JP2009096459A - 曲げ圧壊特性に優れた自動車車体補強材 - Google Patents

曲げ圧壊特性に優れた自動車車体補強材 Download PDF

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Abstract

【課題】曲げ圧壊特性として、車体衝突時の曲げ荷重に対する曲げ強度およびエネルギー吸収特性が高い、補強材を別途に設けずとも単体で衝突安全性に優れた、バンパ補強材やドアガードバーなどのアルミニウム合金製自動車車体補強材を提供する。
【解決手段】略矩形断面を有するアルミニウム合金中空形材からなる自動車車体補強材20を下記a〜dの構成として、曲げ圧壊特性に優れさせる。
a.前面壁1と後面壁2と上方と下方の各横壁3、4と中間壁5とからなる略日型断面とする。
b.前面壁1と後面壁2との厚さを各々3mm以上とする。
c.各横壁3、4によって前面壁1と後面壁2とを仕切り、前面壁1と後面壁2との端部にフランジ部6〜9を設ける。
d.中間壁5の前面壁側端部5aと前面壁中央部1eとの接続を、前面壁1の壁幅を減少させるように行って、前面壁中央部1eに凹部10aを形成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、曲げ圧壊特性として、車体衝突時の曲げ荷重に対する曲げ強度およびエネルギー吸収特性が高い、補強材を別途に設けずとも単体で衝突安全性に優れた、バンパ補強材やドアガードバーなどのアルミニウム合金製自動車車体補強材に関する。以下、アルミニウムをAlとも言う。
自動車車体には、周知の通り、バンパ補強材やドアガードバーなど、多くの自動車車体補強材が設けられている。例えば、自動車車体の車体の前端(フロント)および後端(リア)に取り付けられているバンパの内部には、周知の通り、強度補強材としてのバンパ補強材(バンパリインフォースメント、バンパアマチャアとも言う)が設けられている。このバンパ補強材は断面形状が略矩形であり、周知の通り、バンパと車体との間に、車体に対し略水平方向で車幅方向に対し平行に延在するように配置される。そして、バンパとその後方のステイまたはクラッシュボックスで、車体の衝突に対するエネルギー吸収部材を構成する。
バンパ補強材の支持構造は、衝突面に対する背面から、断面形状が略矩形の中空構造のバンパステイなどの支持部材を介して、車体長さ方向に延在するフロントサイドメンバやリヤサイドメンバ等の車体フレームに連結、固定される。このような支持構造とすることによって、バンパ補強材は、車体の衝突に対して横方向(略水平方向)に圧壊変形して衝突エネルギーを吸収し、車体を保護する。即ち、バンパ補強材は、車体衝突時の大荷重付加時に、損壊、飛散などせずに、加わった外力エネルギー(衝突エネルギー)を、自らの曲げ変形や断面のつぶれ(圧壊)により吸収し、圧壊変形して荷重エネルギーを吸収する性能が求められる。このような機能や支持構造は、車体側方から衝突された場合に発生するドアの車室内への陥入を防止して乗員を保護するために、ドアの内部に設けられてドアを補強する、ドアーガードバー(ドアビーム)など、他の自動車車体補強材でも基本的には同じである。
近年、これら補強材には、軽量化のために、従来使用されていた鋼材に代わって、5000系、6000系、7000系等の高強度アルミニウム合金押出形材(長手方向に同一断面形状を有する形材)が使用されている。アルミニウム合金は、鋼などに比して、同じ重量の場合には前記エネルギー吸収性能に優れる。また、長手方向に同一断面形状を有するアルミニウム合金押出形材は、強度や剛性に優れた断面形状が略矩形の中空構造を、効率的に、かつ大量に製造することが可能である。このため、車体用エネルギー吸収部材としての補強材に好適である。
ただ、このようなアルミニウム合金補強材を、自動車のバンパ補強材などの補強材に用いる場合、ポール衝突、バリア衝突、オフセット衝などの種々の衝突試験の形態があり、これらの衝突に対する安全性向上のため、補強材の強度特性を高める必要性が増している。例えば、本発明でひとつの課題とするポール衝突の場合、特に局所的に略水平方向からの荷重が集中するために、バンパ補強材などの圧壊強度が不足しやすく、衝突形態によっては、補強材の圧壊強度が不足するという問題がある。
より具体的に、バンパ補強材として、車体のポール衝突時のアルミニウム合金補強材の挙動を、図7の車体平面図により説明する。今、図7(a)に示す様な、車体Aが走行して、消火栓、電柱、門柱などであるCと衝突するポール衝突時には、リアのバンパ補強材110に対し、略水平方向からの荷重が、衝突部に局部的に集中して加わる。これはフロントのバンパ補強材でも同様である。この場合、荷重が大きいと、バンパ補強材110の圧壊強度が不足し、図7(b)に示す様に、バンパ補強材110が中央部より水平方向に折れ曲がり、車体Aに損傷を与えることが生じる。この現象は、荷重の大きさによっては、アルミニウム合金バンパ補強材の断面形状が口形だけではなく、断面形状が日形、あるいは目形、田形等の中リブを設けてより補強したタイプのバンパ補強材においても生じる可能性が大いにある。
