JP2009096896A - 熱可塑性樹脂組成物および成形品 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物および成形品 Download PDF

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Koichiro Maeda
耕一郎 前田
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Abstract

【課題】 本発明は、耐熱性、耐衝撃性に優れたポリ乳酸含有熱可塑性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明に係る熱可塑性樹脂組成物は、
メルトマスフローレート(MFR:190℃、2.16kg荷重)が5〜25g/10分のポリ乳酸、
変性ポリフェニレンエーテル、および
酸変性芳香族ビニル化合物重合体を含む。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ポリ乳酸を含む熱可塑性樹脂組成物および該組成物を成形してなる成形品に関する。さらに詳しくは、耐熱性、耐衝撃性の改善されたポリ乳酸含有熱可塑性樹脂組成物に関する。
一般に熱可塑性樹脂からなる各種成形品は、原油などの埋蔵化石資源を原料に用いて合成されるものが多く、埋蔵化石資源の使用量抑制の観点から、近年、植物由来の原料を用いて合成される熱可塑性樹脂の利用が強く要求されてきている。
植物由来の原料を用いて合成される熱可塑性樹脂は、植物の成長過程で二酸化炭素を吸収しているため、たとえば、廃棄時に焼却された場合でも、環境中の二酸化炭素濃度が増大しないという性質も有している。そのため、植物由来の原料を用いて合成される熱可塑性樹脂は、埋蔵化石資源の使用量抑制という点に加えて、二酸化炭素発生量を削減でき、ひいては地球温暖化防止などの環境問題を解決し得るものとして期待されている。
このような植物由来の原料を用いて合成される熱可塑性樹脂として、ポリ乳酸が知られている。ポリ乳酸は、高い融点を持ち、また溶融成形が可能で、しかも、生分解性を有するため、植物由来の原料を用いて合成される熱可塑性樹脂として特に期待されている。しかしながら、ポリ乳酸は、耐熱性、耐衝撃性が不充分であり、実際上、使用できる分野が限られていた。
耐熱性の改善のため、たとえば、特許文献1では、ポリ乳酸と、該ポリ乳酸よりも高いガラス転移温度を有する非晶性樹脂とを含む生分解性樹脂組成物が開示されている。特許文献1では、非晶性樹脂として、ポリスチレン、ABS樹脂、ポリカーボネート等が実施例において使用されているが、変性ポリフェニレンエーテルも使用可能な樹脂として例示されている。特許文献1によれば、ポリ乳酸に高ガラス転移温度の非晶性樹脂を配合することで、強度および耐熱性が維持された成型品が得られる旨が記載されている。
特開2005−60637号公報
特許文献1に記載のように、高ガラス転移温度の非晶性樹脂を添加することで、ポリ乳酸含有樹脂組成物の耐熱性はある程度改善される。しかし、様々な用途への展開においては、耐熱性のさらなる向上が要望される。また、ポリ乳酸は耐衝撃性に優れた樹脂ではあるが、他の樹脂との混合により耐衝撃性が著しく損なわれることがあった。
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、耐熱性、耐衝撃性に優れたポリ乳酸含有熱可塑性樹脂組成物を提供することを目的とする。
かかる課題を解決する本発明は、以下の事項を要旨として含む。
(1)メルトマスフローレート(MFR:190℃、2.16kg荷重)が5〜25g/10分のポリ乳酸、
変性ポリフェニレンエーテル、および
酸変性芳香族ビニル化合物重合体を含む熱可塑性樹脂組成物。
(2)前記ポリ乳酸100重量部に対して、
前記変性ポリフェニレンエーテル20〜200重量部、および
前記酸変性芳香族ビニル化合物重合体0.1〜10重量部を含む(1)に記載の熱可塑性樹脂組成物。
(3)前記変性ポリフェニレンエーテルのメルトマスフローレート(MFR:250℃、10kg荷重)が0.1〜20g/10分である(1)または(2)に記載の熱可塑性樹脂組成物。
(4)前記酸変性芳香族ビニル化合物重合体が無水マレイン酸とスチレンとの共重合体である(1)〜(3)の何れかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
