外周面から浮く)様に構成されているので、再噛合衝撃からスタータ1の駆動系を保護することができる。つまり、スタータ回転数が3000rpm以上の時は、ピニオンギヤ6がリングギヤ20に再噛み合いしても、ローラ43がインナ41の外周面から浮いているため、ピニオンギヤ6は空回りするだけであり、ピニオンギヤ6とリングギヤ20との間に大きな再噛合衝撃は発生しない。また、ピニオンギヤ6がリングギヤ20に再噛み合いした後、スタータ回転数が3000rpmまで低下した時点でクラッチ4が繋がると、図5(b)に示す様に、再噛合衝撃T1が発生するが、この再噛合衝撃T1は、スタータ1の駆動系を損傷させる程の大きさではない。
また、本実施例に係るクラッチ4の設定(3000rpm以上では、ローラ43がインナ41の外周面から遠心分離する設定)は、ローラ43の質量に対しスプリング44の荷重を調整することで可能である。これにより、クラッチ4の体格を大きくすることなく、再噛合衝撃を低減できるので、スタータ1の駆動系自体も小型軽量化が可能であり、スタータ全体の小型軽量化に寄与できる。
更に、3000rpm以上では、ローラ43がインナ41の外周面を滑ることはなく、インナ41の外周面からローラ43が浮いた状態でトルクの伝達を遮断できるため、ローラ43およびインナ41(特にインナ41)の摩耗を防止できる。
また、インナ41およびアウタ40は、熱処理(例えば、浸炭処理)により、外周面側と内周面側の表面層のみを硬化させ、内部は柔軟な構造を持たせているので、耐磨耗性と靭性を両立させることが可能であり、耐久性に優れたクラッチ4を提供できる。
更に、3000rpm以上では、ローラ43がインナ41の外周面を滑ることはなく、インナ41の外周面からローラ43が浮いた状態でトルクの伝達を遮断できるため、ローラ43およびインナ41(特にインナ41)の摩耗を防止できる。
また、インナ41およびアウタ40は、熱処理(例えば、浸炭処理)により、外周面側と内周面側の表面層のみを硬化させ、内部は柔軟な構造を持たせているので、耐磨耗性と靭性を両立させることが可能であり、耐久性に優れたクラッチ4を提供できる。
(変形例)
実施例1では、スタータ1の惰性回転中にピニオンギヤ6がリングギヤ20に再噛み合いした時に生じる再噛合衝撃からスタータ1の駆動系を保護する一例を記載したが、同様に、再噛合衝撃からエンジン側のリングギヤ20が損傷しない様に、クラッチ4の作動を設定することもできる。つまり、再噛合衝撃によりリングギヤ20に損傷が発生する再噛合回転数以上では、ローラ43が遠心力によりインナ41の外周面から浮く様に設定することで、再噛合衝撃によるリングギヤ20の損傷を回避できる。
実施例1では、スタータ1の惰性回転中にピニオンギヤ6がリングギヤ20に再噛み合いした時に生じる再噛合衝撃からスタータ1の駆動系を保護する一例を記載したが、同様に、再噛合衝撃からエンジン側のリングギヤ20が損傷しない様に、クラッチ4の作動を設定することもできる。つまり、再噛合衝撃によりリングギヤ20に損傷が発生する再噛合回転数以上では、ローラ43が遠心力によりインナ41の外周面から浮く様に設定することで、再噛合衝撃によるリングギヤ20の損傷を回避できる。
1 スタータ
2 モータ
4 クラッチ
5 出力軸
6 ピニオンギヤ
20 リングギヤ
40 アウタ
40a カム面
41 インナ
42 カム室
43 ローラ
44 スプリング
2 モータ
4 クラッチ
5 出力軸
6 ピニオンギヤ
20 リングギヤ
40 アウタ
40a カム面
41 インナ
42 カム室
43 ローラ
44 スプリング
Claims (5)
- モータの駆動トルクを出力軸に伝達するクラッチを備え、前記出力軸に支持されたピニオンギヤをエンジンのリングギヤに噛み合わせて前記エンジンを始動させるスタータであって、
前記クラッチは、内周にカム面が形成されたアウタと、このアウタの内周側に相対回転可能に配置されるインナと、前記カム面と前記インナの外周面との間に形成されるくさび状のカム室に配置されるローラと、このローラを前記カム室の空間が狭くなる狭小方向へ付勢するスプリングとを有し、前記モータの駆動トルクを受けて前記アウタが一方向に回転する時に、前記ローラを介して前記アウタから前記インナにトルク伝達され、エンジン回転数がスタータ回転数を上回るオーバラン時には、前記ローラが空転して前記インナから前記アウタへのトルク伝達を遮断するローラ式一方向クラッチであり、