これに対し、前記ポール衝突時の折れ曲がりを防止するためには、バンパ補強材の圧壊強度を大きくする必要がある。このための手段としては、バンパ補強材などの自動車車体補強材を構成するアルミニウム合金中空形材自体を高強度化する、中空形材壁部厚みを厚くする、補強材の幅を大きくする等の方法が考えられる。しかし、アルミニウム合金中空形材を高強度化した場合に、押出等の形材製造や曲げ等の形材の成形加工が難しくなるとともに、割れが生じやすく、却って、衝突のエネルギー吸収量を小さくすることにもつながるので限界がある。また、単にアルミニウム合金中空形材の厚みを厚くしたり、補強材の幅を大きくした場合、重量が増加して、アルミニウム合金による軽量化の利点が損なわれるため、これにも限界がある。
したがって、従来から、ポール衝突対応としては、バンパ補強材の折れ曲がりやすい長手方向の中央部分に補強材を取り付け、中央部分を補強する方法があった。実際に、アルミや鋼製などの補強形材を、バンパ補強材の衝突面側の車体前面側に取り付けられることが行われている。しかし、充分な補強効果を得るためには、補強形材取り付けによる重量増加が大きくなったり、取り付けのための部品点数およびコスト増などのデメリットが無視しえなくなる。したがって、鋼製バンパ補強材の重量と大差なくなり、バンパ補強材へのアルミニウム合金採用による軽量化の利点が損なわれる。
これに対し、上記補強形材を鋼製に代えてアルミニウム合金製とすることが従来から提案されている。例えば、バンパ補強材の長手方向中央部に、アルミニウム合金中空形材で形成された補強体を接着剤などにより接着固定した補強構造が開示されている(特許文献1参照)。更に、アルミニウム合金補強形材の断面を開断面を有するものとして、バンパ補強材の前部側に設けた態様も提案されている(特許文献2参照)。また、既存のバンパスペースを利用して補強することが可能な、略矩形断面を有するアルミニウム合金中空形材からなるバンパ補強材も提案されている(特許文献3参照)。この提案では、バンパ補強材よりも短尺で、かつ略矩形断面を有する補強用形材を、バンパ補強材の長手方向中央部の上側か下側のいずれかの側に、バンパ補強材と略平行に、かつ一体に取り付ける。
なお、ポール衝突対応ではなく、エネルギー吸収性能や、オフセット衝突の際の圧壊強度を上げるために、略日形断面を有する、アルミニウム合金中空形材などの前面壁の中央部に凹部を設けることが公知である(特許文献4、5参照)。これらの前面壁の中央部の凹部は、前面壁の衝突面としての垂直な分の壁面幅(以下、単に壁幅とも言う)を、元の垂直な壁面での壁幅から減少させている。これによって、前面壁の幅厚比 (壁幅/ 壁厚) を減少させ、バンパ補強材前面壁の圧壊強度を上げるものである。
特開平6−286536号公報 特開2001−225763号公報 特開2004−262300号公報 特開2001−26245号公報 特開2002−225652号公報
ただ、これら従来の補強材の取り付けでも、バンパ補強材への衝突試験の際の衝突速度が速くなるなど、衝突試験基準が厳しくなった耐ポール衝突性に対しては、バンパ補強材の圧壊強度が不足する。即ち、車体衝突時の曲げ荷重に対する曲げ強度が不足する。また、これら従来の補強材取り付けでは、スペースの余裕があまり無いバンパ内部での、補強材取り付けのためのスペースを必要とする。このため、補強材をバンパ補強材に取り付ける場合には、このスペースを確保するためのバンパ乃至自動車車体の設計変更を要する。したがって、バンパ乃至自動車車体の設計上、この設計変更や設計変更してもスペースが確保できない場合は、アルミニウム合金などからなる補強材を採用することができない。
一方、前記した、前面壁の中央部に凹部を設けて、前面壁の幅厚比 (壁幅/ 壁厚) を減少させ、バンパ補強材前面壁の圧壊強度を上げる方法だけでは、やはり、衝突試験基準が厳しくなった耐ポール衝突性に対して、バンパ補強材の圧壊強度が不足する。言い換えると、車体衝突時の曲げ荷重に対する曲げ強度が不足する。
更に、バンパ補強材には、これら車体衝突時の圧壊強度の向上に加えて、エネルギー吸収特性が高いことも要求される。即ち、車体衝突時に負荷される荷重に対して、最大荷重以降の荷重の低下を抑えて、大きく変形した際の荷重と変形量の積分で定義されるエネルギー吸収量を大きくし、もって車体の損傷を低減するというエネルギー吸収特性も要求される。このような特性は、バンパ補強材だけでなく、車体側方から衝突された場合に発生するドアの車室内への陥入を防止して乗員を保護するために、ドアの内部に設けられてドアを補強するドアーガードバー(ドアビーム)などの自動車車体補強材にも共通して要求される。
したがって、自動車車体補強材には、曲げ圧壊特性として、車体衝突時の曲げ荷重に対する曲げ強度およびエネルギー吸収特性が高いことが、益々要求されている。本発明の目的は、この曲げ圧壊特性が高く、補強材を別途に設けずとも単体で衝突安全性に優れた、バンパ補強材やドアガードバーなどのアルミニウム合金製自動車車体補強材を提供しようとするものである。