(5)上記(1)〜(4)の何れかに記載の熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形品。
本発明によれば、耐熱性、耐衝撃性に優れたポリ乳酸含有熱可塑性樹脂組成物が提供される。
以下、本発明の熱可塑性樹脂組成物および該組成物を成形してなる成形品について説明する。
熱可塑性樹脂組成物
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、ポリ乳酸、変性ポリフェニレンエーテルおよび酸変性芳香族ビニル化合物重合体を混合して得られる。
ポリ乳酸の配合量100重量部に対して、変性ポリフェニレンエーテルの配合量は、好ましくは20〜200重量部であり、より好ましくは30〜180重量部、特に好ましくは35〜150重量部であり、酸変性芳香族ビニル化合物重合体の配合量は、好ましくは0.1〜10重量部であり、より好ましくは0.2〜8重量部、特に好ましくは0.3〜2重量部、さらに好ましくは0.4〜1.5重量部である。変性ポリフェニレンエーテルまたは酸変性芳香族ビニル化合物重合体の配合量が少なすぎると、耐熱性、耐衝撃性に劣る場合がある。一方、変性ポリフェニレンエーテルまたは酸変性芳香族ビニル化合物重合体の配合量が多すぎると、ポリ乳酸を用いる利点(環境負荷の低減効果等)が小さくなり、また、加工性が低下(加工温度が高くなったり、成形時の流動性が低下し成形しにくくなる)したり、剛性が悪化する場合がある。
まず、本発明で使用するポリ乳酸、変性ポリフェニレンエーテルおよび酸変性芳香族ビニル化合物重合体について、さらに具体的に説明する。
ポリ乳酸
本発明で用いるポリ乳酸としては、乳酸の単独重合体である乳酸ホモポリマーの他、乳酸と他の化合物とを共重合させた乳酸コポリマー、さらには、これらをブレンドしたブレンドポリマーが挙げられる。
ポリ乳酸は、射出成形できる程度の加工性を有し、そのメルトマスフローレート(MFR:190℃、2.16kg荷重)は、5〜25g/10分であり、好ましくは7〜20g/10分である。ポリ乳酸のMFRが低すぎると、加工性が低下し、また変性ポリフェニレンエーテルとの混和性が低下するおそれがある。一方、ポリ乳酸のMFRが高すぎると、得られる樹脂組成物の耐熱性、耐衝撃性が低下する。また、ポリ乳酸におけるL−乳酸単位とD−乳酸単位との構成重量比W/Wは、特に限定はされないが、融点を高くすることができるという点より、L−乳酸、D−乳酸のいずれか一方の単位を75重量%以上含有していることが好ましく、90重量%以上含有していることがより好ましい。本発明では、L−乳酸単位を、好ましくは75重量%以上、特に、90重量%以上含有するものが好ましい。
乳酸コポリマーは、乳酸モノマー、または乳酸モノマーより合成することができるラクチドと共重合可能な他の成分が、乳酸モノマーとともに共重合されたものである。このような共重合可能な他の成分としては、エステル結合を形成可能な官能基を2個以上有する化合物が挙げられ、たとえば、ジカルボン酸、多価アルコール、ヒドロキシカルボン酸、ラクトンなどや、これらを構成成分とする各種ポリエステル、各種ポリエーテルなどが挙げられる。
ポリ乳酸の製造方法は、特に限定されず、従来公知の方法で製造することができるが、たとえば、次の方法により製造することができる。
まず、原料となるサトウキビ、とうもろこし、芋類などから乳酸の濃縮・精製品を生成させる。具体的には、原料となるサトウキビ等を絞ることにより、粗糖溶液を採取し、得られた粗糖溶液を濃縮する。そして、濃縮した粗糖溶液に発酵菌体を投入し、発酵させて粗乳酸を生成させる。次いで、粗乳酸溶液から発酵菌体を取り除き、濃縮処理を行う。最後に、得られた濃縮処理液を、蒸発精製処理により再び濃縮することにより、乳酸の濃縮・精製品(液状)を得る。
次いで、上記にて得られた乳酸の濃縮・精製品を重合させ、ポリ乳酸を得る。
具体的には、まず、乳酸の濃縮・精製品をさらに濃縮した後、脱水縮合反応させることによりオリゴマーを生成させる。次いで、得られたオリゴマーを反応させて粗ラクチドとし、得られた粗ラクチドを溶融晶析してラクチドを精製する。そして、得られたラクチドを開環重合させることにより、ポリ乳酸を得ることができる。
なお、ポリ乳酸を乳酸コポリマーとする場合には、乳酸モノマーからオリゴマーを生成させる際、オリゴマーから粗ラクチドを生成させる際、またはラクチドを開環重合させる際に、乳酸モノマーと共重合可能な他の成分を適宜添加すれば良い。
変性ポリフェニレンエーテル