前記スタータの惰性回転中に前記ピニオンギヤが前記リングギヤに再噛み合いした時のスタータ回転数を再噛合回転数と呼び、前記スタータの惰性回転中に前記ピニオンギヤが前記リングギヤに再噛み合いした時に発生する衝撃を再噛合衝撃と呼ぶ時に、
再噛合衝撃により前記スタータの駆動系に損傷が発生する再噛合回転数以上では、前記ローラが遠心力により前記インナの外周面から浮いていることを特徴とするスタータ。 - モータの駆動トルクを出力軸に伝達するクラッチを備え、前記出力軸に支持されたピニオンギヤをエンジンのリングギヤに噛み合わせて前記エンジンを始動させるスタータであって、
前記クラッチは、内周にカム面が形成されたアウタと、このアウタの内周側に相対回転可能に配置されるインナと、前記カム面と前記インナの外周面との間に形成されるくさび状のカム室に配置されるローラと、このローラを前記カム室の空間が狭くなる狭小方向へ付勢するスプリングとを有し、前記モータの駆動トルクを受けて前記アウタが一方向に回転する時に、前記ローラを介して前記アウタから前記インナにトルク伝達され、エンジン回転数がスタータ回転数を上回るオーバラン時には、前記ローラが空転して前記インナから前記アウタへのトルク伝達を遮断するローラ式一方向クラッチであり、
前記スタータの惰性回転中に前記ピニオンギヤが前記リングギヤに再噛み合いした時のスタータ回転数を再噛合回転数と呼び、前記スタータの惰性回転中に前記ピニオンギヤが前記リングギヤに再噛み合いした時に生じる衝撃を再噛合衝撃と呼ぶ時に、
再噛合衝撃により前記リングギヤに損傷が発生する再噛合回転数以上では、前記ローラが遠心力により前記インナの外周面から浮いていることを特徴とするスタータ。 - 請求項1または2に記載したスタータにおいて、
前記クラッチは、前記ローラが前記インナの外周面と前記カム面の両方に当接している状態で、前記インナの外周円に対し前記インナと前記ローラとの接点を通る接線を引き、その接線と前記スプリングの中心線とが成す角度をセンター角と呼ぶ時に、
前記センター角は、前記接線に対する前記カム面の傾斜角より0度以上大きいことを特徴とするスタータ。 - 請求項1〜3に記載した何れかのスタータにおいて、
前記インナは、前記ローラと接触する外周面側の表面層を硬化するために熱処理が行われ、その熱処理層の深さを素材の厚さの1/3〜2/3の範囲とすることを特徴とするスタータ。 - 請求項1〜3に記載した何れかのスタータにおいて、
前記インナは、外周面側と内周面側の表面層を硬化するために熱処理が行われ、その熱処理層の深さを、外周面側および内周面側ともに、素材の厚さの略1/3とすることを特徴とするスタータ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2007270338A JP2009097442A (ja) | 2007-10-17 | 2007-10-17 | スタータ |
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Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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CN107289162A (zh) * | 2017-08-27 | 2017-10-24 | 杭州富阳鸿祥技术服务有限公司 | 一种基于双向超越离合器控制的可调安全泄压阀 |
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- 2007-10-17 JP JP2007270338A patent/JP2009097442A/ja active Pending
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