上記目的を達成するための、本発明の曲げ圧壊特性が優れた自動車車体補強材の要旨は、略矩形断面を有するアルミニウム合金中空形材からなり、下記a〜dの構成を有することである。
a.前記略矩形断面は、略上下方向に延在する前面壁と、この前面壁と略平行にかつ間隔を開けて略上下方向に延在する後面壁と、これら前面壁と後面壁とをつなぎ、互いに間隔を開けて略水平方向に延在する上方と下方の各横壁と、これら前面壁と後面壁の各中央部同士をつなぎ、略水平方向に延在する中間壁とからなる、略日型断面から構成される。
b.前記前面壁と後面壁との厚さを各々3mm以上とする一方、前記上方と下方の各横壁と中間壁との厚さを、この前面壁と後面壁の厚さよりも薄肉とする。
c.前記上方と下方の各横壁とは、これら前面壁と後面壁の各上下端部よりもそれぞれ下側か上側かの、前面壁と後面壁の各上部同士および各下部同士をつなぐことによって、前面壁と後面壁とを仕切り、これら前面壁と後面壁との両端部を上下各方向に向かって張り出すフランジ部としている。
d.前記中間壁の前面壁側の長さを前記上方と下方の各横壁の長さよりも短くし、この中間壁の前面壁側端部と前面壁中央部との接続を、前面壁の壁幅を減少させるように行って、前面壁中央部に、自動車車体補強材の長手方向に亘って延在する凹部を形成している。
本発明自動車車体補強材構成では、上記bの要件によって、前提として、先ず、前記前面壁と後面壁とを比較的厚肉とすることによって、補強材前面壁の圧壊強度を上げる。次に、上記dの要件によって、先ず、衝突方向に対峙する前面壁の壁面を曲率面とするが、衝突方向には突出せずに(衝突方向に凸ではなく)、後面壁側に凹む曲率面とすることによって、補強材前面壁の圧壊強度を上げる。また、このdの要件および上記cの要件によって、前面壁の壁幅を減少させて、幅厚比 (壁幅/ 壁厚) を減少させることにより、補強材前面壁の圧壊強度を上げる。更に、上記cの要件によって、後面壁の壁幅も減少させて、幅厚比 (壁幅/ 壁厚) を減少させることにより、補強材後面壁の圧壊強度も上げる。
したがって、本発明自動車車体補強材構成では、これら前記前面壁と後面壁との圧壊強度の向上効果によって、補強材の曲げ強度が向上し、ポール衝突時に、補強材に対し、略水平方向からの荷重が、衝突部に局部的に集中して加わっても、容易には座屈したり、折れ曲がったりしない。しかも、最大荷重を生じた後の反力荷重の低下が比較的小さくなるため、変形量あたりのエネルギー吸収量が大きくなり、車体の損傷が低減できる。更に、このポール衝突性に優れる効果を、補強材を別途に設けずとも、補強材を別途に設ける場合と同様に、達成できる。また、ポール衝突以外の衝突でも、バンパ補強材以外の自動車車体補強材でも、この曲げ圧壊特性として、車体衝突時の曲げ荷重に対する曲げ強度およびエネルギー吸収特性の向上効果が発揮される。この結果、益々厳しくなる傾向の高い自動車の衝突試験基準に対し、安全性が高く、軽量かつ省スペースな、自動車車体補強材を提供できる。
以下に、本発明のより具体的な実施の形態について、自動車車体補強材としてのバンパ補強材と、耐ポール衝突性とを代表例にして、図面を用いて詳細に説明する。
(バンパ補強材の全体形状、構造)
Al合金製バンパ補強材の実施態様を、図1、2に斜視図で例示する。図4は図1、2の平面図である。ここで、図1、2、4は、バンパ補強材20が車幅方向に略水平方向に延在している状態を示している。バンパ補強材20の長手方向の形状は、フロントにしてもリアにしても、車体設計上、多くは直線的ではなく、図1、2、4に示すように、両端に車体前後方向(図1、2では右方向、図4では下方向)に曲げられた湾曲形状を有する。この図1、2、4の湾曲形状では、バンパ補強材20は、両端部の(左右の)直線的な各湾曲部20b、20bと中央の直線部20aとを有する。
なお、本発明のバンパ補強材は、その長手方向が、湾曲型として、長手方向両端に直線的なあるいは曲線的な湾曲部 (屈曲部) を有していても良く、また、長手方向全体が曲線的に湾曲していても良い。また、その長手方向が湾曲せずに直線的であっても良い。
図4に示す通り、本発明のバンパ補強材20は、通常のバンパ補強材と同様に、この両端部の(左右の)各湾曲部20b、20b背面(裏面)において、中空筒状の各ステイ30、30によって支持される。そして、このステイ30、30を介して、図示しない車体サイドメンバーと接合され、フロントにしてもリアにしても、バンパ補強材20が車体側に支持される。
ステイ:
図4では、これらステイ30、30の前面と後面には、各々フランジ31、32が設けられており、前面側フランジ31によって、バンパ補強材20の湾曲部20b、20b背面(裏面)と溶接乃至機械的に接合されている。また、後面側フランジ30は、図示しないサイドメンバの前面側フランジと溶接乃至機械的に接合されている。ここで、これらのステイは、図4に示す通り、両端が車体後方に曲げられた湾曲部を有するバンパ補強材に接合されるため、筒状の場合はその前面、前面壁がある場合はその前面壁が、図4に示したように、前記バンパ補強材の湾曲部後面に対応した、直線的あるいは曲線的な傾斜状乃至傾斜壁となっている。