変性ポリフェニレンエーテルは、芳香族ポリエーテル構造を持つポリフェニレンエーテル(PPE)を主成分とした、熱可塑性樹脂に属する合成樹脂ポリマーアロイの総称である。
本発明で使用する変性ポリフェニレンエーテルは、射出成形できる程度の加工性を有し、そのメルトマスフローレート(MFR:250℃、10kg荷重)は、好ましくは0.1〜20g/10分であり、より好ましくは5〜15g/10分である。変性ポリフェニレンエーテルのMFRが低すぎると、加工性が低下し、またポリ乳酸との混和性が低下するおそれがある。一方、変性ポリフェニレンエーテルのMFRが高すぎると、得られる樹脂組成物の耐熱性、耐衝撃性が低下するおそれがある。
上記変性ポリフェニレンエーテルとしては、上記好ましいMFR値を有する限り、特に限定されず、市販品なども使用することができるが、好ましい変性ポリフェニレンエーテルとしては、下記化1で表されるポリフェニレンエーテルの重合体、スチレン系モノマーをグラフト共重合してなるポリフェニレンエーテル、および下記化2で表されるフェノール系モノマーとスチレン系モノマーとを銅(II) のアミン錯体などの触媒存在下で酸化重合させて得られるブロック共重合体などと、ポリスチレンまたはポリオレフィンなどと、をブレンドした結果得られる、スチレン変性ポリフェニレンエーテルやポリオレフィン変性ポリフェニレンエーテルなどが挙げられる。中でも、変性に(ポリ)スチレンが関与している、スチレン変性ポリフェニレンエーテルが特に好ましい。なお、変性ポリフェニレンエーテルは1種単独で用いられても併用されてもよい。
Figure 2009096896
(R1 、R2 は炭素数が1〜4のアルキル基又はハロゲン原子を示し、nは重合度を示す。)
上記化1で表されるポリフェニレンエーテルとしては、例えば、ポリ(2,6−ジメチルフェニレン−1,4−エーテル)、ポリ(2,6−ジエチルフェニレン−1,4−エーテル)、ポリ(2,6−ジクロロフェニレン−1,4−エーテル)、ポリ(2,6−ジブロモフェニレン−1,4−エーテル)、ポリ(2−メチル−6−エチルフェニレン−1,4−エーテル)、ポリ(2−クロロ−6−メチルフェニレン−1,4−エーテル)、ポリ(2−メチル−6−イソプロピルフェニレン−1,4−エーテル)、ポリ(2,6−ジ−n−プロピルフェニレン−1,4−エーテル)、ポリ(2−ブロモ−6−メチルフェニレン−1,4−エーテル)、ポリ(2−クロロ−6−ブロモフェニレン−1,4−エーテル)、ポリ(2−クロロ−6−エチルフェニレン−1,4−エーテル)などが挙げられ、これらは単独で用いられても併用されてもよく、又、上記重合度nは、10〜5000のものが好適に用いられる。
Figure 2009096896
(R3 、R4 は炭素数が1〜4のアルキル基又はハロゲン原子を示す。)
上記化2で表されるフェノール系モノマーとしては、例えば、2,6−ジメチルフェノール、2,6−ジエチルフェノール、2,6−ジクロロフェノール、2,6−ジブロモフェノール、2−メチル−6−エチルフェノール、2−クロロ−6−メチルフェノール、2−メチル−6−イソプロピルフェノール、2,6−ジ−n−プロピルフェノール、2−ブロモ−6−メチルフェノール、2−クロロ−6−ブロモフェノール、2−クロロ−6−エチルフェノールなどが挙げられ、これらは単独で用いられても併用されてもよい。
ポリフェニレンエーテルにグラフト共重合され、あるいはフェノール系モノマーとブロック共重合するスチレン系モノマーとしては、例えば、スチレン;α−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−メチルスチレン、エチルスチレン、p−t−ブチルスチレンなどのアルキル化スチレン;モノクロロスチレン、ジクロロスチレンなどのハロゲン化スチレンなどが挙げられる。
上記スチレン変性ポリフェニレンエーテルとしては、フェニレンエーテル成分が15〜60重量%で且つスチレン成分が85〜40重量%であるスチレン変性ポリフェニレンエーテルが好ましく、フェニレンエーテル成分が20〜60重量%で且つスチレン成分が80〜40重量%であるスチレン変性ポリフェニレンエーテルがより好ましく、フェニレンエーテル成分が25〜50重量%で且つスチレン成分が75〜50重量%であるスチレン変性ポリフェニレンエーテルが特に好ましい。
スチレン変性ポリフェニレンエーテルなどの変性ポリフェニレンエーテル中のフェニレンエーテル成分は、少ないと、得られる樹脂組成物の耐熱性が低下することがある。一方、フェニレンエーテル成分が多いと、成形性が低下するおそれがある。