各ステイ30、30は鋼製であっても、Al合金製であっても良いが、ステイの軽量化のためには、ステイ自体も中空の筒体乃至形材であることが好ましい。また、材質については、普通鋼やハイテンなどの鋼材、アルミニウム合金押出形材が適宜選択される。更にまた、本発明バンパ補強材を予めステイと一体化して、ステイ付バンパ補強材としておくことにより、ステイを介して、サイドメンバーに取り付けることが、極めて容易かつ簡便となる。
(バンパ補強材の断面形状)
要件a:
バンパ補強材20 (中空形材) の断面形状、構造は、前提として、前記した要件aの通り、図1、2に示すように、略日型断面から構成される略矩形断面(閉断面)からなる。図1、2は、車体側面側(左側面側)から見た、フロントあるいはリアのバンパ補強材20 (中空形材) の断面(側断面)である。
略日型断面は、先ず、車体の(図1の)略上下方向に延在する前面壁1と、この前面壁1と略平行にかつ間隔を開けて、車体の(図1の)略上下方向(略垂直方向)に延在する後面壁2とからなる。衝突方向乃至衝突荷重Fに対峙して立設された前面壁1は、前面側の縦壁、衝突側壁、前面側フランジなどとも称せられる。また、前面壁1よりも一定間隔をおいて後方側(図1の右側)に位置する後面壁2は、後面側の縦壁、後面側フランジなどとも称せられる。
略日型断面は、次に、これら前面壁1と後面壁2に加えて、前面壁1と後面壁2の各上部(上方部)1c、2a同士および各下部(下方部)1d、2b同士をつなぎ、互いに間隔を開けて略水平方向に延在する上方と下方の各横壁3、4とからなる。各横壁3、4の端部は、横壁3では3a、3bにおいて、横壁4では4a、4bにおいて、各々前面壁1の上部1c、下部1d、後面壁2の上部2a、下部2bと直交している。これらの横壁3、4は側壁、ウエブなどとも称せられる。
略日型断面は、更に、これら前面壁1と後面壁2の各中央部1e、2c同士をつなぎ、略水平方向に延在する中間壁(中間の横壁)5とからなる。中間壁5の端部5a、5bは、略垂直方向に立設する前面壁1と後面壁2の各中央部1e、2cと直交している。この中間壁5は中リブ、補強壁などとも称せられる。これらによって、バンパ補強材20 (中空形材) は、上下二つの中空部11、12を有する、閉断面構造の略日型断面からなる。
要件b:
ここで、本発明バンパ補強材構成では、前記した要件bの通り、先ず、前面壁1と後面壁2との厚さを各々3mm以上の比較的厚肉とすることによって、バンパ補強材の前面壁1と後面壁2との圧壊強度を上げる。前面壁1と後面壁2とを、各々3mm以上の比較的厚肉としなければ、断面形状の如何にかかわらず、アルミニウム合金補強材自体での耐ポール衝突性を、補強材を設けた並に、向上できない。ただ、バンパ補強材では、前面壁1と後面壁2との厚さが各々4mm以下では、場合によっては耐ポール衝突性が不足する可能性もあり、好ましくは、前面壁1と後面壁2との厚さを、各々より厚い4mm以上とする。この際、前面壁1と後面壁2との厚さを、互いに同じとしても、互いに異ならせても良い。
一方、上方と下方の各横壁3、4と中間壁5との厚さは、この前面壁1と後面壁2の厚さほどには、耐ポール衝突性に効かない。したがって、ポール衝突時に負荷される集中荷重に耐えれるだけの強度があれば良く、前面壁1と後面壁2に比して薄肉とできる。また、バンパ補強材の軽量化のためにも、上方と下方の各横壁3、4と中間壁5との厚さは、前面壁1と後面壁2に比して、薄い方が好ましい。この点、バンパ補強材として、前面壁1と後面壁2との厚さを前記4mm以上とした場合には、好ましくは、上方と下方の各横壁3、4と中間壁5との厚さを、2〜3.5mmとする。
要件c:
バンパ補強材20 (中空形材) は、図1、2に示すように、これら略日型断面に加えて、前記した要件cの通り、上方と下方の各横壁3、4によって、前面壁1と後面壁2との元の単一な壁幅(長さ)を、その上方と下方の両端部側において各々仕切り(分割し)、フランジを設けている。
即ち、上方と下方の各横壁3、4とは、これら前面壁1と後面壁2の各上下端部1f、1g、2d、2eではなく、これら前面壁1と後面壁2の各上下端部よりもそれぞれ下側か上側かの、前面壁と後面壁の各上部1cと2a同士および各下部1dと2b同士をつないでいる。これによって、前面壁1と後面壁2とを各横壁3、4との直交部(交差部)でもある1cと2a、1dと2bで仕切り(分割し)、これら前面壁1と後面壁2との両端部(1c〜1fまで、1d〜1gまで、2a〜2dまで、2b〜2eまで)を上下各方向に向かって張り出すフランジ6、7、8、9としている。このように、本発明では、元の前面壁1と後面壁2を、上方と下方の各横壁3、4とによって、元の前面壁1と後面壁2とを各々上下に仕切る(分割する)ことによって、各々上方と下方の横壁3、4位置よりも上下各方向に向かって張り出したフランジ6、7、8、9としている。
以上のように、要件cでは、前面壁1を、中央部の前面壁、上(上方)フランジ6、下(下方)フランジ7とに各々上下に仕切り(分割し)、後面壁2も、中央部の後面壁、上(上方)フランジ8、下(下方)フランジ9とに各々上下に仕切る(分割する)。このように、前面壁1と後面壁2との元の単一な壁幅を、各々上下に仕切る(分割する)ことで、前面壁1と後面壁2との元の壁幅を、それぞれ上下両フランジ長さの分だけ減少させる。また、固定端である上下両フランジの壁幅も小さい。これによって、後述する通り、幅厚比 (壁幅/ 壁厚) を減少させることにより、バンパ補強材前面壁の圧壊強度を上げている。
要件d:
バンパ補強材20 (中空形材) は、これら略日型断面に加えて、図1、2に示すように、前記した要件dの通り、前面壁1の壁面中央部1eに、バンパ補強材20の長手方向に亘って延在する凹部10aを形成している。ここで、凹部とは、矢印Fの衝突方向には(図の左方向には)突出せずに、後面壁2側(図の右方向に)に凹む曲率面としている意味である。
この凹部10aの形成は、先ず、中間壁5の前面壁側5aの長さを、上方と下方の各横壁3、4の長さよりも、図3に示すlだけ短くして行う。次に、この中間壁5の前面壁側端部5aと前面壁中央部1eとの接続を、前面壁1の壁幅を減少させるように行って、前面壁中央部1eに、補強材20の長手方向に亘って延在する凹部10aを形成している。より具体的には、前面壁1の中央部1eがこの中間壁5(5a)を境に上下に仕切られ、この仕切られた(分けられた)上方側と下方側との中央部1a、1bが、各々前面壁1の壁面位置よりも後方に向かって、かつ中間壁5(5a)方向に延びる、略円弧状の形状を各々有するようにする。そして、これら略円弧状の前面壁1a、1bの端部が互いに中間壁端5aと交わるようにして、前面壁1の壁幅を減少させて形成する。ここで、前面壁1の壁面位置とは、立設する前面壁1の壁面の水平方向の(図の左右方向の)位置である。なお、前面壁1a、1bは、必ずしも図1、2に示す円弧状でなくとも、直線的あるいは他の曲線的であっても良い。
このdの要件によって、先ず、矢印Fの衝突方向に対峙する前面壁1の壁面を曲率面とするが、後面壁2側に凹む曲率面とすることによって、バンパ補強材前面壁の圧壊強度を上げる。この凹部10aの形状、言い換えると、前面壁1の上方側と下方側との中央部1a、1bの円弧形状は、前記した凹部の条件、矢印Fの衝突方向には突出しない、後面壁2側に凹む曲率面となっている、条件さえ満足すれば、前面壁の圧壊強度を上げるのに必要な形状が適宜選択される。
例えば、図2は、本発明の別の実施態様であるAl合金製バンパ補強材21を示す斜視図である。ここで、図2のバンパ補強材21は、図1のバンパ補強材20と殆ど同じ断面構造であるが、形成している凹部10bの後面壁2側(図の右方向に)に凹む深さ(図3に示す長さl)が、図1の凹部10aよりも、より大きくなっている。即ち、中間壁5の前面壁側5aの長さが、図1の中間壁5よりも短く、前面壁1の上方側と下方側との中央部1a、1bの円弧の曲率がより小さくなっている。
なお。これらのバンパ補強材の長手方向に渡る断面形状は、必ずしも同一でなくとも、部分的あるいは順次断面形状が変化するような中空形状が、車体の設計側から、自由に選択できる。また、全体や各部の大きさ、長さなどの形状、構造は、車体設計によるバンパ補強材の断面の大きさ (高さ) や、前記強度あるいは衝突エネルギー吸収量などの要求特性に応じて選択される。
(作用効果)
図3を用いて、本発明の要件a〜dの、車体衝突に対する曲げ圧壊特性として、車体衝突時の曲げ荷重に対する曲げ強度およびエネルギー吸収特性が向上する機構(作用効果)を、ポール衝突を例にとって、説明する。図3は、図2と同じ本発明のAl合金製バンパ補強材の断面(車体側面側から見た断面図)を示す。なお、この機構は、ドアーガードバーなど他の自動車車体補強材でも、また、ポール衝突以外の他の衝突形態でも同様に発揮される。
前面壁:
前面壁1に、ポール衝突などの車体衝突によって、図3に示す矢印Fの衝突荷重が加わった場合、補強材中央部断面には曲げ荷重が加えられるため、前面壁1には、図3の紙面垂直方向への圧縮力が作用する(圧縮力は図3の紙面垂直方向、即ち、補強材20の長手方向、車体幅方向に作用する)。これに対して、先ず、要件bとして、前面壁1は3mm以上の比較的厚肉とされているために、この厚肉化によって、前面壁1自体の圧壊強度が向上する。
次に、要件cとして、前面壁1を、上方と下方の各横壁3、4によって、中央部の前面壁、上(上方)フランジ6、下(下方)フランジ7とに各々上下に仕切り(分割し)、前面壁1の元の単一な壁幅を各々上下に仕切る(分割する)。また、更に、前面壁1は、dの要件によって、前面壁1の壁面中央部1eに、バンパ補強材20の長手方向に亘って延在する凹部10を形成して、矢印Fの衝突方向に対峙する前面壁1の壁面を曲率面としている。