酸変性芳香族ビニル化合物重合体
酸変性芳香族ビニル化合物重合体は、芳香族ビニル化合物と有機酸基含有モノマーとの共重合体である。
芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−メチルスチレン、エチルスチレン、p−t−ブチルスチレンなどが挙げられる。これらは、1種類を単独で、あるいは2種類以上を併用して用いることができる。芳香族ビニル化合物の中でも、スチレンが特に好ましく用いられる。
芳香族ビニル化合物との共重合に用いられる有機酸基含有モノマーとしては、マレイン酸、(フマル酸、無水マレイン酸、イタコン酸、(メタ)アクリル酸)等があげられ、汎用性などの観点から、特に好ましくは無水マレイン酸が用いられる。
また、酸変性芳香族ビニル化合物重合体中における有機酸基含有モノマーから誘導される構成単位の含有量は、好ましくは1〜50重量%、さらに好ましくは5〜40重量%である。酸変性芳香族ビニル化合物重合体中における有機酸基含有モノマーから誘導される構成単位の含有量が少なすぎると、耐熱性が低下するおそれがあり、また多すぎると耐衝撃性が低下するおそれがある。
また、酸変性芳香族ビニル化合物重合体には、芳香族ビニル化合物から誘導される構成単位及び有機酸基含有モノマーから誘導される構成単位に加え、エチレン、(メタ)アクリル酸エステル、1,4-ブタジエン、イソプレン等から誘導される構成単位が含まれていても良い。
酸変性芳香族ビニル化合物重合体における芳香族ビニル化合物から導かれる構成単位の含有量は、好ましくは50〜99重量%、より好ましくは60〜95重量%である。酸変性芳香族ビニル化合物重合体は、ランダム重合体であってもよく、またブロック重合体であってもよいが、ランダム重合体であることが好ましい。
また、酸変性芳香族ビニル化合物重合体の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは100,000〜500,000、さらに好ましくは150,000〜250,000である。酸変性芳香族ビニル化合物重合体の重量平均分子量が小さすぎると、成型品からブリードアウトするおそれがあり、また大きすぎると、組成物中に十分均一に分散できないおそれがある。
酸変性芳香族ビニル化合物重合体は、相溶化剤としての機能を有し、組成物中においてポリ乳酸と変性ポリフェニレンエーテルとを均一に分散し、耐熱性、耐衝撃性に優れた熱可塑性樹脂組成物を生成する。
熱可塑性樹脂組成物の製造方法
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、上記したポリ乳酸、変性ポリフェニレンエーテルおよび酸変性芳香族ビニル化合物重合体とを混練、あるいは、溶剤に分散または溶解した後、混合して、その後、溶剤を除去することなどにより製造することができるが、混練により製造することが好ましい。
ポリ乳酸、変性ポリフェニレンエーテルおよび酸変性芳香族ビニル化合物重合体とを混練する方法としては、特に限定されないが、予めこれらをペレット化しておき、ペレットの状態で、混練機に供給し、180〜300℃、特には190〜250℃にて剪断を与えつつ混練する方法が好ましい。混練機としては、特に限定されないが、ブラベンダ、ラボプラストミルなどのバッチ式混練機;単軸押出機、二軸押出機などの連続式混練機;などを用いることができる。
これらの混練機を用いて混練する際には、予めポリ乳酸、変性ポリフェニレンエーテルおよび酸変性芳香族ビニル化合物重合体とを、タンブラーミキサー等の乾式混合機を用いて混合しておき、混合品の状態で混練機に投入しても良い。また、連続式混練機を用いる場合には、これらを別々の供給機から連続的に供給する方法を採用しても良い。
なお、本発明の熱可塑性樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、ハイブリッドフィラー(2種以上の充填材を、乾式にて高速撹拌することにより得られるフィラーのこと)、炭酸カルシウム、ガラス繊維、ウォラストナイトなどの充填剤;老化防止剤;滑剤;ダスティング剤;酸吸収剤などの、ゴムや樹脂に一般的に配合される配合剤を配合して用いてもよい。
これら充填剤等の配合剤は必ずしも配合しなくても良いが、配合する場合における配合量は、ポリ乳酸、変性ポリフェニレンエーテル及び酸変性芳香族ビニル化合物重合体の合計100重量部に対し、0.05〜50重量部程度とする。