これらの要件c、dによって、前記固定端を含めて、仕切られていない単一な壁としての前面壁1の壁幅は、元の垂直な壁幅Wb(後面壁2の元の壁幅Wbと同じ)から、2 ×Waへと大幅に減少する。即ち、前面壁1の元の衝突面としての垂直な分の壁幅(壁面幅)はWbであるが、それぞれ上下両フランジ6、7の長さの分Wd(後面壁2の各フランジ長さWdと同じ)と、中央部の凹部10の円弧状の前面壁1a、1bの分だけ、減少させて、2 ×Waとする。また、前面壁1の固定端である上下両フランジ6、7の部分の壁幅も、上方と下方の各横壁3、4によって仕切られているために、単一な壁としての壁幅はWdと小さくなる。
一方、前記要件bによる前面壁1の厚肉化によって、前面壁1の壁厚は大きくしている。したがって、前面壁1の幅厚比 (壁幅/ 壁厚) は、上下両フランジ6、7の幅厚比とともに、大幅に減少され、衝突時に発生する前記圧縮力に対する、前面壁1および前面壁1の両端(上下両フランジ6、7)の各々の圧壊強度が高くなる。
なお、図3に示す、この凹部10(図1の10a、図2の10b)の長さl、言い換えると、前面壁の壁面位置からの凹部10の奥行き(深さ)lは、前記した前面壁1の上方側と下方側との中央部1a、1bの円弧形状との関係で、前面壁の圧壊強度を上げるのに必要な長さが適宜選択される。この形状効果により、中間壁5の長さがL1からlだけ短くなり(L1−l)、その結果、前面壁から加えられた圧縮力Fが、中間壁5を介して後面壁2に伝達される際に、この荷重に耐える中間壁5の強度が向上する。
更に、前面壁1は、前面壁1の壁面中央部1eに凹部10aを形成して、矢印Fの衝突方向に対峙する前面壁1の壁面を曲率面としている。このように、後面壁2側に凹む曲率面とすることにより、シェル効果によって、バンパ補強材前面壁の曲げ圧壊強度を上げることができる。
これに対して、仮に、図5に示すような、矢印Fの衝突方向に(図の左方向に)突出する曲率面とした場合には、上記した他の要件を満足しても、他の衝突の態様と違って、バンパ補強材に対し、略水平方向からの荷重が、衝突部に局部的に集中して加わるポール衝突の場合には、外側へ張り出した部分に荷重が集中し易く、圧壊強度が不足する。このため、前記した図7(b)に示す様に、バンパ補強材が中央部より水平方向に折れ曲がり、車体に損傷を与える可能性が生じる。また、図6に示すような、矢印Fの衝突方向に(図の左方向に)対して平坦な直立面とし、曲率を設けない面とした場合は、凹部がないため、その分前記した前面壁の幅が本願より大きいため、および曲率による強度向上効果がないことにより、本願よりも最大荷重以降の荷重の低下が早まり、結果としてエネルギー吸収量が小さくなる。
以上説明したように、要件b、c、dによって、曲げを受けた場合の前面壁1の圧壊特性が、上下両フランジ6、7の部分を含めて、大きく向上し、前面壁1が圧壊しにくくなり、ポール衝突などの車体衝突に対する、曲げ圧壊特性として、車体衝突時の曲げ荷重に対する曲げ強度およびエネルギー吸収特性が向上する。言い換えると、局所的に略水平方向からの荷重が集中するポール衝突や、他の衝突形態に対しても、厳しくなった基準での衝突安全性と軽量性を満足できる。一方、図5、6の場合のように、これら要件b、c、dのいずれかが欠けても、厳しくなった基準における、衝突安全性と軽量性を満足できない。
後面壁:
一方、後面壁2には、ポール衝突によって、図3に示す矢印Fの衝突荷重が加わった場合、上記前面壁1側とは異なり、図3の紙面垂直方向に向かう引張力が働く(引張力は紙面垂直方向、即ち、補強材20の長手方向、車体幅方向に作用する)。但し、閉断面である略矩形構造の中空形材は、局所的に略水平方向からの荷重が集中するポール衝突では、この引張力だけでなく、固定端である後面壁2の両端部(バンパ補強材ではステイによる支持部)には、逆に圧縮力が働く(この圧縮力は図3の紙面垂直方向、即ち、補強材の長手方向、車体幅方向に作用する)。この後面壁2の両端部に働く圧縮力を考慮しなければ、ポール衝突に対する後面壁2の圧壊強度を十分に高くできない。
これに対して、本発明では、要件cのように、後面壁2を、上方と下方の各横壁3、4によって、中央部の後面壁、上(上方)フランジ8、下(下方)フランジ9とに各々上下に仕切り(分割し)、後面壁2の元の単一な壁幅を各々上下に仕切る(分割する)。これによって、後面壁2の元の壁幅Wbを、それぞれ上下両フランジ8、9の長さの分Wdだけ減少させる。また、前面壁1の固定端である上下両フランジ8、9の部分の壁幅Wdも小さくする。これによって、結果的に、固定端を含めて、後面壁2の壁幅を減少させる一方、前記要件bによる後面壁2の厚肉化によって壁厚を大きくしている。したがって、後面壁2の幅厚比 (壁幅/ 壁厚) は、上下両フランジ8、9の幅厚比とともに、大幅に減少される。したがって、ポール衝突時に発生する前記圧縮力に対する上下両フランジ8、9の圧壊強度が高くなるとともに、ポール衝突時に固定端に発生する前記引張力に対する前面壁1の圧壊強度も高くなる。
これら要件b、cによって、後面壁2の圧壊強度が、上下両フランジ8、9の部分を含めて、大きく向上し、局所的に略水平方向からの荷重が集中するポール衝突に対しても、後面壁2が圧壊しにくくなり、耐ポール衝突性などの曲げ圧壊特性や衝突安全性が大幅に向上する。
(バンパ補強材用Al合金)
本発明バンパ補強材で用いるAl合金は、軽量化条件を満たした上で、耐ポール衝突性に優れる目的のために、高強度なAl合金であることが好ましい。また、中空形材に押出やすい(製造しやすい)Al合金であることが好ましい。これらの要求特性を満足するAl合金としては、通常、この種構造部材用途に汎用される、5000系、6000系、7000系等の耐力の比較的高い汎用 (規格) Al合金が用いられる。そして、これらAl合金の熱間押出中空形材であって、溶体化焼入れ処理、時効処理などによって機械的な特性が調質されたAl合金材が用いられる。
前記図1、2に示した本発明バンパ補強材(発明例)と、比較のために前記図5、6に示したバンパ補強材(比較例)の耐ポール衝突特性を、実験によって求め、評価した。
ここではポール衝突を模擬した衝突実験を行った。即ち、バンパ補強材中央部が、前面壁側で、半径127mmのポール状の剛体と衝突したことにより、バンパ補強材中央部の局所的な範囲に荷重付加される、初期座屈荷重、荷重エネルギ吸収性能、曲げモーメントを調査した。なお、実際の衝突時の車重は1.0〜1.8ton程度、衝突速度は8〜64km/hを想定しているが、ここでは静的な圧縮実験と行っている。
バンパ補強材の断面形状は、各前面壁1の壁幅Wa:42.57mm(図1)、43.46mm(図2)、各後面壁2の壁幅Wb:150.0mm、各バンパ補強材の車体前後方向の幅(長さ)L1:65.0mm、各フランジ幅(長さあるいは突出量)Wd:12mmと各々した。本例では、補強材の曲げに対する基本特性を調べる目的で、補強材は直線部材とし、スパン1100mmの円筒型支持材にて下方両端を回転自由に(ピン)支持した。バンパ補強材の長さは、直線1300mmとした。なお、バンパ補強材には0.2%耐力が435MPaの時効処理された7000系アルミニウム合金押出形材を用いた。また、比較例として、外形が同じで前面壁、後面壁上下の両端部を上下各方向に向かって張り出したフランジ形状とした、図6に記載の例を示す。
発明例と比較例の各バンパ補強材の荷重−変位関係を図8に示す。また、この図8における各例の、初期座屈荷重(kN)、変位100mm時のエネルギー吸収量(kJ)、最大モーメント(kN・m)の各数値を改めて表1に示す。
表1、図8から明らかな通り、図8に細い実線で示す発明例1、太い実線で示す発明例2は、太い点線で示す比較例3に比して、ポール圧縮条件で、初期最大荷重(kN)、初期最大荷重に比例する量である最大曲げモーメント(kN・m)はほぼ同じである。しかし、最大荷重以降の荷重の低下が抑えられているため、発明例の方が変位100mm時の一定の変位量内でのエネルギー吸収量(kJ)を高めることが可能であり、凹部の量の大きい発明例2でその傾向が特に顕著である。
なお、発明例1、2と比較例3との比較において、発明例1は、発明例2ほどには比較例3とのエネルギー吸収量や初期座屈荷重の優位性が無い。しかし、発明例1と2との違いは、図1、2のバンパ補強材の形成している凹部10bの後面壁2側に凹む深さ(図3に示す長さl)の違いのみであって、発明例2(図2)の方が、前記した通り、図1の凹部10aよりも大きくなっている。この点、発明例1、2と比較例3との比較は、この設ける凹部10の深さ(大きさ)によって、エネルギー吸収量や初期座屈荷重の大きさが異なることを示している。したがって、発明例1は凹部10を設ける場合の謂わば下限を示し、最適効果を得るための凹部10の深さ(大きさ)を、場合によって選択(設計)する必要があることも裏付けている。よって、これら実施例の結果から、本発明の効果と、本発明構成の意義が明らかである。
また、表1、図8において、図8に太い一点鎖線で示す発明例4は、後面壁2の厚さを、前面壁1の厚さよりも厚くした例である。後面壁2の厚さをより厚くすることによって、ポール衝突時に特に荷重が集中しやすく割れやすい、後面壁2の中央部の強度や剛性を高め、割れにくくして、補強材性能の発揮を保証することができる。ポール衝突時の条件によっては、後面壁2の中央部が割れて、補強材性能を発揮できないことも起こり得るが、後面壁2の厚さをより厚くした発明例4は、このような事態を防止して、補強材の性能発揮を保証することができる。
そして、更に、発明例4では、この後面壁2の厚さをより厚くした分だけ、前面壁1の側を薄くすることによって、後面壁2の厚さをより厚くすることによる重量増加を、表1の単位重量に示す通り、相殺あるいは最小限に押えて、軽量化を図っている。一方、前面壁1を発明例4のように薄くしなければ、最大荷重を高めたり、最大荷重以降の荷重の低下を抑えることも可能となるため、エネルギー吸収量を高めることも可能である。このように、本発明では、後面壁2と前面壁1との厚さを互いに調整することで、最大荷重やエネルギー吸収量などの補強材性能を、その重量との関係で、自由に調整、設計できるという優れた効果も有する。