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、ポリ乳酸、変性ポリフェニレンエーテル及び酸変性芳香族ビニル化合物重合体以外の樹脂やゴムを配合しても良い。このような樹脂やゴムとしては、たとえば、アクリル共重合体ゴム;ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコールなどのポリエーテル;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル;ポリアクリロニトリル;スチレン−アクリロニトリル共重合体;などが挙げられる。これらは必ずしも配合しなくても良いが、配合する場合における配合量は、ポリ乳酸、変性ポリフェニレンエーテル及び酸変性芳香族ビニル化合物重合体の合計100重量部に対し、0.1〜50重量部程度とする。
成形品
本発明の成形品は、上記のようにして製造した本発明の熱可塑性樹脂組成物を、成形することにより得ることができる。本発明の熱可塑性樹脂組成物を成形する方法としては、特に限定されず、通常の熱可塑性樹脂と同様に、押出成形、射出成形、トランスファー成形、圧縮成形、カレンダー成形などの方法が挙げられる。また、成形温度は、好ましくは100〜300℃、より好ましくは120〜270℃である。
こうして得られる本発明の成形品は、耐熱性、耐衝撃性が良好であり、しかも、優れた成形安定性を有している。そのため、各種用途に用いることができ、具体的には、電気・電子機器用部品、自動車用部品、各種容器、トレー、日用雑貨などとして好適に使用される。
以下に実施例、比較例を挙げて、本発明を具体的に説明する。これらの例中の〔部〕および〔%〕は、特に断わりのない限り重量基準である。ただし本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。なお、各特性の評価は下記の方法により行った。
メルトマスフローレート(MFR
樹脂成分のメルトマスフローレート(MFR)は、JIS K7210に準拠して測定した。具体的には、ポリ乳酸に関しては、測定温度190℃、2.16kg荷重にて測定し、変性ポリフェニレンエーテルに関しては、測定温度250℃、10kg荷重にて測定した。
アイゾット衝撃強さ(耐衝撃性)
熱可塑性樹脂組成物のアイゾット衝撃強さ(耐衝撃性)は、JIS K 7110に準拠して測定した。
まず、アイゾット衝撃強さを測定するための評価用成形品を製造した。具体的には、熱可塑性樹脂組成物を、厚さ3mm×100mm×170mmの金属枠を用いて12.0MPaの圧力および200℃の温度にて10分間プレス成形して板状の成形品を得た。
次いで、得られた成形品から幅12.7mm、長さ64mm、厚み3mmの試験片を切り出し、長手方向中央部に深さ2.54mmのノッチ(2号試験片用Aノッチ)を、試験片の片側に付けた。そして、JIS K 7110にて規定された専用試験機の試料支持台に前記試験片を固定し、ノッチを形成した片側面をハンマーで打撃して、打撃、試験片破断時の吸収エネルギーから、アイゾット衝撃強さを求めた。
荷重たわみ温度(DTUL)
荷重たわみ温度(DTUL)は、上記にて得られた成形品から幅12.7mm、長さ170mm、厚み3mmの試験片を切り出し、JIS K 7191−2に準拠して、支点間距離64mm、1.80MPaまたは0.45MPaの荷重で測定した。
また、実施例、比較例で熱可塑性樹脂組成物の製造に使用した成分を以下に示す。
(A)ポリ乳酸
(A1)ポリ乳酸(トヨタ自動車株式会社製 エコプラスチックU’z 品番S−17)
MFR(190℃、2.16kg荷重)=11.2g/10分
(A2)ポリ乳酸(三井化学株式会社製 レイシア 品番H−100)
MFR(190℃、2.16kg荷重)=3.7g/10分
(B)変性ポリフェニレンエーテル
(B1)ノリル115(商品名、日本GEプラスチック株式会社製、スチレン変性ポリフェニレンエーテル)
MFR(250℃、10kg荷重)=12.4g/10分
(B2)ザイロン500H(商品名、旭化成ケミカルズ株式会社製、スチレン変性ポリフェニレンエーテル)
MFR(250℃、10kg荷重)=3.9g/10分
(C)酸変性した芳香族ビニル化合物重合体
(C1)DYLARK D250(商品名、NOVA Chemicals社製、スチレン−無水マレイン酸共重合体)
分子量(Mw=200,000)、無水マレイン酸単位含有量 30重量%
(C2)DYLARK D332(商品名、NOVA Chemicals社製、スチレン−無水マレイン酸共重合体)
分子量(Mw=190,000)、無水マレイン酸単位含有量 17重量%
(D)充填剤
(D1)ガラス繊維(オーウェンスコーニング製造株式会社製、チョップドストランド、φ10μm、長さ3mm)
(E)未変性芳香族ビニル化合物重合体
(E1)ポリスチレン(商品名、(PSジャパン株式会社製、ポリスチレン 品番(H8672))
実施例1
ポリ乳酸(A1)100重量部に対して、変性ポリフェニレンエーテル(B1)43重量部および酸変性芳香族ビニル化合物重合体(C1)1.4重量部をタンブラーミキサーにより乾式混合し、ペレット混合物を得た。そして、得られたペレット混合物を、フィーダー(ペレット供給機)に入れ、バレル内径40mmの二軸押出機((株)プラスチック工学研究所製 BT−40型)に供給することにより、熱可塑性樹脂組成物のペレットを作製した。具体的には、バレル内にて、混合物を200〜220℃にて加熱溶融・混練し、二軸押出機の先端に備え付けられたダイより溶融・混練物をストランド状で吐出させるとともに、水槽にて冷却して固化させ、ペレタイザーでストランド状の吐出物をカットすることにより、ペレットを作製した。
そして、得られたペレット状の熱可塑性樹脂組成物を用いて、上記した条件により評価用成形品を作製し、アイゾット衝撃強さ、荷重たわみ温度の各評価を行った。結果を表1に示す。
実施例2〜8および比較例1〜8
熱可塑性樹脂を調整する際に、各成分およびその配合量を表1または表2に記載のように変更した以外は実施例1と同様にして、熱可塑性樹脂組成物を調整し、同様に評価を行った。結果を表1及び表2に示す。但し、充填剤(D1)は加熱溶融・混練の際に溶融しない。
Figure 2009096896
Figure 2009096896
表1および表2より、次の点が確認できる。
ポリ乳酸および変性ポリフェニレンエーテルのみ(比較例1、2)に比べ、酸変性芳香族ビニル化合物重合体を配合することで、耐熱性が向上する(実施例1〜7)。一方、ポリ乳酸および変性ポリフェニレンエーテルに未変性芳香族ビニル化合物重合体を配合しても(比較例3)、耐熱性は改善されない。
MFR(250℃、10kg荷重)が3.9g/10分の変性ポリフェニレンエーテル(実施例8、比較例4)においても、ポリ乳酸および変性ポリフェニレンエーテルのみ(比較例4)に比べ、酸変性芳香族ビニル化合物重合体を配合した方が耐衝撃性が向上する(実施例8)。
また、MFR(190℃、2.16kg荷重)が3.7g/10分のポリ乳酸(比較例5、6)に比べ、MFR(190℃、2.16kg荷重)が11.2g/10分のポリ乳酸を配合する方が、耐熱性が向上する(実施例1〜7)。一方、MFR(190℃、2.16kg荷重)が3.7g/10分のポリ乳酸の場合は、変性ポリフェニレンエーテル及び酸変性芳香族ビニル化合物重合体を配合しても(比較例5)、耐熱性は改善されない。
ポリ乳酸および酸変性芳香族ビニル化合物重合体のみ(比較例7)あるいはポリ乳酸単独(比較例8)に比べ、ポリ乳酸、変性ポリフェニレンエーテルおよび酸変性芳香族ビニル化合物重合体を配合する方が耐熱性が向上する(実施例1〜8)。

Claims (5)

  1. メルトマスフローレート(MFR:190℃、2.16kg荷重)が5〜25g/10分のポリ乳酸、
    変性ポリフェニレンエーテル、および
    酸変性芳香族ビニル化合物重合体を含む熱可塑性樹脂組成物。
  2. 前記ポリ乳酸100重量部に対して、
    前記変性ポリフェニレンエーテル20〜200重量部、および
    前記酸変性芳香族ビニル化合物重合体0.1〜10重量部を含む請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 前記変性ポリフェニレンエーテルのメルトマスフローレート(MFR:250℃、10kg荷重)が0.1〜20g/10分である請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 前記酸変性芳香族ビニル化合物重合体が無水マレイン酸とスチレンとの共重合体である請求項1〜3の何れかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4の何れかに記載の熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形品。
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