Figure 2009096459
更に、図9に、前記表1の各例の各フランジ幅Wd(長さあるいは突出量:横軸、mm)と、各種性能(初期座屈荷重:左側縦軸、kN、変位100mm時のエネルギー吸収量:右側縦軸、kJ)との関係を示す。図9の解析条件では、各例の補強材の断面寸法は前記表1と同じとしたが、バンパ補強材のフランジ幅Wd(図9の横軸ではフランジ突出量と記載)のみを5mmから15mmまで変化させて解析していた(前記表1ではWdが12mmと一定)。
この図9では、前記凹部10の長さlを変えた発明例1、2、比較例3の解析結果を、同じグラフ上で比較している。左縦軸の初期座屈荷重は、左方の左向き矢印で示す下側3つのデータの通り、いずれのフランジ幅Wd(突出量)であっても、凹部の長さlが小さな発明例1(白丸印、点線)の方が、凹部の長さlが大きな発明例2(黒丸印、実線)に比して高い。一方、右縦軸のEA量は、上部の右向き矢印で示す上側3つのデータの通り、逆に、凹部の長さlが大きな発明例2(黒四角印、実線)の方が、凹部の長さlが小さな発明例1(白四角印、点線)よりも高くなる。しかし、この両者のEA量の差は、横軸のフランジ幅Wdが増加するにつれて小さくなる傾向が見られ、この点からもWdを増加させる効果が分かる。
また、図9から分かる通り、横軸のWdが増加すると、各例とも、左縦軸の初期座屈荷重、右縦軸のEA量とも増加する傾向がある。しかし、Wdが12mm以上となると、この増加率は低下していく。すなわち、荷重の増加、EA量の増加を期待できる最適なフランジ幅(長さあるいは突出量)Wdが存在する。この図9の例から、Wdが12mm〜15mmの範囲が好適であり、これを後面壁の壁幅Wbで除して無次元化した数値Wd/Wbでは0.08〜0.1程度が最適範囲であることが分かる。言い換えると、自動車車体補強材のフランジ部の長さをWdとし、後面壁の壁幅をWbとした時の好ましい両者の比Wd/Wbは0.08〜0.1の範囲である。
本発明によれば、曲げ圧壊特性として、車体衝突時の曲げ荷重に対する曲げ強度およびエネルギー吸収特性が高い、補強材を別途に設けずとも単体で衝突安全性に優れた、バンパ補強材やドアガードバーなどのアルミニウム合金製自動車車体補強材を提供することができる。このため、Al合金材の自動車車体補強材用途を大きく拡大するものであり、工業的な価値が大きい。
本発明に係るバンパ補強材の一実施態様を示す斜視図である。 本発明に係るバンパ補強材の他の実施態様を示す斜視図である。 本発明に係るバンパ補強材の補強効果を示す断面図(側面図)である。 図1のバンパ補強材の平面図である。 比較例のバンパ補強材を示す断面図(側面図)である。 比較例のバンパ補強材を示す断面図(側面図)である。 バンパ補強材のポール衝突時の変形を示す平面図である。 実施例における補強材の荷重−変位関係を示す説明図である。 実施例におけるフランジ幅Wdと各種性能との関係を示す説明図である。
符号の説明
1:前面壁、2:後面壁、3、4:横壁、5:中間壁、6、7、8、9:フランジ、10:中空部、20:バンパ補強材、30:ステイ

Claims (3)

  1. 略矩形断面を有するアルミニウム合金中空形材からなり、下記a〜dの構成を有することを特徴とする曲げ圧壊特性に優れた自動車車体補強材。
    a.前記略矩形断面は、略上下方向に延在する前面壁と、この前面壁と略平行にかつ間隔を開けて略上下方向に延在する後面壁と、これら前面壁と後面壁とをつなぎ、互いに間隔を開けて略水平方向に延在する上方と下方の各横壁と、これら前面壁と後面壁の各中央部同士をつなぎ、略水平方向に延在する中間壁とからなる、略日型断面から構成される。
    b.前記前面壁と後面壁との厚さを各々3mm以上とする一方、前記上方と下方の各横壁と中間壁との厚さを、この前面壁と後面壁の厚さよりも薄肉とする。
    c.前記上方と下方の各横壁とは、これら前面壁と後面壁の各上下端部よりもそれぞれ下側か上側かの、前面壁と後面壁の各上部同士および各下部同士をつなぐことによって、前面壁と後面壁とを仕切り、これら前面壁と後面壁との両端部を上下各方向に向かって張り出すフランジ部としている。
    d.前記中間壁の前面壁側の長さを前記上方と下方の各横壁の長さよりも短くし、この中間壁の前面壁側端部と前面壁中央部との接続を、前面壁の壁幅を減少させるように行って、前面壁中央部に、自動車車体補強材の長手方向に亘って延在する凹部を形成している。
  2. 前記自動車車体補強材において、前記後面壁の厚さを前記前面壁の厚さよりも厚くした請求項1に記載の自動車車体補強材。
  3. 前記自動車車体補強材において、前記フランジ部の長さをWdとし、前記後面壁の壁幅をWbとした時の両者の比Wd/Wbが0.08〜0.1の範囲である請求項1または2に記載の自動車車体補強材。
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